知事の定例記者会見

公開日 2007年12月08日

更新日 2014年03月16日

知事の定例記者会見

平成19年8月28日14時00分から(県庁二階 第二応接室)

(項目)
 ・高知女子大に係る補正予算 1
 ・安倍改造内閣 1
 ・知事の「意中の人」 1
 ・高知女子大に係る補正予算 2
 ・知事の「意中の人」 2
 ・知事のブログ
 ・退任表明後の心境
 ・働きかけの公表
 ・高知女子大に係る補正予算 3
 ・安倍改造内閣 2


(浜田:高知新聞記者)
 まず、幹事社から3点質問させていただきます。

<高知女子大に係る補正予算 1>
 県政課題からですけれども、県議会の6月定例会で補正予算から修正・削除された高知女子大のキャンパス移転予算なんですけれども。9月定例会にあらためて提出する方向なんでしょうか?

 昨日は担当の政策企画部長とも協議をしたようですが、庁内の議論の状況、これは財政サイドも含めてですけれども、それと女子大とのやりとりも含めて、その見通しをお聞かせください。

(知事)
 9月の補正予算に女子大の既存学部を池キャンパスに統合するための造成工事と建築工事の予算を提出することにしております。県立大学の改革にはいくつかの大きな柱があると思いますが、その中でも特に大きな柱は既存の学部を池キャンパスに統合することによって、高知医療センターと連携をして保健・医療・福祉の人材の養成を図っていくということにあると思います。特に本県は少子高齢化が全国に先駆けて進んでいる県ですし、そうしたなかで医療の高度化とか保健・医療・福祉の制度改革が行われるという状況を考えますと、県民の安心・安全を守っていくという上からも非常に重要な事業で仕事だというふうに思っています。

 このために(平成)21年4月に看護学部、社会福祉学部、健康栄養学部、学部への昇格ということも含みますけれども、それぞれの定員増ということを実現していきますために、先ほど申し上げましたように池キャンパスでの造成工事、施設の建築工事の補正予算を9月議会に提出したいと考えています。

 少し細かくなりますが、各学部の持つ意味というものをお話しいたしますと、看護学部は皆さまもご承知のとおり東京大学と同じ時期に看護教育を始めたという極めて歴史と伝統のある学部でございますし、また国際看護師協会の会長や日本看護協会の会長を輩出しているという実績のある学部でございます。

 また、こうしたことからも21年4月以降も高度医療、さらには急性期医療などに対応できる、高度な技術を持った看護師を養成していく。また、さらには看護の現場をトータルでコーディネートできる、看護の管理というような分野の仕事もできるように、そういう人材の養成も必要だというふうに考えています。

 併せて今看護師・助産師の不足ということが言われておりますので、県内からの推薦枠の拡大でございますとか、また助産師・看護師等の奨学金ということを活用して人材の確保に努めていきたいというふうに思います。

 また、次の社会福祉学部ですけれども。社会福祉士とか精神保健福祉士という国家資格に関しましては、その合格率が全国でもトップクラスという実績を持っていますので、こういう実績というものを生かして今後介護予防から終末期に至るまでのトータルのニーズに答えられるような人材育成が必要になってきていると思います。

 もう1つの健康栄養学部でございますけれども、先ほども申し上げましたような高齢化の進展また県民の中での健康志向の増大という中で栄養指導のスペシャリストでございます管理栄養士の役割というのは病院であれ企業であれ学校であれ、非常に高まってきております。併せて来年の4月からメタボリックシンドロームに着目しました健診や保健指導というものが義務化をされます。この指導を担えるのは、医師と保健師と管理栄養士ということでございますので、管理栄養士の役割はこういう面からも非常に増大をしてきているというふうに思います。

 以上が3つの学部の今緊急に持っている課題ということになりますけれども。さらに今後の医療、介護福祉の現場ということを考えますとそれぞれの専門の方が専門の分野で頑張るということはもちろんですが、それだけではなくて医師、保健師、看護師、また社会福祉士や精神保健福祉士、管理栄養士などなど、いろんな資格を持った方々がチームをつくって、そして個別の患者さんなり介護を必要とする方なりの対応を、チーム医療、チーム介護というかたちで進めていくことが必要になってまいります。このためにも大学教育という観点では、やはり学部がより緊密に連携をする。さらに、臨床の現場と密接な関係を持てるような教育のフィールドをつくっていくということが必要ですので、この観点からも既存学部の池キャンパスへの統合、そして高知医療センターとの連携ということは極めて急がれる仕事だというふうに思っています。

 もう1つの大学改革の柱でございます社会科学系の学部に関しましては、現在大学と協議はまだ進行中でございますけれども、その中で定員が100人から200人の4年制の大学で経済、法律といった専門知識を身につけることはもちろんのことでございますけれども、環境だとか健康だとか地域のニーズにも応えられるような、そういう人材を育成していこうという方向で今協議を深めております。より早く協議を深めて、その全体像をお示ししていきたいということを思っています。

 こういうような状況が、大学との協議ということを踏まえての現在の県としての判断、考え方ですけれども、財政の面でも造成工事とか建設、建築の工事また備品の購入等々いろいろ工夫をいたしまして、これまでの予算額よりもなるべく縮減ができるようにということに努力をして、そうした金額でご提案をしたいという準備をしております。また、これまでのいろんな財政状況、財政の見直しなり検討の中で十分財政運営上見通しのつく金額としてご提案をしていきたいということを考えております。

 以上のようなことが庁内での協議の結果でございますけれども、やはりこの事業の大切さ、特に保健・医療・福祉の分野の人材を養成していく、その事業を21年4月から同時にスタートしていくということの大切さを広く、もう少しやっぱり県民の皆さんにも理解をしていただく、知っていただくことが必要だと思いますので、そのための努力ももう少し県として、していかなくてはいけない、したいということも昨日協議いたしました。以上でございます。

<安倍改造内閣 1>
(浜田:高知新聞記者)
 次は昨日行われました内閣改造についてです。

 新たな顔ぶれには改革派知事の同志だった増田寛也前岩手県知事も都市と地方の格差是正の目玉ということで起用されておりますが、与党が先の参院選で歴史的な惨敗を喫しながら安倍首相が続投していることについても含めて、どういう評価をしているのかお聞かせください。

(知事)
 派閥均衡だとか、少し従来型の組閣の仕方だというようなご批判はあるのかもしれません。けれども今ご指摘のあった増田さんを総務大臣に起用されるというようなことも含めて、全体的に安定感のある、安心感の持てる内閣ではないかと思っています。安倍内閣の続投ということへの評価ということを含めて言えば、選挙中に「小沢さんをとるか、私をとるか」という言い方をされましたので、それに対する国民の一定の投票の結果というものが出たにも関わらず、そのまま続投されるということの、これまで言ってこられた言葉との整合性という問題はあろうかとは思います。けれども、もう実際に続投されるというふうに決められて新たなスタートを切られるということを、その時点から考えれば、先ほど申し上げたように非常に安定感もありますし、また地方という立場から言えば十分地方のこともよく知っておられる、またこれまでの国とのいろんな分権に関する協議にも参加をされて、そのこともよく知っておられる増田さんが参加をされたということも含めて、とても安心感のある、安定感のある内閣ではないかというふうに期待をしております。


<知事の「意中の人」 1>
(浜田:高知新聞記者)
 代表質問の最後は、今県民の間で最も関心のある「意中の人」の件なんですけれども。
知事が、次の知事選への出馬を考えてほしいと打診をしていらっしゃる「意中の人」から、きょうの時点でイエスとかノーの回答があったのか。もし現時点でないのであれば、その方と今どういうふうなやり取りになっているのかお聞かせください。

(知事)

 その方とは8月1日に記者発表をしました後も、何回か電話なり直接お会いをして話しをしております。しかし、まだ前向きな回答はいただけておりません。私としては、自分の考えられる範囲では今後の県政を担っていただける人材としてはこの方しかいないというふうに考えておりますので、そういう思いを再度その方にも伝えております。

 併せて、私からは何月何日までというふうなことではなくて、もし公示の1カ月前になっても、半月前になっても、お出になるという気持ちになられたら、それはもう力いっぱい応援しますよということを申し添えて、なおご検討いただくようにお願いをしていますけれども、今のところ、やはりいろんなご自身の思いもございますし、周囲のいろんな環境ということも含めてまだ前向きなご回答はいただけていません。

(浜田:高知新聞記者)
 それは、最後のブログに7月6日に打診したと書かれているんですが、1カ月半以上過ぎているので、見通しとして厳しいのか、その方がかなり迷っておられるのか、それとも環境が整っていないのか、どういうふうな感触なんでしょうか?

(知事)
 本当の真意というか、本意のところは自分でもつかめているかどうかは分かりません。けれども、私はまだ迷っておられるというふうに受け止めております。

(浜田:高知新聞記者)
 幹事社からは以上です。各社、質問があればどうぞ。

(田村:NHK記者)
 先ほどの、「意中の人」の関連なんですが。

 前向きな答えをもらっていないということで、現時点で向こうが言っている文言としては「ご勘弁ください」とかそういう、要はノーに近い答えなんでしょうか?

(知事)
 前向きな答えがもらえていないということは、どちらに近いかと言えばそれは今ご質問があったようなことになります。けれども自分の受け止め方としては、先ほどもちょっと申し上げたように迷われているのではないかと。やるという意識が全くご自身にないということではなくて、いろんな意味で悩まれているというふうに自分は受け止めています。


<高知女子大に係る補正予算 2>
(竹内:高知新聞記者
 女子大の件なんですけれども。
 前回6月定例会では事実上、執行部の案を否決するに等しい全額削除した修正案になったわけなんですけれども。今回また再度チャレンジするかたちになるわけなんですが、前回の予算案と今回提出を予定している予算案でこういう違いを県議会に理解していただいて賛成をもらいたいという、この一番の違いはどこにあるんでしょうか? 金額だけでしょうか?

(知事)
 いやいや、一番は少なくとも金額ではございません。

 やはりこの大学改革の必要性、そして今始めないと21年4月に間に合わないという緊急性。そういうことをもう一度きちんとご説明をしていくというところに違いがあると思います。もちろん予算案ということで言えば金額の違いということになりますけれども、提案理由なり、また委員会説明なり、議会での説明ということではきちっと今申し上げたような違いというものを明確にしていきたいというふうに思います。
 
 やはり、いくつかの柱、社会科学系学部の再編ということもございますし、それから保健・医療・福祉の人材の育成ということもありますが、この今の時点ではまずこの保健・医療・福祉の人材の養成、各学部のそれぞれの持つ意味、定員増の意味は先ほど申し上げましたけれども、それを、しかも既存学部の統合というかたちで池キャンパスで学部連携ができる。しかも医療センターという臨床現場を近くに持つと。こういうかたちで今進めていくことが県民の皆さんにとっても極めて重要な課題であると。数十億という金額であっても十分それに見合う、今やらなければいけない事業だということをきちんとご説明をし、ご理解をいただくということが、前の議会とは違うとは言いませんけれども、その点にやっぱり焦点をきちんと当ててご説明をしていくということをしていきたいと思っています。

(竹内:高知新聞記者
 そうしたら、計画そのものを「これをやろうと思っていたけど、ここはもうやめます」とかそういうことではなくて、説明を尽くすというほうに力点を置く。それだけ前回説明をしきれていなかったという反省のもとにということなんですか?

(知事)
 説明がしきれていないとは言えないとは思いますけれども、ご理解は十分いただけていなかったというふうには思いますので、ご理解がいただけるように。せっかく6月に続いて9月も提案をさせていただいて議論もしていただくので、十分そこをご理解の上で判断をいただきたい、ということが大きな違いだというふうに思います。

 それから何かをなくすという部分はないのかということに関して言えば、学部再編ということでは、まだ社会科学系の学部についても協議中でございますので、そういう部分を全くなくすとか元に戻すとかいうことでは、今の時点ではありません。しかし細かいことになるかもしれませんけれども、造成の工事とか建築の工事とかでは減額をしていくということの具体的な努力という点で、例えばエレベーターの基数を減らすというようなことを学校側にも「こういうところは我慢をしてくださいね」というように、これまでの予算では入れていたものをやめるというものがいくつかございます。

(竹内:高知新聞記者)

 全体図面が大きく変わったものが出てくるというわけではないわけですよね?

(知事)
 そうではありません。ただ、つなぐ通路のつくり方などをもっと安いかたちにしていくとか、そういうような違いはありますから。私も図面を見比べているわけではありませんけれども、全く図面が同じかというと、連絡通路のつくり方などを変えたりやめたりしておりますから、そういう意味での違いはあろうかと思います。

(浜田:高知新聞記者)
 確か6月議会で可決されなければ、21年4月の改革は難しいという説明だったと思うのですが、今回9月で、もし可決いただければ21年4月の開学が間に合うように、国とも調整がついたということになるんでしょうか。

(知事)
 答えを端的に言えば、そうですということになります。

 6月の時点では何も努力を怠っていたというわけではなくて、6月の時点の国との協議とか工事の見通しで言えば、あの時点でお認めをいただかないと3学部を統合しての開学ということは極めて難しいという状況でございました。ですが、国との協議で言えば文部科学省、厚生労働省の認可ということで出てきますけれども、この作業も全部ができる前に一部ができたところでそれを見ていただきながら次に進めるようにしていくとか、いろんなことで協議をして、21年4月に開学をしていけるというかたちの見通しが立ちました。

 それから、工事日程も少しそれをやりくりをする、切り詰める、前倒しをするということで21年4月に完成をして動き出せるという見通しがつきました。そのための予算の提出でございます。

(浜田:高知新聞記者)
 県側の努力として、入札の方式の見直しとかもするんですか?

(知事)
 入札の方式の見直しについては聞いておりません。昨日の協議ではそこの話は出ませんでしたから確認はしていませんけれども、総合評価でやると自分は認識をしております。 
 むしろ工事日程などの面で、整備の段取りの仕方とかそういうことでできるようにしたという説明でございました。

(岡林:高知新聞記者)
 6月議会では確か社会科学系の最終の部分まで含めて積み上げていくと、ざっと100億円というような十河(政策企画)部長の答弁もあったと思うんですけれども。それでなるべく縮減していくようなかたちで協議も進めてこられて、どれぐらい削減できるかというような具体的な数字というのは今知事として言えるものですか。

(知事)
 知事としてこの場で言えるかどうかというのは少しまだ難しいと思います。

 大体今の段階でこれぐらいはこういうことを実現していけば縮減できます、という説明は受けました。それは既存学部の部分についてもそうでございますし、それから今ご指摘のあった100億あまりという金額についてもかなり大きく削減をして…。

(岡林:高知新聞記者)
 それは10億円単位とか、そういうようなもので? 

(知事)
 単位としてはそういう趣旨でございます。
 
 今の単位は後者〔社会科学系学部まで含めた分〕のほうですけれども。


<知事の「意中の人」2>
(畑本:読売新聞記者)
 「意中の人」の話なんですが。
 
 以前も同じ質問をしましたが、今の段階でまだ色よい返事がないということですが。1カ月前までも頑張ります、とおっしゃるんですが、これでまた最後までその方が「よし、やりましょう」とおっしゃらなかった場合に、この人になら安心して預けられるという、その方にお預けできない以上、引き続き知事が続投しなければならないというふうにお考えが変わる可能性は、やはりいまでもないんですか?

(知事)
  それはございません。


<知事のブログ>
(浜田:高知新聞記者) 
 ちょっとブログについて。

 最後のブログを、いろんな思いが込められると思って、ちょっと私も何回も読み返したんですが。
先ほど、自民党というか今の内閣への評価はお聞きしたんですけれども、あのブログの中に、民主党批判のように受け取れる下りがあったので。

(知事)
 そうですか? 

(浜田:高知新聞記者)
 「抵抗する側は相変わらず地方への補助金のばらまきを求めるという、不毛な構図が続いております」とかという下りが。民主党の農家に対する個別保障制度であるとか中学卒業まで1人26,000円の子ども手当ての創設とか、そういうふうに受け取れるんですけれども、民主党の現状の評価はどうなのかということを。

(知事)
 まず、民主党の現状の評価ではなくて、そちらのブログの表現は民主党の言われている所得保障などを指してのものではございません。

 地方にもっと配慮をということが、本来ならばもう思い切った分権をしていくとか、地方交付税をきちんとあるべき姿に見直していくということが成されるべきなのに、そういう分権とか一般財源としての地方交付税の確保という趣旨ではなくて、従来からの補助金を国会議員なり何なりが確保して地方に配分をしていくというような、「抵抗する」というのはそういう趣旨。昔小泉さんが言われたような抵抗勢力という趣旨で申し上げておりますので、民主党のことをイメージした文章ではありません。

 それで、民主党に対する評価というか自分のイメージですけれども。やはり今もって小沢さんのグループ、それから前原さんや岡田さんたちのグループ、それぞれ分かれているかどうかよく分かりませんけれども、それに社会党系のグループだとか菅さんのところ、鳩山さん、いろんな方々がおられて、その「いろんな」というのは自由民主党ももちろんいろんな方がおられるんですけれども、何か、全く相容れないような考え方の方々がそこにいて、という自分の印象というものがなかなかぬぐい切れません。特に従来からの官公労の流れを汲むような1つの塊だとかものの考え方というのは、アレルギーというとちょっと言葉に語弊がありますけれどもやはり抵抗感がありますので、そういう意味から、もし何か新しい活動をするということを自分が決断したときに、そちらにシンパシーを抱くというものでもなかなかないなと、民主党の側に。

(浜田:高知新聞記者)
 民主党の側にですか? 

(知事)
 ええ。

(浜田:高知新聞記者)
 それを裏返せば、挑戦するなら、もう自民党か無所属でという? 

(知事)
 いや、それは何が起きるか分かりませんので。
 
 政界再編もあるかもしれないので。分かりません。

(浜田:高知新聞記者)
 それと、このブログにちょっとこだわるんですけれども。
何回も読み返した中で、今回の出馬宣言の伏線として、去年の7月にお兄さんが亡くなられたときに遺影を見て何かを託されたような思いがしたと。

 で、それに続けて「「俺の落し物を拾ってくれ」と、言っていたのかもしれません」と。ここがちょっと文章上も1つぽっかり浮いているんですけれども。この「落し物」というのは具体的に言ったら何かを指しているものなんでしょうか? もっと漠然としたものなんでしょうか?

(知事)
 そこはまさに、そこだけ浮いているというのはもうご指摘のとおりで。ふっと、そういう文章を入れたらどうかなと、後で思いついて書き入れた文章です。夜中にバーッと書いたときには入っていなかった文章なので。読み取られたとおりのつくり方の文章なんです。

 そこで言ったのはあまり具体的なことではなくて、少し情緒的に何か自分がそのとき感じた気持が伝わる言葉があれば、と思って「落し物」と書きましたけれども。具体的にそれが何かに対する反対だとか、こういうことを進めるというところまで自分で頭で咀嚼して書いているわけではないんです。

(浜田:高知新聞記者)
 お兄さんがやり残したことを自分が国政の場でやってみたいとか、そういうことではないということですか。

(知事)
 婉曲に言えばそういうことなんです。だけど具体的にそう答えると「それだったら、それは何ですか?」ということになるので。それに答えられるような内容は持っていません。
けれども何かそういうものを兄が伝えたということを、遠まわしに。遠まわしという表現もいけないかもしれませんけど。

(浜田:高知新聞記者)
 何か意味があるんじゃないかなと、ずっと引っかかっていたんですけど。
それと、この段階でブログをやめることについて、最後まで、任期いっぱいまでやってほしかったと。私たちもカギ括弧つきですけど知事の肉声として興味深く拝見していたもので。なぜこの時期にやめたかというのは説明はできますでしょうか。

(知事)
 それは、ブログを書くのにはやはり相当の労力を要します。すぐ1週間、2週間経ちますので。土曜、日曜の夜中だとか休みを使ってだとかということになるんですが。もう、自分の残された知事としての期間が3カ月ということになってきますと、やっぱりそのことに集中をする。きょう一番のご質問であった女子大の問題だとか、そういうことにきちんとやっぱり集中をしていく、もう残された3カ月だろうということを思いましたので。

(畑本:読売新聞記者)
 ラジオ(番組)のほうも、知事選が近いからという理由で収録のほうが一時中止なっているのとタイミング的に合うんですが、何か示唆があるのかな、とかは。

(知事)
 ラジオはもともと前の選挙のときもずっと3月末までで終わっていたんです。で、今回はなぜか3カ月だけ延長をということになりましたので、4、5、6月までしました、ということであって何の脈絡というかつながりはありません。


<退任表明後の心境>
(田村:NHK記者)
 8月1日に知事を退任するということを表明されてから1カ月近く経ったわけですけれども。知事を辞めてからの今後についての、自分自身の、こういうことをやってみたいとか思いというのは、あの時点から何か変わっていますでしょうか。例えばいろんな反応とかもあったと思うんですけれども。

(知事)
 あの時点から何か変わっているかというと、前に突っ込むという意味でも、後ろに引っ込むという意味でも変わってはおりません。いろんな反応はもちろんお聞きをしておりますが、いろんな受け止め方がありますので一概な言い方はできませんけれども「何をばかなことを」というような反応というものはこれまではございませんでした。


<働きかけの公表>
(岡村:高知新聞記者)
 知事は透明性ということでずいぶん取り組んでこられたんですけれども、その中で働きかけの公表ということを始めましたよね。この公表の件数が、ちょっと少ないという感じがするんですけれども。減ってきているというか。

 ちょっと現実論から言うと、いろんな議員なり団体が結構各部局に行って、あるいは知事のところにも入り、話をしているわけですよね。そういう件数から比べると働きかけの公表件数があまりにも少なすぎるような気がするんですけれども。
そういう違和感は、知事は持たれてないですか? あるいは、どこまでが働きかけというとらえ方はさまざまですし、そこはちょっとまだ整理しないといけない部分があるかもしれませんけれども。知事は、そのへんの違和感は持たれていないですかね?

(知事)
 違和感は非常に強く持っています。それが知事を辞めようと思った原因の1つになっているわけでは全くありません。けれども、やはり長く知事をやっている中で、自分自身がいろいろ人とお話しをする中で気軽に相談を受けたりする話を、本当は働きかけに属することではないかなと思っても、相手がそういう意識で話されていないと、なかなかそれをいきなり「働きかけとして上げますよ」ということが言いにくくなると。それをしがらみと言えば、それも広い意味でのしがらみかなということは正直感じました。それで、知事が12月に交代をするというときに、どなたが知事になるにしろ、この働きかけのことは県の職員が仕事をしやすくしていくためにも、また透明性を高めるという意味でも、情報公開というのは基本的にルールが相当でき上がって隠せる状況でもありませんし、またあまり隠そうという意識も職員の中にももう残ってはいない時代だと思いますので、次はやはりこの働きかけということをきちっと整理をしていけば、議会などとの関係ももっといい、すっきりとした政策論争というかたちになっていく。議会の議員さんだけがどうということではありません。それは団体との間もそうですけれども、そういうふうになっていくと思いますので。このことは次に新しいスタートを切るときにはぜひ重要な事項として県の職員の皆さんにも引きついで、もう1度出直してほしいなというふうに思います。


<高知女子大に係る補正予算 3>
(竹内:高知新聞記者)
 ちょっと女子大のことに戻るんですけれども。

 6月議会から今度の9月議会の間に退任を表明されたわけなんですけれども。このことを取材していまして、議員さんの中にはそれだけ巨額の県費を将来的に投入する事業なんだから次の知事の判断に委ねたらどうか、という意見を持ってらっしゃる方もいるわけですね。今回のご自身の退任の表明が今度の女子大のこの議案の審査、採決になんらかの悪影響が出るんじゃないかとかいうことはお感じになりませんでしょうか。

(知事)
 それは悪影響であってはならないと。悪影響であってはならないというのは、議会と執行部との関係でもならないと思いますし、それ以上に、やはり県民の生活ということを考えたときにそういうことが悪影響になってはならないと思います。知事の任期がどうであれ、やらなければいけない仕事は進めていくというのが執行部も議会も当然考えていかなければいけないことで。何か、事業の規模がいくら以上だから、そして知事の任期が後何カ月だから、それはそこで見送ることが事業全体を1年以上遅らせることになってもそれはいいじゃないか、というような理屈は成り立たないだろうと思うんですね。
 
 逆にまた、後何カ月だから、しかもこれだけの事業をやらなければいけないから、また向こう4年間やりましょうか、といえば「これだけの事業で、また4年間出るのかい?」というような言い方もできるということになります。そういう知事の任期と事業の金額で見比べるということではなくて、事業そのものが必要かどうかということが一番大切だと思います。

 知事の仕事、県政というのは私が中内さんから引き継いだときもそういうことを申し上げましたし、そういうつもりでやってきました。それは何も、革命を起こしたりなんかすることではないのですから。いつも連動して続いていくべきものだと思います。それで女子大のこの改革、特に池キャンパスへの統合というものは、先ほどご説明したように知事が誰であれ、この今県の置かれている保健・医療・福祉の状況から考えて絶対に進めていかなければいけない仕事だということを思いますので、そういうことはきちっとご理解をいただくように努力をしていきたいと思います。


<安倍改造内閣2>
(服部:毎日新聞記者)
 増田さんの入閣なんですけれども。

 地方分権、格差是正いろいろあると思いますが、特に期待することを地方の立場としてどのように考えていますか。

(知事)
 1つはやはり地方交付税のことです。それは、総務大臣になったから全てできるというわけではなくて、それは財務省との協議などいろいろありますけれども、やはり地方交付税の本来の目的は何かと。本来果たすべき役割は何かということを十分認識をされて、何か小手先のいろいろ地方への配慮ということではなくて、本来的に一般財源としての地方交付税の確保ということを十分認識をして、政府内の内部調整なりをしていただけるというふうに思います。

 また分権についても、さまざまな分権の委員会の委員長を務められ、具体的に国との協議にも担当者として関わってこられた経験者ですので、これまでの国の立場でものを考えていくということではなくて本当に地方の立場でこの分権の問題を考えたらどうかと、そのことでこの内閣の中に入って何ができるかということを考えて活動してくださるのではないかと。もちろん過大な期待をかけるとそれは増田さんにとって重荷になっていくということは地方の側として考えなければいけませんけれども。そこは十分、今申し上げたようなことが期待できるのではないかと思います。

(浜田:高知新聞記者)
 片山(善博・前鳥取県知事)さんとかは改革派の知事の中でも突破力がある方かなと思ったんですけど、増田さんというのは突破力というのはどうなんでしょうか。調整型にも見えなくはないんですが。

 竹中(平蔵)さんは小泉さんが後ろ盾になっていたので、賛否はどうあれいろんなことができたと思うんですけれども。これだけ求心力がなくなっている安倍さんに請われて入っても、本人にかなりの突破力がなければ入ってもなかなか孤立してしまうんじゃないかな、という気もしないでもないんですけど。そのあたりは知事時代の手腕も含めてどうですか。

(知事)
 ご自身も、今言われたような不安というか懸念というのは当然感じられて、だけど声をかけられたからにはやはり地方のためにやらなきゃいけないな、と思って踏み切られたんだと思います。

 このような状況の中で受けることが損か得かとか、また中に入ってどれだけのことができるかというのは、先ほど申し上げましたけれども大臣になったからといって内閣の中で何か思い切ったことができるということではありませんから、そういう意味では非常に不安というか懸念を抱えたままでの入閣だとは思いますけれども、「だけど…!」という思いを強く持たれていかれたんだと思います。

 そういう中での増田さんの能力ということで言えば、確かに役所のご出身ですから役所的な調整能力とかバランス感覚を十分に持った方です。それは突破力という点でマイナスの評価にもなるでしょうけれども、だけどやはり調整をしていくことによって、ゼロではなくていくつかをもぎ取っていくということも、当然協議、調整の中ではありうるわけですから、そういう力としては十分地方の代表を経験された方として期待ができると私は思います。

 お役人出身でも、いわゆる公務員らしさ、役人臭さというものの全くない方ですし、同じ知事のいろんな有志のグループの中でも非常にお付き合いしやすい方でした。そういうことから言えば、国民の目線というようなことを十分理解のできる資質を持った方だというふうに私は思っています。

(浜田:高知新聞記者)
 それと、もう1人目玉の舛添(要一)さんなんですけど。

 これは論評しづらいかもしれませんけど、あれほど首相を批判していて、結果何か長いものに巻かれたみたいな感じになっているんですが。ああいうことが国民の政治不信とかを招いているような気もするんですが。そのもう1人の目玉、プチサプライズの舛添さんの評価というのは、ちょっと脱線しますけれどもどうですか?

(知事)
 それは全く分かりません。

 パネルディスカッションで一度同席をしたことはありますが、直接そんなに深いお話しをしたことはありませんし、そういう場でお話しをすれば当然非常に紳士的に話しをされる方ですので何とも申し上げられません。

 きょうテレビの番組を見ていたら山本一太さん〔参議院議員・自由民主党〕が「舛添さんは「ばかに付ける薬はない」とまで言い切っていた」ということを言っておられたので、そこまで言って、内閣入りを受けるというのも、それはそれである意味の胆力かなとは思いますけどね。それを別に評価をするという立場にはないので。

(竹内:高知新聞記者)
 増田さんの入閣なんですけれども。

 正直、ちょっと先を越されたかなというような感じとかは持ちましたか? 

(知事)
 いや、それは全くないです。

(浜田:高知新聞記者)
 でも、こういうかたちもあっていいんじゃないかなというのは、知事がずっと考えていたことじゃないんでしょうかね?地方の代表として、特に総務大臣というのは。

(知事)
 そうですね。それはもちろんそうですね。

(浜田:高知新聞記者)
 それではよろしいでしょうか?

(知事)
 ありがとうございました。
 


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