知事の定例記者会見(東洋町が行った高レベル放射性廃棄物最終処分場文献調査への応募に対して)

公開日 2007年12月08日

更新日 2014年03月16日

知事の定例記者会見(東洋町が行った高レベル放射性廃棄物最終処分場文献調査への応募に対して)

平成19年1月25日17時15分(県庁二階 知事室)

(幹事社)
 東洋町の町長が、今日、高レベル放射性廃棄物の最終処分施設の調査への応募を表明しましたが、これを受けて知事の感想は。

(知事)
 東洋町長さん並びに町当局のご判断は、それは東洋町長さん並びに町のご判断であって、私がそれについてとやかく申し上げることにはなりません。

 けれども、この問題は、概要調査は勿論のことですし、その前段の文献調査、そしてそれに対する応募の段階から地域の地元の同意、理解というものが欠かせないというふうに思います。

 ですから、今は町長さん並びに町当局の独自のご判断ということでの応募ですので、あくまでも原環機構並びに国はこれを受理すべきではないし、文献調査等の決定というふうなプロセスに進むべきではないというふうに思います。

(記者)
 原環機構側の受理の見通しを、県の方から原環機構に問い合わせたりはしていないでしょうか。

(知事)
 それは分かりません。県が組織として誰かが問い合わせているかは分かりませんが、私は原環機構の捉え方についての報告はきちんと受けておりません。

(記者)
 地元の民意の把握という点で、東洋町は住民投票条例の住民投票の実施する考えを明らかにしています。その住民投票の手続きを踏めばもう良いのではないかというのが、東洋町側の考え方だと思うのですが。

(知事)
 それは私がとやかく申し上げることではございません。あくまでも町が町の自治という範囲で判断されることですので、私が住民投票すれば良いとか、そこでOKならば良いのではないかとかいう事は今の段階で申し上げることではないと思います。

 先程も申し上げましたように、私はこうした問題は、もう最初の応募の段階から地域の地元の理解、同意というものが必要だというふうに思いますので、少なくともそうしたものが現在はない段階だと自分は受け止めますので、その同意、理解がない段階で原環機構なり国がこうした応募を受理し、また次の手続きに向けての決定をするということがあってはならないというふうに思います。

(記者)
 町長が今日会見をして、応募した要因として、財源確保が出来ることが大きな要因の一つだと言っているのですけれども、今後文献調査を受けると今は年2億(円)ということですが、10億(円)にまで引き上げるという話もあるそうで、そういうかたちでこういった迷惑施設のようなものの調査等を進めていこうとする国の体質をどう思われますか。

(知事)
 私は前から申し上げておりますように、例えば原子力発電という、原子力政策そのものを全面的に否定をしているという立場ではありません。
 そうしたことは、十分国民的な議論を進めながら考えて行くべきだと思います。
 ただ、そういうものを、原子力政策を進める上で従来からそうですけれども、いろいろな反対があるとその反対をお金でなんとか黙らせていこう、また、非常に苦しい地方財政の中で、お金でほっぺたを叩くような形で町長さんなり地域の議会なりをなんとか同意させていこうというような国のやり方はおかしいと思います。

 原子力政策そのものを私は歪めているというふうに思いますので、こういうやり方そのものを改めるいいチャンスじゃないかと。手続きをきちんと踏んで長い時間かかっても、どうせこのまま突き進んでいけば、いろんな反対運動が起きて、地域は様々な辛い思いをしていくことは間違いございません。

 そういうようなことを地域に起こして長い時間のトラブルとかを起こし、しかも大きなお金をかけてやっていくよりも、きちんきちんと地方の自治というものを踏まえた手順を踏んでいく、そのことによって地域の理解でこういうものが何か進んでいくことがあれば、それはそれで一つの地域、地方の考え方ということになりますけれども、今のようにまず何億というお金を積んで、地方交付税の削減、臨時財政対策債の削減ということで非常に厳しい目に遭っている、これも国の考え方によって、そういう思いにさらされている地元の町長さんなり町議会なりに、今度は逆にお金でほっぺたを張って、何かを無理矢理押し付けていこうというような国のやり方には非常に強い疑問を感じます。

 原子力政策というものは、もっと真っ当に真正面からきちんと、安全性を主張されるのなら安全性、必要性を主張されて進めていくべきものではないかと。非常に苦しい地方財政を逆手にとって、お金でほっぺたを叩いてやっていくというふうな原環機構なり国の対応には強い疑問を感じます。こんなことがあってはならないというふうに思います。

(記者)
 一報はいつどういう形で。

(知事)
 一報は何時だか忘れましたが、十河部長、中澤副部長から、(東洋町長が)記者会見をされるという話が来ましたという一報をもらいました。2時半ごろ、今やっている頃ではなかろうかという話で。現実には、まだ議員協議会が続いていた時間だと思いますけど。

(記者)
 知事の言う地元の同意ということを東洋町長は住民投票のかたちで得ようとしているんですが、そのやり方についてどう思いますか。

(知事)
 それは、先程ご質問に答えたように、今の段階で私がどういうやり方が地元の同意だということを申し上げる立場ではございません。

 ただ、現状で少なくとも議会も含めて、地元の理解、同意が得られている状況ではないと。町長さんはじめ町当局が独自に判断をされてという現状であろうと思いますので、そのままのかたちの応募を受理することはおかしいんじゃないかと申し上げております。

(記者)
 知事というお立場から見たときに、県土を保全するという、県の環境を含めて、そもそも県土をどうしていくかという将来像を県は検討されていますが、そうした視点から見たときに、知事というお立場で今回の問題をどう捉えるかということをお伺いしたいのですが。

(知事)
 私は、高レベル放射性廃棄物が持つ危険性が環境なり人体に、ということ以前の問題として、風評被害が非常に大きいのではないかということを思います。

 東洋町そのものも、ポンカンをはじめ自然を活かしたものづくりをしている地域でございますし、サーフィン等、自然を親しみに若者が来てくださる町でございます。併せて隣の室戸には深層水のビジネスもありますし、新しくできた誘客の施設、交流の施設もございます。

 こうしたものに対する風評被害というものを強く恐れます。そういうような地域の現状を無視して、この応募を受理して決定をして、ということがもしなされるのであれば、強い反対の姿勢を私は示していきたいと思います。

(記者)
 町長さんと今後お話をする機会、そうした場面を想定されていますでしょうか。

(知事)
 私の方からは想定しておりません。町長さんが何か私に対して話をしたいということであれば、いつでもお話をしたいと思いますし、私の考えは申し上げたいと思います。

 私は、町長さんの行動を批判しているというわけではなくて、こういうふうに地方財政が厳しいかたちに追いやられてきて、その中で何とか地域を支えていくためにも財源がほしいな、という思いは私自身も同じでございますし、特に東洋町のように県でも一番端のほうにある、厳しい現状にある自治体として、そういうことをお考えになるということそのものを私は否定はいたしません。

 ただ、そこからの手続きとして、国がどう対応すべきかということを原環機構なり国に対しては申し上げていきたいと思います。

 ですから町長さんとお会いしても、別に何かそこでやり合うということではなくて、お互いの考え方ということを、もしそういう機会があれば意見交換をしていきたいと思います。

(幹事社)
よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。

(知事)
ありがとうございました。

(終了)


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