公開日 2007年12月08日
更新日 2014年03月16日
平成15年度高知県総合会議での知事挨拶
平成15年4月3日(木曜日)こうち女性総合センター「ソーレ」
(項目) ・県庁の組織改正 課室の増加 若手の登用 類似業務の一元化 政策推進の強化 ゼロプロジェクトの女性チーム 地域支援の職員 ・四つの重要課題 ・鎌井谷ダムの問題 ・観光パンフレットの問題 ・情報公開 ・口利きの公表 ・セクハラの問題 ・モードアバンセの判決 ・行政経営品質向上システム ・コンピテンシー |
新しく所属長になられた皆さん、また、引き続きお願いをする皆さん、これからの1年どうかよろしくお願いをいたします。
実は、このように一堂にみんな会して知事の話を聞くというような、旧態依然たる会はそろそろ見直したらどうか、という声が担当課の方からはございましたが、今年はせっかく組織改革もしたし、課室長さんも増えたので、何かこういう会をもったらどうだろうと、私が言って、従来と同じような形の会になりました。
ところが、一昨日ですか、各企業の入社式の報道を見ておりましたら、ソニーや富士通などが「入社式は無駄だ」といって取り止めたというニュースがありましたし、その中でソニーは、「一方的に、こうしたメッセージを伝えるような時代ではない」というコメントを出しておりましたので、このようなやり方も、そろそろ見直す時期かな、ということを改めて感じましたけれども、今日はせっかく皆さん方に忙しい時間を割いてお集まりをいただきましたので、新年度にあたっての思いを幾つかお話をさせていただきたいと思います。
(県庁の組織改正)
新しい年度、県庁の組織は大幅に手直しをいたしました。その特徴の1つは、課室の数を、これも大幅に増やしたということです。そこには二通りの意味合い、思いを込めています。
(課室の増加)
その1つは、課長補佐などの職を少しでも減らすことによって、組織をフラット化して、仕事のスピードアップを図るということ、また課室の数を増やし、その分業務の量をそれぞれ限定して「何をすべきか」という目標と使命を明確にしていくという意味合いが1つです。
(若手の登用)
そしてもう1つは、若い職員の方々を所属長に登用することによって、少しでも早いうちから組織経営の現場に立って実践を積み重ねて欲しいという思いがありました。と言いますのは、従来の組織のままですと、なかなか早い時期に所属長になるということができません。
そして、組織経営の実践を身につけることができず、そのことが結局は県庁全体の組織経営能力に関わってくるのではないかと思いました。そんな意味で、今回は課室の数を増やした。それをきっかけとして若手の登用ということを心がけました。
その結果、課室によっては課長と課長補佐・班長の年齢、年次が逆転をしているという部署も数多くあるのではないかと思いますが、従来のように年齢や年次で役職が並ぶという時代ではなくなってきたということは、ぜひ、全ての職員の方々に理解をして欲しいことだと思います。
次に、今回の組織改正では、各部局に分かれて同様の、同じような業務をやってきた。これを一本化するということも1つ思いとして込めましたが、そのねらいも、また2つのねらいがあります。
(類似業務の一元化)
その1つは、「県民の目から見ての仕事の見直し」ということです。と言いますのも、例えば、生活排水の処理であれば公共下水、農業集落排水・漁業集落排水、また合併浄化処理というように、各部に分かれた仕事になっていました。
また、海岸の事業なども、旧建設省の海岸・旧運輸省の海岸・水産庁の海岸、そして農水省の耕地海岸というように事業が分かれ、それぞれの部局でそれを担当してきましたが、県民の目線から見た時に「この海岸が何省の海岸で、どういう事業か」などということを意識する人は勿論いないと思います。
それぞれの歴史的な意味はあったとしても、こうした事業のあり方は、やはり役所の都合でできているもので、それを県民の目から見た仕事のあり方に変えていくということが、今、必要なことではないかと思いました。
もう1つは、今度は「国と県との関係の見直し」ということに関係があります。というのは、今、国では、地方交付税、そして国庫補助負担金、また税源という3つのものを三位一体で改革をする、という方針で進めておられます。やがてこのことが実現をすれば、都道府県・市町村に配られる、配分をされる財源は結果的に減るということは覚悟しなければいけないと思います。
このことが、フローの経済に与える影響ということは無視できませんから、そのためのソフトランディングを考えるということは必要なことですが、それと同時に、こうしたことによって国の縦割りの壁がなくなり、また国のいろんな規制や縛りというものがなくなって、地方の自由度が高まれば、地域の実情にあわせた仕事をすることによって、地域の、また県民の皆さんのサービスを向上させるということには十分繋げていけるのではないかと思います。
そうなった時に、いきなりそうした同種の事業を集めて、ということではなくて、早いうちにそうした土壌・風土を作り、本当の地方分権が進んできた時に、すぐそれを活かしていけるような組織になりたいな、そんな思いが同種の事業を一元化するということの中に込めたことでございます。
(政策推進の強化)
もう1つ、今回の組織改革では、庁内全体の政策推進の能力・力を高め、また各部局毎のその能力を高め、責任も明確にしていこうという意味合いを込めました。その意味から、県庁全体では政策推進の担当理事、またその下の政策推進課を設けましたし、各部局毎に企画・立案や調整をする企画課、企画のセクションを作りました。
ですから、今回、部局長さんにとっては、この企画課をどのように上手く使っていくか、活かしていくかということがひとつ、まあ腕の見せ所ではないかと思いますけれども、企画の課長さんには、できるだけ新任の課長さんを選ぶように心がけましたし、また、課長や課長補佐にできるだけ女性の登用ということも心がけました。課長も課長補佐も男性という所でも、担当の職員には必ず女性の方に入っていただくようにしました。
その心は何かと言いますと、従来のものの見方ではなくて、やはり新任の課長さんの見方、また従来の男性社会の組織の見方ではなくて、女性のものの見方、そういう視点で各部局の企画・立案や調整をぜひ進めていただきたいなという思いからです。
(ゼロプロジェクトの女性チーム)
特に女性ということで言いますと、男性の皆さんの仕事ぶりをどうのこうのというわけではありません。けれども、県民のサービスという意味でも、いろんな事業を考えるという面でも、もっともっと、やはり女性の視点、目というものが反映をされて良い時代ではないかと思いますし、また庁内のいろんな仕事の見直し、やり直しということでも、女性の視点というものが必要ではないかと思っています。
というのは、これまでも、もっともっと仕事を減らして、時間外も減らして5時には帰れるようにしよう。また、それによってアウトソーシングも増やしていこうと言って、まあ徐々には進んできましたけれども、なかなか抜本的というか、思い切った見直しには繋がっていきません。そこで、女性の視点ということで言えば、例えば、奥さんの視点から夫の健康を考える。
また、夫が少しでも早く家に帰って家庭の団欒の時間が増える。そういうような視点だとか、また、県庁の仕事というものにどっぷり浸かっていない、若い女性の職員の視点から、思い切って仕事を見直すということをぜひやっていただきたいと思って、企画課の課長から職員に至るまで、女性の職員を中心にしたというか、女性の職員によるこういう仕事の見直しの、ぜひプロジェクトチームを作りたいと思います。
これまでも「予算だけに頼らずに人と知恵で仕事をするように」ということをかけ声として言ってきましたが、その第1号として、予算のない、まあゼロプロジェクトの女性のチームを作って、仕事の見直しをぜひ思いきり進めてみたいなというふうに思っています。
(地域支援の職員)
また、「人と知恵」ということで言えば、地域支援というテーマで、今回7つのブロックに県の職員を派遣して、地域の皆さん方と一緒に様々な活動をしていくようにしました。
先ほど申し上げたような形で、仕事をもっと減らすというか、間接的な業務を少しでも減らしていくことができれば、県の職員がもっともっと地域に出て、地域の皆さん方と一緒に仕事ができるようになるのではないか、そういう県庁にぜひなっていきたいということを思いますし、
その時には、こういう地域支援担当の職員と同時に、各出先の事務所も、もちろん縦割りで担っている仕事も重要な仕事ですが、それだけではなくて「地域」というものをまず主体に「どういう地域づくりをしていくか」という観点で、その壁を越えて連携をして仕事をしていけるような、そんな組織にぜひしていきたいということを思っています。
(四つの重要課題)
以上申し上げたような組織改革の上に立って、予算も新しい予算がスタートをいたしました。予算の編成にあたりましては、これからの5年ほどの中期的な期間を見通して、「南海地震に備える」など、4つのテーマを重点課題としてあげたことは、皆さん方もご承知のとおりだと思います。
この内「南海地震に備える」とか、観光も含めた「産業政策・雇用の拡大」さらには「高齢者・子ども・障害者といった福祉の事業」というのは、従来の仕事から考えても「何をすれば良いかな」というイメージは、わりと浮かびやすい分野ではないかと思います。
これに対して残る「資源循環型の社会の先進地づくり」というのは、それぞれの職員の方で、また部署によって受け止め方が違うテーマではないかと思いますが、これまでのようにモデル事業をいろいろやってみる。
また「この事業はこれこれこういう理由で循環型に繋がるのですよ」というような理屈づけをして、特別枠の予算をとってくるというような発想での循環型ではなくて、もっとモデル的な、点的なということからも、面に広げた資源循環の取り組みということが何とか進まないかなと思っています。
例えばということで例に挙げると少し語弊があるかもしれませんけれども、例えば、公共事業の工法を循環型にしていくという時に、これまで様々なモデル的な事業、木を使ったとか、資源の再生の素材を使ったとか、いろんな事業がありました。
そういうものをただ単にモデル的に積み重ねるだけではなく、一定の実証も進んできたと思いますから、全体を100とした時に「5年後には何%までこれを循環型の工法にしていく」というような目標、その数値目標の基になるような仕組みが作れないかなあと。
まあこれは、その1つのイメージとしての話ですけれども、そうした形で県庁全体の仕組みとして面的にこの資源循環型が進んで行く、そんな取り組みをぜひ、皆さん方からも提案をいただいて進めていきたいなということを思っています。
また、重点の4項目ということに関して言いますと、これだけ経済も厳しい時代です。ですから、雇用の確保、それによって県民の生活の基盤を支えていくということは、県政の現状では最大の課題であろうと思います。
ということから、福祉の現場であれ、教育であれ、医療であれ、また公共事業であれ、どんな分野を担っておられる方々も、それぞれの事業ということとはまた別に雇用の確保とか、雇用の拡大ということと自分達の仕事がどう繋がるかということをいつも頭の片隅には置いて、ぜひ仕事をしていただきたいなということを思っています。
ということで、組織改正と、また予算という総論の部分のお話を終えて、次に、この1ヶ月ほどの間に起きた事例をもとに、自分自身が感じたことを少しお話をさせていただきたいと思います。
(鎌井谷ダムの問題)
その1つは、2月の議会で取り上げられました「鎌井谷ダムの問題」でございます。これは、私は正直を言って、事業の進め方としても、またそのことが十分部長などに説明・報告をされていなかったという点からも、やや論外というか、噴飯(ふんぱん)ものの出来事ではないかということを感じます。
また、こうしたことが見過ごされてきたことが、今、多くの国民から公共事業が少しはすかいの目で見られる、そういう原因にもなっているのではないかと、私自身は正直思います。
ですから、このことはきちんと「どうして起きたのか」ということ調査して、検討をしていきたいと思います。そういう委員会を作り、その中で「原因が何だったか」ということを明確にして、積極的にそのことを県民の皆さんにも公表をしていきたいというふうに思っています。
また、積極的な県民への公表ということで言えば、先日、問題として取り上げられました観光のパンフレットのことも、これは外からの情報を基に県が直接調査をし、その結果を積極的に県民の皆さんに公表をしたという事例でございます。
このことに関しては、それぞれに関わった職員の責任云々ということも勿論考えていかなければいけませんが、それだけではなく、私自身がこの事案から感じたことが2つありました。
その1つは何かと言いますと、こうした事業を発注する、委託をする時の業者との関係、契約のあり方ということです。で、それはどういう意味かと言いますと、この事案に限ったことではなく、いろんな議事録のテープ起こしというような場合にも、返ってきた物があまりにもずさんで、とても使い物にならずにまたやり返してというような事例をよく耳にします。
また、全く違う事例ですけれども、公共事業をする場合にコンサルタントがいろんな地質などの調査をし、それを基に今度は発注をしていくわけですけれども、結果的にやや調査と違うような事態が起きたといって1億、2億、3億という予算が補正として出て来るということが、まあ、日常茶飯事になっています。
そこには勿論、それぞれの理屈もあり、言い分もあると思いますし、全てがいけないわけではなくて、当初予想できなかったことによってやむを得ない補正ということは幾つもあると思います。
ただ、これも県民の目線から考えた時に、その技術者を入れ、コンサルタントを入れてきちんと基礎調査をした上に発注をしているのに、「予想を超えました」と言って、日常茶飯事に補正が出て来るということは、全てそれを県民の負担に、税金の負担に、簡単に変えてしまう。
そのことにやはり、県民の方の多くは疑問を感じられるのではないか。そういうことを、ぜひバランスよく考えた新しい発注の仕方とか、お互いの責任の取り方ということを考えていかなければいけないのではないかと思うのです。
(観光パンフレットの問題)
今回の観光パンフレットのことも、166カ所の間違いということが指摘をされましたけれども、そのパンフレットを見ますと細かい地図の情報、つまり地名が入っていたり、旅館の料金だったり、開館の時間・閉店の時間等々というものですから、これを全部チェックするということは、非常に大変なことだと思います。
当然、県民サービス、この事業の目的ということから言えば、きちんとした成果品が出なければいけませんが、その責任を一方だけが持つということではなくて、それをどうやって調整していって良いものを作るか。そのための合理的で効率的な契約の仕方というのは、どこかに落とし所というか、新しいやり方があるのではないかな、ということを感じました。
ぜひ、今回の事例をきっかけに、それぞれの部署で、必ずこうした委託の業務などの事例はあると思いますので、いろんなミスが出た時にどうするかということは、お考えをいただきたいと思います。
(情報公開)
と同時に、今回のことで強く感じましたことは、こうしたややマイナスの出来事、まずいなと思ったことが出た時に、相変わらずどこかに隠して少し時間を稼いでしまうという意識が、根強く残っているのではないかということです。県の関わるいろいろな融資の問題で、特定の県民、特定の人物・団体の介入ということが言われた時のことを思い出していただきたいと思います。
なぜそういう人物が登場し、そういうような介入を許したかと言えば、小さなミス、まずいなと思ったことを公表しないままどこかに隠していた。そのことを気づかれて、そこを指摘され、弱みを握られて介入を許し、そして行政の主体性を失ってきたという事例が、過去数多くあったのではないかと思います。その反省から、情報公開の必要性ということを、口を酸っぱくして言ってきました。
ぜひ、こうした事例、必ずミスとか間違いというものはどんな組織でも、どんな職員でも起きると思います。それが起きた時にも積極的にそれを公表していくということを肝に銘じていただきたいと思いますし、そのことが、それぞれ関わった職員の仕事をやりやすくしていくし、また危機管理にも繋がるのではないか。このことをぜひ、所属長・管理職の皆さんには考えておいていただきたいと思います。
また、あわせて情報公開ということで言いますと、知事部局の方は相当進んできたと思いますが、まだ独立の委員会の中には、少し昔からの考え方に引きずられている部署もあるのではないかという気がします。情報公開というのは先ほど言いましたように、これからの県政を進める上での基本でございます。
情報公開というのは、むしろそれが大前提だということを、ぜひ全ての部局、委員会の方々にもう一度考えていただきたいということを思いますし、そのことをもとにした情報公開の指針というものも、より明確なものを作っていきたい。
(口利きの公表)
あわせて、県政改革の課題の1つとして残っております、いわゆる「口利き行為の公表」というようなことも、皆さん方ともう少し協議はしますけれども、そのシステムの実現を急いでいきたいということを思っています。
(セクハラの問題)
次に、話は変わりますけれども、先月は異動のシーズンで送別会が次々と開かれました。そうした中で、案の定と言ってはいけませんけれども、ある職場で、やはり女性に対する明白なセクハラ行為、セクハラ発言というものが出ました。そのセクハラをした職員自身は、「酒を飲んでいたのでよく覚えていない」ということを言われ、まあ、それはそれで事実だと思います。しかし「酒の上のことだから」ということで、もう許される時代ではありません。
私の次男の犯した犯罪からも自分自身、痛感をしたことですけれども、女性の尊厳を尊重することの大切さということは、それぞれの職場でもう一度考えていただきたいことだと思いますし、酒の上のことであれ、冗談であれ、こうしたセクハラ事件を起こさないということをぜひそれぞれの所属、それぞれの場所できちんと管理者として考え、また職員にも話をしていただきたいと思います。
(モードアバンセの判決)
もう1つ、最後に触れておきたいのは、先月末、高知地方裁判所で言い渡されました「モードアバンセ事件」の判決でございます。この判決は、三権の分立ということを考える意味でも、また刑事責任と民事責任、行政責任の違いということを考える上でも、大変、緻密に考えられた判決であったということを私は思います。
しかし、それだけに、刑事責任が問われるかどうかということより以前に、行政責任の重さというものが改めてその判決の中で問われているのではないか。そのことを、また1人1人の職員が、あの判決から読みとらなければいけないのではないかと思います。非常に分かりやすい、また読みやすい判決の要旨ですので、管理者の方々にはぜひ一度、あの判決文には目を通してみていただきたいと思います。
ということで、この新年度にあたっての思いを、少しアトランダムでしたけれども、お話をいたしましたが、これからの県政、これまでも「開かれた県政」「県民参加の県政」ということを言ってきましたけれども、県民と真正面から向き合うということが大きなテーマであろうと思います。
(行政経営品質向上システム)
そのための道具として情報公開というのは欠かせない道具です。これは県民の皆さんとの対応という意味で欠かせない道具です。けれども、県庁の中での道具として、私は行政経営の品質の向上システムというものを、もう一度皆さん方にも見直してみていただきたいということを思います。
このシステムも始めて数年が経つ中で、それぞれの職場の中でこれを上手く活用し、職場の議論の中でお互いの弱み・強みに気づいて、そして明るく楽しく仕事のできる職場づくりに繋げられる、そんな所も出て来ました。
つまりは、県民の皆さんの満足度をあげる以前に、職場の職員の満足度をあげることにこのシステムを上手く使える職場も幾つか出て来たと思います。そういう職場の事例もぜひ学んでいただきたいと思いますが、まだ県庁全体では低空飛行から、ようやく少し浮上し始めたのかなというような感じです。
この「経営品質」ということを取り上げる時、また取り上げる中で、私が言ってきたことがあります。それは何かと言いますと、「経営品質は漢方薬のようなものだ」ということです。というのは、先ほど申し上げたようないろいろな事案とか、不祥事とかが出た時に、その部分の責任を追及するとかいろいろな手法があると思いますけれども、外科手術的に切り取るというやり方は当然あります。
しかし、外科手術的に切り取れば、その時は良くなるかもしれないけれども、県庁全体の体質が変わっていないのに、手術でその部分だけ切り取っても、また何ヶ月かしたら、何年かしたら別の所に同じような病巣が出て来るということになります。
そこで、「手緩い」とか、また「気が長い」と言われても、私はこの経営品質という漢方薬を飲み続けることによって、県庁全体の体質をぜひ変えていきたいなと、そういう思いで取り組んでいます。ぜひ、管理者の方々には毛嫌い、食わず嫌いにならずに、この経営品質というものを見直していただき、もし「こういうふうにしたら」という提案があれば、どんどん提案をしていただいて、それを職場の中で活用していただきたいということを思っています。
(コンピテンシー)
もう1つ、経営品質とともに最近取り入れてきた仕組みに、能力開発の「コンピテンシー」というシステムがあります。これは、経営品質以上に、まだまだ人口に膾炙(かいしゃ)していないというか、職員の皆さんには受け入れられていないシステムだと思います。
確かに、分かりにくい、まだまだ理解が深まっていないということは事実として認めます。けれども、本当の意味での適材適所ということを進める、つまり、県民の皆さんの満足度を進めるという意味でも、また職員の皆さん方が「自分はこういう県庁の人生を進んで行こう」という、県庁の中での人生設計を立てられる。そういう意味で、つまり、県の職員の満足度を高めるという意味でも、私はとても有効な手段、システムではないかと思っています。
今回も、このコンピテンシーで優秀な成績をあげられた方を、思い切って登用したという事例もありますが、今後とも、このコンピテンシーというのは、ぜひ多くの職員の方に理解をしていただいて、参加を増やしていきたいということを思っています。
部局長さんはじめ、管理職の皆さん方には、これも毛嫌い、食わず嫌いをせずに、「その意味、目的は何か」ということを勉強もしていただき、またそこにご議論があれば意見交換もしていただければ良いな、そういう形で、これも時間がかかっても、ぜひその裾野を広げていきたいということを思っています。
県庁を取り巻く情勢を考えれば、経済環境の厳しさということも勿論ありますし、また、様々な不祥事とか事件、それに対する県民の目というものもあります。一方で、県庁はどんなに頑張ってもなかなか誉めてもらえずに、やはり批判の対象であるということも、それもやむを得ないことではないかと思いますが、そうした中で、私自身もいろんなご批判はご批判として受け止めながらも、しかし、県民の皆さん、県のために力を尽くしていくという気持ちと気力は、何ら変わるところはありません。
これからも、また新しい年度に向けて、自分自身も力一杯頑張っていきたいと思いますので、どうか皆さん方も力を合わせて取り組んでいただけたらと思います。どうも、ありがとうございました。宜しくお願いします。