高知県園芸品販売推進大会での知事挨拶

公開日 2007年12月07日

更新日 2014年03月16日

高知県園芸品販売推進大会での知事挨拶

平成14年10月10日(県民体育館)

みなさま、こんにちは。本日は、大変お忙しいなかにも関わりませず、全国の取引会社の皆様方をはじめ、生産者また団体、更には多くの来賓の皆様方をお迎えをいたしまして、高知県園芸品販売推進大会がこのように盛大に開催できますことを大変嬉しく思います。

 また、全国の取引会社の皆様方には、日頃から本県の園芸品の販売並びに市場の情報の提供という面で、格段のご支援をいただいておりますことに心から感謝申し上げたいと思います。

 さて、既に皆様方にもご案内していますように、今年は高知県園芸連が設立されて八十周年という記念すべき年、大きな節目の年でございますけれども、園芸農業を取り巻く環境は、ここ数年大きく変わってきております。

 まず、市場におきましては、卸売会社の統合、ということが現実の課題として進んできておりますし、あわせて全国の卸売会社、およそ40%が赤字、ということを伺いますと、今後とも統廃合はますます進んでいくのではないかと思います。

 また、委託手数料の自由化の方向に進んでいるということを伺いますと、近い将来、『産地が選ばれる、選択をされる時代』がやってこざるをえないということを思います。

それと同時に、市場の取引も「せり」から「相対」、と大きく変化をし、量販店が価格の形成に大きな力を持つ時代になりましたし、また、輸入農産物の増加ということもありまして、これからも野菜の価格の上昇は望めない状況にあるのではないか、と思っております。

 このような中、産地として生き残ってまいりますためには、並大抵の努力ではすまない、そのことをぜひ大会にお集まりの多くの方々に、共通の認識 としてもっていただきたいと思います。

 ただ、そうは言いましても、高知県の園芸農業に未来がないわけでもありませんし、決してそうしてはいけないと思います。ですから、実質的な丸高の体制は平成12年3月に事実上幕を閉じておりますけれども、本県にとりまして園芸農業が基幹産業だ、という位置付けはその後も全く変わっておりません。

 このため、平成12年度からは、戦略会議、というかたちで、農業者、生産者の団体、県が同じテーブルについて、この難局をどう立て直していくか、そうした様々な取り組みに全力で力を入れてまいりました。

 こうした中、平成15園芸年度からは、園芸連におかれまして、事故処理の手続きの簡素化が実現いたしましたし、また、来年度は、県と農協がチームを作りまして生産者の営農の指導をしていく、また、各農協が目標をたてて、ナスなどの系統出荷の比率の向上に努めていく、こんな目標も次々と決定しております。

 併せて、最近大きな社会問題でありました無登録の農薬のことにつきましても、いち早く県と農協が協議をし、それぞれの役割分担のもとで残留農薬の検査をしていく、また、その結果を公表していく、ということを、全国に先駆けて決定し、実行に移しております。

 このような様々な取り組みを着実に進めていくことが、この難しい時代を 乗り切り、明日を切り開いていく大きな糧になる、一歩になるのではないか、と思いますが、まだまだそれだけでは足りない、より一層の努力が求められているのではないか、と感じています。

 という視点から二つのことを申し上げさせていただきたいと思いますが、一つは園芸連の販売戦略の見直しということでございます。

 と言いますのも、この6月から従来の委託販売だけでなく、買付集荷、また量販店や外食産業との契約取引に対しましても価格安定制度が使えるように、その対象となりました。

 このことは、園芸連にとりまして、従来であれば生産者のリスクということから委託販売の選択肢しか選べなかったものが、これからは生産者のリスクを低減するという意味で、買付集荷、契約取引を含めて、選択肢が広がったということになります。

 ぜひ、そのように制度の改編というものを、これをビジネスチャンスと捉えて新しい販売戦略を立てていただきたいと思いますし、それと同時に従来の共同計算方式、共計の方式というものが、作られた生産者の顔が見たいという消費者の方のニーズ、栽培の履歴を公開してほしいという消費者のニーズに十分対応できているものかどうか、このようなこともぜひとも御検討願いたいと思うのです。

 もう一つは、園芸王国という意識をそろそろ払拭しなければいけないのではないかということでございます。
 と言いますのも、先ほど申し上げました様々な事情、また、競合産地の攻勢も非常に厳しくなってきております。そのときに、ただ園芸王国だからと胸を張っているだけで、この難局を乗り切れるわけはございません。

 といって、もちろんその誇りを捨てよ、ということを申し上げているのではなく、ただ単に園芸王国だからといって『作れば売れるという意識はぜひ捨てていただいて、生産者本意のものの考え方ではなく、消費者が何を求めておられるか、消費者のニーズは何か、というところから考え、動かないとやっていけない時代』になった、そういう意識の切り替えをぜひこの機会にしていただきたいと思います。

 先ほども言いましたように、園芸連が創立をされて八十周年という大きな節目の年にあたります。振り返ってみますと、この八十年の間にも大きな危機、難局はいっぱいありました。

 しかしそれを先人の方々、先輩の皆様方の知恵と勇気で乗り切ってこられました。今の難局も現役の皆さん方の勇気で乗り切っていけないはずはないと思います。

 ですから、そういう意味でこの八十周年を機会に、ぜひ皆さん方の気持ちを一つに新しい園芸連の出発、園芸農業の出発ということを、この大会をきっかけに皆さん方一人一人が心にとめていっていただきたいと思います。

最後になりましたが、全国の取引会社の皆様方にも、このように本県が生産者の皆さん、また団体、そして県が一体となって、新しい園芸農業に向けて取り組んでいること、また、選ばれる産地になるように努力をしていること、そういう取り組みをぜひ知っていただき、今後とも本県の園芸農業へのより一層のご支援、ご協力を心からお願いいたしまして、開会にあたりましてのご挨拶といたします。
 どうかよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 

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