知事の定例記者会見

公開日 2007年12月08日

更新日 2014年03月16日

知事の定例記者会見

平成18年3月27日14時00分から(県庁二階 第二応接室)


(項目)

 ・新年度の課題
 ・国への働きかけ
 ・人事異動
 ・自伝について(1)
 ・県警の捜査費
 ・統計委託事務費の裁判
 ・自伝について(2)
 ・高知工科大学
 ・タラソテラピー施設への補助金
 ・高知女子大学生とのワークショップ




新年度の課題
(吉川:テレビ高知記者)
 まず幹事社から、質問を4点ほどさせていただきたいと思います。
 最初に、もうすぐ新年度が始まりますけれども、新しい年度の課題を3つ、知事が挙げるとしたら何を挙げるか、教えていただけますでしょうか。

(知事)
 そういうご質問が出るというので考えてみたんですが、やはり3つ挙げてしまうと「ほかのものはどうなんだ?」という話になるだろうなと思いましたし、今、ほんとに多くの課題が山積をしているので、3つに絞るというのは非常に難しいというのが実感です。

 例えば国勢調査の結果による少子化の問題だとか、それから同じ厚生労働省の関係で言えば、医療制度の改革という、福祉医療分野はもちろんですが、本県の今後の財政にも大きな影響を与える問題だとか。

 それから産業振興のことやアウトソーシングを進めていくその背景にある三位一体の改革のことなど、指を折っていくと、もう3つなんか軽く超えてしまいますので、結論から言えば、3つを選ぶのは非常に難しいと。

 で、4月になりましたら、年度初めで、また職員の皆さんへの訓辞というか話をするわけですけれども。そのときも、この正月の最初の庁議のときに話をしたように、いかに前向きに、ポジティブにものを考えていくかと。

 要は、今、これまでの仕事の仕組みとか、これまでの国と地方との関係だとか、これまでの役所の常識ということからすれば、縮小し、非常に意気消沈するような課題ばかりなわけですね。

 そうではなくて、そのことに正面から向き合って、あるときは戦ったり、それに対抗していく。または、それをしのいでいけるような工夫を考えるということはもちろんなんですが、それだけではなくて、その仕事の仕方やら目の付けどころも含めて、もっと前向きにポジティブにものを考えていける、そういう県庁でありたいし、そういう年度にしていければということになります。

国への働きかけ
(吉川:テレビ高知記者)
 その課題の中でも一番大きい、財政の問題というのがあると思うんですけれども。国の経済財政諮問会議が6月に骨太の方針を出すという予定です。

 その中で、高知県の財政にとって、さらに厳しい方針が示される可能性もあると思うんですが、それについて、知事が2月議会で「国に対して、有志の知事らと精力的に対案ですとか提案をできれば」というようなことがあったかと思いますけれども。今、何か具体的にありましたら。

(知事)
 今、「高知県としてこういう方向で考えている」という具体的なものは、正直言ってまだありません。

 「骨太の方針も6月に」ということが言われていますが、まだきょうの時点で出ておりませんけれども、今月中に素案が出されて、それに対する委員や地方の声を聞いて、4月の中旬までに中間取りまとめの形で、ということになっておりますので、かなり政府側としては煮詰めて議論されているんだろうというふうに思います。

 これに対して、地方の側ですが、もちろん知事会の中での委員会ですとか、有志の知事の会などで、いろんな議論も進めていますけれども、まだ「これとこれとこれが、具体的な提案で」というところまでは至っておりません。

 私個人としても、議会の中でも再質問などにお答えをする形で、消費税を全て地方消費税化するとか、いろんな税のやり繰りのこともあります。

 それから、地方交付税も確かに大都市部と高知県のような地方との間の税源のばらつきを調整していくというような機能は必要だと思いますけれども、従来からのような意味で、基準財政需要を計算しながら財源の保障をしていくという形がいつまで続けていけるのかと。

 また、そこに総務省が間に入って、ある意味のブラックボックスをつくりながら地方に配分をしていくというやり方でいいのかどうかというようなことは、個人的には思いますし、そういうことも議論の対象だと思いますけれども。

 高知県の知事という立場からすると、やはり高知県にとって短期的、中期的にどういう影響を与えるかということも含みながら、考えていかなければいけない面がございますので。そこは事務的にもうちょっと議論を詰めて、また皆さま方にもお話をしていきたいというふうに思います。

人事異動
(吉川:テレビ高知記者)
 次に、人事異動の件ですけれども。新規事業があまりない中で、小規模な異動にとどまっています。中でも観光担当の理事を置かれるとか、そういった人事もありましたが、その辺の狙い等を教えてください。

(知事)
 来年度に向けましての人事は、19年度に組織の大幅な改正を考えているということがございますし、あまり部局長の方々、また同じ等級にある方々で退職をされる方が多くはなかったということもありまして、退職者のあとを埋めるということと、観光担当の理事を置くという程度の小規模な異動になっております。

 で、観光担当ということに関しては、観光の現場的な実践はあくまでもコンベンション協会に任されるべきですし、これからもコンベンション協会がリードして進めていくべき課題だと思います。

 けれども、その一方で、やはり県の仕事として何かの事業をやっていくからには、予算をつくっていくということが1つの基本になりますので。そういう現場と予算づくりということをつなげていくリーダーシップの取れる立場、職というものが必要であろうというふうに考えました。

 また、少し中期的な課題で、(平成20年度開催に向けて準備を始める)華フェスタなどもそうですけれども、いろんな取り組みをしていくというときに、観光コンベンション協会にすべての対応を(任せる)ということではなくて、そういう体制づくりとか、必要な庁内的な調整だとかいうことをまとめていく部署も必要ではないかということを思いました。

 併せて、これまでずっと観光コンベンション協会ということを中心に進めてきたわけですが、その中でいろんな事業、取り組みが出てくる。

 また、県が進めたものを観光コンベンション協会が受けて少し広げていくという、ボールの行ったり来たりということが少し具体的に起きてきましたので、そういうものの県庁側の取りまとめというものも1つのリーダーシップとして必要ではないかと。

 例えば、県としてグリーンツーリズムの農家民宿、農村民泊の形をあちこちにつくっていきましょうということで取り組んできておりますが。そういうものがある程度、点が線に少しつながってきたというところで。

 その地域の皆さん方にとっても、もう少し広くお客さまを集めたいということを考えますと、旅行業の許可というかビジネスとしてやっていく資格が必要になります。

 で、それを観光コンベンション協会が代行していくということを来年度進めていこうと思いますけれども。そういうことで、グリーンツーリズムということが点から線につながり、やがて面になっていくときにはまた、県としてきちんと受け止めて形をつくっていくというような仕事が出てくるだろうというふうに思います。

 というように、これまでコンベンション協会としてやってきたことを、もう一度、県の側で見詰め直して広げていくとか、支えていくということが必要な時期になってまいりました。

 もう1つ例を挙げれば、観光コンベンション協会として首都圏にアンケートや誘致活動などをして、修学旅行もかなり増えましたが、今度、沖縄が飛行機代を安くしてということで対抗策をとってきております。

 で、高知に随分シフトしましたのは、(修学旅行費用の)上限額が決まっているんですけれども、飛行機の料金にかなりの差があって、沖縄の場合はその上限額を超えるということだったんですが、沖縄が閑散期に飛行機代を下げて、修学旅行を受け入れるという形を打ち出してきております。

 こういうことに対抗していくのに、コンベンション協会としてもまた、日々の仕事をしていかなきゃいけませんけれども、やっぱり航空会社とのことだとかいろんなことに、県としても取り組んでいかなきゃいけない。

 そうしたことをしていくうえでも、(観光コンベンション協会と県の)双方がようやく玉をうまく投げ合いながら、役割分担をしていくようなところまで来はじめているんじゃないかなと。

 そう言う意味で、特にことしは「功名が辻」のこともございますので、同じように理事なり部局長といった立場の人を設けるのであれば、1年置いて19年度の改革のときにというのではなくて、来年度からやっていこうというふうに思いました。

 ほかの件につきましては、アウトソーシングによって人役にある程度のゆとりが生じるということになりますので、その人を税の徴収ですとか、産業振興ですとか、南海地震への対応だとかいう、県として抱えております重要な課題に重点的に配置をしていくということにいたしました。

 産業振興センターの充実などもその1つでございますけれども。今回は、ポストとしての人の入れ代わりということよりも、そういうふうにアウトソーシングなどと絡めて重点的に取り組む必要のある事業、部署に人を置く配置をしていったというところに、ひとつ狙いのある人事だというふうに自分は思っています。

自伝について(1)
(吉川:テレビ高知記者)
 幹事社としては、最後の質問なんですが。

 先日、知事が出版されました自伝を読ませていただいたんですけれども。結構、実名も挙げられて、いろんな思いを語られていると思うんですが、読まれた方の反応ですとか、入ってきていますでしょうか。

(知事)
 実名うんぬんの話に関しての反応というのは、特段ございません。「もっと激しく、いろんな人のことをやり玉に挙げているんじゃないかと(思った)」というようなご趣旨のことはありましたけれども。

 そうではなくて、まだ出て間もなくですので、詳しい反応というのはありませんけれども。何人かメールなどの形で「読みました」といって感想を寄せてくださる方はおります。

 誰だか分かりませんが、きょう、多分県の職員の方と思われる方から「これまでいろいろ知事の判断なり、考え方なりで疑問に思っていたことで、幾つか分かったことがありました」というようなメールが来ておりました。その程度でございます。

(吉川:テレビ高知記者)
 各社、質問ありましたら、お願いします。

(浜田:高知新聞記者)
 (自伝は)なんかメッセージ色が強いような気がするんですが、その辺は意識して書かれたのかなという気が・・・

(知事)
 ええ。その辺は、意識をして書きました。

(浜田:高知新聞記者)
 言いたいことが、後書きのほうに集約されているのかなと。

(知事)
 そうですね。
 あとは、どんなことを経験してきたかという話なので。

(浜田:高知新聞記者)
 「県民全体が、もう少し一体感を持てないものか」というところに凝縮されているかなと。

(知事)
 それと、県の仕事としては、結び目をつくっていくというかですね。議会は議会で大変重要ですし、既成のいろんな組織、団体がさまざまな窓口になっていてくださるということも変わりはないですけれども、それ以外のいろんな窓口だとか結び目とかいったものが、これから必要な時代ではないかと。

 そういうことで、ネットワークを張り巡らせていき、併せて県民の皆さんの一体感がもう少し出てくれば、もっともっと住みやすい、強い県になっていくんではないかという自分の思いがあります。

(浜田:高知新聞記者)
 これから反応が出てくるかなということですね。

(知事)
 そうですね。

県警の捜査費
(吉川:テレビ高知記者)
 自伝の中で、捜査費のことについて、解決していく上で監査委員がポイントになるんじゃないかと、監査委員が加わることで解決できるんではないかというようなことを書かれていたと思うんですけれども。

 現状は、県警が内部調査というのを進めていて、なかなか監査委員がそういう形で加われるような動きではないと思うんですけれども。その辺を意識して、お書きになっていらっしゃるんでしょうか。

(知事)
 「意識して」と言われれば「意識して」です。それで、私はあの報告が出る前にも考えておりましたし、出たあと、いろんな議論なり流れなりを見ていても、あらためて思いますけれども、やっぱり監査委員というのは守秘義務をきちっと持っているわけで。

 その守秘義務というものを信頼して、監査委員にはすべてを示して、きちんと監査をしてもらうということが、一番、県民の皆さんも理解しやすい、また納得しやすい形ではないかということを思います。今も、そう思っております。

 県議会の質問の中で、どなたかの質問に対して本部長さんが「それは、知事が将来の課題として言われたことだろうと思う」と。

 この部分を「守秘義務違反に対する罰則などが軽いから、心配だ」ということであれば、こういう重要なケースの場合に、守秘義務を少し強めたりとかいうことも法律的にありうるかもしれないというようなお話をしたことだとか、それから、監査委員といってもいろんな方々がおられて、実際、事務局としても何人もの職員がいると。

 特別の監査については、守秘義務を持っている人が誰かということを絞り込むということをしたらどうか。そういう点が将来的な課題というのであれば、そのとおりです。

 けれども、監査委員の持っている守秘義務を信頼して、すべて監査委員には開示をして、決着をつけるべきじゃないかというのは将来の課題ではなくて、今、十分できることだし、そうすることが一番、あまり時間もかけず、いろんな事務作業もかけずに県民の皆さんに納得していただく形ではないかなということを思います。

 ですから、あれはまだ再質問の1問目ぐらいだったので、もし「本部長が将来の課題と言ったけれども、知事もそう受け止めるのか」という再々質問があれば、「そうではない」と答えようと思っていたんですけれども、その質問はなかったので、そのままになりました。

統計委託事務費の裁判
(釜本:時事通信記者)
 統計委託事務費の件で総務省との裁判になりましたけれども。提訴された段階では「県として言うべきことを、再度裁判でも主張していく」ということでしたが、知事として、それが変わらないのか。

 もしくは、民事訴訟でもありますんで、和解ですとか、落としどころといったことも将来検討しないといけないときも来ると思いますけれども。そういうことを含めて知事の現在のお考えをお願いします。

(知事)
 これまでの経過の中で、随分前からいろいろ庁内的に協議をし、意見交換をした中で、一面的に県が悪くて頭を下げなければいけないことかというと、決してそうは言えないのではないかということを思いましたし、そういうことを国と地方との関係で、「国に対してあまり盾突かないほうがいい」というような意識で黙ってしまうというのは、よくないことではないかということで、きちんと意見を言って議論をしていくようにという方向で取りまとめて、ここまでまいりました。

 裁判という形になって、今後どういうようなそれぞれの意見陳述があって、それをどう裁判所が受け止めるかということは分かりませんけれども。今の段階から「落としどころはどうだ」ということを考えてということでは、もちろんありません。

 しかし、一般論として、裁判というのはお互いの争点をきちんと洗い出して、その中でわだかまりはありながらも、落ち着くところに落ち着く方向を見いだしていくというのが裁判本来のもので。

 「どちらかが正しくて、どちらかが悪い」という判決を下すのが裁判の役割ではありませんから。そういうことから、裁判所がいろいろお考えいただいて、随分、まだ将来的なことになるでしょうけれども、裁判所からのお話が出てきたときに、それをまったく頑なに聞く耳を持たないとかいう思いは、もちろんありません。

(釜本:時事通信記者)
 今回は、国の認識と県の認識のずれとかもありましたし、国の制度の堅苦しさ的なことも、われわれも取材のときに感じましたが。

 国から県が受託している事務の中で、そういったことも含めて、知事のほうからあまりにも制度が固すぎて実態に合わないとか、裁判は裁判で主張しても、今後、国とのやりとりで制度を変えていくというふうな意味で、地方から声を挙げることもあると思いますが。

 そのあたり、今、国から受託している事務全般、もしくは今回の当該業務も含めまして、知事から何か発信したいことはありますでしょうか?

(知事)
 今の時点で裁判と直接絡んでということではありませんが、このことが問題になりはじめて、統計・情報の担当部署と協議をする中で、今、ご指摘があったようなことは自分も思いましたし、こういうこと以外にもいろいろあるんじゃないかと。

 それを国に対してきちっと意見を言ったり、提案をしたりということが必要だということは、そのとき感じましたし、そういうことは、庁内でも言ったと思います。

 で、それから数年という期間がたちましたので、今までずっとその思いを持ち続けてということではありませんし、今回また、裁判という事態になって、それがきっかけでということじゃありませんけれども、そのこととは離しても、国と地方との関係というものは、これまでの在り方と違った形でなければいけないと。

 別の視点ですけれども国のほうも思い、地方のほうもそういう思いを持っている中で、従来からの事業の扱いが、国と地方の関係で「このままでいいか」ということは、きちっと見直していかなきゃいけないということは思います。

 まだそういうことを、庁内できちっと指示をしたことはないですけれども。ご質問を受けて、確かにそう思います。

(釜本:時事通信記者)
 具体的に、例えば取りまとめて国に提案するですとか、そういう形にする作業を、この先やっていくというお考えはありますでしょうか。

(知事)
 一斉に何か指示をして、また取りまとめというと、事務量だけがわっとまた広がっていきますので。そうではなくて、そういうことは庁議なりに出して、それで思いつくものがあったら挙げてもらって、ということはできると思いますし、そういうこともしてみたいと思います。

(浜田:高知新聞記者)
 企画建設委員会では、担当の理事が要綱違反であるという認識は持っているということなんですが、知事自身はそのあたりは、どうなんでしょうか。

(知事)
 もう随分前のことなので、そこまでちょっと分からないですね。今回、要綱まで読み込んで、ということをしていませんので。

(浜田:高知新聞記者)
 国と地方というよりも、裁判の過程では、そういう点が考慮されるのかなという気もしてですね。要するに、要綱に違反していたら、県のほうが見通しが厳しいんじゃないかと単純に思うんですが。そのあたりはどうなんでしょう。

(知事)
 そういう見通しも、当然ありうると思います。けれども、私は、ここであまり細かくは申し上げませんけれども、この件での国の対応の在り方というものを見ていて、「単に形式的にこうだから、それで地方がそのまま黙っていれば済むというようなことでは、国と地方の関係っていうのはよくないんじゃないかな」ということを、当時、感じました。

(浜田:高知新聞記者)
 これは、平成13年度に表面化して以降、庁内で協議をかなりされてきたと思うんですけれども、「これはまずいんで、やっぱり返そうか」という判断に立っていた時期はないんですか?

(知事)
 そこまではちょっと明確に覚えておりません。それは、資料を見れば分かると思います。

(浜田:高知新聞記者)
 要するに、一貫して、「これはもう不正受給じゃないんで、返すつもりはない」という判断だったのか、ということなんですけれども。

(知事)
 庁内というのが、どのレベルかという・・・

(浜田:高知新聞記者)
 担当課と知事との協議の中で。

(知事)
 そういうことはないです。なかったと記憶はしています。ちょっと明確にはっきり、どうだったということは言えませんけれども。

(浜田:高知新聞記者)
 企画建設委員会のほうでも、「知事と事務次官とのトップ会談などをして、解決すべきじゃないか」という意見も出ていたんですけれども、直接、総務省のほうにご自身が行かれてお願いするというか。裁判になった以上は、それもできないという判断なのか。その辺りはどうなんでしょうか。

(知事)
 お願いをする筋合いではないだろうと思いますね。

(浜田:高知新聞記者)
 お願いというか、理解をしてもらうというかですね。

(知事)
 それは裁判ですから、そこまではできないと思います。

(竹内:高知新聞記者)
 現実に裁判に訴えられたら応訴するかどうか、という判断になるかと思うんですけれども、裁判に至るまでに、事務的に解決できた余地があったんではないかという気がします。

 裁判になってしまったら、1億4,500万円というお金以外に、議会にも出ていましたけれども延滞金がずっと増え続けていくわけですよね。

 で、国と地方との戦いという1つの側面で見ても、「県の言うことが正しい」と。「じゃあ、ぜひとも戦ってくれ」というほどの世論形成がなされているのか、「負けた場合でも、県民が税金でみるんだ」と。そういうことを多くの県民が理解して、後押ししているような現状にも見えないんですけれども。

 この問題が表面化した何年かの間に、傷が深くならないうちに、という言い方が正しいかどうか分かりませんけれども、十分、事務レベルで解決できた余地はあったと思うんですが、その辺のことは、反省としてあるのか。

 あるいは、それ以前に、「これはもう戦って判断を仰ぐんだ」というところに至っているのか。どうでしょう。これまでの県の問題に対するアプローチの仕方について。

(知事)
 いや。もちろん、今の時点で、私が何か間違っていたという反省に立っていることはありません。ただ、県民の皆さんにはまったく分かりにくい話ですし、国と県との具体的な事務レベルでの協議の内容とかいうことは、まったく県民の皆さんの知り得ないことですので。

 それは、それこそ要綱がどうだという形だけ見ていけば、それは「県民の皆さんの後押しをいただいて、断固」というものではないとは思います。

 ただ、ここ数年、細かく議論したことはありませんでしたので、それまでの具体的な協議の中では、いろいろ議論する中で、やはり「これは、そのまま受け入れるべきことではないんじゃないか」という結論に達したということです。

自伝について(2)
(釜本:時事通信記者)
 自伝の話に戻ります。いやらしい言い方になってすみませんが、印税収入等もこれから入ってくると思います。昨年行われた政治パーティーの資金の使い道も、まだこれまでの会見では決まっていないということもありましたが、新たな収入も含めて、今後、そういった資金を今後の政治活動にどのように生かしていくか。

 いい案なり、またこれまで聞いてきたアイデアで動いているところがあれば、教えてください。

(知事)
 昨年の政治資金パーティーの資金については、そのまま口座の中で眠っておりますので、その後もまだ、具体的にどうということはありません。

 それから、本の印税は、4,000部出ているだけですので。しかも著者として購入をした分などもございますから、振り込まれるのは50万円ぐらいだと思います。

(釜本:時事通信記者)
 それを使って、どうこうという話にはならない?

(知事)
 どうというほどのことではないです。

高知工科大学
(内田:毎日新聞記者)
 自伝の中で、昨年の高知工科大の学長選挙のあとの話が出ていたんですけれど。工科大は新年度で10年目を迎えるということで、先日、知事も卒業式のほうで、「企業から大変評価をされている」というお話をされていました。

 その一方、「高校側からの評価が、もうひとつだ」という話もありますし。(学長選挙のあとの話は)民間から来られた方と、今までおいでになった方の大学内での摩擦みたいなことだったと。

 知事の公約でつくられたものですが、この10年の知事自身の評価と、今後、経営とか学生の全入時代等、いろいろと課題があると思うんですが。今後、どういうふうに課題を解決していきたいか、そういう思いをお教えいただければ。

(知事)
 評価ということでいえば、高知という非常に地理的な条件も悪いところで、しかも工科系の単科の大学で、よくここまでの社会的な評価が得られるまでになったと。就職率もずっと97~98%という数字ですので。

 そういうことから言っても、学内の教員、職員も非常に頑張りましたし、社会的な評価もある意味、東京、大阪ということで言えば、極めて高い大学になれたというふうに思っています。

 ただ、先ほどもお話がありましたように、高校からの評価、特に県内の高校の評価、位置付けというものが相変わらず従来型の大学を見る目線、基準から変わっておりませんので、大変厳しい状況に変わりはありませんし、これからも、さらにそうした厳しい環境の中にさらされていくということになります。

 ですから、1つは、高校卒業の学生さんだけではなくて、社会人の学生さんというものをいかに確保していくかというのが、これはもう、どこの大学でもそうですけれども、大きなテーマになります。

 それから、高校を卒業して入ってこられる方々に、より魅力のある学科構成をしていく。これは、目新しい名前の学科をつくるというやり方もあるでしょうし、これまでやってきたようなフロンティア工学という5つの学科が連携をして、学生の求めるものに応じて、カリキュラムがつくっていけるというようなやり方ですとか、そうしたさまざまな魅力というものを打ち出していかなければ。

 あとは、高校との連携ということが非常に重要になりますので。特に大都市圏などの高校との連携をしていくと。姉妹校とまでもいかなくても、連携を強めていくということは、1つの今後の策として取り組まなければいけないことだと。

 そのほか、いろいろありますけれども。これまでは少なくとも、非常に厳しい条件の中で頑張ってきましたし、頑張ってきていますので。これからもぜひ、次の10年の飛躍に向けて頑張っていきたいなというふうに思います。

(内田:毎日新聞記者)
 大都市の高校との連携というような試みというのはなかなかないように思うんですが、今のところ、構想とかそういう具体的な話は。

(知事)
 構想っていうか、「具体的な高校が」ということではありませんけれども、幾つか候補というか考えられるところをピックアップしながら、これから直接、関係の先生方などに当たっていっていただきたいと思っています。

(内田:毎日新聞記者)
 一応、候補みたいなものは、ピックアップをしている段階。

(知事)
 リストとしてピックアップをしているということではないですけれども。「こういうところは可能性があって、行ってみる価値があるんじゃないか」と思ってくださる先生に、行っていただくというふうな形ですけれども。

タラソテラピー施設への補助金
(池:高知新聞記者)
 県議会の2月定例会で訂正になりました、タラソテラピーの関係ですが、職員の方の受け止め方を聞きますと、3つぐらいに分かれていまして。

 単なる知事いじめ、あるいは言い掛かりであるというのと。それと、担当部・課室、あるいは幹部の説明能力が足りないという受け止めを執行部内でされている方もいらっしゃいます。

 あるいは、今回のことは、特別職秘書とタラソテラピー、アウトソーシング、その3つぐらいの選択肢の中で、執行部としては一番傷の少ないもので終わったんじゃないかと、非常に突き放した見方もあったんですが。
 知事が今回の議論、訂正に至ったまでの経過で、どういったご所見をお持ちなのか、お聞きしたいのですが。

(知事)
 やっぱり十分、自信を持った説明ができていないということはあると思います。議会での議論で、議会としての判断ということで言えば、その点ではないかと思いますけれども。

(池:高知新聞記者)
 6月定例会に向けて、執行部で考えている方向性ですね。それは、どのようにお考えですか。つまり、補助率を変えるとか、あるいは議案は議案のままで、説明内容をかっちりそろえるであるとか。そのあたりの方向性はいかがですか。

(知事)
 まずやるべきことは、議案はそのままで、説明をきちっとしていくということが第一だと思います。

(池:高知新聞記者)
 全体として、課長以上の幹部の皆さんに、議会に対する説明に関して非常に濃淡があるというか、うまく説明できる人、あるいは臨機応変に対応できない人、そういうところでかなり差がありまして。

 この前の庁議でも、これに関係したのかどうかはっきり聞いていませんけれども、議会に対する説明能力、あるいはプレゼン能力をどうブラッシュアップしていくかというような話になったようにお聞きしましたが。知事は、そのあたりの課題というものをどのように受け止めていらっしゃって、課長以上のプレゼン能力を上げる必要性があるというようなご認識をお持ちでしょうか。

(知事)
 まず、プレゼン能力を上げるということは、今のレベルがどうであれ、絶えず必要なことだと思います。私たちの仕事だけに限らず、これからはやっぱりコミュニケーションがきちんと取れるかどうかということと、プレゼンテーションができるかどうかっていうことは、すべての業種の、すべての仕事の人材能力として求められることですので。プレゼンテーションの説明の能力というものは、これからもみんな、スキルアップをしていかなければいけないことだと思います。

 私自身は、予算委員会しか委員会というものをやっておりませんけれども、予算委員会もすべて紙は読まずにやっております。私は、部局長であれば少なくとも予算委員会レベルはもう紙を読まずにやるという形であってほしいなとは思いますし。その他の委員会でも、紙を読んで、下を向いたまま話をして、果たして相手の議員の方にその意が伝わるかということは思います。

 その場を全部見ているわけではございませんけれども、そういうようなお話を聞きますと。私は、やはり、自信を持っていろんなパターンに対しての準備をして、そして、それに対して答えられることは答える。答えられないことは「今、ちょっと、すぐ分からないから、後ほど」と言えばいいことであって、ということを思います。プレゼンテーションをもっともっと高めていかなきゃいけないと思います。

(池:高知新聞記者)
 それは、今回のタラソテラピーの問題には当てはまるという問題意識でしょうか。

(知事)
 それは、その説明の場面を見ているわけではございませんので、その点はリンクしては申し上げられません。

(竹内:高知新聞記者)
 タラソテラピーの予算のことなんですが、会期の延長をお願いしてでも議会に説明をして、何とか通すというようなご議論はなかったですか。

(知事)
 その判断について結論を出す時期がもう差し迫っており、担当の部のほうから「こうしたい」ということを言ってきましたから、それはもう時間のないことですので、それでよしと言いました。

高知女子大学生とのワークショップ
(北村:高知放送記者)
 話が変わりますけれど。
 先日、高知女子大学の学生と意見交換をされたと思うんですけれども。今後の、駅前複合施設構想を考える上で、何か参考になるというか、そういうものをお感じになることはございましたか。

(知事)
 いや。いきなり駅前(の構想)と結び付けて、ワークショップを開いて最初から「何かが……」ということではないとは思いますし、結果としてもそうではありません。

 ただ、参加した学生さんはほとんど、「非常に有意義で、またああいう機会があれば、もう一度参加したい」というふうに言っておられますので、やったことはとてもよかったと思っています。

 で、少し駅前のこととは外れますけれども、いろいろ細かいことで、お客さんへのサービスとして、われわれ設置者の側からすれば、すぐにでもできることは幾つかありますので、せっかくやったからには、そういうことを1つずつ実現をしていく。

 具体的に言えば、例えば、「トイレがものすごく暗くて汚い」というようなことをきちんとやっていくということも、ああいうことをやることの価値だろうと思います。

 いくらワークショップで何か「駅前を、永国寺を、池を」って話をしたって「言っても無駄だ」という話になれば、彼女たちにとってみれば、「絵空事の話の、単に意見を聞かれているだけだ」ということになりますので。目に見えて「なんか細かいことでも実現するんだ」「こうしたいという思いが伝わったんだ」ということをやっていくことが、一つは必要ではないかなと。

 全般的には、いきなり「駅前だ」または「永国寺か池か」と言われても、それぞれのところに通われている人は、それぞれのキャンパスしかご存じないわけで、なかなかイメージは浮かばないだろうと。そこはやむを得ないだろうと。そこはもう少し、そういうことを積み重ねていく必要があるんじゃないだろうかと思いました。

(北村:高知放送記者)
 駅前(の構想)の青写真を描かれるということなんですけれども、そういうものには反映させていこうという考えで?

(知事)
 それは、いきなり駅前の話には行きません。駅前の話ももう最初から申し上げているように、まず1つの提案として、お出しをしていることで。

 要は、「あれがいかん、これがいかん」というご意見はあるでしょうけれど。「あれがいかん、これがいかん」ももちろんいいんですけれでも、「せっかくある駅前の県有地または高知市やJR四国の土地を、どうやってまちづくりに生かしていきますか」と。

 「そういうものが、中心商店街から、はりまやから、どうつながっていきますか」っていうことを、そろそろみんなで議論すべき時に来ているのではないかなということを思いますので。そういうことを話し合っていく第一段階として、ああいうワークショップも位置付けられるんではないかと思います。

(吉川:テレビ高知記者)
 予定時間を過ぎていますので、よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。

(知事)
 ありがとうございました。

 


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