2003 NHK4県知事会談−四国の明日を語る−

公開日 2007年12月07日

更新日 2014年03月16日

2003 NHK4県知事会談−四国の明日を語る−

平成15年2月15日16時30分から18時00分(NHK総合・四国域内)

NHK4県知事会談

1 番組名  四国スペシャル「2003 4県知事会談−四国の明日を語る−」
2 放送日時 15年2月15日(土曜日)16時30分から18時00分(NHK総合・四国域内)
3 収録日時 15年2月15日(土曜日)12時55分から14時25分

四国の高速道路8の字ルートの早期完成に向けた共同声明
本四公団の通行料金と債務処理
高速道路の建設
景気・雇用問題
市町村合併
魅力ある地域づくり
南海地震への備え
四国の将来像



4 会談録

≪四国の高速道路8の字ルートの早期完成に向けた共同声明≫
〇司会
  まず四国に関わる最新のニュースから行きたいんですが、その一つは道路があります。昨日扇国土交通大臣が本四連絡橋の通行料金の値下げを表明しました。そして今日午前中四国4県の知事が四国の高速道路8の字ルートの早期完成に向けた共同声明を出しました。まずこの共同声明について伺います。声明で代表を務められた橋本知事ですが、今日のこの発表の意味、決意というんでしょうか、このへんはどう。

〇橋本高知県知事   はい、道路公団などの民営化推進委員会の議論を受けて、高速道路の造り方というのは、従来のような有料の料金をいただいて、その料金をもとに建設・運営をしていくという方式と同時に、国と地方が負担をした新しい直轄の事業というのが取り入れられました。しかし、これからどういうような基準で高速道路を造っていくのかということが全く見えていません。一方、これからのスケジュールというのを見ますと、6月から7月にかけて高速道路の整備に関する会議が開かれて、そこで、どういう路線を、どういう区間を、優先順位を付けていくかということが決められるという話を聞いています。

 そこでですね、この機会に、四国から地域の声をまず上げていこう、まだ具体的な内容がわかっていないうちに、四国としての、地域としての思いを、例えば南海地震が迫っているとかいろんな課題を抱えています。そういう思いを共同声明として出そうというのが今日の会の目的でした。

〇司会   早く、意志を鮮明にしておこうということですね。

〇橋本知事   そうですね。
 


≪本四公団の通行料金と債務処理≫
〇司会
 四国の道路交通からお話を伺っていきますが、橋と高速道路とあるわけですが、まず本四連絡橋について伺って参ります。現状どうなっているかを見てみます。本四公団の債務というのは3兆8千億円あります。そして通行料金なんですが、これは瀬戸中央自動車道が片道4,600円、神戸淡路鳴門自動車道が6,050円、そして西瀬戸自動車道、しまなみ海道が5,250円、この通行料金はもともと設定された基本料金の2割引き、これが現状です。この現状に対して、課題は一体何かということですが、この通行料金がどうなるか、債務の返済をどうしていくかということになるわけです。

 では通行料金と債務返済の案を見てみます。道路関係4公団の民営化のあり方を検討してきた民営化推進委員会と国がそれぞれ提示しています。まずこちらが民営化推進委員会の案ですが、こちらの方は、債務処理については国の道路特定財源で処理をする、その額は政府の判断で決まることになっております。残りを橋の通行料金収入と国と関係する地方自治体が出資金の出資期間を15年間延長して賄う。橋の通行料をどうするかというと、半分程度引き下げる、これが民営化推進委員会の案です。

 では国、国土交通省の案はどうかといいますと、債務については1兆3千億円余りを国が負担する、そして地方自治体の出資期間を10年間延長するという考えを地元自治体に示しております。通行料金の値下げについては、先ほどもありましたように、昨日扇国土交通大臣が、「早ければ、今年5月から今より10%値下げする」方針を明らかにしました。この「値下げは1年間に限り」まして、「民営化推進委員会が求めた半額程度への値下げは不可能」という考えも示しています。
まずこの扇大臣が昨日示しております、1年間の通行料金1割引ということなんですが、これをどう受け止めるか、まず加戸知事。

〇加戸愛媛県知事
 基本的に1兆3千4百億円という膨大な債務処理、国が切り離して処理していただくということを前提にしたうえでの通行料金の引き下げですから、それに充当できる原資の問題があるでしょう。客観的に見ると、こんなところになるだろうなと、一応やむを得ないのかなっていうのが正直なところではあります。

 ただ、1年間の処置ですから、国の方は1年経ったら、現行料金までに戻しちゃおうという魂胆はあるんじゃないかと思いますし、一方、私どもの立場としては、更なる大幅な値下げということですから、今回仮に第一次中東戦争終わっても、1年以内にまた第二次中東戦争が勃発するであろうな、そんな意味では、私どもの立場として、更なる値下げに向けての作戦構築も必要になってくるな、そんな感じで受け止めております。

〇司会
 更に、値下げっていうことですけども、1割というところはしょうがない?

〇加戸知事
 そうでうすね。客観的に見ると、財源的には、今の時点ではこれ以上は難しいだろうなという意味で、1年間の措置ということで、また1年の間、理論再構築、あるいは原資の面その他で、いろんな引き下げの余地があると私どもは思っています。

〇橋本知事
 「客観的」という意味を、もう少し高知県の立場で言うと、香川県のように高速道路の整備がほぼ終わっている県と、愛媛とか高知とかまだまだ数多く残っている県では、ちょっと事情が違うと思います。別に意見が分かれているわけではないです。ただやはり、これから新しい直轄事業というものが入りますと、当然道路特定財源という税金を使っていかなきゃいけない。

 そうすると、本四の債務の処理にもそのお金を使い、尚且つ、新しい直轄で高速をこれから造るときも使うという、その配分ですね、そういうことが客観的にという言葉の背景にはあるんじゃないかなと。僕の場合はそういう考え方がありますけれど。

〇司会  高速道路の話とリンクしてくる部分もあるんですけど、ここは本四公団の話で進めていきたいと思いますが。

〇橋本知事
 もちろんそうです。客観的、本当はもっと下げるに越した事はないけれど、現状からいうと中々これ以上は言いにくいなあという本音のところ、うちの県などの場合には、そういうふうな事情もあるということです。

〇司会
 真鍋知事いかがでしょう。

〇真鍋香川県知事
 やはり、先ほど言いましたように1兆3千4百億、国が債務処理について思い切って入れてくれて、整理するということは評価したいと思います。それから料金についても、今よりも10%引きということ、一般車輌、それからまたETCとか、一定の前進があったというふうに、我々の主張も一部認められたかなあと思っているんですが。

 先ほどフリップを見せていただきましたように4,600円が4,100円、例えばこの区間4,100円というと、我々住んでいる者あるいは県民にとっては、「利用しやすい料金か」と言われるとね、「いやあそれは違うんではないですか」と。

〇司会  ちょっとまだ高いという‥‥

〇真鍋知事
 そうそう。それで、やはり私はもっともっと下げるようにですね、民営化委員会も5割引き下げという案を出しておるわけですので、是非ですね、各県とも連携して引き下げていきたいと思っているんです。

 特定財源を入れなくてもですね、まだまだ、例えば債務の返済方法、有利子負債と無利子負債があるわけですけれども、今の案だと無利子から返すことになっていますね、それを有利子からにするとか、あるいは公団の管理費なんかもですね、もう少し合理化の余地があるんではないかとか、いくつかの要素、あるいは金利を4%みているんですけど、この時代に4%というのは高いですよね、そんなところ。

 新しい財源を入れなくても、まだ余地はあるんじゃないかということを私は主張してきましたし、今後もですね、言っていきたいと思います。

〇司会
 そうすると、もっと下げられる可能性があるだろうと。

〇真鍋知事
 あるだろうということで。やはり1年間の暫定措置ということが打ち出されていますので、加戸知事は、来年にもう一度戦争ということがありましたが、今から、よくあれしてですね‥

〇加戸知事  1年内にという‥‥(笑)
 
〇真鍋知事  今からですね、今後もやはり県民の希望である大幅な引き下げ。せっかく造った、高速道路もそうですけれども、造ることが目的ではないんで、それを使って国民の生活が豊かになる、そういうことが目的ですから、是非そういう方向で、各県とも話し合って努力をしていきたいと思います。

〇司会  大田知事は、これについては。

〇大田徳島県知事  今、真鍋知事からも言われたようにですね、せっかく巨費を投じて造った国家プロジェクトの橋ですから、やはり利用されるというのが一番だと思うんです。そういう面では民営化推進委員会の方から出された半額程度にしてもいいんじゃないかという、一般論から言いますと、それは大歓迎ではあるわけですが、しかしこのまま協議がまとまらないでずっといきますと、当然14年度で終わりまして15年度から元の料金に返っていくということもあるわけですので、当面1年間ということで、一般車について現行特別料金から10%引きを国土交通省が出してくれたということについては、基本的に受け入れざるを得ないだろうというふうに思います。

 しかし、これから4県知事をはじめ10府県市と協議をしながら、1年後といわれます新たな仕組みについて、国に対しては、更に利用しやすい料金にしていくように強く要望していきたい、このように思っています。

〇司会  料金を下げたら四国の競争力はついて、本当に経済活性化するのかどうか、この辺はどういうふうに見ていらっしゃるのでしょうか。加戸知事いかがでしょうか。

〇加戸知事
 私は、全然違うと思いますね。民営化推進委員会の本四に関する部分だけは、丸呑みしていただくとですね、半額、物流コストが大幅に下がりますから、特に関東、近畿圏への四国からの産品、相当低価格でしかも迅速なスピードで運べるようになるというメリットありますね。それから観光面でも大型観光バスが乗り入れて来るのに、高い料金を払って来るのと料金が違いますから。そういう物流、観光面、その2つが大きなインパクトを与えると私は思っています。

〇司会
 しかし、料金の割引が大きくなるとですね、先ほど「債務の返済とは切り離しだ」とおっしゃってはいましたけれども、通行量が増えなければ、「やはり債務返済に」という話が出てきてですね、出資期間がまた延びるというようなこと大丈夫ですかね。

〇真鍋知事
 やはりですね、料金を引き下げるということは、通行しやすくなるんですけどもね、うかうかしているとストロー現象で人々が向こうへ出て行くということになりますのでね。引き下げと同時に、四国へもっともっと人が来ていただけるように、もちろん物流の面はいろいろあるんですが、賑わい創出といいますか、各県共同でもっともっと観光客に来ていただけるように、いろんなイベントをですね、

全国的なイベントを四国に誘致するとかですね、あるいは県民もですね、四国の人も高速道路をはじめ橋も利用してもらうように、本土側とも連携しまして、もっともっと利用する。あるいは今あまり使われていない夜間の利用方法、料金を工夫することによって利用してもらえないかとか。

 要するに、もっと皆が利用すれば下がるわけですからね。そういう意味で、活性化、特にこういう時代になってきますと、地域間競争が相当激しくなりますので、いろんな人が「四国へ行ってみようか」、「香川へ行ってみようか」という魅力のある地域づくりということをやっていかないと、逆に流出するという心配も私は持っています。

〇司会  つまり出資期間延長みたいな話にならないように、来てもらう工夫ということをやっていくということですね。

〇真鍋知事  そうそう、もっと使ってもらうようにね。
 


≪高速道路の建設≫
〇司会
 ここまでは本四連絡橋について伺って参りました。続いて高速道路ということについてお話を伺って参りたいと思います。
 四国の高速道路網をまず見ていただきます。青い部分が既に開通している高速道路とそれに続く自動車専用道路ということになります。そして赤い部分がまだ開通していない部分です。

 この内、高松西から高松中央、ここは3月に開通予定ということです。しかし他は、民営化の議論を受けまして今後どうなるか分からなくなっています。こうした状況で、先ほどからも話が出ていますけれど、公団の負担だけで道路を建設するのではなく、建設費を国と地方が負担する新直轄方式というものが出てきています。国が3/4、地方が1/4負担をするという考え方ですが、これをどう考えるかということですが、加戸さん新直轄については。

〇加戸知事
 私ども愛媛県の立場では、大洲から宇和まで来年の春には開通の見通しが立ったということで、ほっとしていますが、その先の展望全く開けておりませんので、要するに暫定的な道路公団並びに民営化会社がどこまでやっていただけるのか、新直轄方式の導入というのは私どもは歓迎しています、現実的な施策だろうと。

 ただ心配していますのは、採算路線は新会社がやる、一方新直轄方式に示されている考え方が、通行料収入では管理料すら賄えない路線は新直轄。そうすると、管理料は賄えるけど元利償還にはとても足りないグレーゾーンはどうなるのか、そこがもう少しはっきりしてこないと。

 いずれにしても私どもは、早く早く南の方へ高速道路テンポ遅れないで進めてもらいたい。いろんなバリエーションがあるでしょう、いろんな選択肢になるのか、そこのところをもっとはっきりさせていただければ、私どもは、例えば新直轄方法、その他の方法、整備手法によって地元負担も現時点では覚悟せざるを得ない、それが愛媛県のため。ただ、おねだりしているだけでは、今までどおりには行かなくなったのだろうという、諦めとは言いませんけれど現実的な対応を考える必要がある。要すれば、四国8の字ルートが遅れないように、それが4県共通の願いだと理解しています。

〇司会
  今日、皆さんここに来られる前に、一緒に出された8の字ルートの共同声明あるんですけど、これにも新直轄方式をかなり意識した内容になっていると思うんですが。特に加戸さんは日頃から、「南予延伸については新直轄方式でも是非ともやり遂げたい」という発言されている、これはやはりこの共同声明の中には、大分反映されているということでしょうか。

〇加戸知事
 それも含め、その他の整備手法もあり得るのじゃないのかということでございますけれども。非常に気になっていますのは、今のところ政府が考えているスキーム自体が、道路公団で3年間で3兆円の工事、その後民営化会社が10兆円の工事、そして新直轄方式が3兆円と言っていますから、いずれにしてもぴったり全部収まって、8の字ルートの展望が開けるかどうかというのは、具体的な各論の問題として様々な問題が出てくるんじゃないのかな。

 そういう意味で、どれを選べば、あるいはどういう選択をすれば、8の字ルートの完成に一歩でも早いのか、それが各論の問題としてこれから大きくクローズアップされると思っています。

〇司会
 高速道路は国の責任でという部分あったと思うんですけど、このへんについては橋本知事は。

〇橋本知事
 それはもう理想と現実の話がありますので、理想というか、本来は、ということであれば当然国の責任でやらなければいけませんし、構造改革というのであれば、私は有料の今の高い道路料金を止めて、無料の高速道路にするということを考えるのが、政治家としての本来のあり方だと思います。そういうことをしないから、さっきの橋の料金の問題が、いつまでも引きずるということになります。

 だけど、それを今から言ってもしょうがないので、こういう状況になった中で、それでは地方の、例えば安全安心、南海地震への備えというようなことでの高速道路の整備ということをキチンとやっていくということを考えたとき、その手法として、地方も負担をした新しい直轄というのは、当然あり得べき一つの選択肢だと思います。

 その時には、従来のように4車線で完成をするという形ではなくて、最初から2車線、片側1車線、その代わり中央の分離帯をきちんとしたものにしていくとか、また道路の法面のところをもう少し簡略化した形で整備していくとか、これまでのコストをうんと下げる。地域の実情にあった、英語ではローカルスペックと言っていますけれど、そういう地域ごとの、地域方式、地方方式の形の整備というものも、今後考えていただいたらどうかなと思います。

〇司会
 大田さんは、当初高速見直しということもあったと思うんですけど、今回は共同声明をしてやっていくということなんですが、この新直轄方式も含めて今どういうお考えでしょうか。

〇大田知事
 見直しと言いますか、私は公共事業のあり様ということを、今のままでいいのかということを、ずっと選挙中申し上げてきたわけです。そういう中で、高速道路についてもですね、やはり地域住民の皆さん方の、本当にお気持ちがどのへんにあるのかということを、きちっと把握したい、その上で私の方針を決めたいと申し上げてきたわけです。

 この間、県南地域の方でも、推進のための住民大会が何度か開かれるとか、あるいは経済界等含めて、そういった動きがたくさん出てまいりました。同時に私自身も、このままでは徳島が取り残されると言いますか、大変なことになる、今いろいろ言われましたように災害対策であるとか、あるいは経済効果の問題とか、そういったことから基本的に高速道路は進めるべきだという姿勢に立ちました。

 今回の政府からの提案といいますか新直轄方式、これについても基本的には国の事業としてすべて責任を負ってやっていただくというのが基本でしょうが、いわゆる構造改革の中で、特に費用対効果、そういったものがどんどん出されてきまして、高速道路そのもの、特に徳島県の場合、南進させることが危うくなってくるという状況の中で、新直轄方式というものが出てきたことについて、私は一定歓迎するべきだろうと思っています。

 特に採算性の問題からいきますと、徳島はご承知のとおり、大河が路線の間に4本も5本も通っている、非常に割高な路線になるわけです。かといってそこに高速が要らない、利用が出来ないということは、これはやはり住民の、県民の皆さん方の理解が、到底得られるものではない。それだけではなしに、基本的に8の字を繋ぐということが、効果を更に発現することになるのではないかと思っています。

〇司会
 真鍋さんは、既に3月には完成ということですが。

〇真鍋知事
 ええ、完成するからお前はもう関心がないだろうと思われたら困るんで、一言言わせていただきたいんですけれど。やはり先ほども言いましたように、四国の発展とか四国の賑わいをつくり出すためには、高速道路が8の字に繋がってはじめて橋の効果も出てきますし、全体の地域振興していくうえで、どうしても無くてはいかんと思うんですね。ですから8の字の早期完成というのは、私としても同じことで一致団結して早く整備する。

 そのためにはやはり相当思い切っていろいろと四国の状況を訴えて、これから限られた財源の中で整備を進めていくということになりますので、相当必要性を訴えて、早く、スピードが落ちることなく整備が進むように私も努力をしていきたいと思っています。

〇司会
 8の字が出来ないと、もう完成しているところは効果がでないということになるんですかね。

〇真鍋知事  そうですね。

〇司会
 皆さんの思いはですね、橋の通行料金は大幅に値下げして欲しい、それから地方の負担はなるべく軽くして欲しい。一方で高速道路の整備はどんどん普通どおりやって欲しい。その陳情というか要請を受ける国、政府の方も大変でしょうけれども、一方、本四公団の問題を抱えていない他の地方にとっては「なんと四国は都合のいいことを言ってるんだ」というような議論も起きかねないと思うんですが。今後、どう政府、それから国民に理解を求めていこうというお考えなのか。

〇真鍋知事
 そこは誤解があるようなんで、本四公団については、10府県市は相当な負担をしているんです、他の高速道路と比べましても。他の高速道路は、橋だろうがトンネルだろうが全然負担していないんです。四国は、こんなに乏しい財源の中から10年間も出資をし、更に10年間も出資をすると、そういう状況の中で、しかも高速道路の料金の6倍とか、そんなことなんで。今までが高すぎたというか、負担が重すぎたというか、そう考えるべきなんです。そういうことから見ますと、決して私は、四国の人たちが無理なことを言っているというわけではないと。

 それと同時に、先ほどから言っているように、もう少し合理化すべきところは合理化し、いろいろとまだ工夫をすればやっていける余地があるんじゃないか、そういうところも含めまして、今までどちらかというと、出資はするけれども、あまり意見が反映されてなかった。これからは厳しく監視をして、きちんと合理化すべきところは合理化されているかどうか、それから出したことに応じてちゃんと利益を受けているかということを、厳しく県民は求めてきていると思いますので、是非私はそうやっていきたいと思います。

〇加戸知事
 10府県市は、既に当初の計画で言えば、総額5,600億円くらいの出資になると思いますが、今度10年追加ということになると、総計1兆円近いお金になると思います。それをやっているのは本四三橋関係だけで、他は何も地元負担なしで出来てきているというハンディがあるということを申し上げたい。

 それから南予への高速道路、あるいは四国8の字ルートに関しましても、これからは他のところと違って、地元負担もあるけれど覚悟の上でやっていただく。そういった点では「先に出来たところは滑り込んでよかったな。バスに乗り遅れたから料金高いよ」というのと同じ状況だけれど、現実は見据えて、それなりの痛みを覚悟してでも8の字ルートを目指したい、そういうことで理解をしていただきたいと思います。

〇司会
 財源の話が出てきていますけれども、その話を考えるのに、各県の県別の地方債残高というのを見ていきたいんですけれども、つまり各県の借金がどれくらいあるのかということなんですが。各県とも年々増加している。予算規模の大きな愛媛が平成13年度末で8,391億円、徳島が8,124億円、高知は7,334億円、香川は6,312億円、こういう状況の中で、更に負担をしてでも造っていくということが出来るのか、このへんについては橋本さん、どうでしょうか。

〇橋本知事  それはもう十分出来ます。そういうことは織り込みながら財政の計画も立てていますので、そのことは全く問題がありませんし、それは県の仕事として問題がないというだけじゃなくて、県民の理解ということからも十分理解をいただいていると思います。

〇司会
 そしてその負担に見合う効果ということ、本当に出していけるのかどうかということ。

〇橋本知事
 その効果というのを、どうお考えになっているかということですよね。先から申し上げているように、例えば南海地震の際の備えというようなことを考えた時に、県の西南部は、家が国道沿いまで並んでいるような、そういう細い国道が1本しかないという地域がいっぱいあるわけです。そういうところで本当に大きな地震が起きたときに、どうやってそれでは逃げるのか、どうやって援助をしていくのか、その地震が2030年までに40%起きると言われているのに、国としても地方としても、どう責任を持っていくのかということもあると思います。

 単に効果というのが、産業が発展するとか、人が何人来ますということだけでは、僕は道路の効果というのは違うと思いますね。それから毎日、毎日、病院に運ばれるその搬送時間の平均をとってみましても、全国と高知を比べれば、はるかに高知の方が長いですし、特に高速道路のない幡多地域は、全国から比べると何倍という長さになります。そういう日々の、地震という何年に1回ということの安全安心だけじゃなくて、日々のことを考えてもですね、私は効果というのは十分説明できる話ではないかと思います。

〇司会
 加戸さんは、この負担と効果ということについてどのように。

〇加戸知事
 一つ言えることは、今度の新直轄にしましても、地元が負担をしていくようになれば、一般道路に対するしわ寄せは、結果としてはくるだろうと思っています。つまりこれは優先度の問題であって、高速道路を急ぐのか、一般道路を平行していくのか、財源の問題が伴うという点は確かにあると思います。ただ体力的にいえばですね、県の応分の負担、金額によりけりだけれども、やり抜ける、私は自信があります。

〇司会
 大田さんは、負担と効果ということについては。

〇大田知事  確かに、県の財政からいきますと、この負担は軽くない。いろんな意味での、他の事業に対する影響というものもあるのではないかと思っています。
 ただ先だって、私ども関西で経済界の皆さんと、徳島への企業誘致等についてお話をさせていただいたんですが、その時にも、徳島の道路事情という問題が出てまいりましてですね、「市内を抜けるのに渋滞がひどいじゃないか、こういったところに企業の誘致についても考えざるを得ない」こんな話まで出てきました。今各知事さん言われました災害対策であるとか、人の命の問題とか当然ありますけれども、きちっと8の字ルートが完成することによってはですね、更なる今予想できないような効果というものが、私は生まれてくるのではないかと思います。

 先ほど「なんと四国は都合のいいことばかり言っている」と、こういう御指摘もありましたが、私、都合のいいこと言ってもいいと思うんですね。四国は本当に、北海道とか沖縄とかですね特別な対策をしている地域と比べたら、随分いろんな意味で、島ということで遅れていると思うんですね。そういったところに、同じ物をつくれという意味ではないんですが、国土の均衡ある発展と言いますか、それぞれの地域にいて、安心して安全で生活をしていく、そのための投資としては、四国がある程度そういうことを言っても、私はそれは受け入れていただくべきだろうと思います。
 


≪景気・雇用問題≫
〇司会  次に、今、私たちの生活に直結した関心事といいますと、景気・雇用問題ということになるのではないでしょうか。こちらのデータをご覧いただきます。これは四国の失業率の推移です。四半期毎、過去10年間のデータです。平成14年をピークにやや改善してきてはいるものの、依然として高い水準ということになっています。

 そしてこの失業率の中でも、15歳から24歳までの若年層の失業率が、四国は全国的に見て極めて高いことが分かりました。これは去年、国が初めて各県別の失業率を発表したデータですけれども、全国平均は9.5%、ワースト1位は沖縄の20.8%ですが、それに次いでワースト2位は高知18.8%、おおよそ5人に1人が失業と、そしてさらにワースト3位が愛媛、ワースト4位が徳島、ワースト5位が香川と、四国で若い人の失業率が高い現状があるわけです。

 この現状をどう受け止めるかということなんですが、ワースト2位ということで、橋本さんこれは、かなり全体を見ても非常に厳しいと思うんですが。

〇橋本知事
 しかし、それはいろんな社会的な背景を考えなきゃいけないので、この数字だけを見たら、 見誤るところはあると思います。というのは、有効求人倍率という数字もあります。有効求人倍率は四国全体、若年層の場合には、決して全国的にも低くはありません。高知県と比べても例えば九州の各県で、若年層の有効求人倍率が高知より低いところが、何県もございます。しかし、完全失業率という形では、随分の開きが出ます。

 そこに何の差があるかというと、県外への就職が多いかどうかということだと思います。沖縄県さんもそうですけれども、高知県も中々県外に出て行かない、また親も県外に出て行くことを嫌がるという県民性というか、これまでの風土があると思います。そういうことが背景にありますので、この数字だけを見比べることはなかなか高知県の場合にはできないという実情があります。

 ただ、現実に非常に厳しい現状があることは間違いありませんので、15年度からは高校の就職のサポートをしていく人を、全ての高校に張り付けていくとか、もっともっとそうした対策を強化していきたいと思いますし、また併せて県庁でも50人ですね、高卒で仕事がしたくてもなかなか見つからないという方を1年間臨時で雇用して、それは雇用の場をつくるということよりも、社会体験してもらって県庁の仕事を通じてですね、次の職場を選んでもらうと、そういうことも是非やっていきたいと思っています。

〇司会  仕事が全くないというわけではない、ということなんですよね。

〇橋本知事
 それは、だから県内・県外ということもあります。先ほど申し上げたように、高知県の場合には県外に中々出て行かないという風土があります。それが18.8という数字には、かなりのウェイトで反映しておりますので、単に18.8という数字だけを見て、他の県と見比べてどうかというときには、違いが出てきますということです。

〇司会
 加戸知事は、どう受け止めているんですか。

〇加戸知事
 私は、かなり深刻には受け止めております。愛媛の場合、どちらかというと今まで県外就職が多かったんですよね。それがこういう不況の中で、県外よりも県内就職を求める人たちが多くなってきた。それが結果として、職場が得られない、この数字になってきてるのかな。

 そんな意味で、大切なことは雇用の場をいかに確保するか、現実に橋本知事がおっしゃったように1年間の緊急雇用創出という形では、臨時的対応ですけど、抜本的な解決にはつながりませんから、やっぱり恒常的な雇用の場がどんどん増えていかなければ、この数字中々減りにくいだろうな、そんな思いでおりますので、とにかく、雇用確保、雇用拡大、ありとあらゆる手は打っていきたいと思っております。

〇司会  大田知事は、これはどう受け止めていますか。

〇大田知事
 少子化社会の一つの現象とも受け止められるのではないかと思います。やはり子供が少なくなって親御さん達が、都市部へといいますか県外に出したくなくなっているということも、一つはこうした現象として現れていると思うんです。

 いずれにしても七五三現象と言いますよね、中学生は就職して3年ぐらいの間に7割止めるとかですね、そういった七五三現象というのがありますけれども、若い人たちの就職定着率が悪いという状況があります。それともう一つは、本県もテクノスクールなどでですね、いろいろ就職した場合に、いろんな手に職をつけるようなことをやっていますが、これのミスマッチですね、これの解消をどうしていくかということが、今非常に緊急な課題だと思うんですね。

 私はですね、全国的にいえることではないかと思うんですが、政府の基本的な構えとしましてもね、若者対策というのをですね、本当は少子化対策とか高齢者対策のような形で、相当なことをやっていかないとですね、どなたかが本に書いていたように、まさに若者が社会的弱者になるというですね、こういう現象の今、走りだろうというふうに私は思うんです。

 これでは日本の国、総体として大変な状況になっていくと思いますので、基本的に若者対策というのを、もう少しやはり充実をさせていかなければならん、まあ本県としてもそういったことを今から検討して、強力に取り組んでいきたいなと思っています。

〇司会
 真鍋さんは。

〇真鍋知事
 そうですね、香川県は有効求人倍率、一般のですね、これは全国上位ですけど、ただお話のように若者の完全失業という数字が示されまして、そういうミスマッチがあるというのは大変深刻に受け止めております。

 私は、やはり長期の問題としては産業育成といいますか、農業漁業も含めまして、就業の場を香川県に増やしていくという対策を講じていきたい。また私は、若者が就職できない面は、若者の何というんでしょうか、この自覚というんですかね、職業に対する取組み方の問題と、それから、企業側が従来のように若い人を採って、じっくりと育てて一生使っていくというスタイルから、即戦力を採ると、しかもかなり優秀な人材がどんどん採れるという状況の中で、若者にとっては非常に難しいのではないか。

 したがって、その辺は若者、短期の対策としましては、大学生の就職相談会とかガイダンスとかいろんなことをやっています。それから高校に、橋本知事からお話がございましたように、ジョブサポートティーチャーというんですか、就職相談担当の教師を配置しまして、そうしたところは実は香川県に一つありまして、そこで100%、高校で100%就職という実績を挙げているところもありましてですね、そういうものをやっていきたい。

 それともう少し長期を考えると、若者がですね、やはり小学校中学校と行く過程で、自分の得意なものは何かということを早めに見つけ出して、高校に入る頃には、自分はこの高校へ行こうということを早めに考えて、得意な分野を伸ばして一生の仕事にするということで、そういう意味で早く自立をするということを考えてもらうことも必要。

 そういう意味では教育の問題もあろうと思いますので、高校はできるだけ、そういう新しく高校生になろうという人の選択の幅を、農業科もあったらいいし、水産もあって工芸高校とかいろんな選択が可能になるようなこともつくっていかなくてはならない。そんなことで、是非若者がいきいきと、これやりたいんだとなるように香川県としていきたいと思っています。

〇司会
 若い人が今、この番組を見てくれて、知事の皆さんのお言葉が届いているといいなと思うんですけれども。

〇司会  そうですね。全体を見て、やはりどこの県もですね、状況が厳しいと、若者だけではないと思うんですけれど、外国から安い産品が入ってきますとですね、既存の産業の中にはどうしても経営が厳しくなりまして、雇用の拡大をそれ以上こちらから求めるというのも中々難しいという状況だと思うんですけれども。

 そういう時にですね、ワークシェアリング一つとってもそうですし、景気のいい企業の工場を誘致するような条件を県が整えていく、それから産官学の連携を通じた新しい産業を創出していく、ありとあらゆる知恵と工夫を使って雇用を創出していくということが、県のリーダたる皆さんに求められると思うんですけれども。

〇真鍋知事
 実は、私の方では、希少糖の研究をやっていまして、これ糖質バイオといいまして、文部科学省から補助金をもらって、また経済産業省の地域コンソーシアムにも取り上げられているんですが、これに県費もつぎ込みまして、早く新しい産業、3年か5年後には、新しい産業を育成したいということで、今取り組んでおります。

 また地場産業をもう1回ですね、やはり長年培ってきた地場産業ですから、それをもう1回新しい技術で発展を図るというふうなこと。さらには四国というのは、農業とか漁業とか1次産業という大変いいものを、どの県も持っていると思います。

 私はやはり香川の農業というのは、土地が狭いですから、付加価値の高い農業にしていこうということで、特に試験研究の中から新しい新品種を育成して、高い技術力で売っていこうということも含めまして、実は「さぬきの夢2000」という讃岐うどんの新品種もできましたしね。それから水産では「タケノコメバル」という養殖魚も、今試験しておりますので、そういう新しいことをどんどんやる。

 それから更に雇用に結びつけるためには、観光振興ですね、これは4県連携してやったらいいと思っているのですが、本格的に思い切ってやっていこうということで、この4月から県に観光交流局という局をつくりまして、部長級を配置して、各部横断的に観光に取り組む、また、民間の方の観光協会ですね少し力をいれて、官民挙げて観光振興をやって雇用を生み出していこうと思っています。

〇司会  どうでしょうか。こんなことをやろうとしている、あるいはこんな協力をしようとしているというのは。

〇大田知事
 徳島では、高校生のインターンシップというのをやりましてですね、農業の体験でありますとか、林業の体験ですね、こんなことをやりながら、いわゆるミスマッチを少しでも無くしていくということで、県庁にも今年は115名の高校生を招き入れまして、2日とか3日の短期間ではあるんですが、そういったことで、できるだけミスマッチをなくしていこう。この中で高校生の諸君が、インターンシップを体験した感想というものが、非常に良いものが出ておりましてですね、働くことの楽しさであるとか、働くことの厳しさとかですね、あるいは職場における礼儀作法とかそういったものが改めて分かってくる。これは本来家庭の中で、今まででしたら身に付いていたと思っていたことが本当は出来てない、そういうのがこういうことで一定やれている。

 出来るだけミスマッチを無くしていくということと、本当に景気のいい、何千人も雇用するような企業がいきなり飛び込んできていただけるという時代ではなくなっているだろうし、そこに行政がどんどん金を出していくというのも、さてどうなのかという思いもありますから、できるだけ、コミュニティービジネスといいますか、福祉とか環境とか教育とかですね、あるいは高齢者対策とか、そういったところでの、まさにコミュニティビジネスというものも、もっと光を当てて具体的に3人、5人という、地域のですね、地域が元気が出てくるようなビジネスを考えていってもいいのではないかと、そんなこと思っています。

〇司会
 橋本さんは、やれることあるいは、4県で協力できることは。

〇橋本知事
 一般論としては、全て話は出尽くしておりますんで、やれることをやっていくということしかないと思うんです、雇用とか景気の問題は。今真鍋さんがおっしゃいました観光というのはですね、一番短期的に効果の出る、それで裾野の広い分野ですので、これを各県お考えだと思いますけれども、本県も力を入れて取り組んでいきたいと思っております。

 去年観光コンベンション協会という形で官と民が一体となった組織をつくりましたので、大掛かりなプロモーションとかPRもして、多くの人を高知に、というのは高知だけではなく四国にということになりますけれども、呼び込んでいく、交流人口を増やしてその経済効果を、ということをまずここ数年は考えていかなくてはならないと思います。

 産業の面では、本県も高知工科大学を設立して既に6年ということになりますので、こういう大学を中心とした研究開発をビジネスにつなげていくとか、それから室戸の海洋深層水のような自然資源、これも地域雇用で100人くらいの規模になりましたので、こういうものをさらに次のステップにつなげていくとか、やれることをやっていくしかないのではと思います。

〇加戸知事  この問題は、就職のお世話であるとか、いろんな形の、各県いろんな面での努力をなさっています。私は、今の現象を「風邪」に例えて言いますと、一つは具体的な緊急雇用創出基金という形で、臨時的な雇用を政府が音頭を取って進めております。これは、ある意味では、熱が出たらアスピリンを飲んで一時的に熱を下げる程度のもので、抜本的な治療ではない。

 風邪を治すには、やはり体力をつけて休養を取る。休養というのはある意味企業にとって、つぶれそうな中小企業に、つなぎ資金その他の資金の支援、これが睡眠とか休養に相当する。体力をつけるという意味では、栄養補給をしてウイルスを追っ払う、そういうものとしては、やはり産業創出しか有り得ない。ということで、愛媛県も平成13年度に企業立地優遇措置、西日本でトップレベルに仕立てて頑張っています。

 それでも成果を挙げたのは、16社、新規創業をやってもらって490人の雇用を生み出したわけです。たまたま昨年12月にニフティが松山に来てくれるということで、IT関係の技術者200人の新規雇用ということで、職場の開拓ということはありますよね。

 基本的には、ウイルスを追っ払うのは、どうしても、政府が金融経済対策を抜本的にやってもらわないと、ワクチンを作ってもらわないといけないというのが、私の基本的考え方です。

 ただ一方においては、特に若手の就職難というのは、皆、サラリーマンになろうとしていますね、安定した職業、でもそんな時代じゃなくなっている。一方において、農業・林業・水産業というのは、後継者不足で、ヒーヒー泣いて、じいちゃん、ばあちゃんがやっている。若者、もっと農林水産業、この愛媛の基幹産業を支えていただけないのか。そういう意味でも、ちょっと視点を変えてもらう、今までと同じ就職パターンじゃなくて、後継者養成に関してはあらゆる面で援助をやっていますからね、今チャンスじゃないのかという感じもいたしております。

 いずれにしても総合的な対策、基本的には早く景気回復、政府に頑張ってもらわないとということですね。早くワクチンをくださいと泣いている状況が正直なところです。
 


≪市町村合併≫
〇司会
 さて、行財政の効率化を目的の一つとして、市町村合併の動きが活発になっています。続いてこの市町村合併について伺って参ります。
 まず四国での市町村合併の動きを整理しておきます。こちらの図は、今から1年前の去年2月の時点の状況です。赤いところが合併に向けた協議会が設置されている市町村です。四国4県でおよそ210の市町村があるわけですが、そのうち72、1/3の市町村にしか、この時点では協議会がありませんでした。

 高知県には、この時点ではひとつも協議会がないという状況でした。画面が変わりまして、こちらは現在の状況です。各地で合併協議会が設置されまして、およそ8割の市町村で合併に向けての議論が始まっています。この1年間で急速に合併議論が進んでいるという状況です。このような状況をどう受け止めているかということで、橋本さん、去年は全くない状況だったのですが、急速に進んでいますけど、この辺どう受け止めていらっしゃるんですか。

〇橋本知事
 去年もお話をしたと思いますが、僕は地方分権の中で、対等・平等と言いながら、今の国の進めている市町村合併のやり方は、どうかなという思いが正直あります。今も持っています。また市町村合併が必要だということは十分認識しておりますが、そうしたら「地域の住民にとってどういうプラスがありますか」と聞かれたときに、中々自信を持って説明しにくいなあという思いがありました。

 そういうことから、地道に話をしていくということを、最初にまずやりましたので、かなり立ち上がりに時間がかかったということがあると思いますけれども、やはり地域の中で、自分達の町の将来はどうかというお話が進む中で、自然にこれはやむを得ないという思い、またはもう少し進んで、将来のためにはこうしたらいいねという気持ちが広がってきて、今は法定の協議会が5つできましたし、法定に間もなく進むだろうというところが、5つぐらいまだございますので、そういう意味では段々、他の3県並みに追いついた形になっているのではないか。

 ただその中で、どこにもあると思いますが、中々その合併の話に入れない、または入りたくないというところがあって、こういう町村をどうしていくかということが大きな課題となっています。

〇司会  あくまで、その地元住民の話し合いが進んだ結果がこういう状況になっていると。

〇橋本知事
 そうですね。それはそういうことだと思います。

〇司会  加戸さんは、今の状況はどういうふうに見てらっしゃいますか。

〇加戸知事
 私は、市町村合併の旗を強く強く振ってきた立場です。生き方は二つあるでしょうと。貧しく美しく慎ましやかに生きる生き方と、皆一緒になって豊かな未来を見つめましょうと、どちらを選択するかは住民の問題。いつも具体例で申し上げるのは、5軒の所帯があれば、必ずトイレもお風呂も台所も皆一つ必要でしょうと。テレビも5台、洗濯機も5台、掃除機も5台と。でも、5軒の所帯が一緒になったら、そのトイレを五つ作る必要はないんで、浮いたお金があればピアノも買えるでしょうと。

 つまり、生活を豊かにするという視点で考えたとき、一緒になることじゃないんでしょうか。ただ、もし小さく貧しく残るためには、村長さんが助役と収入役を兼ねてくださいと、村会議員報酬を0にしてください、そうしないと、おじいさんである国からの仕送り、親である県からのお小遣い、それに依存して生きていけなくなっているんだから、美しい未来を、皆さんと一緒で、兄弟が一緒になって考えることじゃないんでしょうか。という俗っぽく言わしていただきました。かなり理解いただきまして、相当進んで、うれしく思っております。

 このままで残れればいいんですよ。ただし、国が借金だらけの状況の中で、90何%国や県からお金くださいで、生きていけるわけはない。そこを考えないと、全国民的な理解が得られないし、特に、東京都民のように、所得税法人税を収めっぱなしで、一銭も還元されないところにとってみれば、「何で愛媛の山の中まで私たちが未来永劫に面倒をみなければいけないの」ということになるから、都市部の反乱とは言いませんが、バランスある生き方というのはあるでしょう。

 ただ、「隣の家で50インチの液晶テレビが入ったからうちも」と言わないで、「そこは20インチの白黒テレビでもいいですよ」という生き方もあるんでしょう。ですから、皆平等でフルセットの自治体が要求される時代ではなくなってきているんだったら、身の丈に合った生き方、その身の丈に合った生き方というのは、合併して兄弟がスクラムを組むのか、自分で一軒の所帯を守り続けるのか、それは住民の選択だ。結果としては、私の思いは、かなり首長さんに浸透してきたのかなと思っております。

〇司会  住民の声にどう応えるか、という不安というのはありますよね。
〇司会  急速に市町村合併が進んでいることもあるんでしょうけれども、各地で住民投票の動きが広がっていますね。徳島県でもありましたし、高知県、愛媛県でもありました。やはり住民の動き、これについてはどう受け止められていますか。特に強い旗振り役をしている加戸知事さん。

〇加戸知事  次元の違う面もかなりあるんですよね。町の名前は残したいとか、あるいはどこと一緒になった方がいいのか、地域性・文化性、今までのつながり、その他があると思います。

 それはそれなりに、感情・気持ちの問題だから、それは大事にしてあげないといけない。選んだ結果がどうなるにしても、それは住民が選択したんだから、最後の責任というか、「ああしまった」と思うのは住民であって、「うまくいった」と思うのも住民なんだから、そこは冷静な材料をベースに判断していただきたいなあ。今の生きてる方々の問題ではなくて、そこにこれからいらっしゃる小さいお子さん、あるいはこれから生まれてくる子供たちの未来でもあるんですよ、ということを冷静に判断してもらえればありがたいなと思います。

 いずれにしても、明治時代から今日までの間にも市町村の数は激減しましたよね。愛媛県だけでも明治20年に1173あった市町村が、今70です。これが10いくつになろうとしています。じゃあ合併した地域は不幸だったんですか、残っているところはどうなんですか。

 それは残っているところを支えてきたけれども、支えきれなくなっているなかにあって、要するに税金を、最小の経費で最大の効率を上げるのは何ですかと。全部税金依存で、国が面倒見なさい、県が小遣いくださいとは言えなくて、生きてく自信があるんであれば、それはそれで立派な生き方だと私は思います。

〇司会  大田さんは、住民の不安にどう応えるかということも含めて、市町村の合併の動きをどう見てるんですか。

〇大田知事
 市町村合併は、徳島の場合、7地域26市町村で法定協議会が設置をされています。間もなく三好郡とかそちらのほうでも、合併の協議会が始まろうとしていますから、徳島の場合はほとんどの地域といいますか、100%といっていいと思うんですが、合併についての住民のアンケートをとって、結果としてこういう形になっているのかな。

 例えば、先ほどちょっと言いましたが、県南の宍喰町では議会の皆さん方が、合併について消極的な姿勢だったのに対して、住民の皆さんがいわゆる合併の特例法に基づく住民投票を全国で初めてやりましてですね、そして議会の方も合併の協議会を立ち上げるということになりました。ある意味ですね、私は、民主主義がさらに進みだしたと、この合併を巡ってですね、そういう観点からだけ見ますと、良い傾向かなというふうに思います。

 いずれにしても合併協議会が立ち上がって、議論が始まると又分解するとか、あるいは内部で大変ごたつくとかですね問題がありますけれども、これはやはり合併後のまちづくりなり、村づくり、あるいは地域というものがどうなるのかということに、もう一歩進んだ不安が再び出始めているということではないかと思うんですね。

 これに対して、県の立場としますと、いろんなことを想定しながら、情報をどんどん、やはり住民の皆様方にお示しをして、あくまで住民の皆様方の自主的合併ということが基本になるべきだろうなと。

 昭和の大合併で、中心になったところは良かったんだけれども、その端は寂しい思いをしたというふうなことも、また住民の皆さんは頭に浮かべていると思うんですね。そういったことをどういう形で解消していくのか。やはり場合によっては小選挙区を作って、必ずそれぞれの地域から、市なり町なりの大きくなったところで議論ができる議員の確保ということも考えられるでしょうし、旧の行政区域内でいろんな審議会を作って、そこがきちんと新しい合併した市なり町に政策提言をしていける、こんなシステムを、今後、より法定協議会の中で煮詰められていくのかな、そういうことをしていかないと、合併した後に、また問題が起こっても大変だなという思いがしています。

〇司会  今後の地域づくりに不安が出ないような仕組みづくりをしていかないといけないと。

〇大田知事  是非するべきだと思います。

〇司会  真鍋さんは市町村合併についてはどうお考えですか。

〇真鍋知事
 香川県は割と早くスタートしまして、去年の4月にさぬき市ができましたし、この4月に東かがわ市というのが出来上がります。かなり出だしは早かったんですけれども、今若干協議会を作っていたところが解散するというふうな事態も起こっていまして、そんな状況で。また他の協議会もできておりますけれども、やはり私は議論をするということが非常に大事なことであるというふうに申しております。

 17年3月までの期間ということを考えますと、時間が余りないんではないかなと思います。今、いろんな住民投票とか、いろんなことがありますけれども、それはそれで一旦それを通ってもらわないと、これを機会に、わが町をどうするんだ、その地域をどうするんだということを真剣にですね、町長さんも議会の方も住民も巻き込んで、徹底的に議論してもらいたい。

 加戸知事がおっしゃったように、この合併問題というのはすぐに、議員定数とか何とかというすぐに影響が出るところもありますけれども、国家百年の計ではありませんが、30年後、50年後にですね、あの時の人が頑張ってくれたおかげで良い町になってるんだとかですね、いろんなことがあると思うんですね。

 そういうことから見ますと、この時期に議論もしないで見送るということは、合併するしないは、そこで十分議論を尽くして、我々は合併しないんだというのも一つの生き方だし、合併して大きく発展しようというのも、選択肢だと思います。しかし、議論もしないで通過するというのは良くないと思います。

 ここへ来てやはり合併の動きが出てきておるというのは、そういうことが大事だということが浸透すると同時に、やはり財政的に、国も県もこういう状況になってきて、具体的にどうも交付税が削られるという状況が出てきていますので、そういうことも踏まえると、議論だけは徹底してやるべきだと思っております。県としては、そのために必要な人的・財政的支援、また、情報提供を積極的にやってきたんですけれども、更にここ数ヶ月は、大変大事な時期だということで、あまり、活発でないところは特に力を入れて、今やっておるような状況です。
 


≪魅力ある地域づくり≫
〇司会
 ここまでは市町村合併について伺いました。
四国の活性化のためには、新しい産業の育成なども必要なんですけれども、地域の魅力を掘り起こす創意工夫と効果的なPRというのが必要になってくると思います。これまで4回のこの番組では、知事の皆さんからいくつか提言をいただいております。これをご覧いただきます。まず橋本知事からは「高速道路のマイレージサービス」という提言をいただいております。

 そして、加戸知事からは「遍路みち文化交流構想」、そして真鍋知事からは「四国遍路の共同勉強会」ということで提言をいただいているんですが、このうち、橋本知事から提言をいただいた高速マイレージサービスというのは、実現をしておりまして、こちらにパンフレットを引き伸ばしたものを用意したんですけれども、チケットラリーということで、2002年に行われたもののパンフレットを拡大したものなんですけれども、高速道路の領収書を貼り付けて送りますと、四国各県の特産品が当たるということで、2回既に行われていて…。

〇橋本知事  正式な意味でのマイレージではないんですよね。ポイントが増したらそのポイントに応じてということではなくて、今お話があったように、料金の3千円分を一口にして申し込んでいただくと、そうすると四国4県で出している特産品が当たるというもので、2万人くらいの方がご利用いただいていると聞いております。

〇司会
 高速道路をもっと使ってもらおうということですね。

〇橋本知事
 そういうアイデアなわけです。

〇司会  これは3回目も予定されているということですが、いろいろこれまで提案されているものがありますが、加戸知事、これはその後どんな状況でしょうか。

〇加戸知事  遅々としてはかどっていない面はありますけれども、3年前に「いやしのくに四国交流推進協議会」というものを設立しまして、いろんな形での構想、考え方、特に観光面での八十八カ所などがメインになるんだという視点での取組みは、様々な形ではございましたけれども、うれしかったのは具体的には、橋本知事の提案でフランスのアン・テン・ドゥが遍路文化というのを取材してフランスで放映してくれるということで番組制作が始まっていますので、それも大いに期待しています。

 いずれこれは本当に八十八カ所を中心とした、いやし文化・遍路文化というのは、4県で一番取り組みやすい、まさに共通の利益で、共通の目標でできることではないか、様々な取組みが。そんな意味で、NHKでかつてやっていただいた弘法大師展、それも典型的な例ではありますけれども。あらゆる分野で、基本コンセプトが遍路文化・いやしの心ということで、四国の売りにできる、最大のものだと、弛みなくいろんなものに取り組んでいければと願っております。

〇真鍋知事
  「いやしのくに四国交流推進協議会」というのを4県共同で立ち上げましてですね、そこで検討していろんなことをやってきています。一つはインターネット博覧会がございまして、それに参加をしたということ、それから昨年の10月に八十八カ所の結願寺でございます大窪寺、香川県のさぬき市というところにあるんですけれども、ここでシンポジウムを開催して、有名人に参加をしていただいて盛り上がったんですけれども、その模様はNHKの衛星第一で放映していただきまして、大変反響を呼んでおりまして、今加戸知事がおっしゃったようにフランスの方でもやっていただいているということで、段々と一緒になっての取組みが、勉強会を含めて進んできておりますので、これを繰り返して発信をしていけば、それに応じて段々と、四国遍路が有名になってきております、数も増えてきているという状況ですから、是非これを積み上げてさらにやっていきたいと思っています。

〇司会
  大田さんは、今回初出演ということになりますけれども、何か新しい提言というのはありますか。

〇大田知事
  新しい提言というほどのものでもないですけど、やはり南海地震対策ですね。非常に県民の皆さん方、過去の地震で被害を被った人たちは、非常に不安がっていますし、つい先だって、四国の活断層さらにもっと危険な状態に進むんではないか、南海地震と中央構造線とに挟まれた、非常に危うい話が出ていますから、是非人々の地域で暮らす安全安心のための施策というものをより具体化したいなあと。
特に県でも、消防防災安全課を中心にいろいろ取組んでいますが、できれば南海地震対策なり、震災対策のための組織というものも、より強化をしたものに県庁でも作り上げていきたい。できれば、そこにプロフェッショナルに入っていただいて、本当の意味での、地域の安全のための、どういう施策を展開するべきかというふうなこともやっていくべきだろうと。
同時に高知の知事さんも言われていますように、本当に森が果たしている役割、森林が果たしている役割を、四国は非常に大事にしなければいけないと思うんですが、そういう意味では、是非この水源をどうしていくのかということについても、県としては、私自身は緑の公共事業ということで、今年の予算にも大分上積みをさせていただいて、山の多面的機能を復活させるという予算編成しようとしておりますけれども、そういったことを中心に、今後まさに持続可能な社会をいかに作り上げていくかということを中心に考えていきたいと思っております。

〇司会
  今、南海地震の話、それから森、緑、水源ということもお話出てまいりました。
  どう地域をPRしていくかということも含めて、伺っていきたいんですが。橋本さんは自らCM出演をして高知をPRしていらっしゃいますが、新展開というのはなにかあるんですか。

〇橋本知事
  新展開ということじゃないですが、去年関西地区で流していた野菜のCMを、今関東地区で流しています。私の顔が、ナスやきゅうりの中に出てくるというものでですね、一昨日もたまたまある航空会社の方から「久しぶりにあなたをコマーシャルで見た」というメールが来まして、「びっくりしたけど中々インパクトがあっていい」と書いてあって、「近くで高知の野菜も探そうかと思う」ということがありましたので、一定の影響力は出ているかなと思います。
ただ、PRをするということの大切さはですね、高知の発信ということはもちろんですが、農業者をはじめこれまでの行政の仕事全部そうですけれども、生産者のサイドからものを考えていますよね。それを、つくるだけじゃなくて物を売っていくということ大切だし、その時に消費者がどう受け止めるか、消費者の思い、消費者本位の行政なり物づくりということ、これから益々必要になる。そういうことを、例えば農産物のPRをすることによって、農業者の方に感じていただくようになったということが一つの大きな効果ではないかと思っています。

〇司会   加戸さんはPRに関して、映画「船を降りたら彼女の島」制作というのがあって東京で公開される、PRできる‥‥

〇加戸知事   映像の効果というのは大きいですから、特に23日にNHKで「お?い日本」、愛媛を大いに宣伝していただくんで、これが最大の効果を上げると思いますけれど。
県も、「船を降りたら彼女の島」、県がつくるというのは無謀な話ですけども、企業の協力を得てつくらせていただいて、多くの方々に愛媛の自然のよさをそこはかとなく感じ取っていただけるいい機会かなと思っています。それから昨年11月にミステリー作家の内田康夫先生に、しまなみ海道を舞台とした「しまなみ幻想」、旅情ミステリーを書き下ろしていただきまして、10万部を越えるベストセラーになっていますけれど、これもしまなみ海道を舞台にしています。そのほかに、今治を舞台にした「ホームスイートホーム?」という楽しい映画。ですから今年は、県制作の「船を降りたら彼女の島」と今治主体の「ホームスイートホーム?」と、これで愛媛が、全国に相当発信できるかなあと思って期待をしているわけです。
  それと橋本知事おっしゃった、愛媛も産品負けちゃいけない、実は温州みかん価格低落とか養殖はまちの価格低迷があったものですから、「愛媛産には愛がある」という農林水産物統一キャッチフレーズをつくりまして、砥部にお住まいの坂村真民先生、詩人に書を書いていただきまして、「愛媛産には愛がある」、私も名刺にはこれを刷り込みまして、どこへ行ってもこの名刺を使っているんですけども。ジャンパーにも使っていますし、高知に負けないで、愛媛の農林水産品も高知同様よろしくということを全国に大キャンペーンを展開したいなと思っています。
  特に今年の10月には、東京の武道館と匹敵するわけじゃありませんけども、都道府県立ではナンバーワンの木造の武道館を立ち上げて、全国に大きく宣伝したいなあと思っております。

〇司会
  PRする材料には事欠かないということですね。

〇加戸知事
  愛媛、愛媛で、この1年は、人がうんざりするくらい愛媛の名前を宣伝したいと思っています。

〇真鍋知事
  私の方も農産物、特にいいものがありますので、それから讃岐うどんブームですので、大いに 宣伝をしていこうと思っています。ちょうど愛媛県と一緒になりまして、新橋にこの3月25日オープンですがアンテナショップというのを出しまして、そこで香川と愛媛の物産を1階で売りまして、2階は郷土料理、讃岐うどんを含めまして、そういうのをつくりますので‥‥

〇加戸知事
  讃岐うどんは、じゃこ天入りの讃岐うどん‥‥

〇司会
  協力しているわけですね、うどんでも。

〇真鍋知事
  それからフィルム・コミッションを立ち上げまして、去年水野晴郎さんが「シベリア超特急3」という高松、サンポートとかを舞台にした映画をつくってくれまして、それから今年も志々島とか粟島を舞台にした新しいフィルムを別の人がつくってくれると、近々発表になると思いますが、そういうのもあります。それから「007」が、去年直島を舞台に小説が出来ていますので、ゆくゆくは映画にもしたいと思っています。去年は「海辺のカフカ」という村上春樹さんのベストセラーの中でも高松が舞台になって、これもいい宣伝になりましたので。更にもっともっと力を入れて今年はPRしていこうと思っています。

〇司会
  大田さん、PRすることっていいますとどうでしょう。

〇大田知事
  そうですね、後で出てくると思いますが、徳島を象徴するというのは、私は大自然だと思っていまして、特に吉野川ですね、皆さんご存知戴いているかどうかは分かりませんが、吉野川には善入寺島という島が、川中島があるんですね。これは関西空港1期工事と同じくらい広さということで、大変大きな島がありまして、この周辺というのは、先人の水害に備えるための知恵が生かされている水害防備林、これが吉野川には、全国的に恐らくこれだけ水害防備林が残っているとういうのは、竹林が残っているというのは吉野川だけじゃないかと思うんですが、こういった自然というもの是非売り込んでいきたい。
同時に、緑の公共事業ということを私はどうしてもやり切っていきたい、こういうふうに思っていますから、各学校とか県営住宅とか県のいろんな建築物ですね、こういったところに県の間伐材を含め県産材をどんどん使っていく中で、是非ともアトピーだとか、シックハウス症候群だとか、そういった子どもさんたちへの健康に配慮したようなもの、そういったものも緑の公共事業の一環として是非取組んで、本物の自然と言いますか、本物が分かる、そういう人々、子どもたちを育てたい、そんな思いです。
 


≪南海地震への備え≫
〇司会
  四国各県、それぞれPRの戦略があるというお話で、魅力ある地域づくりへの取組みについてお伺いしました。
  続いて、南海地震などの災害対策についてお話をお伺いします。国の地震調査委員会によりますと南海地震は、今後30年以内に40%の確率で起きる可能性があるとされています。各県の南海地震への備えはどうなのか、そして協力して対応できることは何があるのかということで、橋本さん、非常に危機感高いと思うんですがいかがでしょうか。

〇橋本知事
  はい、そうですね。まず一つは住宅の耐震の診断をどうしていくかということがあると思います。と言うのは、阪神淡路大震災の時も亡くなった方の9割近くは、住宅の下敷きになって亡くなられたということがございますので、これは大きな課題です。それから津波がございますので、津波からどう逃げるか、そのことを知っていただいて、逃げ場所や何かを確保していくということ。
  もう一つ、やはりこれから地震への備えということを考えますと、子どもたちに防災教育をしていくということが、大変大きなテーマではないかと思って、防災教育にも力を入れていきたい。これ是非四国の4県で、またネットワークをつくってですね、やっていければということも思っています。

〇司会  大田知事は、この災害対策、南海地震対策というのはどう。

〇大田知事
  先ほども少し触れましたけれど、県の組織としては、新たな県庁の強化した組織をつくって、そこにプロに入っていただいて、そこでいろんな計画を立てたいなと思っていますが。まず必要なのは、私も阪神淡路大震災の時に、1週間ほどボランティアで行っておりましたが、向こうの被災した人たちのいろんな御意見を聞く中で、まずは自主防災組織といいますか、そこでいろんなことを点検する。例えば津波が来た時に、駆け上がっていく山にですね本当に行く道はあるのかどうか、ブロック塀だと倒れる危険性もあるわけですから。あるいは夜間に大地震が起こる可能性だって十分あるわけですから、その時に例えば誘導路の灯は点いているのかどうかですね、そんなことなどきめ細かく、地域の今までの体験から、地震に弱い地域といいますか、危険な箇所、本当に早く整備をしていかなければいけないのではないか、そんなことを是非やりながら。
今、関西を含めて近畿圏とも私ども協定を結んで、災害時の応援協定をやって、四国4県はもちろんですけれども、中国地方ともやっておりますが、あまり近くだけの協定では、いざというときに要をなさないという面もありますから、出来るだけ広い地域との応援協定を結んで、常日頃からの訓練なりをやっておく必要があるだろうと思います。ボランティアもそういった意味では、遠くの人たちとのボランティアとの災害救助のための協定といいますか、そういったことも是非手がけていただきたいな、こんなことを思いますね。

〇司会
  加戸さんは、この協力を含めて対応というのはどう考えていらっしゃいますか。

〇加戸知事
  そうですね。今度の政府の地震調査委員会のを見せていただくと、愛媛県が今まで想定していたよりも遥かに規模が大きいわけですから、県自体もう一回見直しの必要が出てくるのかなと思っています。
  いずれにしても、こういった災害の場合、四国4県共通だと思いますけれど、今までに応援協定を四国とかあるいは中四国でも結んでいますけれども、例えば四国総合通信局が衛星通信を利用した共同の災害防災訓練をやっておりますし、災害の場合、私は指揮系統というのが一番大きな役割を果たすんじゃないか。ですから極端なこと言いますと、徳島がメインの地震が起きたら、徳島の指揮下に他の3県が入ると、例えば高知であれば、高知が災害対策本部の指揮を取って各県の部長がその指揮下に入るとか、指揮系統を一本化した方が、効率的な対応ができるんじゃないか、そこまで踏み込んで入った方が、「四国はひとつ」を目指していますけれども、先取りで防災関係というのは「緊急の時はそうするよ」ということにしないと、4県が相談しながら連絡して、「あんた何ができる。じゃあこうしましょう」なんて時間が惜しい、時期を失すると私は思っています。そういう意味では、先ほど申し上げた高知で地震があって、被害が一番大きければ、「もう橋本知事の指揮下に全部入れ」というようなことで、4県共同して効率的な対応、機動的な対応をしていくべきじゃないかと私は考えています。

〇司会
  真鍋さんは、この4県協力について。

〇真鍋知事
  そうですね。4県協力と、中四国は応援協定が既に出来ていますし、それから加戸知事から前にご提案あって、それぞれ備蓄といいますか防災器材を蓄えているんですけど、それをお互いにリストアップして融通できるようにしようじゃないかと、その作業も進んでいますので、それを更にやっていくし、今加戸知事からご提案があったような指揮命令系統とか、災害時の指揮系統をはっきりしておくということも大事だろうと思います。
  香川県では、阪神淡路大震災後に、いろいろ対策を講じまして、自主防災組織をつくるとか、あるいは訓練、啓発、いろんなことやってきておりますけれども、やはり耐震診断と工事が遅れておりまして、是非来年度から県有の施設、県立学校とか体育館とか、あるいは県の庁舎も含めまして、耐震診断をやって、順次、大変財政状況厳しいんですけれども、やっていこうということで、15年度予算に盛り込んだところです。そんなことで自分で出来ることはしっかりやって、各県とも連携を更に強めていくとこう思っております。
 


≪四国の将来像≫
〇司会   今後起こりうる南海地震などの災害への備えについて伺いました。
では各県の特色をどう生かすかということで、皆さんに番組始まる前に長所と課題を書いていただきましたので、それをそれぞれ見せていただきたい。まず加戸さん、長所は「豊かな自然と文化」課題は「建前主義」ということで。橋本知事は、長所は「自然と資源」課題は「少子高齢」ということです。真鍋知事は、長所は「温暖」課題は「水不足」、そして太田知事は、長所「豊かな自然」課題は「社会資本整備の遅れ」。皆さんどうもありがとうございました。
これを踏まえてですね、おしまいに四国の将来像、自分の県を含めてですね、四国の将来像どう描くかということ短く一言ずつお願いしたいんですが、加戸さんお願いできますか。

〇加戸知事   たまたま4県とも、期せずして自然が共通しましたですね。やはり四国の良さはそこだと思いますよね。それにプラスして言えば、先ほどの遍路文化の暖かいもてなしの心、お接待の心。これがリンクした時に、四国はひとつとして世界に誇れる、自然と豊かな人情、そういう形で、たくさんの人が来てもらって「いいな」って言ってもらえる、そんな愛媛にしたい、そんな四国になってもらいたいのが私の願いです。

〇司会   徳島県大田知事いかがでしょう。

〇大田知事
  やはり、一番、四国全体としての売り物は自然だろうと思います。それぞれの特色がありますし、文化面につきましてもですね、徳島の場合ですと、阿波踊りとか阿波三盆とかですね、阿波のでこ回しとか、いろんなことがありますが、四国というのはそういう意味で大自然が非常に豊かな、したがってそういうところで採れます新鮮な野菜、そういったものを関西圏も含めて、経済対策としてもどんどん売り込んでいく、そういうところで活力のある四国にしたい、県にしたいと思っております。

〇司会
  真鍋さん。

〇真鍋知事
  香川は温暖ということを言いましたけれども、温暖であるがために非常にいろんな農産物いいものができております。また魚もですねおいしい物がある。食べ物が非常においしい。昔から人が住んでいたという意味で、歴史・文化が四国にはいっぱいあると思うんですね。そういうものをうまく活用しまして、是非多くの人に来てもらって、おいしいものを食べてもらって、歴史や文化に触れてもらう。そういうなんていうんですか、交流人口を増やすということを是非4県共同でやっていく、それによって人がたくさん来て、高速道路、あるいは橋を使ってくれれば、料金も下がりますので、是非そういうことをやっていきたいと思います。

〇司会
  はい、橋本さん、おしまいに。

〇橋本知事
  最初はですね、長所と短所を書けと言われたんですが、「高知県には短所は無い」とやせ我慢を言いましたので、長所と課題ということにしていただきました。というのはですね、少子高齢だ過疎だといろいろ言われますけれども、それをマイナスだと考えずにプラスに捉えて、それをどう活かしていくかと、全てを課題として活かして次につなげていくことが必要で、そう考えれば四国がやれることいっぱいあるんではないかとそう思っています。

〇司会
  今日はお忙しい中、どうもありがとうございました。
 


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