知事の定例記者会見(平成16年2月議会)

公開日 2007年12月08日

更新日 2014年03月16日

知事の定例記者会見(平成16年2月議会)

平成16年2月18日9時00分から(県庁二階第二応接室)

(項目) 
 ・16年度一般会計予算などの説明
 ・16年度の予算編成について
 ・国と地方の関係の見直し
 ・こども条例
 ・地方交付税の減額が県経済に与える影響
 ・17年度予算への対応
 ・産業育成の分野での成果や取り組み
 ・市町村への県の支援
 



(16年度一般会計予算などの説明)
(知事)
 2月の定例の県議会を2月24日に招集することにいたしました。
 提出をいたします議案は、予算に関する議案が、16年度の一般会計予算など27件、また、条例その他議案が41件、あわせて68件でございます。

 このうち、16年度の一般会計予算に関しましては、地方交付税などの減額という厳しい現状の中で、4820億円の財源を確保いたしましたけれども、それでも前年当初に比べますと5.4%、276億円のマイナスということで、5年連続のマイナス予算になっております。

 その内容に関しましては、厳しい状況の中でも限られた財源を少しでも有効に使っていこうということから、15年度に引き続きまして、中期的な目標として掲げております4つの重要課題に重点的に取り組むことにしております。

 また、部局を越えましたテーマといたしまして、「厳しい雇用状勢への対応」また「住民力を活用した地域の支え合いの仕組みづくり」ということに、これも重点的に取り組むような予算を組んでおります。

 例えば、「雇用対策」ということで言えば、一般的に「ジョブカフェ」と言われますが、県独自の就職支援の相談センターを高知市の中心部に設けるといったことのほかに、県立高校の高校生の皆さん方の就職の支援を充実をしていく。また、3年目を迎えましたワークシェアリングの事業などを予算化をしております。

 また、「住民力を活かした地域の支え合いの仕組み」ということでは、南海地震に備えました自主防災の組織、また福祉や環境面での地域の住民の支え合いの仕組み等々を支援をしていくことにしておりますし、あわせまして、こうした住民の皆さん方と県の職員が手をあわせて活動していくという趣旨で、50人の職員を地域の現場に出すことにしておりますので、この活動に必要な予算も計上しております。

 また、各分野ごとの予算では、去年の8月に政策協議を行いまして、その時にまとめた「行政経営の方針」というものがございますので、これを基本といたしまして、厳しい見積限度額の中で、事業の選択、事業の重点化ということに取り組んでまいりました。

 この結果、経常的な経費は、扶助費また公債費は増加をしておりますけれども、人員の削減などによって人件費を抑制したこと、また施設の管理運営費を見直したことで、経常的な経費はあわせて2.0%、74億円のマイナスとなっております。

 一方、投資的な経費は、厳しい現状の中で、補助事業もまた県の単独事業も削減をいたします中で、厳しい見積の限度額もございました。また、あわせまして98年の豪雨災害の後の河川改修など大型の公共事業が終了したということもございまして、15.4%、202億円の減額という形になっております。

 このように、非常に厳しく予算を削減するというかスリム化をしてきている現状にも関わらず、三位一体の改革と言われる流れの中で、去年の暮れ、地財対策が示され、その結果、臨時財政対策債を中心に地方交付税も含めて、およそ200億円が減額される等々の事情もございまして、結果的に236億円の財源が不足するということになりました。

 このため、2月(議会)の15年度補正予算では、できる限り基金の取り崩しなどを抑えていくという方向で取り組みましたし、代わりに、16年度の予算では財政調整基金を33億円取り崩す、また減債基金を134億円取り崩すということをいたしました。
 この結果、財政調整基金はもう底をつくということになります。

 また、あわせまして将来の行財政改革というものを担保に起債を発行いたします財政健全化債、また地域再生事業債というものもあわせて69億円発行するというような形で、16年度の予算はどうにかこうにか組むことができました。

 けれども、現在のこの「三位一体の改革」と呼ばれるものが、財源保障機能というものを無視して地方交付税や臨時財政対策債の削減ということを行う、このようなことが続いてまいりますと、17年度の予算を組むことが非常に難しくなるというのが正直な思いでございます。

 三位一体の改革というものは、本来、まさに「三位を一体に見直すことによって、地方分権の中で地方の自由度を高め、それによって地方の自立を促していく」ということが大きな目標であったと思います。

 しかし、初年度の現実を見ますと、決して自由度を増すというような形には進んでおりませんし、また地方交付税や臨時財政対策債など、財源保障の部分を三位一体とは全く関係なく切り込んでくるというような現状を見ますと、三位一体ではなくて、「バラバラにして、その上それぞれを一刀両断のもとに切り捨てる」という形の取り組みではないかというふうに思います。

 このような国のやり方というものを県民の皆さん方にも現状としてきちんと認識をしていただく、理解をしていただく、その努力をしていかなければいけないと思っておりますし、それと同時に、知事会はもちろんでございますし、またいろんな面でネットワークを組んでおります知事の方々と連携をすることももちろんでございますけれども、様々な手を使って、国に対して、このような形の改革なるものをもう一度キチッと見直すように、強く求めていかなければいけないと思っております。

 続いて、条例の議案でございますけれども、条例に関しましては、県民参加の形で長い年月をかけて練り上げていただきました「こども条例」の案、また、旧塩見文庫を「塩見記念青少年プラザ」という名前でリニューアルオープンをいたしますための設置管理の条例、さらには、議員の皆様方の報酬、また私たち特別職の給与を減額をするための条例など、あわせて31件の条例案を提出いたします。

 このうち、特別職の給与などにつきましては、報酬等審議会におきまして「1.5%程度の減額を求める」という答申をいただいておりますけれども、この答申を実現するというだけではなく、それとあわせまして、知事は10%、また副知事は7%、教育長と出納長は5%の給与の減額をする条例案を提出をすることにしております。と同時に、職員の管理職手当も支給率を10%減額をするというご提案をすることにしております。

 その他の議案といたしましては、障害者スポーツセンターの管理をしていただく指定管理者を指定いたしますための議会の議決を得るための議案、また、高知テクノパークの分譲開始に先立ちまして、財産の処分に関する議案などを提出いたします。9件でございます。

 もう1つ、報告議案といたしましては、林業の改善資金の貸付金の償還に関しまして、県が当事者として訴訟を提起をすることについての専決処分のご報告が1件ございます。
 私からは以上でございます。
 

(16年度の予算編成について)
(釜本:時事通信社記者)
 大変厳しい予算編成になったと思うんですが、終わられてみての感想をまずもう一度お聞かせ下さい。

(知事)
 庁内的には、やはり、昨年の夏から政策協議ということをして、大きな財源不足が生じるということを前提に議論をしたことが非常に有意義に活かされたというふうに思いますし、また、昨年の10月20日に予算編成方針を出した時にも、150億の財源不足ということを前提に、先手、先手に厳しい財政状況ということを前提にした方針を考えてきたということが、どうにか、厳しい中でもメリハリのついた、また選択と重点化ということの実現できる予算が組めた原因ではなかったというふうに思います。

 ただ、それにも増して、やはり国との関係でいうと、一つはやっぱり、正直者がバカを見るような流れになっているのではないかということを思うんです。
 というのは、本県は先ほども言いましたように5年連続のマイナス予算になっております。他の多くの県は地財計画通り3年連続のマイナスではないかと思います。

 では、なぜ5年連続かと言えば、本県の場合には他の県よりも先行して平成10年から14年度にかけて財政構造改革ということを取り組んでまいりました。もちろん、行政改革にも取り組んでまいりました。その結果、14年度の予算ではほぼ収支均衡がとれるというところまでまいりました。

 にもかかわらず、2年経ってやはりこれだけの財源不足が生じていくというのは、あまりにも異常な出来事ではないかと思いますし、財源調整ということを全く無視した国の様々な措置がこういう現状をもたらしてきてる。何か真面目に行財政改革を取り組んできた結果が水の泡になりかねない、そういう虚しさというものを一方で感じます。

 もう1つ「正直者が‥‥」ということで言えば、本県では「森林環境税」というものを2年間かけて、県民の皆さんも巻き込んだ議論をして、皆さん方の合意の下で、この「森林環境税」という新しい税を実現をいたしました。この税の総額が16年度の予算のベースでは1億3000万円でございます。

 にもかかわらず、臨時財政対策債と地方交付税あわせて200億円の減額というものを何の予告もなく、しかも県民にも地方にも何の相談もなく、そういうことを無理矢理押しつけてくるということは、あまりにも無茶だと思いますし、そういう森林環境税の2年間の努力ということを振り返りますと、これもいささかの虚しさを感じます。

 特に、国の財政当局の発言などを見てみますと、「地方が困るのであれば、課税自主権を活用すればいいじゃないか」と。まあ、財政当局だけではなくて、国のいろんな委員会に出席をしてらっしゃる民間の企業の方などからもそういう声が聞こえます。

 けれども、ご存知のように、国の法律で課税の対象というものを制限をしていながら、なお、その課税自主権を云々ということに矛盾を感じますし、また、その課税自主権というものを活かして2年間努力をして積み上げてきたものと、そして何の相談もなく何の議論もなく削られる額とのあまりの差というものを考えた時に、「国というものは地方に対してどういうものの見方をしてるのか、考え方をしてるのか」という強い疑問を感じざるを得ません。
 

(国と地方の関係の見直し)
(釜本:時事通信社記者)
 もう一点なんですが、これは仮定の話になってしまいますが、これだけ国と地方の意識に差があるとですね、国から地方に対して押しつけられてる仕事の面でも不都合が出て来て然るべきじゃないかと思うんですが、この点についていかがお考えでしょうか。

(知事)
 何か、「断ってもいいんじゃないか」という?
 

(釜本:時事通信社記者)
 そういうことです。

(知事)
 それに関してはですね、例えば、ある県の知事さんから「直轄事業の負担金を拒否するというか、お断りをするとかいうような強硬手段はどうか?」というお話があったやに聞きます。私は直接聞いてないんですけれども。

 ただ、そうなりますと、やっぱりそれぞれの県の事情というものが出て来て、本県のように「新直轄(方式)」という形で新たな(高速道路の整備)事業に取り組もうとしている段階で、国との関係をそのような形で荒立てることが県民の皆さん全体にとってプラスかどうかということは考えなければいけません。

 しかし、ここまで来て、何か県民にマイナスがかからない、不利益がかからないような形で、本当に、地方としての強硬手段というか、強い意見を述べていく後ろ盾になるような手段があるのであれば、それは、そういう手段を実行していってもいいぐらいの、それぐらいの切羽詰まった状況になってきてると思いますね。

 ご質問の趣旨とは違いますけれども、先ほど、県で臨時財政対策債と交付税で200億円と言いましたけれども、市町村を含めますと、交付税と臨時財政対策債だけで400億円ぐらいのお金が、まあフローの金額が消えていくということになります。

 これを単純に県内の総生産、県のGDPの中での公共投資の比率というものに、この交付税や臨時財政対策債の減額分を比率として当てはめますと、県内GDPに4%くらいのマイナスの影響が出るというふうに、これは産業連関で詳しくやったものではございませんから大雑把なもんですけれども、当然それぐらいのフローの経済面での悪化も出るということを覚悟しなきゃいけない。それぐらいの数字でございます。
 

(こども条例)
(松浦:朝日新聞社記者)
 条例案件の方ですけれども、「こども条例」ですね、こちらも県民参加で3年近くかけての今回の議案で、全国の都道府県では初めてというふうに(聞いていますが)、知事の思いとですね、あと松山市などで、家庭の内容にも踏み込むそういうこども条例ですね、家庭に役割を課すというようなところで反発が出ている自治体もあるようです。その点についてお考えをお願いいたします。

(知事)
 こども条例は、本県において、どの地区に生まれたお子さんであっても、感受性だとか感性だとかを育てていくという面で、大切に育てられるような環境を、行政として何か宣言をし、保障していければなという思いでとりかかりました。

 ただ、そういうものを行政が役所の中で考えて県民の皆さん方に規制的に押しつけていくということではなくて、県民の皆さんの発議の中で、「子どもたちをこう育てていきたい」「子どもたちにはこうあってもらいたい」というような思いが結実をした条例が作れればということで、県民参加という形をとって、かなり長い年月をかけて、あっちに行ったりこっちに行ったりということをしながらまとめてまいりました。ですから、私個人の思いというよりも、多くの県民の皆さん方の思いと声を受け止めた条例になっていると思います。

 それだけに、従来のように、役所が作った、また議会が役所と諮りながら議員提案として出されたというような形の条例とは、内容的にも雰囲気から言っても違ったものになっていて、そこらへんに違和感を感じるというお声があることも理解できます。

 けれども、やはりこれからの地方自治のあり方として、議会も執行部も、また県民の皆さんが直接関わるということも、それぞれのいろんな形があっていいと思いますし、その最初の取り組みとして、この県民参加でできた条例というものを、ぜひ多くの方々に温かく見守って育てていただきたいなというふうに思います。

 それから、家庭に踏み込んだことに対してのいろんな反発というようなお話がございました。
 子どもの問題に対する、まあ子どもだけじゃございませんけれども、ものの見方、人の考え方というのは千差万別、いろいろな思いがあろうと思います。

 また、その中で今、児童虐待の問題から何から含めて、家庭の教育力の問題だとか、親御さんの力の問題だとかいうことが言われているのも事実でございますので、その中にその、松山のものがどういうものなのか分かりませんから何とも言えませんけれども、行政が直接踏み込んでいくということは非常に難しいことだと思います。

 けれども、「そういう家庭にも問題があるんではないですか?」ということを提起をしていくことはですね、条例に限らず、これからのいろんな事業・政策を進める上で、子どもの問題に関わる時には必要な視点ではないかと思っています。
 

(地方交付税の減額が県経済に与える影響)
(吉川:KUTV記者)
 先ほどの(予算の)話に戻るんですけども、交付金(地方交付税交付金等)の減る額が、市町村分もあわせたら県内GDPの4%に当たるというお話がありましたけれども、そういう意味で、県の経済に与える影響というか、悪影響があるのではないかというような危機感はおありでしょうか。

(知事)
 当然ございます。
 地方交付税の機能のうち、都道府県間のいろんな税収のバラツキを調整していく、財源の調整をしていくという機能、そうではなくて、財源を保障していくという機能、こちらの機能が明らかに今無視されつつあるんではないかということを思います。

 今言われました「県内経済への影響」ということは、単にこれまで公共事業に携わってくださったそういう業界への影響ということだけではなくて、福祉ですとか様々な面まで含めた広い意味での経済・生活への影響というふうに捉えるべきだろうと思います。

 その時に、まさに日本国民として、どの地域で生活をしている人にも、まあ最低限とは言いませんけれども、国として保障していくべきレベルというものがあるんではないかと。そのことを財源として保障していくという機能が、地方交付税に与えられた大きな役割だというふうに思いますので、その役割が蔑ろ(ないがしろ)にされるところまで既に来ているというふうに受け止めざるを得ません。

 ですから、今のご質問の直接の答で言えば、当然、そういう地方への経済・生活への影響というものに強い危機感を覚えますけれども、その危機感を、県独自、市町村独自の努力で克服できる、その限度を超えるぐらいの状況に今なってきてると思いますので、そのことはやはり多くの県民の方々に知っていただき、声を上げていただく、また、議会も、市長村長さんも、市町村議会も含めてですね、そのことをやっぱり強く国に対して働きかけていくということが今は必要だというふうに思います。

 そういう影響のことももちろんですし、国に対して言うのであれば、最低限、「4兆円の3年間で見直し」というその内容をもっとやっぱり早く示すということを申し上げなければいけないと思います。

 その前段階に、先ほど言いました財源保障の部分をきちんとしていかなきゃいけないという大前提がありますけれども、そのことをちょっと横に置いてもですね、最低限、その4兆円については、もう去年の6月ですかね…に決定をされていることですから、その全体的な内容が何かということを示さないといけないだろうということを思うんです。

 にもかかわらず、この初年度の動きを見ればですね、まあ総選挙があったということもありますけれども、11月の半ばになって、総理が「初年度は1兆円だ」ということを言われ、で、慌てて、各省庁がバタバタと、ややつじつま合わせ的なものも含めてですね、その金額を積み上げてきたと。

 それにあわせて、全くこの三位一体の改革とは関係がないと言っていいと思いますけれども、地方交付税や臨時財政対策債を3兆円減額をしていくというふうなことをですね、全く別のところで予告もなしに出してくるというようなやり方は、あまりにも無茶だと思います。

 少しまた元に話が戻ってしまいましたけれども、少なくともその4兆円分をどうしていくかということは、少しでも早くその形を示さないと、今年のようなことを繰り返していれば、もう予算編成が形もでき完全に固まったところで、また財源不足が出るとか、「内容はこうだった」ということが明らかになるという現状ですから、

こんなことでは、16年度の予算編成はどうにか凌ぐことができましたけれども、17年度の予算編成は、わが県だけではなく、各都道府県、また市町村ともですね、どうにも、安定的に地に足のついたサービスとしての予算を組むことは無理になるんじゃないかということを、強く危惧しております。
 

(17年度予算への対応)
(松浦:朝日新聞社記者)
 再来年度(平成17年度)の予算のことを言うのは変な話なんですけれども、先ほど「財政調整基金が底をついた」という表現もありました。例えば知事の公約の中でも(あった)「年度途中で事業を見直して、使わなくなった分は他の事業に振り替える」ですとか、「執行を止める」とかっていう方法も、再来年度の予算を見越すならば考えられると思うんですけれども、そういうことはお考えはありますでしょうか。

(知事)
 まだ具体的に、例えば優先順位をつけて、「こうなったらこういうところを執行停止にして」というふうなシミュレーションを組んでるわけではございません。
 16年度の予算は、去年の夏からの政策協議を踏まえてせっかく全庁をあげて組んだものですから、これはきちんとそれを使い切ることによって予定をした成果をぜひ上げていきたいということを思います。

 あわせて、17年度に向けてはですね、なるべく少しでも基金を…先ほど「財政調整基金は底をつく」ということを言いましたけれども、減債基金などを少しでも残すかたちで、代わりに財政健全化債ですとか地域再生事業債だとかいう起債を発行をしていくことによって、その元手になる一般財源を少しでも残していくという、まあ工夫と言うまでもいきませんけれども、そういう選択をいたしました。

 私は、その地域再生事業債というのもですね、何か言葉はきれいですけれども、まさに地方の借金を膨らますだけの手法だと思いますし、こういう厳しい現状の中で、従来その地域再生事業債は地方交付税の裏打ちがないわけですけれども、「それでは地方が黙っていないだろう」と。

 「では、その交付税の裏打ちをするべきじゃないか」というふうなことをまた政府部内で議論をされ、そういう方向にということになりますと、それは(かつての)地域総合整備事業債(地総債)などのように、事業費補正的にどんどんどんどん借金が膨らんでいったということをまた繰り返すきっかけになるんじゃないかなと。いささかそこらへんにも大きな矛盾を感じます。
 

(産業育成の分野での成果や取り組み)
(岡村:高知新聞社記者)
 当然、交付税の問題とかあるんですが、やっぱり自主財源、まあ税収ですけれども、自主財源をいかに上げていくかということが、地方のやっぱり責任で自助努力しないといかんでしょうけれども、例えば、今回の予算で、主要項目で「産業を育成する」というのがあるんですけども、知事が今回の予算・事業で思いを込めたとか、あるいはこの12年間やってきて、「この分野で一定の成果が上がってる」とかいうふうに感じるようなものは何かありますか。

(知事)
 成果が上がってるものはそれはいろいろございます。
 それはやっぱり、(高知)工科大学というものがなければ(高知に)来なかった企業だとか、ここまで進まなかった研究だとかいうものは数多くあろうと思います。

 大変厳しい中で、どうにかこうにかいろんな芽が育ってるというのも…、工科大学だけじゃなく、工科大学ができたことによる刺激で、いろんな他の大学や研究者の方々が地域のために活動をしてくださったといういろんな積み重ねですけれども…、そういう意味では、この厳しい中でも一つの大きな芽として育ってきてると思います。

 例えば、カシオさん等々と組んでやっております地域結集型の共同研究の事業もですね、できるだけ早くああいうものを事業化していくことによって、生産ラインに乗せることによって、成果として目に見えるものにしていければ、ということを思います。

 それから、12年間ということで言えば、今、他県の間でもまた新しい競争になっていますけれども、やっぱり海洋深層水というものを、これだけ全国でいろんなところが後追いで取り組む事業に育ってきたというのも、高知県の一つの大きな仕事であったと思っています。

 海洋深層水についても、今また新しい研究で、岡山の企業とも組んで、糖類によってそれを粉末化していくような素材づくりということが進んでおりますので、そういうものを、これまで商工労働部などをあげて取り組んできたプラットホームというものできちんと事業化をしていく、その事例をつくっていくということが、今回の、予算というだけではありませんけれども、来年度から再来年度にかけての大きな仕事だというふうに思っています。

 今、「県税収入を上げる」ことも言われました。それはもうもちろん大切なことです。しかし、比率から言えばですね、今こそ国に対して声を上げないと、今、県内のことで「県税収入を」と…、そのことはしっかりやらなきゃいけません、もちろん…、やらなければいけませんけれども、そちらにばかり目を奪われて、国に対してこの問題点を追求しないという方向に流れてしまったら、私は、高知県だけではなくて、地方は、市町村は、立ち至らなくなるだろうなと。それぐらいの危機感を多くの方々に感じていただきたいと思います。
 

(岡林:高知新聞社記者)
 おっしゃるとおりだろうとは思うんですけれど、ただ、この厳しい現状っていう部分で言うと、国に対してどうするかというのは、これは当然のことであって、むしろ地方から国を動かすぐらいのことをしなければいけないというのは、知事が「改革派知事」と言われる由縁ということも考えてみればですね、県民からすれば、それは当然期待されることだろうと思うんです。

 ただ、それだけでは、今の県民生活の現状、もしくはこれまでの公共事業も含めて、行革の中の一連の流れの中で一定押さえてきたと。その上、こういった形で国の・・・が加わるということを考えてみた時に、県内の県民の生活をこれ以上下げない、もしくは県経済を今より冷え込まさないという特効性のあるものも、当然この年度内に打っていかなければいけないと思うんですよ。

 一方で、先ほど言われた(ように)、貯金を切り崩して、借金をするという形で今回の予算を組んだわけですよね、新たな起債を含めて。
 そういう状況で考えていった時に、政策的に見た時にですね、具体性を上げていかなければどうしようもならない現状が片方であって、それは市町村に対しても県の役割というのは明確にしていかなくちゃいけないだろうし。

 だから、外向きの話と内向きの話を同時並行で同じレベルで進めていかないと、高知県はもう保たないんじゃないかという危機感があるんですけれど、そこの内向きの話の取り組みの中で、今回の当初予算の中で、例えば公約を含めて、「不要不急の事業はないか」、もしくは「県民生活にとって直接プラスになる」つまり「分母として非常に広くの県民がその恩恵にあずかれるような事業があるのか」、そういった部分の連携というのは当然必要だと思うんですけれど、そのあたりの内向きの話っていうものもどういうふうにこの予算の中で…。この厳しい時代だからこそ取り組んだというものは何かありますか。

(知事)
 それはいっぱいあります。農業などでもハードをかなり切り詰めて、ソフトの担い手の育成ですとか、レンタルハウスの重点化ということに取り組みました。レンタルハウスはかなり伸びていくだろうと思いますし、そのことは農業収入にも担い手の育成増加ということにも繋げていけるのではないかというふうに思います。

 また、即効性ということで言えば、観光の面でも、PRというだけではなくて、旅行代理店に一定の補助金の制度のような形で、お客さんを引っ張って来てくれたところにはそれなりのものをお支払いをするというようなことを、(高知県観光)コンベンション協会として実施をしていくことにしております。このような事も、県内の裾野ということで言えば、地域への経済効果があることだと思います。

 また、建設業界の中で「少しでもやはり県内で発注をしたものを、地域経済に繋がるようにして欲しい」という声もありますし、これは業界の声というだけではなくて、県の全体を考えた時に、公共経済で引っ張って来た県の経済の一つの大きなテーマだと思いますから、現在進めております入札や契約制度の見直しの検討会でも、もう来月中にはそういうことについての一つの方向性を出していただいて、できるものは4月からそれを実施していく。

 そのことによって、せっかく県内に投資をしていくものを少しでも地域の経済効果に、これまで以上に地域の経済に利するような形にしていきたいというふうに思っています。
 

(市町村への県の支援)
(釜本:時事通信社記者)
 県内市町村に対する影響はかなり大きいと思うんですが、実際のところ、これから先、「今年度予算は組めたとしても…」というところで、県内市町村の中でも多く赤字再建団体に落ちるようなところも出て来る可能性はあると思うんですけれども、県にも余力はないかもしれませんが、そういったところに対する保障といいますか、県の支援というのは何か考えられてますでしょうか。

(知事)
 どういう?
 

(釜本:時事通信社記者)
 例えば、赤字再建団体になってしまってですね、逆に言えば県との事業の連携ですとかもできなくなるというのが多々出て来るかと思います。
 高知市さんもかなり今年頑張って高知競馬の予算とかを組みましたけれども、県との間でもそういうトラブルも出て来るでしょうし、もしくは県に対して一定の支援を求めてくるケース等も当然出て来るかと思うんですけれども。
 県でも対応できる余力の分はかなり少なくなってきてると思うんですけれども、何か腹案的なものがあるのかということなんですが…。

(知事)
 今、全庁的にキチッと決めたような腹案というものがあるわけではございません。
 今回もいろんな形の総合補助金というものを組んでいますけれども、かなり市町村の財政が厳しくなる中で、そういう、市町村のご負担をいただきながら一緒に実施をしていくという予算が、消化できないまま余っていく事態になるのではないかという事も予測できないではありません。

 市町村でなくてもですね、例えば地域の団体なり一定の組織なりが自己負担をしていただいて一緒に事業をやっていくというふうな仕組みを考えるとか、まあ、一部の事業でそういうようなアイディアも出ておりますけれども。そういうふうなこともこれからの手法の一つであろうと思います。

 それから、市町村と県との関係で言えばですね、県からも補助金を出し、市町村から負担金をいただいているという関係を、もっと、その(お金の)行って返ってをなくしていって、将来的にもう市町村に完全にお任せをしていくというようなですね。

 まあ、岩手県さんが「人も物も」ということを言われておりますけれども、そういうことが可能かどうかを検討していくことも必要な時期に来ているということは、この1月に入ってのいろんな議論の中でも、議論の場としては出てまいりました。けれども、県庁としてまとめてそういう方向を検討したり方向づけをしたりという段階ではありません。
 


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