第5回ユニットケア全国セミナー  高知発!特別セッション「その人らしい暮らしを支え合う実践と、中山間地域のまちづくり人づくり」

公開日 2007年12月08日

更新日 2014年03月16日

第5回ユニットケア全国セミナー  高知発!特別セッション「その人らしい暮らしを支え合う実践と、中山間地域のまちづくり人づくり」

平成15年9月6日(高知市 県民文化ホール)

(リポーター)
 市川千香(高知県:葉山村社会福祉協議会事務局長)
 東武(奈良県:十津川村社会福祉協議会事務局長)

(パネラー)
 池田昌弘(宮城県:せんだんの杜副杜長)
 中越武義(高知県:梼原町長)
 中村秀一(厚生労働省老健局長)
 橋本大二郎(高知県知事)

(コーディネーター)
 村田幸子(ジャーナリスト) 


 


【村田 幸子】
 それでは、今ご紹介いただきました4人のパネリスト、そして2人のリポーターとともにこの特別セッション、進めてまいりたいと思います。

 ここでのテーマは、ユニットケアセミナーと言いましても、その施設の、ユニットケアについて焦点をあてるのではなくって、地域社会で、その人が本当にその人らしく、できるだけ長く暮らしていける仕組みは、一体どうしたら良いんだろうか、それを中山間地、という所を舞台に、考えていきたい、というものです。

 中山間地という言葉を聞きますとすぐ、過疎と高齢化、というのを思い浮かべます。若い人達がどんどん出て行ってしまって、結果お年寄りが残される。あるいはまた、大変厳しい自然環境、生活環境がある、というようなことですね。

 家も、昔ながらの家屋構造が多いわけですから、バリアフリー構造になっていない、いつまでも老いの身を託すにはなかなか辛い面がある、というような面も持っていますし、家が点在しているということもあるわけで、そこに、在宅サービスをお届けするのもなかなか難しい、安否確認もしにくいというような、大都会、あるいは都会地とは全く違う状況を抱えているわけです。

 こうしたところで、本当にお年寄りが、地域社会と関わりながら、できるだけ長く、その住み慣れた地域社会でケアを受けながら暮らしていくには、どうしたら良いだろうか、これはまた、都会地とは違った仕組み作りが求められるのだろうな、というふうに思います。

 高知県はまた、大変中山間地の多い地域、ということですので、高知県の例をいろいろ皆様方に発表していただきながら、それぞれの地域でお年寄りを支える仕組みの参考にしていただければ、というふうに思います。

 パネリスト、それからリポーターの方は先程、司会の方からご紹介がありましたので、ここではちょっと省くことに致しまして、一つ、訂正と言ったら変ですけれども、せんだんの杜の池田さん、いらっしゃいますが、副社長ではありませんで、せんだんの「杜」という字をとりまして、副杜長(ふくもりちょう)とこういうふうに言うんだそうです。私も間違いまして、池田さん副社長なの?て聞きましたら、いえ、副杜長です。と言われてしまいまして、そういう肩書きでいらっしゃいます。

 それでは、早速ですね、皆さん方にそれぞれのご報告をいただこうと思いますが、まずは高知とは一体どういう所なんだろうか、中山間地が大変多い、厳しい自然環境もある、生活環境も厳しいというけれども、その実態はどうなのか、そしてそういう状況をふまえて、県としてどういうふうな支えをしていこうと考えておられるのか、橋本知事の方からお話いただきたいと思います。お願い致します。

【橋本高知県知事】
 皆様こんにちは。ご紹介を頂きました、高知県の知事の橋本でございます。全国からお越しになった方々は、ようこそ高知においでくださいました。心から歓迎を申し上げたいと思います。この会場がこんなにいっぱいになるのは久しぶりのことではないかと思いますけれども、それだけユニットケアに対する皆さん方の関心が広がってきてるなということを実感を致します。

 村田さんから、まずは高知県とはどういう県かと、その地理的、地勢的な条件だとか、人口、年齢の構造だとか、そういうことをお話をすると共に、県の考え方、課題について述べよ、とこういうお話でございますので、若干、その点を数字も交えながら、お話をしてみたいと思います。

 高知県という県は、人口が大体80万人余り、でございますけれども、そのうちの32万人、およそ40%がこの高知市に住んでいます。高知市の周辺の市町村も含めますと、県の中心部におよそ60%の人口が一局集中をしております。裏返して言えばその他の大変広い郡部の地域には、少ない人口が散在をしているということから、過疎の市町村が大変多くなります。

 53市町村ございますけれども、その内、70パーセント、7割の市町村は過疎の市町村でございます。しかも、その地理的、地勢的な条件で言いますと、高知県は84パーセントが森林、林野、全国でも一番森林の比率の高い県でございます。つまり、それだけ中山間どころかもう、山間、山村と言って良い様な、大変急峻な地形の地域が、数多くございます。

 ですから、福祉ということに例えて言えば、ヘルパーさんが、お年寄りの家に行こうと思っても、1日の内に何件も行けない。そういうような、距離的なハンディキャップがあります。また、高知県は東京や大阪という大きなマーケットから遠く離れている、ということから、高度経済成長の波に乗り遅れました。ですから、その間に、若い世代の人たちがどんどん県外に流出をしていく、人口の社会減が続きましたから、その結果として、高齢化が急激に進んでいます。

 去年の10月1日現在の高齢化の比率は、24.6パーセントでございます。20パーセントを割っている市町村は、高知市19.1パーセントですけれども、高知市しかありません。逆にもう40パーセントを超えている町村が7つ、ございまして、一番高齢化の比率の高い、池川町という町は47.1パーセント、もう2人に1人がお年寄り、というような町も出てきています。

 こうした状況の中で高齢者の、前期高齢者と後期高齢者を見てみますと、今はまだ前期の高齢者の方の方が、1万人余り多いんですけれども、もう2年後には、平成17年度には後期高齢者の方が多くなるという現状にございます。

 一方、医療を取り巻く情勢はどうかと言いますと、人口10万人あたりの病床の数が、2,511.8床、全国1位でございます。日本の中で全国1位ということは、多分世界で1番ではないかと思います。自慢できることかどうか分かりませんけれども、そういう現状にございますので、老人医療費も、お年寄り1人あたりの医療費を見ますと、全国で9番目の高さになっています。

 介護保険の方でも同じ様に、施設の方を好む、施設の方を求める、という傾向がございます。そこには、いろんな背景がありますけれども、結果としてそういう傾向がございます。

 今、要介護の認定を受けている方の認定率は、15.3パーセントと、もう既に15パーセントを超えておりますけれども、この分野でもお年寄りの人口に占めます、介護保険の対象の施設の定員数というのを見ますと、これも全国3番目の高さでございますから、介護保険料が自ずと高くなる。一番安い所で、2,750円、一番高い土佐町という町は、4,800円というような、現状にございます。

 これが、高知県を取り巻く数字的な様々な現状ですけれども、こういう現状を前にして、県として、今取り組まなくてはいけない、と思っている重点的な課題が2つあります。その1つは、元気なお年寄りに、とにかく元気で地域で頑張ってもらう、そのための健康づくりのための支援の仕組みづくり、また、少し元気はなくなったけれども、家で頑張っている、また、家族が支えている、そういう方々が施設に行かなくてもいいような見守りの仕組み、また、支え合いの仕組み作り、ということです。

 そのためには、やはり住民の皆さん方の力を付けていかなければいけない、ということになりますので、それぞれの地域でこういう健康づくりや、支え合いの仕組みを作っていく、その、住民力をいかに高めていくかということが今、最大の課題ではないかと思っています。

 この後、梼原町と葉山村からは、県内からの現況報告として、具体的な報告がありますので、違う市町村の例を一つ挙げてみますと、四万十川の中流から下流に至る所に西土佐村という村がございます。この村も昔から保健医療や福祉に大変熱心な村でございますけれども、ここでは、他の町村でもやっておられますけど、3級ヘルパーを養成をして、そして、3級ヘルパーさんと、民生児童委員さんで地域の見守りの仕組みを作っていくということを、3年続けてやられました。

 その結果、全地域にこの見守りの、3級ヘルパーさんは、保健推進員という名前になっていますけれども、仕組みを作り、しかも、ただ単にそういう仕組みを作るというだけではなくて、だれだれさん、あなたはこの方の担当ですよ、この方のことを毎日、また、時々見てあげてくださいね、というように、担当者も決めて見守っていく、というふうなことをやっておられます。

 また、中土佐町という町がございますが、ここは、元気塾というふうな形で健康づくりの取り組みを地区ごとにやっておられます。梼原や、葉山もそうなんですけれども、そういうふうに上手く成功例として頑張っておられるところ、そのノウハウというものをきちんと学んで、それを他の市町村に伝えていく、その、オルガナイザーというか、そういう役割をしていくのがこれから県として大切な仕事だということを思っています。

 重点的な取り組み、2つあると言いましたけれども、もう1つは、施設の方にやはり、段々段々傾きつつあるということを申しあげましたが、先程の介護保険料にも当然跳ね返ってくるということになりますので、何とかやはり、在宅の部分をもっと充実をしていけないかなということを思います。

 けれども一度、施設に入られた方が、在宅、家にそのまま戻るということは、なかなか難しい面もあります。一方で、お家におられる方にとっては家族の思いはともかくとして、お年寄りご本人は、いきなり施設に、という思いが強くあるだろうと思います。

 ということから、この施設と、今住んでおられるお家とを繋ぐ住み替えの居宅、そういう仕組みを作っていくということがこれから大切な課題だな、と呼び方はグループホームでも何でもいいわけですけれども、そうした施設、また居場所ということを、ハードな面でも、ソフトな面でも作っていくことが重点的な課題だということで、この2点に、県として、力を入れて、取り組んで行きたいということを思っております。

 そうしたなかで今日は、ユニットケアのセミナーでもございますので、ユニットケアのことについても一言だけふれておきますと、去年、千葉県でセミナーがあり、そのときに7県の知事でですね、共同で取り組んでいこうと言って、いくつか挙げたことがございました。

 実は、いろんな事情で、高知県では、手がついていない提言、提案というのが幾つかあるんですけれども、その中で、高知県も今年度から始めたものに、ユニットケアのための、施設の職員の皆さんの研修というものがございます。

 具体的に言えば、16日間の研修になっておりますけれども、12の施設からお2人ずつ、24人の方に出ていただいて、まず、4日間、講義と演習をし、その後、5日間この仕事を委託をさせていただいてる千葉県の風の村の方に行って、現場研修をする。

 そして、また戻って、講義・演習をし、更に今度は、5日間、岡山の、きのこ老健施設の方に行って、現場実習をし、もう一度戻って、まとめの講義をする、というようなもので、11月までかけて、この研修をしております。

 今後とも、この研修ということ、人づくり、人の養成ということに是非力を入れていきたい、ということを思うんですが、といいますのも、高知県でユニットケアが始まったきっかけは、この全国セミナー、11年度が第1回ですけれども、そこに、参加をしました、高知市にあるヘリオスという総合福祉施設、そこの職員さんが、これはいいと思って、帰ってきて、呼びかけを始めたのがきっかけでございました。

 ただ、朝は何時に起きて、朝食は何時で、昼は何時、というスケジュールに追われてですね、お年寄りの気持ちということは解りながらも、そのスケジュールをとにかくきちんと消化をしなきゃいけない、というそういう思いで廊下も走ってお仕事をされてる職員の人に、このユニットケアの話をしても、なかなか通じなかった。

 だけど、できることからやってみようね、と言って、やってるうちに段々、皆の理解が深まってきて、このユニットケアが広がってきた、というお話もありました。

 それから、先程例に挙げました、西土佐村という所は、3,800人ほどの人口で、お年寄りの数は1,500人ほどおられます。もう、特養の施設もいっぱい、また、ショートステイ等も十床あっても満杯というようなところでございますので、ユニットケアといって、そのハードの施設の改造から入っていくと、もうなかなか、定員の問題から言っても、できないと、今ある仕組みの中で、何か職員の人の意識、考え方を切り替えることによって、ユニットケアにあたるようなサービスが出来ないかということを、よく言われます。

 と、いうようなことから、ユニットケアというのもですね、ハードの施設を間仕切りをどうする、それも、できることからやったらいいと思いますけれども、そのことありきではなくて、ユニットケアにあたるそのサービスをやっていくという意識をですね、それぞれの職員の皆さん、また、施設だけではなく、こういう問題に関わる方々に持っていただくということが、大切ではないかということを、自分自身思いました。

 つまりは、お年寄りに対して、ユニットと言っても、その場所を小さくしていく、施設のハードを小さな規模で、ということだけではなくて、その、お1人お1人のユニットに、人としての単位に、対応できるようなサービスができるかどうかということが、鍵なんじゃないかと思います。

 最初に村田さんも、それぞれの方が、その人らしく暮らしていく、ということを言われましたけれども、施設の中であれ、地域であれ、このことが、そのユニットケアの本質というか、一番の精神ではないかと思いますので、そういう思いを持ってもらうための研修とか、人づくりということ、最初に言いました、その健康づくりや、なんかの住民力を高めていく、というのも、まさに人づくりですけれども、ここら辺が一番の大きな課題・テーマかなということを思っています。とりあえず、このテーマに致します。

【村田】
 はい。ありがとうございました。
 橋本知事からは、ユニットケアという方法を進めていくうえでの重要な指摘を幾つかいただいたような気が致します。

 少し、補足してうかがいたいんですが、住民力をつけるというのは、非常にどの地域にとっても求められることだと思うんですね。高知県というところは、そういう地域のために何かお役に立ちたい、私の力を活かしていきたいという、気質と言いましょうか、そういうものがかなり、ある地域なんでしょうか。それとも何か動機付けして、呼びかけていかないとなかなか難しいようなところなんでしょうか。

【橋本高知県知事】
 私はそういう気持ちが非常に強い地域だと思います。例えば、去年、高知で国体と全国障害者スポーツ大会が開かれました。このときも、高知県には、なかなか多くの選手や役員を泊めていくだけの宿泊のキャパシティがありませんので、民泊という、お家を使って泊まっていただくという仕組みを作りました。

 そうしますと、それぞれの市町村、集落ごとに何県の選手や役員が来られる、という形でお家に泊まっていかれるわけですが、その、選手・役員が泊まられたところが、例えば静岡県の方々なら、静岡県の応援団になり、また、福岡県の方だったら、福岡県の応援団になって、チームを応援をするということで、おおいに盛り上がりましたし、その後、そういう他県との交流が続いている、というところもあります。こんな経験からですね、最初にその過疎、高齢化という言葉がありました。

 いつも、そういう形でマイナスのイメージでとらえられるし、また、繰り返し言われてるとそうかな、と思って、気持ちも沈んでくる、と。だけど、やればできるじゃないか、という思いを多分、国体のときに皆感じられたんじゃないか、と思うんです。

 そういう、やればできるという自信と、やったときの楽しさということを特に感じておられますので、その熱がなるべく冷めないうちに、元々そういう思いは、県民性の中には強い、私は、県だと思いますので、今申し上げたような仕組みをですね、できるだけ早く作っていきたいな、と思っています。

【村田】
 それと、住み替えの、自宅からいきなり施設ではなくて、自宅で暮らせない人が何か、住み替えて自宅のような感じで暮らせるような居宅、家をつくっていく大事さも指摘されたんですけれども、そのために、予算として、県としてはついているんでしょうか。

【橋本高知県知事】
 僕はですね、全て予算から入るということはやめようということを言っています。今の住民力の話もですね、例えば予算から入れば、何かそういう仕組みを作って活動するころに、何十万出しますよ、というようなことになっていくだろうと思います。

 そうではなくて、今、地域の応援団長という形で、ブロック別に1人ずつ職員を7人、地域に出しているんですけれども、これを来年度はもう思い切って50人出そうと思っています。再来年は100人にしようと思っています。それは直接、何か事務の担当をするという主旨ではなくて、そういう人たちにそれぞれの地域でいろんな取り組みがあるわけです。

 さっきの中土佐町というところの元気塾の取り組みもありますし、それから、四万十の一番下流の中村市というところでは、社会福祉協議会が地区別に、そういうコミュニティを立ち上げていこうということをやっておられます。そういうところに入ってですね、もう、県職員がオルガナイザーとして、その仕組み作りを手伝っていく、ということを是非来年度から具体的にやっていきたいと思います。

 今の、住み替えの居宅もですね、まず、予算をつけて何かやってください、ということよりも、その縦割りになっています、福祉ですとか、住宅だとか、県でやってくからには、なるべく、先程も言いましたように、森林率が全国一番の県ですので、県の木材が使っていくような仕組み、それによって住宅産業にも経済的な効果も出てくるような仕組みというのも考えていきたいと思いますので、そういうチームを作って、手を挙げてくれる、多分、梼原町などはすぐ、手を挙げてくださるんじゃないかと思いますけれども、そういうところと一緒になって、やっていけばいいと思うんです。予算は、その都度もう、できそうになったら、補正予算でも組んでやっていけばいいなと。

 まず、やはり、具体的に動く、そして、形を作っていく、その後に予算をつけていく、という順序じゃないかと思っています。

【村田】
 具体の形を県庁職員がその地域に出向いていろいろ議論しながら、とにかくまず作ってと。

【橋本高知県知事】
 そうですね。というのは、県で予算を作ってしまうと、それぞれの地域の実情が違いますよね。そこに入ってこられる人の数も違うかもしれない。それから、年齢層も違うかもしれない。あるところはお年寄りだけじゃなくて、障害者も一緒に、というところもあるかもしれない。

 様々なニーズと地域による違いがありますから、それを、ちょっと言葉が悪くて失礼ですが、十把一絡げ的に何か、その最大公約数で要綱を作り、予算をつけてしまうと、かえってやっぱり使いにくいことになるんではないかと思うんですね。

【村田】
 まさに、地域の実情に合わせて地域で工夫して考えてほしい、そこから出発するんだ、ということですか。

【橋本高知県知事】
 ええ、ただそれは地域で考えなさいよ、と丸投げをして、または、手が挙がらないから駄目ですよ、という意味ではなくて、そこにやはり、県の職員が一緒に出ていってそういう形を作っていく、と。アイデアを一緒に練っていく、ということが必要ではないかと思っています。

【村田】
 県の職員さんは嫌がりませんでしたか。

【橋本高知県知事】
 嫌がらないと思います。ただ、そのことを議論しておりましたら、その50人出したとしても、何をやっていいか分からない職員がいるんじゃないかと、いうことを言う方がおりました。

 が、自分も、それこそマスコミにいて、NHKの記者をして、遊軍という、例えば記者クラブを持たない仕事になったとき、何をしたら良いか分からないかというと、そんなことはないんですね。地域を回っていろいろしていけば、やることもいっぱい出てきます。

 多分、県の職員でも、本当に地域を回っていけば、これもやんなきゃいけない、あれもやんなきゃいけない、って言って、かえってあぶ蜂取らずになる位、やることは出てくるだろうと思うんです。

 ですから逆に、お前は何をするんだ、というミッションをきちんとして、その地域に出さなきゃいけないとは思いますけれども。はい、そういうような意見交換はありました。

【村田】
 はい。ありがとうございました。地域に出て行って初めて地域の課題が見えてくる、それを具体的に、どういうふうに解決していこうかという、知恵とかアイデア、というものが出てくるんではないかなというふうに思います。

 それでは、具体的な例として、梼原村の中越町長からご報告いただこうと思います。梼原村、きへんに寿と書く、大変素敵な字があてられている所ですが、柚須という木があるというのは、私初めて知りました。そういう由来の持つ町だそうです。村じゃなかったね、ごめんなさい、梼原町。失礼しました。どうも、何か、皆人口規模が後でわかるんですが同じなもんで、梼原町の中越町長さん。

【中越梼原町長】
 それでは、私たちが取り組んでおる、一部を紹介をして、問題点等を皆さん方にお知らせをしたいと思います。それでは、パワーポイントで少し見ていただきたいと思います。

 これ、我が町でして、「雲の上の町」とついた由縁のところです。

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 町の中心地でして、ここに約2,000人の方々が、今住んでます。

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 梼原町は、高知県の西北部に位置してまして、四国の中では西四国の中心地的な役割を担ってます。面積が236.51、今の人口4,455人。高齢化率、36.9パーセント、これは9月1日現在です。

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 私の町は、最後の清流、四万十川と言われた、四万十川の源流域に位置してまして、本当にここの一滴の雫が、谷となり、川となり海にそそいでます。そういった山紫水明の地とも言われています。標高が一番高い、ここ、1,455メーターあるんですけれども、この風力発電は1,300メーターのところに設置をしてまして、全国で一番高い地域にある風力発電施設だと言われてます。

 夏の間は、こういった放牧をしてまして、高知県で対応してます、土佐褐毛牛、赤牛を放牧してます。愛媛県との県境にありまして、黒い牛は愛媛県、赤い牛は高知県、というように住み分けになってます。

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 梼原町というのは、京都文化から流れて来てまして、愛媛県を主体として、こちらに、開拓をして入ってきた地域です。そういった意味から、1,100年の文化がございます。神楽もございますし、ここに茶道とございますが、今の時代でいえば情報を収集する場所、この建物は一軒半角のなかに先祖を敬う仏像をたてまして、旅する人々に茶菓の接待をする、という、夏の間は地域の方々が輪番で接待をしていただいております。

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 梼原町の基本的な構想というのは、3つ構えてございます。そのなかの、森と水の文化構想のなかの三本柱は、健康の里づくり、そして、教育の里づくり、環境の里づくり、この3つがこれからのキーワードだと、特に健康の里づくりとしては、健康文化の里づくりプランをたてて今後の地域づくりをしていこう、ということで、この3つの柱の中でも特に、健康の里づくりというのには、力を入れているところであります。

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 この健康文化の里づくりプランの大きな要約というのは、このプランを支える、健康を支える基盤・環境・文化づくりが必要だと、そしてその文化を支える人、システムがいる、あるいは町民の健康づくりをしっかりと対応する、といったことを主体として保健と医療と福祉を統合した梼原型病院を作る、その中には、支援センターと病院とが兼ね合わせてその対応をはかる、という形にしてます。

 この3つの統合したものを支えるために、先程知事の話にもございましたけれども、健康文化の里づくり推進員制度を作りまして、その方々が健康と、福祉とを支える大きな役割を担ってます。そのなかには、子育てプランである、あるいは、ユニバーサル梼原町づくり計画である、高齢者の福祉計画や介護保険事業計画といったことをふまえて、健康長寿の里づくりを一つの柱として対応しようとしてます。

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 そこで、健康文化の里を支えるシステムということですけれども、梼原町は明治22年に6ヶ村が合併して、できた町でありまして、今まで合併をした経験がございません。そこで、6つのシステムがございます。6つの区がございます。その区の中に、
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 自治組織がこの6つの中で区長制をとってます。その下に地区衛生委員長というのを、区と一緒になってその地域の衛生や健康文化を支える、という委員長制度をとって、その方々が町内全戸で組織をし、区の代表として町全体を見ていこうというシステムをしてます。

 その委員長の下に健康文化の里づくりを支える推進委員がございまして、20戸に一人の割合で出してますから、1回の研修で75人出る、昭和52年から始めてますので、現在14期、のべ1,037名という方が出てます。そして今から、2期前からは、この講座を3級ヘルパーの養成講座と兼ねて行っておりまして、健康づくりと、福祉を支えるといった、両面を担った方々がこのなかに含まれています。

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 そして、この支える基盤ですけれども、町内に、この町の中心地に梼原病院、保健福祉支援センターというのが拠点としてある、歯科診療所があり、そして、特別養護老人ホーム80床、身体障害者の養護施設といったところ、福祉団地がある、今、話のございましたように、高齢者の中間施設的な合宿施設が、それぞれの地域に設置をしてまして、これを連携して対応する。

 この、上にあります絵が、この福祉団地で特別養護老人ホームや、身体障害者の施設です。これが梼原病院と支援センターをした町内の保健福祉医療をリードする施設になってます。

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 それで、この統合された保健福祉医療をハード面でみますと、建物を一体化させて、物理的、あるいは施設の距離感をなくするということ、そして事務所を1フロア化をしてますので、皆さんの顔が見えるという形にする。

 そしてソフト面では、病院長が保健福祉支援センターのマネージャーとして、総合的な目を持ってこの地域を見る、ということにしてまして、総括的に保健と、医療と、福祉とが対応できる。更には支援センターの長が町内の福祉法人の理事、社会福祉協議会の理事を兼ねてまして、相対的にセンター長が町内の福祉基盤についてもしっかりとした目で、見ることができる、という体制にしてございます。

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 そして、この保健福祉改革、介護保険計画の中では、テーマを生涯現役としてその計画をたててまして、一人一人が生涯現役を目指して、地域社会づくりをする、ということをする、もう一つは、安心して暮らせるサービス支援を目指して、その対応をはかろうということで、皆さんが元気であれば、皆さんの世話ができる、ということもございまして、生涯現役、ということを、大きなテーマとしてございます。

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お互いが支える地域社会と、先程知事の話もありましたけれども、我々ができること、元気であればできること、といったことをここでしっかりと支えていく、という体制にしてあります。

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 ここで、この施設の整備の方法ですけども、現在自立、で、在宅でおられる。ところが、段々身体を悪くして、介護の認定を受けなければならない。それが介護から、看護に変わってくる。

 一方、在宅から次第に施設に向かっていく、というのが今の現状であります。自宅でおる方、それが、地域の施設を利用する、あるいは、町の近くにある幸福の家を利用する、生活支援センターを利用する、また、高齢者の合宿施設でグループホーム的な対応をはかる、をしますけれども、段々と悪くなれば、老健、療養型、あるいは広域的な施設に向かわざるを得ない。

 一方では、ふじの家に、お世話にならなければならない、利用しなければならない、と、そういったなかに、この病院がありますから、この一つの方法として、
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 ここの点、ここが高齢者の合宿施設、あるいは、在宅と、施設との、中間的な役割を担うという、今、施設になってますけれども、後で問題点として対応しますが、充分な利用になってない、というのが現状です。

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 そして、その合宿施設ですが、先程も示しましたけれども、こういったように町内の6つの中にこの施設を造ってございます。

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 合宿施設の概要ですけれども、この病院の2階のところに、支援センターの2階に住宅8戸がございます。これは、生活支援ハウスといたしておりますけれども、そういった形。それから地域にある家については、こちらがふれあい、あるいは交流施設として建てて、それに併設をして、合宿施設を建ててございます。

 こちらが住宅部門になってますし、こちらが、皆さんとふれあう、あるいは生き生きふれあいをする、あるいは皆さんとともに、今までの経験を活かした形で地域の方々が寄っていただいて支援をする対策を検討する、という施設です。

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 これは、使わなくなった母子センターを改修をしまして、作業所や宅老所、生きがいデイサービス等、あるいは老人クラブの拠点活動としての施設として利用させていただいてますが、ここに、5戸の入居施設を造ってございます。

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 この一端として、この施設の中で利用されてる皆さん方です。

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 これが、先程も出てましたけれども、この、梼原の西北部に位置する施設でありまして、ここがふれあいセンター、ここが住宅となってます。居室部。居室の内容はキッチン、トイレ等、風呂もございまして、大変、皆さんには比較的良い施設だな、と思ってますけれども、利用者の方々の思いに合った施設かというと、充分ではないのかな、という心配はしてます。

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 この施設の方々でいきがいのデイサービスを実施しているところです。

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 子供たちとの風景です。

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 健康づくり、あるいは体力づくり、転倒予防、事業といったこともいっしょになって実施をしてます。

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 ここは、先程の施設の下にございます。陽だまりとして、宅老所、皆さんと一緒には少し無理があるかな、といった方々がこの場所に出向いていただいて、それぞれボランティアの方々がこのお世話をしていただいて、会話をしたり、あるいは折り鶴を折ったり、手編み物をしたり等をしたなかで、一日を過ごされてます。

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 これは、老人クラブがこれからの生きがい対策のなかで、ニコニコ喫茶というのを開設をしてございまして、毎週皆さん方がここに寄って今までの経験等をお話しをしながら一日を楽しく過ごしている風景です。

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 また、一方では、食が大事だということで、食生活の改善、エプロン会という組織がございますけれども、その方に作っていただいた介護食、あるいは皆さんの生活の食を対応しておる所でございまして、何となくはげた私もここにおります。

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 そして、一方では男の料理教室もしてまして、大変、男の料理教室は人気が高いです。

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 これは健康づくりの一環として、雲の上のプール、温度30℃で、地熱を利用したプールを造ってございます。大変人気がたこうございますが、このお婆ちゃん、88歳、今89歳になられました。毎日のようにここに出向いてこられて、健康づくりをしてますが、大変明るい方で、歩いてますし、水泳をしてる、という状況です。

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 そこで、問題点として、山間地域の悩み、先程中山間地域と言いましたけれども、私の町はもう山間地域です。そこで、独居高齢者が、現在で210人。これ、17パーセント程度あります。

 高齢者世帯の増加、高齢者世帯と言いましても、65歳で2人だけで生活されるという方々が、248世帯、そして、広い面積の中に家が点在している、という点が非常に厳しい。そして、そのために効率的なサービスが提供できない、時間がかかる、あるいは皆さんが受けられないという悩みがございます。

 また、四国とは言いながら、私たちの町には、冬期には、積雪もございます。そうなると、皆さん方に充分なサービスの提供をすることができない。けれども、地域で生活されている方々は、やっぱり生まれ育ったところで一生を終えたいんだ、という願いが非常に強い、となれば、こういったことを、やっぱり、克服していかないと、地域の方々を支えることができない、という現状があります。そういった悩みを持ってございます。

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 そして、対策としてどうするのかと。先程、知事の話にございましたように、やっぱり我々でできること、支え合える地域社会をつくる、ということが必要だと。

 そうするためには今の、折角養成をしてあります、皆さんに認識を持っていただいておる、健康文化の里づくりの推進員制度を更に、有効に活用する、ということ。あるいは、各ボランティア活動のなかでできること、自分たちでできることをやっぱり積極的に参加をしていただいて、支える。

 そして、もう一つは、梼原町には昔ながらの6区の自治区があるわけでございまして、そういった意味で、地域で支えることができる事業というものを考えていかなければならない、それは、先程のポイントで示しましたように、生きがいであったり、生き生きふれ合いであったり、あるいは高齢者の思いをしっかりと組みとめて、将来につなげることをする、ということが必要と。

 そして、ハード面では、高齢者の合宿施設。先程も言いましたけれども、自宅から施設に至るまでの、知事もおっしゃられましたけれども、そういった合宿施設、グループホーム的な施設がやっぱり私は必要だろうと、そして、居住という皆さんが安心して暮らせる居住、そこが一番必要だと。

 その中でも特に、そういった合宿施設の中で要望が多いというのは、炊事ができること、あるいは便所が洋式であること、浴室があること、この3つが大きな要件となってございます。

 また、共同で対応したらできるではないか、というのは、語らいの場、あるいはふれあいの場、といったところは共同で対応してほしいという願いが強うございます。そういったことから考えると、その高齢者の施設、というものについては、居住で3つのこととふれあいができるような対策を考える、ということが必要と。

 そして、何といっても健康づくり、介護予防の拠点として利用すること。という、健康であれば介護のお世話にならなくて、皆さんに反対に手をさしのべることができる、ということですから、そういう施設で長く利用できることを考える、ということが必要と。

 それをするためには何といっても地域で支え合いの仕組み、あるいは支え合える体制を整えていくことが必要だろう、というのが対策になろうかと思います。

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 そこで、今後の課題ですけども、地域の高齢化、私ども36.9パーセントと言いましたけども、地域の高齢化、あるいは地域が高齢化するために生産年齢が減少してくる、あるいは支える若者が少なくなってくる、となると、地域の力というものが弱体化してくる、それを何とかする方法が必要だと思います。

 そこで、高齢者の合宿施設が、先程も言いましたけども、私どもで対応したなかでは今、50パーセント程度しか利用されてません。それはなぜか。

 やっぱり、家の近くにあるがために、自分の家を守りたい、生活の今までしてきた拠点を守りたい、というところが非常に強いと思うんです。そのことを考えると、この施設を自由度をもたして、ある程度自由に使える、という仕組みをとってあげないと、この施設が利用されないような状況になるんではないかと。

 それから、もう一方ではしっかりとシステムをつくり、見守る、あるいは食事などの対応をはかる、ということで皆さん方が安心できる、けれども体を何か使いたい。今のお年寄りというのは、自分の経験を活かしたいということと、自分の体を使いたいという思いが強いです。

 そういった意味では、その経験や知恵を活かせる方途を考えて、それが地域に貢献できるようなことになりますと、お年寄りが満足できるし、私たちが必要なんだという自信ができる、ということから、そういったことが必要ではないかと思います。

 そういったなかで、国に望みたいというのはあまり、縛りをかけないで今後地域の施設、あるいは公共施設でも、山間地域では比較的少子化が進んだがために学校等、その休校になった建物もございます。そういった施設も改修をして利用できるような方途で、地域の中に貢献できる方法がないかな、といったことを考えてほしいということが一点。

 もう一点は、やっぱり施設から、在宅の中間施設ですから施設の方々がその高齢者の合宿施設に人を派遣して、人的な支援の中で将来の施設利用に備える人的な支援をしていただけるような方途があれば非常にその地域の中では安心して皆さんに対応していただけることができる、というふうに思ってまして、そういった意味ではこの中間施設的なものが本当に必要ではないかな、という思いです。以上です。

【村田】
 はい、ありがとうございました。高齢者合宿施設というのを各地区に非常にきめ細かく小規模に張り巡らしておられますけれども、現在これを利用できるのは元気な高齢者なんですか。

【中越梼原町長】
 はい、高齢者で独居、あるいはお2人で生活をされる方が利用できるとしてますけども、利用するにはやっぱり介護要支援、1、2といった方がやっぱり利用したいという方はそういう方が多いですね。

【村田】
 そういう人たちが利用できるようにしていくために、いわゆる80床の特養があるとおっしゃいましたね。そこから人を派遣してもらって介護の支援をしてもらうと、そういう仕組みをつくりたいと考えておられるということでしょうか。

【中越梼原町長】
 そうですね。そうすることで、施設も将来にわたってこの人達がこの施設を利用されるんだなという思いがあると。一方では、そこで介護をすることで、やっぱり自立ができる方途を見出すこともできるという二面性もあると思うんですよ。

 ですが、次第に体が弱体化してくるということを考えれば、施設からこの高齢者の合宿施設に派遣をし、その人権的なものが対応ができる方途を考えていただくと非常に有効に活用できると思います。

【村田】
 ああ、そうですね。小規模な拠点というのはとてもたくさんこれまでおつくりになっておられるようですし、それが現在のところ生きがい的な、介護予防的な使われ方をしてるけれども将来的にはそこに介護をつけるような方法を模索していきたいと、そういう意味でいうと施設側の応援はどうでしょうか、上手く得られそうですか。

【中越梼原町長】
 ええ、私の町は法人が、社会福祉協議会とカルスト会という2つの法人がございますけども2つの法人とも半分は公共的な役割を担ってますから、そういう意味では応援が充分得られると思ってます。

【村田】
 是非次はその仕組みを上手く作った例としてお話を聞きたいと思います。ありがとうございました。梼原町の町長、中越さんでした。「雲の上の町」という大変素敵なキャッチフレーズがついている町です。

 それでは今度はもう少し短く、それぞれの地域の様子をリポートしてもらおうと思います。高知県からは葉山村、奈良県から十津川村の方においでいただいております。まずそれでは高知の様子から。葉山村の様子を聞かせていただきましょう。市川さんです。よろしくお願いします。8分位をめどにコンパクトにお願いします。

【市川葉山村社会福祉協議会事務局長】
 皆さんこんにちは。地元高知県の葉山村社協から参りました、市川と申します。葉山村は人口が4,500人位で高齢化率は33パーセントですから先程の梼原町さんよりは若干若い村ということになっております。

 様々な施設、特養も1つ、デイサービスセンターも1つ、あれも1つ、これは2つという調子でなかなか福祉施設、関係施設も少ないわけですが、しかし39もあるのが地区の集会所です。私はかねてより、何とかこの集会所が活用できないかな、という思いが、社協に入ってちょっと心の底に残っておりました。

 さて、葉山村社協では民生児童委員さんと共に福祉委員制度というものをつくってきました。たった15名の民生委員さんでは地域の実態に気が付かない、情報が遅れる、自分の住んでいる集落の情報はわかるけれども、隣の集落のことまではすぐにわからないということで、この福祉委員の仕組みをつくろうと動き始めました。

 地域を歩き、お宮の集まりですとか、小集落の事業の日とかにおしかけまして、福祉委員というものをつくりたいがよ、ということで説明を続けました。現在、91名の福祉委員が誕生しております。

 これというのも、意識をして、地域の福祉課題に関心を持ってほしかったからです。福祉委員という名前が付くだけで一応福祉のことは気を付けないかんがやねえということで、そういう、ちょっと重荷をのせたというところでスタートいたしました。

 福祉委員は情報も伝えてくれます。地域のなかで変わったことがあったり、あるいは、このお婆ちゃん最近ちょっと物忘れがひどいみたいな、とか、日に3回も4回も歩きゆうとか、おじいさんがなかなかお世話で困りゆうよ、とかいうような話を福祉センターへ連絡をいただいてます。

 その、福祉センターというのは、我が村では行政の介護部門、まあ介護保険の担当ですとか、保健士、支援センターもあります。そして、社協もあります。その福祉センターへ連絡をいただくようになっております。もちろん、その情報は地域の民生委員とも共有しております。

 私たちも社協として福祉委員にお願いするときに私たち社協職員はどんなに威張っても、どんなに格好えいこと言うても、皆さんの隣の、高知ではおんちゃんと言いますが、おんちゃんが、どんなに困りゆうとか、おばちゃんが苦悩しゆうとかいうことはわかりません、と。

 やっぱり地域の人がそれぞれ気を付けてくれんとわかりませんので、というような話をちょっと脅迫気味にしておりまして、それで、ちょっと、あれっ、と思ったことは情報をいただくと、いうことでお願いをしております。福祉委員制度が全村にできて、10年になりました。毎年、社協が地域に出向く形で小地域福祉連絡会というものを開催しております。どういうわけか、いつも、寒い2月にやっておりますので、地域の方が集会所にストーブをつけて待ってくださっております。

 そういう営みを基本としまして、それから平成10年でした。どうやら介護保険というものが、始まるらしいぞ、という話で葉山村も揺れ始めました。それは、中身がようわかりませんけれども、どうやらそういうものが新しい仕組みとして始まるらしい、ということで、やっぱりこれは、何か動きをしてみんといかんと思いまして、私たちは地域周りの中で、ふれあいいきいきサロンをやってみませんか、という形で、いわゆる種まきをし始めました。

 14地区を回るんですが、その14地区を回るなかで、「やってみませんか」と言いました。「やってください」とは言いませんでした。それで、「ただ、社協の職員は運営に行きません」とか、「受付をしたり、あるいは案内文を発送したり、一切そんなお手伝いは致しません。皆さんの力で、できるところからやってください」、ということでお願いをしました。

 最初の年は、3ヶ所位が、まあ何かわからんけんどやってみようか、ということでやり始めをしてくれ、それも年に3回とかいう、すごい少ない回数なんですが、それからやがて15ヶ所になり、25ヶ所になり、現在では33ヶ所、サロンがたちあがっております。

 まだまだ開催回数としては月に1回程度ですから、サービスとしては、本当に不十分なものですけれども、全て、地域の人たちが自分たちの力で営んでいるという点は、私は物凄い力だな、と思っております。

 そして最初に39ヶ所の集会所が、と申しましたけれども、こうして、年に1回か2回しか、使われていない集会所に風が入るようになりました。

 地域の人たちが集う機会がやはりこれまですごく少なくって、私は中山間地域の問題というのは、交通便が悪いために、私自身もそうなんですが、働く者は庭先から車が発車しまして、目的へ行って、用事が終わったら自分の庭まで車が入りますので、バス停で待つこともなく、人と会うこともなく、当然、JRなんかもありませんので、そうすると、実はつながりがあるようで、つながりが希薄化してるんではないかな、という思いも持っておりました。

 そんななかで、やや若いと言いましょうか、まあ60代とか、それから若いところで50代、とか、そういう方々が世話人さんとして、各地のサロンで頑張っていただいております。

 やはり、若い者は昼間勤めに出ると、中山間地域の村を昼間支えているのは高齢者、イコール高齢者です。そういう高齢者の集える場、というのが、こうして非常に緩やかな営みではありますけれども、33ヶ所でサロンが始まりました。

 サロンの世話人さんたちも毎月毎月やっているとネタがないと、何しょうか、ということをよく言われます。でも私は非常に冷たい人間ですので、適当に話すわけです。

 そしたら、世話人さんたちも、それなりに工夫してやってくださるわけですけども、そうして、世話人さん自身が苦労して地域の人と「今度何やろうねえ、あんた何してもらいたい、何食べたい、今度どこ行こうか」とかいう話をする中で、あの人も最近ちょっと物忘れがひどうなってきたき、あの人どうやって連れてきちゃったらえいろうかねえ、とかいう話が、少しずつでき始めているように聞きます。

 それっていうのは、本当に一足飛びにはいきませんが、素晴らしいことだと思っております。痴呆の方が、ふれあいサロンに来て、行方不明になって、随分探した、もう困った、という相談を受けたこともありますけども、でも、じゃあどうやったら、次のサロンにつながるかということを、ちゃんと考えてる、ということを私も評価をさせていただきました。

 やっぱり私たちは、基本的につくるというか、芽が出始めるまでは社協が、住民の皆さんと動きますけれども、できたら、基本的には社協はやらん、やらんというかやらない、楽して仕事をするじゃないですが、相談にはのりますということで、できるだけ地域の皆さんと、高齢者をとりまく課題を共有したいと考えております。以上です。

【村田】
 はい、大変きめ細かく、推進委員さんも増えたし、いきいきふれあいサロンの活動もなさっておられるようですけど、そういうふうにして地域が何か変わりましたか。

【市川葉山村社会福祉協議会事務局長】
 そうですね、やはり、自分たちが動くことで、気付き始めるということが徐々にでき始めたんじゃないかな、と思います。それから、やはりそうやって、一部の世話人さんが、高齢者をお招きしてという形で始まったサロンが、いつの間にか地域全体のものになって、地区長さんとか、若い方らぁも、応援をしてくれて、あるサロンでは、そうめん流しの道具をつくってくださったり、とかいうことでいろんな広がりがあります。

【村田】
 ただそれは、やはり元気な高齢者対象ですね。どちらかというとね。生きがい的な面がかなり強いですね。もうちょっと介護が必要になった場合、地域で支えられるような、大きな施設に入らないで過ごせるような仕組みというのはないんですか。

【市川葉山村社会福祉協議会事務局長】
 それは、まだまだだと思ってます。ただ、その集会所というのも、昭和50年代に建った集会所が多くって、当然その当時、葉山村は高齢化率19パーセント位ですから、スロープだの何だの、とかいう世界ではなかったので、それを改修するという応援は社協の方でやらせていただいて、少しでも、在宅におるなら、ぜひサロンに来てもらう。だから元気な人対象のサロンでは決してあっては欲しくない。

 色んな地域の中では、別に要介護度をつけてるわけじゃないので、そういう意味で、ぜひ、もちろん、痴呆の方も、それから足が痛い人も精一杯きていただきたいという思いは持っています。もちろん、介護度の重い方は現実的にはサロンには参加できてないというところがあります。

【村田】
 はい、ありがとうございました。
 それではもう一つ、十津川村の様子をお聞かせください。

【東十津川村社会福祉協議会事務局長】
 本村の取り組みにつきまして、まだまだ始めたばかりでございまして、このような場所で発表するほど充分な取り組みはしていないわけなんですけども、報告させていただきます。

 明日の第6分科会の方で詳しく説明をさせていただこうということになっております。236ページの方に詳細が記載されております。

 まず、村の概要でございますけども、十津川村は奈良県の最南端に位置しておりまして、紀伊半島のほぼ中央でございます。面積が672平方キロ、奈良県の5分の1を占めておりまして、日本の中の村では一番広い村ということで、琵琶湖や淡路島とほぼ同じ広さでございます。96パーセントが森林でございまして、1,000メーターを超す山々が、100余りあるというふうなことで、本当に山岳地帯で平地がほとんどないというふうな状況でございます。

 そういった状況でございますんで、道路面でも丁度村の中央部を南北に国道168号線が蛇行して走っておりまして、その国道もかなり狭隘で交互通行しなければならない部分も多々ございます。その国道に対して東西に四川、支流がありまして、そこに県道、あるいは村道が開設されておりますけども、この支流と支流を結ぶ環状する道路がないというふうな状況でございます。

 人口は現在5,000人をちょっと切ったところでございまして、過疎と急速な高齢化が進んでおります。高齢化率が37パーセントでございます。村の高齢者対策としまして、特別養護老人ホーム、併設のデイサービスセンター高森の里を村で建設しまして、平成13年4月に私ども社協が運営を委託致しました。特養と申しましても30床、特小規模でございます。また、ショート6床という規模でございます。

 この運営を受託しまして、丁度その当時、村長選挙がございまして、前助役でありました、現在の皿谷村長が当選を致しました。この村長は前の村政を継承し、更に福祉行政を発展させるために、年をとっても安心して暮らすことのできる、日本一優しい村づくりを提唱致しました。

 その実現に向けて、この高森の里を拠点に具体的な取り組みを始めたわけでございます。日本一広い村というふうなことで広範囲のところに200余りの集落が点在致しております。また、集落も集落同士の間、かなり離れておるというふうなこともございます。また、支流に入る程高齢化率が高くなると。

 急峻な地形にへばりつくように家屋が建てられて、道路まで急な坂道や石段を歩かなければならないというふうなことで、体の不自由な方、あるいは高齢者には大変厳しい環境にある、ところでございます。デイサービスには行きたいけども、道路に出るまで大変だとか、デイサービスに送迎時間が2時間近くかかるという地域もございます。

 これは高森を中心として考えたところでございますけども、また、施設に行くだけで疲れてしまうと、車酔いはすると、そういった問題が多々出てまいりました。

 このような広い村では一局集中型のデイサービスには無理がある、福祉施設には無理があるなぁというふうなことを感じさせられました。厳しい環境の中で年をとっても安心して暮らすためにはどうしてやったらいいかなというふうなことで村長は大変悩んだわけでございまして、前セッションでコーディネーターを務められました、季刊痴呆性老人研究の編集長、泉田照雄さんに、いろいろとご指導いただきました。

 住民参加型の村づくりと、地域分散型福祉の推進の指導を仰いでるわけでございます。住民ニーズに合った福祉サービスの展開を行うためには、住民と行政が一体となって考える必要があるというふうな指導のもと、まず役場の職員と我々社協の職員で、福祉ワーキングチームの準備会を結成致しまして、村には7つの区があるわけなんですけども、高森の里から一番遠い、北部の2つの地区からその取り組みを始めたわけでございます。

 準備会のメンバーが住民の方々から地域の課題、あるいはニーズの聞き取りを致しました。そのときに、ワーキングのメンバーになっていただけそうな方を探したわけでございます。

 その後、ワーキンググループを結成すると同時に調査した課題を検討致しました。すぐにできること、少し工夫すればできること、予算化しなければできないこと、ということで、秋田県の鷹巣町のワーキンググループが実践されております方法を参考にさせていただきました。そういったことで、すぐにできる取り組みから住民の皆さんと一緒に取り組んだわけでございます。

 やはり、地域の課題の中には家の近くにデイサービスの施設がほしいという方々がやはり多うございまして、このことについては、ワーキンググループの方でも何とかなるんじゃないかな、というふうなことで、平成13年の11月に既存の北部保健センター、それからもう1つの地区にあります北部老人憩いの家を月1回利用しまして、試験的な生きがいデイサービスを、この高森の里から出張して、実施をすることとなりました。

 やはり、デイサービスまで時間もかからない、30分も遠い方でありますと来れるというふうなことで、利用者の方からも大変好評でまた、利用される方も多いというふうなことで、平成14年の4月からは週1回、それぞれ実施することと致しました。

 当初、試験実施の時は、高森の里のデイサービスを休んで、出ておったわけなんですけども、昨年の4月からは、新たに職員も採用して、行うようになったわけでございます。昨年の7月からは北部保健センターについては、高森の里のデイサービス事業所の出張所として、指定を受けまして、介護認定を受けた方々も利用が可能というふうにさせていただきました。

 それから、この2つの地域には温泉がございません。村には3つの温泉が湧出しておりますけども、丁度この地域には温泉が無いということで、温泉をトラックで運んで、デイサービスで利用していただく、というふうなことも住民の希望の中からそういったこともさしていただいております。また、住民のワーキンググループのメンバーが自主的に、デイサービスの昼食作り、あるいは介護のお世話をいただいておるところでございます。

 それから、このワーキンググループの皆さんは、定期的に地域の子供たちと高齢者が交流会を開催を致しております。高齢者の方が、昔からの遊びを子供たちに教えたり、季節に合わせたメニューで交流会を開催致しております。丁度、昨年4月から、土日が休みになったというふうなことで、生徒さんもたくさんおいでをいただいております。

【村田】
 東さん、ちょっと詳しくは分科会で報告があるんですよね。ちょっとこの位にして、ワーキンググループをつくって住民参加でなさってきた、ということですね。そのワーキンググループは皆さん住民の方が喜んで参加してくださいましたか。何か苦労みたいなのはありませんでしたか。

【東十津川村社会福祉協議会事務局長】
 そうですね、当初から参加の方は最初なかなか取り組みがわかりにくいというようなこともございまして、何をしていいんだろうか、わからないというふうなことがあったんですけども最近はやはり、住民の皆さんからいろんな意見が出てまいりまして、先般も新しい地域での支えあい運動というんですか、ボランティアの取り組み等も今検討しておるようなところでございます。

【村田】
 やはり、十津川の場合も結構、いきがいデイとおっしゃったから元気な方をどちらかというと対象にしてますね。ちょっとやはり、体が弱った、でも施設には入れないし入りたくないというような人を支える仕組みというのはできてないんですか。

【東十津川村社会福祉協議会事務局長】
 今のところはショートを使いながらのヘルパーを利用していただくというふうな状況ですけども、今やはり地域の課題の中にショートステイが今6床しかないのがほとんど満床というふうな状況でございますので、何とか地域にそういった施設がほしいということで、しかも今、週1回のデイサービスをそれぞれさしていただいておるんですけども、それをやはり週2回なり3回なり、そういった泊まりもできる施設をやはり地域の人は望んでおると、いうところでございます。

【村田】
 そういう課題も見えてきてるわけですね。ありがとうございました。詳しくは何分科会ですか。第6分科会でこの十津川の更に詳しい報告があるようです。ありがとうございました。

 さて、中村さん、十津川も含めて高知県2つの取り組みを見てまいりましたが、どんな印象をお持ちでしょうか。住民力って最初知事おっしゃいましたが、結構住民が皆さん動いてるってことがよくわかりましたね。

【中村厚生労働省老健局局長】
 今日の今のお話、橋本知事のお話も含めまして、いろいろうかがってて考えたんですけども、今日は特に高知県で、広い県で中山間地というお話が出ましたけど、私まず地域的なお話としては、日本て6つ位の地域に分かれるんじゃないかとかねて思っております。

 それは、93年か4年に、93年から全国の市町村で老人保健福祉計画をつくっていただいてます。これが、介護事業計画と今重なっているわけですが、そういうその計画づくりのマニュアルを当時、老人福祉課長として作ったときに考えたんですけども、例えば東京の23区みたいな地域、これが第一類型ではないかと。

 それから、札幌や福岡、大阪、名古屋みたいな100万を超える都市、横浜もそうですけれども、いわゆる政令指定都市といわれているところが第二類型、第三類型が、高知市のような大きな県庁所在地、それから第四類型が市ですね。

 で、第五類型が今日のお話にあった郡部、これは国土としては郡部が大部分でございます。それから第六類型として、非常に過疎地というお話が出ましたけれども、離島とかコミュニティとしてなかなか成り立ちにくい。この6つのパターン位を考えていかなければならないんじゃないか。

 ただ、共通して言えることは、今日のテーマでもありますけども、地域とのつながりを継続したその人らしい暮らし。私どもは6月26日に2015年の高齢者介護というレポートを書きました。

 そのときも、高齢者の尊厳を支えるケアの確立ということをうたったんですが、高齢者の尊厳って何か、といろいろ突き詰めていくと、例えば北欧の3原則とかいろんな言い方がありますが、やはり我々として考えたのは、例えば介護が必要な状態になっても、生活の継続性はずっと維持し、出来る限り自宅で暮らし続けられることが、ある意味じゃあ高齢者の尊厳を一番保証するケアでないか。

 なぜ自宅かというと、自宅で自分が主人公だし、自分の暮らしというのは日々の自己決定の積み重ねだ、これレポートに書いてありますので是非読んでいただきたいんですが、そういうことを思って聞かせていただきました。

 もちろん、今日会場には今言った6類型のいずれの類型からも参加者がおられるので、中山間地では中山間地でのパターンを考えなければなりませんけど、どうしても地域との切り離されない、人間の生き方ということを考える、と。やっぱり、お話に出てる住民力とか、そういうことが必要になるんじゃないかな、と思いました。

 それから2つめは、村田さんの問題提起にも出ておられると思いますけれども、その際、どういうことが必要になるのかというと、元気な高齢者の方もおられます。それから要支援、要介護の方もおられます。ですから、いわゆる、行政官ぽくてちょっと申し分けないんですが、元気な高齢者の方々に対する施策と、要支援、要介護の方々に対する施策というのが、どうしても施策的には分かれてます。

 しかし、人間の一生を考えると、継続的に進むわけですので、そういう中でどういうふうに施策を組み立てていくのか、あるいは、要介護の方に対する介護サービスの対策と、介護予防というお話が出てますが、そういったことをどう組み合わせしていくのか、ということ。

 それから、今、介護保険では5兆円を超えるお金を使って、介護保険のサービスが行われてるわけですが、その介護保険の中で対応しなければならないことと、今日お話に出てるような、介護保険の周辺といいますか、外の対策ということを、考えなければならない。

 それから同じ介護保険の対象者であってもこういうサービスであると基準に該当してるから介護保険のサービスになるけど、町長さんがおっしゃってますようにもう少し弾力的にしてもらわないとですね、同じケアをしたいんだけれども、町にある既存の施設を使ってサービスすると今の基準では介護サービスと認められない、とこういう問題があるというようなこともありますので、そういったことが全部こう絡まってお話があったなあというふうに。

 ですから我々なりに整理すると、今いただいたお話を、元気高齢者対策、それから要介護の人の対策、それから予防化、それから介護サービス化、介護保険の中か外か、それから制度にのるかのらないか。そういう問題が、こう絡まってお話があったように思います。
それから、折角の機会ですのでちょっとご報告させていただきますと、今日第5回のユニットケアの全国セミナーで、まずこの回がユニットケアを進めるうえで大変強力なパワーで、昨年は7人の知事さんが集まって、共同宣言出されるなど、大きく貢献されてきたことに対して、敬意を表したいと思います。

 先程お話がありましたように、99年からされてるということですが、ご承知のように、特別養護老人ホームにつきましては、昨年度から国の補助対象になったということで、私の資料は確か83ページから資料が出ておりますので、後ほど資料をご覧いただきたいと思いますが、ユニットケアについては、去年新設の特別養護老人ホームで84ヶ所整備対象と致しました。

 今年はもう、200ヶ所、補助金の交付決定をしております。大体国が1年間に整備する特別養護老人ホームは年間に100ヶ所程度でございますので、今年は新規の特別養護老人ホームのほとんど全て、定員の95パーセント位が全室個室、ユニットケアの特別養護老人ホームで整備されているということで、こういうことに力があずかったのはこの、全国セミナーの力ではないかと思います。

 また、この4月には、ご承知のように介護報酬の改訂があり、特別養護老人ホームのユニットケアについては、介護報酬が独自に設定されたということで、ユニットケア自体は制度化した、とこういうことだと思います。

 ただ、先程からお話が出てますように、また知事のお話にもありましたように、全室個室でハードだけ整えるってユニットケアができているかという問題があるわけで、仏つくって魂入れずという言葉もありますけども、何がユニットケアかと、やっぱり原点に立ち返る必要がある、と。

 したがって、制度化されたからといって、この全国セミナーが終わりじゃなくて、制度化されたゆえに、ますますどういうことが本当のユニットケアなのかということ。それから、ハードが伴わないけれども、既存の施設はそのハードは当然全室個室などというふうに整備されているわけではなく、また、旧来の個室であっても、共同生活室というかリビングなんか整備されてないわけで、そういった中でユニットケアの精神をいかしていくためにはどういった対応が必要なのか。

 これは我々自身、国の行政官として、そこのところの転換なり、真のユニットケアっていうのはどういうものかっていうのを見極めていく課題があると思いますので、それは、明日も、石井課長も分科会に出させていただきますけれども、老人福祉計画課の重要な課題だと思っておりますので、そういった意味でユニットケアについても原点に立ち返り、また、本来ユニットケアの目指すというところを旗を高く掲げてですね、これからやっていかなければならないというふうに考えてるということをご報告したいと思います。

 それから、今どういう流れのなかで我々が取り組んでるかという、高齢者介護、あるいは高齢者の保健福祉についてどういうふうに取り組んでいるかっていうことについて簡単にご説明をさせていただきますと、介護保険がスタートして3年経ちましたので、ある程度3年間の実績が見えてきております。

 それをふまえましてこれからの高齢者介護、どうあるべきかということを考えて、先程申し上げました2015年の高齢者介護。

(スライド)
 ということで、タイトルは2015年の高齢者介護。これは日本の高齢化にとって非常に大きな意味のある戦後のベビーブーム世代が65歳になりきるのが2015年だということ、それから行政的に申し上げますと、新しいゴールドプランが2005年から始まりますので、10年先をみて、あるべき介護の姿を立ち上げたいということで、2015年の高齢者介護とうたっております。

 で、その副題として、高齢者の尊厳を支えるケアの確立ということで、ここがそのユニットにもつながるところなんですが、地域とのつながりを継続したその人らしい暮らし的なこと。それが高齢者の尊厳にもつながるんじゃないかなと。

 で、介護保険やってみまして、いろんな課題があるわけですが、一番大きいのは先程、高知県の場合は要介護認定を受けられた方が15パーセント超えておられるということです。これ、2000年4月は10パーセントだったんですね、全国。

 全国平均でも14パーセントということで、大変介護保険が定着致しましたけれども、要支援、要介護の方が増えている、少なくとも介護保険サービスを使いたいということで、要介護認定を受けて該当してる方が増えてるということがあります。

 そういったなかで、介護保険というのは自立支援であったわけですので、要支援になっても、あるいは要介護になっても、できるだけ介護度を改善する、あるいは加齢に伴って介護度が落ちる、ということがあるわけですけども、何とかそこをくいとめられないかということで、今日、中越町長さんのお話にあった、介護予防のリハビリテーションというのがベースにあるべきだと、いうふうに思ってます。

 2つめは、要介護認定を受けた方が今三百数十万人おられるんですが、その該当された方の約半数が一定の痴呆状況だと。施設に入っておられる方は8割、ここにおられる皆さんはよく感じておられると思うんですが、痴呆の影響があるということなので、やはりこれからの高齢者介護は、寝たきり老人対策ということに何となく重点があり、また、そういう寝たきり老人に対してはかなり進んできましたけれども、これからの高齢者介護を考えると痴呆性高齢者のケアが必要じゃないかということで、新しい生活の継続性を維持し、可能な限り在宅で暮らすことを目指す。

 それが尊厳を支えることにつながるんであれば、新しいサービス体系を作らなきゃならないけれども、そのサービス体系というのは痴呆性高齢者のケアに対応したものじゃないとならないということで、そういう体系について訴えています。

 時間がないのでとばしますけれども、次お願いします。

(映像を変える)
 したがって、痴呆性高齢者ケアを普遍化していかなきゃならない、身体ケアは、かなり日本でも上手くいってると思いますので、これからは痴呆性高齢者に対応したケアを高齢者介護の標準にすべきと言っております。次お願いします。

(映像を変える)
 とすると、痴呆性高齢者のこのような特色を考えると、やはり、生活そのものをケアとして組み立てる必要がある。生活の継続性の混乱を避ける。高齢者のペース、高齢者の持っている力を最大限に発揮した暮らしができる。やはり生活、暮らしがポイントになる、ということになりますので、次お願いします。

(映像を変える)
 となると、この4つの条件を満たさなきゃならない、住み慣れた地域での生活の継続が必要になり、様々な提案があります。町の提案なども、こういう小規模多機能のサービス拠点とか施設機能の地域展開というのはおっしゃる通りだと思います。次お願いします。

(映像を変える)
 そこで我々が言っております、これが最後のスライドにさせていただきますけれども、在宅について、まだまだ力が弱いので、在宅を支えられるような複合的なサービスを持つ、小規模サービスの拠点を、地域に整備していこう。それがお話にありますように利用者の生活圏域の中で完結しなきゃならない。

 それから、施設と自宅の間をつなぐサービスというのを作っていこう。これは、新しい住まいであり、早めの住み替え、要介護になる前からの住み替え、これが先程から出ておりました高齢者集合施設ですか、そこにあたるのかもしれません。

 また、村田さんが問題提起されておりますように、要介護になった場合でも対応できるような住み替えということがあるだろう。そこは、介護保険の中では大変、介護保険スタートしてから増えてるサービスとして居住型サービスなんですけれども、グループホームや特定施設がありますが、こういうものをもっともっと拡大していく。

 その際、既存の民家などを活用する。既存の民家と書いてありますが、これは学校もあるでしょうし、いろんな公的な施設もあるでしょう。いろいろ、お話出てたような施設を、バリアフリーでない施設もあるでしょうから、そういったものを変えてく中でこういったところが厚みを増していかないか、その中で、施設の方が先程バックアップできないかということがあります。

 けれども、施設の方としては、個別ケアを実現するために、この会で出ておりますユニットケアの普及とか、それからますますこちらの方が充実してきますと、施設の方が重度化しますので、重度化への対応、こういったことをはからなければなりませんけれども、何より施設に期待されるのは、こういう地域での展開について施設が協力していく。

 で、施設から入ってる人を出す、逆デイサービスですとか、いろんなものをつくってる。で、在宅サービスとの、まさにお話がありました連続性の確保ですね。施設にとっても使ってらっしゃる方、在宅から利用されていて、最後施設ということについても、今よりも連続性の確保されたことができるんじゃないか、というようなことで、詳しいご説明は省略させていただきますけれども、そういう報告書を書きました。

 実はこの報告書はかなり一生懸命研究会の皆さんに書いていただきましたし、我々の全力投球でございますので、是非、現場の皆さんにも読んでいただいて、コメントをいただきたいと思います。

 我々としては、2006年に介護報酬の改訂がございますけれども、こういったことをやってくためにはゴールとしては、こういったことが、介護報酬でも取り上げられ、あるいは、指定基準にも入る、ということが必要になりますので、そのための具体化をしなければなりませんし、介護保険制度はスタートしてから5年をめどに法律の見直しも予定されておりますので、そういう法制度の見直しの中でも、こういったことについて議論をしていかなければならないと考えています。

 勿論、介護保険制度は先程お話に出てますように、大変要介護認定を受けてる方も増えておられますし、サービス利用も増えてる、ということで、この3年間、高齢化が11パーセント進みましたけれども、要介護認定を受けた方は6割以上増えておりますし、サービスを利用する人は78パーセント増えていると。

 在宅サービス利用者は2000年4月に比べて、今日倍増しておりますし、施設サービスを受けておられる方も、3年間で4割位増えてるというような状況でございます。

 そういった意味では、サービスが国民、住民に届くということでは大変成功してると思っておりますが、当然その費用というのは、国、都道府県、市町村の税金が半分、それから40歳以上の方の保険料で半分、ということでありますので、費用の方も、利用者が7割増えているということに対して、費用の方も増えるわけなので、やっぱり、住民合意の中で介護保険制度を皆で支えるというふうにしていかなくちゃならない。

 そのためには、サービスが受けれればいいとか、使わなきゃ損だ、というようなことでは介護保険制度そのものが崩れてしまいますので、できるだけ介護サービスが、使わないで済むならば、それにこしたことはないという基本があって、したがって、介護予防なり健康づくりが基本にあって、しかし、要介護になってしまった場合には、もう社会的なサービスとして、必要なサービスがきちんと届く、ということをつくってくことが基本ではないかと考えております。

 そういった意味では、利用者の方も、それから事業者の方も皆で支えられてるサービスですから、これを大事に使ってく、ということが課題じゃあないかというのが、荒っぽい言い方ですけれども、3年間やってみて、みえてきた課題、というふうに考えています。

【村田】
 はい、ありがとうございました。ちょっと一言、これに関連してうかがいたいんですが、新しいサービス体系としてここにも書いてある、小規模多機能、そういうものを地域の介護拠点としてたくさんつくっていこうという方向性が打ち出されました。

 今ちょっといろいろ取材してみますと、そういうものをたくさん地域社会につくっていこうというねらいが何かっていうことが、あまりきちんと理解されずに、小規模でそこにホームヘルプサービスもしたり、デイがあればいい、そういうものをつくればいいんじゃないか、っていう短絡的な理解で進んでいってしまうのではないか、という心配も垣間見えるのですが、本当に、どうしてこういう介護拠点を地域社会にたくさんつくっていかなければならなのか、そのねらいを一言ご説明いただきたと思います。

【中村厚生労働省老健局局長】
 先程申し上げましたように、その人が要介護になっても普通の暮らしを続けていく、と、そういった仕組みをつくっていかなきゃならない、そのために、さっき4つのキーワードがあるということで、例えば小規模な居住空間ですとか、家庭的な雰囲気、馴染みの人間関係、そういったものをつくっていくためには必然的にエリアというものが出てくるんじゃないか、ということが一番のポイントです。

 それから、やってみて、3年間の結果、みえてきたことは、やはり今の重度の要介護になった方に対しては、今の、在宅重視と言ってますけれども、今の介護サービスではどうも在宅で支えるのに充分な力ではないと。ですから、地域の力ということが出てましたけれども、その地域の力を強化するためにもう1つ、在宅サービスの拠点を強化したい、ということですね。

 それは、その人の、高齢者の方の時系列にとっても軽度の時から、非常に重度になったときまでも連続して支えられる、連続性ということ、それから、暮らしを地域から切り離さないということ、それから、地域としての介護力の拠点をつくるという、そういう3つの要請から小規模多機能、それから地域密着、ということを、その部分ではキーワードとしております。

【村田】
 そして、最終的にどうしても駄目だったら、施設があるという、こういうふうな考え方ですね。

【中村厚生労働省老健局局長】
 はい、それで、またそういう小規模多機能地域密着をサポートする、やっぱり介護力の拠点としては従来からの施設がありますし、その従来からの施設が、先程のお話にも出てますように、地域にももっと出てくると。地域のサポート役にもまわると。

 また、そういうことを施設にお願いするためには、それなりの仕組みを用意しないと、施設の側でも全くボランタリーに、というわけにはいきませんので、やはり、事業としての継続性を考えなきゃならない、というふうに思ってます。

【村田】
 はい、どうもありがとうございました。これからの介護のあり方としての方向性というものをご説明いただきました。

 まだあと1つ、既に今厚生労働省がこういう考え方を打ち出したことを先駆的に実践しておられる、せんだんの杜のご報告いただくわけですが、中村局長は明日またどうしてもお仕事がありまして、今日7時の飛行機でお帰りにならなければいけない、ということで、ちょっと延びましたらどうぞ、6時ごろフェードアウトしていただきますように。ということで、皆様のご了解を得たいと思います。

 それでは池田さんお待たせしました。既に先駆的に施設としても地域に出ていってお年寄りの生活を支えるという、もう本当に先駆的に実践しておられるせんだんの杜の様子をご報告いただきたいと思います。

【池田せんだんの杜副杜長】
 はい。せんだんの杜、池田です。10分位で報告をしたいと思います。

 せんだんの杜は都市部にありまして、そういう意味ではこちらの高知県は80万人が53の市町村に暮らしてるということですが、せんだんの杜は100万人の1市町村に仙台市というところにありまして、そういう意味ではなぜ都市部の私がここで話をするかということを話したいと思います。

 パワーポイントお願いします。

 せんだんの杜は現在、仙台市の北西部のですね、6つの小学校区を対象にサービスを提供しているんですが、この吉成小学校区というところにせんだんの杜は建っています。すぐ隣が境界線に、中山小学校区というのがあるんですが、始まって8年経つんですけれども、介護保険が始まる前は、この地域のデイサービスの独占でデイサービスをさせていただいていたんですが、その当時、この吉成小学校区の国見ヶ丘2丁目というところは、高齢化率が4パーセントでした。

 こちらの、中山小学校区というのは昭和40年代に造成された団地なんですが、こちらの中山2丁目はその当時25パーセントの高齢化率になっておりまして、圧倒的に中山2丁目の高齢化率が高い、20パーセントも高いにもかかわらずですね、人口がほぼ同じなんですけれども、この吉成小学校区の国見ヶ丘2丁目からデイサービスを利用している方の数の方が中山2丁目より多かったんですね。

 それは何なのかということを考え、調べてみますと、平成になってから分譲されたこの国見ヶ丘2丁目に移り住んできた若い夫婦のところに、元々出身の地域に住んでいる両親がいるわけですが、介護が必要になってくると、この息子、娘のところに呼び寄せられて来るわけですね。

 呼び寄せられて来るわけですけども、隣近所のお付き合いもないし、介護も必要になってなかなか出歩けないし、家族とも20年ぶりに同居するということで、そんなに関係を深く、ということにならないので、利用し始めるとすぐですね、デイサービスにいらっしゃって、そしてショートステイに来て特養に移る、というような形で、何よりも先にデイサービスを利用するということになっていました。

 ところが、この中山小学校区の方は、昭和40年代から子育てをしながら一緒にこの地域づくりをしてきた方々ですので、要支援、要介護1,2の方々でも、隣近所の自主的なサロンがあってですね、介護保険サービスを利用しなくても、その当時は介護保険ではなかったですが、介護サービスを利用しなくてもですね、自主的に自分たちでデイサービスをしているということがわかってですね、なるほどなあというふうに感じました。

 その上で、この中山小学校区で今この後ちょっと紹介したい民家をたくさん借りて、サービスを提供してるんですが、何でこんなに民家が空いてるのかということを見学者の方に訪ねられた時にはっとしたんですね。中山小学校区は呼び寄せられていく地域だったんです。

 私が借りている家も、大家さんは東京の息子さんのとこに住んでるんですけれども、そういうような地域の中で、結果、この中山小学校区の方が、自分の息子、娘のところに、行った先が、もしも吉成小学校区の地域であれば、結局は自分の子供のところに行って、間もなく、自分の子供のいる、全く見知らずのサービスを利用するということであるのであれば、この中山小学校区に住みとどまれるサービスをつくらなきゃいけないんじゃないかということで、この中山小学校区に小さなサービスを提供し始まりました。次お願いします。

(映像を変える)
 結果として、もう1つですね、気付いたことなんですが、年に数人の方がせんだんの杜の特養でお亡くなりになるわけですが、告別式に参列をさせていただきますと、およそ、告別式に参列される方が10人です。

 10人のうち5人は私どもの職員で、残りの5人の方が身内の方ということで、何で80年90年生きてこられた方が、最後の別れがわずか10人なんだろうということを考えてみましたら、一方の方々は、呼び寄せられていらっしゃった方々なので、地域に、全く知っている方がいらっしゃらない。

 もう一方はですね、仙台に住んでいた方なんですけれども、特養に移り住む前に病院で数年、そして、老健で数年、そして特養で数年で、既に10年以上、自分が長らく住んでいた地域から離れてしまって、お子さん達もですね、もう10年もこの地域から住んでないので、隣近所に亡くなったからといってご案内するよりは、ひっそりと見送りたいということで、告別式をしてるというような姿を見てですね、これではいけないんじゃないかなというように思いました。次お願いします。

(映像を変える)
 そんなことで、この中山小学校区に3件の家を借りました。2つの普通の家を賃貸してるのですが、この2つの家では、先程から出てます、小規模多機能のケアを、この建物でデイサービスとお泊まりと居住とヘルプをしています。

 で、もう1つ、道路沿いに一連の事件でですね、借り手のなかった焼肉屋さん、もうもう亭というんですが、このもうもう亭をお借りして、ここで、サロンと相談センターを設けました。次お願いします。

(映像を変える)
 こんなような家でですね、この中山の家の方は、このスペースをデイサービスの定員9人で指定をとりまして、この3部屋は指定をとっておりませんので、自主事業としてお住まいをしていただき、デイサービスの営業時間外はこの3部屋を、お泊まりの部屋ということで使っています。ここからヘルプも出掛けていくということになっております。次お願いします。

(映像を変える)
 この中山の1も同じようなことに使っていますが、今後増改築をしようと思ってます。次お願いします。

(映像を変える)
 ここも表は、こんな形で、地域のサロンになっております。次お願いします。

(映像を変える)
 3人の事例を簡単にします。次お願いします。

(映像を変える)
 このAさんは中山地域にお一人暮らしをしています。そして、1年365日のうち、400回、このせんだんの杜の特養に毎日やってきます。その理由は、5年前にAさんの奥さんがこのせんだんの杜の特養に入居した、ということで、毎日、奥さんのところにやってきます。

 これがルートで、毎日行ったり来たりして、5年前はバスで途中までいらしてたんですが、つい最近はタクシーで朝はやって来ます。そして、夕方は歩いて帰る、というようなことなんですが、随分Aさんもお一人暮らしで痴呆が進んできています。

 そういうなかでですね、どうやってこのAさんのケアを考えようかと思った時に、もうそろそろ痴呆も随分進んで、このAさんも奥さんと同じく特養に移り住んでもらおうかというふうに考えたんですが、もしかしたら、毎日こういう行ったりきたりの生活をしていることが、このAさんにとっては生きがいになっているんじゃないかということでいうと、今のあるがままの姿を、支援したいということになりまして、現在はですね、Aさんのお宅に毎朝ヘルパーが行きます。

 そうしますと、おおよその場合はAさんはもう既に歩いてこの特養に来てしまうので、ヘルパーはAさんのお宅に行って、特養に来てるということであれば、特養の方にヘルパーがやってきて、そこで薬を飲んでいただいたり、脈を測ったりしてもらいます。

 そして、このAさんは1回午後帰るんですけど、また、夕方やって来る日もあります。そしてヘルパーがまた夕方行きますとですね、いらっしゃらないので、またヘルパーはこちらに来て、一緒にこのAさんのお宅に帰る。週に1回だけはデイサービスに行くんですが、これまたデイサービスもですね、迎えに行くともう既にこちらに来てますので、ここからデイサービスにお連れして、そして奥さんの顔を見てまた帰るということで、こちらにデイサービスの方がお送りして、また本人は自分で帰っていったり、ヘルパーが送ったりというようなこともでてきます。

 なかなか制度上いろいろと難しい面がありますけども、こんな感じでサポートすることによって、この方が地域に住み続けて現在のところにいます。次お願いします。

(映像を変える)
 隣近所の方も心配をしているんですが、男性であまり隣近所の関係が今までなかったということと、朝早く出掛けて夕方まで出掛けているので、あまり隣近所の関係が作れなくて、せいぜい隣近所のスーパ?や弁当屋さんと銀行のお付き合い、サービスとのお付き合い、ということになっております。次お願いします。

(映像を変える)
 Bさんの場合です。次お願いします。

(映像を変える)
 ここはBさんのお宅で、中山の家までは200mなんですけれども、奥さんはBさんが非常に徘徊が激しくてですね、なかなか奥さんが疲れてしまって、ということになって、まず最初はデイサービスを利用し始まったんですが、その後お泊まりをしていたんですけども、どうしても奥さんが入院をしなきゃならないという状況になりまして、このBさんは中山の家に暮らし始まりました。

 中山の家に暮らして、中山の1のデイサービスに毎日通っているんですけれども、奥さんがその後退院をしてきて、少し健康状態が戻ってきましたので、現在は奥さんが頻繁にこの中山の家に訪ねて来て、週に1,2回は奥さんが旦那さんを連れて家に一緒に帰る、というようなことをされてます。

 この図はですね、都市部という中山地域でも、こういう形でお互い助け合っているという図なんですけれども、元々Bさんの奥さんと親しかった方はこの中山の家の地域にたくさんいらっしゃいますので、旦那さんがこの中山の家に暮らしてもですね、旦那さんのことは昔はよく、あまり知らなかったんだけれども、Bさんの旦那さんが隣に住んでいる、ということで、地域の人たちの関係も継続しながら、サポートしてるということになってます。次お願いします。

(映像を変える)
 Cさんの場合は、先程の梼原町のことにも近いのかな、と思うんですけれども、たまたま奥さんが病院から出るということで中山の家に暮らしたんですけども、奥さんは既に亡くなっています。旦那さんは日中だけお見舞いに来るということで、93歳の旦那さんは毎日車に乗って、この中山の家にやって来るんですが、最初はお見舞いに来る、と言っていらしたんですけれども、夕方、スーパーでお惣菜を買って、この中山の家にやって来ます。

 そうしますと、若い職員が夜勤してますので、その若い職員と晩酌をして、毎晩3合飲まれるんですが、晩酌をして、奥さんの部屋で寝るというのが非常に楽しみになりました。日中はいろいろと出掛けていらっしゃるんですけれども、奥さんが亡くなった後、お子さんがいないので、親戚と元の職場の部下の方々が、今までのように夜だけは中山の家に住んでほしいということで、ご本人は嫌がったようなんですが、仕方ないということで、週の5日位は中山の家、時々家に住んでる、という行ったり来たり住んでいます。次お願いします。

(映像を変える)
 ということで、この3人の方を、特養や病院というくくりと、地域というくくりと、自宅というくくりに分けてみますと、Aさんは自宅から行ったり来たりして生活をしてる、Bさんは、既に中山の地域の家に移り住んでるけど、家に帰ったり奥さんがやってくる、Cさんの場合は、中山の家と自宅を2件家を持って行ったり来たりしながら生活をしてるというようなことで、なりました。

 これができるためには、ある程度判断ができる力が利用される方々に力があるうちに、この家族の方と信頼関係を持っていて、判断能力が若干下がってきても、サポートする側と信頼関係の中で今まで通りサポートしていきます。継続した、地域での暮らしができるということの関係ができるんだな、ということになりました。次お願いします。

(映像を変える)
 現在は中山の地域に、この中山の家1,2と、もうもう亭、それから特養から日中出掛けてくるひまわりの家、逆デイサービスですね、特養についてるショートステイから日中出掛けてくる逆デイ、ショートステイの家、というようなことになっています。高齢化率全体は19パーセント位です。次お願いします。

(映像を変える)
 現在こういう小学校区でそれを広げてこうと思ってます。次お願いします。

(映像を変える)
 これは同じ法人で、中山間地域ではないですけど農村部にあるとこでも同じようなことで小学校区でやっています。以上でパワーポイントは終わります。

 こんなことをずっと考えてまして、先日、社会福祉協議会の方々と話をしていて、施設も地域に向かっていく、そして社会福祉協議会の方々も地域づくりをしていく、行政もそれを支える、というような三者がもう少し上手く進むとですね、いいんじゃないかという話になりました。

 それはどういうことかというと、せんだんの杜は介護事業者として地域にどんどんではっていきます。ではっていけばいくほどですね、先程の市川さんのお話にあるように、地域の介護する力を奪い取ってるというようなことに最近気付いてきてます。それでやっぱりいけなくて、地域の介護する力を生かしていただきながら、私たちが必要な介護のサポートだけをさせていただくということにしないと、折角の介護保険サービスが地域を壊してく、あるいは地域の介護力を奪い取ってく、ということになってしまったらいけないな、ということを最近感じています。以上です。

【村田】
 ありがとうございました。地域で支えるといっても本当にいろいろなやり方があるんだな、と思いますけれども、それは、池田さん、お一人の方の生活パターンに合わせて、いろいろ考えていったらこういうふうになったと。

【池田せんだんの杜副杜長】
 そういうことです。

【村田】
 まさに1人1人に合わせたやり方を施設が中心になって地域で支えるということをあみだすわけですか。

【池田】
 そうですね。やっぱり1人1人に合わせてサービスをしていったときのご本人の笑顔とか、ご本人のいきいきした姿を見て、介護されてる、というんではなくて、自信もって痴呆の方でも地域の中で生きてる、という雰囲気を感じるとですね、やっぱりこういうサポートがいいかなあということで、1人ずつ、できてないことはと、先程の3人でいえば、97人はまだできてなくて、やっとあの3人がそういうことができるようになってきた、というところですけれども、そんな気がします。

【村田】
 中村さん、小規模多機能地域密着というような言い方しますけれども、何となくそれが漠然としてまだはっきりつかめない方というのがたくさんいらっしゃると思うんですね。でもこれは、やりようによって、いろんな形があるんだということですね。

【中村厚生労働省老健局局長】
 研究会でも議論になったんですが、この提案というのは元々こう抽象的に出てきたものではなくて、まさにいろんな所で、各地でやっておられる事例の中から抽出された、という意味では実態先行型なんですね。それから先程申し上げましたように、制度というのはある程度定型化する、あるいは基準が必要ですから、どうしてもこう、現実は多様ですから制度の中にどの程度組み込まれるかということが、組み込むことができるかということが課題だと思います。

 現に例えば私のパワーポイントのスライドでもお見せしませんでしたけど、事例を持って参りましたけれども、宅老所の皆さん、なんかでも、介護保険である部分は介護保険事業者としてやっておられる、今の例でもそうですけれども、この部分は制度外としてやってる、それを組み合わせてる、というのが現在の形です。

 そういう形でどの程度いけるのか、あるいは我々も小規模多機能地域密着と、そういった拠点を増やしていこうと言ってますので、出来る限りそういったものが、100パーセントとはいえないまでも、制度にのせられる部分を広げていく、ということは、多くの方にこのサービスをつくっていただく上でも、また多くの方に利用していただく上でも、その制度でカバーされる部分が多くなるということは上手くできればですね、役に立つんじゃないかということで、我々としては今うかがったようなお話をどの程度制度として、あるいは基準としてできるか、ということがあります。

 しかし、そういうことによって皆と画一化してしまうというのは本意ではありませんのでどれだけそれが柔軟に仕組めるかと、いうことが課題だと考えております。

【村田】
 こういうところがきちんとした事業としてやっていけるような工夫と、それからあまり質の悪い人たちがどどっと小規模でつくればいいんだという形で入ってきてしまうという、両方考えていかなければいけないわけですね。

【中村厚生労働省老健局局長】
 はい、大変難しいんですけれども、制度というのは作りますと、思いもよらないような使われ方とか、そういったこともありますので、いたちごっこの面もあるわけですけれども、しかし心配していてはまた、できませんので、まず第一歩を踏み出してみる、ということも必要だと思います。

【村田】
 はい、どうもありがとうございました。飛行機が大変心配でございますので、どうもここら辺りで局長にはフェードアウトしていただいて、ありがとうございました。(拍手)

 ちょっと時間は押しておりますが、もうちょっと続けさせていただきます。池田さん、今の法人で造ってきたいろんな家を借りたとおっしゃいました。あれ、法人でお金を出して借りたんですか。法人の努力ですか。

【池田せんだんの杜副杜長】
 そういうことになります。はい。

【村田】
 法人が自ら努力して自分たちのなかの企業努力でやってるわけですね。

【池田せんだんの杜副杜長】
 そうですね。介護保険になってから、介護保険収入を比較的自由に使うことができるようになりましたので、その収入から借りてますが、現在、お金を払って借りてる家が8件ありますので、年間にしますとですね、安い所で5万で高い所で月額15万ですので、年間にすると、100万まではかないですけども、7~800万かかりますので、結構経費的には大変ですが、小規模多機能ホームは住んでる方もいますから、家賃をいただけますが、逆デイサービスについては、全部自前になりますので、結構お金はかかります。一部職員の住宅にもして、家賃をいただいてますが。

【村田】
 あれは空き家だったんですか。

【池田せんだんの杜副杜長】
 ええ、全部空き家です。

【村田】
 よく貸してくれましたね。

【池田せんだんの杜副杜長】
 そうですね。ここ数年、どの地域も高齢化率が高まってきて、時々ですね、お借りするときはどうやって借りてるかというと、まずはデイサービスやってショートや特養に利用していただいた方々の家に行くわけですね。

 空き家が見つかるとその近くで元利用者の家族の所に行ってそこの方々に、あそこを借りたいんだけど、誰にその話しをその地域でしたらいいだろうかということで、元利用者の方と一緒にその地域を歩いてお願いをしますと、比較的今までお断りをされたことがありません。

 時々、もっといい立地の家が見つかると、借り換えをすることがあるんですが、そういうときに借り換えをしようとすると、隣にあると、私たちも高齢なので安心なのに、移ってもらいたくないなあという話を逆に聞くことが多いです。

【村田】
 そうですか。梼原の中越町長さん、今の例どういうふうにお聞きになりましたか。

【中越梼原町長】
 都市部の人は非常に心の広い人がおるんだなあと思います。山間地域は元々、調べますと結構空き家があるんですよね。ですけれども、最初は、使っていただいていいですよ、というお話はいただけます。

 ところが、現実にそこに入ろうかとこうなると、いや?ちょっとまだ利用したいところもあるし、と一反のことがありましてややもすると、何となく、ずっと使われるんじゃないか、あるいは、最終的にはとられるんじゃないかという感覚ができるんではないかなというふうに思います。

 ですから、私はやっぱり今まで建てた有効な施設の利用といったことを考えて公共的に建てたものをやっぱり活かしてそれを使う、と、山間地域はそういった使い方でないと難しいんかなというように実感してます。

【村田】
 空き家利用というのはなかなか難しい、面があるわけですね。

【中越梼原町長】
 そうですね。

【村田】
 いわゆる、その1人1人のお年寄りの必要なものを見つけ出して、またその人の生活パターンみたいなのをよく把握してできるだけその地域社会で馴染みな人間関係の中で暮らせるように支援していくというこういう、介護を必要とするお年寄りへの支援の1つの方法論ですね。

 ここから何か学ぶことがあるとしたら、梼原として取り入れることができるとしたらどういうことがありますでしょうか。

【中越梼原町長】
 やっぱり、今のお話しの中にもありましたように地域の近く、自分の生まれ育った地域の近くで生活をしたい、特に山間地域、まあ私の町がそうかもわかりませんけども、あまり都市部へ出て行きたくない、という思いがたくさんございます。

 そういった意味では私は今の介護保険制度というのはいい制度だなあと思ってます。その中で、地域の中で支え合う仕組みというものがしっかりしておる。その中に、今言ったように自宅から施設までの中間的な施設で皆さんと、ある程度何人かが寄って話ができる、あるいはそのことがまた伝達できるという仕組みがあると非常にいいと。

 そういう意味で高齢者の合宿施設ということを造ったんですけれども、今ある程度元気な方が多いもんですから、その利用度が少ないんです。要支援、要介護1,2といった方がやっぱり利用する度合いが高くなってくる、ということは考えられますので、そういった意味では、今の施設というのはそういう方向へ行くんだろうと。局長もそんなお話をしてましたけど、私もやっぱりそういう方向に行くんではないかと思います。

【村田】
 折角、合宿施設が各地域にたくさんあるわけですからそれを上手く今後活用して、いきなり施設、施設とならないような仕組みを是非つくっていただけたら、と思います。

 じゃあ、こちらの市川さんと東さんはせんだんの杜の取り組みから何か学べることがあるとしたらどういうことだとお感じになりましたか。じゃあ市川さんから一言聞かせてください。

【市川葉山村社会福祉協議会事務局長】
 素晴らしい取り組みで、目から鱗とはこういうことだな、と思ってるんですが、私たち社協っていうのはついついユニットケアであるとか、小規模多機能ホームであるとかいう言葉を聞いたら、それは施設の問題やと、我々地域の問題ではないみたいな、どっかそういう他人行儀な思いを持っていたんですが、実は地域で暮らす、というところの出発点、出発点というか、そういう考えというところは本当に同じであるし、池田さんがおっしゃったように、やり方によっては逆に地域の介護力を奪ってしまう、っていうリスクも背負ってるんだよ、というお話なんかはすごく社協としては真摯に受け止めなければいけないのかな、と思いました。

【村田】
 はい、ありがとうございました。東さんいかがですが。

【東十津川村社会福祉協議会事務局長】
 私の方でも今まだデイサービスが2ヶ所しかしていない、しかも週に1回というようなことで学ぶとこは多々ありました。なかなかうちの方でも一般の空き家をお借りして、ということができればいいんですけどもなかなか、お盆とか正月に来て使うんであきませんというようなことで、やはり公共施設を使わなければ仕方がないかなというような、学校の廃校とかそういったとこも利用していかなければ仕方がないのかな、というふうには思っております。

【村田】
 はい、ありがとうございました。それでは最後に橋本知事、全体の話をお聞きになって、高知県として中山間地を支えるうえでこういうヒントを得たとか、こういう方向性が思いついたとか、やっていきたいとか、いうのがありましたらそれも含めて聞かせていただきたいと思います。

【橋本高知県知事】
 最初にですね、村田さんがその人らしく生きていくにはどうするかということをおっしゃいました。サービスを受ける側からすれば、その人らしく、生きていくためにどうするか、ということだし、サービスを提供する側からすれば1人1人に合わせてどういうサービスをしていくかという、今池田さんがおっしゃったことになろうと思います。

 つまり、やるべきことっていうのは大体見えてるんではないかなと。その手法も、先程局長が言われましたように、いろんな形があると。ここからが難しいところなんですけども、それを支援していくとなると、制度をつくる、基準をつくる、ということが必要になって、その制度や基準ができることによって、それぞれの地域事情になかなかマッチしないような制度になってしまう、というところをどう上手くかみ合わせていくかという問題ではないかと思うんです。

 どれだけ、自由度を持って使っていく、まあ予算であればですね。その使い方のできる予算の組み方をしていけるか、というその知恵が出るかどうかということが大きな課題だな、と思います。

 と、同時に、この福祉に関わることはやはり、最初にも言いましたように人ですので、やっぱり、人を育てる、また、人をやはり雇えるような、雇用できるような支援をしていく、ということが大きな鍵だし、それに尽きるのではないかなというふうに思いました。

【村田】
 はい、ユニットケアに携わる人たちの研修というのは、今後も高知県では続けていかれるんでしょうか。

【橋本高知県知事】
 担当者には話を聞いておりませんけども、僕は是非続けていきたいと思いますし、それは、国の補助もございますけれども、県としても当然続けていきたいと思います。

 そのことは、今市川さんの話にもありましたが、そのユニットケアは施設のことだということだけではなくて、つまり施設の職員の方にもそういうことを学んでいただくと同時に、僕は、地域でいろいろな活動をされる方も、逆にそういうものを受けて、見ていただいて、そこから何をするかを学んでいく、ということも有り得るんではないかということを思いました。

 施設同士の相互の例えば職員の交流というのも、今後あって良いと思いますし、それから地域で支えあいをやってらっしゃる方、それから施設の方とのお互いの研修だとか、勉強の仕方もあるんではないかというふうに思います。

【村田】
 どうもありがとうございました。大変長い時間頂戴して、皆様ありがとうございました。その人らしい暮らしを中山間地で支えていくためにはどういうことを考えていったらいいのか、ということで話合いを続けてまいりました。

 非常に行政主導で一生懸命やってこられた梼原村、それから、法人が中心になって一生懸命やってきたせんだんの杜と、この大きく2つのパターンが今回出てきましたけれどもあまり、国も、地方もお金のない中にあって、とてもこの2つだけではこれから支えきれない、そこに期待されるのが何かっていうとやはり、橋本知事が最初におっしゃった住民力とでも言いましょうか、地域住民の力、工夫、というものが今後非常にあてになる存在としてでてくることが必要ではないだろうかということを私も強く実感しています。

 こういう会場にきたり、セミナーで色々話しを伺っていますと、個室でユニットケアを行う、それから地域社会で小規模な拠点をつくって、お年寄をできるだけなじみの人間関係の中で支えていこうよ、というのが全国津々浦々当たり前のように行われているよう錯覚してしまうんですけれども、残念ながら、まだ、こういうことを考えているのは、ほんの一握りで、この会場に集まった方々は、本当に一生懸命、今後も進めていこうと努力されて、勉強もしておられる、というわけですけれども、まあ、本当にこういう動きは少ないんだというのを様々な取材から私は実感致します。

 したがってこの、今日会場にこられた方々がせめて核になってですね、自分たちの施設だけが良くなれば、自分たちの地域だけが良くなれば、ということではなくって、全国にこういう芽をできるだけ広げる、せめて自分の地域社会、隣の特養に、隣の町の特養に隣の町の地域に、というふうに、考えていただいて、皆さんの方からここで学んだことを地域でまた、それぞれ発信していく、そういうお役目を担っていただけたら、というふうに思います。

 大変長いことご参加くださいましてありがとうございました。それでは、明日もう1日ありますので、どうぞ皆さん頑張ってください。今日はありがとうございました。皆さんありがとうございました。
 


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