知事の定例記者会見

公開日 2007年12月08日

更新日 2014年03月16日

知事の定例記者会見

平成19年5月28日14時00分から(県庁二階 第二応接室)

(項目)
 ・市町村合併構想(1)
 ・ふるさと納税
 ・建設業界を取り巻く状況と対策
 ・市町村合併構想(2)
 ・参議院議員選挙(1)
 ・教育税
 ・参議院議員選挙(2)
 ・高知市の中心市街地活性化構想
 



(服部:毎日新聞記者)

 幹事社から3問質問させていただきます。
市町村合併構想(1)
 まず市町村合併構想についてなんですが、今月、県の構想を知事自らが地域に回って説明をされたんですけれど、県民からの反応をどう知事は受け止められましたか。あるいは県民との意見交換によって構想の内容や進め方、見直す必要があると感じた点はございましたでしょうか。

(知事)
 6ブロック、6つの会場で説明会を開きまして、市町村の職員とか県の事務所の職員も数多く出席をしてくれていましたので、狭い意味での住民説明会であったかどうかというのはいろんなご議論もあろうと思いますけれども、私は6つの会場ともに自分の予想以上に多くの方に来ていただいて、また熱心に話に耳を傾けていただけたと思っております。

 そうしたなかで住民のご意見としては、やはり合併に伴う心の問題、それから理念的な問題もございましたが、それと同時に進め方の手続き、その中での県のリーダーシップのあり方ということに、特に前の合併でのいろんな説明会以上にそういう面にご意見があったように思います。

 で、理念ということでは私もそういう場で申し上げたんですけれども、やはりいろんな意味で追い込まれて消極策としてこういうものが構想として出てきたんじゃないかというご意見がありましたので、決してそうではないと。

 行政の仕事の中には住民の暮らし、生活を守っていくという守りの部分と産業政策などで何かを売り出していくという攻めの部分が両方あるわけですけれども、やはり守りの部分というのをキチッとやらないといけないと。

 医療福祉だとか教育だとか防災等々ということになりますけれども、そのために市を6つに再編をして、そこに県の権限も移して基礎自治体を強くして、併せてそういう市と県が一体となって広域連合などを組んで今申し上げたようなサービスを実施していく。

 つまり守りの部分を積極的に10年20年もつ仕組みに変えていこうという構想であって、決して消極的なものではないということを申し上げました。

 それから、そういうご議論の中で政治で解決しなきゃいけないことと、それから行政でできることというのはもう少し分けて考えてほしいということも申し上げました。というのは、国または政府の対応によってこういうことが出てきているんじゃないかと。そのことを抜きにして単にこういう構想だけ出てくるのはうんぬんというご意見がありますので。

 国の対応が、例えば地方交付税の大幅削減というようなことが積み重なって今日の地方の現状があるということは間違いありませんけれども、それは行政の力で変えられることではなくて投票行動など政治の場で国民が選択をしていかねばということになりますので、国民が選択をされた枠組みの中で行政として、先ほど申し上げた守り・攻め双方の政策をどういうふうに決めていくか、そのための基盤を行政の枠組みとしてどうつくっていくかということは分けて考えてほしいということを理念のお話としては申し上げました。

 もうひとつの手続きだとかそこに関わる県のリーダーシップ、考え方ということで一番多く問題点としてご指摘を受けたのは、今後二段階合併のようなかたちをとっているという点でございます。

 というのは、すでに合併を体験されている自治体では、この合併特例法に基づく特例措置が2015年までありますので、それまでの間にまた合併を議論して次の合併に進むということは難しいでしょう、という趣旨から2015年に6つの市になるかたちをとる。

 ただ、その中で合併の経験をされていない中芸地区とか嶺北地区とか宿毛・大月・三原とかそういう地区では現在の合併特例法の期限が切れる2010年3月までにまず次の合併をしてと、こういう流れの構想になっております。

 これに対しては首長さんからも地域の住民の方からも、やっぱり合併ということにはものすごくエネルギーがいるので、いったん一段階の次の合併をして、またそこから5年ほどで議論をして、次の合併に向かうということは、首長の立場からすれば住民にも説明ができないし、住民の側からしても現実的とは思えないというご議論が非常に強くありました。

 正直申し上げまして、私自身も個人的な見解としてはそういう思いを持ちますので、今後進め方を具体的に協議していくなかで、構想にこうあるからということではなくて、柔軟的な考え方というのが必要ではないかと思いました。

 もうひとつ、具体的な面では自治区というものをどう位置づけるのか、どんな制度設計にするのか、というのが一番大きな課題になっていたと思います。

 住民の皆さん方の中には、自治区と言うからにはもうちょっと具体的なイメージの説明をしてくれれば議論にもなるけれども、単に6つの市への再編と権限委譲と広域連合ということで安全・安心の基盤をつくると。それに対して住民の声を届けるために(自治区を設ける)、という抽象論で言われてもなかなかそれ以上の噛み込んだ議論にならないというご指摘があって。

 これはそのとおりだと思いますし、今後の市町村合併の意見交換、協議をしていく中では最も重要なテーマのひとつであろうと思います。

 ただ、住民の皆さん方の中にもあまり自治区ということを、権限を与えてやっていったらまた旧市町村と同じことで、要は、今のままでいいじゃないかというお気持ちから変われないんじゃないかというご議論もありましたし、様々な立場で自治区というもののとらえ方というのもあると思います。

 現実に新潟の上越でしたか、委員を公選でやっておられるところもあります。いろんな、これまであるような事例というものも調査をし、また県内では四万十町が自治区を置こうということで取り組みを始められますので、そういう四万十町の取り組みなどに県として調査また具体的な制度づくりというところも噛み込ませていただいて進めていくなどなど、この自治区をどうしていくかということが、県が合併の当事者としてリーダーシップをとってというときに非常に重要なテーマではないかというふうに思いました。

ふるさと納税
(服部:毎日新聞記者)
 ふたつめです。個人住民税の一部を生まれ故郷の自治体に納めることができるようにする「ふるさと納税」の制度導入の検討が始まりました。自民党は都市部と地方の格差是正の切り札として参議院選を前にアピールしていくと見られますが、地方の立場で知事のご意見を聞かせてください。

(知事)
 ふるさと納税には、私は基本的に反対です。
 その理由はいくつもありますけれども、そもそも税のあり方からいっても住民税というのはその地域に住んで受ける便益に対して応益の負担として支払っていくという趣旨のものですので、それを大都市部から地方に移していくというのは、その税の応益負担という原則からもずれるものではないかということを思います。

 また、そうして大都市部から地方に、地方から大都市部にもあるかと思いますけれども、住民税を移していくということは、手続き的にも非常に煩雑な手続きになりますし、手続きが煩雑になるということは徴収のための事務コストもかさむということになりますので。

 いろんな前提がありますから高知県で試算をしてと、こう簡単にはいかないわけですけれども、非常に基本的な年間の基準の収入と世帯構成そして大体これぐらいの方を、というふうに極めてアバウトすぎる前提でやっても、そんな大きな額になるものではありません。

 事務コストからいっても、とても見合うようなものではないんじゃないかということを思います。併せて、もっと重要なことは国と地方との関係ですけれども、こうやって地方の税金というものを大都市部の、交付税で言えば不交付団体から交付団体に移していくということによって、交付税額にも影響が出てくるということさえ考えられます。

 それ以前に一番大事なことは、本来地方が六団体として求めていた、また知事会としても求めていたのは、国税の地方への税源移譲ということで、具体的には地方消費税の拡充ということを第一のテーマとして打ち出しています。

 そして地方消費税の拡充など、国税の地方税への税源移譲と、それでもある税の偏在、その財政調整のための地方交付税制度の堅持ということを基本に掲げているので、そのことを何かすり換えるようなかたちで出てきたふるさと納税というふうなものに乗ってしまえば、国から地方への税源移譲、特に地方消費税の拡充といったような、本来議論されなければいけないことをまた2年、3年後回しにしていくという国のやり方に乗ってしまうということになりかねないと思います。

 もっと端的に言えば、やはり参議院選挙という国政選挙というものを目前にして、何かそのための、打ち上げ花火ぐらい大きければいいですけれども線香花火的に出てきている対策ではないかな、ということを思って、地方として安易に乗ってはいけない考え方ではないかと私は思います。

建設業界を取り巻く状況と対策
(服部:毎日新聞記者)
 最後3番目なんですが。県内有数の建設会社で、県建設業協会の会長が経営する香長建設が破産申請を始めたということなんですけれども。

 これによって連鎖倒産などを懸念する声も聞かれますが、まず、建設業界を取り巻く県内の状況の捉え方を、それから、これまでも建設業界の新分野進出の支援などの対策を進めているところですけれども、今後あらためて何かお考えがございますか。

(知事)
 建設業という本県の産業を支える大きな企業群、しかも雇用の面でも非常に重要な部分を背負っていただいている企業群がこうしたかたちになってきたということを非常に重く重大なことだと受け止めております。

 現状認識ということで言いますと、本県の社会資本整備にかける普通建設事業費のピークは、平成7年の2,300億円あまりですが、いまは700億円台、30%ほどに下がってきています。

 にもかかわらず建設業の企業数というのは1,500弱ですけれども、平成7年度のピークのころとほとんど変わらないという状況にございますので、このままではその中にまた長期の負債を抱えている企業もある現状を踏まえれば、こうした状況がいつか出てくるのではないかということを思って、なるべく早く構造転換をということを呼びかけもしてまいりましたけれども、結果的にそれが実を結ばないうちにこうしたかたちになってきたことを非常に深刻に受け止めております。

 ただ、それだけに早急に対策を急がなくてはいけないということを思います。ひとつはやはり離職者に対する雇用対策ということですし、ふたつめは建設業というのは先ほども申し上げましたとおり本県にとって重要な産業でございますので、その協業化、合併ということを促進することによって体力を強めて、技術力を持った生き残れる企業に長く残っていっていただけるような基盤をつくっていくという、ふた通りのことでございます。

 雇用ということに関しましては、私も直接雇用に関わるということではございませんけれども、今回のことに関わりのある地元の銀行の幹部にも連鎖などがなるべく起きないように、雇用などに悪影響が起きないように配慮をお願いをしたいということを申し入れますとともに、国土交通省の地方整備局には早期発注とか事業枠の拡大ということを申し入れをしましたし、また厚生労働省の高知労働局にはこの建設業の離職者対策の支援会議の立ち上げということを要請をいたしました。支援会議は6月1日に立ち上がることになっておりますし、地方整備局のほうは土木部とももう少し具体的に話をしていくということになります。

 併せて、県としましても職業訓練の枠の優先枠をつくっていくとか、また地方整備局にお願いしたのと同じように県の事業としての早期発注というようなことを考慮していきたいというふうに思っております。が、現在のこの0.5前後という有効求人倍率の中で、いかにそういう研修をしてもそれでパイの取り合い以上のものができることはないので、要は受け皿をもう少し拡大をする努力をしていかなければいけないということになります。

 そのとき、まず第一に考えられますことは森林林業の分野で現在新生産システムならびにCO2吸収源対策ということで多くの予算的な配慮もなされております。

 一方で山の労働力、担い手が少ないということで事業が受けきれないという現状もございますので、それを具体的な雇用の場として拡大できないかと。

 ただ、民間の森林組合などが主に請け負っておられます民有林の場合だと自己負担の問題等がございましてなかなか時間がかかる、伸びないということもございますので、まずは県有林、市町村有林でそういうことがすぐに手がけられる所を、冬場は間伐だし、そうでない時期は作業道の整備ということになりますけれども、そういうことを進めて、そこに中山間の建設企業も森林へ入っていただくようなかたちの受け皿というのをつくるということを早急に手がけていきたいということを思っております。

 このほか、受け皿ということでは、南海地震に備えての耐震住宅の設計・整備とかいくつか考えられますが、そこはこれから具体的にまた議論をしながら早急に取り組んでいきたいというふうに思います。

 もうひとつの抜本策としての協業化、合併化でございますけれども、これももうすぐ進めていく必要がございますが、今日の午後、建設業協会の正副の会長会が開かれるということでございますので、土木部長が伺って合併・協業化を早急に進めていただきたいと。

 そのために県としてできることはまたご提案をしていただきたいということを申し上げます。それとともに6月議会までには協会としてのお考え方ということを示していただいて、それに向けて何をしていくかというタイムスケジュールというか、そういう日程もつくって取り組んでいきたいというふうに思います。

(服部:毎日新聞記者)
 幹事社からは以上です。では各記者、ご自由にお願いします。

(浜田:高知新聞記者)
 建設業界の構造転換が進まない最大の理由というのはどういうことと土木部から伺っているのでしょうか。

(知事)
 それは土木部に聞くまでもなく、私も直接業界の関係者ともお話をしていますが、今の時点ではなくてずっと前からですけれども、どうしても「どうにかなるんではないか」という思いが強いんではないかと私にはひとつ感じられます。

 それから具体的な合併なんかに関しては、例えば3社が合併をすると、手を挙げられる枠が3つあったものがひとつになるからと。そういうことに対する発注側としてのなんらかの配慮がほしいということはよく言われてはおりましたけれども、そういうことを除けばまだまだなんとかできるのではないか、頑張りたいという思いがあったのではないかな、ということを思います。

(浜田:高知新聞記者)
 3年ぐらい前でしょうか、入札の検討委員会とかつくって技術力の優れた企業を育成していくということでやっているんですが、最近は総合評価を取り入れたりしていますけれども、やっぱりそういう意識がある中で、業界との意思疎通、県がやっていることと業界が考えていることがちょっとズレたまま今まできているんじゃないかな、という気もするんですけど、そのあたりはどうでしょう。

(知事)
 業界というのが建設業協会としての意思を言われているのか・・・。

(浜田:高知新聞記者)
 協会は基本的に窓口なので、あとの個別の業者は、それはなかなか意思の集約が難しいので、やっぱり窓口としては加盟社が減っていますけれど建設業協会になるのかな、という気もするんですけど。

(知事)
 建設業協会として、総合評価の評価に何を入れていくかということにはいろんな意見の違いはあろうかと思いますけれども、総合評価ということをキチッとやってほしいという思いは、私は建設業協会としては統一をされた意思だというふうに受け止めていますけれども。そこに県との間に大きなズレがあるというふうにはあまり私は感じていませんけれども。

(浜田:高知新聞記者)
 その協会の加盟社が今減っていますよね。やっぱり協会が業界を代表してないんじゃないかということになるんでしょうか。要するに1,500社ぐらいある中で、協会加盟という業者がもう本当に少ないし、もう少し違うところの意思を汲む方法もあるのかな、という気がするんですよ。協会だけじゃなくて、広く業界がどういうことを考えているかというのを聞くというのはどうなんでしょう。

(知事)
 具体的に例えばどういう考えがあって、どういうズレがあるのかよく分からないので。

(浜田:高知新聞記者)
 協会だけが窓口でいいのかな、という気がして。減ってないとか再編が進まないのはもうC級D級とか、なんとかやれるというところが残っているんじゃないかな、という気がするんですけども。もっと広く、建設業界の意思を汲むような方法を考えたりとかいうことはないのかなと。

(知事)
 それで何かが開ける道になるというのが。いや、どういうところが汲めていないというご趣旨かよく分からないので。

(浜田:高知新聞記者)
 異業種というか、特に農業分野とかの参入とかも進めようとしているんですが、再編が進まないことにもう少し何か積極的に県としても関わっていったらどうかな、という思いがしたもので。

(知事)
 要は建設業協会に入っていない企業に対してアンケートをとるなり、出かけて行ってご意見を聞いてということ?

(浜田:高知新聞記者)
 そうですね。広く意見を聞くということですね。

(知事)
 あんまりその必要性を感じたり、そういう意見を聞いてほしいという企業からの声を、例えば「今の建設業協会のやり方は少しズレているからこういうふうにすべきだ」とか「こういうような意見を聞いてほしい」ということをあまり直接聞いたことがないんですけどね。

(岡村:高知新聞記者)
 要するに、問題はなぜ業者数が減らないかというところなんですよね。なぜ減らないかという理由は土木部としては原因を押さえているんでしょうか。もしその原因が分かれば、対策を打っていけばいいわけですよね、病気と一緒で。そこをどういうふうに捉えられているかな、ということをちょっと思いました。

(知事)
 ただ、業者数というものを、例えば何か治療法が分かってそれで減らしていく、発注する側の官が相手の意識にかかわらず無理やり減らしていくということは経済行為としてふさわしいかということが・・・。

(岡村:高知新聞記者)
 私が言っていることはそういうことではなくて、なぜ減らないかという理由が多分あるはずですよね。その理由がまず把握できているのかな、という気がするんです。

(知事)
 それはいろんな理由があると思いますね。例えばABCDとランクがあって、それでBであればCの仕事は取れないと。だけどCの仕事も取っていきたいということで別会社のかたちで、1,400いくつあるうちのどれだけが関連性がある企業か、ということの数字を持って言っているわけではないのですけれども、そのときそのときの入札制度で「Bが得だ」「Cが得だ」といろんなことが言われたり、あったりしますので、そういうことで分裂している、というようなこともひとつはあるのではないんですかね。

(岡村:高知新聞記者)
 これは私の個人的な取材からちょっと思うんですけども。現状はそうだと断定は全然しませんけども、取材に行くと、談合っていうものが、去年も高知県警が事件にしましたけれど、ああいうのを見ていると、今もまだ価額設定、予定価額とか最低制限価額とかの価額設定がまだ談合というものを許しているというか、談合ができる価額設定、制度になっていて。要するに、談合っていうのは落札した業者だけじゃなくて、参加した業者も落札賃としてあげないといけないわけですね、仕組みとして。

 ようするに、落札する。それで、参加した業者と話し合いしているわけだから一定割合を渡していくという。どうもそういう構図があるという話も取材で聞いたことあるんですけども。

 そうすると、そういう談合がまだあり続ける限り業者は減らないという。工事をとらなくても談合という仕組みの中で飯を食っていけるというか、一定落札賃をあげるという仕組みがあるというふうなことも感じたりするんですよ。

 そうすると、現実論がどうか分かりませんけれど、今まで談合をしてきた業者に、どうすればいいかということを聞いてみて策を練るというのも一つの手じゃないかという気がするんですよ。

 捜査もいろいろするわけだから、そういう捜査機関からの情報も取って、入札制度を変えていくということも選択肢じゃないかと現実的に思うんですけれども。

(知事)
 クローズドの世界であればそういうことで物事はどんどん解決をしていくと思いますね。私はもちろん談合がいいとかいう意味で申し上げるわけではありませんけれども、要は今はもうクローズドの社会じゃないわけで。

 それこそ全部をオープンで、外から自由に入れて価額設定も何もなしで、ということになれば、全部最終的には県外に取られていく状況だろうと思いますし、今の県内のA(ランクの業者)というのはこのままであれば次の段階では溶けていってしまうということも考えられます。

 そういうことを県民として是として、それでも制度がとにかくオープンで開かれて透明であれば、そのほうがハッピーですということでどんどん県外業者にも来ていただいて、というかたちをとるかどうかという判断ですね。

 それで、もう県内ではその分、今ある1万8千人の雇用がなくなりますと。それから県内に落とされる法人税もなくなりますと。汚くていいという意味ではないですが、それでもきれいさに疑いがなければそのほうがずっといいじゃないですか、ということなのかどうかということなんですよね、突き詰めていくと。

 それぞれに、CはC、BはB、AはAというのに一応の市場規模はあっても、そこにCであれば他の地区からどれだけの人が入ってきて、Aであればもう今度は県外からどれだけの人が入ってきて、ということですよね。だから守ればいいっていうことを言っているのではないんですけれども。

 県内の建設業者が全部潰れて、全部県外業者でも、とにかく道ができれば、河川の整備が進めば、社会資本の整備ができればもうそれだけでいいじゃないですか、フローの地域経済ということはもう考える必要は全くないじゃないですか、ということであれば、いろんな制度を考える必要は全くなくなるわけで。

 業者数を減らすと言えば、まさにそうすれば県内の業者数をゼロにもできると思います。それでやっぱり地震の対策ができるのかとか、山にユンボもなくて、どうやって救援体制をとれるのかということを考えたときに、地域地域のCだDだということをどういう合法的な枠の中で守っていくのかということも、それは行政としては配慮をせざるを得ないじゃないかと。

 それは談合を認めるということでも、談合の温床を守るという意味でももちろんありません。だけど、ある程度やっぱり地域でのクローズドな枠、地域枠というものを考えていくということは必要になってくるんではないかな、と思うんですけどね。

市町村合併構想(2)
(岡林:高知新聞記者)
 合併構想の関係ですけれども。今後の進め方という点で言うと、二段階合併になる地域の難しさというものをお感じになったということで、柔軟な考え方で臨まれるということは、これはなかなか二段階合併というものを今後進めていくのは難しいと。

 今は2009年までの嶺北地域であったりとかいう所については検討すべきとしている構想なんかも見直していかないといけないのかな、というふうにお思いになっているということなんでしょうか。

(知事)
 今日の段階で見直すべきだとか、そういう方向で検討したいとまでは言えません。正直なところ自分は個人的には、それで果たしてスムースにいけるかなという思いを持っていますので、杓子定規にそれでいくということであればそれを見直したほうがいいだろうと。

 より柔軟にそういう手法もあるでしょう、一段合併をしてから二段目にいくという手法もあるでしょうと。そこは柔軟に構えたらどうですか、というのが自分の思いですが、担当の部長・副部長・室長ともまだ説明会が終わったあと詰めて話をしていませんので、この段階でいきなり記者会見で「見直す」ということは言えません。

参議院議員選挙(1)
(浜田:高知新聞記者)
 参院選なんですけれども。現時点で自民の現職と民主・共産の新人ふたりが出て、計3人の戦いの構図なんですけれども。6年前はいろんな経過もあって、当時の自民党の現職に弓を引くようなかたちで無所属の候補を支援されたんですけれども、今回は参院選で知事として何か動かれる考えとかはどうなんでしょうか。

(知事)
 ございません。

(浜田:高知新聞記者)
 全くなしという?

(知事)
 全くございません。

(浜田:高知新聞記者)
 要請があればという前提ではどうなんでしょう?

(知事)
 どなたであれ、そういうことはございません。

(竹内:高知新聞記者)
 その理由とか動機とか、こうだからそうするんだという理由はあるんでしょうか。

(知事)
 いや、特段の理由というのはないんですけれども。それはいろんな波風を立てる必要はないだろうというふうに自分なりに思うからです。

(竹内:高知新聞記者)
 3人ともそれぞれの政党の公認候補ですが、「波風を立てる」というのは、3党に対する配慮ということですか。

(知事)
 いや、私は政党という意味よりも、やっぱり県民の皆さんの思いとか、私を支援してくださっている方の思いにも様々ございますので、そういうことも含めて、あえて波風を立てる必要はないだろうということを申し上げているので。例えば民主党の方の応援をして、自民党と共産党に波風を立てるとかいう狭い意味ではありません。

(竹内:高知新聞記者)
 ご自身を支持してくれる支持者の中にもいろいろいると。

(知事)
 そりゃそうですね。それは自民党も民主党も共産党の支援者の方も公明党の支援者の方もそれぞれいらっしゃいますし、また私の知らないところでもそういう方がいらっしゃると思いますので。それぞれにそれはいろんな複雑な思いを持たれるだろうと。

(竹内:高知新聞記者)
 そこへの波風への配慮ということですか。

(知事)
 そっちのほうが大きいということです。

(浜田:高知新聞記者)
 今現状では急速に、いわゆる消えた年金問題というので社会保障の問題とかが争点としてかなり大きくなろうとしているんですが、知事の考えとしてどういうことを今回の参院選で議論を戦わせてほしいというか、地方分権というのがいつも優先順位からしたら低い順位で、有権者の関心自体も低いんですけれども、今回の参院選について知事はどういうふうなことで議論を深めてほしいとお考えでしょうか。

(知事)
 分権というような制度を変えるということではなくても。例えば今の制度の中であっても、やっぱりもっと地方の暮らしということをみんなに考えてもらいたいなと。

 みんなというのはそれこそ現在の政府もありますし、野党側の政党もありますし、1票1票をお入れになる国民、大都市部の国民から地方の国民に至るまでありますが、ということを思います。なかなかそうはならないでしょうけれども。

(浜田:高知新聞記者)
 ふるさと納税とか、目くらましに惑わされるんじゃなくて?

(知事)
 そうですね。今日もある新聞のアンケートの記事を見ましたら、知事さんでも20人ぐらい賛成をしておられるというような数字もありましたし、知事会の中での意見などを見ても「ああ、この人がふるさと納税に賛成するのかな?」と思うような人がいたりしますので、非常に悩ましい思いがしますね。

(浜田:高知新聞記者)
 来月西予市で開かれる四国知事会でそういうふるさと納税について、加戸知事とかと立場は違うかと思いますけれども、議論をしてまとめるような方向になるという下話はないでしょうか。

(知事)
 そういうことはまだちょっと全然聞いてないので。

(中澤総務部長)
 多分、他の3県の知事さんは賛成していますので、まとまらないと思います。

(岡村:高知新聞記者)
 すでに参院選の支援要請が来ているということじゃないですね?

(知事)
 参議院選は全くございません。

(岡村:高知新聞記者)
 有権者というか県民から見たら、6年前の広田さんと田村さんの戦いのことを思い出すと。今度民主党が広田さんを応援するという方向でやっているんですけれど、広田さんにつながる、知事自身の支持者から支援要請と言いますか「ちょっと動いてよ」とか「ちょっとだけ会場に来てよ」とかいうことの要請が来た場合も知事としては動かないと?

(知事)
 ひとつは、あんまり6年前と比べてそういうことが起き得るとあまり思えないし、あり得ません。

教育税
(竹内:高知新聞記者)
 話は変わりますが。教育税なんですけど、何か県庁の中で「こういうふうなもので県民の意見を聞くようにしよう」とか「こういう方向性でちょっと検討してみよう」とか、話が進んだところがございますか。

(知事)
 県庁の中でというか、教育委員会を超えて私を含めてそこまで議論をしてはおりません。

 教育委員会の教育長さんや次長さんが来られて別の話をしたときに教育税についてちょっと話題にのぼったことがありますので、教育委員会ではどういうかたちで、例えばいろんな地域で意見交換をするときに具体的なテーマとして投げかけていくかという議論はなされつつあるというふうに思いますけれども、それについてちょっとまだ自分は全然入って意見交換をしたことはありません。

(竹内:高知新聞記者)
 やっぱり中心の事務局というのは教育委員会になるんですかね? 知事部局の中ではないんですかね?

(知事)
 いや、まだ投げかけるまでいっておりませんので。最初の使い方の提案として、この間教育委員会の人と話をしたときは、いわゆる学校教育に使うというのと、もう少し幅広いものに使うという、そういうふた通りというか二段構えの話があって。

 そこらへんのところは、まずはやはり教育委員会で可能性だとか、これはあり得ないとかいうようなものを議論するのが筋だろうと思うんですね。

 いきなりどこか、企画調整課が任されてもすぐにはやっぱりいかないので。これは最も現場を持っている教育委員会で議論されておかしいことはないだろうと思うんですけど。

参議院議員選挙(2)
(岡村:高知新聞記者)
 参院選のことなんですけれど。以前にこの会見等で、目安として参院選後に去就を考えたいというようなことを知事がおっしゃったんですけれども、今回動かないということは、そこにもからむことですか? 

(知事)
 いや、それはあまりからんではおりません。からんでおりませんというか、双方の言葉をからめて申し上げたわけではありませんが、現実に参院選が終わって参院選の状況などを見て、自分の去就も最終的には考えていきたいということを申し上げたあとに、こう考えてみれば、なかなかそこでどこかの方を応援するということにはならない。自分の思いとしてですね。政治家としてそういうことが当然あってもべつにおかしくはないと思いますけども、自分の思いとしては。

(岡村:高知新聞記者)
 それは自分が表明した以上ということもあるわけですか。

(知事)
 そうですね。その言葉に縛られる、というとちょっと表現が適当でないですけれども。

高知市の中心市街地活性化構想
(岡林:高知新聞記者)
 追手前小学校の統廃合とからめて、高知大の移転構想というのが浮上してきているんですけれども。そのお話というのは何か高知市側から聞いたりとかっていうようなことはございますでしょうか。

(知事)
 高知市側から聞いたりということはございます。ございますけれども、今の段階で、例えばどういう方向になりつつあるとか、なるであろうというようなことを確定的に聞いたわけでもありませんし、それから市長さんから直近にその話を聞いたということもありません。

 ご承知のとおり、この話は相当長い経過があって。最初に私に話を持ってこられたのは民間の方で、それから市ともお話をしたり、それから(土佐経済)同友会なんかの議論の中でそういう話題が出たり、ということで。

 熟知ということではないですけど流れは知っておりますけれども、「大体こういう方向にまとまりそうだね」とか「どうも難しそうだね」というところまでのものを今の時点で持っているわけではないです。

(岡林:高知新聞記者)
 今の段階で県としてどうこうとかっていう話ではないと。

(知事)
 反対というようなことを言う可能性があるかといえば、それは私はないと思います。庁内で協議したわけではないですけども、私自身はそういうことがいくのであればそれはやってみる価値はあることだと思いますので、決して反対はしませんし、県としてそれをバックアップをしていく。

 またそのことと合わせて県の持っております施設のいろんな配置だとか整備ということにも関わりは出てくるという認識は持っております。具体的に言えば図書館だとかいうことには関わりがあるという認識は持っています。

(服部:毎日新聞記者)
 よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。

(知事)
 ありがとうございました。
 

 


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