愛媛・高知交流会議(加戸知事と橋本知事との意見交換)

公開日 2007年12月07日

更新日 2014年03月16日

愛媛・高知交流会議(加戸知事と橋本知事との意見交換)

平成14年5月10日(金曜日)13時00分から14時00分(愛媛県庁本館3階貴賓室)

(開会)
〇愛媛県 野本 俊二 企画情報部長
 それでは、ただ今から愛媛・高知両県の交流会議を始めさせていただきたいと思います。まず地元加戸知事からご挨拶を申し上げます。

(あいさつ)
〇愛媛県 加戸 守行 知事
 略式で、座ったままで失礼させていただきます。
 高知・愛媛の両県で3回目の交流の場を持つことができましてありがとうございました。今回は、愛媛へわざわざ御来県いただいてありがとうございます。

 21世紀を迎えまして、四国の近隣がともに助け合って輝かしい未来を築き上げていきたい、そんなつもりで四国内での交流をより一層推進して、「四国はひとつ」ということを目指して、お互いに知恵を出し合って取り組みを進めていく必要があるだろうと思っております。

 とりわけ愛媛県と高知県との関係は、生活面での繋がりも多うございますし、また特に、両県似たような状況の中で、高知は太平洋に顔を向け、愛媛県は瀬戸内海に顔を向けているという、若干背中合わせのような状況ではございますが、かなり多くの共通課題を抱えていると思いますので、この交流会議を始め、広域的な両県の連携・協力を図っていきたいと思っておりますし、また四国4県の知事会議でも、高知・愛媛、積極的にいろいろ話し合いの、共通認識での提言ができれば、そう思っております。

 特に、今年は、高知県の方で国民体育大会が開催されるわけでございますので、愛媛県としても全面的な協力はさせていただいて、大会の成功を祈りたいと思っております。よろしくお願いいたします。

〇野本部長
 それでは時間の制約もございますので、早速フリートーキングということで、両県の共通課題などにつきまして、御意見を交換していただいたらと思います。よろしくお願いいたします。

(意見交換)
【高知国体】
〇加戸 知事
 特にテーマは決めておりませんが、今年の高知国体に成功していただきたいし、愛媛県も平成29年に国体の単独開催が事実上決定しておりますので、高知の開催状況等を十分参考にさせていただいて、私どもも、学ぶ点は学びたいと思っております。

 この取り組みの前提として、高知に是非成功していただきたい。そんな意味で、高知県側の要請等ございますれば、私どもも今のところは、審判あるいは宿泊地等の協力ということで、ご要望の趣旨には出来る限り応えたいと思っておりますので、何か高知側の方で、ご要望等、ご意見等ありましたら。

〇高知県 橋本 大二郎 知事
 はい。今お話にあった運営の役員というか競技役員ですね、審判員について、いろんな意味で、ご協力をいただいてありがとうございます。宿泊の面でも、ラグビーの会場でございます宿毛ですとか、それからアーチェリーの檮原町ですとか、それぞれのところが愛媛県側の市町村にお願いをしているということで、是非よろしくお願いいたします。

 それから食事でも、お弁当を西条だったと思いますけれども、最大2,500食分くらいお願いをすることになっておりますので、多分、県の衛生関係の方にもご面倒をかけるんじゃないかと思いますが、その点もよろしくお願いしたいと思います。

 それから、細かいことなんですが、去年の8月に自転車のロードレースのリハーサル大会があったんですが、嶺北の439号線を使ってやるんですが、高知県側は交通規制の周知をしていたんですが、愛媛県側にお知らせをしていなかったということで、愛媛県側から高知空港を利用される方が、その交通規制に引っかかって飛行機に乗り遅れたという例がございました。

 その場合だけじゃなくて、いろいろ交通規制だとかいうことで、何か高知県側の施設を利用される方がご迷惑になるということが出てくるんじゃないかと思いますので、もちろんこちらから情報提供いたしますけれども、そのような場合の愛媛県側での周知ということをお願い申し上げます。

 29年の愛媛県の開催につきましても、私も高知県の体育協会の会長もしておりまして、愛媛県の大亀会長からも、今回の国体へのご協力と同時に、29年に向けてのお話も承っておりますので、是非まだ先のことですし、高知県として何が出来るかということは自信がありませんけれども、その開催についても、もちろん協力をしていきたいと思いますのでよろしくお願いしたいと思います。

 あと国体は、開催で、イベントで終わってしまってはもったいないので、国体のためにいろいろ整備される施設をどう活用していくかということを、愛媛と高知だけでなくても、四国4県で考えて、いろんな大きなイベントというか、魅力的なイベント等を呼んできて、一緒に宿泊代が儲かるような経済効果を出していくことも必要だと思いますので、まだ今、夏の大会、秋の大会に向けて必死に取り組んでいるところですので、なかなかそこまでの余裕がございませんけれども、是非将来的にはそういうことも取り組んでいければなと思っています。
 
〇加戸知事
 特に、私どもの方、関心が強いのは、29年国体に向けて、開催会場あるいは施設の整備構想を立てていかなきゃいけないんですけど、要するに国体の会場になった後の、後利用ということですかね、活用というのが、どんな形で高知がなさっていかれるのか、それを念頭において整備を図っていかなきゃいけない。そんな意味で、先進開催県としてのノウハウを学びたいと思っております。

〇橋本知事
 前々から、国体の施設活用ということは言ってきているんですが、まず大会開催そのものをどうこなすかということが、現場としては精一杯で、なかなか今お話にありましたような先催県としてのパターンをお示しするところまでは至っていませんけれども、是非残された期間で有効な手段を考えて、一緒にそれを生かしていければと思っております。

【足摺宇和海国立公園指定30周年記念事業】
〇加戸知事
 国体を別にして、今年、高知・愛媛の連携事業としては、足摺宇和海国立公園がちょうど30周年ということで、現在事務レベルでは協調させていただいておりますけども、両県共通の大々的なイベントまではいかないとしても、体験型、参加型のイベントという形で、ひとつ気運の盛り上げをして、20年先には足摺宇和海に多くの人が来れるような、まず出発点にできればいいなと思っておりますので、この点も事務レベルの連携を深めて協力させていただきたいと思っています。

〇橋本知事
 聞きますと、アウトドアスポーツの雑誌に取り上げていただいて、いろんなイベントをやっていく準備をしているということを聞いておりますし、それぞれのキャンプ場というか、そういう施設ですね、本県で言えば「とまろっと」という中村のキャンプ場とか、愛媛県側も当然いろいろあると思いますけれども、そういうものを使ったイベントを考えているということでございますので、是非それは協力をしてやっていきたいと思います。

〇加戸知事
今回30周年ですけれども、50周年の時には「8の字ルート」が出来上がっていれば理想なんですけども。アクセスの面で整備されていないで、単に足摺宇和海公園と言っても、なかなか具体的に人は来ないだろうなという懸念がありますから。

〇橋本知事
 その時、高知県、愛媛県という名前が残っているかどうか分かりませんけれど。まあ、名前が残っていても、もっともっと一緒に取り組めるようになるといいと思いますね。

 例の西南空港の話の時に、地域の方が連携をということで、協議会というか話し合いの場を作られましたけれども、ああいう流れをですね、空港ということだけでなくて、そこにあるいろんな施設を活用していくとか、足摺宇和海周辺の公園に活用していくとかいうところに、もっと具体的な動きとして繋がっていくといいと思います。そのためにも8の字ルートという基本的なものは絶対必要だと思うんです。そのことも是非強く進めていきたいと思います。

〇加戸知事
 多分ご存知だと思うんですけど、野村町の緒方先生が音頭をとって、西南四国歴史文化研究会ということで、かなり西南地域は、愛媛・高知のメンバーを集められて自主的な活動をされている。そういうのは一つのきっかけにもなるのかなという感じがしております。

【四国西南空港】
〇加戸知事
 あと話が出ました西南空港の問題も、大変こんな状況の中で難しくても、ささやかな小さなフラッグは立てたままで、夢が未来に繋がるような、身の丈にあった四国なりのささやか小さな夢は、まだ繋いでいきたいなと思います。現実的には非常に難しい問題があるとしても、いつかはそういう時期は来るんだろうなと、私は期待はしておりますけどね。

〇橋本知事
 僕も、3期目の選挙の公約に掲げておりますので、その点の重荷は背負っておりますけれども、公約を掲げた時点以降にですね、空港整備計画に対する見直しというか、そういう動きもございましたし、それから、全然別の要因ですけれども、高速道路の整備手法の見直しの議論というので、そういうことにまた地方からの負担が必要になった場合ですね、空港との兼ね合いはどうかとか、いろいろ状況の変化がございますので、その点は地域の方にもご説明していますが。

 今お話にありましたように、将来の夢というか必要性という意味では、当然必要なものだと思いますけれども、ただその整備のあり方が、今の国の基準のままでいいかという議論のやり方があると思いますので、これからも灯火としては消さずにということを、地域の方にも申し上げておりますし、話をずっと続けながら、可能性を是非探ってはいきたいと思っております。

〇加戸知事
 ともすれば、在来的なパターン、ルール、基準の枠の中で潜り込めるかどうかという議論じゃないので、むしろ時代も変わっていく中で、将来において西南地域に何が必要なのか、コストはどの程度で効果を期待するのかということで、発想を転換する必要があるだろうと思っていますし、また時代はそうなっていくのじゃないでしょうか。

〇橋本知事
 そうですね。工事費にどれくらい掛かるのかという試算をいたしますと、今の二種空港だなんだという国の基準の中での、これぐらいの施設が必要だという国に合わせた積算になってきますね。

 そうだとなかなか難しいねとか、地元の負担がどうだというところで、にっちもさっちもいかないということになりますので、ちょっとそういう議論は横に置いておいて、本来は最低限、どういうものがどう必要であるか、またその整備の手法としてどういうことが考えられるかというのを、ローカルスペックというかですね、地方独自の形として考えてみて、それが国の動きの中で認められていくかどうかというふうなことも一つの選択肢ではないかと思います。

【8の字ルート】
〇加戸知事
 8の字ルートの話に触れられましたけれども、これは愛媛・高知両県として、目下の最大の関心事でもありますし、特に道路公団の見直し問題とのリンクで、第三者機関がどんな方向性を出されるのか、かなり影響は大きいなとは思っております。高知でいえば中村まで、愛媛でいえば宇和島・津島までということが、現時点でのターゲットでもあります。将来的には8の字の方向性がどうなるかという問題はあると思いますが。

 今、国の方で言っております一つの考え方が、在来的な4車線、暫定2車線でということではなくて、もうこの路線は2車線で、中間分離帯を作ってコストダウンを図っていくという方向性にはついては私も賛成です。しかも8の字ルートに関しては橋本知事も同意見だと思いますけれども。

〇橋本知事
 先ほど空港の話でもちらっと言いましたけれど、これからはやはり、地方独自という形になるか、新しい国としての基準ということになるかは別としてですね、従来の構造基準にこだわらずに、今の時代に、そして地域の要望と合致できるような基準で整備をしていくということが必要だと思います。

 このことは、かなり国も理解をされて、道でいえば一般道から高規格の道路に至るまで、かなり地方整備局としても、国土交通省としても御検討いただいていると聞いておりますし、認識しておりますので、是非、今お話があったような形で、8の字が進むのであれば、それはもう、私もそういう形で一日も早く進めてもらいたいと思いますね。

 ただ、国のいろいろな関係機関の議論を聞いていますと、あくまで従来型の借金をして作っていくという手法が、特にこれだけ金利が安い時代だから、今こそインフラ整備にそれでいくべきではないかというご議論と、はたして、これだけ都市部からいろんなご批判がある中で、そういうやり方でいくのか、やっぱりこうなったら一般財源の中から作っていく、そして地方も負担するという手法を考えないといけないということで、まだいろんなご議論があるように思いますので、そこらへんの流れをもう少し見てみたいという考え方もあると思いますけれども。

 方向としては、先ほどお話しになったような、最初から2車線でということで十分だと思いますし、地域の方々も概ねそういうご理解だろうと思います。そこに一定の地方の負担という新しい法律のルールが出来れば、そのことも十分、額と割合によりますけれども、負担できる話だと思いますので、そういうふうな手法を、是非また四国4県、連携しながら議論を深めていったらいいのではないかと思います。

〇加戸知事
 基本的に、今の道路の整備のパターンが、借入金方式、繰越償還方式による道路公団の高速道路と、それから直轄の地域高規格道路と、2つの住み分けがありますね。高速道路に関しては、今、暫定2車線ではない2車線そのものという考え方が出てきておりますけれど、まだ地域高規格道路の場合は4車線であって、地域高規格道路の2車線という案は出てきていませんけれども、これもいずれは出てくる可能性があるのかなと。その時はそれで私どももついていける、少なくても西南地域に関してはそうかなと。

 大切なことは、宇和島から中村までアクセスすることであって、道の規格がどうだこうだと言うよりも、道が出来ることが一番大切ではないのか。そういった点では、全国初めて、2車線の地域高規格道路があってもいいのではないか。それに対する愛媛・高知の地元負担も当然覚悟の上だと、それくらいの気持ちで8の字ルートの早期完成に向けてスクラムを組んでいけたらありがたいなと思っております。

〇橋本知事
 それは同じ気持ちでございます。是非そういう形でいきたいと思います。

【四国全体でのリサイクルシステムの構築】
〇加戸知事
 話題は変わりますけれど、環境問題として、先般も徳島でのNHK4県知事対談の時に、雑談程度に出たようにも思いますがリサイクル問題です。それぞれ四国の中で、リサイクル事業はこれから広がっていくだろうし、一方においてリサイクル事業を成功させるためには、リサイクル資源の有効的な、効率的な収集ということとリンクさせないと、なかなかうまくいかないだろう。

 そういった点では、四国でのリサイクル事業が成り立つためには、四国4県にはすべて原資を責任を持てとは言わないけれど、協力してリサイクル事業が成り立つような、そんなシステムづくりが急がれるのではないかという気持ちがあるわけでございまして。

 今、四国4県で「四国はひとつ推進費」ということで、無目的な各県1千万円ずつ組んでいる予算を活用して、そういった調査研究、推進を図っていったらどうかなという気持ちがあるものですから。これは両県で決めるだけじゃなくて、四国4県の知事会議でこういう形を提案させていただいて、環境問題の一つの改善策としての、リサイクル事業推進に「四国はひとつ」になって取り組んでいくという方向性が出来ればありがたいなと思っているんですけれども。

〇橋本知事
 「四国はひとつ」の調整費というか予備費というかですね、もう新しい年度に入りましたので、なるべく早く使い方を決めていって、具体的な取り組みをするということが必要だと思いますので、その項目として、今言っていただいた「リサイクルを四国全体としてどうしていくか」ということは、とてもいいテーマだと思いますので賛成をいたします。

〇加戸知事
 このことは特に4県がスクラムを組んでも、大切なのは市町村が協力してもらえなければ、実効性を欠くことになりますので、それぞれの県内の市町村に対しても協力要請をして、ご賛同を仰がなければいけないという問題があって、反対されるところはそうないとは思いますが。

 協力の度合い如何が、事柄の成否を決めることでもありまして、単にあてずっぽうにリサイクル事業を立ち上げてみたものの、資源が集まらなかった、経営不振で倒産したということにならないように、ある程度、4県がスポンサーシップというか、バックアップ体制を整えていくための、前提としてのシステムづくりというのが必要かなと思っています。

〇橋本知事
 予算づくりをここ数年やっていく中で思うんですが、資源循環型社会だというお題目というかテーマが、職員にもだんだん浸透してきて、いろんなアイデアが出てくるわけですけども、農業の中でも、畑作とか施設園芸分野は、その中でのリサイクルを考える。

 それから畜産は畜産で、畜産の中でのリサイクルを考える。建設関係は建設関係の中での、建設廃材のリサイクルだ、汚泥のリサイクルだとかいうことを、その分野その分野で考えていってですね、そうするとなかなか需給のバランスが合わないという問題が一つあると思うんです。そこにもちろん、法とか省庁の壁の問題もありますけど。

 そういう問題が一つありますし、それからゴミは、一般廃棄物それも生活系のゴミと事業系のゴミと、そして産業廃棄物ということで、法体系もまた違ってですね、そこの乗り入れ、市町村を越えての持ち出しの問題だとか、各県がそれを受け入れることにしているかいないかとか、いろんな問題がございますので。

 ここまで資源循環型ということが出てきますと、そういう法の壁、省庁の壁、市町村・県の壁、そういうものがあるということを前提にしながら、どういうものが資源としてあり、そこにどんなバリアというか規制の壁があるかということも一つずつ検討してみないといけないと思います。是非、4県で可能性があるものを出して検討することが必要だと思います。逆に取り合いになるような状況も多分出てくるだろうと、そういうケースもね‥‥

〇加戸知事
 それは理想的ですけどね、そこまでいけば。

〇橋本知事
 と言うのは、本県にはセメントの会社がございまして、そこがいろんな廃棄物を原料として使われるということで、ある廃棄物関係の物を、県内での物を受け入れたいと、ただどうせならば四国4県の同じような物を集めてみないかというお申し出があった。

 ただ一方で、その対象の廃棄物を使ってですね、別の物作りをしようという動きがあって、そうなると、なかなか調整が難しいということがありますので。そこらへんの情報も、最初から持ち出し合ってですね、企業に関わることで、名前を出せないということがあるかもしれませんけど、是非協議会の中では、「そのような話がある」ということを出してですね、4県で廃棄物担当の会を作って、具体的な話をして、先ほどの予算を使って少しシュミレーションしてはどうかなと思います。

〇加戸知事
 そうですね。先ほど橋本知事がおっしゃった「それぞれの法規制が違って分野ごとでいろんなバリアがある」とするならば、場合によってはそのバリアを取っ払ってもらうような、「四国全体として廃棄物利用を確立するためには、この法規制は不要だとか、こういうところを緩めろ」とかいうのを、積極的に。

 言うなれば、規制というのはいい目的のために存在しているはずなので、そういった点も思い切って。既成のシステムの中だから出来ないと諦めてしまうのではなくて、そのバリアを取り払うことも含めた形でのシステムを構築ということが必要かなと思います。

〇橋本知事
 と言うのは、県内でですね、詳しい内容は忘れてしまったんですが、JAで、ある廃棄物利用の施設を作ってやられたんですけども、そこから出てくる分だけではなかなかペイ出来ない、それで他の物も入れてやろうとすると、補助金の対象外ということになって、適化法にふれるというような問題も出てくる。かといって四国4県から集めようとすると、また市町村を越えてうんぬんという陳情を受けたことがございます。具体的なバリアがどこにあるということを忘れてしまったんですが。

 これから資源循環を考えるときには、そういう枠を越えて、必要な需給のバランスをとっていくということでないとですね、ゴミを資源として活用するという理想は誰も反対しませんけれども、結局は出来た物が販売できないとか、需給バランスが全然合わずにペイしないということで頓挫したこれまでの事例がございますので。

〇加戸知事
 小さな例なんですけど、愛媛県内でも杉の端材を使った割り箸工場が、野村町でせっかく出来たんですけど、結局材料が集まらないで倒産して解散になりましたけれどね。

 だから、何かいい目的のためにやろうとしても、結果的に見通しが甘くて、あるいは今の需給バランスの話じゃないですけど、資源が手に入らないからダメになるとか、そういう分野かなり多いだろうと私は思います。

 特に、今申し上げたリサイクルシステムの構築に関しては、スタートさせてみたものの、あとは、「企業努力が足りなかった。市町村の協力が得られなかった。はい、さよなら」では困るんで、ある意味では、4県がそれぞれ最終的には連帯責任みたいなつもりで、取り組まなければならないのではないかなと。

〇橋本知事
 そうですね。今の端材のお話のような、これまでの失敗例をいくつか出してみるというのも必要なことかもしれませんね。今のお話にあったように、材料である端材が集まらない、材料が集まらない場合と、出来た、作るのは作れるけれども販売できずに、販路が確保できずに野積みになって潰れてしまうという、本県でいえば、畜産のし尿を使った施肥づくりということが、いろいろな所で行われていたんですが、なかなか販路としてキチンと確立できない、そのために結局出来た物が野積みになって、そのままということがありますので。失敗例の壁が何だったんだということも検討する必要があるだろうと思います。
 ちょうど四国4県ぐらいが‥

〇加戸知事
 一番適正な規模でしょうね。

〇高知県橋本知事
 一県一県じゃとても、需給の、材料を集める方の問題も、それから販路、マーケットという点でも、両方、県単位だと出来ないんじゃないかという気がしますので。

〇加戸知事
 ちょうど「四国はひとつ」の典型的な事例として、少なくてもリサイクルの資源確保並びに販売の自給自足的な意味での、一つのいいモデルになるのじゃないかと思います。

〇橋本知事
 是非、それは期待されますね。

〇加戸知事
 ではこれは、6月の4県知事会議で、是非提案させていただきたいと思います。

【水源税など四国全体での水源かん養・水源林整備】
〇加戸知事
 あと、今高知県が進められています水源税の問題をはじめとして水源林整備の問題があります。大変、愛媛県も関心を持って見させていただいているので、高知県がいい形で着地してもらえれば、愛媛県もついていきたいと思っております。

 特にそういった点では、愛媛県も実は、四万十川や仁淀川は水源林的な立場にもなっておりますから、そういう意味で、これも4県が共同してできる例であろうなと思っております。特に、現在香川県が高知県に非常に、県を越えたそういった共同のシステムづくりを進められていることは、ありがたいことだなと思っています。それが四国全体に広がっていけばと思っております。現時点での進捗状況をお聞かせいただけたらと思います。

〇橋本知事
 県としての、「水源かん養税」という仮称で呼びますけれど、これの検討プロジェクトを去年の4月からスタートさせまして、去年の10月に2つの案をご提供しております。一つは水道水に税金をかける、水道利用者に税金をかけるという、これは法定外の目的税になります。

 もう一つは、従来からの県税に超過課税という形でいただくと、つまり水道利用者に限らず広くいただく、という二とおりの案を出させていただき、それをもとに市町村の首長さんの御意見ですとか、県民の御意見をいただいているところです。 

 アンケートですと、やや水道利用者への課税の方が40数%で、県税の超過課税の方が30数%というパーセンテージになってますけれども、まだまだいろんな問題点がありますので、公平性の問題とか様々な問題がありますので、もう少し議論が必要であると思っております。

 それから、使い方をどうするのかということが大きな議論でして、要は使い方が単に啓発だなんだと曖昧なことになるとですね、「今の一般財源でも十分できる範囲ではないですか」と。特に、水道水への課税にしろ、県税への超過課税にしろ、いずれも年間で1億から2億の間くらいの金額でございますので、「それくらいであれば一般財源から捻出をしてやっていける範囲ではないか。あえて新しい税という負担を県民にお願いするだけの理由がどこにあるのか」という議論がございます。

 そういうご議論に対して、使い道をどうするかということを、もう少しやはり従来の一般財源でやっていたこととは違った重点の置き方とか、そういうことを検討することも一方では必要だと。例えば、今問題になっているのは、不在村の、その地域におられない所有者の森林をどうするかという問題がございますので、こういうことに少し重点を置くとかですね、これはもう一例でございますけれども、そのようなことを考えていくということがあると思います。

 一方で、こういう税をつくる意味は何かと言えば、広く、高知でいえば高知の県民の皆さんに、森林の大切さということ、森林資源の環境に与える公益性の問題とかいうことを理解していただいて、みんなでもう少し森づくりを、森林を大切に育てようという気持ちをもっていただくと。それを単に高知県だけではなくて、四国全域に広げ、そして全国に。

 これまで森林交付税だ、森林債だと言ってきましたけれども、なかなかいろんなことがあって動かない。それから環境税のようなものもそう簡単には動かない。という中で具体的に法定外の目的税になろうと、県税への超過課税になろうとですね、新しい形を作り、それを高知県、四国4県、という形で打ち出していくことがですね、一般財源の中で事業をするよりも、はるかに全国に森林の問題を訴える、アピールする力があるんじゃないかというようなことを、県民の皆様にお話をしながら、ご理解をいただこうとやっております。

 そういう中で、香川が、嶺北、早明浦ダムがございます地域ですけれども、ここの森林の間伐の補助にですねかなりの予算を組んでいただいたことは、とてもすばらしいことだと思います。県境を越えたこういう予算の措置というのも、全国にほかにございませんので。こういう動きも、同じ動きの流れの、大きな一歩ではないかと思います。

 徳島県さんもご承知のように一定の準備をされておりますので、是非進み方の差はあるにしろ、そういう議論を積み重ねて、四国4県での何か取り組みとしてという方向を目指したいと思います。

 あと県議会からのご提案もあって、「何か山のことを考える、森林のことを考えるような『山の日』というものを作ったらどうか」というご提案があって、「それは是非やってみましょう」ということを言っております。具体的には来年度からになろうかと思いますが、今年もできれば「山の日」という形で、それぞれ、県の職員は少なくとも山に出かけてボランティアをやるなり、山の実態を見るなり、県民がこぞって山のことを考えたり、行動に移したりするということを是非やりたいと思っています。そういうムーブと、水源かん養税ということが一緒になっていけばいいなというふうに思います。

 あと、水源かん養税と言っているんですが、「言葉がわかりにくい」と、それから「水源の問題だけではないんではないか」といういろんなご議論があってですね、名前の、ネーミングの付け方というのも大きなポイントかなと思います。名前の付け方にもアイデアがあれば、加戸知事個人のアイデアということでなくても、また県民の皆さんからアイデアをいただければと思います。

〇加戸知事
 この問題は、現在、税制の中では、国税と地方税、地方税も都道府県税と市町村税であって、どうもこの水源かん養税みたいな感覚の動きというのは、あえて四国州税ならふさわしいけれどもという感じですね。本当は、そんな形の取り組みが出来ればいいんだろうなと思っております。

 なぜ、先ほど、高知がトップバッターで、愛媛は抜けるかと言いますと、それは本県の特殊事情があって、一つは水道に付加する話だと、西条市は、ほとんど井戸水を使用していますから、ここには税金がかからない、しかし山の恩恵を受けているだろうという点はどうするのかとか。あるいは四万十川・仁淀川上流の方は、全部高知へ水が流れるのを、何で愛媛県の税金でやるんだという問題もある。そういった点では、四国税向きかなという問題が一つあることは基本なんですけど。

 そういった点で、実は愛媛県は、水源税の問題はやや高知の様子を見ることにとして、県内だけに流れている肱川流域を、今のところ、5カ年計画で水源の森林(もり)推進モデル事業と称して、国費、県費、市町村費入れて、5カ年間で72億円の強力な間伐・造林事業をやっていこうということで去年スタートさせて。今年は、松山地域の重信川流域を5カ年で26億円という計画をスタートさせて。

 是非、これはかなり将来的には財政負担につながりますから、早く水源税みたいなシステムで財源補填ができると、全県的に広げられるかなという発想を持っているものですから。そういった点で、是非、高知県で先端事例として成功していただいて、ゆくゆくは将来の四国の州税的な意味合いで、4県がスクラムを組んだ形で行けるといいなと思っております。

〇橋本知事
 そうですね。香川県さんの早明浦の嶺北周辺への補助というのも、背景には、香川県さんとしても、高松をはじめとする実際に早明浦の水で上水を補っておられる方々にすれば、そこの税金が、しかもその水道水を直接かん養している地域の山へ行くということへのご理解が得られても、一般的にそこで払ったものが、関係のない、本県で言えば、四万十川の流域にいくということだと、なかなかご納得がいただけないということが背景にあろうと思います。やはり、それぞれの県のご事情が、今のお話でも、西条とか、島もいっぱいありますから‥‥

 そういうことから言えば、将来的には四国州というか、四国全体としての支えあいということができれば本当に素晴らしいと思います。そういうものを、お話があったように、肱川流域、重信川流域というふうな形で、各県が計画づくりをしてやっていることに、共同で出していけるということが一番いいと思います。是非、将来的には繋がるようにやっていきたいと思います。

〇加戸知事
 接続が上手くいくようなシステムが、インターフェイスがリンクしているとなおいいと思います。

【四万十川条例】
〇橋本知事
 あと、森林とか環境のことでいいますと、接続性にも関わりますが、四万十川の流域の保全と振興ということで「四万十川条例」というものを作ってですね、去年の10月から委員会をつくって、四万十川条例では重点地域を設けて、そこではいろんな土地の形状を変更する場合の権利制限だとかいうことも盛り込まれていますので、どういう形で権利制限をしていくのか。

 それからその地域内で行われる公共的な事業の場合に、生態系を守るために配慮していくその基準をどうするのかとか、様々な目標値をどう設定するんだということを、今委員会で議論していただいて、今年度議論をまとめて、15年度に来年度に、規則としてきちっとやっていこうと考えています。

 あわせて県内で流域の8市町村あるのですけれども、このうち中村市をはじめ5つの市町村は、この3月に議会で条例を可決をいただいて、4月から市町村の条例としても動いておりますし、残りの窪川と大正と十和ですがこの3町村も、6月の議会で条例案を提出する予定と聞いております。

 是非、連携性、接続性ということでいえば、上流というか、流域でございますので、この関係の愛媛県側の町村にもご協力をいただきたいと思っております。本県側の市町村と愛媛県側の町村と一緒に協議ができるような場づくりということでご協力がいただければと思っております。

〇加戸知事
 四万十川清流保護条例は、すばらしいと思っておりましたし、そういう意味では、上流水域の広見川流域も、高知県の方でお考えになっている水質保全基準その他の全く基準に適合した形で、同様な形で協力できるように働きかけたいと思っておりますから。

 言うなれば、四国はひとつの端緒として、四万十川保護のため、高知・愛媛流域町村が、すべて共通の基準で共通の方向を目指すということにさせていただければいいなと思ってますので、これは上流町村の方に、是非こういう形で指導をさせていただいて、そっくりそのままの基準どおりの条例が上流でも成立するように努力させていただきたいと思います。

【いやし・遍路を共同PRするテレビ番組】
〇加戸知事
 あと四国はひとつで、現在、昨年橋本知事の提案を出納長が代わりに提案されました、フランス国営放送のいやし遍路道のテレビ制作ということで、順調に進んでいるようでございますけれども、成功させていただいて、四国発のヨーロッパ向け第1号発信となってもらえばいいなと思っております。

〇橋本知事
 そうですね。いきなりヨーロッパに放映をし、PRをすることの意義はどうかというご議論もあろうと思うし、それからもちろん宗教性の問題でもご議論があったということもよく理解できるのですけれども、やはりこれから四国というものを売っていくときに、もちろん国内での放送も意味はありますが、ヨーロッパなど文化ということへ理解の高い地域に、こういう文化遺産を売り込んでいくということは、ちょっと大きなインパクトになると思いましたのでご提案をして、それぞれ、ご理解をいただいて大変うれしく思っております。

 実際に8月から取材に来られるということでございますので、是非いい形のものができればと思っておりますし、向こうでの、フランスの国営放送での放送枠を聞いてみますと、過去どれくらいの期間になるか分かりませんけど平均視聴率が17%あるという枠だそうでございますので、かなりの方がですね、夜10時と朝10時ですか、そういう枠のいわゆるNHKスペシャル的な意味合いの番組だと思いますけれど、1時間枠の50何分かの放送になると思いますので、これはもうインパクト、効果としては十分だと思いますね。

 今後、各お寺の中でもいろんなご議論があることを聞いていますけれど、経済同友会などから出されております世界遺産への登録申請ということでもですね、となりますと今度はパリに行かなくては(笑い)ということになりますが、一つのヒントになるかなと思っております。

〇加戸知事
 八十八ヶ所のお寺の境内にフランス語の標示も必要になってきますね。(笑い)

【広域観光】
〇加戸知事
 その他いろいろありますが、四国の観光発信としては、それぞれ事務レベルでやっていますけれども、高知・愛媛という観点からすれば、西側の56号線から197号線、193号線、高速道路等々たくさんのルートが繋がっているわけですよね。

 そういった地域、地域を重点にした共同の観光発信というのは、何とかライン、何とか線とか、ドイツで言えばロマンチック街道みたいなそんな形での、国道ごとの個別観光商品ということが出来たら、なおいいんだろうなという気持ちはありますけれど。まあ目玉づくりも大変でしょうけども。

〇橋本知事
 そうですね。高知県も、なかなか観光といっても、現状は厳しい状況なんですけれども、少しでも官民一体ということを進めるという意味で、従来の観光連盟とコンベンションビューローとを一体化した高知県観光コンベンション協会というのをつくって、いろんな事情から私がまた会長を引き受けざるを得なくなったんですが、つくりました。

 これももちろん高知だけということではなくて、四国4県でどう四国を売っていくか、高知どころか四国というものの露出度が少ないと思うんですね、大阪、東京という大きなマーケットに対して、代理店の方にどうもっていくか。

 その時に、四国というものをイメージとしてどう売るかということが一方であるし、一方で今おっしゃったように、パックとしてどのような商品を作っていくかということ、古くて新しい課題ですけれども、これからのとても大切な課題だと思いますので、是非それは手がけたいなと思います。

 特にこれからは、いわゆる団体旅行だとか社員旅行という時代から、家族だとか、女性の一人旅・二人旅的な、又は熟年御夫妻の二人旅という時代になっておりますので、そういう方々のための商品というものを、どうそれぞれの地域、地域で作っていくのかということが、とても大切だと思います。是非それをやっていきたいと思います。

 JR四国の梅原社長にも大変関心を持っていただいておりまして、今度6月でしたか、「何人かの方とご一緒に合宿をやるから来ないか」と誘われておりまして。是非そのようなことで、高知だけのこと、愛媛だけのことじゃなくて考えていければなと思っております。

 従来の、ただ景色を見るだ、場所を見るだという時代じゃありませんので、そういう時代に何を売っていくかということだと思いますね。

〇加戸知事
 関連して、今、愛媛では、河辺村から大洲・長浜までの「龍馬脱藩の道」なんて言って、そういう構想が進められておりまして、考えてみたら、脱藩の道、愛媛だけじゃないんで高知からずっと脱藩の道はあったはずだから、それを連結した形で、何かテーマの一つに出来るのかなと。これは観光というよりも、若干、歩け歩け運動みたいな面もありますけれどもね、一つのコンセプトだなと思います。

【フリーゲージトレイン】
〇加戸知事
 それから、お話の出たJRの梅原社長の話ですけど、愛媛・香川にとって、今フリーゲージトレインが大きな課題でございまして、当面、岡山駅で切り替え装置をどうするのか、それから宇野線の複線化で、かなりJR西日本の区間があるので、四国はどの程度協力できるのかというようなことを、愛媛・香川でいろいろ相談をしているんですけれども。

 正直言って、高知の場合、土讃線の電化がまだできておりませんから、テンポとしてこっちの方が先になっちゃうのかなと。しかし将来、土讃線の電化が出来れば、フリーゲージの恩恵にもいずれ浴することになるという視点で、岡山駅の改修あるいは宇野線の複線化等々での、いろんなある程度、愛媛・香川は財政負担を覚悟の上で、今取り組みをしておりますけど、高知県も将来を見据えて、ささやかなご協力を仰げる見通しがあるとなお‥‥

〇橋本知事
ささやかさの度合いによりますが‥‥(笑い)

〇加戸知事
いずれ、また、おってとさせていただきます。

【本四公団】
〇加戸知事
 あと、これは当然のことですが、本四連絡橋公団の民営化の中で、自治体の負担という表現が残ったままで今後議論が進められるということで。基本的にこれはもう、愛媛についてはしまなみ海道に300億既に負担して、またあと数百億の負担が重なる、高知も、おそらく2橋の方で100億くらいの負担をされておりますから、これ以上追い打ちをかけられてはいけないという点では共通認識だろうと思っております。

 過去のツケを今から払えという話と、8の字ルートを完成するために、将来、地元も負担の覚悟があるというのは、全然次元が違う話だと私は思っております。そういった点では、追加負担に関しては関係自治体は強力なスクラムを組んで、これを跳ね返す方向で一緒に進めさせていただきたいと思っております。

〇橋本知事
 そうですね。

【徳島県新知事】
〇橋本知事
 関係県というか、四国4県のスクラムということで言うと、マスコミの方もおられますから、ご関心は徳島に新しい知事さんが出られたということも、関心事じゃないかと思いますが。私は直接新しい知事さんにお会いしたことはないんですが。

〇加戸知事
 私もありません。ただ6月に、徳島が主催県で4県知事会議がありますから、そのときの議長役にもなられますから、どんな形での所信表明なりお考えの提示があるかということで、大きな関心を持っております。基本的には、今まで「四国はひとつ」で進めてきた4県知事会議の基本的スタンスは継承していただけるのだろうなという期待はしておるんですけれども。

〇橋本知事
 そうですね。少し言い過ぎかもしれませんけれども、いろいろ公共事業の見直しについても触れられていて、それはそれぞれの各県のご事情もあれば、お考えもあろうかと思うのですが、今日の話題で言えば、四国の8の字ルートなどは、単にそれぞれの地域の公共事業ということよりも、国の骨格としての国土づくりで、どういう役割分担をしていくかという問題と、骨格づくりがどうあるべきかということですので、それぞれ個別の公共事業のうんぬんということとは、少し、少しと言うよりも、遥かに性格が異なることだと思いますので、是非、そのことには四国4県協力してやっていくような体制になってほしいなと思いますので、そのことは私も是非働きかけをさせていただきたいと思います。

〇加戸知事
 私も新聞で拝見しただけですけど、選挙戦中、あるいは当選されてから、記事等拝見していると、吉野川第十堰はもちろん徳島固有の問題でございますが、徳島から阿南までの高速道路延伸についての凍結という記事が載っていたのが、ちょっと気になっていまして。

 徳島としては急がないという意味ならば理解できるのですが、ただ、どちらかと言うと8の字ルート全体についての消極論に連結されると、ちょっと特に愛媛・高知の立場としては辛い面もありますので、そのへん、ざっくばらんに本音なり考え方なり、4県としての共同歩調には、影響があるのかないのかだけは確認させていただきたいなと思っております。

〇橋本知事
 工事費の問題などは、ある意味ではオールオアナッシングの問題ですけども、共通部分の整備というのは、先ほどからの議論の中でもでてきたように、時代性の面での整備手法をどうしていくかという面でも、それから工事の工法の手法をどうしていくかといった面でも、選択肢が非常に数多くありうる問題ですね。

 従来のパターンで、従来のような財政手法で、従来のような構造基準でやっていくとこういう問題がありますよということが今提言されているわけですね。それに対して、それぞれ多くの方が、そうだね、それをどう新しい時代にあったものにしていこうかねということが、今議論されていることですので、そのことはかなり次元の違うことだと思いますね。そういう意味では合理的な議論が十分できると思いますので。

〇加戸知事
 そうですね。それは、今の痛み分けの構造改革という政府の方針を前提として、地方も当然に共通の痛みを分かち合うという考え方に異論はないですが、問題は四国の発展のための、将来の8の字ルートに関して、基本的なコンセプトが違うと困るので、テンポの、若干の時期的に早いか遅いかの、テンポのずれ程度の差ならば、これアクセスタブルなのですけれども、基本的な方向性を、はっきり4県として共通した意思確認はさせていただきたいと思っております。

【市町村合併】
〇橋本知事
 あと連携ということに直接は絡み合いませんけれども、市町村合併で、本県の場合は、私自身というか、県自身があまり積極的にいこうという姿勢をとりませんでした。地元住民の意見を、気持ちを盛り上げてという手法をとってきましたので、香川・愛媛に比べればかなり遅れている状況だと思うんですけれども、愛媛県の場合はどんな状況でしょうか。

〇加戸知事
 私は、積極推進論者として、パターンを示し、できる限り合併志向の地域には重点的支援ということで、予算面でも格別な色々な色づけをしたり、ある意味では県のイニシアティブとは言いませんが、全般的な方向付けをやって、努力をさせていただいております。

 かなり理解が得られて、順調に予想以上の動きがでてきていることを喜んでおります。ただ、おっしゃるとおり強制できる話ではございませんので、自治体自身が自分たちの未来を決められる、ただ決められるときに、後々後悔しないで暮らせるような、選択したツケは自分達が負うんですよという点で、覚悟の上で、合併するか残るか選択はいくつもあり得るんで、ただその材料提供と、合併した場合には、当然のことながら財政的な効率化が図られるわけだから、それなりの県としての目配りをしたいと、そんな基本線で進めてきたんです。

 もう一つは、将来の四国州を想定したときに、四国に200何十の市町村があったら、四国州知事はとても目が回って大変だろうという面も、将来的な意味合いも含めてあるわけではございます。

〇橋本知事
 高知の場合もようやく、正式な協議会の体制がとれるかどうかは別にして、首長だけという場合もありますし、議会も入っている場合もありますけど、協議会はかなりのブロックで動き始めるという形になってきておりますので、出足は遅れても、動き始めるところは動いてくるだろうと思います。

 その際には、知事の立場で、「個人的には」という言葉を使うのはおかしいですけど、「自分の思いとしては、せっかくやるのならば、できるだけ大きい形で合併をされてはどうかなあ」ということはいろんな場で言ってきております。

 やはり気持ちとしては、お隣近所ですとかよく気心のしれたところから始まるわけですけれども、そういう形の合併だと、結局は「国に言われ県に言われてやむを得ずやったね」という気持ちが残るんじゃないかと思いますし、あまりまた近いところだけでまとまりますと、例えば役場の場所をどうするのかとか、わりあいと、それがいつまでも残るのではないかなと思っております。

 そういうことよりも、市町村合併といえば、行政運営の、自治体運営の規模をどうしていくかということであって、それぞれの別にアイデンティティが無くなっていくということではないと思いますので、しかもそれは情報化やなんかで、補っていける部分が、かなり今後は出てくると思いますので、僕は、出来れば少し大きな単位でですね、むしろお互いの引っ張り合いなんかがないくらいの感じができれば理想的かなと思います。なかなかそうはいかないでしょうけれども。

〇加戸知事
 大は小を兼ねるけれども、小は大を兼ねませんからね。ただニュアンスとしては、高知県知事と愛媛県知事、太陽政策でも太陽の暑さが、温度がちょっと違うのかなという感じはしますが、決して北風政策ではないと言うことで。
 

(来年度の開催)
〇野本部長
 そろそろ予定の時間が参っておりますが、付け加えまして何かございましたら。よろしゅうございますか。それでは、最後になりますけれど、来年度のこの会議の持ち方などについて御意見をいただきたいと思いますがよろしゅうございましょうか。

〇加戸知事
 四国はひとつの話、それから高知・愛媛両県の2県に関しての意見交換をさせていただきましたけれども、非常に私としては、愛媛県にとってもありがたい機会だと思いますので、できれば来年度も引き続き開催していただいたらと思います。

〇橋本知事
 はい。それは是非こちらも望むところでございます。

〇加戸知事
 それから徳島県知事が替わられましたけれども、もし女性副知事が誕生されたら、四国で3人女性副知事になりますので、女性副知事会議もあわせて、開催できると意義があるのかなと。

〇橋本知事
 それもよろしいですね。

〇加戸知事
 よその県の人事にまで口を出しては内政干渉になりますが。(笑い)

〇橋本知事
 是非、それもそうなるように期待して。

(閉会)
〇野本部長
 それでは、どうも交流会議ありがとうございました。ただいま御意見交換をしていだきました中味で、事務的に処理が必要なものにつきましては、両県の事務レベルで協議を積極的に進めて参りたいと思っております。
 本日は、大変お足元の悪い中、ご遠方を来て頂きましてありがとうございました。


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