公開日 2007年12月08日
更新日 2014年03月31日
知事の定例記者会見
平成19年11月27日14時00分から(県庁二階 第二応接室)
(項目)
・知事選挙の受止めと次期知事への期待
・16年を振り返って1(県民の皆様へのメッセージ)
・政界再編1
・16年を振り返って2(高知が変わったところ)
・16年を振り返って3(草の根 1)
・政界再編2
・16年を振り返って4(草の根 2)
・16年を振り返って5(高知の政治風土)
・16年を振り返って6(権力者と働きかけ)
・退任後の予定1
・国政へのかかわり1
・退任後の予定2
・国政へのかかわり2
・16年を振り返って7(国への主張)
知事選挙の受止めと次期知事への期待
(服部:毎日新聞記者)
まずは幹事社から3問、質問をさせていただきます。
知事選に対する感想なんですが。これまでもう、すでにいろいろと話をなさっているとおりかもしれませんが、あらためましてお訊きしたいのと、今各部局と精査をしているところでしょうが、引継事項はどんなことを、あとは尾﨑さんへの期待ということも含めてお話をいただけますでしょうか。
(知事)
もうこの間の(知事選挙の開票結果を受けて行った)記者会見でお話しをしたとおりですけれども。尾﨑さんご自身の出馬表明から選挙が始まるまでに1カ月しかなかったということもございますし、高知のご出身とはいえ全くの新人のかたですから、県民の皆さんにも馴染みがなかったということで、こうした投票率の結果になったと思います。
また、そこにはいろんな現在の政治状況なり選挙の構図なりに対する県民の皆さんの思いというものも込められていただろうとは思いますけれども、詳しくは分かりません。
それから、引継事項は今、各部局ごとに話を聞いてまとめております。少し数が多いですので時間的にも長い時間になろうかと思いますけれども、県として現在抱えている問題、課題ということとそれに対する自分の判断、思いというものも合わせて尾﨑さんにきちんと引き継いでいきたいと思っています。
また、これまでも申し上げましたけれども、尾﨑さんには、一つはやはり2代続けて全国で一番若いという知事が高知から出たわけですから、その若さというものを生かしたお仕事ぶりを全国にも発信をしていただけたらということを思いますし、また、1カ月しか期間がなかったということでこれまで尾﨑さんがお会いになった、または現実にお目にされた県内のかたや県内の地域というのは限られていると思います。
ぜひこれから、これまでは目に耳に入らなかったような方々のお声というものも十分聞かれて、その上で新しい仕事にかかっていっていただければと思っています。
16年を振り返って1(県民の皆様へのメッセージ)
(服部:毎日新聞記者)
二つめですが。知事選も終わり、任期満了の日までもう差し迫っているんですが、16年を振り返って今思っていらっしゃること、知事が軸足においた県民のかたへのメッセージをここで話していただけませんでしょうか。
(知事)
16年が終わるのでさみしいとか感傷的な思いがあるかといえば、前にも申し上げましたが不思議にそういう気持ちはおきません。まだまだ自分の人生の使い方として、高知のために、また地方のためにも力を尽くしていきたいという思いがありますので。
確かに16年の仕事を終えるひと区切りではありますけれども、それで何かが終わってしまったという気持ちはありません。県民の皆さん方には16年間いろんなかたちで私を支え、投票をしてくださるという意味ではなくていろんな意味で応援もし、励ましてくださったことに心から感謝を申し上げたいと思います。
自分もNHKの記者として社会人生活を20年送ったあと高知県で知事を16年務めさせていただきましたけれども、この16年、その時その時には辛いとか苦しいと思った場面がもちろんなかったわけではありませんが、今振り返ってみれば楽しい思い出、また価値ある体験ばかりであったと思います。
人生の充実した時期に、そういうとても大切な体験をさせていただいたことに、県民の皆さんに心から感謝を申し上げたいと思います。確かにお1人お1人の県民の皆さんから見たときに、十分な仕事ができていなかったというところも当然あると思います。
けれども、自分はこの16年間自分のできる限りのことを力一杯やってまいりましたので、その意味では、心残りというようなことはございません。
政界再編1
(服部:毎日新聞記者)
三つめなんですが。知事の将来ということにもかかわってくると思うんですけれども。刻々と動いている話でちょっと古い話になってしまうかもしれないんですが、自民党と民主党の大連立構想、政界再編に含みもあると見られますけれども、将来国政も選択肢の一つとされている知事としてはこれをどのように見てらっしゃるのかというところをお聞かせください。
(知事)
あと10日で知事を退くからといって、あまり評論家的なことは言いたくはありませんけれども、私ならば今のような政治状況の中で大連立うんぬんの話を、密室と言われるような誰も聞いていない、見ていないところでするという判断はしなかっただろうとは思います。
けれども、小沢さんのこれまで政治家として育ってこられた環境なり体験ということを踏まえて考えたときに、総理からお誘いがあって、ああいうかたちで話し合いをされ、その中で安全保障に関して、またそのほかのことに関して、小沢さんから見て大きな譲歩というか歩み寄りだと考えられることがあって、それを民主党の幹部のかたに持ち帰って話をされたと。
そして、それに対してなかなかいい意見が聞けなかったので、自分が否定されたと考えて辞めたいと思ったという心理は、小沢さんという自分が知る限りのお人柄と重ねて考えれば、理解できないではないというふうに思います。
そのことを是とするという意味ではなくて、小沢さんの行動として理解できないではなかったと思いますが、その後会見で言われたことを翻して、またそのまま(代表を続ける)というのが、私から見るとやや小沢さんらしくなかったなということは個人的に思います。
大連立のお話ですが、やっぱり連立の話というのは、歴史というほど大げさじゃないですが、過去の政党間のいろんな経過というものを見たときに、こういう話が出れば必ずいつかそういう方向に向けた、または再編に向けたいろんな動きというのは出てくると思いますので、次の総選挙の後にはどういうかたちかは分かりませんけれども、今申し上げたようなことでの動きというのは必ずあるというふうに自分は思います。
(服部:毎日新聞記者)
幹事社からは以上です。それでは各社、自由によろしくお願いします。
16年を振り返って2(高知が変わったところ)
(畑本:読売新聞記者)
16年間を振り返ってというのはちょっと難しいかもしれませんけれども、16年前と今と、高知が一番大きく変わったなと。そこに知事自身もかかわってきたなと思えることは何でしょうか。
(知事)
私は県民の皆さんが自分たちも県の政治・行政というものに参加をして、一緒にやっていく場があるんだというように感じていただけるようになったというのは、大きな変化だと思っています。
それは、私自身も「開かれた県政」というような言葉で、また実際にそれぞれの地域を回っていろんなかたと直接お話をする、それは私だけではなくて県の職員がみんなそういう思いで仕事をするようにということを言ってきましたし、またいろんな仕事をするにあたって県民の皆さんと一緒に事業の組立てもする、計画も考える、条例づくりなどもしていく、ということを積み重ねる場づくりを自分がしてきた一つの結果ではないかと思います。
16年を振り返って3(草の根1)
(岡村:高知新聞記者)
知事の支持者で「草の根」という言葉が、もう一つの代名詞のように高知では言われるんですけれども。知事を5選させた20万票以上とも言われる草の根が橋本知事に求めたものというのは何だったのかというのは、知事はどういうふうに見られていますか。
(知事)
私に何らかの結果を求められたかたがいるとは思います。けれども結果ということよりも、自分自身もいつもプロセスということを言っていますが、政治に関わるプロセスだとかそういうことを私は期待されたんじゃないかと思います。
先ほどのご質問にもお答えをしたように、県政というものが遠い存在で、何かをしてくれる、そのために何かしてくれるのを待っている、陳情をするという関係ではなくて、自分たちも直接ものを言って、一緒に参加をして、やっていくことができるんだと、またそういう場があるんだということを私は実感もしていただき、期待をされたのではないかと。
よく「夢」という言葉も使われますが、その夢の実現を求めるというだけではなくて、一緒に手を携えて夢を見ましょうという気持ちを草の根の方々は私を通じて持っていただけたのではないかなと。そういう自分のキャラクターというものが草の根のかたとの関係をこれまで保ってきた、また強いものにしてきたのではないかというふうに思います。
(岡村:高知新聞記者)
それが、トップが替わることによって県民と県庁の距離感といいましょうか、県庁という組織が県民との距離を維持できるものを県庁職員の意識の中あるいは組織の体質の中に根付かせることができたというふうなことは、知事としてはどうお考えですか。
(知事)
何千人という職員全員に根付かせることができたとはもちろん言えません。けれどもそれは16年前に比べればもう全く違った意識にはなっていると思います。特に若手・中堅などの方々にはそうした思いとか意識、意識というよりもそれがもう県庁に入ってからの常識として身についているんではないかと思います。
けれども、やはりまだまだ幹部のかたの中にはそうやって県民と一緒にやっていくということが本来の行政のあり方としてどうかということを、本音では迷ったり疑問に感じている人もいるのではないかと。
それが、私がいつもくどくど言っている時には「自分はそう思うけどしょうがないな」と思ってやってくださっていても、私という存在がなくなって、そして、尾﨑新知事のスタンスは分かりませんけれども、もし(新しい知事が)少しそういうことに距離感を置くスタンスだというように、そうした幹部の職員が感じたときに、その幹部の職員と若手の職員との中に、これまで心の中にあった本音の部分が、やや違う温度差として出てくるということはあるかもしれないと不安に思います。
だから、やっぱり特に幹部の職員のかたがこれからの県政というもの、組織というものをリードしていってくれるわけですから、そうした民間のかたとの、よく言われるNPOとの関わりだとかそういうようなことを、これからこそ大切にしていくんだと、知事が言ったからやっているということではなくて、やっぱり県庁という組織がこれまで積み重ねてきたもので、次の知事に替わっても同じように民間と一緒に手を携えてやっていく、協働の姿勢を持っていろんな政策づくりをしていく、事業をしていくという意識にぜひなってほしいなというふうに思います。
政界再編2
(岡村:高知新聞記者)
先ほども政界再編の話をしていらっしゃいました。その動きが出てくるんじゃないかという表現をされましたけれども。例えば具体的に、新党とかいうふうなことも知事の中には予測図と言いましょうか、そのあたりは想定の中にあるんですか。
(知事)
それは全くありません。
16年を振り返って4(草の根2)
(浜田:高知新聞記者)
草の根のお話ですけれども。知事は尾﨑さんが当選された日曜日の夜の記者会見で、「草の根は選挙の時には支援するがその後はお任せになっていたんじゃないかと感じるんですが」という質問に対して「そうではないと思います」ということを答えられたと思うんですが。
しかし、今回の選挙で地域の草の根のかたにも何人かお会いして訊けば、やっぱり「大ちゃんに任せたら間違いない」という、いわば知事に無謬性〔むびゅうせい:判断に間違いがないこと〕がすごく求められていたような気もするんですけれども。
知事としてはその「お任せ感」からもうちょっと(踏み出して)、普段の選挙と選挙の間の4年間も、もう少し僕の背中を押してくれたらいいのになと思ったこととかはないんですか。
(知事)
それは特にないです。あんまり無謬感を期待しているとか私に要請されているとは、私はとても思いません。
思いませんけれども、万が一そういう無謬感というものを求めている人が、絶えず一定の勢力を持って推していたら、それはファッショにつながる非常に危険なものなので、私はそういうものであってはいけないと思うんですよね。
要は、私自身を絶対的に応援するとか何とかいうことよりも、先ほどから申し上げているようなプロセス、自分たちもいざとなれば参加できるんだと、そして一緒に批判も言えれば、参考意見も言っていけるんだという場が確保されているということが、草の根のかた、草の根というか一般の県民のかたにとっては非常に大切なことだと思うんですよね。
いろんな団体の長だとか組織や政党の幹部であれば、いつでも知事室へ行っていろんな要求をする話をすることができる、だけどそうではないごく普通の方々でもメールを通じてもいい、いろんな形を通じてもいい、本当に意味のない単なる言い上げや何かに一つずつお付き合いをすることは、私も忙しくてできませんけれども、それが意味があることで一緒に考えられることということであれば、それは知事室に来ていただいて話をしていく、そういう場がいつもいつも確保されるんだということが、肩書きのない、いろんな県民のかたにとって大切なことだったんではないかなと。
だから、そう常に、いつもいつも「橋本知事がこういうことで窮地に陥っているから助けてあげよう」とか「もっと足を引っ張らずに何とか応援をしてあげよう」とか、もともとそういうものではないだろうと思うんです。私もそういうことを特段期待をしていたわけではないです。
16年を振り返って5(高知の政治風土)
(畑本:読売新聞記者)
橋本知事ができたことはあったと思いますが、特に高知の政治風土に橋本知事が「これはもう少し影響を与えた方がよかったのかな」と、やり残し感があることがあれば教えてください。
(知事)
これは高知だけではなくて、やっぱりこれから地方議会っていうものをどう改革していくのかというのは、国をあげての大きな課題であろうと私は思います。
今のご質問と直接関連することじゃないですけれども、制度的にも議員の定員の数なども人口等と比例をして法的な決まりがあります。そういうことも、これだけ地方自治・地方分権ということが言われるなかで、地域の住民の方々が決めていっていると。
これ〔地方議会の改革〕は、もう国レベルの話になりますので、地方でどうということじゃないですけれども、そういうふうに(地域住民が決めていけるように)変わっていくべきだと思いますし、いろんな意味で議会の運営の仕方なども変わっていかなきゃいけないと思いますけれども、16年間でずいぶん変化したところがありますけれども、やはり変化をしないままにきているものも数多くあるんではないかなと。
そこはなかなか知事という立場で一方的に変えたりできるものではないと思いますので、やり残し感ということではないですけれども、日本全国の地方自治という課題の中での大きな一つのテーマではないかなと思います。
高知の政治風土うんぬんということで言えば、ちょっとどの点を言われているのか分からないので、議会を除いての政治風土ということで言えば、多分私がいたからということではなくても16年という年月とその間の時代環境の変化ということがありますから、自然と変わってきている面はあるんじゃないかと思いますけれど、具体的に何がどうとは、うまく表現できません。
16年を振り返って6(権力者と働きかけ)
(浜田:高知新聞記者)
少し漠然とした質問になりますけれども。
知事は、知事になる前はニュースキャスターの経験とかもあって、茶の間にも顔が売れていたということで、初当選の時は、それがかなり大きな武器になって、その後も権力者然としていない橋本大二郎というイメージが、この間の選挙でも大きな武器になって、政党組織を向こうに回しても勝ててこれた要因かなとは思うんですけれども。
私たちは、間近で見ていますと、規模は縮小していますけどやっぱり未だに大きな予算権を持っていて、4,000人近い職員の人事権も持っているんですけれども。橋本知事は、知事が持つ権力の大きさというのをどのようにこの16年間で実感されたかということをちょっと教えていただければ。
(知事)
制度的には当然権力者ですから、そういうことをいつも戒めていなければいけないことは言うまでもありません。予算権でも人事権でも乱用になってはいけないということは当然のことですが、現実の仕事の中で、自分が何か圧倒的な権力を持って仕事をしているという実感はありませんでしたし、今も持っていません。
(浜田:高知新聞記者)
権力者だからこそ、さまざまな苦労をした働きかけというのがあったわけで、次になる尾﨑さんもそういうところに多分苦労されるかなという気もするんですが。感じなかったかもしれませんが、権力を持ってきた知事として尾﨑さんに働きかけの公表とかについてどのような申し送りを?
(知事)
私は、そのためにも政党の推薦を受けないということは非常に大事なことだと。
総理大臣のように、議院内閣制のなかで間接的に選ばれる場合は別ですけれども、地方の知事のように、直接選ばれる人が、先ほど政治風土の話もありましたけれども、高知県という狭い一つの風土の中で政党や組織・団体の圧倒的な推薦を受けるということは、今回の投票率からも明らかなように、そこから抜け落ちる大きなマスの固まりのかたがいらっしゃるわけですね。
そういう方々が、やはりある意味蚊帳の外に置かれて、そうした関係を持った方々が自分たちの推した知事だということで、次々やって来られるということは容易に想像できると思います。
より具体的に言えば、この周辺を県議会議員のかたが来られるということは、これまでほとんどなかったわけですけれども、今後は毎日のように県議会議員のかたが訪れるという場面もある意味想定できるのではないかというふうに思います。
自分がどうしてきたかと言えば、もともとそういう働きかけがなるべく起きないように日ごろから、選挙のときから注意というか、自分の政治家のスタンスとして、そういうスタンスを貫いてきました。 ですから、そういう意味での働きかけというのは、ほかの県の知事さんに比べて直接的には極めて少なかったと思います。
尾﨑さんにどういうアドバイスをということですけれども、モード・アバンセと直接つながるわけじゃまったくありませんけれども、あの事件の後いろんな県庁の中での意見交換・協議というものがあって、そしてそこで示してきたいろんな県政改革の指針、姿勢というものがありますので、それをきちっと守っていくということが、職員の皆さんが非常に仕事をしやすい環境をつくっていくことになると思います。
情報公開もその一つで、要はもうすべてを公開をしていて、すべてを県民の皆さんの目に明らかにしていく、透明にしていく、そのことが後でいろんなことで付け入れられる隙を残さない、県庁の職員にとっても仕事のしやすい環境をつくるということになるというふうに思います。
働きかけに関しても、今度、引き継ぎの時にも申し上げるつもりですけれども、私はいろんな条件を付けずに、いろんな話を持ってこられたものをすべて働きかけとして公表していけばいいと思うんですね。それは行き過ぎだどうだというお声が、また出るでしょうけれども、やがて修正をされていくものだと思います。
これまで数年やってきたことのように、ある程度の条件を絞っていけば、その条件のなかでさらに縮小するというのはもう結果が示しておりますので、やっぱりそういう条件を付けずにすべてを働きかけ、働きかけというのは何も悪い意味じゃないんですから、こういうことを今お話があったように、権力を持っている知事なり、部局なりそういうところにそういうお話が来たということをきちっと公開をしていくことが、県の職員にとっても非常に仕事をしやすい環境をつくっていくことになると私は思いますので、私の時代に十分できなかったことですけれども、ぜひ次の時代にそういうことをしていっていただければ、これまでのいきさつがどうであれ、非常に仕事のしやすい環境、特に職員の皆さんが仕事のしやすい環境ができるのではないかなと私は思います。
(竹内:高知新聞記者)
働きかけの公表でいえば、退任までの間に知事自身の所に来られた働きかけを公表するつもりだと、確か先月の定例会見でおっしゃったと記憶しています。もう時期が差し迫っておりますが、その準備を着々とされておられるんでしょうか。
(知事)
準備というか、制度に従って働きかけの報告をきちっとしていくということは準備をしております。
(竹内:高知新聞記者)
例外を設けずにすべて公表していけばいいという、そういうスタンスで公表するつもりだと?
(知事)
例外を設けずにというのは、今の基準とは違いますのでね。私は、少なくとも今の基準でやっていかざるを得ません。だけど、これからは例外というか、そういう基準ということに縛られずに、どんどんいろんな働きかけがきたものは公表していくべきだと私は思います。それは次の尾﨑さんの判断になりますけれども。
(田村:NHK記者)
先ほど知事が、今はここに県議会議員が常にいるようなことはないけれど、これからは(そんな場面も想定できるというお話しがありましたが・・)。
(知事)
それは分かりません。
(田村:NHK記者)
なるかもしれないというお話だとしても、これまで議会と場合によってはいろいろ対立する場面もあったと思うんですけど、尾﨑県政のこれからの県議会とのつき合い方というか、どういうふうなスタンス、関係で県政をすべきというふうに考えられますか。
(知事)
それは、私が申し上げることではないので。
それはもう尾﨑さんが判断をされて、なさることだと思います。
(竹内:高知新聞記者)
政党の推薦を受けないかたちで知事は当選を重ねてこられたわけなんですけれども、その知事でさえ、働きかけの公表は、自身の中でも十分ではないという反省も込められての言葉も先ほどあったんですけれども。
政党支援を受けていない知事でさえできていないことを、4党の推薦を相乗りで受けた新しい知事に、いきなりすべて例外なく公表していけばいいというのは、なかなか高いハードルだと感じるんですけれども。退任される前に、こういうふうにやるんだよというお手本を示すぐらいの公表をされていったらどうですか。
(知事)
この間の記者会見でもお話しをしましたように、そういう推薦を受けずに、なるべくそうした意味での関係を持たずにきましたので、その意味ではこの15年で言えば、ほとんどそうした働きかけを直接受けたことはありません。
ただ議会との関係をもう少しよくしたらいいんじゃないかということをずっと言われ続けてきて、いろんな課題もありましたので、そういうなかで議会との関係修復ということをこちらから働きかけていくと、具体的にその働きかけにあたるようないろんな接触、それに近いものが私のところにも届くようになったということを申し上げておりますので、政党推薦を受けない知事でさえいろいろあったということではないです。
ここ1年ほどの間、そういうことをしたら、そういうものが出てきたということなんです。それで先ほども知事というのは権力者だろうと。権力者としてどういう心構えでいくのがいいかというお話があったので、権力者ということは、自分自身がそういう権力というもののなかに取り込まれてしまわないように注意をするということはもちろんなんですけれども、その権力、権限のもとで何千という県の職員のかたが仕事をされているわけですから、その権力者がいろんなことに流されて発言をしていくということは、県の職員のかたにとっても非常に仕事をしにくい環境をつくっていくことになります。
また、議会のかたを悪く言っているつもりは全くありませんが、一番身近におられますし、また予算なり、いろんな議案を認めるか認めないかという、それこそ権力を持っておられる集団ですので、そういう方々が、県の職員にいろんな話をしてこられたとき、これはもう今以上にそういうことが起きることは、私は想定できると思うんですね。
その時に、例えばそういうものには乗っていかないという職員、逆にそういうことをうまく活用して自分の地位を保とうという職員、いろんな人がかつては明らかにおりましたので、そういうことがまた起きはしないかと、そういうことが組織体として、本当に一体として仕事をしていくことにつながるかどうかというようなことを考えました時に、私はどんなに高いハードルであれ、それを全部公表していく、それを職員にも義務づけていくということが、職員の方々の中にそういうことに長けた人と長けない人の差をつくらない、また職員自身もいろんなことに巻き込まれない仕事のしやすい環境をつくることにつながる道だと。
ここ数カ月ずっと働きかけの話も何度もいたしましたけれども、情報公開ということに続いて、県政の透明化、職員の仕事のしやすい環境、県民の皆さんに広く対応できる仕事をしていくためには、働きかけの公表というのはこれからの高知県政だけではなくて地方自治、地方の行政にとって非常に重要な道具ではないかなということを私はとても思っています。
(竹内:高知新聞記者)
この1年間で起きたいろんな働きかけとか、そういうものが退任までの間に公表されるのでしょうか。
(知事)
いえ、退任までということじゃないです。1年1年の何カ月単位という形でやっておりますので、それはそういうルールにのっとって。しかも、今の働きかけという基準にのっとって、それは出していくということになります。
退任後の予定1
(岡村:高知新聞記者)
退任後、知事は県内を回られるようなんですけれども、いつごろからスタートされる予定ですか。
(知事)
6日に退任をして、7日から11日までは海外に旅行にまいります。
11日の朝、成田に戻って、11日は東京で前から呼ばれていることがありますので、12日に(高知に)戻って、17日に工科大の理事会もありますので、土日は挟みますけれども、当面は12日から18日ぐらいのころに回れるというか、何かやりたいとお声を掛けていただいているかたも何人かおられますので、そういうところも連絡が取れれば行きたいと思っております。
あとは具体的には年明けになろうかとは思うんですけれども。
国政へのかかわり1
(田中:高知放送記者)
次の衆議院選、次の国政選挙に向けての話なんですけれども。
どの議員も、今衆院選に目を向けているようなんですけれども、この間の応援演説の中でもある国会議員が「政治家とかけてカラオケと解く。その心はどちらもセンキョクが大事だ」というふうに、選挙区の重要性というのを非常に訴えられていたんですけれども、今日この時点で橋本知事はこの選挙区についての重要性というのをどのようにお考えで、どこから出ることが自分にとって理想だなというふうに思っているんですか。
(知事)
選挙区の重要性というのは当然、例えば衆議院議員ということを考えた場合に、小選挙区ですから、その小選挙区のどこかを自分の選挙区として考えていくということに当然なると思いますので。そこがまた政治活動の基盤ですから、重要であることは言うまでもありません。
自分が、もし選択肢ということを言っております、国政ということ、衆議院(議員)ということを考えたときに、どこの選挙区ということはまだ具体的に考えているわけではありません。
退任後の予定2
(竹内:高知新聞記者)
退任後のお住まいというか、東京にもご自宅がありますし、高知にもマンションを借りられると。どちらが多くなるんでしょうね。どちらを活動の主に?
(知事)
活動の主は高知です。住民票も高知にありますので。ただ、7日以降は工科大の理事だとかいうお仕事はありますけれども、日々の糧ということで言えば年金生活者になりますので。
年金だけではなかなか食べていける年金ではございませんから、何かやっぱり仕事をある程度していかないといけない。その仕事の場と、月にどれぐらいという頻度ということに、どこに何日間ぐらいいて、ということはかかわってくるだろうと思います。
(竹内:高知新聞記者)
東京での仕事の引き合いはない?オファーと言いましょうか。
(知事)
全くありません。
国政へのかかわり2
(畑本:読売新聞記者)
仕事とは違うかもしれませんが、政界からの引き合いは?
(知事)
政界からの引き合いというのは、政党からの引き合いということですか? それはあります。
(畑本:読売新聞記者)
具体的にお聞きするわけにはいかないですか。
(知事)
具体的には、民主党のかたですね。
(竹内:高知新聞記者)
民主党からスカウトされたということですか。
(知事)
いや、そういう意味じゃなくて、引き合いということで言えば。
(畑本:読売新聞記者)
「どこそこの選挙区で出てくれませんか」とかそういうことですか。
(知事)
どこそこの選挙区までは(ありません)。
(竹内:高知新聞記者)
「民主党で国会議員になりませんか」というお話があったと。
(知事)
「国会議員に出るんだろうから、その時は最初から民主党で出てくださいね」という言い方ですね。
もちろん「うん」と答えたわけでは全くありませんので。
(竹内:高知新聞記者)
断ったわけでもなく?
(知事)
断るというのも(していません)。ほとんどそういう可能性はないですけれども。
(畑本:読売新聞記者)
政党からというよりも、個人的なおつき合いがある人からということ?
(知事)
ええ、そうです。
(畑本:読売新聞記者)
こちらでイメージしているのは鳩山さんですが。
(知事)
そうです。だけじゃないですけれども。
16年を振り返って7(国への主張)
(浜田:高知新聞記者)
ちょっと尾﨑さんの話に戻りますが。尾﨑さんは、この選挙期間中に声を大きくして言っていたのが「ツボ、カンどころを押さえて、地方の実情を国に分からせる」という言い方で。「分かってもらおう」じゃなくて、かなり強い言い方で「分からせる」というふうな表現をされていたんですけれども、これはこの前の14日の全国知事会でも知事が「もっと総理や大臣は地方の現場を見ろよ」と。「霞ヶ関や永田町で、机上で考えてももっとすごい現場があるんだ」と。
こんなことは言っていませんけれど、やらせのタウンミーティングだけでお茶を濁すんじゃなくて、ということも思うんですけれども、知事がこの16年間ずっと地方のことを発信してきても、やっぱりずっと届かなかったというもどかしさがあると思うんですけれども、それを尾﨑さんはやっていこうということなんですけれども、もう少しこうすれば国のかたにも分かってもらえたのかなというところ、反省とか、尾﨑さんはこうすればいいんじゃないかというところとかあれば教えていただきたいんですが。
(知事)
それはわたしの力量では、こうすればよかったというところはもうないです。それはもう、尾﨑さんの力量とこれまでの経験に基づくノウハウに期待をするしかないです。
自分は退任を決意したときにも申し上げたように、やっぱり国と地方との関係の中での国の壁というものは、今の自分の力量で知事として、知事会として、絶対的にそれを打ち破っていけるだけの力はないというふうに、自分は判断をしました。
(服部:毎日新聞記者)
あとはございませんでしょうか。
ありがとうございました。
(知事)
ありがとうございました。
(終了)