第2回「これからの高速道路を考える地方委員会」の共同声明

公開日 2007年12月07日

更新日 2014年03月16日

第2回「これからの高速道路を考える地方委員会」の共同声明

平成14年9月4日

高速道路は、まさにこれから地方分権を進め地域が自立するために、必要最低限の社会経済基盤である。
 しかるに、「道路関係四公団民営化推進委員会」や政府においては、日本全体を見渡し、また、地方の実情を直視し理解した上での、大所高所からの議論がなされているとは到底言い難く、われわれの危惧ともどかしさは限界に達している。
 今こそ、地方自らが高速道路のあり方を考え、政府、道路関係四公団民営化推進委員会を始め全国の人へ訴えるべく、6県の知事がここに立ち上がるものである。

これからの高速道路を考える地方委員会

岩手県知事   増田寛也
岐阜県知事   梶原 拓
三重県知事   北川正恭
和歌山県知事  木村良樹
鳥取県知事   片山善博
高知県知事 橋本大二郎

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共同声明 
                          
一、高速道路の在り方は、国際化や国土のグランドデザインを睨んで検討すべき!
 中国・韓国は環日本海時代に向けて国土のグランドデザインを持ち、国家的戦略で高速道路の整備を進めている。一方、我が国においては、国際競争に勝ち残るため、国家としてグランドデザインを描くという観点が欠落しており、今後の高速道路建設のあり方を機会に、日本再生に向けた抜本的な議論を行うべきである。
 本来、高速道路の整備は国が責任を持って取り組むべきものであり、高速道路の在り方は、これからの国際化や国土のグランドデザインを睨んで検討すべきである。但し、その際には、今までの国の計画を前提に地方が様々な取り組みを行ってきたという経緯に対する十分な配慮を怠ってはならない。
 検討の結果、高速道路が重要な役割を果たすと判断されるなら、道路特定財源などの国費を投入することもためらうべきではない。
 

二、高速道路の位置づけは公共事業全体の中で判断すべき!

 国民にとって、この時代に何が一番必要なのか。限られた財源の中では、道路、河川、農業基盤整備等公共事業全体の枠組みの中で、それぞれの優先順位を的確に判断していく必要がある。併せて、道路全体の枠組みの中でも、高速道路の優先順位をどう考えるのかなど、広い視野での議論をしていくことが重要である。
 その場合財源移譲など抜本的な議論も行っていくべきであり、単純な地方への負担転嫁は、地方財政の破綻をもたらし、到底受け入れられるものではない。
 なお、高速道路の必要性とは別に、道路関係四公団や関連企業については、公団の民営化を既定方針とすることなく、その是非も含めた幅広い議論の上、経営の合理化・効率化、経営責任の明確化などの徹底した改革に積極的に取り組むとともに、車線数や設計速度の見直し等による一層の建設コストの削減を図られたい。
 また、民営化するのであれば、法人税・固定資産税が課税されるが、民営化後の組織の収支が厳しいためこの税金を減免するなどという、自家撞着とならないような赤字補填・債務の処理方法を明確にすべきである。
  

三、「公正」を見失ってはならない!

 高速道路の建設を待ち続けた地方が、地元負担など、より不利な条件を課せられるのは不公正である。高速道路の建設は一斉にできるものではなく、順次建設せざるを得ないのは自明の理である。そのために採られた方策が料金プール制である。
 このプール制を廃し、整備の遅れた高速道路に対してさらに地元負担を求めるようなことはあってはならず、公正な取り扱いを求める。
 

四、地方の声を反映させ、協議できる場を政府に求める!

 地方は、既に国が定めた高速道路の建設を前提に、アクセス道路等関連事業に対してこれまで莫大な投資を行っている。また周辺では、企業誘致、観光振興など民間による先行投資も行われている。このような中、高速道路の建設が一方的に凍結されれば、これらの取り組みが無駄になり、県民に対する説明責任も果たせない。
 必要な高速道路がなければ地方の自立は阻害され、地方分権の実現も困難となる。
 地方の生の声を国に届け直接議論したい。

  以上のことから
 地方を含めた国全体の視野から、地方と政府が直接協議できる場 を求める。

     平成14年9月4日

これからの高速道路を考える地方委員会

岩手県知事   増田寛也
岐阜県知事   梶原 拓
三重県知事   北川正恭
和歌山県知事  木村良樹
鳥取県知事   片山善博
高知県知事 橋本大二郎

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〇「これからの高速道路を考える地方委員会」議事録
1 日 時  9月4日(水曜日)9時00分から10時45分
2 場 所  都道府県会館 1階 101大会議室
       (東京都千代田区平河町2-6-3)
3 参加者
  岩手県知事  増田 寛也
  岐阜県知事  梶原  拓
  和歌山県知事 木村 良樹
  鳥取県知事  片山 善博
  高知県知事  橋本 大二郎
4 意見交換(9時00分から10時00分)
5 記者会見(10時00分から10時45分)
 
 

【意見交換】 

(司会)
 お待たせいたしました。ただいまから第2回これからの高速道路を考える地方委員会を開催いたします。
 私は、鳥取県県土整備部次長の瀧山と申します。よろしくお願いいたします。

 本日の会の進め方ですが、まずここで意見交換を行っていただき、その後、反対側になりますけれども、記者会見を行っていただきます。よろしくお願いいたします。

 本日の御出席の皆様の御紹介をさせていただきます。
 岩手県知事の増田寛也様です。岐阜県知事の梶原拓様です。和歌山県知事の木村良樹様です。高知県知事の橋本大二郎様です。鳥取県知事の片山善博でございます。
 なお、三重県知事の北川正恭様は、所用のため御欠席でございます。

 去る8月30日に道路関係四公団民営化推進委員会が首相に対し中間整理の報告がなされました。本日の意見交換にもこの報告書の写しを資料として配付しております。
 それでは、早速意見交換に移らせていただきたいと思います。ここからは会のお世話役をさしていただいております片山鳥取県知事に進行をお願いいたします。よろしくお願いします。
 

(片山知事)
 おはようございます。今話がありましたように、8月の30日に中間整理が出まして、大体内容は予想した範囲を出なかったわけですけれども、今後これを受けて我々としてどうするのか、さらに今、民営化推進委員会の議論に随分関心も集まってますけども、それらとはちょっと別な議論というのは当然あるわけで、そういうことを我々としてもぜひ進めていきたいと思いますし、今の6県以外にもこの輪を広げていきたいと、いろんなこと考えてますけども、きょうはとりあえずこの中間整理を受けて今後どうするのかということを中心に議論をさしていただきたいと思います。
 最初に、増田知事の方からお願いします。
 

(増田知事)
 それでは先般の中間報告ですが、私どもが前回この場で話したさまざまな危惧というか、そういったことがそのまま出てきてるんですが、いずれにしてもやっぱり出発点が、私は、現実に非効率な経営で道路公団が発生させたその40兆の債務というもの、これは現実にあるわけですが、そのことと、

それからこれからの新線建設、まだあそこでの議論では、いわゆる必要なものはつくる、必要でないものはつくらない、これは当たり前の話なんですが、その域を全然出てないし、この間あれ片山さんがNHKの討論で出てましたけども、石原さんは、いや、片山さんとこのは、ああいうのは必要なんですよって言ってましたんですが、ああいうものは必要だという、

そこをきわめようとしてるのは非常にまだ感覚的な話で、まだ一歩も依然としてそこの域を出てないということで、そこ峻別するのを、今はどうも引っ込めちゃったみたいではありますが、その進捗率みたいなもので考えるとか、あるいは採算で考えるとか極めて、やっぱりこういう立ちどまって、政府としてこの問題を小泉内閣の最大のこの特殊法人改革の命運の中でやると言ってる割には非常に視野が狭いという気がしてならないんですね。

 やっぱりその40兆の債務とか公団の組織の話、今までの(  )組織の話と、それからこれからの新線建設、これは国家のいわゆる骨格という部分についてのスキームは全く別にして考えなければいけないということで、そのときに今の公団の組織の改編、その枠の中で次の新線建設のことについてまで考えようということは全く別に分けないと、非常に危険性があるという話でして。

 その上で、例えば40兆について、現実にあるものをどう処理するかということについては、私はやっぱり使ってるのは利用者ですから、通行料だとか、それからあと利用者といえば当然ガソリン税を初めとして道路財源使ってるわけですから、そこの大胆な投入ということも、当然利用者がやっぱりまず一番にそこ責任を負うという形の解決策をやっぱり考えていくべきではないかなというふうに思うんですが、

やっぱり一方の新線の方についていえば、ここでも少し、きょうの取りまとめの案でも出てますが、それだけの国全体として国家構造を考えてやっていく上では、極めて小さな、今公共事業のシェアの配分も全く固定化されているような、これはやっぱり同じ政府の中で財務省の中のあれがそうなってますけれども、

そういった公共事業のシェアを大胆に変更していって、政府として全部の要素をすべてそこの中でいろいろ変えるべきところは変えるという大きな議論の中でやっぱりやっていく必要があるんで、そのときにその細かな計算はやっぱり我々じゃなかなかできないと思うんだけれども、

そのところの考え方、ここまでの範囲はきちっと政府として責任を持ってやるべしと、新線建設に向けてこういう範囲まで取り組んで検討すべきということを我々の方からやっぱりしっかりと提案していく必要があるだろうというふうに思ってます。
 まず第1回目は以上。
 

(片山知事)
 それでは、梶原知事。
 

(梶原知事)
 まず第1に、我々知事のスタンスですね、それ明確にしておかないと、変な動きに引きずり回されちゃうと思うんですね。今民営化の何とかかんたら委員会でやってますけども、そもそも民営化ありきで、しかも公団問題でスタートして、その切り口で論ずるような課題ではないんですよ。

 言うなれば、隣の庭を節穴からのぞくような視野で日本の高速道路問題を論ずるべきではない。しかもその節穴の角度が曲がってるわけだから、いよいよわけわからんようになっちゃうわけだね。だから何というかな、大きなタイを小さな彫刻刀で料理しようというような、そんなことができるはずないんだから、そういうようなことをまず前提としておかないと、その委員会の報告が出たからどうかというような、右往左往するようなことは間違ってると私は思います。

 しかもその委員会が、生活の現場も知らない、地域の現場も知らない、外国の道路事情も知らない、もちろん日本の道路事情も知らない、そういう人たちがほとんどのメンバーの委員会で的確な意見が出るはずがないわけです。顔ぶれ見りゃあすぐわかる。

 そういう意見が出ても、それはそれでいいですよ。そういう方の意見だということで受けとめらいいんであって、我々47都道府県の知事全部集まれば約3,000万票の票をいただいてる。住民の生活を守る立場、責任あるわけですよ。私は、地元の記者クラブでも、道路族とか抵抗勢力と言われてるけれども、我々は何とか族ということであれば生活族である、地域の現場のですね、そういう立場から自主的に、主体的に論じなきゃいけないと思います。

 現在の公団事業あるいは高速道路問題ないわけじゃないんで、一緒に我々も考えるということで、主体的に全国知事会あるいは大半の知事の共通意見というものをまとめたらどうかというふうに思うんですね。前、橋本知事さんが汗かいて、あれはほとんどの知事さんが参加してくれましたね、あれ、アピール。

 そういうことですからね、我々は一抵抗勢力だとか道路族で片づけられる存在じゃないんですよ。そういう心意気を示していかなきゃいけない。国が何か意見出したから、地方の意見を反映さしてくださいと、そういうような頭下げてどうこうするような代物じゃないというふうに私は思います。

 それでもっと根本的には、地方分権一括法で国と地方が対等だと法律で明記されたんだけど、そんなもんむしろ対等という関係が退化してるじゃないかと思うんですね。我々地方自治体の意見、そういうものを軽視する、あるいは無視するという、その国の姿勢が目立ってきてるんじゃないか、こんなふうに思うんですね。

 この問題だけじゃなくて、一般的に国に対する姿勢というものを明確にしなきゃいけない。なるべく穏便に、事を荒立てないようにという意見もありますけども、ある時期が来たら明確に国と対決するという姿勢を私は出さなきゃいけない。例えば高速道路建設途中のを凍結するというようなことであれば、それを前提にいろんなことやってきてるわけですね。

 明らかに法律上も原告適格をもって訴訟する法律上の利益が生じてる場合も多いんですよね。その場合には国に向かって損害賠償請求するとか、こんなことは当然のことですが、もっといえば国に対する協力関係というのを見直すということもある。

 極端なこと言う人もおりますけれども、国政選挙なんか、国会議員の選挙あるいは最高裁の判事の選挙、そんな事務返上してしまえというような話もあります。そうすると解散しても選挙できないから、税務署が選挙やるか何かしないと国会議員が選ばれない。

 これは極端な話ですけれども、いろんな協力を我々国に対してしておるということ、そのことを見直すということも視野に入れて考えていかなきゃいけない、そういうことですね。

 ですから一々こういうものが出たからあれこれ細かく反論してるというようなことはもうやめたらどうか。今度何かまとまっとるから、それはそれでいいですよ。いいけども、基本的な姿勢として現下の状況というものをもっと深刻にとらえていかなきゃいかんということですね。
 

(片山知事)
 それじゃあ、木村知事さん。
 

(木村知事)
 いろんなとこで言ってるんですけども、今回の話はちょっと目的と手段ということが混同してるんで、我々も例えば公共事業なんかについて、県民のためにそんなに必要ないだろうというふうなものについては中止もしたり、先送りもしたり、いろいろなことをしているわけです。

 だから今回の問題も、本来は高速道路というふうなものがこれからの地域の発展とか諸外国との対応の中での日本の発展とかいうことについて、もう必要でない公共事業なのか、それともまだやはりいろんな活力を取り戻していくためには必要なものなのかということをまず議論しないといかんわけです。

 それでそれを今までつくるための手段としてプール制もあり、道路公団があったわけだけども、今度そこが非効率ならば、それは手段の問題としてそれを改めて考えていくということにしないといかんのだけども、今回はその手段の方の非効率さを何とかするという話から、本体の方の日本の国において公共事業とか高速道路というふうなものがまだ地方においてどんな意味を持ってるのかということの議論がやっぱり真剣になされてない。

 だから本来は、僕は委員会の一部の人の意見でそれをあれこれ言うことじゃなくて、やはり国としてこういうものをどうするかということを政府が真剣にやっぱり考えた。それに対して我々も物を言っていく。そして必要ということになれば、それの手段としての今までのやり方の中での非効率さをどういうふうに改めていくのかというふうな問題がやっぱり論じられるべきだろうということを思ってます。

 それからもう一つは、きのう日経平均がバブル崩壊後最低という形になって、また景気対策ということが僕は出てくると思いますけども、仮に景気対策というショートレングスの話で考えても、この高速道路というのは非常に地方では役に立つものだ、まだ必要なものだというふうに考えられているわけです。だから私は、そういう意味からもこの高速道路みたいなものをつくっていくということをやっぱり真剣に考えていかなければならないというふうに思います。

 それから地方公共団体にとっては、この高速道路というものを中心に地域の振興とかいうようなことを長期的に考えている面があって、例えが悪いんだけれども、妊娠8カ月のときにおむつ代がないからちょっと産むのは見合せようと言ってるのと同じような話で、本来は例えば自分たちの家族をどういうふうにこれからしていくのかとか、それから少子化みたいなことにどういうふうに対応するのか。

 その中で出産するかしないかというようなことを考えないといかん問題であるにもかかわらず、ちょっとおむつ代が足らんからやめとこう、こういうふうな何か大きな重たいことと軽いこととがちょっと混同してしまってるという感じが物すごくするんです。ただ、今、梶原知事もおっしゃったように、我々としても余り、かなりもう立脚点というか、物の考え方の根本が違うわけですね。

 我々は、やっぱり社会資本として必要であるかないかということから考えていかないといかんということなんだけども、片方は、商売として成り立つかどうか、それで何年か以内に借金をきれいに返してきれいな身になりましょうという物の考え方だから、ここはちょっと全然違うんで、やはり我々としてもこれからその高速道路をどうしていくのかという、こちらとしてというか、

地域住民としての考え方というふうなことをまとめていく必要があるだろうと思うし、それからいろんなところで個別に話をしたりすることも必要なんだけど、やはりこういう考え方であるという人たちを幾人か集まってもらって、それでまたこちらも何か言って、やはりその討論の中から一つの大きな方向を生み出すというふうな努力も、まだ中間答申が出たとこだから、これから年末に向けていろんなことがあると思うんで、そういうふうなことも必要じゃないかなというふうに思ってます。
 

(片山知事)
 それじゃあ、橋本知事さん、お願いします。
 

(橋本知事)
 改めて中間整理というのを見てみて、大山鳴動何とやらじゃないんだけれども、この程度というか、こんなことに委員の方々が莫大な時間と労力を要し、そして周りの者が右往左往してきたかというと、若干むなしいものを感じますね。

 というのは、この後出てくる声明の中にも盛り込まれてますけれども、私たちが言ってたことは、一つはやっぱり公共事業というもののあり方を抜本的に見直さなきゃいけないんじゃないですかということを言い、そしてそれぞれの都道府県では、国がやってこなかったことをどんどん実行に移しているわけですね。

 シェアという面でも、本県でも国のシェアとは違う形で県の単独の公共事業のシェアというものの見直しをしてますし、また事業のやり方の中で、この中にも出てくる規格の見直しとかいうことはどんどんみずからも県の単独事業で実行し、国に要望してやってきてるわけですね。

 それからこの間、中国青島に行ってきたんですが、あそこももう港もどんどん発展をしてますし、さらにそこから銀川だとか、あちこちにばんばん高速道路をつくって、国際競争力ということで、まさに国の戦略としてインフラ整備をやり、次の経済システムをつくろうという計画を進めてるわけです。

 韓国も同様だと思いますし、他の発展途上国も皆同じ視点で臨んできてるというときに、我が国のやっぱり国際競争力ということを考えて、国のグランドデザインをどうしていくかという視点が必要ではないかということも私たち言ってきてるわけです。

 これは国際競争力だけではなくて、例の有事関連のときにどうやって国を守っていくかというインフラとしても当然国のグランドデザインとして考えなきゃいけないことではないか。

 もう一つ、時間軸ということで高速道路だけをとっても、昭和30年代から始まって、ずっと国の方針としてきちっと決めてきたものがあり、その時間軸の中であるところは先に進み、あるところは後になる。それが後になったというだけで違う扱いというものの、行政の公正性がどうかということを言ってきてるわけです。

 このことはもう決して私の20年間のマスコミ生活と10年間の知事生活を振り返ってバランス感覚で考えてみても間違いではないし、十分常識にかなった意見だろうと思います。

 ところがこの中間整理というものを見てみると、もう最初からこれは公共事業やなんかを含めた抜本的な構造改革を目指すために議論してるのではなくて、法人改革の一環として位置づけるんですよと、もう最初からみずから言い切っておられるわけです。

 しかもその中でも、去年の12月に民営化ということが決まったんだから、その手続と手順を決めるための委員会ですよと、こう言っておられるので、もう全くよって立つ視点が違うということが言えると思います。ですからあんまりこのことにとらわれて、きちっと意見を申し上げることは必要ですけれども、このことにとらわれて細かい議論に入っていく意味があるかなということを痛感をします。

 これをずっと読んでいっても、何か意味合いがあるというのは、凍結・規格の見直しも含む再検討という表現ぐらいだろうと思います。このうちもう見直しということは、規格の見直しなんかはこれまでも地方からどんどん実践をしてることですし、また国に対しても話をしていることで、その二番せんじにすぎません。

 ほか見ても、何ら目新しさというもの、また構造改革ということにふさわしいような抜本的な視点というのは何ら僕はないと思います。少し言い過ぎかもしれませんけれども、郵政改革がヤマト運輸も乗っかってこないというふうな状況になるときに有事関連法案という、私は目くらましだと思いますが、目くらましの法案が出てきた。

 今回もこの中間整理が出てきたけれども、言われるほどのもんじゃないじゃないかという目くらましに私は北朝鮮の話が出てきてるんじゃないかなと、これは言い過ぎですけれども、それぐらいの流れを感じます。

 そういう視点から見ると、あれだけ採算性、採算性ということが言われながら、政治的な配慮もあったでしょう。けれども、これを読めば、過去の路線として不採算路線でたまった債務をという表現の中で採算という言葉は出ますけれども、そのほかは採算性という言葉は出てきません。

 効率性と透明性と必要性という言葉しか出てこない。効率性と透明性はもう当然のことであるし、必要性も当然のことです。道路に関しても、必要性の乏しい道路をつくらないという表現であって、採算性の言葉が全然使われなくなってる。そこには政治的な配慮があるにしても、そこら辺のまやかしというのが余りにもひど過ぎるんではないかなということを自分は思いました。

 ということからすれば、さっきこの会が始まる前に梶原知事が言っておられましたけれども、自分たちの大所高所から立った正当性というのは何ら疑いのないとこだと思います。

 ただ次元が違うので、このことにかかわってどうだこうだと言って、道路族と知事がというような言われ方をする、また国民に対してマスコミを通じてのそういうプレゼンテーションがなされるということは決して僕はプラスではないと思いますので、もっと私たちの立場での違う提案ということをそろそろ考えていかなきゃいけないんじゃないかなということを考えると、僕はやっぱり道路というのは、高速であれ一般道であれ無料であるべきだということを思います。

 それは国際競争力ということからしてもそうですし、国民の利便性ということからしてもそうでしょう。ただ、この高速道路というものを高度経済成長の中で少しでも短い期間でつくっていこうということで編み出した民間の力も、民間というのは国民の力ですけど、

国民の力も借りてつくっていこうという仕組みが今の仕組みですから、それがそれこそ採算性の点で非常に債務をふやし、国民に負担を与えるというのであれば、これは全く別の視点でこの高速道を改めて、基本的にはやっぱり無料化をしていくような仕組み、これは新しい税制も必要かもしれません、そういうものを考えて提案をしていくという段階にそろそろ来たんではないかなというふうに思います。
 

(梶原知事)
 私、こういう問題が出てきたから、県民の皆さんからいろんな意見聞くんですが、知事なあ、高速道路を商売道具にしてもうけるのかと、アメリカなんかフリーウエーというのがばんばん走ってるぞと、フリーウエーとはどういう意味かおまえ知っとるかと、ただというこっちゃと、日本もただの高速道路をどんどんつくらないかんじゃないかと、方向間違っとるという意見が圧倒的に多いんですよ。

 高速道路を商売道具にするなんていうことは、およそ問題の入り口を間違えてるんじゃないかと思うんですよね。採算性というのはちょっと誤解されておって、本来この有料道路制というのは、もともと税金で道路をつくってただで使ってもらうという大原則、それが間に合わないから前倒しで借金でつくって、借金を返せる道路、そこを有料道路にしようじゃないか、こういうことにすぎないんですよ。

 採算性というのは、借金を返せるかどうかということなんですよ。もう企業の採算性とは全く違うんですよ。そこらを問題間違えちゃって、民営化とか、そういうところに走ってしまったんじゃないか。

 株式会社にしたらうまくいくかといったって、アメリカのエンロンから今の日本の大企業が不祥事、不始末やりからかして、トップがどんどん交代してる。株式会社にすりゃあすべて問題解決するなんていうこと自体が問題意識が間違ってる。そのもともとずれてるところの意見と我々とが同じような立場で論ずるということは、全くむだだと思うんですよ。

 だから橋本さんおっしゃるように、本来のこの原則に立ち返ってどうあるべきかということは、我々なりに、全国3,000万の票を、国会議員よりも50万票多いんですよ、我々は、総得票数、という責任ある立場なんで、この全国知事会の場で、あるいは有志の知事で現下の問題をどう解決するかという主体的な考えをまとめるということが本筋だと私は思います。
 

(増田知事)
 法人税も固定資産税も払わ・・・・
                 〔聴取不能〕
結局だからいずれにしてもこの中間報告は、こういうのは中間報告が取りまとめがあったなという事実はありますけれども、それにこれから逐一それをベースに反論するとかいうふうに取り扱うべき代物ではなくて、我々がこれからの地域のあり方を決める重要な要素、

これはひょっとしたら道路だけじゃなくて、道路につながる港湾だとか、もっとほかの要素もいろいろ考えていく必要があると思いますが、そういうものをどういう形で我々が提示をして、それをまたどういう形で国政というか、政府につきつけていくかということをやっぱりこの場でこれから考えていくということだと思うんですね。

 梶原知事さんみたいに鮮明に対決姿勢を出すという、これだけじゃなくて、すべてのことに、やり方もあるでしょうけど、そこはいろいろ議論あると思うんですが、いずれにしてもそのことにこれから我々の活動というのを重点移していくべきじゃないかと思います。
 

(梶原知事)
 これ直ちに対決しようということじゃないですよ。なんかへりくだって意見を反映させてくれというような、もう事態ではないということなんです。だから将来的には、近い将来かもしれんけれども、要するに地方分権一括法で国と地方が対等だと法律で明記されたにもかかわらず、それは守られてないんですよ。

 国が法律守らないんなら、地方は地方でそれなりに心構えしなきゃいけない。このくらいの気持ちでいかないと、何かお願いして意見を述べさしてくれ、そんなあほなことやっとる状況じゃないんじゃない。ということですよ。今すぐ対決とか、ただでさえ忙しいのに、そんなことやっとれんよ。
 

(片山知事)
 私は、今度の一連の流れ見てまして、やっぱり何か変だなという気がするんですね。といいますのは、公団改革というのは、これはやらなきゃいけないと思うんですね。道路公団の改革というのは、やっぱりやらなきゃいけない。これは道路公団だけじゃないんですね。政府の特殊機関、特殊法人とかいろんな機関について、やっぱりちゃんと情報公開をして、透明性を確保して、それで説明責任を果たしてもらうようにする、これはもう当然のことだと思うんですね。

 我々自治体の方が進んでるんですね、やってますから。その当たり前のことをあたかも何か大ごとのように書くこと自体が私はもう今、日本国政府がかなり病んでいる、病理現象に陥っていることの一つのあらわれじゃないかなと思うんですね。そのときに公団が非常に非効率になって、ファミリー企業の問題とかで腐敗に近いものがある。

 こういうことはもうぜひ早く直さなきゃいけないですね。そのときにこんななってしまった、もし猪瀬さんの言うような事態になってるとすれば、こんななってしまったのはどこに原因があるのかということをちゃんと見きわめなきゃいけないと思うんですよ。

 それは例えば毎年、これ財投をつぎ込んでますから、一応予算編成の中では吟味があるはずなんですね。それから国会で審議されてるはずなんですね。ところが実態は何もされてなかったということのようなんです。それからあとは人事できちっと政府が公団の人事もやってるはずですから、ちゃんと法人を切り盛りできる人を選んで監視していけばこんなことになってない。

 要は政府に特殊法人を管理する能力がなかったということなんですけども、そこのところの責任論なんてのは全く飛んでしまっていて、何か地方がおねだりばっかりして、公団が肥大化してルーズになったというような論調になってるのは、私はこれは責任逃れと責任転嫁だと思うんですね。

 やっぱりまず公団がこんなに悪くなったというんならば、責任が誰にあったのかという、その監督官庁、それから政府全体としてどうだったのかということをまず反省すべきだと思うんですね。それが第1です。

 それからその公団改革しなきゃいけない、これはぜひ政府の責任で私やってもらいたいと思うんですけども、その際に公団の改革を論ずるところから、先ほどもどなたか言われましたけども、本来の目的である高速道路まで否定するような議論になってしまってるところは、それはやっぱり論理のすりかえだし、それから論理が超越してしまってると思うんですね。

 例えて言えば、今外務省改革というのは、これ大切ですよね。これも政府がだらしがないからこんなことになってんですけども、外務省改革が急務であります。その外務省を改革するときに、例えばじゃあ外務省民営化してしまおうかというような議論は、これ論外ですね。

 さすが外務省までは民営化しようとは言わないんでしょうけども、その外務省改革のときに外務省が能力なくなったから外務省のできる範囲でだけ外交しよう、もう外交やめてしまおうとか、外務省のたえられる範囲内だけで外交しようと言ったら、これ笑いぐさですよね。

 だけど実は道路公団の問題と高速道路の問題というのは同じようなことが行われてるわけですね。道路公団を改革する、この必要なことだけども、その道路公団のできる、新しい会社で背負える範囲内だけで高速道路を担っていこうというのは本末転倒の議論なんですね。

 ですから例えていえば、外務省の能力の範囲内だけで外交をやっていきましょうという論理と同じなんで、何かやっぱりまやかしというか、変なことがあるんで、本末転倒じゃなくって、そもそも外交はこうあるべきで、そのために外務省はかくあらねばならないという議論をしなきゃいけないのと同じで、

高速道路は日本としてこれだけ必要、不要なものは要りませんけど、必要なものはこれだけだと。それをどういう手法でやっていくのか。そのために道路公団とかその他の機関はどういう役割を果たすのかという逆転、本筋からの議論をしなきゃいけないと私は思います。

 それから梶原知事さんが地方分権の話しされましたけど、私も全く同感であります。国と地方が対等になったと分権推進一括法に書いてあるんですね。ですけども今回の一連の事件を見ても、それから有事法制を見ても、それから個人情報の保護の法案見ても、とても対等の中で作業が行われるとは思いませんね。

 やっぱり国が一方的にいろんなことをやってる。その最たるものが、この高速道路の問題だろうと思うんです。非常に国は、私はわかるんです、せっぱ詰まった状況にあるというのは。財政は大変ですし、公団がこんな状態になって早く何とかしなきゃいけないというのはわかるんですけども、だからといって我さえよければではいけないと思うんですね。

 やっぱり国の行政改革というものが地方にも大きな影響を与えるわけですから、その大きな影響を及ぼす地方の意見もちゃんと聞きながら、地方の立場も配慮しながらやらなきゃいけない。ところが我さえよければで、自分だけさっさと何か庭先を身ぎれいにするような、そういう態度が最近すごく目立ちますね。国立大学の改革もそうですし、この高速道路の問題もそうだと思うんです。

 といいますのは、何か一方的に地方が道路公団を通じて高速道路をどんどんつくれつくれと圧力かけてるみたいに言われますけどね、私は全国のことは知りませんけど、自分の鳥取県の今話題になってるこの公団改革で問題になる鳥取道というのは、中国縦貫から鳥取までの、全体で60キロぐらいですけどもね、そこのところなんかは役割分担してるわけです。分業してるわけです。

 全部をもう道路公団にお願いします、我々一銭も何もしませんというんじゃないんですね。早くするために一番工事の時間のかかるトンネルの多いところですね、岡山県境、岡山県と鳥取県の県境のとこですけど、そこは公団から部分的に切り離して、工事の手法を変えて、県がかなり金を出してもうやってるんですね。部分的にはそこはもう完成してるわけです。

 ですから何でもかんでも全部道路公団に押しつけてるわけじゃないんですね。我々もちゃんと部分的にきちっと自分たちの役割分担やってるし、それから道路公団の役割分担のとこですら用地買収なんかはもう全面的に県が出て折衝して、説得をして用地買収してきてるわけですね。

 そういうことでスタートしてるのに、ある日突然凍結だとかやめるとかという話になったら、じゃあ我々が部分的に先行して投資した分はどうなるんですかとか、それから道路公団の代理人として地元の皆さんを説得したり折衝したりしたそのことによって土地が動いたりしてるのをどうするんですかとか、そんなこと全く考慮しないで一抜けたというようなことでは、やっぱり国としての責任を私は果たしたことにならないだろうと思います。

 それから地方分権との関係でいえば、橋本知事も言われましたけども、法人税のことはともかくとして固定資産税なんかはこれれっきとした地方税なんですけどね、こんなものも勝手に非課税ないし大幅に減免とかいって勝手に書いて、とても対等という意識があるとは思えないですね。

 人が課税する税金を勝手に自分らの公団改革のために非課税にするとよく言えたもんだと思うんですね。そんなことが地方分権の世の中で許されるはずがないんですけども、そういう地方分権の意識のない人たちばっかりでこの議論をしてるから、やっぱり地方の視点というものが欠落するんだろうなというふうに思いました。

 ですからそれやこれやありますんで、やはりきちっと私は、政府が地方と対話をするという、そういう意識を持ってもらわなきゃいけないと思います。

 それは単に民営化推進委員会の皆さんが地方行脚して自分たちが決めたものを説明して一応聞いた格好だけにするという、そういう儀式を今度やられようとしてますけどね、そんなんじゃなくって、本当に政策責任者である政府、要路の人たちがちゃんと地方分権の立場認識して、地方と対話をするという、そういう意識をぜひ持ってもらわなきゃいけないと私は思いますね。
 

(木村知事)
 もう本当に今の皆さんの意見に賛成なんだけど、今、片山君が言ったように、地方公共団体は高速道路については何も負担してないというのがもう主要な論調になってるんだけど、本当に用地交渉なんてのははっきりいえば一番大変な仕事で、これはもう全部県がやってるわけですよ。

 地元の市町村もやってるわけだけど、だからそういうふうなこともやっぱり考えてもらいたいし、それから今は収支を何年間かで償わせるというようなことばっかり中心になってるけど、この財政主導主義で物事を考えていくということが、この長期の不況というふうなものにつながっていってる面があるということの真剣な反省が要ると思うんですよね。

 それで国の場合は一応均衡予算主義だから、原則としては借金をして道をつくるという発想はないわけなんだけども、その抜け道というか、別の方法でやっぱり道路というのは物すごく大事なもんだから、借金をして、それでつくって、それを長期的に返していこうという、ある意味では知恵が働いてきた制度でもあるわけです。

 その働かし方の中で下手なところがあったことは間違いないんだけど、だけどそれをやめにして直轄事業にして現年主義でやっていくということになったら、これは地方公共団体も負担をしてということで、耳ざわりはいいんだけど、何かといえばもう長いことかけていつまでたってもできない道路をやりますというふうなことを言ってると変わらないんですよね。

 そうすると今、中国なんかどんどんどんどん発展、別に中国を特にそんな脅威視してあれするのはよくない発想かもしれないけども、だけどそういうことだってやっぱり日本だけが世界にあるわけじゃないんだから、やはりよそとの並びで物を考えていく中で、そういうふうなもう財政均衡主義だけに立って物を考えていくというのは非常に危険なことで、やはり長期の景気変動もある社会経済状況の中でこの高速道路みたいなものをどんな形で負担してつくっていくかというふうな大きな観点ということもやっぱり取り入れていかないといかん。非常に近視眼的な今見方がされてるような気がします。

 それからもう1点は、これはちょっとエゴになるかもしれないんだけど、今JR、国鉄の改革を非常に範として物事を考えるような風潮が強いんだけども、国鉄の地方路線とかそういうのはある意味では役割を終えたということで改革した面はあるんだけど、それでもやはりその後いろんなことを調べてみると、例えば和歌山県でもサービス水準は物すごく落ちてるんでよ、この民営化したことによって。

 それでこれは一つ、民営化して非常にうまくいってるという面のプラス面も僕は評価するけれども、だけど確かに地方のサービス水準が落ちてるということはある。ところがこれを同じく道路でやられると、鉄道はさっき言ったようにある意味では道路に代替していった、車に代替していったわけだから逃げ道があったわけだけど、今度道路でそれやられると、本当に根本的な地方の衰亡につながるおそれなしとしないんですね。

 それで今はっきり言って、地方分権とかいうふうなことの中で交付税と補助金と、それから税源の移讓というの三位一体で考えるというような話が言われてるけれども、いずれにせよその地方分権ということを本当に考えながらの構造改革なんであったら、やはりその地方がある程度、すべて僕は自立できるとはなかなか思いません、そら都市部もあれば地方もあるわけだから。

 だけどできるだけそういう足腰が強くなるような、そして発展の芽を摘まないような形での支援をしようというふうな視点というものが大事なのに、これはさっき片山君が言ったように、もう目の前、自分とこの家の前にあるちりを払って、それで自分とこの借金はあんまりふえませんでした、割ときれいになりました。

 だけど地方の方は例えば借金がふえました。これは同じことだ、統治機構の中で国というものもあり地方公共団体というものもあるわけだから。それでこっちのほっぺたが痛くなくなったからこっちが楽になったというやなこと言っとる。だけど全体の体から見れば同じことなんですよね。だからそういうふうな発想、やはりそれから地方のサービス水準を余りばかにしないように物を考えるというふうな視点も僕、物すごく大事だと思うんですね。
 

(増田知事)
 うちも花巻から釜石までの横断道が今この問題にかかわってるんですが、やっぱり途中は国も直轄代行で、全部公団がやるんじゃなくて、直轄代行でかなりの部分やってますし、我々も当然負担金払って、直轄負担金かなり高く払ってそういってやってるし、やっぱり三者それぞれ役割分担のとこでやってるんで、高速道路は全く地方の負担がありません、だから地方はおねだりするだけですというのは、やっぱり具体的に見ていけばそれなりの、いわゆるAダッシュ路線とか、そういう形で整理してますので、それだけで見ていくというのはおかしいですね。
 

(橋本知事)
 それはうちもそうなんです。Aダッシュでやっといて、後で高速が延びたときくっつけていくというのはやってますけども、要はそういう技術論というか、細かいことに入っていって、地方もやってますよというと、じゃあそのパーセンテージは何ぼだというようなつまらん議論になってしまうので、あんまりそういうことに乗っかるというか、そういう議論、本来それは国民的議論で決めりゃいいんだけれども。
 

(増田知事)
 大きなところでね。
 

(橋本知事)
 本来全部国民の全体の負担でネットワークはしくべきだという大前提は僕はあってしかるべきだと思うんです。そうじゃないというのであれば、そこでまた比率を決めればいいので、財政も厳しくなったから、今後地方がどう負担していくかというのは法体系も変えてそれをやっていけばいい話で、それはまた別の技術論であって。
 

(増田知事)
 だから公団の組織論から、組織のおかしさから、それどうしようかという発想じゃなくて、やっぱり一番大きなとこから道路をどういうふうにつくっていくか、それについて国民の負担がどうあるべきかというところで押さえていかないとだめですし、第三者委員会のメンバーは、だから今、片山さんや、それから木村さん言ったけれども、やっぱり地方分権については責任持ってる人たちでは全然ないんで、もう民間人です。

 ただその観点だけから議論してる人たちだけだから、やっぱり地方分権一括法を政府として決めて、対等協力でこれから議論を進めていきましょうというふうに決めたときに、それを具体的にやっぱり政府として地方分権をどう進めるかという観点でやっぱりこの問題も取り組んでいく、そういう視点が必要だと思います。
 

(橋本知事)
 僕も20年マスコミにいたので、マスコミの感覚でいえば、地方分権の中でのあり方がどうかとか、本来国のグランドデザインがどうかということはあんまりおもしろい話ではないわけですよね。そうじゃなくて、地方がおねだりしてというのに対して、地方も用地買収もやってますよ、Aダッシュ路線もやってますよという反論が出た。これに対してどうかというような議論だけになっていくわけです、自分のマスコミにいた感覚でいえば。
 

(梶原知事)
 橋本さん、マスコミ担当。もう決まりや、まずな。
 それから木村さんが言われた国鉄で成功したという話はとんでもない話で、JRになってとにかく株主に対する責任ということを常に言われるんですよ。つまりまさに株式会社の利潤追求というところが、それが株式会社の本質なんだけども、それじゃあユーザーはどうかと、あるいは地域の住民はどうかという点が国鉄時代に比べて非常に希薄になりました。

 そういうことがいいとか悪いとかいうことは別にして、道路で同じようなことになったら、これ大変なことですよ。道路のユーザーだとか地域だとか国のことは二の次だ、利潤追求だということで、最も基礎的な社会資本をそういう扱いをするということは大問題であって、国鉄でうまくいったとかいかなかったとか、そんなことは今回も論議の対象外ですよ。もともとそれも比較すること自体が間違いである。
 

(片山知事)
 私も、今回の道路公団の改革なるものがJR、国鉄民営化のスキームをかなり参考にされてるんですけどもね、何か柳の下に2匹目のドジョウはいなんじゃないかなという気がするんですね。といいますのは、JR民営化していいこともあると思うんです、随分。

 やっぱりマナーよくなったり規律がよくなったり、きびきびしてきましたから、そういう面はすごく評価してますけども、じゃあ国民の足としての鉄道という役割がどうかというと、今、梶原知事さん言われたようにちょっとフットワーク悪くなったなという気がするんですね。

 我々のところはドル箱の新幹線がありますから、やっぱり新幹線依存になるんですね。ドル箱依存体質になって、ドル箱以外のところには極めて消極的になります。ですから将来を見越した先行投資だとか改良だとか、そういうことはもうほとんど行われません。

 じゃあどうなるかというと、私のところも、それから隣の島根県もそうなんですけども、改良してもらおうと思うとほとんど地元負担するわけですね。そうして投資をしてもらってというか、自分たちが金出して投資をしてもらって多少改良する、こういうことになるんですね。ですから公共性というものが極めて薄くなる、そういうことはもう覚悟しておかなきゃいけないですね。

 それから民営化したから競争原理が働くかというと、JRの場合は競争原理は働きません。というのは第2山陰本線をつくろうなんて企業はありませんから、ですから鉄道だけでいうともう独占のままですね。あえて競争原理が働くとすれば、例えば新幹線と飛行機とか、そういう他の異業種との間の競争原理は働くかもしれませんけども、鉄道だけでいうと一切働きません。

 これは道路公団だって一緒だと思うんですよ。道路公団民営化して競争原理だといっても、亀井さんよく言われますけども、松本に行く人は東名は通らない、こう言われてますけど、そのとおりだと思うんですよね。それからじゃあその第2東名が今問題になってますけど、例えば第3東名を民間がつくるかって、つくりませんから、相変わらずやっぱり独占状態続くわけですね。

 ですから民営化したから競争原理が働くというもんでもない。ですから民営化についても何か既定路線のようになってますけども、やっぱりちょっと本当に民営化の功罪というのを考えた方がいいと私は思うんですね。

 例えば今郵貯の民営化しようとしてますけども、銀行は民間企業ですけど、その銀行しゃんとしてますかというと、してませんね。何でしてないのかというと、やっぱりそれは銀行にも問題あるけども、銀行行政に問題があったと思うんですよ。だからやっぱり中央政府の問題なんですね。

 本当は公団の問題もそうですし、中央政府が本当に改革をしなきゃいけない、それが本当の構造改革だと思うんですね。中央政府の改革をしないで特殊法人改革を一生懸命やって公団の改革やっても、あんまり変わらないんじゃないかなという気がするんですね。だから民営化の問題も本当はもっと本質的なとこから議論しなきゃいけないし、JRの国鉄改革になぞられた改革が本当にいいのかどうかというのは、もうちょっと点検してみる必要があると思いますね。
 

(木村知事)
 ちょっとくどくなるんですけども、やはり今いろんなこと、例えば地方公共団体もバブルのときに土地造成をしたものが売れなくなって大変困ってる。和歌山県でも困ってるのはあるんです。

 だけどね、それを支出するには、まず一つは、例えばそれにかかわっている人を減らしたり、いろんな経費を減らす、それからいろんなところに買ってくれるような仕組みとか、それからいろんな処分の仕方を考える、こういうふうなことは当然やらないといかんことで、現にやっていることなんだけれども、だけどやはりそのことによってすべての債務というか、借金が棒引きになるというふうな仕組みというのはないんですよね。

 それでその中で我々は努力してるわけです。それで今この道路公団の改革の中で言われてるのは、その借金を全部チャラにしてしまおうというのを、一番厳しい時代に物を考えていくということなんだけども、僕はやはり今は日本の国に勢いを取り戻すときだと思うんですね。

 勢いを取り戻すときに、勢いをそぐようなことばっかりやっていく。よく言われるアクセルを踏みながらブレーキも踏むということ、これもう言い古された言葉だけど、また同じ轍をこの問題でも踏もうとしてるんじゃないかという感じがするんだな。

 だから今の道路公団のあり方とか、いろんなむだとか、こういうことを見直すことは僕らも拍手喝采ですわ。それは思い切りやってくださいということなんだけど、それと高速道路をどうしていくかということを、今の景気の悪い中で借金は何とかチャラにしないといかんということを考えていくということ自体実際無理があって、繰り返しになるけど、大きな景気変動の中で物事を考えていく。

 ある意味では、こんなことは言ったらいかんだけど、超インフラになれば借金というのは軽くなるわけだし、それから今道路の料金のこと言ってるけども、上げませんと言ってるけど、これどんどんどんどんインフレになれば、今のままでどんどん下がっていくわけだし、とにかく経済の中では、経済は生き物の中で何か政体的も物を考えるというふうな感じのことがちょっと横行してて、それでこのことについては非常にこれは大きな意味がありそうなんでね、非常に危惧してるんです、僕はその点。
 

(梶原知事)
 これから本格的に論議する場合に、道路財源の問題はぜひみんなで検討したいと思うんです。国レベルでは、道路ユーザーの負担である道路特定財源でほとんど賄ってるわけですよね。国の事業というのは、100年、200年持つ、次世代ずっと負担してもいい、そういう設備投資なんですよね。

 その金を現在のユーザーの負担で全部やってきてるということですね。建設国債のお世話にもなってないですね。国家財政の上では、もう模範生なんですよ。我々がガソリンスタンドで料金の半分ぐらい払って道路つくってきたわけですね、国のレベルでは。

 しかし一方、我々は県レベルでいくと、特定財源の4倍の一般財源、起債を投入してる。岐阜県の市町村の例でいえば、5倍の一般財源、起債を投入してる。このアンバランスを是正しないといけないと思うんですよ。安直に国が道路特定財源に依存したために、建設国債も活用しなかった。

 それで財源の制約があって道路公団に対する税金の投入も十分じゃない、こういう構造的な問題もあったと思うんですね。そういうことやらなければ、道路特定財源は地方に回してもらいたいと思うんですよね。全部国だけが道路特定財源で仕事してる、この不自然な姿はぜひこの機会に変えていかなきゃいけない。

 地方がどうだこうだと言うけども、国が全部、ほとんど道路特定財源、このガソリン税等吸い上げといて、地方は負担しとらんじゃないかと、そういうことは先ほどの地方が何をやってるかということに関係して基本的な問題として論じてもらわなきゃいけない。これは橋本さんええでしょう、マスコミの向きにも、この問題はね。
 

(橋本知事)
 マスコミ的にいえば、それだったらなぜ役所におられたときにそれを発言されなかったのかという言い方をされます。
 

(増田知事)
 大分大昔の話なんでね、事情は今と大分違うと思う。やっぱりでもあれですよ、道路財源なんかもそうなんですがね、やっぱりすべて中央なんですよね、国なんですよね。国が全部集めて、それで自分たちの、地方の道路事情は全く考慮に入れてないから、やっぱりそこが一番問題だと思いますね。

 少し余ったから、もうじゃあ一般財源化にしようって、余ったのはそれまた国がどっかで決めて別なとこ使う、こういう発想で、全くすべて事情が理解されてない。だからまずどうやって地方にいろいろなもの動かしていくのか。

 それで地方が自己責任で、それ失敗するけど、それも地方がそれで失敗すればいいわけです。北川さんなんかよく言ってるけども、地方には失敗する自由さが与えられてないと言ってますが、やっぱりそこ、こういう中で直していかなければいけないと思うんですね。
 

(梶原知事)
 こっちに回してもらえば、地方が高速道路つくりますよ。金さえあればできるんだから。大したことないんだわ。
 

(片山知事)
 時間もそろそろ来ましたんで、ちょっと場所を反対側の方に移して声明と会見を

  「梶原知事 退席」

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〇記者会見
(司会)
 お待たせいたしました。それでは、ただいまから、これからの高速道路を考える地方委員会の記者会見を開催いたします。
 よろしいですか。それでは、共同記者会見を開催いたします。
 それでは、皆様にお配りしておりますけれども、これからの高速道路を考える地方委員会の共同声明を、私の方から代読さしていただきます。

〔共同声明文朗読〕

(司会)
 それでは、質問のございますところは、順次手を挙げてお願いいたします。
 

(日本経済新聞)
 日本経済新聞の弟子丸と申します。
 興味深く議論を拝聴しておりました。そこで、一つ質問なんですけれども、高速道路が必要だということはすごくよくわかりまして、その上でなんですけれども、今、国が決めている整備計画のキロ数ですね、それともう一つは今の規格、こうした現状維持のままで高速道路が必要だと考えておられるのか、または、それをまた違った形でという政策が具体的におありになるのか、そういった財源の問題などを含めて教えていただけますでしょうか。
 

(片山知事)
 我々は国の機関ではありませんので、私についてで言いますけど、9,342キロが全部が全部必要かどうかわかりません、それは。ですから、私は少なくとも今、地域エゴと受け取られるとちょっと困るんですけども、私が所管している鳥取県の道路公団が今工事をしている、続行している区間について、これを凍結とか中止とかされると困る。

 それについてちゃんと地域の実情をよくわかってくださいということを訴えているわけです。それは各県の知事さんも同じだろうと思うんですね。ですから、例えば国土交通省が9,342キロは絶対というのと、我々とはちょっと立場が違うんですけどね。

 それから、財源をどうするのか、これは重要だろうと思うんですね。今の議論は、さっきも出ましたけども、道路公団という枠の中だけで議論してまして、その道路公団が賄えるのは一体どこまでか、採算はどうかという、そういう議論で、私はそのベクトルが間違ってると思うんですね。

 道路公団はあくまで手段ですから、必要な高速道路をつくるために道路公団も活用する、そうでないところも活用するということがあっていいと思うんです。その際、じゃあ財源どうするんですかといえば、これは公共事業全体の中で見直しをして、その優先順位をつけるべきだと、優先劣後をつけるべきだと思うんですね。

 今はシーリングで、もうどの事業も大体シェアが決まっていて、ことしは2割増しまでいいよとかっていう、ちょっと多少は予算編成緩和してますけどもね、基本的にはシーリングなんですよ。これまでのシェアを基本的には乱さないような形でしかやってないんですね。

 本当は高速道路も含めた公共事業、いろんなジャンルが、分野がありますから、その中でこの際優先すべき分野、それからちょっともう落とす分野、後回しにする分野はあるはずですから、それらを再編成全体の中でダイナミックに議論をして、もうちょっと組みかえるべきだと思うんですね。

 それは公共事業全体だけじゃなくて、道路だけとってもそうなんです。道路でも高速道路もあるし、それから直轄でやってる国道もあるし、それから国道の中でも3けた国道といって県が管理しているのもあるし、県道もあるし、市町村道もあるし、農道もあるし、港湾道路もあるんですね。そういうものがまたやっぱりそれぞれシェアが決まってるんですよ。

 だけど、本当に道路だけとってみても、じゃあどの道路が一番優先しますかということをもうちょっと予算編成のときに議論すべきだと思うんですね。国にそういう予算編成の柔軟さを私はもう前から求めてるんですけど。
 

(橋本知事)
 規格のお話がございましたけれども、少なくとも私は、ほかの3人の方もそうだと思いますけれども、すべて今の片側2車線、4車線の規格でやる必要は全くないと思います。それぞれの地域事情によって2車線、片側1車線で十分だと思います。

 それから、工事の方法というか、工事にかかるお金をどう削っていくかということも、幾らでもその手法はあると思います。東大の森地先生なり、今、うちの高知工科大学の学長になっている岡村さんというコンクリートの専門家だとか、そういう人の知恵を集めれば、これはもう工事費を激減させることは容易だと思います。

 ただ、これは地方だけでできることではありませんので、そういうことをやはり国としてきちっと議論をされるべきではないかなというふうに思います。

 また、もう一つ、この工事費に絡んで、例えば発注の方法の話もこの中間整理の一番最後に出てまいります。ただ、そこで出てきてる表現が、もう既に民営化した後の発注方式のことを言っているのか、現状での発注方式のことを言っているのかわかりませんので何とも言えませんけれども、今のいわゆる公共事業の発注方式には会計法という大きな縛りがあります。

 私の個人的な意見としては、会計法というものを変えない限りは、今のその業界の体質というものも絶対変わっていかないだろうと思います。こういうところに僕はメスを入れていくのが本当の公共事業の抜本的な改革であって、もちろん公団の民営化というのは結構なことですし、公団の改革はどんどんなさればいいと思いますけれども、全体の議論がなくして、ごく一部分の議論が何か非常にヒーロー的な活躍に受けとめられてしまうところに、この国の、私は少しおかしさがあるんではないかと思います。
 

(木村知事)
 話が大体重複するんですけども、今、整備計画区間をどうするかというふうなことを先ほど御質問があったわけなんだけど、やはりね、この計画区間つくってから、また世の中がどんどん変わってきてるというふうな面があるから、そういうふうなことを見直しをするということは、僕はあってしかるべきだと思うんです。例えばダムだって、どんどんもう決まってたダムが見直しになったりしてるわけだから。

 ただ、今の時点では整備計画区間は、一応政府としてオーソライズされたものがあるわけだし、それを変えていくならば、やはり一つの委員会が収支のことだけで考えるんじゃなくて、大きく日本の国の中でどういうふうにしていくか、この世の中の変化の中でどういうふうにしていくかという議論をしていくべきであって、それについては我々は真摯に今どういうことだというふうなことを言っていくつもりもあるし、それから、構造なんかについても、そんな今までみたいな上等なものは要りませんと、これぐらいのところで十分我慢できますという話はしていかないといかんと思うんですよね。だから、ちょっとその出発点がまず違うと。

 それから、もう一つはね、今、道路特定財源をどうこうしようという問題があって、これも僕は考えていかないといかんと思うんだけど、先ほど梶原知事が言われたようにね、高速道路については本来、何世代もで負担していかないといかんというふうな面があるわけですよね。

 それを道路公団のプール方式と、借金をして利用料金で返していくという方式の中で、一部それを生かしている面があるわけです。だから、仮に直轄事業でやるんだったら、国債みたいなのを新たに投入するようにして、長期の世代にわたって負担していくような仕組みとか、根本的なやり方ということをやっぱり考えていかないといかんので、そんな株式会社にして道路でもうけましょうというふうな、そんな小さな矮小化された議論というのは、ちょっとこの問題には当たらないというふうなのがもう本当に我々の本当の感覚なんですよね、正直なところは。

 絶対(シキュウ)的に今まで決めたのは絶対変えたらいかんとか、どんなことがあってもこの道だけはとかいうような、そんなふうな議論をしているのではもう全然ないということをマスコミの方にもわかっていただきたいと、こういうふうに思いますけども。
 

(増田知事)
 重複してるんで、その点は全部省いて、一つだけ言うと、私はやっぱり、今決まってるものが、9,342というよりも、1万1,520キロが全体の体系になっています。さらに言えば1万4,000キロというのがありますが、少なくとも1万1,520キロの中でやっぱり、そこが決まってるやつですから、その中で議論すべきだというふうに思います。
 

(司会)
 そのほかございませんか。
 どうぞ。
 

(NHK)
 NHKの盛岡局から来ました加藤と申します。
 増田知事にちょっと伺いたいんですが、特に岩手の場合はすごい県土も広いですしね、まず高速道路ありきのそういう自治体なり県なりの、何かそういう長期計画とか町づくり計画っていうのも、これからそういう高速道路の建設ありきの、もうそういう自治体なりの計画というのも見直していかなければいけないのかなという指摘もあるんですが、やっぱり高速道路は必要ですか。
 

(増田知事)
 いきなりえらい基本的なことの話なんで、要は、言ったのは高速道路が必要だと。今、盛岡から来られたっていうお話ありましたんですが、岩手県民で全部あの全員、140万いますけれども、話を聞きますと、多分賛成の人もいるし反対の人もいると思います。これはどの地域でも高速道路は必要だという人もいるし、必要でないという人もいると思います。

 そういう中で、例えばさまざまな地域、どこもそうだと思いますし、私どもも、実は岩手県が四国四県とほぼ同じぐらいの面積がある中で、例えば道路ネットワークはどういう形がいいのか、それから港湾はどうがいいのかとか、それから下水道整備はどういうふうな形がいいのかということを県民の中でいろいろ議論をし、それからあと、今の段階では国との十分な整合をとらざるを得ないという、

むしろ国の計画が今までのあれでいうと、どうしても将来の条件として、与件として、それをかなり受け入れざるを得ないということもあるんですが、そういった国と地方の、地方の従属的な関係の中で、しかも国の年々の財政規模だとか、非常に不確定要素の多い中で我々が地域の計画を立てざるを得なかったという、非常に難しい選択の中で県民合意をとりつつ、今の計画をどこでも煮詰めてきたと思うんですよね。

 ですから、そういう中で一定の議論をなされてきてるものでありますので、それをどういうふうに変えていくかというときに、やっぱり地域と十分に話をして、それでこれからの本当に一番いいあり方というのはやっぱり考えていくべきだということで、そういうことで多分スタートしたんじゃないかなと思ってたら、

ところがどっこい、国の事情と、あるいは国の財布の懐ぐあいだけの議論になりそうな気がうんとするんで、これはむしろ第三者委員会というよりは、政府に対して、政府と我々のローカルガバメントの間の問題だというふうに私はとらえておりますけれども、

そしてあと、なおかつそのときに地方に非常に重要な、今までプラスの面、それからマイナスの面、いろいろな面で影響を及ぼしてきた公共事業のあり方、公共事業をどういうふうにこれから考えていくのかということを我々に投げかけている問題だろうというふうに思うんです。

 公共事業についても、国の改革はほとんど全く進んでません、私から見れば。モラルハザードを、補正予算などを随分やって起こしてきた中で、地方公共団体の中では幾つかのところでは公共事業改革をもう、そういったこととは別に真剣に取り組んでいるところがいろいろ多いわけですから、そういった経験も十分にやっぱり聞いていく必要があるだろうというふうに思うんです。

 そういう大きな流れの中でこの問題が提起されているんで、少なくとも私はこの問題をただ単にそこの、岩手県のその部分のどうのこうのとかいう形で、極めて狭い範囲でとらえるのはおかしいと思いますし、それから、少なくとも今まで60時間か70時間やってきたんだろうけども、やっぱりああいう労は多としながらも、ああいう議論じゃないやはり議論をしていかないと、やっぱり政府として問題だなということで、私はいろいろこの問題について問題提起しているつもりです。
 

(橋本知事)
 さっき梶原さんに、私、マスコミ担当だと言われたんで、今、御質問された記者さんに一言言いたいんですけれども、僕だったらそういう質問はしないし、僕がデスクだったら、そういう質問をすべきじゃないと言います。

 なぜかというと、今、あなたは高速道路ありきという考え方がおかしいという声もあるんですがという質問をしました。これを質問された側としては、そういうことをもし言った人が現実にいたとして、その方がどういう立場で、どういうところに問題点を感じたのかがわからなければ具体的な答えの仕方がありません。

 もしあなたが本当に聞かれたのであれば、それを自分の意見として、自分はこう思うんだけれどという僕は質問の仕方をすべきだと思うし、自分が記者の時代には必ず、ある人がこう言ってましたがどう思いますかという質問はしませんでしたし、デスクのときには、記者にはそういう質問のさせ方はしませんでした。これから僕は、そういう記者であってほしいと僕は思います。
 

(司会)
 そのほか、御質問はございませんか。
 どうぞ。
 

(日本海テレビ)
 済みません、山陰から来ました日本海テレビの前田と申します。
 まず1点、地方委員会として、こういうような形でお話は大変有意義だと思うんですが、今後なんですが、具体的な行動、アクションについて何か、共通的に何かありましたら1点お話伺いたいのと、あと、きょうの中で地方分権の考え方が非常に出まして、政府と地方との関係性がしっかりとした形の中で今回、どうもとらえられてないんじゃないかと。

 私もそう思いますが、その辺について、この地方委員会としてどういう形なのかわかりませんが、政府ないし、そういう何かの形でこの道路と地方分権、ちょっとそれに行っちゃうと、また話が広くなっちゃうと思うんですが、ただ、そこのとこの最初の視点のところで、地方と政府のあり方という面で何か、この委員会としての見解みたいなのがありましたら教えてください。以上です。
 

(片山知事)
 先ほどの議論の中にもあったと思いますが、とにかく今回の高速道路をめぐる議論というのは全く一方的なんですね、政府の方の。とにかく自分の庭先をきれいにしたいという、気持ちは非常にわかるんですけども、やっぱり我さえよければというんではいけないと思うんですね。

 ですから、我々としては中央政府に対してきちっと国土全体のことを考えてもらいたいし、それから、我々のそれぞれの地域の実情、それはさっきも言いましたけど一方的におねだりしてるとか、そういうんじゃない、本当に役割分担しながらしてきてるっていう、そういう実情もちゃんと見きわめて、その上で賢明な判断をしてもらいたい、このことを求めていかなきゃいけない、これが基本だと思うんです。

 そのためには、もはやこれは民営化の委員会の皆さんとの議論ではないと私は思いますんで、政府に対してきちっと受けとめてもらいたい、対話の場を要求したい、これを声明の中にも盛り込んだわけであります。したがって、今後はそういう場をちゃんとつくってもらいたい。

 これは我々6人、6県だけを受けとめてくださいという意味じゃないですよ、我々6県も含めた地方の声をちゃんと受けとめる場をつくってもらいたいということを政府に求めたいと思っています。

 それから、地方分権ということで言えば、もうさっきも議論出ましたけども、本当に法律は国がつくられたんですけど、地方分権推進一括法っていうのは。そこに書いてあることとか、そこににじんでる精神なんていうのはほとんどうかがえないんですね。国と地方は対等だと書いてますけど、対等だと思って仕事をしているとは思えないんですね。やっぱり内閣がちゃんと法律を守る、そういうことをあわせて訴えていきたいと思っています。
 

(橋本知事)
 国と地方の分権の関係というのは、もう今おっしゃったとおりだと思いますが、次のステップということで言えば、僕は、先ほどの話の中でも言いましたように、道路というのは高速であれ一般道であれ、基本的に無料であるべきだと。

 これは高度経済成長のときの手段として、今のプール制と有料道路制というものができてきたので、無料にするような知恵を僕はやっぱり考えていく、そのことを提案をすべきときに来ているのではないかなと。にもかかわらず、永久に有料だというようなことを言い、それがいろんな意見が(ナル)と中間整理の中で永久に有料制という言葉は使わないというように言いかえてみたり、そういう何か小手先の議論だけで済ませていくようなときではないんじゃないかなと。

 私はやっぱり高速道路も含めて無料化をしていくということに知恵を働かすべきときだと思います。そういういろんな民間の方でアイデアというか、考え方を示していらっしゃる方もおられますので、そういうものを活用して、自分たちなりに勉強して、早いうちに僕は何かの提案が出していければいいんじゃないかと。これは個人的な意見ですけども、そういうふうに思います。
 

(増田知事)
 私も、最終的に、今、橋本知事さんが言ったような無料化をこれから真剣にやっぱり考えていくべきだろうというふうに思っています。これは、これからこのメンバーの中でも、その問題については真剣にやっぱり議論しなければいけない大変大きなテーマだなというふうに思います。

 当然無料化ということになれば、どこかで負担をしなければいけないわけですから、負担をするのはだれかという話につながりますし、そのときに私はやっぱり道路のユーザーを原則に据えて、やっぱり負担を考えていくということを真剣に考えるべきだと思うんですが、

当然一番使っているのは、高速道路の場合には産業界ですけれども、そういった、その道路のユーザーを、どういうふうに正当な割合で負担をしてもらっていくような論議を組み立てていけるのか、そのときに通行料で取るような形になるのか、あるいは今の自動車重量税を初めとして、根拠のあいまいなものもありますし、法律に決められた道路財源の法律もありますけれども、

そのあたりの負担をどうするのか、あるいはまた別の手法で、橋本知事さん、今少し言われましたが、別の負担を新たに考えるとか、いずれにしても通行料にしても税にしても、その利用者の負担ということには変わりないんで、そこをどういうふうに仕組んでいくのか。

 そして、さらにもし足りない部分があるのか、あるいはコスト削減によって、それはそういった負担によってうまく賄えられるのか、そこの議論にやっぱりつなげていくべきなんで、繰り返しになりますが、公団の民営化というその手法ですね、組織の民営化みたいな手法からこの問題を考えるんじゃなくて、もっと大きな、そういうところから、やっぱりこの問題は考えていくべき話だなというふうに思いますが。
 

(日本海テレビ)
 今おっしゃられた各個人の、各知事の御意見はよくわかったんですが、これは皆さん、今おられる4人の方の共通的な意見ととらえて、地方委員会の考え方ととらえてよろしいですか。
 

(木村知事)
 大体考え方は皆同じような考え方だと思うんだけども、僕がちょっとつけ加えて言いたかったのはね、これは僕の個人的なあれかもしれないけど、今度のことは、ある意味では収支のことばっかり言われているんで、非常に困ったことではあるんだけども、だけどね、道路というものがこれだけ真剣に国民的な問題として俎上に上がって検討するような感じになったのは、僕は日本の国の道路行政が始まって以来のことだろうと思うんです。

 だから、大変な状況ではあるけど、このことがやっぱり先ほど来出てるような根本的な、高速道路も含めて日本の道路とかいうふうなもののあり方をどういうふうにしていくかということを考えることのきっかけみたいなことになってきたら、これはまた災い転じてと言ったら悪いけども、話がよくなってくる面もあるし、

それから、これとあわせて我々は、例えば道路を含む公共事業のあり方について、地方からいろんな基準、自分たちの本当に要求するような基準によって進めていこうということもあわせて今研究しているところなんで、こういうふうなトータルなことをやっぱり議論していくということが、本当の意味の開かれた行政であるし、構造改革になってくると思うんですよね。

 今までは少なくともこういうことはあんまり議論されてこなかったという面もあるわけだから、マイナス的な面もあるんだけど、そういうふうなちょっと積極的な面も、ある意味で僕自身はね、感じ取ってるところもあるということをちょっと最後につけ加えたいと思いますけど。
 

(司会)
 時間も迫っておりますので、あとお二人ということで、じゃあ先にどうぞ。
 

(NHK)
 NHKの加藤と申します。
 ちょっと2点お伺いしたいんですが、一つは、先ほどの議論の中でも道路公団というのは高速道路をつくるための手段であったというお話がありました。これまで高速道路をつくるための手段としては、我が国は道路公団の方式のみをほとんど主に採用してきたわけなんですけども、これからは、ここに財源の移譲の話も出ているように、手段として道路公団だけを用いるのではなくて、国が直接つくるとか、または地方もそれを一緒につくるとか、そういった手段を多く持つような見直しを行うべきだと、高速道路をつくるためにですね、というようなお考えなのかどうかということが1点です。

 もう一つは、高速道路、打ち出の小づちでどんどん財源があればいいんですけども、そうじゃないということで、40兆の負債ができてしまったというのがそもそも、この改革の出発点になってると思うんですけども、その辺の負債の返済について、どのようにすれば返せるのか、または返せると思っていらっしゃるのか、地方の負担という声もありますけども、その辺も含めてお伺いさせていただければと思います。 

 (増田知事、橋本知事 退席)

(片山知事)
 私は道路公団というのは手段だと思うんですね。といいますのは、本来、高速道路というのは国が、中央政府が責任を持って整備するというのが、これ基本だろうと思うんです。これは諸外国でもそうですし、我が国でもそうあるべきだと思うんですね。

 ところが、必要な高速道路を一挙に整備するだけの余裕が財源的にありませんでしたから、したがって借金をして、そして料金で回収しながら整備していきましょうという、そういう手法にして、そのために道路公団をつくったわけですね。

 今日、道路公団がちょっと機能不全に陥るとか非効率になってきた、で道路公団を改革しようと、これは当然だろうと思うんですね。ですけども、さっきも言いましたけど、その道路公団の賄える範囲内だけしか高速道路をつくらないというと、もう本末転倒になってしまうんですね。したがって、本来の原則に戻って、必要な高速道路をどういう手法で整備していくかという原点に立ち返って議論をすべきだろうと今思います。

 その際に、道路公団というものがどこまで使えるのか、それは今言われてますようにファミリー企業なんかをきちっと整序してコストダウンを図って、それからむだだと言われているいろんなグレードの高いような規格を見直しをする、4車線を2車線にする、そういうことも全部やって、その新生なった道路公団でどこまで賄えるか、これをまずやるべきだろうと思うんですね。それで今の大半の計画道路が賄えるんであれば、コストダウンして賄えるんであれば、それはそれで一番いいわけですね。

 それができないといったときに、はみ出たものをどうするかということでありますけども、そのままやめてしまうということじゃなくて、本当に必要ならばやらなきゃいけない。

 その際に、じゃあ原則に戻って国が自分の責任でその道路を整備するという手法があってもいいと思います。その際に、じゃあ財源どうするんですかといえば、国のレベルでは道路財源が一部余ってるということでしょうから、それをそこに優先的に余ってる分を充当して整備していくということもあっていいと思います。

 あと、じゃあその際に地方の負担はどうかということが一つ議論になるんですね。私はね、一般論としては地方負担あってもいいと思うんです、一般論としては。ですけども、経緯から言うと、本当に私のとこなんかそうなんですけども、ずうっと待っていたわけですよ、もうおとなしく、文句もそう言わずに。

 自分のとこで県民の皆さんが郵便貯金したものは当時、東名だとか名神だとかの方に投資されてるわけですよね。次に、一種の講みたいなもんですから、プール制っていうのは講みたいなもんですから、先にだれかが使って、後でこっちに戻ってくるなと思ったときに、はい、あなた方は地方負担ですよと言われると、それはすごくせつないわけですよね、不公正だと思うんですね。

 ですから、例えば2巡目のところなんかはともかく、1巡目のとこまで取るというのはね、これは幾ら何でもあこぎじゃないですかと思いますから、そういうきめ細かい仕分けは必要だろうと思います。

 それから、負債の話はね、これは非常に重要だと思います。やっぱり我が国自体が持続可能な国家でないといけないですから、中央政府の、中央と地方との700兆円近い借金をどうするかっていうこともありますし、それから当面の道路関係四公団の40兆円をどうするかって、これ重要な問題だと思います。

 ですけどもね、一つ我々気になってますのはね、例えば四国に3本橋がかかった。橋本さんおられなくなりましたけど、四国に3本橋かかったと。その債務をどうするかというときに、日本道路公団の債務と一緒にしてしまってね、債務のプール制にして、四国の方の債務を返すために本州の方の我々のところが何か、また犠牲になるというのは、これすごくね、やっぱり耐えられないんですね。

 もともと本四公団と道路公団っていうのは経営は分離して、別々の経営形態でやってきたわけですから、そこのところをごっちゃにしないようにしてもらいたい。本四公団が破綻するんであれば、その破綻はやっぱりなぜそうなったのかという責任をきちっと明らかにして、その上でどうするかということを破綻処理の過程を通じて考えるべきだと思うんですね。安易に道路公団の方からその料金収入を回すというようなことを、これはしない方が私はいいと思います。

 道路公団の方が、じゃあどうなのかというと、さっき言いましたように、本当にスリム化して効率化して、さてどこまで債務が返済できるかという、そういう仕分けをした考え方をすべきだと思います。この辺はちょっと中四国でも瀬戸内海沿岸の人とかとちょっと違うかもしれませんけどね、私は自分の立場から言えば、そう思います。
 

(司会)
 済みません、時間がもう、最後に……。
 

(木村知事)
 ちょっと待って。今の債務の問題というのは、僕は物すごい大事だと。それを物すごく民営化委員会の人は言われるんだけども、僕はね、この債務もあわせて、国、地方を通ずる700兆円という借金をどうするかということの中で考えていくべきものだという考え方なんですよね。

 必要でないようなものは、もちろん公共事業の中でダムにしろ何にしろやめていけばいいわけで、そのこととの絡みの中で高速道路の借金をどうするかというふうに考えるので、そこだけ切り離して、何かもうこれから何年かの間に全部きれいにしますというふうな発想はそもそも違うと思う。

 もともとは全部返して無料にするということが前提にはなってるんだけども、そこは大人の知恵でみんなが払ってくれている利用料金をあわせながら、長期的に返していくというふうな仕組みが今、その分についてはできてるわけだから、だからやっぱりそれをもうやめにして、今までの借金だけを取り上げて、この分が残ってて、700兆円とは別枠でありますから、これだけ何か別の処理をしましょうという考え方はね、全部の公共事業のトータルな体系の中では、僕はおかしいと思うんですよね。

 だから、本当に高速道が要らないんだったら、その700兆円の中で議論をすべきだと、こういうふうな考え方なんです。そこだけ取り出して株式会社にしようとかいうような話は、もう全く本末転倒というふうな感じがします。
 

(司会)
 済みません、もう時間が、あと二、三分しかないんですけども、質問と回答とで二、三分ぐらいで可能でしょうか。さっき手を挙げられた方。
 

(記者)  ちょっと先ほどの質問とも関連するんですが、どうも議論が食い違ってると思うんですが、民営化委員会の方は、今のスキームはもう限界だと、40兆円来てると。今までのやり方では借金がたまる一方で、50年かけるのは非常に不確定だと。これをどうにかしようというところで、残りの部分はそれこそ地方と国が決めるべきだと。

 我々が手を出すところではないと、そういう議論の分け方だと思うんですね。地方が本当に必要かどうかというのは、地方の政治家なり知事の方がグランドデザインで決めてくれと。今ある40兆円をどうしようかと、このスキームが限界だという認識からスタートしているんで、今のお話だと、ちょっとかなり食い違ってる。

 スタートが40兆円、もう限界だよというところが食い違ってて、それ以外は我々の分野ではないと、むしろお任せしますよという、そういう認識だと思うんですよね。

 そういう意味で、ちょっと議論が、逆に国が、民営化委員会が暴走してるみたいな話は、ちょっとおかしいんではないかという気がするのと、グランドデザインの話を盛んに言われましたが、逆に私は地方の今の知事会、今のそれぞれ知事の中でもお立場は違うと思いますが、知事の方はそれぞれの地方の意見があるわけであって、それぞれの地方の政治家の意見を聞いてきた結果、今まで四国の話とか、いろんな不採算のものができてしまったわけですね。

 逆にそのグランドデザインを今まで決めるときに、地方の責任はなかったのかと。今は地方の言われるように任していいのかという疑問も、今、民営化委員会で手をつけてないところですが、私としては非常に疑問に思うんですけれども、その2点の、その切り分け方、そもそも民営化委員会は、私たち責任がないからそちらで決めてくれという、私はある程度正しいと思うんですけども、そこがまず認識と違うんではないかという点と、グランドデザインを地方に任せろと言えるのかというところはどうでしょうか。
 

(片山知事)
 グランドデザインを地方に任せよとは言ってないんですよ。やっぱり国家として、中央政府として高い見識でグランドデザインが要るんじゃないでしょうかということを言ってるわけです。

 例えば私のとこだったら、今、本当に日本海を挟んで対岸との間の物流なんか、すごく盛んになってきたわけです。昔は裏日本って言われましたけれども、今はもう年率2けたで、私のところの境港っていうところの貿易量は伸びているんですね。これからもきっと伸びると思います。

 そういうのを見越して韓国でも中国でも日本海側に中央政府が、国家が高速道路を築いているわけです。そういう感覚を日本政府も持ってくださいと。そういう感覚でどこに本当に必要なのか、どこにどの程度の高速道路が必要なのかということを考えてくださいと言ってるわけです。

 ところが、今の民営化委員会というのは、そんな議論は全くありません。道路公団が採算とれるか、いい会社になるかどうか、それからパーツごとに小分けにして、この部分は収支が合うのか、賄えないのかっていう、そこでやろうとかやめようとか、それから場合によっては今までの工事の進捗率で、進んだところはやるけども、進まないところはやらないっていう、そういう実に機械的な視野の狭い議論しかしてないんですね。

 そうじゃなくて、本当に国家としてどこに必要なのかっていうことを考えてくださいと言ってるわけです。その際に、我々の意見も聞いてくださいということです。
 

(記者)
 その視野が狭いというのが、要するに我々の責任じゃないと。むしろ地方分権とか議論もあるから、我々が決められることじゃないから、それは国と地方の政治家が決めてくださいということで、今ある債務に限定するからそういう議論になっているわけで、そこが認識ちょっと違うところだと。
 

(片山知事)
 だからね、民営化推進委員会の人たちは、自分の与えられた範囲内で議論したらいいと思うんですよ。それを、あとはつくらないとか、つくるべきではないとかね、そんなことを言われるから変になるわけです。道路公団が新しい組織になって、持続可能になるためにはどうすればいいですよという案をね、そこだけ示されればいいと思うんです。

 そこで、道路公団、さっき言いましたようにね、今までの道路公団のやり方だったら、あと全部つくるのに何十兆円要ると、こういうことになってますけども、恐らくむだが相当あるはずですから、そこをぎゅうっと絞って、本当に効率的に必要最小限でやるとすれば果たして何兆円で済むのか、そうするとどこまでできるのか、まずそこをやるべきですよ。

 そこはちゃんとやりますと。やれないところを、じゃあ国家がどうやって責任持ってやる体制をつくるか。その議論は中央政府が、政府全体でしなきゃいけないですよね、民営化推進委員会の人たちじゃなくて。その際に、地方からお金を取るという意見が当然出てくるでしょうけども、そこは私が言いましたように、やっぱり2巡目と1巡目は違いますよっていう話を我々はするわけです。

 だから、もうちょっとね、民営化推進委員会に全部丸投げじゃなくて、高速道路の問題っていうのはもっと視野の広い、レベルの高いところで議論をすべきで、そのうちの道路公団の改革の問題だとか、透明性を確保する問題だとか、そういう問題はああいう専門家の方に任してもいいと思いますけどね、どうも大きな視野のところが全く欠落していて、道路公団の改革という、そこだけに絞られたところの人たちだけが大きくクローズアップされて、何かすべてを律していくような、そんな雰囲気が今のマスコミの報道の中にありますから、そこのところをやっぱり変えてもらいたいと思いますね。
 

(司会)
 それでは、時間が参りましたので、ここで記者会見を終わりたいと思います。どうも御苦労さまでした。


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