知事の定例記者会見

公開日 2007年12月08日

更新日 2014年03月16日

知事の定例記者会見

平成16年3月24日9時30分から(県庁二階 第二応接室)

(項目)
 ・来年度の抱負
 ・出納長と教育長の人事、今後の議会との関係(1)
 ・街宣車に対する見解
 ・ハルウララについて 
 ・警察の捜査費 
 ・出納長と教育長の人事、今後の議会との関係(2)
 ・職員の給与カット
 ・統計委託事務の問題
 ・50人の地域支援職員と仕事始め式
 ・知事選の資金疑惑への説明
 ・出納長と教育長の人事、今後の議会との関係(3)


来年度の抱負
(柴崎:毎日新聞社記者)
 幹事社から2つほどお伺いします。
 まず、厳しい財政状況などを踏まえて、来年度の抱負を。
 あと、具体的に何かやりたいテーマとか、今まで発表された以外にございましたら、お願いします。

(知事)
   来年度に向けては、もう去年の夏の政策協議に始まって、選挙に際しての公約もございましたし、また、そういうことを受けて新年度の予算の編成をして議会でお認めをいただいておりますので、それを粛々と、というか、実現をさせていくと。仕事として少しでも早く実現をさせていくというのが、来年度の最大の自分の仕事でもあり、抱負でもございます。

  ただ、三位一体の改革の実質2年目ということで、これからどうなっていくかということは大変大きな、地方にとっても、特に高知県のような財政状況の県にとっては課題でございます。ですから、その情報を集めて他の県の知事さんなんかと連携をしながら、やっぱりなるべく早く国に対していろんな動きを起こしていくことが必要だと思っています。

  で、いろんな情報を聞かなきゃいけませんけれども、まずは6月ぐらいまでがひとつの勝負というか、山場ではないかというふうに思いますので、その時期に向けてどういうことができるか、どんなアピールができるかということを考えて、実行していきたいなということを思います。
  また、財政という面では、ますます厳しくなってまいりますので、いろんな事業の仕組みというのをこれまでの形にこだわらずに新しい形を作っていけないかなということは思います。具体的にどうだということじゃありませんけれども、しかも、これから申し上げることを検討をし始めてるということでもないですけれども、たまたま先日、県内の経済人の方とお話をしておりましたら、県と市町村との関係でも、国と県など地方との関係でも、県の側、市町村の側が財政が厳しくなって、国の又は県の予算を上手く使いきれないというか、受けきれないというような場面も数多く出て来ております。

  そういう時に、市町村が受けなくても、関係するいろんな団体がお金を出し合ってそういう事業を一緒に動かしていく。また、国から出て来る資金であれば、県がその残りの部分を全部請け負えなくても、民間の協会や団体等が何らかの形でそういうものを負担をして事業をしていく、というような形がとれませんかねというお話を伺って、例えば、そういうような新しい、柔軟に動かしていけるような仕組みを考えるということも、財政が厳しくなる中でいろんな事業・サービスを確保していくという面では必要なことではないかと思いますので、例えて言えば、そういうようなこともなるべく早いうちから議論をして、特に役所の中だけではなくて、民間の方々のご意見なども聞いて、1つでも2つでも何か具体化ができればな、ということは思っております。
 

出納長と教育長の人事、今後の議会との関係(1)
(柴崎:毎日新聞社記者)
 今議会、人事でちょっともめましたけれども、出納長、教育長。
 まあ、教育長に関しては、今後折衝なども予定されておるようですけれども、今後どうされるのかということと、あと、こども条例が継続審議になったことも含めて、最近、今回の当選以来、議会運営がやや厳しくなっておりますけれども、今後どのように対処なさっていくのか。そのあたり、お願いします。

(知事)
 教育長に関しては、教育行政ということからも1日たりとも空白をつくらない方が学校現場にとっても、また児童・生徒の保護者にとってもプラスであることは、もう言うまでもないと思いますので、今月末にお願いをしております議会でお認めをいただきたいということを思っております。
 それから、出納長につきましては、あまり性急に人事を諮って、また十分な意思疎通ができないままということになるといけませんので、本当は(地方自治法上)必置の機関ですから急がねばいけませんけれども、少しお時間をいただいて検討をし、協議をさせていただいてから諮りたいということを思っております。
 議会との関係ですけれども、全般的に言って、私はそれほどの異常が起きているとは思いません。というのは、高知だけを見ますと「何年ぶりだ、何十年ぶりだ」というような見方になろうかと思いますけれども、全国を見渡してみれば、長野県の場合などは、予算に対する減額修正はもちろんですし、知事が知事査定で削った分を元の予算要求の段階に戻すというふうな修正ですとか、条例の否決ですとかいうものがもう数え切れないぐらいございます。
 また、神奈川県などでも、当初予算案を最大会派が認めないということで、最大会派を中心に修正案をまとめてお出しになるというふうな動き等もございますし、それから、特別職秘書の条例案だとかいうものを否決の方向だとか、様々な動きがございます。
 いわゆる新しい取り組みをしようとされてる知事さんのいるところは、おしなべて条例案の否決だとか、そうした人事をめぐる議論というものがございますので、さほど冒頭申し上げましたように異常だとか、異例だとかいうことではないというふうに思います。

 また、そういう新しい取り組みということでなくても、例えばということで例に挙げるのは失礼ですけれども、群馬県のように多くの政党が相乗りで支持をされ、あまり争いもなく何期も知事を務めてらっしゃる、私の尊敬する知事さんの1人ですけれども、そういう方がいらっしゃるところでも、昨年からずっと副知事が空席のままでございます。今月の議会でも副知事議案は見送られております。

 その際に、教育委員の人事については提案をされて、併せて「副知事の人事については議会の過半数のご理解が得られないので提案は見合わせます」ということを知事が発言をされたら、「議案になっていないものに対して発言をするとは何事か。議会のルールを無視している。発言を取り消せ」ということになって、知事さんが発言を取り消されなかったら会期延長をするということになって、これも群馬県では30年ぶりだということでございました。

 このように、新しい取り組みをしてるところはもちろんですけれども、そうではない関係を保ってこられたところでもこういう動きが起きてきてる。つまり、大きな何か変化が地方自治の中に起きてきてるんだというふうに捉えるべきだと思います。

 それが何かということ、どこかが制度疲労をきたしてるということだと思いますけれども、そういうことを、県民の皆さんにも、僕もお話をしていかなきゃいけないと思いますけれども、高知県という狭い範囲で議会との関係というものを見るのではなくて、今の、やはり地方自治の変革期、その中での議会との関係も含めたいろんな制度というものがこのままでいいんだろうか、また、何かそこに新しい関係づくりが求められるのだろうかという視点で僕は見ていくべきだろうなと。そういう視点から、僕も何らかの新しい方向というものを考えて、それを提示をしていきたいなというふうに思っております。
 

(柴崎:毎日新聞社記者)
 幹事社からは以上ですので、各社お願いします。
 

街宣車に対する見解
(小川:毎日新聞社記者)
 昨日のことなんですけれども、高知市内で、いわゆる街宣車というものがかなりの台数来て、市内が大渋滞になったという事態がありまして、そのことについて、まあ、街宣車の主な要求としては、知事の、いわゆる百条委でやっていることに関する追及の声だったと思うんですけれども、そういう行動を昨日起こしたことについて、知事としてはどのようなご見解なのかということをお聞きしたいんですが。

(知事)
  特段、僕が見解を述べるような出来事ではないと思います。きちんと議会の場での議論も、その問題に限らずしていることですし、また正常な形で意見交換をするのであれば、それは、いろんな場で地域の懇談もしておりますので、特段、今言われたような行動をされた方々がいても、それに対して私がどうのこうの言うという思いはありません。
 むしろ、そういう行動を見て、県民の皆さんが何らかのものは感じておられるだろうというふうに思います。
 

ハルウララについて
(釜本:時事通信社記者)
 昨日(3月22日)のハルウララ(武豊騎手騎乗:106連敗)について、率直な感想をお願いします。

(知事)
 ハルウララのことは、まあ僕もあれだけフィーバーというか、全国的な話題になる、人気になるとは思いませんでした。が、こういう状況が作り出せたということは一つの成功事例だと僕は思います。高知競馬だけじゃなくて、地方として。
 ですから、どういう形でそれがきっかけになり、口火がつき、そして、それがこう燃え広がっていったかということをきちんと追跡をして、一つの参考材料として活かしていきたいなということを思っています。
 あとはやはり、昨日の庁議でも言ったんですけれども、もっと観光振興だとか交流人口という面で、その担当として受ける側が、こういう流れというものを敏感に感じとって動いていく…。現在の担当者がどうだということじゃないんですけれども、組織としてそれを受け止めて動いていく力が必要だなということを申しました。東京(事務所)側なり、競馬組合なり、相当力を入れてここまで持ってきたということがあると思いますので、そういうものをもっと上手く受け入れていく触角というか、それを磨かなきゃいけないなということを思うんです。

 というのは、昨日よりずっと以前ですけれども、「このハルウララがブームになって初めて小さな子どもを連れて競馬場に行った」と。「何か子供用のグッズがないかと思って探したけど何もなかった」と。「せっかくのこういう機会なんだから、そういう物をどんどん作って売ったらどうか」というメールが来てですね、早速、担当に言ってお子様用のビスケットみたいな物とか、いくつか用意をしましたけれども。
そうした、一つの大きな流れをどう活かしていくかというセンスと、それをきちんと仕事として仕上げていくプロジェクトマネージメントの仕事というのは、役所というのはなかなか慣れていませんので、そういう力を持てるといいなということを思いました。
 

警察の捜査費
(岡村:高知新聞社記者)
 警察の捜査費なんですけども、今北海道でもかなり表だって認めてですね、北海道の知事も監査請求をするという記事が載ってるんですけれど、以前もお聞きしたときは、「県警を信用してる」ということで「調べる意思はない」という答えだったんですけれど、こう、状況が変わってきて、事実として、監査請求権のある知事自身として、調べられる、行動を起こすという考えはまだないですか?

(知事)
 ええ、今の段階で、ございません。
 というのは、その後、そういういろんな報道なりがあって、十分警察当局とお話をする機会も持てておりませんので、今の段階で何の変化があって、どういうことを検討して対応すべきかということを判断するまでの積み重ねがございません。

(岡村:高知新聞社記者)
 積み重ねる努力はされるんですか?

(知事)
 それは、必要な場合は当然いたします。

(岡村:高知新聞社記者)
 その「必要な場合」というのは、「今」まではないわけですか?

(知事)
 まだ優先順位として、私がそれほど差し迫って…。警察は警察としてきちんとなさってるというふうに思いますし、それから、出張旅費やなんかの問題で言えばですね、そういうことは一般の事務改善の中で県としては他の都道府県よりも早く手掛けて、そのことは警察当局も同じ形でやっていただいておりますし、また、監査の中での様々な、領収書のチェック等もさせていただいておりますので、それを踏み越えて何かをしていくべきかどうかということは、今の段階では自分は特段考えておりません。
 

(須賀:高知新聞社記者)
 昨年の秋はですね、この定例会見の場で、16年度予算編成までに、担当の…、つまり県の知事部局の出納局と県警本部とが、16年度予算編成するまでに十分協議をして、そこで何か不都合ということがあれば対応したいというお話ではなかったでしょうか?

(知事)
 ええ、それは当然しております。

(須賀:高知新聞社記者)
 それは何にも…

(知事)
 いや、今のお話は過去のことについて、という趣旨じゃないですか?

(須賀:高知新聞社記者)
 監査請求するお考えがないかという質問でしたよね?確かね?

(知事)
 いや、今のご質問は「新年度の予算要求に向けてきちんと話をして…」ということではないですか?それは当然しております。

(須賀:高知新聞社記者)
 当然して…、何も知事として特段の判断をすることはないということでよろしいんでしょうか?

(知事)
 新年度の予算に関して?
 はい。

(須賀:高知新聞社記者)
 ああ。

(知事)
  知事として判断することがないというか、もっと明確に申し上げれば、そういう何か問題があるという報告は受けておりません。
 

出納長と教育長の人事、今後の議会との関係(2)
(岡村:高知新聞社記者)
 さっきの議会対応のところで、知事の(された)他県の話ですが、議会と新しい関係が出てきてるとかいうお話なんですけれども、まあその、人事案件でいくとですね、知事は副知事の時もずいぶん苦労されて、議会の反発を受けて、提案見送りとかいうこともあって。そういう経験というか、そういう経過も踏まえて、今回、選挙を通じて、議会との、知事批判グループ、反知事勢力との関係、軋轢がずいぶん厳しくなっている中で、今回の教育長と出納長の人事について、果たして、十分といいましょうか、これまで以上の説明努力というものは自分なりにされたというふうにご判断されているわけですか?

(知事)
 それはわかりません。
 それはお互い、「十分じゃない」と言えば十分じゃないということになるし、「十分だ」といえば十分だということになるので。それはあまり基準がない話だと思います、十分かどうかという話は。

(岡村:高知新聞社記者)
 さっき、他県の例を出して、さまざま、県外の、否決なりが出てきてるという例え話をね…

(知事)
 いえ、例えじゃないです。「議会との関係をどう見るか?」というご質問ですよね、先ほどはね。
 それで、議会との関係というのは、そうやって高知県の県内だけで、狭い範囲で見るべきものじゃない。全国的に新しい取り組みをする所では必ずそういうぶつかり合いというのは出て来ているし、その中で、何らかの新しいルールというものを考えるべきじゃないかと。

 また、新しい取り組みということに関係なく、ある意味では従来型の政党等の関係を積み重ねられてきたところでも、先ほど申し上げたような事例が起きていると。そこには、大きく時代というものが変わり、地方自治制度というものも変革をし、そして議会との関係というものも当然変わってくる。

 まあ何度も申し上げてますけども、投票率がどんどん下がってきて…。議会の皆さん方はもちろん県民の皆さんの代表です。ただ、そこに1票を投じてない県民のいろんな思いというものもある。そういうものも含めて、様々な全体の動きというものを考える時に、今の議会と執行部の関係のつくり方というのはやっぱり制度疲労を起こしてるというのが、これは群馬やなんかの事例からも感じ取れるんじゃないかと。

 そこは、自分が取材をしてるわけじゃないですから、実際にどういうことがあるかどうか分からない。だけど僕だったら、やっぱり群馬に行って、何が起きてるのかということを取材をして、そういうことを全国的な俯瞰(ふかん)した目から見たいなというふうに思うということを申し上げました。

(岡村:高知新聞社記者)
 じゃあその、私の聞き取り間違いかもしれませんけれども、今回の人事案件の件は、そういう流れの中の一つの現象だという捉え方で話したわけではないわけですね?

(知事)
 いや、そういう現象からも捉えるべきだろうというふうに思います。

(岡村:高知新聞社記者)
 そういう現象「からも」捉えるべき…

(知事)
 「からも」。だから、0か100かじゃありません。それだけで捉えられるものではありません。
 だけど、高知県の中でのいろんな出来事というのだけで見ていたら、県民…というのは高知の県民だけじゃなくて、全国のいろんな地方を支えてる市町村民や県民の皆さん、の思いだとか、そういうものと執行部とのズレもあるだろうし、議会とのズレもあるだろうし、そのズレがまた議会と執行部との間のいろんなズレにも繋がってるでしょう。そのズレを従来のままのいろんなルールだとか、仕組みだとかいうものでやっていけば、必ずやっぱりぶつかるんだろうなということを思うわけです。
 

(岡林:高知新聞社記者)
 知事、その、やっぱり今回の定例会を見たときに、大まかに見ると、人事案件に対するものであるということと、それから当初予算にかかってくる政策的な予算の部分の問題(新旅費システム予算の減額)、それから新しい条例をつくる(こども条例の継続審議)、そういった問題、そういった部分で諸処の対応が議会との中であったというのは事実だと思います。

 ただ、その人事案件というものを考えてみたときにですね、今回の人事案件は当初「再任」という形で知事もお考えになられていたと思うんですよね、新たな人事案件を出してくるのじゃなくて。「再任なんですよ」というところから言うと、その人事案件の評価というのは橋本県政の評価、という部分で、議会の対応というものが過半数をとれないというような見込みが出てきたわけですわ。
 だから、人事案件というものの議案を通常の議案と同じレベルの土俵で考えるのはどうかとは思うんですが、まずその一点はどう?

(知事)
 いや全然そんなことは一言も申し上げていないので。

(岡林:高知新聞社記者)
 というのは、このあいだも知事のコメントの中で、いわゆるその「人事案件については議会のご理解を十分得たい」というお話…。

(知事)
 得ないと可決をいただけませんからね。

(岡林:高知新聞社記者)
 それを忠実に踏まえるならば、先ほど言った議会と執行部の関係であるとか、制度疲労を起こしているといった部分の話とリンクするとは思えないです。

(知事)
 そんなことはありません。それは、多くの方は「リンクする」ということは理解をされると思います。

(岡林:高知新聞社記者)
 それから、先ほど言われた、「制度疲労」というお話があったように思うんですけれども、その「制度疲労」ということと、まあ、新しい取り組みという流れでいくと、今回、当初予算の中で「新旅費システム」関連予算を出しましたよね。
 これは、先ほど言われた、知事の言われる、「県庁の仕事のあり方を抜本的に見直そう」というものの一つの大きな端緒になるものだなと。
 今回の人事の中でも、「業務改革推進室」というものをつくられて、そのあり方を見直そうという部分の、今後知事が4期目やっていく中で大きな柱の一つであろうというふうにも見受けられるんですよね。
 それについて、議会が当初予算で「ノー」という判断をされた。そういうことはもう少し重く受けとめる必要があるんじゃないか、ということが一点と、それから、先ほど、新しい取り組みということで言うと、議会と執行部というものの間に「県民」というものを知事自身が考えてらっしゃるのかなと。

 というのは、外部機関であったり、外部の審査機関であったりとか、そういったものを通した「答申」というものを受けた形で、例えば「新旅費システム」も審査機関を通したものを予算計上したり、こども条例にしても外部の県民の機関を通して条例をつくったり、そういう取り組みが知事自身がやってこられた状況の中であったとは思うんですよ。
 そういうことで考えてみたときに、「新しいやり方を今後考えていく」というのは、今までの方向性をそのまま続けていくということでお考えになられているということなんですか?

(知事)
 ちょっとご質問の趣旨がよくわかりませんが。当然、「県民」というのは「外の人」じゃないと思います、今のご質問から言えば…。「外」とおっしゃってますけれども。
 要は、県議会と執行部だけでものごとを丸く収めて、執行部が出したものを全部認めてもらって、何十年もそういう形でやっていくということに、みんな大きな問題を感じたから、十数年前の私の選挙に始まってですね、全国で新しい流れが起きてきているんだろうと。
そういうことをやっぱり感じ取らないと、いろんなこれからの仕組みづくりというものの触覚というか感覚というのが出てこないだろうと思いますね。
 

(須賀:高知新聞社記者)
 それで言えばですね、先ほども、県議会の投票率をお挙げになって、そこに投票されない人への斟酌というものを忘れるべきでないというような言い方をおっしゃいましたけれども。

 それで言えば、あなたの得票率55%ですよね?だから、残り45%への斟酌を忘れるなという、議会での、それから我々の報道機関も、一部ですけれども、そういう趣旨の論を書いております。それに対してのあなたの答弁はですね、「私は選挙で信任された自分の公約で申し述べたことを邁進していくだけです」、そういうくだりがあるんですね。そのこととものすごくずれませんか?

(知事)
 いや、全然ずれません。

(須賀:高知新聞社記者)
 どういうふうにずれませんか?

(知事)
 いや、だって、その45%の人の思いっていうのも、それは自分なりに酌み取ってやっていけるものは酌み取らなきゃいけません。しかし、絶対認められないものもあります。古い体質をそのまま元に戻そうという人も中には当然おられるわけですから。そういうものを否定するところに僕の存在意義があるわけですから、それを認めてしまったのでは何にもなりません。
 ですから、そういう区分けということはきちんとしてまいります。

(須賀:高知新聞社記者)
 それは二元的な分け方なんですよね。非常にそれは知事に顕著な部分なんですけれども…。

(知事)
 いや、理念で分けなければ、ものの区分けというものは頭の中できちんと区分けをしていかなければ、それは分けられません。感情で分けることはできません。

(須賀:高知新聞社記者)
 それは、AかBかじゃないでしょう?考え方としては。もっと多様な考え方があっていいんじゃないですか?

(知事)
 もちろんです。
 だから、AかBかと申し上げているんじゃなくて、認められないものも当然あるでしょうと。そういう古い昔の形を戻そうという人が明らかにいるわけですね、いろんな仕組みの中で…。

 そういうものを否定して、県民にもっと目を向けた県政をしてほしいというのが、僕を選んでくださっている多くの県民の皆さんの思いだろうということを思いますから、そういう皆さんの思いをないがしろにするようなことをしてはいけない。だけど、そういう皆さんの思いに反しない範囲で、また、僕のいろんな政策だとかいうことに反対をされ、納得をされない方の意見というのは当然聞いて、その範囲で考えて動いていかなきゃいけない。それは当たり前だと思います。バランスの問題であって…

(須賀:高知新聞社記者)
 当たり前とおっしゃいますけれども、そのチャンネルづくりっていうのが希薄だとは思いません?

(知事)
 いや、そんなことは全然ございません。
 それはチャンネルづくりということじゃなくて、それは自分自身の感性もありますし、情報収集ということもありますので、全くそういうことは問題ございません。

(須賀:高知新聞社記者)
 その辺がやっぱりちょっと違和感があるんですよね。

(知事)
 それは、違和感を持っている人は僕は少ないと思います。

(須賀:高知新聞社記者)
 少ない?45%が?
 あなたの支持率は厳然と下がってるんですよね。そこをね、あなたね、強弁しているように見えるんですよね。

(知事)
 いや、ちょっと、そんな感情的なことを、こういう記者の懇談会の場で、記者としての肩書きを持った方が言われるべきではないと僕は思います。

(須賀:高知新聞社記者)
 全部開示されますから、(記者の)名前も出ますから、それを踏まえて言ってますから、これほどオープンなものはないと思うんですけども。

(知事)
 いやいや、そうじゃない。オープンだということじゃなくて、感情的なことを言うべきでないと思います。
 

職員の給与カット
(須賀:高知新聞社記者)
 感情的かどうかは、それはまあ知事の判断なんですよね…。
 じゃ、質問を替えます。
 財政面の厳しさを見通したときに、都道府県、それから市町村、地方公共団体が職員の給与のカットに踏み込んでいくところが目立ってまいりました。
 高知県も、三役、それから管理職員(手当)の自主的カット。まあ、これはちょっと、私なりに穿って考えれば、「来期は一般職員にもなかなか考えてもらわないと厳しいよ」という職員に対するサインなのかなとも思うんですが。
 実際まあ、まずそこへ行くまでにいろんなことがあるとしまして、来期、16年度ですね、そういう展開もあり得る、また知事としてそういう判断をしなきゃいけないという展開があると思うんですよ。

(知事)
 まだそこまで踏み込んで考えておりません。

(須賀:高知新聞社記者)
 そうすると、その前にまだいろいろ優先すべき事項があるということですかね。
 やはり、人件費、固定経費をカットしていく、削減していくというのはやっぱり非常に大きい。だからこそ、行政改革に取り組む公共団体がやっている中で、そこまで来ているという、まさに危機的な状況は、(高知)県もまさにそうじゃないかと思うんですよ。
 なぜ、そうじゃないんでしょう?

(知事)
 なぜ?なぜというのは何がですか?

(須賀:高知新聞社記者)
 だから、カットまでまだ来てる段階ではないというふうに今おっしゃいましたから。

(知事)
 だから、来期(そこまで)踏み込むというところまでは、まだ結論として考えてはおりません、ということを申し上げました。
 当然ずっと、そういうことを考えなければいけない時だということは、もう数年前から検討しておりますし、1%減らせれば何億、5%ならば何億…、そのことと職員のさまざまなサービス面での問題等を勘案をしながらやってきておりますので、絶えず考えているといえば、もちろん考えております。しかし、「踏み込む」というのは「実施する」という趣旨だとお聞きをしたので、「実施は来年度しますか」ということに関して、「今、そこまでの決めた思いはございません」ということを申し上げました。
 

統計委託事務の問題
(釜本:時事通信社記者)
 よろしいでしょうか?
 県統計課の国からの委託事務が人事的な操作の問題で国から返還命令を受けたということについてなんですが、県は、事務自体はきちんとパーフェクトにまわしてるということで返還に応じるつもりはないようですが、今後、地方財政が厳しくなってくる中で、こういうお役所的な要件と言いますか、そういうのもどんどん柔軟にやっていかないと、県も対応できない事態が想定できるんですね。そういうことも踏まえて、この問題をどう捉えているかという点についてお訊きします。

(知事)
 事実関係として、国から一定の指導があったかどうかということに関して、意見の違いがございます。
国は「そんなことを言うわけはないじゃないか」「決まりに反してるのだから」という、言わば杓子定規な範囲で話をされておりますので、その部分はやはり県としても争っていかなきゃいけないことだなということを思っています。
 ただ、やはり法に則って物事をきちんと動かしていくということは必要ですから、そういうものを無視して許されるというのは、一般的に許される範囲で融通性を持たしてやっていいかと言うと、決してそうではないと思いますので、そのことは、もし変えていくのであれば、きちんとしたルールの中でそういう融通性を持てるように変えていかなきゃいけないだろうということを思います。
 併せて、もっと「統計」ということに踏み込んで言えば、ここまでいろんなことを言われながら、しかも国の統計っていうのはものすごい遅れて出て来ますので、どれだけのものが役に立つか分からないと。それを、下請け仕事のようにして地方がずっと営々とやっていく必要があるのかなということは個人的には感じていますが、まあ、それ以上また踏み込んでそういう判断をしてるというわけではありませんけれども、自分の思いとしては、ここまで国が強圧的にいろんなことを言って来て、それに従ってやるほどの意味があるかなあ、ということは強く感じ始めております。

(釜本:時事通信社記者)
 その中で、先ほど言われた「もう少し融通の利く形」という点なんですけれども、まあ要するに、「国が要件をこうやっているけれども、県は事務を全部やらないということではない、事務はやるんだから、こういう形でやっていこう」という国への働きかけについて、何か考え方としてあるのかないのか…。

(知事)
 いや、そこまで…。今回のことではですね、事実関係への対応と、国からの納付の請求に対して、どういうような選択肢があって、どう対応するかということの議論で終始をしましたので、それを踏まえて、一段落して、どういうような提案があり得るかというところまでは、ちょっと話をしておりません。
 

50人の地域支援職員と仕事始め式
(岡村:NHK記者)
 新規事業なんですけど、地域に50人派遣するという話がいよいよ来月、4月1日から始まるわけですけれども、その中ですごく期待しているところとか、例えば、まず始まってみなければわからないんですけれども、だいぶ骨格が決まってきたということで、今後、「もっとこういうふうにしたらいいんじゃないか」とか、今の時点で思っていることなどありましたら、教えてください。
 あともう一点が、年度始め式は一応今のところ予定にはあがっていないんですけれども、1月の仕事始め式も今回は行わなくて、それは何か特段の意味があるのかどうか、教えてください。

(知事)
 はい。
 後段の方ですけれども、年末年始は、県の仕事というのはやっぱり年度でやっている仕事ですので、あんまり年末年始わざわざ職員に集まってもらって話を聞かせる意味はないなと思って、まず年末をやめ、年始もやめました。
 年度始めについては、いろんな議論があったんですけれども、僕はやっぱり年度始めはきちんと県としての経営の方向、今年度の方向だとか、これから考えていくべきことというのを職員の皆さんにお話をすべきだと思いますので、それはやりたいと思います。
 ただ、別の場所をお借りをしてお金をかけてということじゃなくて、正庁ホールで、集まれる範囲の人に、まあ年末年始にやっていたような形でお話をして、あとの分はVTRなり音声なりで各出先の事務所の方々にも聞いていただくという形をとりたいと思っています。
 それから、50人の職員の派遣についての期待というのは、これまで一般論として申し上げてきたことをまだ踏み出るわけではありません。実際にその後各地域をまわっても、「そういう人が出て来るのであれば、こういうことを一緒にやりたい」というようなお話はいっぱいございます。県議会でもご質問が出たかと思いますが、NPOの西部地区のネットワークの組織などが立ち上がりますけれども、そういうことへの支援の話だとか、様々な形のお話をいただいてますので、それぞれに十分機能してもらえるだろうということは思います。
 また併せて、30何人という人が手を挙げてくださって、行かれるというわけですから、その他の、その全体50人の方を含めてですけれども、そこで地域の方々と一緒にいろんな仕事をしていけば、これまで言っているような「住民力を活かしていく」とか、「官と民との役割分担、新しいその形をつくっていく」というようなことでも、身をもって感じて学ぶことができるというふうに思いますから、職員の意識を変えて、新しい形の仕事の取り組みを起こしていくことにも必ず繋がっていくだろうということを期待をしております。
 

知事選の資金疑惑への説明
(池:高知新聞社記者)
 2月定例会質問戦で、(平成)3年の知事選の資金疑惑のやりとりがいろいろあったわけですけれども、その中でどうしてもわからなかったのが、知事のおっしゃる、しかるべき時期にご自身の説明責任を果たすという趣旨のご発言を何度かされたと思うんですけれども、知事の想定してらっしゃる「時期」というのと、その説明のタイミングと、その手法ですよね、それは一体どういうものなんでしょうか?

(知事)
 それは今後の百条委員会などで何がどうなっていくかということにもよります。説明の仕方だとか、内容というものも当然変わってくる面はあろうと思います。
 時期ということで言えば、百条委員会なりを受けて、議会で何らかのまとめをされるという時も一つの大きな時期だというふうに思います。

(池:高知新聞社記者)
 (百条)委員会の調査が一定終わって、最終報告の後というような意味ですか?

(知事)
 いや、それだけということじゃないですけども、それも一つの時期だと思います。
 今の段階でそれだけが想定される時期だというふうに申し上げるつもりはありません。それまでにも何かの時期が出て来るかもしれません。動きの中で出て来るかもしれませんけれども。

(池:高知新聞社記者)
 現段階ではそしたら、知事が特に「この段階」とか、あるいは「こういうものが出たら」という具体的なイメージがあるわけではない?

(知事)
 全くそれはないです。
 

(須賀:高知新聞社記者)
 3月8日なんですが、山原健二郎さんが亡くなりました。知事も葬儀に行かれましたですけれども。
 あの、イエス・ノーの問題ですが、山原さんがずっと書き綴ってらっしゃった日記があるんですが…、「猿飛日記」という。これは(知事)ご自身でご覧になったことはありますか?
(知事)
 いや、ありません。

(須賀:高知新聞社記者)
 ないですか?

(知事)
 ええ。

(須賀:高知新聞社記者)
 わかりました。
 

出納長と教育長の人事、今後の議会との関係(3)
(岡林:高知新聞社記者)
 知事、一点だけ確認を…。教育長、出納長に関連の…。
 教育長の方は今月末に認めていただきたいというお話でしたが、これはもういわゆる大崎教育委員(現任)の選任同意?

(知事)
 はい、そういう意味でございます。

(岡林:高知新聞社記者)
 あと、出納長に関しては、一定の空白期間、これ、どのぐらいの時期?出納長の代行を置くということになると思うんですけれども、それはどれぐらいの時期、今想定されてのお話だったんでしょうか?

(知事)
 ちょっと期間は想定できません。なるべく早くそれは選任をいただきたいと。
 誰を想定をして、想定する方にお話しをして、その方の、本人のご理解もいただいて、またそれをお諮りをして、という手続きがありますので、それがちょっとどれぐらいの期間でできるか分かりませんので、今の段階で‥‥。

(岡林:高知新聞社記者)
 7月に想定されてます(県議会の)定例会というようなタイミングまで待つということもあり得るんでしょうか?

(知事)
 いや、あり得ると言えば、それはあり得ないではないとは思います。けれども、それを最有力の想定時期として、ということではないだろうと。

(岡林:高知新聞社記者)
 まあ、月内、月末ということはちょっと見送られたという?

(知事)
 はい、そういう趣旨でございます。

(岡村:高知新聞社記者)
 その出納長の選択肢…、庁内とか、OBとか、あるいは副知事みたいに外部からとかですね、そういうのはまだ?

(知事)
 まだ、考えておりません。
 

(新谷:朝日新聞社記者)
 教育長の方なんですけど、月末っていうのは具体的には何日を目途としてるんですか?

(県総務部長)
 3月31日で予定しています。
 

(柴崎:毎日新聞社記者)
 ないようでしたら、終わります。ありがとうございました。
 


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