公開日 2007年12月08日
更新日 2014年03月16日
知事の定例記者会見(東洋町長選挙の結果を受けて)
平成19年4月22日21時45分から(県庁二階 知事室)
(幹事社)1問だけ、最初に幹事社から質問します。
核廃棄物処理施設の誘致反対を掲げた沢山候補が、現職の田嶋候補に2倍以上の差をつけて圧勝するという選挙結果になりましたが、まず、知事はこの選挙結果をどう受け止めておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。
(知事)
今回の東洋町での町長選挙の結果は、町民の皆さん方がそれぞれの候補者の公約、またお人柄というものを総合的に判断された結果でございますので、私が知事としてどうこうコメントを申し上げるものではないと思いますが、
結果としてあれだけの票差がついたということは、それだけ、この高レベル放射性廃棄物の最終処分場の誘致ということに、強い反対が町民の中にあるということの証しであろうと思います。
選挙結果そのものについては、知事としてどうこう申し上げる立場にはありませんけれども、今回の結果を受けて、もう一度、原環機構〔原子力発電環境整備機構〕ならびに国に対しては申し上げたいことがあります。
それは、三位一体の改革ということに名前を借りて、地方交付税という東洋町をはじめとする地域の住民の皆さん方にはかけがえのない財源を一方的に大幅に削減し、その上で、困り果てた自治体に対して「高レベル放射性廃棄物の最終処分場を受け入れれば、交付金をあげますよ」と言って札束でほっぺたを張るような、そういう原子力政策を戦後60年たってもなお続けている。こういうことを、もう一度見直されたらどうかというふうに思うんです。
原子力は、日本のエネルギー資源として大切なものです。だからこそ、もっと民主的な、また透明なルールというものを、もう一度考えられたらどうかということを思います。
国にも、原環機構にも、こうした不合理な手続きが認められる制度になっているために、本来ならやらなくてもよかったような町長選挙、そういう不毛な選挙で町民の皆さんがどれだけ苦しんだか、どれだけ悩んだかということを少しは考えていただきたいなというのが、私の率直な思いです。
(幹事社)
幹事社からは以上です。あと、自由に質問していただければと思います。
(記者)
先ほど東洋町長の選挙結果に関するコメントが、原環機構の(山路 亨)理事長から出たんですけれども。「田嶋候補が落選されたと聞き、残念に思っています。今後の事業活動に、国などとともに、なお一層の努力を払ってまいる所存であります」というふうにありますが、これについては、どのように思われていますか。
(知事)
先ほどお答えしました。原環機構に対しても、自分の考えを申し上げました。
(記者)
沢山さんが当選ですけれども。今後、沢山さんと何かするとか、そういった予定はありますか?
(知事)
それはまだ、全然考えておりません。
(記者)
先ほどの「国ならびに原環機構に訴えていきたい」というのは、これはまた東京へ行かれてということですか。
(知事)
いえ、そうではなくて。今回の選挙戦、その結果を見てのコメントを、今、求められましたので、今の率直な思いとして「こうしたことをきっかけに、もう一度、国も原環機構も、考え直されたらどうか」ということを思います。
ここからはもう、私の主観的な言葉ですけれども、このような制度を続けていたら、いつまでも、どこにも、この処分場はできないのではないかなという気持ちもします。
もう一度、やはり、透明で民主的なルールというものを考え直して、国民的な議論の中で、この原子力というエネルギー資源にどう対応していくかということを考えるべきではないかなと。
そのいいきっかけになる選挙戦だったのではないかと。そうしていただきたいなという思いがあります。
(記者)
これほどの大差は予想されていましたでしょうか。
(知事)
なかなか難しいご質問なんですが。
選挙が始まる前までは、この高レベル放射性廃棄物の処分場に対する住民の思いというのは、これくらいの差がつくものだということを、私は思っておりました。
ただ、選挙戦の中でのいろんな情報を聞きますと、さまざま情報が錯綜(さくそう)しておりましたので、ここ数日は、これほどの差になるとは正直思ってはいませんでした。
(記者)
知事はこれまでも、「取り下げると言ったからといって、すぐに取り下げられるといった、そういう甘いもんではない」というようなお考えを示していましたけれど、現在も、やはりそのように思ってらっしゃいますか?
(知事)
それは公的な場ではなくて、ブログの中に書きましたけれども。田嶋前町長が私と会ってくださったときに、反対派の論拠には2つあると。1つは、安全性の問題だと。
もう1つは、「一度手を挙げて調査が始まったら、止まらない」と、反対派はおっしゃると。しかし、資源エネルギー庁や原環機構に問い合わせたところ、そうではないという明確な回答文を頂いたと。だから、「一度始まったら止まらないという論議には決着がついている」ということを言われました。
あと、後日になりますけれども、回答文をもう一度取り寄せて読んでみますと、「当該地域の都道府県知事および市町村長が反対の意見を述べているその間は、次の概要調査に入ることはない」ということを言われております。
つまり、「知事や市長、村長が反対をしたからといって、事業を断念するとか中止する」ということは、一言も書いておりません。
「知事が代わって判断が変われば、また、概要調査に入れる」という趣旨であって、当然、全体で30年もかかる事業でございますので、「知事が代わるまで2年、4年、6年という期間を待っていればいい」という趣旨に受け止められる文章だし、十分そのように読み取れる文章だというふうに思います。
ですから、悲観的な表現として「甘いものではない」という言い方はしましたけれども、「甘い」とか何とかいうことよりも、誰かが反対したからといって、その事業が中止になる、断念をされるという保証は、この制度では、全くありません。そのことはもう、文面上、また法律上、明らかだと思います。
さらに、その中に、「住民の投票」だとか「住民の意思」ということは一言も触れられてもおりません。こんな制度で本当にいいかということを、すべての国民に考えていただきたいなということを私は思います。
(記者)
核のゴミに対する拒否反応が勝ったのか。あるいは、田嶋さんが町民に黙ってやってきたという政治手法への批判。両方相まってという面もあるんでしょうが。
(知事)
それは全く分かりません。それこそ世論調査をしたわけでもなくて、私もお手紙を頂いたり、メールを頂いたりという数少ない情報の中で、感覚的には「こういう見方があるんだな」ということを察知するだけですけれども。
当然、核廃棄物ということへのアレルギーも強くあります。けれども、そこに至るまでの手続きの不透明さ、田嶋前町長がなさったやり方の不透明さだとか、それからやはり、前町長が自分たちの思いを聞く機会をなかなかつくってくれないと。
それは事実かどうか、分かりませんけれども、そういうような思いを述べておられる女性もおられました。ですので、いろんな思いが重なっていると思いますが、いわゆるそういう核廃棄物への強いアレルギーとかいうことでない方でも、随分いろんな不安とか不満というものを感じられたと思います。
だから、先ほど申し上げたように、候補者お二人が不毛だということを申し上げているわけではなくて、本来やらなくてもいいような不毛な選挙で町民を、今申し上げたような意味で苦しめたり、悩ませたりするような、こういう制度は即刻見直していただきたいなということを私は強く思います。
(幹事社)
よろしいですか?
どうもありがとうございました。
(終了)