知事の定例記者会見(平成17年11月議会臨時会)

公開日 2007年12月08日

更新日 2014年03月16日

知事の定例記者会見(平成17年11月議会臨時会)

平成17年11月21日8時50分から(県庁二階 第二応接室)


(項目)
 ・議案の説明(1)
 ・昨年の知事選以降の手応え
 ・三位一体の改革(1)
 ・議案の説明(2)(給与の減額調整)
 ・大阪航路のフェリー
 ・現在の心境
 ・三位一体の改革(2)



議案の説明(1)
(知事)
 臨時の県議会を今月24日に召集をすることにいたしました。提出をします議案は条例議案ばかり5件でございます。

 この中には職員の給与を改定するための条例議案、また私、知事と副知事の給料をさらに減額するための条例議案、また特別職の期末手当の支給割合を改定しますとともに、その適用の一部を据え置くための条例議案などがございます。

 このうち、職員の給与に関しましては人事委員会の勧告をいただきまして以来、本県の財政事情というものも踏まえまして慎重に検討をしてまいりました。

 その結果、委員会の勧告に沿った改定を行います一方で、昨年の12月議会で制定をされました職員の給与の減額に関する条例の趣旨を損なわないように、この4月から11月までの県と民間との間の給与の較差を調整するということで議案の提出をさせていただいております。私からは以上でございます。

(内田:毎日新聞記者)
 知事の給与の減額をされるということなんですが、先日の職員組合との協議の中で、知事のほうも全国で最下位レベルにしてほしい、みたいな要望がありましたけれども、それも一定含まれたという意味合いなんでしょうか。

(知事)
 もともと県民の皆さんにもサービスという面で痛みを分かち合っていただいておりますし、そうした趣旨で県の職員の給与にもかなり厳しい判断をせざるを得ない状況にございますので、当然私を含めて特別職の給与ということも同等に考えていかなければいけないと思っておりました。

 もちろん職員団体の皆さんとの話し合いということも、さらに自分の考え方として判断をするきっかけにはなっております。
 
昨年の知事選以降の手応え
(亀岡:朝日新聞記者)
 ゆっくりお伺いできますタイミングがあるかどうか分からないので今お聞きしますけれども。前回の知事選挙からちょうど1年になっていますけれども、この1年間の手応えを、県議会との関係とかを含めてお聞かせいただければと思うんですが。

(知事)
 県議会との関係は、以前とはいろんな面で表面的にも、またもう少し背景の部分でも変わってきたと思います。ただ、それが大きくガラッと変わったかというと、決してそうではございません。

 けれども、大会派も含めてでございますけれども、いろんなことできちんとした話し合いのできる関係になってきたとは思っています。

 また、そのこと以外での手応えというか、仕事の進み方ということで言えば、ますます三位一体の改革と称する流れの中で財政状況は厳しくなっている。それに対して県庁の組織体制というものも、量的にも質的にも大きくあらためていかなければいけないと。

 ある意味時間との競争というか、急いでそういう切り替えをしていかなければいけない時期で、なかなかそのことが自分もうまく職員にも伝えきれていないということは思いますけれど、少しでもやっぱり多くの職員に理解をしてもらいながら、そうした改革というか切り替えというものを早く進めていけるようにしたいというふうに思っています。

三位一体の改革(1)
(亀岡:朝日新聞記者)
 その三位一体の改革のことで言うと、今また正念場というか、いつも正念場のような感じなんですけれども、地方の痛みばかりが見えてきているという側面があると思います。その中で、この流れがどういうふうになっていくというふうに見通しておられますか。

(知事)
 国のほうの流れは止まらないというか、同じスタンスでこられるだろうというふうに思います。

 これに対して地方がどう動いていくかということですけれども、この間の全国知事会と(小泉)総理との懇談の会を見ておりましても、梶原さんが知事会長をされていたときの“戦う知事会”ということを標ぼうされた知事会の雰囲気とはずいぶん変わってきたと思います。

 麻生現会長を批判する、ということではなくて、全体的にあいさつの物言いの仕方とか言葉使いだとかいう端々に表れる雰囲気からしても、国となんとか一致点を見つけ、協調点を見つけて、という流れになってきているんではないかなと。

 やや霞ヶ関に丸抱えになってきた知事会と同じような雰囲気が、私が14年前に知事になったときと同じとは言いませんけれども、そうしたものと根っこでは何かつながっているような、そんな流れが出てきてはいないかな、ということを感じます。

 そういう意味から、これから地方がどう戦っていくかという、その流れがつくれるかどうかということが大きなポイントだと思いますけれども、なかなか知事会という組織としてはそれはできないだろうなと。

 そういう中で、何人かの知事が何か思い切った活動なり何なりということができるかどうかまでは、ちょっとまだ自分として確信が持てません。

 三位一体の改革に対する考え方とか、その中で主要な項目になっている内容、税源移譲、権限移譲として主要な項目として地方へ国があげている内容について自分なりの考え方というものをもう一度整理をして、発言をしなければいけない時期にそろそろきているかな、というふうに思います。

(亀岡:朝日新聞記者)
 その時期はあまり遠くない時期というふうに(考えてよろしいですか)。

(知事)
 遠くない時期だとは思うんですけれども。何人かの幹部の職員の方とはそういう思いについて話をしました。が、実際に今、生活保護の問題、義務教育費の国庫負担の問題を含めて、国としてのある意味最終判断というかかたちが出る寸前でございますので、そういう時期に発言することに意味があるかどうかというようなことも含めて、まだ検討しております。

 けれども、どこかの時点で、例えば議会でご質問を受けるとかいうことであれば、少し自分なりの思いというか今県として考えていかなければいけない方向について、そういう趣旨で発言していくことになるのではないかな、というふうに思います。

(池:高知新聞記者)
 知事会の軟化と言いましょうか、戦う知事会がちょっと違ってきたわけですが、要因は何だと思いますか。全国の知事のメンバーがここ数年で総務省出身の方とかが増えているとか、そういったものが影響するんでしょうか。

(知事)
 それもあると思います。要因というのはいろんな言い方があると思いますが、きっかけということで言えば、この間の、梶原さんが辞められたあとの(全国知事会長)選挙がありましたよね。

 そこで増田さんと麻生さんが争ったわけですけれども、増田さんになっているのと麻生さんになっているのとでは雰囲気は大きく変わったろうということを思います。

 その背景には増田さんにやってもらいたいと思う人たちと麻生さんにやっていただきたいと思う方々があって、そういう全体の1票1票の雰囲気というものが今ご質問にあったような霞ヶ関出身の方の積み重ねかもしれないし、そこまではなかなか分析をしきれませんけれども、ということを思います。

 増田さんになっていれば、(梶原さんと)同じ流れでやっていけるところはあったと思いますけれども、そうではないかたちになりましたことが、霞ヶ関との協調という路線が根っこにありはしないかな、という受け止め方を自分はするようになりました。

議案の説明(2)(給与の減額調整)
(吉川:テレビ高知記者)
 提出予定議案の話に戻るんですが。減額調整をするというお話を県職労のほうがかなり反発をしていて、納得されていなかったと思うんですけれど。

 それでもなお減額調整をするというのはやはり財政に対する危機感というのがかなり強いからかなと思うんですけれども、その辺のお気持ちをあらためてお話しいただけますか。

(知事)
 人事委員会勧告というものの制度の趣旨にまで戻って言えば、今回も人事委員会勧告を尊重するという基本姿勢は貫いていますし、それを変えていくつもりはありません。

 けれども、昨年の12月議会で制定をした職員の給与を減額するという条例は、人事委員会がこれまで検討してこられた民間と官との官民の較差による調整ということとは全く違った理由から、つまり県の財政状況というものから判断をして、ご提案をして、県議会でお認めをいただいたという条例議案です。

 ですから、人事委員会が勧告として今回出された調整をしないという判断が、何かそこに特別の事情とかきちんとした理由があるのであれば、昨年の12月の条例議案があったとしても人事委員会勧告に盛られた「調整をしない」ということを受け止めることになっただろうと思います。

 けれども、人事委員会の委員長とお話をしたときにもこの点を繰り返しお聞きをしました。調整をしないということに、「例えば他県との状況の中で本県に大きな違いがあるかとか何か具体的な理由があるか」ということを申し上げましたけれども、私がはっきりした理由だというふうに受け止められるようなご説明がありませんでした。

 であれば、本来の官民の較差を調整するという機能の部分、そしてその視点に立ってこれからの給与などに関する制度をどうしていくかということに対する人事委員会の勧告というものをきちんと尊重して、すべてそれに沿った改定をしていきたいというふうに思いますけれども、この12月の条例議案で認められた県財政ということを背景にした特別の条例議案の趣旨を損なわないようにしていくべきだというふうに考えて、今回は4月から11月までの調整をするというようにいたしました。

 それが制度としての筋論です。もうひとつは、やはり県財政ということを考えたときに、私も含め県職員も、ただただマイナスマイナスで縮こまるというのは決していいことではありません。

 けれども、やはりそこまでまずいったん立ち戻ってもう一度気持ちをひとつにして前に進んでいくということがないと、なかなかこの財政危機は乗り切れないのではないかなと。

 そういう思いを県民の皆さんにもお示しをしたいと思いましたし、また県の職員にも同じ思いとして持ってもらいたいという意味合いもございます。

大阪航路のフェリー
(内田:毎日新聞記者)
 話が全然変わってしまうんですけど。
 先日(大阪・高知)フェリーの存続対策協議会のほうで、知事も前からおっしゃっていたように、一応県の方が県外企業へのアプローチをして、多少の値上がりになるけども、ある程度利用台数を確保できれば、航路が再開できるかもしれないという試算を示したんですけども、利用者側のほうの足並みが揃わないということで、航路の再開のほうをちょっと断念せざるを得ないという結論になったんですが。

 知事も大阪の航路のほうは「必要不可欠である」ということで重点的に取り組みたいということをおっしゃっていらっしゃったんですが、今回こういうような結果になってしまったんですけども、ご感想とか今後どういうふうなかたちをとりたいかとか、そのあたりがあれば。

(知事)
 全てのいろんな数字的な動き、価格の面も量的な面もとらえておりませんので、きちんとしたお答えになるか分かりませんけれども、いろんなご質問を受けた時点で「大阪航路というのは必要不可欠、絶対守らなければいけない」ということを申し上げたその思いはその時点では間違いのなかったことだと思います。

 ただ、その後実際に航路が休止になって、違うルートで陸上なりまた瀬戸内海交通なりを活用して物が運ばれているというなかで、現実に園芸産品、またその他の二次産品、どのようなルートができて、それである意味持続的に物が運んでいけるという状況かどうかというところをもう少し、あらためて見極めなければいけない状況になってきたのではないかな、ということを思います。

 そういうなかで、それでもなおフェリーの航路というものが本県の産業を支えていく生命線として必要だということであれば、その支援ということ、支援といってももう、一度踏み出せば県として手が引けないということになるでしょうから、そういう意味での財政的なことも踏まえて考えなければいけませんけれども、またいろんなところとお諮りをしていくということになろうと思います。

 今は、あの時点と今の実際になくなった時点での物の運ばれ方というものをもう一度検証してみなければいけないということを思っておりますし、そういうことも指示をしております。

現在の心境
(中原:共同通信記者)
 先日ちょっと質問をさせていただいたときに、少しちょっと苛立ちがあるのではないかというふうに質問させていただいて「ないこともない」というようなお答えだったと思いますが。

 三位一体の改革や全国都道府県知事会へのアプローチ、方針を見ていると、ずいぶんなんかふっきれたみたいなものを感じますが。

(知事)
 いや、そういう変化はないです。苛立ちと言えば苛立ちだし、ふっきれていると言えばふっきれている、ということだし。

 考え方の背景にあるものも考え方の道筋も、おおよそ出てきそうな結論というか自分なりの判断というものも、この間ご質問を受けたときと今と違いがあるわけではありません。

(中原:共同通信記者)
 この財政状況下で県職員の給料を減らすということに対して、知事の給料も全国最低レベルにしろという(職員組合の)議論もありましたが、そういうものの考え方というのはどうでしょうかね。

(知事)
 それは皆さん方の切り口で書いていただくしかないと。私が自分のことで申し上げることではないと思います。
 もちろん自分なりの思いというのはあります。ありますけれども、それを言えば、また全然よけいなことで議論が始まりますので、そんなことで議論している場合じゃないだろう、という思いです。

(記者)
 正直言えばちょっと議論になるような気持ちもあるわけですね。

(知事)
 そういうことになりますね。今のを裏返して読めば。

三位一体の改革(2)
(釜本:時事通信記者)
 国の税財源の移譲のほうですけれども。国の省庁案は全くほとんど出てこない状況で、かつ出てきているのは義務教育費とか生活保護といった、地方の自由度が広がらない(ものばかりであると)。

 こうした国の省庁の対応への現在の感想というか苛立ちのようなものがおありと思いますので、それを1点と、やはり税源を移譲するという流れ自体はなかなか変わりそうにないと思うんですが、以前知事は税源移譲ということに対して自由度が広がればいいという方向から、途中から「いくら税源を移譲されても、高知県のようないわゆる税源が乏しい地域にとっては厳しい」というふうにシフトしてきたのかな、というふうに感じているんですが。

 税源がどうなるかということについての現在のお考え、二点をお伺いしたいんですが。

(知事)
 税源のことに関しては、もともと「例えば従来補助金や負担金や交付税というものを合わせて県に回ってきて、配分をされた分が7~8割になっても自由度が完全に増してくるのであれば、県民の皆さんにとってプラスの仕事がしていけるでしょう」ということを申し上げてまいりましたが、そういう7~8割というふうな状況には明らかになっていないし、今後もなっていかないのではないかということであれば、大前提そのものがそこでは違っているということになりますので、税源の移譲ということについても、今のようなやり方でいいかな、ということは当然思っています。

 それから、三位一体の改革の全体の進み方ということで、振り返ってみれば公共事業は国としては(税源移譲の)対象にならないと。

 国債を財源としているものが、税源移譲になじまないということで公共事業という最も地域の実情にあわせて、それこそ7割8割でも柔軟な仕事をしていく。

 そのことによってコストダウンにもなるし、よりきめの細かい仕事をしていくという三位一体の改革の趣旨から言えば一番趣旨に乗りやすいものが、最初から強い抵抗と国なりの理論構成の中で排除されたというところで、今振り返ってみれば三位一体の改革というのはすでにかなり行き詰っていたのではないかな、ということをあらためて思います。

(釜本:時事通信記者)
 この流れで、使い方が決まった部分だけが税源移譲されてくると。
 かつ、都会と地方の中で税源の分布に差があると。よりいっそう地方にとって厳しい流れが加速するかと思うんですけれども、それについてはどうですか。

(知事)
 それはその通りで、やっぱりそれにどう対抗していけるかと。先ほどのご質問にもお答えをしたようなことですけれども、何らかの発言なり姿勢というものは示していかなければいけない時期にきているというふうに思います。

(釜本:時事通信記者)
 先ほど知事会のお話の中で、知事会という組織を変えていくのは厳しいような話がありましたけれども。
 知事会を変えていこうという動きなり、知事会と別に、いわゆる財政窮乏県の知事を集めて、1県ごとに声を上げるんではなくてまとまった声にしようというお考えはありませんか。

(知事)
 まず知事会に関しては、先ほどの知事会の変化ということで申し上げたように、やはり(会長)選挙というものがあったわけで、そこで増田さんを推す人たちが少数に終わったということで、なかなかそういう知事会の流れというものを変えるのは難しいだろうな、ということをあらためて思います。

 それから、その中で財政窮乏の県というのが集まってということは、当然そういうことは考えられるんですけれども、財政窮乏県で何かをやりましょう、ということになると、当然それぞれの事務方の方々が話をして、何か国に要望を、というふうな、かたちから入っていかざるを得ないと。

 そうすると、地方交付税の堅持だとか確保だとかいうことをずらずらと書き連ねていくことになりますが、はたしてそういうことでいいのだろうか、というところまで立ち返って考えなければいけないと。

 そうなると、本当は何人かの知事とものすごい時間をとって議論でもしながらやっていくことになれば、何県かが一緒に、ということができるでしょうが、今、次から次へと様々なことが降ってくる中で、なかなかそれだけの時間的なゆとりもないし、またそういう議論というか話が合わせられる知事さんが今どれぐらいいるかな、ということもあまり自信がないという状況です。
 
 


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