公開日 2007年12月08日
更新日 2014年03月16日
知事の定例記者会見(日高村の住民投票結果について)
平成15年10月26日(日曜日)20時50分から(県庁二階会議室)
(柴崎:毎日新聞社記者)
幹事社の毎日新聞です。
今回の開票結果を受けたコメントをお願いいたします。
(知事)
本日、日高村で行われました住民投票の結果、産業廃棄物処理施設の設置に関して、過半数の村民の方からご賛成をいただきました。
過去、こうした産業廃棄物の処理施設の設置をめぐります市や町単位の住民投票は、いずれも反対が多数を占めるという結果になっておりますので、こうした住民投票という手法を使ってなお多くの賛成が得られたということ自体、日高の村民の皆さんが新しい自治の形を全国に情報発信したことになるのではないかと受け止めております。
こうしたことも含めまして、村の執行部、また村議会、そして県民の皆さんは勿論ですし、多くの関係者の方々のご協力に心から感謝を申し上げたいと思っています。
今回、県といたしましては、財団法人のエコサイクルセンターと共に、村の協力を得て、説明責任を果たすという思いで、各地区を回ってご説明をしてまいりましたけれども、そうしたことを通じて、この施設の安全性、必要性ということ、また、情報公開ということを徹底をしながら進めていく仕事のやり方に、多くの村民の皆さんが理解をして下さった結果だと思っております。
いずれにいたしましても、非常に長い間、村民の皆様方にご迷惑をかけた、このことに改めてお詫びも申し上げたいと思いますけれども、今回の投票の結果で10年にわたる日高村での議論には結論をつけることができたと考えております。
ただ、今回、住民投票で賛成過半数をいただいたということは、あくまでも本村地区での事業のスタートラインに立たせていただいたということに過ぎません。これから、いよいよこの事業の推進について具体的な作業を始めていかなければいけませんので、村民の皆さん方のご参加を得て、
安全で安心のいただける施設を造っていくことは勿論でございますけれども、さらに情報公開の徹底ということに努めまして、多くの県民の皆さん方にご理解をいただける、信頼のいただける施設にしていきたいと思っています。
私からは以上でございます。
(柴崎:毎日新聞社記者)
各社から質問ございましたらお願いします。
投票率はどのようにお受け止めになりましたか?
(知事)
投票率は、過去の5回の、2市3町で行われた投票率がどれぐらいかというのは見ておりませんので、そういう意味での比較はできませんけれども、ほぼ80%という数字は、ずいぶん多くの村民の方が関心を示していただいた結果だと思っています。
(松浦:朝日新聞社記者)
票の差の方ですけれども、700から800票差というのがついたわけですが、それについてはどう思われますでしょう?
(知事)
80%という投票率から、これぐらいの差になったのだと思います。
けれども、やはり、1600人ほどの、反対をされた方々の思いとかご心配というものも十分酌まなければいけないと思いますので、事業を進めるに当たっては、800票余りの差をいただいたということは、今後、様々なご説明をしていく時に大きな力にはなると思いますけれども、
「もう800の差がついたから、後はそのまま押し切って進んでいけばいい」というような姿勢では、先ほども言いましたように、スタートラインに着いたばかりの事業は進まないと思います。
ですから、もう、この数字はまさに今の時点の客観的な数字として受け止めて、事業を進めるにつれて、その都度住民投票をするわけじゃないですけれども、この800票の差がもっともっと開いてくるような、信頼のいただける仕事をしていきたいと思っています。
(池:高知新聞社記者)
その10年間の経過を振り返ってですけれども、最初の用地選定の経緯とかですね、最初の233億円の振興策、あるいは計画地の変更など、いろいろ紆余曲折、あるいは不透明さも目立ったわけですけれども、そういった混乱状態が引き延ばされたときの県の責任、それと、知事がどのように…、「お詫び」というようなお言葉もありましたけれども、村民に対してどう責任を感じてらっしゃるのか、そこ、もうちょっと聞かせていただけますか?
(知事)
これまでも何度か、記者会見の席なり、この問題についてのやりとりの中で、気持ちは申し上げてまいりましたけれども、そもそもの場所の選定の進め方が情報公開という点で極めて不透明だったと。
これはもう自分自身が関わったことですから、人の事ではなくて、自分自身の仕事の進め方として情報公開が非常に不徹底であったということが、様々な問題を引きずっていく大きな原因であったと思いますので、その結果、10年にわたって村民の皆さん方に、村長さんも「心労」という言葉を使われました、私は「大変なご迷惑」であったと思いますけれども、そうしたご迷惑をかけ、ご心労をかけたことに、改めてお詫びを申し上げたいと思います。
この事業に限らずですけれども、これから大きなプロジェクトを進めていく時には、検討の段階から、地域の方々にもご説明をし、また、広く県民、私達の仕事で言えば議会でのご説明ということも含めてでございますけれども、そうしたことを徹底をしていく。
それで、その分時間がかかったとしても、結果的に不透明なまま進んで、後でそのことをご指摘を受けて、こうした10年という時間が過ぎることを考えれば、はるかに、最初から情報を皆さん方にお示しをしてお知らせをして進める方が早いということが、今回のことの最大の反省点であったと思います。
まあ二百数十億の、途中の時点での振興費のお話もありました。これももう、既に退職をされたOBの方々が関わったことですので、その方々の仕事の仕方がどうのということではなく、私がずっと最高責任者として関わった仕事でございますので、やはり、地域との、村と県との関係だとか、こういう事業を進める時の姿勢だとかいう点で、少し、行政の進め方で古い点があったと。
少し抽象的な言い方かもしれませんけども、そうやって、振興費で何か迷惑な施設を受け入れていただくという形ではなくて、もっとオープンに説明をし、ご理解をいただいて、その中で、合理的な振興費なり、支援策なりを考えていくというやり方に、
行政そのものが変わらなければいけないということも、これもまた大きな反省点で、今後、県庁の職員も皆この状況を見て知っておりますので、そういうふうに行政が切り替わっていくきっかけになるのではないかと思います。
(池:高知新聞社記者)
それと、日高村にこだわったという部分があると思うんですね。
私から見てますと、まず柱谷の下流域から上流域に移った段階。それと柱谷を断念して本村に移った段階。その2回、県はひょっとしたら撤退する機会があったかと思うんですけども、それでもまだ日高にこだわってきた、その理由…?
(知事)
いや、日高にこだわったという思いは、全く僕にはありません、少なくとも。
で、下流域から上流域へということはですね、正しく事実と整合性があるかどうか分かりませんけれども、やはり地域のご理解がある、多くの地権者の方々と地域全体のご理解があるということが柱谷地区を選んで事業を進めようというスタートに立ったきっかけでございますので、下流・上流の関係は、そういうメリットというか、県がそこで事業をしようと思った理由という点では変わらなかっただろうと思います。
それから、本村地区への移転は、議会でのいろんなご意見をいただく中で出て来たものと自分は理解をしておりますので、県として日高村にこだわって、あの地区を探して、あそこへ変更したということではございません。
(池:高知新聞社記者)
住民投票というものの選択肢ですけども、知事はどちらかというと、政治スタンスの中で、「直接民主主義」というか、「住民の声を直接聞く」というスタンスを大
事にされてらっしゃいますけども、例えば、市町村合併とかならともかく、こうした大きなプロジェクトの是非を村民に直接問うという手法ですよね。こういったもの
は今後のプロジェクトでいろいろ使う機会がある、もしくは多用されたりするおつもりでしょうか?
(知事)
いえ、何でもかんでもですね、住民投票がオールマイティで、何もしないうちから「まず住民投票をすればいい」というものではないと思います。
この事例とは違いますけれども、例えば、「税金を下げましょう」というようなことを誰かが発議をして住民投票にかけるとすれば、間違いなく「税金は無くそう」
ということを多くの方が投票をされる、というようにですね、住民投票というのは諸刃の剣のところがあると思います。
ただ、今回の事例で言えば、10年の経過ということがございますので、日高村、本村地区で事業を進めるか、それとも日高村から撤退をするかということを決めるに当たって、県としても、地域の方々にいろんな思いをかけたということがありますから、
その点は、県が勝手に撤退をするとか、進めるということではなくてですね、住民投票ということを選んだ、住民投票という手段を使ったということは、合理性が十分あったと思います。僕自身は、こうした迷惑施設ですとか、様々なプロジェクトを進める時に、住民投票というのは一般論として否定できないと思います。
というのは、ただ単に、先ほども言いましたように、何でもかんでもすぐ住民投票をすればいいということではなくて、一定、議論をし、しかし、それだけではなかなか進まないねという時にですね、やっぱり、こういう手段、手法を使って、そこに県、事業主体がきちんと説明をして、理解をしていただいて、
その投票の結果で進めていくということは、僕は自治のあり方として、あっていいと思いますので、今回、先ほどのコメントでも言いましたけれども、過去5回ですね、御嵩(岐阜県御嵩町)ですとか、白石(宮城県白石市)ですとか、2市3町(※)でいずれも住民投票をして反対の結果で終わったというものを、
県の職員、村の方々、またエコサイクルセンター、様々な関係者が、地域を回ってきちんと説明をして、ご理解をいただいて、賛成を得られたということは、大きな、新しい自治の形の発信だと思いますし、そういう意味では、こういう形で住民投票を使っていく事例というのも、今後もあり得るのではないかと思います。
※2市3町
宮崎県小林市、宮城県白石市、岐阜県御嵩町、岡山県吉永町、千葉県海上町
(池:高知新聞社記者)
僕自身も、御嵩(町)の時に取材にも行きましたけれども、御嵩の町長柳川喜郎さんは、まあ、いろいろ経過はありましたけれども、知事とは逆の立場で、「反対」の方で住民の意思を集約するような活動をいろいろされてきましたね。
住民投票という直接民主主義に頼らざるを得ない、あるいはそういうものを選択した時にですね、間接民主主義で選ばれた知事とか議会がどの程度距離感をおいて接するのかというのは、なかなか自分の中でも答が出てないんですけれども、そのあたりの知事のお考えを聞きたいんですけれども。
(知事)
それぞれの個別のケースで、少し濃淡というか、ニュアンスの違いはあると思います。
例えば、御嵩(町)の場合も、他の4つの市・町の場合も、いずれも民間の会社が産業廃棄物の処理場を造ろうとしたもので、それぞれの民間企業がどういう企業か私も存じませんので、その企業を中傷するようなことになってはいけませんけれども、
私どもの場合のように、県がかなり中心的に関わっている第3セクターとしてこうした事業を進めていく、その住民投票への県の関わりということと、市町村長さんの関わりということとは、かなりやっぱり、違った趣、ニュアンスがあるんじゃないかと思います。
(池:高知新聞社記者)
今後の大まかなスケジュールは、いかがでしょうか?
(知事)
細かいスケジュールは、坂本(文化環境部)副部長からご説明をさせますが、順調にいっても、完成は平成20年の中盤というところだと思います。
(坂本文化環境部副部長)
まだ、基本設計を現在策定中、まだ最後までいってません。
それと、本来ですと、基本設計にあわせまして、環境影響調査、環境アセスをやらんといかんところなんですが、10月末の住民投票…、発注をして後に住民投票でダメになった時に「税金の無駄遣い」ということになりかねませんので、それをやってませんでした。
それにつきましては、すぐさま着手したいというふうに考えております。
後は、この12月議会に、実施設計でありますとか、用地測量等の補正予算を出したいというふうに考えております。
(池:高知新聞社記者)
振興策はもう始まるんですか?
(坂本文化環境部副部長)
振興策につきましては、これからどういうふうにやっていくか、例えば、国庫補助金をもらわんといかんとかいったようなものについて、まだ国と正式に協議を全然しておりませんので、各部局と一緒になって、これからこういった計画づくりをしていって、事業着手の時点では、ちゃんと計画も立ててやっていきたいというふうに考えています。
(池:高知新聞社記者)
計画づくりというのは、スケジュールも含めた?
(坂本文化環境部副部長)
そうです、はい。
(池:高知新聞社記者)
それで、事業着手と同時に振興策にも着手するというような感じなんでしょうかね?
(坂本文化環境部副部長)
基本的にはそういう考えでおります。
(池:高知新聞社記者)
その着手年度というのは、いつなんですか?
(坂本文化環境部副部長)
(平成)17年度の下期あたりに…。
(尾崎文化環境部長)
(平成)17年度には予算化を、できるものは、まずしていくということになりますね。
(知事)
明日の朝、村長さん、こちらにおみえいただくということなので、その時また、そういうことについての村のご希望というかですね、段取りもお聞きをして、その計画づくりに反映をさせていければと思いますけれども。
(松浦:朝日新聞社記者)
あの採石場については、用地の買収ですとかっていうのはどういう形になるんでしたっけ?地権者の方っていうのは?
(坂本文化環境部副部長)
現在、「測量についてはOKですよ」というお言葉を皆さんにいただいておりますが、まだ、用地測量その他はやっておりませんので、具体の提示も何もしておりません。ですから、これから、これから始まると。今、知事が申しましたようにスタートラインということになります。
(松浦:朝日新聞社記者)
すみません。確認ですけど、総事業費はいくらになるんでしたっけ?
(坂本文化環境部副部長)
今の予定では約75億円。
(知事)
スタートラインというのは、すぐ事業が進められるスタートラインではなくて、地権者の方へのお話を始め、いろんな下話というか、段取りをようやく始められるよ
うになったということです。
(池:高知新聞社記者)
知事のところには中野村長から連絡はもうありましたか?
(知事)
私の方からお電話をかけました。
(池:高知新聞社記者)
どんな話を?
(知事)
「大変ご苦労様でした」ということと、今も言いましたように、「これでようやくスタートラインに立ったわけですから、また協力して事業を進めていきましょう」
ということを申し上げました。
(松浦:朝日新聞社記者)
(平成)17年の事業着手というのは、それまでに道を造るとかいろいろありましたよね、本体工事の前に。それに着手するということですか?
それとも、本体工事が17年…?もっとあと?
(知事)
本体というのはどの部分?
(松浦:朝日新聞社記者)
エコサイクルセンター自体。
(坂本文化環境部副部長)
75億円の分は、(平成)17年度の下期には何とか執行していきたいと。
(松浦:朝日新聞社記者)
本体の部分ですね?
(坂本文化環境部副部長)
はい。
(尾崎文化環境部長)
現場に入ることができるという意味です。
(松浦:朝日新聞社記者)
確か計画では、それまでに進入する道路などもある程度整備しなきゃというような話があって、それはもう…?
(尾崎文化環境部長)
現施設のところ(予定地である本村地区)には、事前に工事が必要なものはありません。
柱谷のところでは、作業用道路がまず先だとなっておりました。
(松浦:朝日新聞社記者)
稼動は何年ということで?予定では。
(知事)
先ほど言いました、最短で(平成)20年の半ば、20年度の半ばと言った方がいいかもしれません。
(柴崎:毎日新聞社記者)
他に何かございますか?
どうもありがとうございました。
(知事)
ありがとうございました。