平成15年仕事始め式知事挨拶

公開日 2007年12月07日

更新日 2014年03月16日

平成15年仕事始め式知事挨拶

平成15年1月6日10時00分から(県庁正庁ホール)

 皆さん、明けましておめでとうございます。それぞれに新しい気持ちで新年を迎えられたことと思います。僕は今年も、年末年始、人の数よりも羊の数の方が多いという国に行ってまいりました。

 とは言いましても、リゾート地にいましたので、干支の羊さんにお目にかかることはありませんでしたけれども、羊の国に行ったということで、今年の運を少し引き寄せることができたんではないかと、手前勝手に考えております。

 またこの間、日本のニュースのほとんど届かない所にいましたので、新聞やニュースを見ることがありませんでした。のんびり1週間、ぼーっと仕事のことも考えずに過ごすことができました。

 ですから、帰りの飛行機の中で、初めて年明けの新聞各紙に目を通すことになりましたけれども、そんな中に、日本でもよく名前を知られたアメリカの経済学者ガルブレイスという人が投稿した原稿、記事がありました。

 その中で、ガルブレイスが指摘をしていたことは、「日本は、高度経済成長の時代にまさに世界のリーダーシップをとってきた。けれども、もう今や経済そのものが成熟してしまっている。そんな時に、いつまでもGDPや雇用といったこれまでの指標だけを追い求めるのではなくて、時間にもっとゆとりをもって、豊かな、また多彩な暮らしを実現をしていく、そういう新しい時代の価値観に基づいた目標を作っていく。そのリーダーシップを発揮したらどうか。そのリーダーシップの発揮を期待をする」といった内容でございました。

 という話をしますと、そんな話はずいぶん前から何度も聞いたなと思われる方もいると思いますし、また、そうはいっても簡単にはそんなこといかないぞという反応もすぐ返ってくると思います。確かに、随分前から言われていることです。けれども、現実を見てみますと、そういう方向に大きく流れが、また舵がきられている、そんな事例も兆候もまだまだ見当たりません。

 また、このことは一人ひとりの暮らしの意識にも関わることですので、そう簡単に変えられるものではありません。が、その一方で、そうした暮らしのあり方、そうした過ごし方を求める人も確実に増えてきていると思います。

 であればこそ、今、こうした地方の時代、地方が独自にいろんな事に挑戦できる時代になったわけですから、地方からこういう価値観の転換を打ち出していけるのではないかな、そういうことをこの記事を読みながら感じました。

 と言いますのも、この4月からの新しい年度の予算編成の方針、4つの柱を掲げていますけれども、南海地震への対策を除く3つの柱、つまり、経済の育成、産業の育成、またお年寄りや子供、障害者の暮らしやすい地域づくり、さらに循環型の社会づくり、こうしたことはこの経済学者が提言をした価値観の転換に密接に関わっているのではないかと思うからです。

 また、この4月から、県庁の組織、仕事の仕方も大きく見直していきたいと思ってますけれども、その中でも、例えば地産地消だとか、また循環型の社会づくりだとか、こうした価値観の転換に向けた取り組みをストレートにやっていけるような、そんな体制づくりを目指していきたいと思っています。

 と、たまたま飛行機の中で読んだ新聞にかこつけてお話をいたしましたけれども、まさに、こういう新しい時代の価値観、目標づくりができる、そういう県を、是非、高知県は目指していきたいな、と思っています。

 もう一つ、年明けにあたって申し上げておきたいことがあります。それは、外に向けての目、また外からの目というものをもう一度意識をし、大切にしていきたいということです。

 と言いますのも、僕が知事になってからもう10年余りが経ちました。この間、決して僕の力でという意味ではありませんけれども、いろいろと新しい試みにも挑戦できましたし、また、事業もさまざま展開をしてきました。が、その一方で、過去からの負の遺産、また負の意識ともいえるような内向きの意識に、僕自身の目配りの足りなさも重なって、いろんな問題が噴き出した10年間であったとも思います。

 特にここ数年は、さまざまなことが重なりましたので、県庁の職員のみなさんの気持ちが萎縮をしてしまって、さらにその内向きの姿勢が強まっていはしないか、そんな心配の声も聞かれます。が、そろそろこういう気持ちを払拭をして、もう一度外に目をむけて、これは外国ということも全国ということも含めて、思いきって挑戦をしていく時にきているのではないかと思います。

 振りかえってみれば、僕も社会人になってから、もう数限りない失敗を繰り返してきました。けれども、これだけの変化の時代、何もせずにただ漫然とこれまでと同じ事を繰り返すのではなく、失敗をしてもいいから新しいことに挑戦をしていく、そんな気持ちが大切ではないかと思います。

 そういう意味で、ぜひ職員の皆さん方には新しい発想での仕事というものを次々と挑戦をしていただくように期待をしていきたいと思いますし、そういう動きを促していけるような組織、体制にしていきたいな、と思っています。

 もう一つ申し上げたいことは、外からの目、つまり県民の目線をもっともっと意識をし、大切にしていきたいということです。
 このことに関して、僕は、毎月何回か書いておりますメールマガジンの中で、昨年の暮れ、「知事の軸足」というタイトルの文章を書きました。関心のある方は読んでいただけたと思いますが、知事は、もちろん職員の皆さんと一緒に県庁の組織の一員という立場をもっています。

 が、それと同時に、県民の皆さんに選んでいただいた県民の代表という位置付けもあります。この二つの立場が全く一体のものであれば、何の問題ももちろんありません。けれども、まだまだ、県民の皆さんの目線から見て、県庁の組織というものが県民とは一体化していない。そういう現状の中では、知事はやはり県民の側に軸足を置かざるをえないのではないかと、そういう思いを述べた文章でございます。

 とは言っても、これは決して職員の皆さんを突き放して言ってる訳ではありません。そうではなくて、職員の皆さんに、もう一度県民の目線、県民本位の行政とは何かということを考えていただき、もっともっと県民の側に近づいていただきたい。

 そのことによって、県庁という組織に軸足をおいていれば、それがそのまま県民に軸足をおいた仕事になる、そういう日が1日も早く来てほしい、そういう思いを述べているものであることは言うまでもございません。

 こうした中、昨年のストライキに対しまして、「心あれば、ぜひ勤勉手当ての一部を返還するぐらいの思いをもってほしい」ということを呼びかけましたところ、合わせて71人の方から振り込みがありました。

 これまでの間、さまざまな思いがあり、また悩みもあったでしょうが、これだけの数の方々が県民の目線というものをもう一度意識をしてくださったことを大変嬉しく思いますし、またそれぞれの職場も年代層もさまざまでございますので、こうした思いは思いのほか裾野が広いのではないかなということも実感をいたしました。

 もう一つ、これは別のことですけれども、先ほど述べました、組織、また仕事の仕方の見直しという面でも、県民の皆さんの目線を受け、また声を受け、県民の皆さんの立場に立って県庁の仕事を見つめ直していく、また県庁の仕事の方向性の新しい指標をつくっていく、そういう部署を是非とも設けていきたいなということを思っています。

 と、自ら外に目を向けてと言いながら、話がまた内向きになってしまいましたが、もう一度外に、国に目を向けてみますと、国の側では、地方との関わりでの三位一体の議論、また高速道路など公共事業の進め方、さまざまな面で、またさらに構造改革ということの具体的な取り組みがすすむ1年であろうと思います。

 これまで僕は、絶えず、現実との調和、またバランスの重視ということに基点をおいてきましたので、これからも、これまでの価値観、枠組みの中で、地方として言うべきことはどんどん主張し、全国発信もしていきたいと思っています。

 が、それと同時に、もし県の持てる財政の規模というものがもっと小さくなったとしても、これまでの国の頚木から完全に解き放されるのであれば、そのことの方が、先ほどから申し上げているような思いきった転換がしやすくなるのではないか。また、そうしたことが、あの経済学者が言っていたリーダーシップ、新しい時代に向けてのリーダーシップにもつながっていくのではないか、そういう思いもあります。

 ですから、この高知県から、是非、そういう新しい時代に備えての準備もしていきたいと思います。必ず近い将来そういう時代がやってくる、そういうことを意識をし、また覚悟をしながら、その取り組みへの準備が出来る1年にもしていきたいと思っています。

 このことに関連をして、従来から連携をとってきた各県の知事さんとの間にも、新たな連携の動きが出てきています。すでに三選不出馬を表明をされている北川さんも含めて、こうしたグループで、今、この与えられている時代の状況の中で、さらに地方から何ができるのか、また地方からどういう新しいリーダーシップがとっていけるのか、そんな面でも全国にさまざまな情報の発信をしていきたいと思っています。

 最後に、少しプライベートな話で恐縮でございますが、みのもんたさんが司会をしている「クイズミリオネア」に出てみないかという出演の依頼がございました。真剣に相当悩みました。

 出るといえば、必ず、「これだけ厳しい時代なのに、知事はお遊びか」というご批判が出ようかと思います。が、出れば確実に高知県の宣伝には、なにがしかなるのではないかと思いました。ということから、出演をしようと決意をいたしました。

 では、もし賞金が入ったときに何に使うかでございます。今年は、これもプライベートで恐縮ですが、我が夫婦、銀婚式を迎えますので、そのことにもちょっとは取っておかなければいけません。

 けれども、夜の街に行きますと、今もって、「知事が酒を飲まない。だから職員もなかなか夜の街に出かけにくくて、ただでさえ不景気なのに、またさらに落ちこみが激しくなっている」と怒っているママさんがまだまだいると聞きます。こういう誤解を取り除くために、賞金の一部は、夜の街に出かける軍資金にも使えればなと思っています。

 皆さん方も、仕事はもちろん大切です。しかし、仕事仕事だけに明け暮れるのではなく、よく言われるワークシェアリングということを考え、捨てるべき、また人に任せられる仕事は任せて、その分浮いた時間で夜でも昼でも街に出かけて、ぜひ県民の皆さんを元気づける1年にしていただきたいと思います。

 去年は「カラ元気」ということを言いました。けれども、今年は「カラ元気」だけではなく、少しでも「本物の元気」につながる1年にしていきたい、そういう思いを申し述べまして、今年の抱負とさせていただきたいと思います。
 今年も1年どうかよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。

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