公開日 2007年12月08日
更新日 2014年03月16日
知事の定例記者会見
平成15年5月21日14時00分から(県庁二階第二応接室)
(項目)
・徳島県知事選挙の結果について
・三位一体の改革:水口試案に基づく本県への影響
・高知競馬の運営状況
・新型肺炎(SARS)への対応
・官僚出身の知事の増加
・地域自立戦略会議での候補者の推薦
・知事選挙への出馬表明:公約、マニフェスト
・構造改革特区への対応
・高知空港の名称を龍馬空港にする運動
・県民参加の公約づくり
(徳島県知事選挙の結果について)
(釜本:時事通信社記者)
最初に幹事社の方から何点か質問させていただきます。
まずは、先日行われた徳島県知事選についてですが、知事がこれまでアピールされたことや思いと違う結果になったというコメントも出ましたが、あらためて、結果についてのお考えをお聞かせください。
(知事)
徳島県知事選挙に至る経過をどう見るかということ、地方自治のあり方、またこれまでの地方自治の新しい流れの中で、今回の出来事をどう捉えるかという考え方には、私は今も変わりはありません。
しかし、実際に徳島の県民のみなさんの判断が下されたわけですから、今後のことで言えば、四国4県の連携ということを大切にして、いい形でおつき合いをしていければと思います。
徳島県のみなさんにも、いろいろあったことをひとつ是非拭い去って、新しい徳島県をつくっていっていただきたいと思いますし、そういう流れと私も一緒に仕事ができればと思います。
(釜本:時事通信社記者)
それに関連してなんですが、一部で個人攻撃だというような報道もされたりですとか、個人的に飯泉さんとの関係で今後どうなるのかなというのもあるんですが、会われたりですとか電話で話されたりする予定等はありますでしょうか。
(知事)
予定は、四国の知事会がありますから、少なくともそのときにはお目にかかることになると思います。
それは、政治家として、政治を志す方の考え方や対応を自分としてどう考えるかということは当然言っていいことであって、それは小泉さん(総理)を批判すれば個人攻撃になるのかということと同じことだと思います。あまり意味のないことだと思います。
(三位一体の改革:水口試案に基づく本県への影響)
(釜本:時事通信社記者)
「三位一体の改革」についてお聞きしたいと思います。
先日、地方分権改革推進会議で改革に向けての試案(水口試案)が発表されました。
地方財政対策の廃止ですとか、税源移譲の先送りですとか、なかなか厳しい内容だと思うんですけれども、それについて知事のお考えをお聞きしたいと思います。
※三位一体の改革
地方分権の一環として、国庫補助金の縮減・廃止、国から地方への税源移譲、地方交付税の見直しを一括して進めようという改革
※水口試案
5月14日、地方分権改革推進会議の水口弘一議長代理が提示した試案。
(1)地方に配分している地方交付税を「地方共同税」と「財政調整交付金」に再編
(2)地方の歳入不足を埋めている現行の地方財政対策は廃止
(3)国から地方への税源移譲は増税を伴う税制改正まで先送りなどの内容
(知事)
厳しい内容というものではないと思います。というのは、厳しいとか何とかいうことよりも、そもそも「三位一体」という言葉にもそぐわないし、また、三位一体の改革が目指すものとも全く違った内容ではないかと思います。
というのは、三位一体の改革というのは、「財源のあり場所と実際に仕事をしている現場にずれがある」と、「そのずれをなくして、そのことによって全体的な無駄も省いていきましょう」ということが三位一体の改革の大目標だと思います。
にもかかわらず、今回の試案は、税源の移譲に関しては「増税をするとき」というような形で明確に先送りをしておりますし、また国庫補助負担金については、触れてはおりますけれども、具体的なものを何一つ示していない。
つまり、三位一体の二つを抜いたまま地方交付税だけを見直そうというものであって、先ほど申し上げたように「三位一体」という言葉とも全く合わないし、また、その目標ともずれたものだと思います。
改革ということで言えば、むしろ国よりも地方の方がはるかに改革という名にふさわしい努力をしてきたと思います。本県でも職員の数ということであれば、平成6年4月以降、すでに知事部局で580人、12%あまりの削減もしておりますし、また予算の面でも、公共事業で言えば、昭和62年、63年のレベルにまで落ちています。
県の単独事業も、平成9年度の補正後の県単の予算額に比べれば、半分以下、38.8%というレベルまで落としています。
少なくとも、国が14年度から15年度まで3%削減するのにも四苦八苦ということに比べればですね、もちろんマクロ経済への影響が違いますから、一律に景気対策とか財政ということを考えて、いい、悪いというわけではないですけれども、少なくとも「改革」という視点から言えば、地方の方がはるかに努力をしているのではないかと思います。
それにもかかわらず、地方交付税が、また(その)財源の保障がモラルハザード(倫理の欠如)になっているということを言われるわけですけれども、(地方交付税の)財源保障の機能というのは、そもそも、様々な法令などで国が決めている住民サービスを担っていくために必要な金額を積み上げてできあがっているものですので、
それを何の理屈もなしに、ある意味では国の中の省益の対立みたいな形で見直していく、切り捨てていくということは、理にも適わないし、現実論としてもあってはならないことだと思うんです。
例えば本県の場合(水口試案に基づく本県への影響)、15年度の一般財源が3203億円です。これが試案による「地方共同税」という形になって、そして特例の地方債をなくし、特例加算もなくしていくということになりますと、3203億のうち1178億がなくなっていくということになります。
そうしますと、治安のための警察の費用もそうですし、教育もそうですし、福祉などの民生の費用もそうですし、県民の基本的な生活そのものが脅かされるということになります。
そうしたことに対して、試案の中では「困るのであれば増税をすればいい」ということを言われておりますけれども、(主要な)財源というのはまさにほとんど国が持っていて、地方でできる分野というのは限られています。だからこそ、税財源の移譲ということが検討されているにもかかわらず、そのような乱暴なことをおっしゃる。
もし本県で今持っている範囲の税でまかなうということであれば、今年度の県税収入の見込みが572億でございますので、1178億の穴を埋めるとすれば、その県税の3倍のご負担をいただかない限り、同じようなサービスはできないということになります。
つまり、三位一体というものの考え方の理論からしてももちろんですが、現実論としてもありえないような議論ではないかと思います。
よく、三位一体の話をしていくときに、一方では財務省があり、一方では総務省があり、そして事業を持っている事業官庁、補助金の問題がありと。で、そこが「三すくみ」になっているのではないかと言われます。
現実はそうですけれども、どことどこがぶつかっているという三すくみ的な対立の構図で議論をしたり、それをとりあげることよりも、実際にそれぞれの地域に住む人の生活はどうなっていくのか、サービスはどうなっていくのかという視点でこの問題はもっと議論をされなければいけないと思います。
財政課の方で、もし地方共同税になって、特例加算や特例地方債があのような方向で廃止・削減をされたら県の財政状況がどうなっていくかという試算を出しておりますので、またご関心があれば、財政課の方に言っていただければ、もう少し詳しい数字と内容がお示しできるのではないかと思っております。
要するに、今回の試案は、地方分権というものを、国の財政のつじつま合わせという視点からだけ考えていて、本来の地方分権とか地方の自立とか、三位一体の改革というものとは基本的に違う方向のものだと思います。
ただ、今の議論というのは、放っておきますと、それが試案から地方分権改革推進会議の考え方になり、経済財政諮問会議にあがっていってということにもなりかねませんので、地方としても、こういうことの問題点を絶えず国に対しても言っていかなければならない。今回、政府への要望活動で東京に行きます時にも、こういうことを強く訴えてきたいと思っています。
(釜本:時事通信社記者)
幹事社からは以上ですが、あと各社ご自由にお願いします。
(高知競馬の運営状況)
(知事)
ご質問がないので、ご質問が出る前に言ってしまいますが、(高知)競馬の(平成15年度の)第一回、第二回の開催があって、このあいだ(その結果を)発表させていただいて、記事、ニュースにも取り上げていただいています。
全体で100万円あまり目標に達しなかったという数字を見ると、まずまずかなという見方もできると思いますが、別の見方というか、内容を見ると、決してそうは言えないのではないかなというふうに思います。
というのは、目標そのものは、全く一律平均ということではありませんけれども、昨年度のものをほぼ平均値化して目標をつくっております。
つまり、連休と重なったときどうかというふうな特別な事情を勘案したものでもございませんので、むしろ前年度との比較で見た方がより現状がわかるのではないかと。
目標値との比較よりも、前年度比でみるとまだかなり厳しい現状ですので、100万円あまりの目標値からのマイナスだという以上の厳しさを県としては感じています。
今後、次の開催に向けてどうするかというようなことを、今の段階ではまだ判断できませんので、よく資料的にも調査をし精査をして、考えていきたいと思っています。
(新型肺炎(SARS)への対応)
(池:高知新聞社記者)
新型肺炎への対応ですが、感染症の関係で知事の権限が、いわゆる行政命令なんかにも絡んでくると思うんですが、これまでの県の取り組みに対する知事の見方、評価とですね、今後どのような基本姿勢で臨んでいくのか、その辺りの考えを。
(知事)
医療体制の準備ということでは、他県に負けないと言うか、相当、前を切って準備ができてきていると思います。
ただ、このあいだの、台湾の医師の方が関西から香川、徳島とまわられたということからも感じたんですけれども、万一、またああいう同じ様な事例が出たときに、輸送機関、宿泊関係、そして空港とか港とかいう水際でどうしていくのかということは、起きてから検討したのでは、やはり後手後手というか、議論している時間だけでももうロスタイムになってしまうと。
そういうときにはもう、「こうなったらこうだ」という、マニュアルというとちょっと紋切りになりますけれども、方向性を決めておいて、しかも、それを行政だけで決めるのではなくて、宿泊関係であれば「お名前は公表しますよ」というようなことを旅館やホテルともきちんと打ち合わせておく、とかいうことをもう少し詰めておかなければいけないと思いますので、そのことを今、各部局に急いでやってもらうようにということを言っています。
それからもう一つ、庁内的には、今回のSARSの問題については健康福祉部がラインの判断のトップというか、主管の部として取り組んでいくことにしていますけれども、危機管理の体制が(危機管理担当の)理事と機関(危機管理・防災課)とができましたので、
そことの絡みがどうかというのは、いろんな危機管理の問題が出たときに、庁内でも、また県民の皆さんから見たときも、どっちが主体になるんだろうなということがあろうと思いますので、その点はもう少し詰めて決めておかなければいけないということは言っております。
今回の場合には、健康福祉部がラインとしての主体となって、危機管理・防災課はスタッフとして入っていく。このSARSのようにどこかの部が明らかに担当だとわかるものは、やはり担当部が主体となってやって、危機管理・防災課はいろんなノウハウやなんかをスタッフとして提供をしていくという形にしていきたいと思っていますが、
まだ出来たばかりですので、危機管理の組織と実際の対応する部とをどう関わらせていくかというのがこれからの大きな課題だということを、今回のことで感じました。
実際に何かが出たときに、昨日もテレビ番組で見てて思ったんですが、そこに出ておられたお医者さんで、東京都のこの関係の委員をしてらっしゃる方が、保健所に電話をしてみて、「疑い例が出たので…」という話をしたら、「今、衛生課長とドクターが二人とも会議で出ていて」と言って、保健師さんが出てきて右往左往の答だったと。
多分に現場ではそういうことがまだまだ起きるんではないかという話をしておられて、そこら辺のことも、念には念を入れてきちんと対応していかないといけないなと思いましたし、一方で、私もマスコミにいたときにそういう経験がありますが、こういうようなことになると、嘘のというか、誤った情報を電話で伝えてこられるということがありますよね。
今度の、関西新空港の検疫への大阪のお医者さんからの電話も、それに対する対応が16時間遅れているということなんですけれども、まあ、上げるのは一報として上げながら、電話の主がちゃんといる人かどうかとかいうことの確認をしていかないと、
無用なというか、また違った不安を呼び起こすことになりますから、そういう意味で危機管理のことは非常に難しいですけれども、いろんなことを想定して、もっともっと緻密にケースバイケースのことを詰めて考えていきたいと思っています。
何かこれまでのことで気づかれたことがあるでしょうか?
(池:高知新聞社記者)
まあ、起きてみないとわからないということがあったのと、今回の(香川や)徳島の件で職員の皆さんかなり勉強になった、練習になったというところがかなりあると思います。
マニュアルを作ったり、態勢を作って、一定自信は持ってたと思うんですけれども、実際起きてみると、例えば夜間の対応が出来てなかったり。
取材の過程で議論をしている中では「こういうこともしておかないといけないね」という話はあったんですけど、起きてしまうと間に合ってない。神経質過ぎるほど対応していた方がちょうどぐらいだったんじゃないかというところです。
(知事)
今回、国の対応でも、香川と徳島だけまわっているからといって、愛媛と高知には同じ情報が来るのにタイムラグがあるわけですよね。そのこと自身がだいたいおかしいし、四国だけじゃなくて47都道府県いっぺんに流すくらいの重要情報だと思うんですね。
そのような意識がまだまだこう…、国の批判ということではなくて自分への自戒ということですけれども、やはり役所にはありがちなので、注意をしないといけないと思います。
(池:高知新聞社記者)
最終的な患者の確定なんかも、もちろん国の衛生研究センターですか、あちらでやるんですけど、実際は、最終的には知事の判断に厚生労働省も頼っているようなところがあって、もちろん国からの情報というのは大事なんですけれども、都道府県単独の対応がかなり今回重要になってくると思いますね。
(知事)
それはそのとおり。重要になると思いますね。
また、さらに詰めて、処理をしておきます。
(官僚出身の知事の増加)
(井上:産経新聞社記者)
徳島県知事選挙に戻りますけれども、結果は知事のおっしゃるように徳島県民の判断なんですが、総務省というか、中央出身の知事さんが増えるということについては何かお考えなどありますでしょうか。
(知事)
率直に言って、例の改革派といわれる知事の集まりも、北川さんも抜けるということになってくると、どんどんどんどん中央官庁の官僚出身の方が増えてくる。
全否定するわけじゃありませんけれども、もっと、自治体の長を目指す人、また実際に担う人の幅というのは広がった方がいいなと思います。
今がいけないということよりも、もっともっと、企業人であれマスコミであれ、また資格を持った個人的な仕事をしている方にせよ、もっといろんな分野の方が出てこれる環境になればいいなと思います。
(地域自立戦略会議での候補者の推薦)
(井上:産経新聞社記者)
前に、統一選が終わった後はですね、地域からなにか推薦をして…とおっしゃってましたけれども、これは具体的に進んでますでしょうか?
(知事)
ええ、それは地域自立戦略会議の中でいろいろ話をして、やっぱり政治に絡むとまたいろいろな無用なエネルギーを使うことになるというご意見が強くて、政治的なことへの対応は止めようという話に、地域自立戦略会議ではなりました。
※地域自立戦略会議
本来の分権社会達成には地域の自立が必要との観点から、地域自立を目指した具体的政策の検討を行うため、高知県、岩手県、宮城県、千葉県、岐阜県、滋賀県、和歌山県、鳥取県の8県の知事有志及び学識経験者により創設したもの。
(知事選挙への出馬表明:公約、マニフェスト)
(井上:産経新聞社記者)
ご自身は、去年は「まだその時期ではない」とおっしゃってましたけれども、知事自身は、11月に向けて、もうそろそろかなあと。
(知事)
これまでも申し上げておりますように、次をやるのであれば、いわゆるマニフェストじゃないですけれども、公約づくりということで目に見えた形での取り組みと、そして、どういうことを目指していくかという方向性をお示しをしないと、ただ単に「やり残したことがある」とか「仕上げだ」という表現だけでは今の時代は済まないのではないかということを思いますので、それを是非、していきたいと思っています。
出る出ないということではありませんけれども、やはり久しく地域をまわってご意見を聞くということを、していないわけではないですけれども回数が減っておりましたので、郡部に出かける機会に地域でいろんな懇談会を開いて、
そこでいろんな意見をお聞きをし、具体的な事業だとか仕事につなげていけるものがあれば、そういうものをお話をして伺っていきたいと思いますし、自分だけということではなくて、もう少し若い層の方々に関心を持っていただき、活動に参加をしていただければと思います。
時間があるということになれば、学生さんということになりますので、学生さんに何人かお願いをして一緒にまわってもらうとか、また、自分がまわった後、学生のチームで53市町村をまわって、いろんなお話を聞いて、それを集約をしていって、そしてそれをまた、「こういうことをやったらどうでしょうね」という形でお見せをして議論をするというようなことができればなあというふうに思っています。
もし四期目ということをやる場合にでも、単に、今言われるマニフェストという形で、役所の中でやれることを、その財源も書いて、出して、で「マニフェストです」ということよりも、県民参加の予算づくりのモデル事業というのを3年間やりましたけれども、ああいう延長で、公約やなんかももっと県民参加で作っていくというそのプロセスの方が、単にすばらしい書物をマニフェストとして予算付きでお示しをするよりも価値のあることではないかなと。
そういうものが、同じマニフェストに当たるかどうかはわからないけれども、そういう公約書だとか、すべき事業とか、方向性というものをまとめるにしても、そういうプロセスを是非、やるならばやってみたいなと思います。
※マニフェスト
政策綱領:政策の目標や実施期限,財源などを明示したもの
(井上:産経新聞社記者)
例えばそれを、いつ頃までとかいうような?
(知事)
来月くらいから、郡部をまわるときに、そういう会を開いていきたいと思いますので、いつ頃までにというとだんだん何か煮詰まってきてしまいますが、まだきちんと段取りもできてるわけじゃありませんし、何とも言えませんが、想定の話で言えば、私が出る出ないは別にして、選挙の時期から言えば、9月くらいまでにはそういうものをやっていかないと間に合わないのではないかと思いますけれども。
(構造改革特区への対応)
(松浦:朝日新聞社記者)
三位一体の改革というもので、少し戻るんですけれども、昨日も特区の認定がありまして、大盤振る舞いで多くの特区が、あまり精査されずにといいますか、多くの所が認定されたようなんですけれども、高知県はなかったと思うんですけれども、県として、今後まだ2次、3次、4次ですか、特区申請がありますけれども、何かお考えはありますでしょうか。
(知事)
僕は、知事という立場、また個人的に、こういうことをしたらという考え方は今は持っておりませんし、各部局または市町村でお考えがあるかもしれませんけれども、そういう情報も今は自分のところには届いておりません。
僕の視点から言えば、うちの県の提案で実際に国の事業になり、今うちも50億円余の予算で取り組もうとしている1.5車線(的道路整備事業)なんかは、特区という考え方に等しいもので、そういうローカルスペックというか、地方独自の基準でいろんな仕事をしていくという実績をつくっていくことが、私は特区ということにふさわしいものになると思うんですね。
自分の個人的な受け止めでせっかくの事業を矮小化してはいけないのかもしれませんけれども、特区ですと言って、いろんな事業官庁が持っておられる法律の中の、この部分とこの部分とこの部分だけは少し弱めましょうね、というようなやり方は、従来からの新産業都市以来ずっとあった事業の地域指定と同じような、国と地方の関係の中でできるようなものに思えてならないんです。
もっと、提案するのであれば、もっと思い切ったものが…。単なる何か新しいサービスをやるというよりも、全体的に何かが動いていけるようなものがあれば、やりたいと思うんですけれども…。最初に戻りますが、それだけのなかなかアイデアがありません。
(高知空港の名称を龍馬空港にする運動)
(岡村:高知新聞社記者)
知事、最近のメールかなんかで、何かおもしろい話は?
(知事)
メールマガジンに書きましたけれども、例の龍馬空港の話に対して、「龍馬空港と言って騒いでいるけれども、私は龍馬空港には反対だ」という女性からメールが来て、「私は、もし高知空港が龍馬空港になるのであれば、もう高知を出て沖縄に移住する」というようなことが書いてあって、「いかにも土佐人らしいですね」と言ったら、またお返事が来て、「自分の龍馬好きの思いとか嗜好を人に押しつけようとするその精神が気に入らない」ということがありました。
僕も最初は、ただ単にと言うといけないと思いますが、名前、愛称ということであればそれは何の負担もないし、やればいいじゃないかと思って、少し安易に「うんうん」といったきらいが正直言ってあります。
だけど、ここまでこう詰まってくると、正式名称を変えるのか、それとも単に県として愛称として打ち上げるのかということがあります。
というのは、航空会社のチケットの打ち込みの印刷も、(名称を)変えるのであれば、そのチケット印刷のソフトを変えるのに、(島根県の)石見(空港)が萩・石見(空港)になって、それを変えるのに2000万くらいかかったという話があります。それから、空港でパタパタパタパタと(行き先や)到着を示す板は、各空港ビルが持っておられるものですけれども、あれを変えていくとか。
それから、県で言えば、県道に高知空港の看板が33カ所あるらしいですけれども、それを単に貼るのではなくて取り替えるということになると、これももう1000万円オーダーの仕事になっていくとか。
積み重ねて本当にやっていけば、誰が負担するかを除いて、5000万から6000万という金額がでてくるだろうと思うんです。
ここまでしてということは思わずに署名をしている人もいるだろうということから言うと、そこら辺のことをきちっと少し詰めていかないと、単にムードに流されているだけではすまないところまで来たなということを思って、もう一度、運動されている方ともちょっと話をしてみたいと思います。
萩石見のことがあったことに刺激をされて、「変えるんだったら早いほうがいい」、「空港の滑走路の延長の時以前に、11月15日の誕生日・命日の日に切り替えたい」というふうに、運動をなさってる方のテンションがあがってる(気分が盛り上がっている)わけなんですけれども、
少なくとも、今申し上げたようなことを全部解決をして新しいものをというのは11月15日には無理ですので、そこら辺をどうしていくかということを、きちんともう一度考えてみなければいけないと思ってます。
あの、完全にマイナスということで言っているんではありません。やっぱり個人名がつく空港ということで言えば(日本では)初めてのことですので、それだけのニュースバリュー(価値)もありますし、やはり全国の方にとって歴史上の人物の中で龍馬の占めるウエイトというのは非常に大きなものがありますので、
高知県の中の人が、思い入れをもって好きだったり、またそれに反発をして土佐人らしく反発をしたりという以上に龍馬というものは一定の価値を持っていますから、その持ついろんなアピール効果というのはあると思います。
あわせて、来年はNHKの大河ドラマの「新撰組」で龍馬は主役の三本柱のひとつになって、史実とは全然違いますけれども、近藤勇と若いときから仲が良くて…というようなストーリーで進んでいくことになってます。江口洋介のキャストも決まりましたから…。
ということから言えば、時期としては来年というのがポイントになると思いますから、そういうプラス要因も考え、なお、今申し上げたような現実のいろんな課題をどうしていくかということを整理しないといけないな、というふうにメールをきっかけに思っています。
(岡村:高知新聞社記者)
今の段階で、観光展開をしようかなというのは…? 龍馬空港関係で。
(知事)
そこまで細かいことは(検討)していませんけれども、来年は3月いっぱいに愛媛の高速道路が(宇和まで)開通しますので、愛媛県が「内子・大洲・宇和のまちなみ博覧会」をやる。
博覧会と言っても、加戸(愛媛県知事)さんに聞いたら、「名前を付けているだけで何も物(施設など)をつくるわけではなく、単に「まちなみ博覧会」といって打ち上げてあるんだ」という話なんですが、そういうことで言えば、龍馬は(脱藩の際、)大洲に抜けているわけですから、そういうことと合わせて何かを構えて、というようなことも考えてしかるべきだと思います。
龍馬というのは貴重な素材ですので、それはそれで観光の方では活用策を考えていかなければ、特に「新撰組」(NHKの大河ドラマの放送)もありますので、一つの時期だなとは思います。
(県民参加の公約づくり)
(岡林:高知新聞社記者)
知事選にちょっと戻りますが、先ほど「53市町村を学生さんにお願いして…」という話もがあったんですけど、これは例えばブロック別に分けてとか、そういう形…?
(知事)
そんなことまでまだ全然決めていませんし、学生さんというのも別に声をかけているわけではありません。日頃おつき合いをしている中で、想定される、核になる人物はいますけれども、実際に「そういうことをやろうね」と言ってスタッフを集めて会をしたり話をしたわけではございませんので、今言われたような具体的な分担だとかなんとかいうことまでまだ…。やるのであればそういうことをやってみたいと。
(岡林:高知新聞社記者)
知事が郡部をまわったときにお話をされるというものと並行をして、ということまで具体的な話にはなってないというふうに理解していいんですか。
(知事)
並行はできないと思いますので、それはそれで僕がまわっていろんな話をし、もし可能であれば、それとまた別にということになろうと思います。
(岡林:高知新聞社記者)
いわゆるその手法として「県民参加の…」というスタンスをおっしゃったわけですか?
(知事)
ええ、手法としてそういうことができたら…。
単なる…、「単なる」という言い方をマニフェストに対してしちゃいけませんけれども、政党レベルでマニフェストという形でやって対立軸をつくるというのは僕はすばらしいことだと思いますが、やはり知事とか市長ということになると、現職であれば特に、役所の中で出来るものをつくって、きれいなものをマニフェストとしてつくるということになりかねないと思うんですね。
そういうマニフェストではなくて、どうせつくるのであれば、県民参加で何かそういうことがやっていけないかな、という思いを持っているという意思表明で、まだその具体的なことまで詰めているわけではございません。
(岡林:高知新聞社記者)
9月くらいまでにという…?
(知事)
やるのであれば、一般論として、9月ぐらいまでにはきちんとやらないと、できないというふうに思います。
(釜本:時事通信社記者)
あと、各社、何かございますでしょうか。よろしいですか。
それでは時間になりましたので。
(知事)
ありがとうございました。