新年の職員へのあいさつ

公開日 2007年12月08日

更新日 2014年03月16日

新年の職員へのあいさつ(庁議での挨拶)

平成19年1月4日(木曜日)県庁二階 第二応接室

 皆さん、明けましておめでとうございます。それぞれに良い新年をお迎えのことと思います。
 私は、当初の予定では県外で過ごすことにしておりましたけれども、想定外のことが起きましたので、この年末年始は知事公邸で過ごしました。
 2001年のミレニアムの時に高知城でカウントダウンをした時以来、6年ぶりに知事公邸で年末年始を送ったということになりますけれども、穏やかなというか、文字通りの寝正月を過ごさせてもらいました。

 そのおかげで、大晦日に高知競馬で行われました高知県知事賞というのでプレゼンテーターを務めることもできました。そのときですね、ここ数年、大変高知競馬の厳しい状況の中で、競馬関係者の取りまとめ役をしてくださっている馬主協会の会長さんから、一言言われたことがあります。

 それは何かって言いますと、自分ももう老い先はそう長くはないと。もしここで高知競馬が倒れたら、死ぬに死にきれないと。なんとか自分が生き長らえている間は高知競馬を続けて欲しいと。

 ということは、あなたもその間は知事をずっと続けて欲しいというお話でございました。大変、手前勝手なお話で恐縮でございますが、私は、お気持ちを汲んで出来る限り頑張りますと、こうお答えをしました。その意味をどう解釈をされるかは、皆さんのご判断におまかせを致します。

 ということでですね、自分にとっては昨年1年、この高知競馬で仕事を終えたという年になったわけですけれども、その一年を振り返りますと、全国で3件の知事が逮捕されるというような、地方自治にとっては特筆すべき年であったというふうに思います。

 その3件の知事の事例をたどってみますと、私自身が最初の選挙の時に嵌まりそうになった落とし穴に、そのまま落ち込んでしまったというような事例ではないかということを思いますが、そうした落とし穴を掘っていこうという誘惑の手というものはちょっと隙を見せると、その隙を突いて入ってくるという傾向があります。

 こうしたことを防ぐために、入札の制度を絶え間なく改善をしていくということも当然、必要なことではあろうと思いますが、私はそのこと以上に、重要なポイントの1つは本県でいち早く取り組んできた働きかけの公表ということではないかと思います。

 ところが、現実には働きかけの公表というのも年月を経るにしたがって、段々と形骸化をして来ているのではないかと思うのです。

 といって、別に人様を批判するということだけではなく、自分自身、こう胸に手を当てて考えてみますと、去年一年を通じても、この程度だったらまあ良いかな、というように勝手に判断をして、働きかけということがあったという申告をしなかったというような事例があったということを正直に申し上げなくてはいけません。

 多分、職員の皆さん方の中にも、この程度なら、とか、そんなに奇麗事ばかり言ってたら仕事は進まんぞ、という従来型の考え方に流されて、この働きかけの公表ということに踏み切れなかったというような事例が、いくつか思い浮かぶのではないだろうかなということを思うんです。

 そうでなければ、こんなに働きかけの数が急激に減るということもないのではないかというふうに思っています。

 ということで、私も自分で言うからには、この一年間、自分に寄せられたその働きかけの申告、公表ということに積極的に取り組んでいきたいと思いますし、こうしたことが、私は、職員の皆さんを色んな誘いの手から守っていくことにつながるのではないかというふうに思いますので、ぜひ、ここにいる幹部の皆さん、また、職員の皆さん方もこの働きかけの公表ということをもう一度真剣に考え、取り組んでみるということを、この一年の誓いの1つにしていただきたいなというふうに思います。

 また、地方自治体を巡る出来事を考えてみますと、去年一年間振り返ってみる中で、岐阜県に代表されるような裏金の発覚でございますとか、また、奈良市で明らかになったあまりにもルーズな職員の勤務管理、また、こうしたこととも関りがありますけれども、大阪で指摘をされました同和行政にからむ問題等々、考えてみれば、我が県がかなり以前から多くの代償を払って清算をして来た課題が、まだまだ全国の自治体の中にはびこっているという実態が明らかになったのではないかと思います。

 で、こうしたことは、知事が逮捕されるというような、一見派手な出来事に比べて、何か地味な目に付きにくい出来事のように思いますけれども、私は地方の自治体にとっては、知事が逮捕といったようなことにも並ぶ、また、むしろそれ以上に深刻な問題を孕んだことではないかと思っています。
 
 こうしたことから、このような事態が次々と各県で明らかになっていくという事情を見るにつけ、全国に先駆けて手を付けておいて良かったということを、正直思いますと同時に、職員の皆さん方にも、これらの問題にいち早く手を付けてきた県だということに、ぜひ自信を持って取り組んでいただきたいなということを思っています。

 こういふうに振り返ってみますと色んなことがありますが、もう1つ思いますのは、酒酔い運転は厳しく対応するというような方針、これも全国に先駆けて取り組んできたことの1つではないかと思うんです。

 この時も、職員の皆さん方からも、また議会からも、色んなご批判というか、行き過ぎではないかという声を頂きましたけれども、去年の福岡市で起きました事故をきっかけに、大きく社会の流れが、また変わってきたという風に思います。

 昨年の暮れ、更なる厳しい法の改正に向けて動きが出てきたというような報道がなされましたが、こういうものを見るにつけ、社会の状況は、私達が全国に先駆けて取り組んで来たことがおかしくなかった、行き過ぎではなかったということを証明をしてくれているのではないかというように感じています。

 このように言いますと、後向きな話ばかりしているように聞こえますけれども、私達は何々をしてはいけないというふうな後向きの取り決めだとか、またいわゆる負の遺産といわれるものの清算といったことだけではなくて、前向きなことにも数多く取り組んで来ました。

 例えば、平成12年から取り組んでいます経営品質もそうですし、また、アウトソーシングの取り組み等もそうだと思います。まだまだ色んな誤解、また抵抗感も職員の皆さん方の中にあることは十分理解をしていますけれども、こうした取り組みも自信を持って実施を続けていけば、必ず、私は、時代が、社会が後から付いて来てくれるのではないかというふうに信じています。

 明けて平成19年、この1月12日の誕生日で、私は満60歳の還暦を迎えます。誕生日のプレゼントが欲しいというわけで申し上げているわけではございません。が、団塊の世代の性なのでしょうか、闘争心は相変わらず失せてはおりません。

 これもまた人生の通過点の1つというふうに受け止めて、今年もまたいろいろと新しいことにチャレンジをしていきたいというふうに思っています。

 その今年は、色んな政治日程、政治イベントがありますので、その意味では、海に例えれば、色んなさざ波が次々と起きてくる年になろうと思います。そうした波に乗って泳いで行くということも私達にとって、大切なことではございます。

 けれども、そのさざ波の下には深い深い海がある。つまり、県民の皆さんの様々な暮らしがあるということをいつも考えなければいけないと思っています。

 新年の新聞の報道などを見ましても、その企画の記事の中で公はどこに、貧困ビジネスというような記事が書かれますように、大変厳しい時代背景が今、社会全般にあると思います。

 私は、こうしたさざ波の下にある大きな海の中の県民の皆さん方の暮らしに、しっかりと目を向けていくことが、この一年、特に私達にとって大切なことでないかと思っています。

 去年の年初めにも申し上げましたけれども、後向きにマイナス思考にならずに、ポジティブに前向きの思考で物事を考えていく、そして気力を充実させて、この一年間また、仕事に取り組んでいきたいと思いますので、どうか皆さんもよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

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