公開日 2007年12月08日
更新日 2014年03月16日
知事の定例記者会見
平成16年6月21日14時00分から(県庁二階 第二応接室)
(項目)
・三位一体の改革(1)
・自衛隊の多国籍軍への参加
・参議院選挙
・グリーンピア土佐横浪の債務処理
・知事選の資金疑惑問題
・出納長人事
・三位一体の改革(2)
・知事のウエブログ
・「山の日」等への四国4県の取組
・育児休業
・市町村合併へ向けての知事の関わり
・三位一体の改革(3)
・政策協議
【三位一体の改革(1)】
(篠塚:朝日新聞社記者)
まず1点目なんですが、実は“骨太の方針”で示されている3兆円の税源移譲、それに伴う補助金削減の具体案ということをお伺いしようと思っていたんですが、先ほどウェブサイトを拝見したところ、抜本的なスタンスを変えなければいけないんじゃないか、という知事の…
(知事)
まあ、それはそれとしてですね、細目は知事会としても考えないといけないので、いろんな知事さんに会うたびにご意見も聞いております。
今の大きな方向性としては、義務教育の教員の負担金を、全体の流れとしてはそこに含める方向で話が進んでいるというふうに受け止めています。
あと、それがすんなりいくかどうかということは別にして、方向性としてはそういう方向だと受け止めてますし、自分としては、このあいだ、ある全国紙からのアンケートでも…日本経済新聞さんですけれども…、その義務教のことについては意見は述べていませんし、向こう3年間の中から見送るべきだという例の意見書については自分はサインをしなかった(※)ということの意味も、最終的にはそういう方向になるんじゃないかということを自分も思いながらやっておりますので、今の時点で、義務教についてどうかということを、まだ全体の意見集約や議論があるので言えませんけれども、方向としてはそうではないかなと。
公共事業についての取扱いをどうしていくかということが、大きな課題として残っていくのではないかと思っています。
きのう、四国知事会でお話をしていたら、飯泉さん(徳島県知事)が、(これは初めてそこで聞いたんですけれども、)「最近は、財務省の言い方も、“建設国債だから全く駄目”という言い方から、“建設国債なので償還60年である”と。“だから、1年ごとということであれば、60分の1の税源移譲だ”という言い方を財務省はしている」という話を聞きました。
直接財務省からそういう話を聞いたことはありませんけれども、その趣旨は、だから無理やり入れる必要はないんじゃないかという含みで言われてるんじゃないかと思いましたが、僕は、やっぱり公共事業というものははずせないだろうと。この次の3兆円の中にどういう形で入れるかということは別にしても、公共事業についても税源移譲ということを知事会としてやっぱり強く要望をしていかないと、三位一体の改革ということの趣旨とは合致しなくなるのではないかということを感じております。
今日の庁議でも、やっぱり、それぞれの補助金を持っている部局長さんとしては、「本当にそんなものいらないと言っていいのか」というニュアンスの話が…、今日だけではないんですけれども、このあいだの庁議でも今日の庁議でも出ました。
うちの県としての「廃止・削減すべき補助金のリスト」というのを去年まとめていますけれども、各部局でのすりあわせを積み重ねてという形ではなくて、財政課を中心に、県としてこういう方向ではないかということをまとめたものですので、もう一度各部局の今の時点でのとらえ方というものを含めて、一度、全庁議メンバー(全部局)か、一定主要な(部局)ということになるか、この問題に対する関わりの深い(部局)ということになるかは別にして、部局長が集まって、そこらへんの意見交換と共通認識づくりをしましょうということになっております。
(※)全国知事会財源調整問題研究会の「三位一体改革についての緊急提言(案)」に「義務教育費国庫負担金は国庫補助負担金廃止の対象とすべきでない」という趣旨の文言があったが、これに同意をしなかったということ。他の県からもさまざまな修正意見等があり、結局、この部分の記述は削除された。
(篠塚:朝日新聞社記者)
具体的スケジュールも含めて庁議のことは決まったんでしょうか。
(知事)
いや、何日にどうするということは決まっていません。
来月、新潟で行われる知事会が、やっぱりひとつの節目になると思いましたので、これは議会にもお願いをして、当初予定をしていた質問のスケジュールを少し後にずらしていただきました。
そういうことから、この7月14、15日の知事会というのは、一つの大きな節目になっていくと思いますので、そこに向けて、県としての一つの考え方というものはきちんとまとめておかないといけないと思っています。
【自衛隊の多国籍軍への参加】
(篠塚:朝日新聞社記者)
ちょっと国政の話になるんですが、橋本知事はイラク特措法での自衛隊派遣に対して反対を表明されていた時期もありました。その後、人質問題などありました。あの時点では「撤退すべきではないだろう」と発言もされてらっしゃいましたが、その流れを受けて、多国籍軍への自衛隊の参加が閣議決定されまして、今そういった事態を知事としてどう受け止めてらっしゃるのかということをお伺いしたいと思います。
(知事)
人質事件のとき、「撤退すべきじゃない」と言ったのは、「人質をとられたから撤退をするというのは、賛成・反対の立場は別にして、国家意思を表明したものをそういう形で簡単に変えていくということは、他への影響からもすべきではないんじゃないか」ということを申し上げました。
そもそものイラク戦争への関わりということを考えれば、もともとはやはり私は“大儀のない戦争だ”というふうに理解をしていますし、その大儀のない戦争に自衛隊の派遣というようなかたちで関わりを持っていくことには、今も反対です。ですから、そのままその多国籍軍に参加をしていくということにも基本的には反対です。
【参議院選挙】
(篠塚:朝日新聞社記者)
そういったことを踏まえて、24日に参議院選挙が公示になるわけですけれども、この選挙に知事として何を望まれるのか、という点をお聞かせ願えますか。
(知事)
選挙に何を望むかといえば、やはり、できるだけ多くの方々に投票所に足を運んでいただいて、例え無効票であれ何であれ、意思表示をする人が増えることを期待をするしかないですね。
それ以上の、結果なり何なりに期待云々ということを申し上げる立場でもないので、参議院選挙への期待ということで言えば、最近も、さらにまた関心が低くなっているのではないかというような報道もございますので、実態的にはそうでしょうけれども、やはりもっといろんなことに関心を持って、この時期、自分が政治に関わるのであればどういう意思表明をすべき時かということは、一人ひとりの国民・県民の皆さんに考えていただいたらどうかと思います。
(篠塚:朝日新聞社記者)
論戦の中身としてはどうですか。
(知事)
それがなかなか…。「地方の代表としてはこういうことが対立軸になって議論されるといいね」というところまで言い切れない曖昧な状況ですので、なんとも申し上げられませんけれども。
まあ、少し抽象的ですが、三位一体の改革というもの、そのことにもより関心を持っていただいて…、だから何党だということになるかどうかは分かりませんけれども、今やっぱり、地方の関わることでいえば、三位一体の改革というのは、別に地方行政や地方議会に関わる人だけではなくて、県民生活、市町村の住民の皆さんの生活に直接関わることだと思いますので、関心を持っていただけたらいいなと思いますね。
(篠塚:朝日新聞社記者)
幹事社からは以上です。
【グリーンピア土佐横浪の債務処理】
(池:高知新聞社記者)
グリーンピア土佐横浪の債務処理に関してですが、6月の上旬に監査委員の方から、15年度の貸付分の480万円について補てん措置をするように、勧告が知事に出ております。
その際の知事からのコメントが出たかと思うんですが、この監査対象そのものが15年度だけですかね?
そもそも、13年度の末でしたっけ、知事が、国体のために期間を一定区切ったような形で契約をして延命措置をしたようなことで、延長というかたちで運営されてましたけれども。その間がですね、言ってみたら「返済の見込みがない」というような指摘をされているわけですけれども。
これ、遡って考えると、ずっと11億の累積債務にも…。まあ、どこからそういう判断ができるのかという難しいところもあると思うんですけれども。
知事、まずその監査に対してですね、どんな受け止め方をされて、今後その11億全体の債務処理について知事の考え方が反映されると思うんですが、そのあたりちょっとお聞かせ願えますか。
(知事)
県として全体的に協議をして結論を出したわけではないですので、県としての方針として「こういうことを固めております」ということを申し上げるわけではないのですが、自分自身の、あの監査報告、監査の内容を見ての印象は、「“公益性”ということの判断に県の考え方と違いがあるな」ということを思いました。
(池:高知新聞社記者)
監査の方は、「公益性がない…」
(知事)
「公益性がない」という判断をされていると、自分は受け止めています。が…
(池:高知新聞社記者)
県としては、これだけのお金を出すだけの“公益性”はあったと?
(知事)
当然「公益性がある」という判断で、これまでのいろんな取り組みをしていますので、「公益性が全くない」という判断は、県のこれまでの考え方とは食い違いがあるというふうに受け止めました。
(池:高知新聞社記者)
その「償還の見込みがない」という部分は、「公益性がある」ということで、まあ一定、帳消しというか、相殺されるというようなご判断ですか。
(知事)
償還の見込みがないかまで、ちょっと僕は、ここではっきり申し上げるだけの根拠を持っていませんので、分かりません。
(池:高知新聞社記者)
最終的に11億…、まあ、内訳がだいたい、県5億5000万の、金融機関5億5000万ぐらいだと、そんな感じだったと思うんですけど。
今の段階で見通しをおっしゃるのは難しいかもしれませんが、どんな形になっても、県民の負担と言いましょうか、県がかぶる債務というのがあるというのはご認識されてますよね。
(知事)
まあ、そうだと思いますね。
そこまでちょっと…、どれぐらいの額でどうかということまでは、自分として数字的にちょっと今持っていませんので、分かりませんけれども。
【知事選の資金疑惑問題】
(岡林:高知新聞社記者)
先日、高知新聞とRKC(高知放送)が、参議院選挙に絡む部分で世論調査を行いました。
この部分で、県政課題についての質問項目を設けましたので、百条委員会の関係、評価どうなのかというところを設問を設けて回答をいただきました。
それについて知事自身ご覧になられましたでしょうか?
(知事)
見ました。
(岡林:高知新聞社記者)
その上で、感想なりをお伺いしたいんですけど。
設問項目としては、一つは百条委員会の現在の取組、これについてどう評価するかということ。それについて、私どもの調査ということですけれど、県民の半数に近い方が「評価する」と。49.3%ですけど、評価すると。
あと、「あまり評価しない」とか「全く評価しない」と、そういった方々が25%ぐらい。あとは「知らない」「わからない」と。
というようなまあ、百条委についての県民の捉え方があったんですけれど、その結果…百条委の結果自身を、まず知事どういうふうに?県民の受けとめ方ということであるならば、どういうふうにお感じになられたかなと。
(知事)
明確にコメントできるような傾向ではないと思います。
(岡林:高知新聞社記者)
というのは?
(知事)
だから、数字の割れ方からしても、それから、その評価をするといっても、“まぁまぁ”というような部分もあるわけですね。その“まぁまぁ”の色彩をどう見るかというようなこともありますので、あの円グラフを見て何かが語れるというものではないというふうに思います。
(岡林:高知新聞社記者)
それで、その上でもう一つの設問として、その百条委員会の評価とともに、知事自身が百条委員会に対する姿勢というものについて、さまざまな場面で…全部ではないですけれども、議会等でもご答弁されているような姿勢について、どうなのかという設問も設けました。
そこで回答があった部分として、これは知事の判断、見方、それぞれあろうかと思いますが、最も多かったのが、「知事自身も調査をするとか、そういった形で説明責任を果たしてもらいたい」、こういった方が過半数を超えた数字が出ました。それから、それ以外の部分でいうと、「知事が何らかの結果責任をとるべきだ」という方も14.5%おいでになりました。
一方で、「知事に責任はない」という方が5%ぐらい。それから、「昔のことなので、知事の姿勢は仕方ない」というふうにお考えになられている方が20%…、先ほどの「責任はない。妥当な姿勢だ」という方を含めて2割弱おいでになりました。
この「知事自身の姿勢」という部分について、県民がこういうふうに捉えていると。このことについては、先ほどと同じような質問になるんですけど、知事自身はどういうふうにお受け止めになりますか?
(知事)
まあ、そういう質問の聞き方をされればですね、傾向としては、今言われたような数字の傾向が出るのではないかと思います。
(岡林:高知新聞社記者)
「傾向が出るのではないか」というのは…、見方、これさまざまあろうかと思います。「説明責任を果たすべきだ」という見方の中にも、それぞれの県民の考え方が混じっているというのは当然あろうかと思いますが、少なくとも何らかの、結果責任を含めて、今の知事のスタンスではない姿勢を県民が百条委の調査に対して望んでらっしゃる、という傾向はあろうかと思いますよ。それについては、知事自身はどう?
(知事)
僕はそうは受けとめません。
(岡林:高知新聞社記者)
ああ、そうですか。
(知事)
ええ。 結果責任と説明責任を一緒にして「責任」というのは、無理のあるまとめ方だと僕は思います。「説明責任」というのと「事実を調査をする」ということにも、僕自身は、違いがあると思います。
「説明責任がある」というのは、私は当然のことだと思いますし、これまでも「説明責任はある」ということは申し上げております。「一定の時期で説明をする必要があるだろう」ということは申し上げておりますが、事実が調査できるかどうかということに対しては、私は、これまでも申し上げているように、「今の時点で本当の意味での事実が調査できるとはとても思えない」という立場に変わりはありません。
(岡林:高知新聞社記者)
ということは、知事自身が今、説明責任はお果たしになられてるというふうにお考えになられてますか?
(知事)
いや、説明責任はまだこれからの状況を見て、いろんなことが出てくれば当然果たさなければいけないでしょうし、そうでなくても、前に「どこかの時点で説明をすべきだと思いませんか」という質問があって、「それは説明をすべきだと思います」ということは申し上げています。
(岡林:高知新聞社記者)
その「説明すべきだ」というものがですね、例えば百条委員会の日程等が、大まかな日程等が百条委員会の中で話し合われて、当然その中で、「知事にもおいでいただいて」というようなことも決まってきたやに聞きますけれども。そういった時期を指して、知事はその「説明責任を」というスタンスなんですか?
(知事)
そういった時期というのは?
(岡林:高知新聞社記者)
百条委員会での説明責任ということですか?
(知事)
そうではありません。
(岡林:高知新聞社記者)
そうではないわけですか。ということは、あのう…
(知事)
というのは、百条委員会はご質問を受けてしゃべるということですから、「説明」にはならないと思います。
(岡林:高知新聞社記者)
そうですね。なりませんね。ということは、百条委員会ではない場面でご説明をするということですか?
(知事)
そうです。
(岡林:高知新聞社記者)
当然それは百条委員会の前ということですか?
(知事)
いや、それはどちらかわかりません。いつ(百条委に)呼ばれるかもわかりませんので、なんとも申し上げられません。
(岡林:高知新聞社記者)
例えば7月、参議院選挙後に、(県議会の)定例会があります。そこの場面というのは、知事の頭の中で、説明責任を果たす場というふうにはお考えにはなりませんか?
(知事)
今の段階ではそこまで考えておりませんけれども、日々、状況というのはいろんなことがありますから、そういうことが必要だと思う場面があるかもしれませんけれど。今は、特段そう思っておりません。
【出納長人事】
(吉川:KUTV記者)
出納長人事に関してなんですが、前回の定例の知事会見で「7月の定例会前に臨時議会を開きたい」というようなお話があったと思いますけども、今どういう状況になっているでしょうか。
(知事)
今は、臨時会を開くという環境ではなくなっていますので、定例会に向けて、どういうことが考えられるかということを検討しております。
(吉川:KUTV記者)
今の状況では、7月の定例会に出したいという…?
(知事)
出したいというところまで固まっているものがあるわけではないんですけれども、できればやっぱり、7月の定例会というのは一つの大きな節目だろうというふうに思います、この問題だけではなく。
【三位一体の改革(2)】
(須賀:高知新聞社記者)
今月の初旬に、知事公邸で、市町村長さんとの懇談会ですか、あったと思いますけれども。
補助金改革、それから三位一体について言えば、知事がおっしゃっているように、これから数ヶ月間、国と地方のかたちづくりが非常に大事だというふうに我々も思っていますが、その上で、知事一人でなく市町村長が、実際の長が、一体的にやっぱり一つの共有性、意識の共有を持ってことにあたらなきゃいけない。
そういう時期の中で、この間の懇談会を通して知事なりに意を強くしたとか、もしくは、「いや、正直言って、まだ意思疎通が足りないな」とか、いろいろな思いが去来したとは思うんですが、その辺をちょっとお話しいただければ。
(知事)
市町村長さん…、あの日の会だけでなく、議会筋とかいろんな方とお話をする時に、国庫補助負担金で言えば、県だけではなくて市町村が関わることとか、それから議長会でも関心を持っていただいてというようなことがあるわけですけれども、そこの関心の度合いとか、関心を持っている方向に、相当まだまだ、一般的な言い方で言えば「温度差があるな」ということは感じています。当日の市町村長さんとの話の中で、そんなに具体的な内容について、ああいう場ですから、懇談の場でも話に出たわけじゃありませんけれども。
まあ、向こうからそれほどの突っ込んだ話にならないということをみても…、一部の方はそういう話になるわけですけれども、全体的にはそういうふうにならないというところを見ても、非常に、量的にこれだけ削られて厳しいということは共通認識ですけれども、その中で、それじゃあどうしていくかということについては、まだまだ、もう少し突っ込んだ意思疎通が必要だな、ということは思いました。
(須賀:高知新聞社記者)
その辺に関して言えばですね、その意思疎通…、例えば高知の中で、「ひとつ、この方向性で行こう、補助金改革については」というのは、それ自体も非常に難しいと思うんですよ。
先ほど、今日のトップの質問で、義務教育費の負担の問題ですね、これも知事によって意見が分かれているという傾向があると思いますから、ここで、現時点で高知県の知事として発言すると、非常に微妙なタイミングですから、なかなかやりにくいものがあろうかと思う。
ですから、現時点では意見をはっきり言えない、意見集約になる、というふうに認識しますけれども、ただ、その中であっても、一つの考え方としては、義務教育費、それの最低限のレベル、これはナショナル・ミニマムとして国の仕事だと、地方の固有の仕事ではない、という考え方に立つということは一つは視座として大事ですし、その絡みで言うと、補助金の金の仕分けを考える前に、「何が国の仕事で何が地方の仕事なのか」、そこら辺を小泉内閣は極めて曖昧にしてますから、本当の議論のしようがないと思うんですよね…。という声もあるにはあります。
そういう観点でいくと、今度の8月の末までにと言われる小泉さんからのあの宿題ですね、地方が受ける…、これも非常に出しづらいものなんです。この辺を踏まえて国の方はある種意地悪をしてきている、というふうにとらえられなくもないわけですね。
ですから、そういうときに、やっぱり地方の中でもそういう声を挙げてですね、そこへ求心力を束ねていくような仕掛けというんですかね、そこら辺が全国の中の地方にないと、どうも生煮えな形で中途半端な答案ができるんじゃないかな、という懸念があるわけです。
ですから、知事ももう少し、今現時点ではものが言いづらいでしょうが、来月ですか、7月の14、15日、新潟、そこに向けては、もう少し、もっと市町村長とも、それから県庁だけじゃなく、という体制づくりが必要かと思います。その辺についてもう一度お考えをいただければ。
(知事)
それはおっしゃる通りです。今の点は、もうおっしゃる通り。
今のお話で一つ思ったことは、義務教育の教員の国庫負担金、これが国の仕事か地方の仕事かという議論はもちろんあります。
一方で、総額裁量になったからいいという形にしていくと、結局、総額裁量の額をまた減らしていって、減らした上に一般財源化するということをしかねない、というとちょっと言葉が汚いけれども、もう今の状況だと、しかねないんじゃないかと、いう意見があります。それと同様な、その延長線上から出てきている発想だと思いますけれども、生活保護の国庫負担に関しても、負担率を下げる云々という話が公然と言われてますね。
だとすれば、今、「義務的なものは100%所要の額を」と言っているうちに、生活保護費も地方に移した方がいいんじゃないかと。法律改正を伴いますけれども。という意見もあるということを、きのうの知事会で飯を食っている中で聞きましたので、「うーん、そうか」ということも感じました。
ですから、ほんとにやっぱり、国が何をすべきで…、これは憲法にも関わることですよね、生活保護になると。教育ももちろんですけれども。そこも踏まえてきちっとしなきゃいけないという大前提のところと、それから、もう今の時点でなし崩し的にこうこられたら、どういう手順でいくかという極めて現実的なところと、これぐらいの開きがありますけれども、そこを見合いながら考えなきゃいけないという厳しさ・難しさがあります。
だけど、おっしゃるように、先ほど申し上げたのは、うちの庁議のメンバーの中でもまだ相当モヤモヤしているので、まずやっぱりそこの共通認識ぐらいきちんとしないと、外に向けては…。後ろから弾は飛んでこないでしょうが、みんなが納得しないまま知事が勝手に言うということはいけないので、きちんとそこはまとめなきゃいけないだろうと。その時、やっぱり市町村も理解をした上でいかないと。
まあ、一つ一つの個別の補助金になると、「そんなもの外されたら困る」というのは、またいろんな違いで53(各市町村)出て来るでしょうが、もう少し全体的な、公約数的なものであっても、市町村長の意見ということはまとめた上で一定の方向をきちんと言わなきゃいけないので、「今の時点で何がどうということは明確に言えない」というのはそういう意味なんですけれども。そこは、今言われたように、もう来月の初旬から中旬にかけてはそこをきちんと県として固め、また自分としても明確に外に申し上げられるようにしていかなきゃいけないということは、重々思っています。
(須賀:高知新聞社記者)
地方の場合は、人口というものが…、交付税の算定もそうですし、それから教員一人あたり…、つまり「一人あたり」って部分が非常に地方を苦しめています。
これ、1票の格差にも通じることですけれども、格差はむしろあっていいと、ないと均衡ある国土の発展はできないです、という基軸を据えて。
それから、補助金を残すということについては、財務副大臣は、むしろ市町村長には「補助金を残してくれ」と開き直って言ってますけれども、それはやっぱり中央省庁のいわゆる手に乗ってしまうというふうに思えるわけですね。
補助金という形でやると、やっぱりしばりで自分たちの存立基盤を維持できますから、中央省庁は。ですから、それを交付金、交付税化していくという手法ですね…、そのキーワードとやっぱり脱人口傾斜指標と言うんですか…、面積だとか、いろんな、地方について必要不可欠な指標を、早く、早急に地方連合に見出して、それを突きつけていく。そうすると、都市部の首長、それから自治体から当然ブーイング出ますが、そこはやっぱり譲れない部分で、そのためのバーターでいろんな制度の仕組みがある、そういうふうに持っていくべきだと思いますから、ぜひそのへんはまあ知事にも持っていただきたいなと。
(これは)意見です。
(知事)
財務省は「補助金こそが地方への再配分の最もいい手法だ」ということさえ公言しておりますね。まあ、財務省全体の意見か一部かは分からないけど、有力な、実際に実務を担当している人がそういうことを公然と言いますから。 という背景というか、そういう意見の流れが、今、国の中にはあるんじゃないかというふうに感じますけどね。
【知事のウエブログ】
(井上:産経新聞社記者)
全然また話変わりますが、ウエブログ(※)をやられて間もなく3ヶ月になりますけれども、何か感想を持ってらっしゃいますか。
(※)“だいちゃんぜよ” http://daichanzeyo.cocolog-nifty.com/0403/(インターネットエクスプローラでご覧下さい)
(知事)
よほど暇なやつだというふうに思われるかもしれませんけれども、自分なりに、絶えずやっぱり何かをまとめていくという意味では、ある意味、いい訓練にもなるし、自分の頭を活性化させるのに役に立つというふうに思います。
やっぱり、休んでると、次々事を忘れていきますし、頭の回転というのをそう保っていけませんけれども、ああやって、軟らかいものでも堅いものでも、考えてまとめてということをしていくと、いつもいつも頭が回転していくようになりますので、少々年を重ねても、頭の動きを止めないひとつの原動力にはなっていると思っています。
(井上:産経新聞社記者)
トラックバック(ウエブログに対するコメント)なんかはやっぱり見てらっしゃいますか。
(知事)
いや、なかなか見れません。
(井上:産経新聞社記者)
ただ、一つ感じたのはですね、書かれるネタなんですが…。
2日ほど前もイノシシの話が入ってましたけれども。まあ、あれも実は四国4県の調査ですね。見てますと、このあいだも男性職員の休暇の問題(男性職員を対象に行った育児休業の意識調査)、あれなんかも書いてらっしゃるんですが、知事が書かれたあとで、しばらくしてから発表するという形があるわけですね。
もちろん、まあ知事のところへ報告されるのが先だとは思いますけれどもね。あんまりそのタイムラグがあるというのは、我々としてはあまりいただけないなという気もするんですが。
(知事)
なるほど。
(井上:産経新聞社記者)
一つそのへんだけは注文しておいていいかなと思っておりますけども。知事が書かれることは(全然)かまわないんですけど。
(知事)
要は、もう何でも隠さずドンドンバンバン出していったらいいんじゃないか、というのが僕の趣旨なんです。そういうことを感じ取ってくれるんじゃないかなあと…。あえてそういう指示をしてませんけれども。
そこはきちんと、相手さんとの関係だとかいうことで、出していけないものかどうかということは自分でさび分けているつもりなので、そうでないものはですね…、もちろん、(記者)クラブと打ち合わせをしていつの時期にした方がいいという類のものは別ですけれども、そうじゃない一般的なものは、もう、まとまったらすぐ出していくという…、そういうふうにしたらどうかなあということを正直思って、そういうことを感じてもらう手段の一つとも思っておりますが。
イノシシはですね、正直な話、去年ああいうことをやるというのも聞いたんですよね。で、実際にその報告書を見て、あそこで言いたかったのは、こんなことに金を使っていいかなというのが正直な思いだったんです、本当は。
何か「四国連携」と言って…、あれが本当に次の…、有害鳥獣の駆除というのを目的にしているものですから、あれが何かつながっていくものならいいけれども、生息調査をし、動きを調査をして、何かそれの駆除につながるものが次に出せるかなあと。本当に、イノシシや何かをやってる、鉄砲撃ってる人たちは、「そんなこと分かってるわ」と言うんじゃないかな、ということを正直なところ思って、あんまりそうストレートに書くと…という思いがあったんですけれどね。
【「山の日」等への四国4県の取組】
(釜本:時事通信社記者)
きのうの四国知事会議で、知事及び高知県が提唱してきたSLですとか、もしくは高知県が先に始めた「こうち山の日」の四国4県への拡大等について、各知事から賛成の意見が出たと。
その細部については、山の日でしたら、「週間・月間にしたらどうか」という真鍋知事の意見ですとか、もしくはSLの基金についても、「分担金の割合に差をつけてはどうか」という加戸知事の意見ですとか出たんですけれども。
まあ、事務レベルの折衝はこれからになると思いますから、率先して提案してきた知事個人、もしくは高知としての考え方を聞いておきたいんですが。
(知事)
それは、特に「山の日」は、高知がやるだけではなくて、四国4県でやっていくことで、より「森づくり」ということへの全国的な関心も高まると思いますので、まあ、SLも含めてですが、県としていろいろ提案をしてきたことを4県として受け入れていただくというのは大変嬉しいことだと思います。
一方で、橋(本州四国連絡橋)の料金の問題だとか、その橋の利用を促進するための割引制度だとか、クーポンの作り方だとかいうことは、今度は、橋のすぐたもとにある香川県と、本県では、また若干、そこの得べかりし利益に違いが出てくるということはありますので、准看護師さんの通信教育でも、少し負担に違いを付けて、ということに結論としてはなろうと思いますけれども。いろんな面で、費用負担の違いというのは出てくるだろうと思います。
ですから、すべてが「4県共同で、均等割りで」ということではなくて、そういう形で、いろんな事業ごとに濃淡をつけながらも、一緒にやれるものをやっていく、ということがいくつか出てくればとてもいいなというふうに思うんですね。
(釜本:時事通信社記者)
きのうSLなり「山の日」の意見が出たことを踏まえて、知事の個人の希望というか、最終形のアイデアみたいなのは何かありますか。
(知事)
「山の日」は、週間・月間ももちろん広がっていけばいいですが、11月11日という日をせっかく設定をしていますので、これを「四国山の日」という形にしていただければ、キャッチコピーというか名前としても、それだけでひとつ全国に打っていけるものになるだろうと思います。
それから、「11月11日は四国山の日ですよ」という形にすることで、高知に来られるか香川に来られるかどうか分からないけれども、近畿圏なり何なりから、観光という意味ではなくて、山を考えるという意味でいろんな団体の方に来ていただくということになろうと思いますから、真っ先に「四国山の日」というものは、やはり日を決めて取り組んでいければ、面白い動きになるだろうなと思うんですね。
これももう、愛媛県の加戸(知事)さんが一生懸命言ってくださっているんですけれども、前に内子町で加戸さんと話をする、その時以前も…、今愛媛県で森林環境税に取り組んでいただいているわけですが…、やはり事務方の中には「高知がやったものを、二番煎じをなぜ?」という強い抵抗があって、それを知事が「そんな狭い考えじゃいけないよ」ということを繰り返し話をしてくださってここまできたということがありますので、まあ、加戸さんと私とか、真鍋さんとか飯泉さんとか…、そういう知事同士の人間的なつながりというか意思疎通というものが全体を動かしていくものにつながっていくな、ということは改めて感じておりますので、今後も4県知事の…、これは個人的という意味ではないですけれど、やっぱり人のつながりというものが組織を動かしていくことになるという思いを持って、人間関係もつくっていきたいな、と思います。
【育児休業】
(宇野:NHK記者)
さっきちょっと話出ましたけれども、育児休業の件なんですけども。
結局、そのアンケートの結果を見ると、「職場環境が変わらないと難しい」とか「個人の自由である」というような、これまで社会のいろいろな局面でなかなかそれが促進できなかった一番大きな壁がやっぱりそこにも…、職員の感想の中にも、大きく出てると思うんですけど。
それ、なかなか変えていくのは大変なことだろうなと思うんですが、高知県として、パイオニアとして、そういうものを取り組んでいくにあたって、何かこうアイデアみたいなものは今お有りでしょうか。
(知事)
あそこでもちょっと書いたかもしれませんけれども、職場環境ということで言うと、やっぱり上司が「こういう制度があるからとってみたらどうだ」ということを一声、その対象になる人にかけるかどうかということは、大きな違いだと思います。
それから、そういう話が挙がってきた時に、「よし。それじゃとりなさい」と、「あとのことはもう気にせずにやれ」ということが言えるかどうか、ということが大きなポイントだと思います。
というのは、昨年度お一人とられてますが、その方への聴き取り調査の結果を聞いても…、その方というと一人だけですので、職場も限定されてアレですけれども…、所属長に相談したら、「そりゃもういいことだ。すぐとりなさい」とこう言われたので安心してとれたということを言っておられますので、そのことが大切だろうと。
つまり、それぞれの所属で、対象になる、お子さんを持っている方、今後そういう対象になる、赤ちゃんが誕生する人に、きちんとやっぱり所属長が声をかけていく、ということをぜひ進めていったらいいんじゃないかな、と思っています。
(宇野:NHK記者)
例えば生活保障の面とかですね、あといろいろ、共働きでしたらまたクリアできる問題があると思うんですが、そういう部分がなかなか打ち破りがたい壁としてあるのかなというふうに思うんですが。
(知事)
それはもう、やっぱり二の次の問題ですね。二の次というのは、生活保障はいらないという意味ではなくて、そういうことに手を出すことよりも、まだまだ、今申し上げたような、とりたいという人がとれるような…。
生活保障というのは、とりたいと言えないというバリアだと思いますので、生活保障のことも考えて、とりたいという人がとれる環境をつくっていくということが大事だと思います。
【市町村合併へ向けての知事の関わり】
(篠塚:朝日新聞社記者)
前々回の会見で、市町村合併について、機会があれば橋本知事ご自身が市町村に行って、という話がありました。それから2ヶ月ぐらい経ったんですけれども。
どうです?この夏場ぐらいに、そういったこと、具体的に動き出しますか。
(知事)
夏場に動き出すかというのは…、何カ所かあるんですけれども、1カ所はお話しをしかけて、いろんな事情があって「参議院選挙のあとにしてくれ」ということを言われている所があります。
それから、もう1カ所は、その地域にぜひ来てくださいということを、町長さんや地元の議員の方を含めてお話があっているのもありますので、これはそういう方向で今相談をしていると思います。
それから、もう一つあったのは、担当に聞きますと、「ちょっと今行くと、逆に…」ということを言われたものもありますので。
いろいろ声はかかっておりますけれども。今ちょっと一番可能性のありそうな所がいつごろを予定しているかまで掴んでませんので…。たぶん具体的な話もしてると思いますが。また(事務方に)聞いていただければ分かると思います。
【三位一体の改革(3)】
(釜本:時事通信社記者)
三位一体の話にまた戻ってしまうんですけれども。
知事がこれまでの中で、補助金削減についても、例えば高知県がやっている保育園の補助金の関係であるように、地方の側から補助金を削減して、「一般財源にすればこういうふうなことができるんだ」という提案をしていくことが、都会等の関心の減、もしくは都会と地方との格差というものの解消につながるという意見を今まで聞いてきたんですが、そういうことも踏まえてですね、今週から政策協議も始まりますけれども、来年の予算及び迫り来る三位一体の期限についてですね、今の考え方を確認しておきたいんですけれども。
どういう…、例えばまあそういう、何か来年度予算編成に向けてこういう成果を出している事業があるかとか、そういうことについて聞きたいんですが。
(知事)
ちょっと趣旨がもうひとつわからないんだけれども。公立保育所の問題で言いましたのは、要は、一般財源化されてもですね、補助要綱でプラスアルファ決められているしばりがなくなっても、やはり国として「それじゃあ、公的な保育所にこれだけのものは必要ですよ」という新たな基準というものがあるでしょうと。
それが示されないと、補助要綱はなくなったと…そのしばりはなくなっても、全部自由にしていいかというと、やっぱりそうはならないだろうから、勝手にやってて、あとで、国の示した基準と外れて、「これは国の基準と違うんじゃないですか」ということを言われたら、動かしようがなくなる、という意味で、なるべく早く、やっぱり国が、補助要綱はなくしたけれども、それに代わるというか、さらにベースになる、国として全国的に保障すべき基準としてどういうものを示しますか、それをお示しください、ということを、公立保育所の問題では言ってきたわけです。
その後、厚生労働省が公立保育所のあの問題で示しているかどうかをちょっと掴んでいないので分かりませんけれども、今の時点で、一般財源化されて使えるというのは、公立保育所とか、まだまだ限られたものだと思いますので、今のご質問で、「何かいい玉があるのか」ということで言えば、そこまで突っ込んだ玉として、また事業として、出せているわけではないです。
【政策協議】
(釜本:時事通信社記者)
政策協議にかける思いというのだけを、また別として確認させてください。
(知事)
政策協議は、各部局の経営方針というものを出しましたので、その経営方針に基づいて具体的にどういうふうに進めていくかと。それを全庁的な一つの共通認識として持つ場にしていくということだと思います。
全体予算のことについて言えば、ここ数年ずっと、各部局が予算調整の権限を持って、(各部局の)中の予算は自分たちで自主的にまとめてシーリングの枠の中でつくっていく、ということをやってきたわけですが、もうそれだけではなかなか済まない時になってきたので、一度、全部その枠を外して揺り動かしを…、どこまでできるか分からないけれども、やらざるを得ないだろうと。
大きな揺り動かし、シェアの配分の見直しになるかもしれませんけれども、そういうものをして、そしてまた、次の段階から、各部局の自主的な編成に任すという…、そういう、今の時期は一度やり直す時期だと思いますので、そのことがどこまでできるかというのが大きな一つの課題ではないかと思っています。
(篠塚:朝日新聞社記者)
よろしいですかね? でしたら、これで。
(知事)
ありがとうございました。