知事の定例記者会見

公開日 2007年12月08日

更新日 2014年03月16日

知事の定例記者会見

平成18年10月20日14時00分から(県庁二階 第二応接室)

(項目)
 ・県立大学改革(1)
 ・周辺事態法の適用と県内港湾の利活用
 ・県警の捜査費(1)
 ・高知駅前の複合施設
 ・地方交付税制度
 ・県立大学改革(2)
 ・県警の捜査費(2)
 ・高知城の指定管理者
 ・協働の森づくり事業
 ・知事の残任期の課題
 ・高レベル放射性廃棄物処分場



県立大学改革(1)
(石山・朝日新聞記者)
 幹事社から、まず三つ質問させていただきます。

 最初は、県立大学の改革についてなんですが、9月に基本計画を県としてまとめられて、その後、10月6日の議会の閉会日に、企画建設委員会委員長から、ある意味注文かと思うんですが、「県と高知女子大の真摯な話し合いを待った上で別途判断する」という報告がありまして、そのときに知事は「女子大に対して県の考え方を十分に説明して、協議が整うように努力していく」というふうに述べられたかと思うんですが、今後どういったスケジュールで、どういった形で説明を行っていくのか。

 さらに、その説明の次第によっては、基本計画の変更もあり得るのかどうかということと、さらにその基本計画の中で薬学系の学部については特に触れていなかったと思うんですが、それは将来的にも薬学系の学部および学科の設置というのはないというとらえ方でよろしいんでしょうか。まずそこら辺のことを、知事のお考えをお願いします。

(知事)
 はい。県議会からも大学と十分協議をするように、というご提案をいただいておりますので、既に今月に入って担当の部長をはじめ、3回協議をしておりますし、今後も週に1回ぐらいのペースでテーマをそれぞれ決めながら、大学と協議をしていくということになっています。

 私も今ちょっと、ずっと郡部に出掛けるような予定がいっぱいあってなかなか日程が空けられませんけれども、できれば学長さんとも直接お会いをして、お話をしていきたいというふうに思います。

 この問題は、大学と県との溝というような言われ方をしますけれども、県民のための大学はどうあるべきかということを考えていけば、おのずと方向というのは見えてくるというか、議論がかみ合っていくのではないかというふうに思うんです。

 もちろん全国の中でのこの大学の位置付けだとか、そういうことは一方の視点としては持っていなくてはいけません。

 けれども、県民のための大学ということで言えば、進学機会の拡大ですとか、また、社会人であれ、働きながら学びたいという方であり、いろんな方々の学習の意欲とか学習の機会を提供していく。

 さらに今の高知県の掲げている経営方針ということから言えば、住民力を活用して地域の支え合いの仕組みをつくって、それで地域を元気にしていこうということを言っているわけで、そういう住民力のアップだとか、地域の支え合いの仕組みの支援にそうした新しい県立大学が役に立っていくと。

 こういうふうな視点をこれまでもちょっと議会にも、県民の皆さん向けにも十分な説明ができずに、ややテクニカルというか、法務総合学部にしても三つの内容があってというふうなことを、ご提案をいただいたままのことを、やや学部・学科再編の技術論で話をしていたように反省をします。

 ですから、そういうことをもう一度、今やっぱり県民が求めているものは何だろうと。そして、県立大学として、県民の皆さんに提供していくべきものは何だろうということを議論をしていけば、もっとかみ合った議論になっていくのではないかなというふうに思っています。

 それから薬学部のことは、この間の議会でもご答弁をしました。2月に学長とお話をしたときに、学長先生も今回の学部・学科の再編で薬学部をいきなりつくるということが難しいということはよく理解をしましたと。

 ただ、先生のものの見方からすれば、やっぱりせっかく看護学部という大きな県立大学の伝統財産があり、そこに「栄養」だとか、「社会福祉」だとかいうものが連なってきている。

 あとやっぱり薬学というものがそこに加われば、これからの高齢社会に備えるというだけではなくて、県民の健康づくりということに視点を置いた県政ということに役立つのではないかと。

 今回の改革で学部・学科を設けることは無理にしても、将来そういうことが財政的に可能になったときに、また、将来そういうことをやろうという県民の思いが強くなったときに、そのことを可能にできるような池の校舎のスペースなんかを考えておいてもらいたいと。

 こういうご提案をいただいて、それは県としても、私としても賛成ですので、今回予算としてお認めいただいた基本計画、基本設計をし、実施設計をするというときに、将来もし薬学部の設置ということを考えることになったときに、その施設、設備を置くだとか、そのための講義のスペースだとかということを含めて設計をしていくようにしております。

 ですから、今の時点で将来あり得ますとかなんとかいうことではないんですけれども、言い方としては、将来も完全にもちろん否定をしたというものではなくて、むしろ将来の可能性というものは、施設の整備ということでは含めながら、今度の予算をお通しいただいたということになります。
 

周辺事態法の適用と県内港湾の利活用
(石山・朝日新聞記者)
 分かりました。では2点目ですけれども、北朝鮮の核の実験以降、周辺事態法の適用をどうするかとか、そういう議論が進んでいくかと思うんですが、万が一、適用となった場合にアメリカ軍の要請に応じて国内の港湾ですとか、空港が使われることになるというのを聞いています。

 イージス艦のときの議論の蒸し返しのようなところもあるかと思うんですが、もしも、高知新港とか、あるいは宿毛湾港が、またアメリカのほうから使用を求められた場合に、宿毛のほうは宿毛市のほうに許可の権限はあると思うんですけど、高知新港を含めて万が一求められた場合、どういった対応を取られるのか、あるいは知事のお考えというものを、もう一度お聞かせ願えたらと思うんですが。

(知事)
 周辺事態ということになったときの港の利活用に関して、港湾管理者がどういう立場にあるかというのは法的にきちっと決められていることですので、義務ではないけれども協力の要請を受けて、そこでの利用状況を踏まえながら判断をするということですから、それはそういうことになったときには、粛々と事務的に判断をしていくということになると思います。

 けれども、今は政府の中でも、また与党の中でも、これがもう既に周辺事態だとおっしゃっている方もおられれば、少なくとも今の時点は周辺事態とは言えないんじゃないかということで議論が分かれている現状ですので、周辺事態というのは何なんですかということをきちっと議論をして、お示しをいただくということが、今求められていることであって、今の状況でそうなったときにどうするかということを事務的に考えたりする時期ではないというふうに思います。
 

県警の捜査費(1)
(石山・朝日新聞記者)
 分かりました。3点目なんですが、県警捜査費の件で、関連文書の非開示処分の取り消しをめぐる訴訟で、県警が上告を断念したと。判決が確定したということがありましたけども、この断念について、あらためて知事の評価ですとか、お考えをもう一度お願いします。

(知事)
 高裁の判決でも、詳しく全文を読んだわけではなくて報道される内容などからの情報ですけれども、問題になっている部分を隠すことによって守られる公益性よりも、それを開くことによって得られる公益性のほうが高いという判断があったと思います。

 そういう受け止めというのは、多くの一般の県民の皆さんが感じていることと同じではないかなというふうに自分も感じましたので、警察本部としてあえて上告しないという判断は、そのような県民の皆さんの受け止めというものに沿ったもので、非常に賢明なご判断であったというふうに思います。

(石山・朝日新聞記者)
 幹事社からは以上です。各社さん、ほかに何かありましたらお願いします。
 

高知駅前の複合施設
(岡林知永・高知新聞記者)
 高知駅前の複合施設ですけれども、先日小冊子を配布して、それで今度、県民世論調査のほうで(県立大学・文化ホール・図書館の)三施設への賛否といいますか、意識調査をするということなんですけど、この調査の今回の目的であるとか、政策判断していく上での位置付けなんかを、知事はどういうふうにお考えになっているかということを聞きたいんですけど。

(知事)
 昨年、最初に駅前に県の三つの施設をまとめてはどうかというご提案をしたときにも、別に従来の行政のやり方のように、ほぼ最終決定のようなものをいきなり出して、あとは何とかそれでやりましょうねと言ってまとめていくという手法ではなくて、最初のご提案をしたんだと。

 だからバックギアーという表現をしておりますけれども、後戻りとか、修正だとかということはいくらでも県民の皆さん、また県議会でのご議論などを聞きながらやっていきますよということを申し上げております。

 ただ、やっぱり提案をしたからには、より具体的なイメージだとか、より具体的に県として考えられるメリットだとかということをお示しをしないと無責任にもなりますし、またイエスかノーか、またはこういう条件があればというようないろいろなお声を聞くときにも県民の皆さんがイメージをすることもできないというふうに思いましたので、今回、そうしたパンフレットの形でどんなものを考えていて、どういうような意味合いを県としては込めているかということをご説明をいたしました。

 これにあわせて県民の世論調査をすることによって、全体的にこの三つの施設をそこに併せてつくることがどう受け止められるかとか、もし、いろいろな県の施設を持ってくるのであれば、どういうものが望ましいかとか、いろいろなご意見を聞くことによって、それで県としての考え方というものも次に修正すべきであれば修正をしていきますし、またもう少し議会も含め、またいろんな関連の地域、団体、県民の皆さんとの話というものがかみ合うようになっていくのではないかなと。その第二段階という位置付けをしております。

(岡林知永・高知新聞記者)
 12月議会に向けて、今の三施設、大学の話も絡んでくるんですけど、12月議会で一つ今後の方向性というもので、大きな判断をされるような時期ではないかと思うんですけれども、今後については、知事は。

(知事)
 最終的にその12月議会がどういうポイントになるのか。ターニングポイントになるのか、何になるのかということは、何とも申し上げられません。

 というのは、その県民世論調査の中でのご意見がどんなふうに出てくるかとか、それに対して、また議会なりがどういうふうに受け止めるのかということが、今の状況では全く想定できませんので何とも申し上げられません。

 けれども、あまりズルズル時間を延ばしていっても、実際に連続立体交差の事業が出来上がって、駅前の土地が使えるようになるという時期がもう(平成)20年4月からいろいろなことができるというように迫ってきておりますので、修正をするにしろ、引き下がるにしろ、また別の形で新しい提案をするにしろ、やっぱり議会の区切り区切りで何らかのやっぱり進歩というか、変化がないと、そこに間に合わなくなっていくというふうに思いますので、その意味で12月には、何もないまま、このままいくということではなくて、今申し上げたような第二段階。

 それに対するいろいろなお声を受けて、次は議会での議論に進展するということになります。その結果がどうなるかというところは、ちょっと何とも今の時点では申し上げられませんけど。

(岡林知永・高知新聞記者)
 アンケートは、知事としても何か判断する材料になるというよりも、県議会を含めた話し合いをもっと活性化するような材料にと考えて。

(知事)
 それはそのアンケートの数字によって全く違いますね。県の提案に対して県民の皆さんが、そんなことはいくらなんでもおかしいんじゃないのというお声が非常に強いということであれば、それをあえて引きずっていくつもりはありませんし、一方で、よほど多くの方がということであれば、またそういうことを前提にしていくということになりますけれども、そこもまず今申し上げている三つの施設。

 県民文化ホールと図書館と大学で言えば、法務総合学部ということを想定をしながらということになりますけれども、これをご提案したことに対して、どういう反応があるかと。

 反応の中にもどうせやるのであれば、もっと別の施設が必要ではないか。また、そうではなくて、そういう土地は県がやるのではなくて、もう民間に任せたらどうだ。いろんなご意見があろうと思いますので、それはやはり、県民の皆さんの受け止めがどう出てくるかということによるので、今の時点で、12月議会のための話題提供だというほどあいまいなものではもちろんありませんし。

 ただ、それで何か12月議会で、ある一定の結論が出てくるようなものになるかどうかというのは、その結果を見ないと分かりませんので、何とも、それ以上明解なことは言えないんですけれども。

(岡林知永・高知新聞記者)
 あと、今回のパンフレットの中に配置イメージとかいうようなもの、結構あいまいな感じも残ると思うんです。

 特に今、高知県の場合にも財政難と言われている中で、財源の説明というような部分というのはほとんどないですよね。その中で県民の民意を問うということに対しては、ちょっと調査の信頼性というような部分では劣るかなというふうな考えを持つんですが、知事はどういうふうにお考えになりますか。

(知事)
 財源のことは去年、この提案をしたときからずっと民間のファイナンスを含めた、いろいろな手法を勉強もし、いくつかの選択肢を考えてきております。

 けれども、これは、まさに、その県民の皆さんの思いとして、どういうものがその建物の中に入ってくるかということによって、相当大きく違ってきます。

 例えば、今、提案をしている三つの施設で手法としてこうこうですよということがあるときに、それだったらその中の二つの施設だけだったら、その組み合わせも図書館と大学だったら、ホールと図書館だったらどうなるの?

 それが民間のファイナンスとしてどうなるのというのは、全部組み合わせも、それからそのことに対する民間としての関心の持ち方だとか、それからあとの、ある意味ビジネスベースに乗っかっていくようなファイナンスになるかどうかというのは、条件が全く違ってきますので、それらを全部お示しをしていくということは、かえって、あらぬ方向に議論を運んでいく。また、何か県の都合のいい方向にそういうものを出していくんじゃないかというような疑問も出てくるんじゃないかと。

 そのことよりも、まずはやっぱりどういうような土地の利用というものを県民の皆さんが、今の現状の中で考えられるかということをお聞きして、そこからその中でもう圧倒的な何か多数のご意見があれば別ですけれども、そうでなければ、そのいくつかの選択肢の中で具体的なファイナンスのやり方。

 それは、従来型の県が起債を打ってという形が一番いいのか、そうではないのか。また、その後の運営の仕方を、それこそ広い意味でのPFI〔プライベート・ファイナンス・イニシアチブ=民間の資金や経営ノウハウ、技術力を利用して公共施設などの建設、維持管理・運営などを行う手法〕とか、いろいろな手法を入れていくのかというようなことは、その次に、またご提案をして議論をしていければなというふうに思います。そのための準備はしてはおります。
 

地方交付税制度
(原・日本経済新聞記者)
 今週の初めに交付税についての、県と市の報告書が出ましたけれども、担当者のかたは今後、総務省との話し合いの中で、その内容を訴えていくということでしたが、知事として交付税について、今後国に対してどんなことを求めていくかというのと、政権が変わったことで、少しまた交付税の議論とかが変わる余地があるのかどうか。その辺の考えを聞かせてください。

(知事)
 まず、その新型交付税に対する考え方が地方のほうにプラスの意味で何か変わる余地があるかといえば、全くないと思います。

 それから新型交付税をその交付税の中の一部に組み入れていくということは、ほぼ確定したことであって、その新型交付税の部分をどういうふうに積算しますかということが、議論の課題になっていますから、そういう意味での見直しというのはないと思います。

 特に、今の総務大臣のお考えというのは、非常に地方に対して厳しいお考えであろうというふうに受け止められますので、そうした意味でも地方に有利な形で見直しが行われるということはないんじゃないかなというふうに思います。

 交付税全般については、本当に大局的な大きなことから、現実の中での対応ということまであるわけですけれども、今の時期は、やはり今の制度に新型交付税も入ってくる中で、高知県としてどれだけのことを要求をしていきますかということが問われておりますので、今回、市町村振興課が中心になって、各市町村の職員にも入っていただいて議論したことというのは、かなり多岐にはわたっていますけれども、その中で焦点を詰めて議論したものになっています。

 それをやはり県の主張として、きちっと私自身も何らかの方法で伝えていくということが必要だと思います。

 もう一つ、やっぱり今の政治状況ということを考えますと、来年、統一地方選があり、そして参議院選挙があります。で、参議院選挙が夏にあるわけですけれども、それまでに3月15日の所得税の所得の申告の締め切りがあり、6月20日に地方税の一つの区切りのときがあります。

 そのときに相当の増税感ということをやっぱり国民の皆さんも感じられると思います。定率減税がなくなるとか、いろいろなことがありますので。

 一方で10月からの高齢者の医療費負担のこと等もあって、かなり国民生活に影響を与える変化が起きていますので、このことをかなり実感をされた中で選挙戦を迎えるということになります。

 何が言いたいかと言うと、この半年間というのは、地方としてある意味、それを一つの次期目標として戦っていくべき可能性のあるときではないかなと。

 ここを過ぎてしまうと、また、もっともっと(地方にとって厳しい状況になっていく)、ということになりかねませんので、ここはしっかりと、知事会としてもそうですし、各県としてもそうですけれども、主張し、闘っていくべき大切な時期だなということを思いますので、そういう意味での主張はこの間まとめられたことを基本にして、積極的に取り組んでいきたいと思います。
 

県立大学改革(2)
(岡林直裕:高知新聞記者)
 女子大の話ですが。
 今の知事の話をお聞きしていると、学長のおっしゃっていることと極めて酷似しているというか、ほぼ同じことをおっしゃっているところが随分あると思います。

 県は基本計画というものをもとに話をしている経緯があると思います。それは県としての方向性をまとめたわけですから当然だと思います。

 ただし、大学は大学として、中長期計画をまとめています。これは、知事が今おっしゃった地域の特性に十分な役割を果たしてきてない。

 その反省点からこの改革をまとめているという観点から見たときに、随分、中身を見たらいい内容があるなと。そうやって考えていくと、地域ということも踏まえて知事が今おっしゃっていただきましたので、大学をどういうふうにしていくかという方向性をじっくり考えていただければというのが、提言です。

 それともう一つ、男女共学化。これについても性急にならなければ合意点は見いだせると。それは学長自身が男女共学化というものをすべて否定した発言はまずしていないといった考えもありますし、学長自身のお話の中で聞いたところによると、悩みだとおっしゃるんです。

 つまりそこにいくつかの悩みがあって、県に一番求めているのは、話し合いをすることだと。話を聞いてもらいたいというボールの投げ方をされているように思いますので、壁をつくらずにとにかく幅広い論議をしていただければと思います。

 最初に確認としては、県民のための大学はどうあるべきかを考えていけば、おのずと方向はかみ合っていく。これは大学側とその合意点が一定結べると。それに向けた論議を、協議を深めていくという解釈でよろしいですね。

(知事)
 そうですね。まあ、これまでの経緯で振り返ってみれば、議会でもお認めいただいて検討委員会を設け、そこからずっとご提言もいただいて、2年、3年と過ぎてきているわけですね。

 そこでいろいろ出てきたご提案、またそのご提案を踏まえた社会科学系の学部のあり方というようなことも事務的に詰めてきた経過がありますので、自分自身もそこからものを語るということになっていたというふうに思うんです。

 ただ、そこで詰めてきたものも決して県民というものを無視したわけではなくて、やはり県民のための県立大学というのはどうかということで議論してきたと思いますし、今お話のあった共学化にしても、女子大の持つメリットだとか、それから女子大の持つ全国的な中での価値だとかいうことも当然検討委員会の中でも議論され、その上で、だけどやはり県立大学という、県民の皆さんに広く利用していただく大学として、これからのあり方としてはどうかということから共学化というものが出てきていると思います。

 それから薬学なのか、社会科学系の学部なのかということも、やっぱり県民の皆さんへの進学機会の拡大だとか、学びたいという県民の皆さんの思いにどう広く応じていくかということであったと思うんですが、自分自身の説明も「検討委員会がこうで、そこから出てきたのはこうで」という形に少しなりすぎましたので、もう一度、県民の皆さんが望まれている、それから実際のアンケートがあるということではなくても、県の立場、大学の立場でも、やっぱり県民のための県立大学というのはどうかということを、もう一度議論をしていけば、違いはいろいろあってもかみ合っていくんじゃないかなと期待をしております。

(岡林直裕:高知新聞記者)
 まずお話を聞くというスタンスだろうと思います。
 あと、もう一つは先ほど交付税の話も出ました。この女子大の問題も実は絡んでいて、つまり法人化していく状況があるとすれば、財源になるのは交付税ですよね。

 そこに、その法人化の問題、財源をどうしていくかという問題も当然出てくると。しかも総務省の流れということが出てきますので、今後のお話の流れの中で、法人化のありようというような対応も含めて大学側と協議をしていく。そういったお気持ちはどうでしょうか。今後の論議の中で。

(知事)
 それはもちろんございます。前もご質問あったと思いますけれども、今、高知大学、高知工科大学、高知工業高等専門学校、高知女子大学の県内の4つの大学の学長は、懇談会を開いておられます。

 いろんな問題点が出てきますので、あまり4大学の学長のお話がかみ合った形にはなっておりませんけれども、これからの高知県の中での大学教育ということを考えたときに、それぞれがある程度やっぱり同じ根っこを持ちながら、キャンパスと専門性を異にした大学があるというような形が将来的には十分考えられると思いますし、そういうことも検討していくべきときだと思いますので、女子大の独立行政法人的な方向というものは、公立大学の法人ということだけではなくて、工科大も含め、高知大学も含め、それが中期になるか、長期になるのか分かりませんけれども、考えていくべき課題だというふうに自分は認識をしています。

(岡林直裕:高知新聞記者)
 分かりました。ありがとうございました。
 

県警の捜査費(2)
(松本・共同通信記者)
 県警の捜査費についてなんですけど。
 先日、知事のブログを見ていまして、企業の監査が厳しくなっていく中で、行政の監査も厳しくあるべきだというような趣旨のことが書いてあったと思うんですけれども、それで、公正取引委員会が持っているような権限を県の監査委員なんかも持ってはどうだろうかということが書かれていました。

 例えば、今回県警の特別監査を通して、監査委員はすごく頑張っていたんですが、それでも限界というのは見えていたと思うんで、交付税なんかで総務省にいろいろ県として意見を出されていると思うんですけれども、監査委員も同じ総務省が所管していると思うんですが、例えば、強制的な調査権が県の監査委員会に与えられるようなことを、意見として出されてはどうかなと思ったんですけれど。

(知事)
 私は公正取引委員会のような権限を持つのがいいというふうに、自分で考え方をまとめて申し上げているわけではなくて、もし今のモヤモヤしたものをもう一歩踏み込んで解決していくという手段を考えたときには、そうした制度を考えることも一つの選択肢であるということを申し上げたので。

 私自身、そこにはまた逆の問題が多分いろいろ出てくるだろうと思いますし、そういうことをするとまたこういう問題が出るよということが多分出てくるだろうと思います。そこまで深く考えていませんので、今の時点で、それをすぐ国に提案をするというほど、いろいろな問題点を整理した上で自分でまとめたわけではありません。

 今の時点で言えば、この間の高裁判決のときにも自分の思いとして申し上げたんですけれども、高裁判決はオンブズマンという一般の県民の方からの請求に対して、黒塗りで出すよりは公開をしたほうがより公益性が高いということを言われているわけですよね。

 つまり守秘義務を持たない一般の県民に対してももっと公開をしていくべきだということを言われているわけで、多くの県民の皆さんは、そのことを是とする。そのとおりだね、と思われると思います。

 監査委員というのは、既に守秘義務を負っているわけで、そこで示され、やり取りされることが外に漏れるなんていうことは通常はあり得ないことですよね。そのことはきちっと監査委員のほうももちろん理解をし、意識をして仕事をされているわけですから。

 今の制度の中で、監査委員の持っている守秘義務というものを一つの盾にして、もっとやっぱり県警として私は情報を開いて、いろんな問題点の突き合わせをしてほしいなと。本来そのことのほうが先ではないかなと。

 これが県警本部だけでできないのであれば、やはり国というか、警察庁としてそういう方向というものを今お考えいただくべきときではないかなと。

 いきなり公正取引委員会的な強制権限を持ってその資料を押収するというようなことよりも先に、今の現実に法的に制度化されているものの中で十分できる情報のやり取りはあると思いますので、というふうなことを今は思っています。
 

高知城の指定管理者
(畑本・読売新聞記者)
 高知城の指定管理者の話なんですが、せっかくあれだけの城を指定管理者に出すわけですけれども、二つの要因が絡みあっていて。

 つまり、重要文化財を管理するという要因と、それからそれを活用するという二つの部分があって、それが何か相対していて、今のところ県が重文を管理するという立場でどこまで民間のやりたいことに口を出すのかというのは、ちょっと見えにくいのかなという気がするんです。

 文化財課なんかで取材をすると、例えばお城を管理するようになったところが、そこでじゃあ、人を集めるのに結婚式ができるようにするとか、そういったことを言い出したとしても、重文を管理する立場からなかなかそれがスパッとできるとは限らないなあというような話をされていたんですが、そうなってくると、せっかく民間に出しても重文のありがたみを活用するというか、特徴を生かした運営というのが一体どこまでできるのかと見えないと、なかなか食いつきも悪いだろうと。

 ただ県の業務を孫請けに出しただけというふうになってしまうとどうかなと思うんですが、その辺り、どういったレベルでバランスを取られるのかと。

(知事)
 ご関心の意味はよく分かります。ただ、民間にお願いした場合に、どういうようなご要望、ご提案が出て、そういうものとその重要文化財の保護だとか、維持管理ということにどんな問題点が生じるかということを、ちょっとそれほど事例的に細かく考えたことがありませんので、今、ご指摘を受けて、また担当にも話を聞いて考えてみたいと思いますが。

 今、この時点でそこはこんなふうにして、こういうことを基準に分けようと思っていますよ、と申し上げる基準はありません。勉強しておきます。
 

協働の森づくり事業
(原・日本経済新聞記者)
 企業との協働の森づくり事業ですが。
 今週も協定締結式がありましたけれども、もともと出直し知事選のときの排出権取引の推進という公約から始まっていることだと思うんですが、(協定を結んだ企業の)数は順調に増えてきているかと思うんですけれども、一方で排出権取引というものにはまだかなり距離があると思うんですけど、その辺の知事の評価はどうでしょうか。

(知事)
 これまで例えば長野とか和歌山で同様の企業協賛の森づくりということをされていますが、私も細かい状況は見ていませんので、もし違っていたら申し訳ないですけれども、一般的にこれまであったものは、植樹が大きなウエートを占めていたんではないかなということを感じます。

 本県の場合には間伐という、今ある森林をどうよみがえらせるかということに力を置いているという点に特徴があるというふうに思いますし、それだけに非常になかなか企業のご理解をいただくことが難しい面がありましたけれども、こうやって全国的にも名のあるかなりの企業に参加をいただくことで、間伐とか、森の再生・維持管理ということへの意識が広まっていくきっかけづくりが、今できたんじゃないかなということを思っており、その意味では、数の広がりというのを評価をしております。

 やっぱり担当者も相当頑張ってここまでやってくれたと。この後もいくつかの企業があとに続いていただいていますので、非常にいい進み方だと思います。

 一方、排出権取引ですけれども、国の対応等もあって、なかなかいきなり排出権取引に証書を発行とかいうことにまで至らないところがありますけれども、いわゆる取り引きにはならないまでも、これがそのCO2吸収源としてどれだけの量になりますよ、というふうな証書の発行ということは進めていくことにしていますので。

 まだそれが商品価値を持つものではもちろんないわけですけれども、そういう証書の発行ということをまたいろんな企業のメセナ〔文化・芸術活動に対する企業の支援〕活動としてのPRだとか、それから地球温暖化への貢献のPRというふうなことに使っていただくというふうなことから、それだけで証券化につながっていくわけではないですけれども、全体的な流れとして、そういうものを森林のCO2吸収源でも排出権の取り引きを考えていこうという流れにつながっていく方向には何らか寄与できるのではないかなと。

 ただ、そこからご質問のあったところに進むには、そのままこう進めばいいというわけではないので、何回転かしていかなくてはいけませんから、そこは法整備だとか、まだいろいろな課題はありますけれども、随分進んできたのではないかなということを思います。

 ですから、ほかの県とももう少し連携をしていくことが非常に大事で、まずその意味で、今、和歌山県とも連携をしたシンポジウムをというようなことを考えていますけれども、ぜひ、そういう本県だけではない、同じ思いを持っているところがつながることによって、今、お話のあったような排出権にまで続いていくような取り組みにしていきたいなというふうに思います。まだ見通しが見えているわけではありません。
 

知事の残任期の課題
(亀岡・朝日新聞記者)
 知事の任期まであとほぼ1年という時期になりました。
 ラストスパートを今やっておられると思いますけれども、さらにこの1年でどういう課題があって、その先へ向けてどういうご判断と対応がおありなのか。その点を少し伺いたいんですが。

(知事)
 先ほど交付税の話で申し上げましたけれども、この統一地方選から参議院選挙、その中で私自身が何かの活動をするという意味ではないですけれども、このことは非常にやっぱり地方にとっても重要なポイントだというふうに思っていますので、そこを一つの次期目標として、交付税の問題について一定強く主張しながら、ここ数年をやっぱり乗り切っていける形を国との関係でつくっていくことが、高知県だけではありませんけれども、地方にとって重要な問題で、そのことに自分自身もかかわっていければというふうに思います。

 それから県内ということで言えば、ちょうど今掲げております県の経営方針が来年度までの形になりますので、その後の県の経営方針というか、進め方をどうしていくかということが一つの大きな課題だと思っています。

 この間の議会でもご質問があってちょっとお答えをしましたけれども、例の市町村合併の構想づくりで、県を三つにする、五つにする、六つにするという、そのことよりも、これからやっぱり高知県と市町村というものが、もう一緒になって、福祉の問題でも、教育の問題でも、先ほど申し上げた国との関係でこれだけ厳しいものがございますので、やっぱり県として最低限保障していけるもの、保障していくべきものは何ですかというようなことを出していけないかなという意味で、この間、議会ではビジョンというふうな表現をいたしました。

 従来総合計画づくりには否定的でしたし、今も自分はそうですけれども、そういう縦割りごとにどういう事業をしていきますという、何か積み上げての右肩上がりの予算づくりのための計画ということではなくて、やっぱり本県で生まれ育って、暮らしていかれる方にとって、福祉の面、教育の面、あといくつかあると思いますけれども、どういうものを保障していきますかということを、県の方向性として県民の皆さんにご提示をする必要があるだろうなということを思います。

 あわせて、ここまで非常に地方、特に高知県のような地方が厳しい現状の中で、県民の皆さんに何を目標、目的にしていただくか。

 なかなか「富国強兵」のような四文字熟語で示せる時代ではないですので難しいんですけれども、これまでずっと使ってきた、また使われている自立ということにしても、もう少しその自立というイメージを県民の皆さんに分かりやすく、さっきの教育とか、その福祉での一定保障すべきラインというのもそうですけれども、そういうふうな形で自立というものを、もう少し具体的に県民の皆さんにどう提案をしていくかということが課題であろうというふうに思っています。

 この間も政策推進の担当理事とも話をしたんですが、そういうことを若手の職員なども交えて議論をしていく場を、場といっても大げさにまた何か会議をということではないですけれども、つくって、ぜひ、そういうような考え方というものを県民にお示しできるようにしていきたいと。

 そうしたことが、1年余り後に迫ってきている選挙に自分自身がどうするかということ以前に、私は今、県を預かっている者として、大切な仕事ではないかなというふうに思っています。
 

高レベル放射性廃棄物処分場
(米山・毎日新聞記者)
 放射性廃棄物の最終処分場についてお聞きしたいんですけれども、津野町のほうは(町議会の委員会が候補地への応募を求める陳情を不採択して)いったん収束していますけれど、東洋町のほうで依然応募を検討されていると思いますが、おそらく反対の立場は変わらないと思うんですけども、(今の)立場は反対かどうかと。それと東洋町町長との話し合いの場を持たれるかどうかというのをお願いします。

(知事)
 反対かどうかということは、これまでもブログででも申し上げておりますように、私は原子力政策というものをすべて否定しているわけではありません。

 で、先ほどのCO2の吸収源のこともそうですけれども、やはり地球温暖化という問題を考えたときに、原子力というのはその地球温暖化にこたえるべき、一つのやはり重要な選択肢だと思います。

 その重要な選択肢である原子力政策ということを進めるときに、まさに札束で頬っぺたをひっぱたいて、10億やるから、12億やるから捨て場にしろというふうな国のやり方というのは、あまりにも非常識だと思います。

 そういうような原子力政策をまずやめて、きちっと、やはり地域住民に説明をして、その政策の必要性だとか、そこにおけるその核廃棄物の処理の必要性だとかいうことをきちんと説明して議論するというところから国が始めるべきであって、金で釣って市町村に議論をさせるなんてとんでもない話で、そういうことをまず国があらためない限り、日本の国の原子力政策というのは、一歩も前に進まないんじゃないかなということを強く私は危惧をします。

 東洋町の問題は、あくまでもまず町としてどうされるかということですので、私は町長さんから何かご提案があれば会うことはやぶさかではありませんけれども、私のほうから今の段階でどうのこうのしてくださいと言って面会の機会を設けるということはありません。

(石山・朝日新聞記者)
 よろしいでしょうか。
 どうもありがとうございました。

(知事)
 どうもありがとうございました。

 


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