新採職員辞令交付式での知事挨拶

公開日 2007年12月07日

新採職員辞令交付式での知事挨拶

平成14年4月1日(月曜日) 8時50分から(正庁ホール)

皆さん、おはようございます。この度は、高知県庁への入庁、誠におめでとうございます。特に、就職冬の時代と言われる時ですから、県庁に入庁できて良かったなと、ほっとしている人もいるでしょうし、また、これからの仕事を前に、希望に胸膨らましていらっしゃる方も大勢いらっしゃると思います。

 けれども、またその一方で、これだけ世間の目が公務員に、お役所に対して厳しい時代もありませんので、自分達で大丈夫かなというような不安もちょっとあるんじゃないかと思います。そんな皆さん方に、今日どんなご挨拶をすればいいかなと思いましたけれども、門出の時から、あんまり堅苦しい話をするのもどうかなということを思いましたので、この土曜、日曜日に自分が経験をして感じたことをもとに、お話をさしてもらいたいと思います。
 ですから、あんまりかしこまらずに、気楽に耳を傾けていただければと思います。

 その一つ目は、一昨日の土曜日のことですけれども、梼原町の、愛媛県との境の方にございます龍馬の脱藩の道に沿った地域に出掛けました。ここには、地域の人達が、冬はイノシシなんかを捕る。また春は山菜採りをする。そして夏は鮎なんかを捕って、それをみんなで食べながらワイワイガヤガヤする、溜まり場の小屋があります。

 前にも何回かお邪魔をしたことがありますし、僕が毎週日曜日にパーソナリティーをやってますラジオの番組にも、このグループの方々に出ていただいたことがありますので、冬の良いイノシシの肉が残っているから食べに来ないかと、こう誘われて、家内や、また友人を連れて出掛けました。
 もう、この時期ですから、肉は冷凍のお肉ですけれども、シカのタタキだとか、イノシシのスペアリブだとか、ハクビシンのスキヤキだとか、イノシシ汁だとか、またイモの田楽だとか、普通では食べられない物をお腹一杯いただきました。

 と同時に、食べながら囲炉裏を囲んでみんなと話をするうちに、こういう、冬にはイノシシを食べる、また春には山菜を、夏から秋には鮎を、というような楽しみ方を都会の人にもしてもらいたい。都会の人達を呼んで、そういうツアーができないだろうか。というふうな話になって、それは面白いね、是非やってみようね。といった話で盛り上がりました。

 と言っても、別に、みんなが食べないような美味しい物を、腹一杯食べたという自慢話がしたいわけではありません。言いたいことは何かと言いますと、この高知の市内で、また特に県庁の中で、書類や数字を見ているだけでは、なかなか高知県の姿は見えてこないということです。皆さん方の中には、高知の市内で生まれて育って、そして東京や大阪の大学に行って、高知県庁に入庁したというような方も、きっといらしゃるんじゃないかと思います。

 勿論、それがいけないというわけではありません。けれども、高知の市内だけ、また県庁の中だけで、本当に、書類や数字を見ていて世の中が見えることはありません。頭の中だけで高齢化だ、また過疎化だと言っても、決して県民の皆さんの満足度の向上にはつながらないということを、是非知っていただきたいと思います。

 今、高知県では、水源かん養税というふうな新しい税のあり方を考えたり、また、山の日といって町の人も含めて、森林のこと、中山間地域のことを考えるような日をつくろう、そんなことを検討していますが、こうしたことも、全て今申し上げたような同じ思いにつながっています。

 ということで、土曜日は梼原に行きましたが、昨日日曜日は須崎に行って、鍋焼きラーメンというものを初めて食べました。と言っても、すぐピンと来る人がどれだけいらっしゃるか分かりませんが、そもそも、この鍋焼きラーメンというのは、戦後まもなく須崎の市内にできた食堂のおばちゃんが、出前でラーメンを頼まれた時に、お客さん所に届ける間に冷めちゃいけないというので、土鍋に入れて運んで行った。それがきっかけ、発端だったといいます。そのお店そのものは、昭和50年代に店を閉じましたけれども、この鍋焼きラーメンというのが、その後も須崎の市内のお店に受け継がれていました。

 で、ちょうど、今年は国体を前に、須崎市まで高速道路が延伸をしますので、それを機会に何か須崎市を売っていく良い売り物はないかなということを商工会議所の方が考えて、この鍋焼きラーメンに目を付けて、鍋焼きラーメンプロジェクトというのを立ち上げています。今、既に30近いお店でこの鍋焼きラーメンが出ていますので、全部を食べるわけにはいきませんが、僕はその中で、鍋焼きラーメンの専門店というお店に行って、いただきました。

 鶏ガラのスープで、非常にさっぱり味で、全部だしまで、スープまで飲み干してしまいましたが、いわゆるラーメンという、脂っこいものを想像してると、ちょっと食感は違います。と言っても、今日はお料理番組の説明ではありませんので、味のことはこの程度にしますけれども、こういう、鍋焼きラーメンというふうな話を聞いて、面白いな、と思う。そして、それをどうやって行政として支援をしていけるかな、また、うまく質を揃えて良い形になったら、全国にどうやったら情報発信をして、お客さんをいっぱい高知に呼び込めるかな、というようなことが考えられるような、僕は職員になって欲しいなと思うんです。

 今申し上げたのは、地域おこしの一例ですけれども、企業を新しく立ち上げていく時に、色んなアイディアや技術を結びつけて、それを産業につなげていく、それも同じような感性だと思います。また、福祉の分野でも、ただ単に法律や制度を杓子定規に当てはめていくというのではなくて、児童虐待なら何が求められているか。また、お年寄りの福祉やその前提になる健康づくりなら、今何が求められているか。そういうことを自分で考えていく、企画をしていく感性も、全く同じものではないかと思います。

 今よく県庁の先輩の方にお話を聞くと、最近若い職員の事務能力が落ちてきたんじゃないか、という心配の声を聞きます。確かに、そのことは指摘できると思いますし、きちんとした文章が書ける、また法律の解釈ができるということは、当然、必要なことです。

 けれども、そうした事務能力が優れている、高いと評価をされた世代の職員の方々が、今世間を騒がしているような色んな事件を防げなかった。また、預け金のような色んな問題を引きずることになってしまったということを考える時に、これまで評価をされてきた役所の事務能力というものが、誰の方向を向いていたんだろうということを考えざるをえません。

 勿論、事務能力というものは当然必要なことです。ですけれども、そのことと同時に、県民の皆さんの方を向いて仕事をしていく。また、県民の皆さんが何を望んでいるかということを考えながら仕事をしていく。そういう気持ち、また、さっきの鍋焼きラーメンのような話面白いねと思って、それをどうやったら支援できるかを考えられる。そんな職員に、僕は是非なってもらいたいなと思います。

 と言うことで、昨日はその須崎で鍋焼きラーメンを食べた後、高知に帰ってきたんですが、その車の中で、最近、ある県立病院に入院をした友達が書いた闘病日誌なる小冊子を読んできました。
 それを見ますと、例えば、同じ病室にいた男性の患者が、入院9日目に、今日で退院できますよと、こう病院から言われて、喜び勇んで奥さんを呼んだら、奥さんから、あんた、10日間入院しないと保険が下りないってあれだけ言ったじゃないのと言われて、ああそうか、それじゃあ明日退院の手続をしようと言ったら、診断書書いてもらうだけでも2千円か、3千円か取られるんだから、14、5日は入っててもらわないと元が取れないよと言われて、意気消沈をしたというふうなエピソードが、ユーモアたっぷりに書かれていましたが、そういう笑い話だけではなくて、中には、夜遅くにサンダルを履いた看護婦さんがパタパタパタパタとうるさい音を立てながら廊下を歩いているとか、また、色んな器具を運ぶ手押し車が、もうキイキイキイキイうるさいのに、全然それも気にせずに病室の前を通り過ぎる看護婦さんがいる。そんな話も書かれていました。

 そして、そういう小さなことでも、音をどうすればたてないようにできるだろうかと考える。また、どうしても音が出ちゃうんだったらば、古い器具だから我慢してねと一声かける。そういう心遣い、気遣いが本当のサービスじゃないかということが書かれていました。その通りだと思います。
 皆さん方、それぞれこれから就く職場も、仕事も違います。けれども、いつでも県民の皆さんのために、自分達が何をできるかということを考え、また、その満足度を高めるためにはどうすれば良いかという気遣い、心遣いを忘れずに仕事をしていただきたいと思います。

 と言うことで、今日は土曜、日曜の経験をもとに、ちょっとお話をしましたけれども、この1年間を振り返ってみますと、高知県庁を取り巻く色んな事件や出来事がありました。が、その原因ということを考えた時にも、県民の皆さんの方を向かずに、身内の方を向いていたような目線、意識というものがその根底にあったんじゃないか。また、職員が何かおかしいなと思っても、そのことがきちんと組織の声として伝わっていかなかった、というような問題点があったんじゃないかと思います。それを、これからも大きく変えていかなければいけません。

 が、その一方で、いわゆる改革派の知事さんと言われるような全国の仲間の知事さんとお話しをする中で、我が高知県庁は、改革という点では全国に先駆けて色んな取り組みをしてきたということを、改めて実感をします。ですから、皆さん方にも是非、高知県庁に入り、県の職員の一員になったことに、自信と誇りを持っていただきたいと思います。

 と同時に、僕はここ数年、若い職員の方々や学生の方を対象に、1週間か2週間、自分の周りで一緒に仕事をしてもらって、県庁や県知事の仕事の仕方を見てもらう。そっから何かを学び取ってもらうという、「知事のそばでインターンシップ」というのをやっています。皆さん方も、それぞれの職場で仕事になれて、少し余裕ができたらそんなことにも手を挙げていただけたらと思います。

 最後になりますけれども、皆さん方のこれからの県職員としての活躍を心から祈って、私のご挨拶とします。本日はおめでとうございます。ありがとうございました。

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