平成16年度 愛媛・高知交流会議

公開日 2007年12月08日

更新日 2014年03月16日

平成16年度 愛媛・高知交流会議

平成16年5月13日13時00分から(愛媛県喜多郡内子町 内子座)

(出席者) 
 加戸守行(愛媛県知事)
 橋本大二郎(高知県知事)




(項目)
松山~上海間の定期航空路線の利用(高知県上海事務所の活用など)
8の字ルートの早期完成
森林環境税や「山の日」の制定など森林保全に向けた取組み
四国におけるSLの導入
三位一体改革への対応
中山間地域等直接支払制度の継続
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(開会)
〇愛媛県 夏井 企画情報部長
 愛媛・高知交流会議を開催させていただきます。開会に当たりまして、愛媛県知事から挨拶申し上げます。
 

(あいさつ)
〇愛媛県 加戸 守行 知事
 すいません。座ったままでお話することをお許しいただきたいと思います。今日は、雨の中、わざわざ高知県からはるばると内子まで、橋本知事、御来県いただきまして、誠にありがとうございました。

 現在、内子、大洲、宇和を中心として「えひめ町並博2004」を開催中でございますので、そういった視点から、内子町で誇ります90年の歴史をもったこの内子座で、こういう形で開催させていただくこととしました。
 今までの両県知事会議と違いまして、今日は一般の県民もどうぞご自由にということで、関係者以外にも多くの県民・住民が参加されておりますので、何か一種の公開討論会のような雰囲気となりますが、お許しいただきたいと思います。

 現在、三位一体改革をはじめとして様々な形で地方自治体にとっての大きな曲がり角に来ている中にあって、各都道府県が、自力だけではもう難しい時代に連携・強調しながらスクラムを組んで地域振興を考える時期にきています。

 そんな意味で、特に愛媛県と高知県は、四国の中でも四国山脈を境にずっと大きな幅で背中合わせで住んでいる県でございましたけれども、これからは背中合わせではなくて、向かい合った形で、なるべく可能なものは両県一緒にやっていく、そんな形での話合いができればなあと願っているわけでございますので、1時間どうかよろしくお願い申し上げたいと思います。

〇高知県 橋本 大二郎 知事
 こういうようなお客様がいる中で知事会議をやるのも5回目で初めてでございますので、若干、緊張しております。

 いつものように、二人だけで、あとは役所の方がいるだけで、適当にと言ってはいけませんけれども、思いつきで話をすればいいかなと思って、何の勉強もしないできましたので、あまり良い受け答えができるかどうか分かりませんけれども、

 今、加戸知事からもお話がありましたように、背中合わせの県ではなくて、向き合った県として、何かまた良い意見交換ができればと思いますので、よろしくお願いいたします。

【松山~上海間の定期航空路線の利用(高知県上海事務所の活用など)】

〇加戸知事
 まず、愛媛県側としては、目下の大きなトピックとしましては、7月15日に「松山~上海便」という中国東北航空西北公司の機材が投入されて、運航が開始される予定でございます。

 愛媛県の立場だけで考えますと、この上海便が就航することによって、愛媛県民が、例えば関西空港を利用して上海まで行くということの経費の面、あるいは所要時間の面等々を金額に換算してみると、概算で年間には5億7千万円程度の経済的メリットが、愛媛県民にとっての直接のプラスがある。

 このほかに運航が始まれば、付随的な様々な形での利用者による大きなメリット、あるいは県経済に与える効果とかいう点で非常に重要視しておりまして、ただ、就航はしてみたものの、将来的にそれが存続できるかどうか、そういった点の懸念も実際にある。

 という意味では、単に松山空港からの上海便というのは、愛媛県だけの問題ではなくて、むしろ四国4県にとっても大変いい意味の効果を持つのではないか。そういった点で特に高知県側の御協力を仰げば、この便の存続、維持並びに両県にとっても色々な意味の効果が出てくるのではないかという点で、橋本知事にも一つ御協力方を要請したいなということがございます。

 一つの点では上海に高知県の上海事務所がありますが、愛媛県は窓口がない。そういった点では、高知県の上海事務所を愛媛・高知両県の事務所的な形で将来的に持っていければ、有り難いなという意味もございます。

 それと同時にインバウンドの面を考えた場合に、単に中国から松山、愛媛だけということではなく、松山・高知両方にとってもメリットになる色々なプランづくりということも必要になってくるのかなと思います。

 そういった様々な面での愛媛・高知両県が、この「松山~上海便」に対する四国の中国への玄関口のような意味合いでの協力を今回このチャンスを利用して要請させていただきたいなと思っているところでございます。

〇橋本知事
 「分かりました」と言うと一言で終わってしまうので、もう少し付け加えますと、先日といっても、もう何ヶ月か前ですが、大阪の伊丹空港に降り立ちましたら、県内の知り合いの社長さんがいて、「どこ行くの」って言ったら、「これから上海に行くので関西空港まで移らないといけないんだ」ということを言っておりました。

 その人は大豊町という愛媛との県境ですけど、そこでスポーツ関係の縫製の工場をやっている人です。何とか地域の雇用も保たなければならないということで、山の中で頑張っているのですが、それだけでは全体の採算が取れませんので、中国にも工場を持って会社全体の採算を支えながら、地域の雇用もということをやっておられる方で、前々から知ってはおりましたけれども、月に何度か上海と行き来をするということでございます。

 愛媛は大きな企業もたくさんございますから、上海近郊に進出していらっしゃる企業も何十社とあると思いますが、本県でも小なりと言えども、そういう形で上海に工場を持ったり、また、上海とのビジネスを色々な形で向こうから買う物、売る物をやりたいというので、動きがございますので、

まず県内の人でも松山の空港に行くまでの色々な足ということが、ある程度利便性を確保できれば、関西空港まで行って待つ時間だとか、かけるお金よりも、はるかに時間的にも金額的にも安く行けると思いますので、松山空港に上海便ができるということは高知の県民にとっても大変有り難いことだと思います。

 中国からの観光客の受入ということでいえば、上海に、先程話がありましたように、高知県の事務所があるわけですけれども、事務所の所長も「これは松山、愛媛県だけとか、高知県だけ云々ということではなくて、是非御協力したい」と言っておりますし、

松山に中国の方が降り立つことは、当然高知への入込みにということにもつながりますし、また先程の背中合わせでなくということでいえば、こういう航空路線を四国全体で維持できないと、四国州だ、道州制だと言っても、それは単に役所の役人の中の議論に終わってしまって、本当にそこに住む地域の住民の皆さんにとっての四国州というイメージ、取組みにはならないと思いますので、是非、精神面も含めてですけれども、この上海便を維持するために高知県としてもできるだけのことは頑張ってみたいなということを思います。

 そのプランづくりからいうと、僕も役所の担当から説明を聞いたばかりなんですけれども、浙江省なんかの方々の向こうの旅行代理店の役割をする方々にこちらに来ていただいて、各県がお金を出し合って四国の色々なポイントを見てもらうという企画がございますので、こういうものも含めて活用して商品づくりということをしないといけないと思いますけれども、

まずは上海事務所の活用ということで言えば、上海事務所を全ていきなり高知・愛媛上海事務所にはできないとしても、観光面というか新しい航空路線の維持拡大ということでは、ぜひとも愛媛・高知の共同の事務所だというような位置付けで活用していただければと思いますし、うちの所長と職員にもそのように話を是非しておきたいと思います。

 もう一つ、国際路線でいえばアシアナ航空、韓国の路線がございますが、この方はいかがなんでしょうか。状況は。

〇加戸知事
 実は上海便誘致を始めた段階で、アシアナの方が、一昨年までは70%以上の搭乗率を確保していたんですけれど、昨年、SARSの影響等々もあって60%を切ったものですから、アシアナの方でこのままの推移だと「松山~ソウル便」は撤退せざるをえないという話がありましたので、今あわてて「二兎追う者は・・・」ということわざがありますけど、一生懸命二兎を追って、ソウル便もぜひ残っていただきたい。

 そのためにも県としては可能な限りのことはするということで、例えば韓国側から御注文のありました松山空港から道後温泉までの、アシアナ航空便が着いた時の無料バスを走らせるとか、様々な取組みを今あわててしているところではあります。

 そういう意味で、特に今「松山~上海便」はスタートしても、当面、中国の方の出国の条件等々がなかなか厳しいようで、秋頃にはおそらく沿海部分、上海や浙江省関係の方は、かなり日本への渡航が自由化されると聞いておりますけれども、現時点ではそうはない。

 「松山~ソウル便」もスタートの時は愛媛からが9割で韓国からは1割のお客が、今は韓国側からが3割超えて参ってきてますので、インバウンドがかなり期待できる分野ということで、例えば道後温泉とかゴルフとかそういうものの組合わせによって、色々な様々なメニュー、プランでインバウンドの確保を図ろうとしてますので、

 このことはソウル便に関しても単に愛媛だけではなくて、高知も韓国からたくさんの方が来ていただく一つの拠りどころになるなという意味で、中国の方は将来的な意味合いで今申し上げているところで、すぐには韓国ほどインバウンドは飛躍的には期待できないとしても、大きな需用が見込まれる分野かなという意味では、今素地づくりをしておくことが将来につながるのかなと、そんな感じでもございます。

〇橋本知事
 韓国の場合は、先程お話のあったゴルフをなさる方もかなりあると思いますし、また中国の方はというように、国によって何をしたいかとか、何を見たいかというのはたぶん違うところもあると思います。

 それこそ、先程お話に出ましたうちの上海事務所長に聞きましても、中国の人にとっての一番の大きな魅力は「温泉」。で、これは道後に四国はお任せをする以外にないと思います。

 あと、「青い海」というのは中国の人にとっては大きな魅力ですし、もう一つはやっぱり「食べ物」で、食べ物としてどういうものが中国の人に提供できるかということも大きなポイントだと思います。

 食べ物など、これからいいものをうまく研究をしていくということも一つの課題だと思いますし、海からいいますと、青い海を見るには道路の整備も必要になりますので、そういうことも合わせて、少し長期的な課題になりますけれども、西南地域の道路整備というような形で、今後新直轄なんかの対応も含めて取り組まなければいけないことだと思います。

 それから、バスの今、無料バスっていうのはアシアナで着かれて松山から道後までというお話でしたけれども、先程も申し上げましたように、高知の人でも松山の空港までの利便性というものが上がれば、今の関西空港よりも、中部国際ができますとまた状況が変わるかも知れませんけれども、関西空港を使うよりも、絶対に松山の方が便利だと思いますので、

そういうことからいえば、この今ございます松山・高知便ですね、一日どれくらい走っているのかもよくあれなんですが、それがもう少し利便性という意味で上がれば、非常に期待できるのではないかと思うのですが。

〇加戸知事
 今、さっき事務局に調べてもらったのですけれど、松山・高知間の高速定期バスが、意外とびっくりしましたが、11本走ってます。

 所要時間が2時間半で、これは多分伊予鉄の駅ですから、空港まで行ってませんので、私の感じではこのバスを、例えば終着駅から松山空港まで、その国際便の時間帯に合わせた便だけは延長してもらって、その分の足し前は愛媛県の方でもつとか、そんなシステムにすれば、この11本のうち何本かは松山空港から高知市内への直行という形で運行できるのかなと、そういう期待が一つもてると思ってます。

 それと、先程お話がありました海の関係、特に西南地域でいえば、足摺岬にしても四万十川流域にしても、これは将来的に大きな中国人にとっても韓国人にとっても魅力のある観光地エリアになる。

 そういった点で、お話のあった新直轄ということで、宇和~宇和島間、須崎~窪川間が一応指定されたということで、一応、時間的な問題はやや別にしても、何とか見通しが立った。しかし、それだけでは足りないので、やはり8の字型のルートができて、初めて外国客のツアーを組むのに非常に便宜が出てくるのだろう。

 これは、将来の夢というか、希望というか、その方向に向かっての更なる努力が必要なのかなという思いはいたしております。

〇橋本知事
 今、お話を伺ってて思いましたけれども、もう一つやはり、そういう11便もバス便があって、上海への航空便ができれば、これくらいの時間でこう行けますよということ、広く、うちでいえば、高知の県民の人に知ってもらうということが必要だと思います。

 そのために、わざわざ予算組んで、お金かけてということはできませんけれども、県の持っている広報誌などの中に、小さな囲みでも「今度、松山から便が上海までできました。

 高知からバスを利用していけば、何時間でどうして行けますよ」、「一度、試しに上海に行く時に、こういうルートも使ってみませんか」というようなのをお知らせ的に、どこかに入れさせていただくというふうなことも。

 それを香川でも徳島でも、もしやっていただければ、全然お金をかけずに広く利用しそうな人たちに声をかけることになるのではないかなと思って、そういうこともやってみたらどうかなとお話を伺って思った次第です。

〇加戸知事
 ありがとうございます。

〇橋本知事
 せっかくやっぱり全国でも、上海便をというところはいっぱいあったと思いますね、地方の空港で。その中で、松山を選んでいただいている、つまり四国を選んでいただいているわけですから、それを全体で支えていくというのは、これができるかどうかというのは、最初に言いましたように、四国全体で何かの動きができるかどうかということを考える時の一つの試金石にもなり得ると思いますので、

 アシアナ航空の時にはそこまでの、香川でもやっておられましたし、いろいろあるので、そういうあれがなかったですけれども、上海は今、ある意味では特別な意味を日本にとっても持っておりますので、東方航空が選んでいただいた路線というのは、是非大事にしたいなと、四国として大事にしたいなということを改めて思います。

〇加戸知事
 これは中国側も「松山~上海便」を選定した理由の一つに挙げているのは、ヒンターランドとして四国4県がある。そういった点で将来の需要が見込めるということも選定の一つの理由にはしておりましたので、そういった点で特に高知県の御協力を得られるかどうか大きな鍵を握っていると思います。

〇橋本知事
 全国でもやはり競争があったわけでしょ。この上海便を取りたいという競争が。

〇加戸知事
 ええ。もう既に松山より先に青森、小松、富山、その他多くの空港が名乗りをあげていました中で、一番後発部隊の新参者の松山を最初に選んでもらったというのは、やはり今言った、将来の利用客の需要見込みというのを計算されたのではないのかなと思っております。

【8の字ルートの早期完成】

〇橋本知事
 先程、道路の話に広げましたけれども、やはり四国西南を一つの中国などから来られる外国のお客さんの受け皿として考える時に、道の整備は欠かせないと思うのですね。基幹的な道路は。

 これはそういう観光面で国内のお客さんだけではなくて、海外のお客さんを受け入れるということが現実味を帯びてきたという意味からも絶対必要ですし、特に本県にとっては、南海地震への対策ということで、緊急避難路としても、また応援の部隊が着くための道としても、安全・安心という意味で欠かせない社会資本ですので、力を入れて取り組んでいきたいと思うのですが、

愛媛県にとっても残された区間がこの西南地域でございますので、是非その新直轄や何かへの対応、従来の直轄ともちろん制度的に違ってますが、実際に地方負担がどうかっていうのは、もう一つ目に見えないとか、いろんな問題もあろうと思いますので、是非また抽象的な言い方ですが、手を合わせて取り組んでいければなということを思います。

〇加戸知事
 実は2週間前に妻の運転で、滑床渓谷のある松野町を朝10時に出発して、四万十川流域から足摺岬、そして宿毛経由で松山まで、いろんなところに寄り道しながらですが、帰り着いたのが夜11時でしてね、いや長い長い道のりだなと。

 やはり道路が、特に高速道路があるとないとでは、相当違うなというのをつくづく実感させていただいたんです。

〇橋本知事
 それは奥様も相当お疲れでございましたでしょう。

〇加戸知事
 ええ。かなり重労働に耐えてくれたんですけれど。でも考えてみると、今の観光面における意味合いもあるし、それから先程のお話に出た、災害の場合のまさに国道56号線に代わる代替道路、それから医療機関への生命を救うというふうな様々な形で、経済性とか効率性とかいうだけの問題ではないなと思いますし、これはもう本当に愛媛・高知両県、力の限りこの8の字ルート特に四国西南地域には、あくまでも大きくアクセントをおいていくことだと思っています。

 また、今後とも、一致協力して進めさせていただきたいと思います。

【森林環境税や「山の日」の制定など森林保全に向けた取組み】

〇橋本知事
 はい。よろしくお願いいたします。それから、毎度毎度、こういう愛媛県との会だとか、四国4県の知事の集まる時にも申し上げててくどいようなんですが、本県の場合、森林環境税という形で去年の4月からスタートをして、11月11日「山の日」というものも設けて取り組んでおります。

 是非にと他の3県にもお声がけをして、愛媛ではかなり具体的に取り組んでいただいているということでございますが、どんな状況でございましょうか。

〇加戸知事
 一つは、森林環境税、高知県で取り組むという時に、私も4県知事会議で、「高知県で突破口を開いてもらって愛媛県は第2号になる。」と言わしていただいたんですが、今検討委員会を進めておりまして、言うなれば、税の問題と利用問題の二つの委員会で粛々と話を進めてまして、早期導入をという方向で、今努力させていただいております。

 それと併せて、産業廃棄物税の問題についても、つい先日、検討会議をスタートさせたということでございますが、この他に愛媛県も平成13年を「森林蘇生元年」と銘打ちまして、とにかく水源の森をつくっていこう、そういう意味では強力な間伐をし、混合林あるいは広葉樹林への植樹とか、様々な形での取組みを展開していますけれども、

お話にあった高知「山の日」、11月11日、理由をお聞きしたら、木がたくさん並んでる感じだから「山の日」というのは非常にいいなと思ってますんで、これを是非、「四国山の日」にまでアウフヘーベンできればいいなということで、4県の足並みが揃えばいいんですけども。

 揃わなくても、愛媛も、できる限り11月11日には、ミニ高知「山の日」のような形で、少し真似することになりますけれども、そういう風な気運を盛り上げていって、本当に四国4県が11月11日にそれぞれの県において、「四国はひとつ」という意味での意識啓発展開ができればと思っております。

〇橋本知事
 いきなりやっぱり4県が何としても一緒に揃わないとというような意識で、しかも大きな店構えで始めると、準備も時間がかかって、始まったもののすぐくたびれてということになってはいけないと思いますので、やれることから是非、力を合わせていただいて、進めていければと思います。

 今年は、たまたま今日も雨ですけれども、雨が多いので、昨日もちょっと徳島の方と話をしたら、早明浦も水が一杯だという話で、徳島、香川の方はという話をされておりましたけれども、愛媛も石手川のダムの問題も抱えておられて、間接的であっても、やはり森林の大切さというのは、四国の住民の皆様全員にかかわることだと思いますので、各県の中で産廃への対応だとか、色々。

 例えば地域での新しい税をつくるにしても、優先順位の問題だとか、県民合意のことだとか、いろんな課題はあると思いますけれども、小さく生んで少しづつ大きく育てるという感じで、「山の日」の活動を、是非御一緒に進めていただければなというように思っております。

〇加戸知事
 市町村をみてますと、とかくどこかが先に何かをしてて、そこがやっているのだからうちはそんなのについていくのはどうかというような、何か面子とかプライドというのが若干あるような気がするのですけど。

 私はそれを言っていたら、広域の地域振興はできないと思うし、例えば今の「山の日」にしても、高知県が始めたから高知の話で、四国でやる時はまた別だというような、そんな狭い根性ではなくて、どこがどういうアイデアを持ってどうスタートしようといいものだったたら、4県がそれをみんな一緒にアイデアをいただき、一緒にやろうという方向に向かうべきだというのが私の基本的な考え方ですし、

 少なくとも「四国山の日」ができるまでは「高知・愛媛山の日」ぐらいで、まずスタートしてみたらどうかなと思います。そういう意味では、このことに限らず多くのことで、どこかの県が何かをしてて、これは四国共通でできるじゃないかというのが、4県が全部一緒のほぼ共通の思いで取り組んでいく方向に向かえば、四国州実現へのひとつのステップになると私は思ってますね。
 

【四国におけるSLの導入】

〇橋本知事
 是非とも、そういう方向にいければなということを思います。それから、かなりお金もかかる話ですし、いろんな検討課題もあると思うんですが、これも前にNHKさんの四国4県の会などで私の方からも持ち出しました、JR四国さんが言っておられます「SLを復活させたらどうか」ということで、その後の検討はどうかということを担当課の方に聞きましたら、

 当初はそのSLの復活そのものに2億円、レトロの列車に1億円、その後のことはJR四国が維持・管理をお任せくださいというお話で最初の御提案がきたわけですけれども、詰めていけばいろんなことが出てきて、4年から6年に1回オーバーホールというか、全体を分解して検査をしなくてはいけない、その費用がかかるとか。

 それから、JR四国ではなかなか持つわけにはいかないから、財団なり協議会なりをつくって、委託形式でやって、一定の運営費補助というようなお話がありますので、事務的には詰めなければならない課題が、これもまだまだあるということは認識をしていますが、僕はやはり最初の観光ということに戻っていえば、いろんなイベントへの使い方とかいうことで、可能性はあることではないかと思います。

 近く、先進地というか、真岡などの状況も視察に行くということも聞いておりますので、私自身は依然として前向きに取り組みたいなと思っておりますので、また、前向きに一緒に考えていただければと思うのですけれども。

〇加戸知事
 これは、私も非常に今意欲的でしてね。現在、4県の事務レベルで協議を続けてますけれども、当初よりちょっと数字が膨らんだなという印象を持っていたのは事実です。

 初期投資としては、今の3億円の問題がありますし、この他にJR側に言わせると用員養成等でまた1億の経費がかかるとか、オーバーホールの問題は4年、6年後の話ですから、その時に継続するかどうかという問題で考えればいいことではあるのでしょうけど。

 あと運行経費は当然また赤字が出る、その時の赤字をどういう形で4県が持つのかということと、あとは若干走行区間を考えると、愛媛、高知、徳島は走らす場所があるけれども、あまり香川県はSLを走らせて何か客の来そうな場所があまりないのかなという点で。

 しかし、これも考えようによっては、分担金の割合を香川は軽減するとかいう形で4県スクラムを組めなくはない話だし、単なる最近費用対効果といってますけれども、SLがあることによる心理的なイメージ、それから、言うなれば自然、古き良き時代を思わせる四国の風土ということは、間接的に四国を訪れる客の増にもつながると。

 そういうものを金額換算すれば、いくらになるか分からないけれども、決して無駄な投資ではないと思うし、何となくふるさとの原型というような喜びを作り出すという点では、それほど私は、おそれる数字ではないのではないのかなと自分は思ってますので、推進の方向で是非4県一致協力できる方向へもっていければなと思っております。

 また、JRも今度、会長に就任される梅原社長、非常に意欲的でございますから、ああいう素晴らしい方がいる間にこの実現を何とか図りたいと思っております。

【三位一体改革への対応】

〇橋本知事
 ありがとうございます。少し観光や、何かやわらかいというか、ソフトな話でしたけれども、少々硬いというか、大上段の話で、三位一体の改革の今の進み具合をどう見るか。

 そう状況が変わっているわけではないですけれども、今後、6月初めに骨太の方針ということが言われてますが、多分、選挙前でもございますから、具体的なことをあまり言わずに行程表を示して、夏から秋にかけて選挙が終わってから集中審議的にという方向のようですし、

 あまり政治向きの話をするのはあれですが、国政選挙もそう大きな変化がもしないとすれば、このままの傾向でいくということも、ある程度覚悟せざるを得ないかなという中で、この三位一体に地方としてどう取り組むのか、批判もしながら妥協点というのか、落とし所も見つけながらいかなければいけないかなという、やや悩ましい感じを最近持ち始めているのですけれども。加戸さんいかがでございましょうか。

〇加戸知事
 これは、47都道府県知事の中で、少し私は異端児に近いのかなと自分自身で思いながら、この問題を見ているところがあるのです。大切なことは、今、地方の自由・自主性という形で国庫補助負担金を削減して一般財源化という、基本的な方向は正しいと思います。

 この時の今回の三位一体改革が言うなれば交付税と臨時財政対策債の2兆9千億円のカット、これは各県、各市町村の懐を直撃した大きな問題ですけれども、今度の麻生プランでは現状を確保ということを出されているから、自治体は喜ばれるし、私も基本的にはその方向で取り組むべきことだけれども、それで通るかどうかというのは、また違う要素があるんだろうな。

 特に国家財政をみても84兆円のうち、収入が国税が43兆円ですか、あと37兆円近くが国債を発行しなければいけない。こんな状況のままで国家財政が持つわけないなと。

 県の方も市町村も、今国家財政に依存して地方交付税といっているけれども、交付税のうちの法定5税の分はわずか半分で、残り半分は国が借金するか、自治体が借金するかで、つじつま合わせをして財政運営している。これが続けられるわけはない。

 とならば、私は、やはり国も痛みを感じながら、県や市町村も痛みを感じて、スリム化をして、合理化をして、生き残っていくしかないんで、単に今までどおりの維持をしろということは、自治体側が主張するのは少し甘えになるのではないのかな、そんな目で見てる点があることも事実です。

 さりながら、急激な変化というのはやはり大変ですから、平成16年度予算編成も四苦八苦しましたが、多分17年度予算編成も四苦八苦になるんだろうなという点で、今先ほどお話があった参議院選挙前だから、そんなにポンという形でドラスティックなものは出ないで、また、年末のどさくさ紛れに何かが、ギャーというのがでてくる可能性はあるなと思いながら、それに対する牽制球の意味で、世の中は超強烈な急激な変化では持たないよと。

 しかし、痛みは少し耐えるけれども程度問題だよということをどこまで国側に理解してもらいながら、自治体の苦しさを訴えていく、その手法を取ることなんだろうと思っています。そういった点でちょっとニュアンスの違いがあるという意味では今のようなことがあります。

 それからもう一つは、私自身が文部省の出身だから言うわけではないのですけれど、義務教育国庫負担金の取扱いが、金額が大きいだけに超目玉になっています。あれさえやれば、他のところほとんど関係なしに物事が済んじゃうだろう。

 しかし、そうなって本当にそれは三位一体改革が目指したことなのかなあと、私は常に、義務教育負担金はラストバッターであるべきで、トップバッターであるべきでないと、そのことによる効果は何なのかということをよく考えないと、単に今まで国が半額負担してたのが財源を地方に持ってきたから、それでは万歳という事柄なのだろか。

 義務教育の本質とか、あるいは水準の全国的な維持という視点で、それで不安がないのかどうか、そこは慎重にすべきだということを訴え続けて来てまして、最近はやっと20県ぐらいの知事が、だんだん愛媛県知事の意見にも理解を示していただくような状況には来ていますけれども、

 もっとそういった大きな見地からの議論をしていただきたいのが、財政諮問会議という数字合わせだけの、ただつじつま合わせの結果が出ることに関するおそれ、不安感といったものは持っている。そういう意味の何か牽制球を投げたいな、そのためにも私も叫びたいなとは思っています。

〇橋本知事
 三位一体の話は、いろんな切り口というか見方がございますので、極めて議論がしにくいというか、地方の財政が、地方がこれまでの交付税や何かに甘えているじゃないかと言って批判をする側はどっか1点だけを見つけて、それを指摘すれば、おかしいじゃないかと。

 こういうふうに言えるわけですけど、全体的な地方交付税制度のそもそもの成り立ちだとか、法定5税のパーセントの問題だとか、ということをくどくど言っててもなかなか国民の皆さんにはピンとこない。

 それを批判をする側はポンポンと分かりやすいところだけをついてこられるので、それに対してそもそも論だとか言っていても、自分自身歯がゆい思いがあるなという気がしております。

 それから、ただ、さりとて、県の予算にしろ、県内の市町村の予算にしろ、地方は無駄が多いとか、甘えていると言われて、それだったらどこを削り込めるんだということを考えた時に、それはいろんな見方はあると思いますけれども、本質的にいけるのはもう人の数だとか、人件費だとかということにかかわってくるかなと。

 そういうことを言ってそろそろ表現をしながら、県民に皆さんにどういう選択をするかということをお話をしていかなければいけない時期かなと。

 参議院(議員選挙)がございますので、議会も7月の半ばぐらいになりますので、そこら辺には、これまでの市町村合併のスタンスも、ちょっと加戸さんと僕とは違っていたとこがありますので、そろそろアクセルなのかハンドルなのか分からないですけれども。

 少しアクセルを踏むか、ハンドルを切るかしなきゃいけないかなということを感じて、今お聞きになっている方は何を言っているか分からないと思われるかもしれませんけど、非常に悩ましい思いを持っているところです。

〇加戸知事
 多分、平成17年度予算編成、各県同様だったと思いますけども、社会保障、いうなれば民生費的なものは、どんどんどんどん膨れ上がっていっても切るわけにはいかない。しかし、財源もなくなってきた。

 とすると切り込めるところは、土木・建設事業しかない。しかし、これもそろそろ建設業者が皆悲鳴をあげてきている。残る、切る部分というのは、大きなウェートを持っているもの、社会保障、土木費と並ぶのは、人件費ですね。

 人件費というのは定員削減、あるいは給与のカットしかありえ得ない。じゃあ、今までの維持をしようとするならば、今までどおり借金の付けまわしで、また予算を組むしかない。ということだったら、今までと何も変わらなくなる。そういう意味では、私は、合理化によっていかに人をうかすかということを考えるべきだ。

 という点で、市町村合併を推進している理由の一つには、今までの愛媛県であれば70市町村の何千人、あるいは一万人を超える人達は本当にこのまま必要なんですかと。合併すれば随分人間減らせるんじゃないですかと。

 そういう意味で、私は市町村合併の旗を振った一人でもあります。そのことは四国州にしても、四国州というものができれば、四国4県の今の県庁の職員、このままいるはずはないでしょうと。何分の一かにできるんでしょう。それだけの財源浮くでしょうと。

 ということを、ある意味では現下の状況の中で子孫につけを回さないでがんばるとすれば、今もう切り込めるところはそこしかなくなってくる。そういったのが私の基本にあるものですから、かなり厳しい言い方になって、皆さん今までどおり何とかしてくれということは、国が借金してもっと仕送りを今までどおり続けてくださいという、これは甘えの言い方になっているんじゃないか。

 ただ県として言いたいことは、県も我慢してこれだけやるんだから、国はもっと率先、垂範して、自らのスリム化をなぜなさらないんですかと。それをやれば県もついて行きますよということを国に求めたいという気持ちがある。

 これは知事会等でも、もっと強調すべきことであって、単に今までの地方財政のために国はちゃんと今までどおり面倒を見ろだけでは通らないという客観状況は認識した上での、どういうものの言い方ならば理解が得られるのか、あるいは妥協点、あるいはバランスの取れた施策っていうのが出てくるのか、そういう方向を思考すべきであると私は思っていますけどね。

〇橋本知事

 「国も率先、垂範」ということで思いますのは、これまでの知事会と例えば国とのということで言うと、9兆円の補助金(の廃止)というものを出してて、それはそれで一つのアピール効果だとは思いますけれども、ある意味ではマスコミの見出し的な話であって、そうなると9兆なのか6兆なのかということになって、どこを落とし所にという話になるわけですね。

 そうじゃなくて、今言われたような「国も努力をしなさい」と。「こちらも努力をしてますよ」と。その部分が十分伝わってないところがあるんじゃないかと思います。

 行財政改革というのは、国よりもはるかに地方の方が先取りをして進めてきておりますし、本県でも、愛媛県とは全く財政状況が違いますから、財政改革ということをずっとやってきて、14年度でほぼ収支均衡、15億ぐらいの不足というところまでもってきたのが、2年間でまたあっという間に、何百億円も圧縮したにもかかわらず、更にそれでも2百億円以上の財源不足が出るという状況になってきておりますので、そういうやっぱり努力をしてきた。

 それから人員的にもピーク時から比べると、うちの場合、12%ぐらい削減をしてきてますので、こういう努力が全然報われないというか、評価をされないシステムになっておりますね。

 これらのことをきちっと言って、それに対して国はどうかということをもっと知事会なり地方としてアピールをしていかないと、単に地方交付税の財政調整、財源保障ということも大切なことですけれども、なかなか一般の方々には分かりにくい話で、遠回しになってしまうのかなと。

 行財政の削減をすべきじゃないかということは、多くの国民が感じておられることだと思うので、その点での努力を地方がこれだけしているのに、国ではという訴え方を、もう少しうまい表現で分かりやすい事例も挙げながら、やっていったらいいことなのかなと、今お話を伺いながら思いました。

〇加戸知事
 ただ、私、国に一つ同情しますのは、今、国家予算の中で医療、保健、福祉の経費が20兆円に上ってまして、毎年金額は多分1兆円近く増えつつあると思いますけども、そんな状況の中で、歳入は伸びない、社会保障の支出は1兆円単位で伸びていく。こんなのは国だって予算の組みようがない。

 地方の面倒を見ようがない。だから、借金が膨れるのは当然だと思う。今度の年金改革にしても、あれだけの抜本的な問題で、大事業ですよね。言うなれば、歳出を、給付を切り詰めるか、それとも借金を増やすか、選択肢は2つしかないのですから、そういうのを見た時に、現実を国は国民にもっと明らかにすべきであるし、だからこういう痛みを伴うけども勘弁して下さいという理解を求めないといけない。

 それが、なかなかもどかしい状況にあるなと思います。例えば、県の財政にしても今交付税はカットしてはいかんとがんばりますよね。でも、交付税の中で大きなウェートを占める社会保障の支出が国で伸びれば、地方も連動して社会保障の県の負担金、市町村の負担金が伸びるわけで、それは交付税によって裏打ちされると言っていながら、交付税の中身が薄くなれば、これは義務的にこれは出さないかんものだと。

 その辺の悩みが、結局できることは土木・建設と人件費しかなくなってくる。これはもう常に同じ問題がいつまでも続くと思います。社会保障が伸びるたびに土木・建設費を切り、社会保障が伸びるたびに人件費を切っていったら、将来どうなるんだろうという不安感を覚えるから、やっぱり社会保障経費の問題を抜本的に国が解決してくれなければ、国も大変でしょうけれど、地方も同じように大変なんだよと。

 そこのところがもうちょっと県が、あるいは市町村が甘えていると言いながら、甘えざるを得ないのは社会保障は義務的な経費なんだと。しかし切り詰めるとしても、これから切っていく所が、どこにあるんですかということを訴えていくしかないのかと私は思いますけどね。

〇橋本知事
 そうなんです。あと、今のお話に絡んで、市町村合併に対する加戸さんのお考えも、それから四国州ということへの考えの基本にも人の数ということが一つありますよと。

 それはもうそのとおりだと思いますし、無駄と言うか、必要なものだけに限って、残りは削減をして、その分を別のサービスに使っていくことは当然だと思うのですけども、その一方でこれまで県なり市町村なりで抱えていた雇用が失われると、そのことが全体の地域経済や個人消費に与える影響はどうかということも中期のスパンでは考えるのですけども、そこら辺はどんなふうに思われますか。もう民間に吸収をしていくと。

〇加戸知事
 結局、それはおっしゃるとおりなんです。じゃあだからといって、今のなるべく行政上の雇用を減らさないようにしようとすれば、やはり税金依存でしょうと。あるいは将来の子孫に回す借金依存でしょうと。そこら悪循環は断ち切らないといけない。

 今、背に腹はかえられない中で、一番理解を求めるというか、筋の通るものは何かといえば、行政のスリム化、これは県民、国民がなるほどと思う。もちろん今の景気の問題、雇用の問題という点で、悪化の原因を助長することになるということになる。

 そのための前提としては民間の雇用が増えなければいけない。だから新しい産業を創ってください。景気を良くしてください。そちらで働く場をたくさんつくってください。だから、行政の雇用は減らしていきますけど、民間の雇用がそれに反比例して増えていく。

 そういうシステムができなければ、確かに将来の財政上の論理だけでスリム化したということになるから、大きな問題があることは事実だと思います。ただ基本的には、私はやっぱり税金依存という体質を少しは変えるべきではないのでしょうかというのが、考え方の根っこにあるものですから。

【中山間地域等直接支払制度の継続】

〇橋本知事
 もう一つ堅い話で恐縮なんですけれど、本県の場合、非常に中山間地域が多いので、そういう中での集落の維持のために直接支払いといいますか、この制度が、かなりといいますか一定の効果を上げてきたと思っています。

 最近の新聞で、財務省が、またこういう制度をもう聖域ではなくてということが報じられていますけれども、僕としては中山間地域の維持というか、経営を少しでも続けていただくためには、必要な制度だと感じているのですけれども、愛媛県の場合には、直接支払いの制度への取組みとかスタンスはどんなものでございましょうか。
 

〇加戸知事
 これは、今橋本知事が考えられているのと、私全く同じなのですけど、愛媛県の場合は中山間地直接支払制度の導入によって、言うなれば、離農、耕作放棄地が減るということ。

 それは引いては単に農業問題だけではなくて、国土保全とか将来の食糧安保のある意味での間接的な担保にもなるということと、結果としては農家への所得保障になってますから、所得保障的な色彩でいつまでも続けるということではなくて、国土保全、将来の食糧安保の一つの保険、担保という意味で継続すべきだと思っています。

 ただ、今までどおりいくかどうかは財務省もこれはまた、「鵜の目鷹の目」で、切る一つの材料にしようとするでしょうけれども、それは農業政策として考えるのではなく、むしろ今言った環境保全、国土保全という、また山の問題に私は似ていると思うのですね。単に林業の保護のために今、山に力を入れるのではなくて、日本という国土を守るために、将来悔いを残さないというためにという点では今の中山間地直接支払でも、やや似たような制度ではないのかなと。

 だからそういった点で、今森林環境税とかあるいは産業廃棄物対策税とか、そういう意味で、これは必要ですか、もう荒れたままでいいですかと国民に問いかけて、それならば、必要と考えるのならその地域は特別な地方税で賄うという方法に、方式を国が直接支払しなくても今度は県が直接支払するようなシステムに変更することは可能だと私は思います。

 問題は、あれもこれもではなくて、これだけは何とかしなくてはいけない、そのための財源は何をもって充てるか、その交通整理をすることが必要だと私は思いますし、その視点でいえば、今の中山間地直接支払制度は、欧米が行っている農業保護政策とは全く別の次元からの、日本独自の日本の国土を守るという見地から、私は絶対必要な制度であると思います。

 もちろん金額が今の1割カット、2割カットっていうのは財政上の論理としては分かりますけれども、制度は堅持すべきだと私は思っています。

〇橋本知事
 そうですね。あと、今のお話でも思いましたけども、県の中でも、うちでいえば森林環境税に基づいて、それをどう活かすかという森林局何々課。それから中山間の直接支払制度は農林水産部何々課と。こういうことで、やはり縦割りの仕事になってしまう。

 だけど「山の日」の活動も直接支払の制度も基本理念は、ほぼ同じところにあるわけですね。そういうものが、例えば「山の日」という活動の中で少し理念的な話になりますけども、一体的な取組みとして進んでいくようになれば、単なる農業のため、林業のためという戦後何十年続いた政策の延長線上じゃない、山への取組み、国土保全への取組みということに繋がっていくじゃないかということをお話を伺いながら思いました。

〇加戸知事
 そのとおりで、私は今の日本国民は将来、自分の子供や孫達にどんな国土として残していこうと思うのですか、受け継いでもらいたいと思うのですかということをまず考えてみた時に、そうすると政策の選択のウェートというのは、自ずから高さ低さは決まるだろう。

 だから、目先の今、こうした方がかっこいいとか、これの方が受けがいいとかじゃなくて、後世、ほぞをかまないような、当時の為政者は何をしてたんだと言われないような、そういう選択をすべきどと私は思ってますね。

【町並博2004のPR】

〇橋本知事
 そうですね。今日はせっかく内子に来させていただきましたので、町並博の宣伝というか、見所を何か教えていただければと思います。

〇加戸知事
 ありがとうございます。これは、多分日本で初めてだと思いますが、パビリオンを一つも造らない博覧会です。

〇橋本知事
 金をかけないという。

〇加戸知事
 ええ。金もかけない博覧会。言うなれば、既存の自然の文化遺産、観光資源をそのまま、あるがままに全国の人に見てもらうきっかけをつくる。そのためにイベントを全部で百数十やるんですけども、全部地元の方々のエントリーによって、ここでは何をやりたいか。

 じゃあこれをやってくださいという形で、地域の盛り上がりで、「おらが町にはこんなものがある、外から来たお客さんにはおらが町ではこんなサービスができます」ということでやろうとする博覧会でございますので、派手さはないんですけれども、来てしみじみと古い町並の良さを知っていただき、かつ愛媛県民のおもてなしの心を理解していただいて。

 ですから、これは今の自然条件、歴史風土、そして愛媛県民の持つこの南予の人情というものを受け止めていただきたいということですから、なかなか通常の博覧会のように、はい百何十万人来ましたなんていうように数字で出る話じゃないんで。

 有料のものがほとんどありませんから、人数の把握はできませんけれども、「ただ南予はいいよ」と、「あそこへまた行ってみようよ」と言えるような、しみじみとしたささやかな十町十色の博覧会ということで、一つ高知県からも多くの方々が「行ってみたらどう」という形でムードが盛り上がってもらえればいいなと。

 息の長く、しかもこれは博覧会の期間が終わったらポシャるんではなくて、この伝統、今までの気持、取組みはいつまでも永遠に続けていただければいいなと、そんな思いのこもった博覧会でございます。

〇橋本知事
 その百いくつかのイベントというのは、何月何日に何があるというイベントですか。そうではなくて何か。

〇加戸知事
 それもありますが、多くは一定の期間、例えばこの地域ではこういうイベントをやりますと。ですから、短期のイベントものがかなり多いですけれども。ですから、それぞれ何月に行くと何日から何日まではここでは何があると、そんな形で非常に分かりにくいんですね。

 来る人にとってみれば、何を目当てに行こうかなという。要するに目玉商品があるわけじゃないですからね。行ってみたらこんなことがあったよという。そういった点では、ちょっと迫力に欠けることは事実ですけど。

〇橋本知事
 いやいや。これは加戸さんのアイデアでございますか。「町並博覧会」は?

〇加戸知事
 そうです。実は私は、南予出身で、八幡浜でちょっと離れてますけどもね。要するに、こういった町並中心で何か発信できればいいかなと、今までは道後温泉と5年前にできたしまなみ海道と2つでしたから、ということは東予と中予はあるんだけど南予はない。

 じゃあこの宇和、大洲、内子を売り出してみたらどうかとということで、しかもたまたま高速道路が宇和まで延伸しましたので、それにひっかけた意味もありましたけれども。

〇橋本知事
 まだ始まって2週間ほどですよね。

〇加戸知事
 そうですね。土日を除くと、ウィークデーの入りがどうかなというのが、でも少なくても今までよりは少しずつお客さんが増えていれば、それは息長く続けられるのではないかということで、機会がございましたら「愛媛で町並博っていうのがあるよ」ということをつぶやいていただくと、橋本知事の発言には敏感ですから、沢山の方がおみえになると思います。

〇橋本知事
 いやいや、先ほどのお話にもありましたけれども、やっぱりほかのとこがやっているから真似しないというのではなくて、どんどんいいもの、上手くいったものは真似をしていきたいと思いますから、是非また勉強に来させてもらって、柳の下のドジョウを。

〇加戸知事
 いやいや、私の方が真似するのは好きなんで、一昨年の高知国体を見て、「ああ、あれで愛媛国体はやれる」という自信を持ちましたから、そういう点で本当に有り難い国体でしたね。

【全国生涯学習フェスティバルのPR】

〇橋本知事
 あと、国体と言えば、文化の国体と言われる生涯学習のフェスティバルの方も何か。

〇加戸知事
 ええ。「まなびピア」が今年の10月にありますけど。これも実は先ほど申し上げた「えひめ町並博覧会」と開催期間をダブらせてますんで、それともう一つ県民総合文化祭というのとも、またそれもジョイントのような形で、だから単独で何かをするのではなくて、常に引っ掛け組み合わせていく。

 さっきの上海事務所も利用させてもらおうというのと同じ発想で、なるべく力を合わせて、あるいはどっかとリンクさせて総合的に行こうというのが、今、愛媛県の進め方でございます。

〇橋本知事
 是非、そういう手法をまた学ばせていただきたいと思います。

〇加戸知事
 ありがとうございます。

〇橋本知事
 愛媛に来た人には是非、「ついでに高知にも行けや」と声をかけてやってください。

〇加戸知事
 はい。これはやっぱりバーター取引でございますね。(笑)
 

(来年度の開催)

〇橋本知事
 当然高知でまた引受けをさせていただきますけれども、場所につきましては、また何かいい宣伝ができる場所を選んで、お待ちをしたいと思いますので、楽しみにお待ちください。

〇加戸知事
 来年だと、SLに乗った知事会議はちょっと無理でしょうから。

〇橋本知事
 無理ですね、まだ。是非よろしくお願いいたします。
 

(閉会)
〇夏井企画情報部長
 それでは、これを持ちまして交流会議を終了ということにさせていただきます。本日御意見をいただきました事項につきまして、対応が必要な案件につきましては、両県の方で事務的に協議を進めまして、積極的に取り組んで参りたいと考えてございます。橋本知事さんをはじめ、高知県の皆様、本日は本当にありがとうございました。

〇橋本知事
 ありがとうございました。


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