高知県科学・技術アカデミー第1回ミッション統括会議における挨拶等

公開日 2007年12月08日

更新日 2014年03月16日

高知県科学・技術アカデミー第1回ミッション統括会議における挨拶等

平成16年2月17日(火曜日)高知新阪急ホテル


冒頭の挨拶

 本日は、「高知県科学・技術アカデミー ミッション統括会議」にご出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 
 「科学・技術アカデミー ミッション統括会議」というと、なんか雲の上の出来事のようで、どういう話になるんだろうと思いながら出席をされた方もいらっしゃるんじゃないかと思います。私自身、この会議でどういう方向が示されるのか、まだ具体的なイメージがきちんと描けているわけではございません。そういう形でのご挨拶になることをお許しを願いたいと思います。

 少し現実を踏まえたお話をいたしますと、今、県を取り巻く環境を考えてみますと、三位一体の改革によります財政への厳しさ、また今後もそういう状況が続くということが予想されています。また、高齢社会が進めば、自ずと医療費・介護費などの社会保障費が増大をしてきます。さらに、少子化によって労働力人口が減少をしてくるなど、あらゆる面で厳しい局面にあります。

 ですから、地方分権・地方の自立といいましても、なかなかその自立に向けての戦略が描ききれないというのが、高知県だけではなく、各地方の抱えている大きな課題ではないかと思います。

 そうした中でも、少し夢も交え、また地域の資源を活かしていくという、地に足のついた考え方も含めまして、これからの地域の自立ということを考えました時に、科学・技術を活かして産業を振興していくということは、やはり県にとりましても大きなテーマだと思っています。

 そんな切り口の1つとして、この科学・技術アカデミーができたというふうに自分は受け止めています。委員の皆様方には、それぞれのこれまでのご経験、また今目指しておられる色んな活動、それを通じまして今申し上げましたような科学・技術の活かし方、地域の資源の活かし方、また本県の産業の振興という点で、まさに夢も交え自由なご議論をいただけたらと思います。

 高知県は、何と言いましても明治維新の志士をはじめ、自由闊達な議論と行動がその歴史を彩っている県でございますので、ぜひそういう先人の知恵に習って自由闊達なご議論をいただけたらと思っています。

 もう1つ現実的なことといたしまして、科学・技術に関する様々な政策事業をきちんと検証・評価をしていくということも今求められていると思います。そうした検証・評価の方向性などについても、またご議論をいただければ幸いだと思っています。

 まずは事務局からの説明なども踏まえて、自由なご議論をいただくことがこの会議の目的ですので、そういう趣旨を十分ご理解をいただきまして、後込みをしないで、どんどん意見を出していただければ幸いです。

 冒頭にあたりましての私のご挨拶に代えさせていただきます。どうかよろしくお願いいたします。
 
 

終了に際しての感想

 冒頭に「自由に闊達なご議論を」と申し上げましたので、そのとおり自由に闊達なご議論をいただきましたので、まとめることはとてもできません。

 お話を伺っていて、いくつか論点があったと思います。私が思ったことの1つは、時の軸というか、10年後、20年後、30年後というのをどういうふうに思い描くかというのが1つの論点なんだろうと思います。

 大槻さんは「将来どうなるんだろう」というふうに考えると、やはりグローバル社会というのはなかなか変わりようがないんじゃないか。20世紀から21世紀になったから、20世紀の反省でという面の所は出るだろうけれども、グローバルというのはなかなか変えようがないんじゃないか。ではその中でどうするかを考えなきゃいけないということを言われたんだろうと思いますし、川村先生も「20年後・30年後の姿」という表現をされて、そこをどう考えていくのかと、その時点での色んな技術の発達を社会の現象として、例えばユビキタス社会になっているでしょうが、そのようなものを踏まえての様々なビジネスをどのように考えていくのか、ということが1つあるのかなということを思いました。

 それから、関さんが「小さい規模を活かす戦略がないんだ。そのことが1つ問題だ」ということを言われました。ユニークさとか、小ささとか、そういうものをいかに活かしていくかという戦略の必要性は当然ですし、そのまた、それを個別の機能的な取り組みというふうにすれば、演繹的に、安田先生が「住む場としての良さをきちんと戦略的に作っていったらどうだ」ということを言われたんですが、まあ「安全」だとか、色んなキーワードがあると思います。
 
 そういう、まあ大きな全体のコンセプトと、小さな規模とかユニークさを活かす具体のものとをどう結んでいくのかと、どう戦略づけるのかというのも1つの方向かなということを思いました。

 それから、行政の関わりというふうなことで言えば、支援の仕方というものがもう変わらなきゃいけないんじゃないかというので、それは行政だけの話じゃないですが、内田さんが「エコひいき」という事を言われましたし、白田さんが「いいものシール」ということを言われましたし、また寺田先生が「遍く公平ではない行政を」ということを言われて、行政も姿勢としては、全体を引き揚げていくということは、もう財政的にも非常に厳しい面がありますので、そうではなくて強い所、良い物を引き揚げていくという方向に頭の中は切り替わっておりますが、まだまだ政策的にきちんと出て来てないんじゃないか。

 商工労働部や産業振興センターの幹部もいますので、ちょっと嫌味がてら言うと、そういう感じがいたします。もっともっと、まあ「過激に」とは言いませんけれども、思いきって強いものを伸ばすことで、やがて裾野が広がっていくということに方向転換したら良いんじゃないかなということは、日頃から感じております。
 
 それから、もう1つ、やっぱり大槻さんが言われました「売り方」ですね。売り方のまずさというのが1つは地方の抱える、特に高知県の抱える大きな問題だと思っています。私も、高知に来て12年、来た時から感じていますけれども、やっぱり四国山脈と太平洋に遮られて、人の行き来が通常なかった、街道が通ってない所ですね。

 そういう意味では、私の父方の先祖の出ました岡山などは、絶えず人が行き来しておりますので、いつも人を騙したりということで何百年過ごしてきて、こすからいと言えばこすからい、利に聡いと言えば利に聡い、そういうような違いが、非常に大きく、段々、段々、積み重なって効いてきているのではないかということを思います。

 お一人お一人がもっと上手い商売人になっていただくことはもちろん必要なのですが、やはり県全体としての売り方ですね。特にやっぱり東京発の情報発信ということを活用して、それがサウンディングをして戻ってきた時にどう使うかということは考えなければいけないと思います。

 今、例えば、非常に厳しい実際は状況にある高知競馬で「ハルウララ」という、まあ100連敗して、もう103連敗しましたけれども、その馬が大きな話題になっていますが、これもやはり東京発でスポーツ紙などにバーンと出したことで大きく話題になり、武豊も乗ってくれるということになりました。

 これを今度は、高知に情報が戻ってきた時にいかにうまく使えるかというようなことが、本当は肝心なのだろうなということを常々思っていますので、そういうような「時の軸」、それから「個別のユニークさと全体のテーマをどう結びつけるか」、それから「行政としての支援の仕方」、それから「全体の売り方」というようなことが、今日お話に出た色んなテーマなのかなあ、というふうに思いました。
 
 

※会議全体の概要をご覧になりたい方は、議事録 [PDFファイル/94KB]をご覧ください。


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