知事の定例記者会見(平成17年12月議会)

公開日 2007年12月08日

更新日 2014年03月16日

知事の定例記者会見(平成17年12月議会)

平成17年11月30日8時50分から(県庁二階 第二応接室)


(項目)

 ・議案の説明
 ・公約の点検(1)
 ・三位一体の改革(1)
 ・指定管理者の指定
 ・市町村への権限委譲
 ・三位一体の改革(2)
 ・公約の点検(2)
 ・三位一体の改革(3)
 ・県警の捜査費
 ・公約の点検(3)

資料:公約(第4期)の進捗状況



議案の説明
(知事)
 12月の定例県議会を来月の6日に召集をすることにいたしました。

 提出します議案は一般会計補正予算など予算関係の議案が6件、条例その他議案が43件、そして報告議案1件の合わせて50件でございます。

 一般会計補正予算は、先の臨時会でご審議、お認めをいただきました人件費に関するもの、また発達障害者支援センターの改修工事の設計に関わるもの、そして指定管理者制度を導入いたします県有施設の管理代行に関する債務負担行為などを盛り込んでおります。

 また、条例その他議案は、知事の権限に関する事務を市や町でも執行できるようにする条例、また土木事務所をスリム化、機能強化をするための12の土木事務所の再編に関する条例、さらには指定管理者の指定に関するものなどが含まれております。

 12月の定例議会に関しては以上でございます。

公約の点検(1)
 併せて、知事公約についての中間まとめというものをお手元にお渡しをしておりますので、一言だけ触れさせていただきます。

 来月の12月7日で実質的な4期目の折り返し点を迎えるということになります。

 本来、公約というものは1期4年間を終えたところでまとめるべきものであろうと思いますし、またそのご評価はあくまでも県民の皆さまのご評価によるということになろうと思いますけれども、県では今、19年度を目途に経営方針というものをとりまとめて、それに向けて仕事を進めております。

 また、私が(平成)15年、16年の選挙で掲げました公約も、こういう経営方針の考え方に則ったものが多くございますので、経営方針の考え方、精神というものがどこまで根を張ってきているかということの点検の意味も含めまして、中間点での点検をいたしました。

 全部の項目は182項目。15年度選挙分が174、16年選挙分が8項目の合わせて182項目でございます。

 それぞれ、先ほども申し上げました経営方針の考え方、つまり住民力を活かした地域の支え合いの仕組みづくり、また県庁の仕事の仕方を思い切って変えていく、さらには公共サービスに協働という考え方、仕組みを入れていくというようなことを柱にしておりますし、また私の掲げました公約もそうした視点から見て、どこまで進んでいるのかということを基準にいたしました。

 「既に対応済」・「進捗中」・「未実施」・「方針転換」という4つの項目に分けております。

 「未実施」・「方針転換」は合わせて14項目ございますが、全体の9割が何らかのかたちで手を付けているということになっております。

 ただ、「未実施」とか「方針転換」というものを見ますと、公約の中で申し上げました、県庁のコペルニクス的転回ということにあたるもの、財政、人事等を含めた仕事の根幹、県庁の仕事の仕方に関わるものがやはりなかなか動き出さないということを実感として感じます。

 例えば県庁の幹部の人事を4月だけではなくて10月実施をしていきたいというようなお約束、また、予算の仕組み、つまり年度の予算を年度当初に全部組んでしまうのではなくて、まずできるものから組んで、あと必要なものは補正で組んでいく、というようなやり方で、少しでも効率的な予算の仕組みができるのではないかというようなことについても、なかなか手が付きませんでした。

 たしかに三位一体の改革が進んで厳しい現状の中で、財源の確保などに追われるという担当課の現状、現実というものもございます。

 けれども、そういうときだからこそ予算の仕組み、また人事等も含めてもっと思い切った考え方の転換というものも必要ではないか。このことも諦めずに検討を進めていきたいと思っております。

 また一方、「方針転換」ということで掲げました、南海地震のハードの整備計画でございますとか、男性の職員に育児休業を義務化をするというような項目につきましては、自分としても、それぞれ理由があると考えましたので、「方針転換」ということをそのまま受け入れるようにしております。

 今後のことでございますが、今の任期があと2年ございます。

 あくまでもアウトソーシングとか雇用、産業をパワーアップしていくというような、重点的に掲げましたことを中心に取り組んでいきたいと思いますが、併せて三位一体の改革の現状というものがだんだん明らかになってまいりましたので、そのことを踏まえまして今行政改革の大綱の見直しをしておりますけれども、自立できる、持続的に運営できる県政、県庁というものを目指して、組織の面、予算の面、そして県民サービスの面、全ての面であらためてこの公約、経営方針というものを踏まえた仕事をしていきたいというふうに思っております。

三位一体の改革(1)
 その三位一体の改革に関してでございますけれども、官房長官からの案というものが出されまして、これがきょうの国の協議の場で(決まっていく)、ということでございますが、細かい内容を精査しているわけでもございませんし、県にとっての影響額というものがきちんと計算できているわけではありません。

 計算できているわけではない、というのは時間的な問題もございますし、また都道府県だけが影響を受けるか、または市町村と折半になっていくかなどのこともございますので、計算ができていない面もございますが、ざっと項目だけ見ますと、生活保護に対する地方からの強い反発ということを受けて、その分が児童扶養手当と児童手当に切り替わった、というような流れ。

 また、施設整備費の50%というふうに、足して2で割る的な考え方。あるいは、義務教育の国庫負担に関しましても負担率を切り下げるというような、まさに数字の調整ということで最後のとりまとめが行われつつあるのではないかな、ということを感じます。

 そうであってもなお、3兆円の税源の移譲ができたことは画期的なことだという評価の仕方というのはもちろんあろうと思います。

 けれども、三位一体の改革というのはあくまでも地方の自由度を高めて分権社会というものを確立していくということが大きな目標でございますので、いかにこれまでなかった税源移譲というものがなされたとしても、そのことによって実際の住民サービスに効果として現れる自由度というものがなければ、決してやはり評価できるものではないのではないか、というふうに思います。

 ですからシャウプ勧告以来というそのこと1点のみをもって評価をするという姿勢はなかなかとれませんし、逆に本県のような地方にとりまして、そのことによって失うものがあまりにも大きい現状になってきているのではないかということを思いました。

 そのことから言えば、すぐにもまた第二期の三位一体の改革という声も地方からも出るのではないかと思いますけれども、そのことはいったん私の気持ちとしてはお休みをして十分総括、評価というものをした上で、どういう戦い方ができるかということを議論した上で進んでいくべきではないかな、ということをきのうきょうの動きの中で感じました。以上でございます。

指定管理者の指定
(池:高知新聞記者)
 指定管理者の指定についてなんですが、選定結果だけを見ますと19施設のうち財団とか社団法人が13で、大体7割ぐらいが公的団体のままになっています。

 公約ともからむことですけれど、アウトソーシングを進められている知事の施政方針からいくと、やや物足りない結果ではないかと思うのですが、この結果をどのように見ておられるかお聞きしたいんですが。

(知事)
 まず、今言われた指定管理者で実際にお受けになった団体の表を見ましたときに、自分としては少し違和感を感じました。

 ですから、特に問題はありはしないかと思った担当課は呼んで、どういうような選考経過であったか、そこに自分が思う何らかの問題点というものがないかどうか、ということをチェックしました。

 その結果、きちんと県関係の委員というだけではなくて民間の委員の方も(選考委員会に)お入りをいただいてプレゼンテーションを受けて、そしてどういう評価点で、ということも事前に公表した上で、その評価点の積み重ねでできておりますし、それぞれの評価点のあり方を見ても、例えば県の職員と民間の委員の方であまりにもかけ離れた評価があって、そのウエイト、バランスで何か違う結果になっているということはないかどうかもチェックをいたしましたけれども、そういうこともございませんでした。

 ということから、たしかに民間の力をということから言えば、外見的に少し遅れた出だしではないかというご指摘はその通りですけれども、選考の基準そのものに何か問題点を見出すということはできませんでした。

 今後、やはり民間の方々に、その意味ではもっと力を付けていただいて、それぞれの業務に求められるサービスというものが、つまり、管理運営というだけではなくて、そこで果たすべきいろんな企画だとか新しいサービスというものがありますので、そういう点で踏み込んだ力を付けていただければ、次は大きく指定管理者のかたちも変わっていくんではないかな、ということを期待しております。

(池:高知新聞記者)
 ということは、民間側の企画の内容にまだちょっと不足している部分があったという印象を持っていらっしゃるということなんでしょうか。

(知事)
 私自身がその企画のプレゼンテーションを受けたわけでもございませんので、直接の印象を私が受けたというわけではございません。

 けれども、(例えば)青年活動に対するサービスだとか観光関係に対するサービス、いろんなことがあるわけですけれども、それぞれの評価点の中にそういう項目がかなりのウエイトで付けられていて、そのことに対する民間の委員の方などの評価の点数なども見ますと、そういうことが推定されるのではないかというふうに思いました。

(池:高知新聞記者)
 指定管理者の件でもう1点なんですが。春野総合運動公園についてですが、この19施設見渡してもここひとつだけ、現在管理している高知県スポーツ振興財団がコンペで負けて、通信会社と建設会社のJVが今度候補になっているわけですが、この場合、振興財団としては母屋を奪われるようなかたちになると思うんですね。

 春野運動公園に事務所も構えて、一番業務のウエイトとして一番重いところでしたから。つまり、指定管理者に移行することによって、財団の縮小というものが避けられないように思うんですが。

 県も出資団体として、この縮小に対してどう対処するのか、ということですね。

 将来的に考えますと指定管理者の進行とかアウトソーシングもそうですが、職員の人員整理を県がどう調整するかということにかかってくることと思いますので、お考えをちょっとお聞きしたいです。

(知事)
 結論から言うと、まだ考えとして十分協議をしてまとまったものがあるわけではございません。

 今回の12月の議案に関して言えば、最初のご質問にありました指定管理者制度と言いながらなかなか民間ではなくてやや行政に関係する財団、法人などが受けている例が多いのではないかという疑問点のほうを、まずきちんとチェックをしなければいけないということを思いましたので、特にそういう意味での疑問点のない項目について、その後に出てくる問題を協議するだけの時間的な余裕もございませんでした。

 ただ、今ご指摘のあった点は春野の総合運動公園だけではなくて、今後美術館にしろ何にしろ、大きなサービスを担っている施設での指定管理ということを考えていくことも課題としては重要なテーマでございますので、今後の一般的な考え方、そして個別の施設に対する考え方、その後の職員の方のアフターケアなども含めてきちんと協議をしなければいけないと思っています。

 課題として十分受け止めて、協議をさせていただきたいと思います。

(竹内:高知新聞記者)
 指定管理者の件で、もう1点。
 知事は先ほど「ちょっと違和感があった」ということをおっしゃられましたけれども、それは先ほどおっしゃられたその美術館とかあるいは文学館は直指定で最初にやってしまったと。

 「こういう施設の運営をしてみませんか?」という、民間に対する県の投げかけというか、そういうものが弱かったんではないかという印象を若干ぼくは持っているんですけれども、その点に関してはいかがですか。

 つまり守りたい側で、「こういう(指定管理者の募集という)のがありますよ」ということを、民間にもっと広く周知して、積極的な参加を求めるというような、そういうことがちょっと足りなかったんじゃないかという気もしているんですけれども。

(知事)
 守りたいというときに守るものが何かということで。今、先ほどの質問にあったような、そこで働いている職員の人たちの地位を守っていくとか、そういうことの「守りたい」というのが主になっては当然いけないと思います。

 そのこともひとつの要素ではありますけれども、そのことを守りたいために指定管理の基本的な考え方がゆがんでしまってはいけないと思います。

 ただ、美術館にしろ何にしろ、公的なサービスとしてこれまで税金を投入して、整備をしてきた基本というものがあり、その中で、単にあそこにある美術館であればあの箱の中に絵を飾って見てもらうというだけではなくて、地域に出て行って、いろんな美術に関する文化を広める、教育に関わっていくというような、さまざまなサービスというものがあろうと思います。

 この10年間、十分できていたかどうかということは評価の対象になりますけれども、そういうことで、かなり思い切った地域への出前のサービスもしておられますし、また美術館に来られた方々への学芸員を通じてのいろんなサービスということも従来以上に充実をしたものになってきております。

 そういうサービスというのはこれまで絵を買うとか箱物を建てるということで税金をつぎ込んできた公的な機関として、今後やはり公的な性格を持った美術館運営の中で続けていただかなければいけないサービスだということを思います。

 ですから、その点はやはり守らなければいけないものだと思います。

 では「そういう守らなければいけないサービスとしてこういうものがある。そういうことを踏まえて参入していただけますか?」ということの十分な投げかけがあったかというのは、こちらからのいろんなPRという部分で十分なものがなされていなかったんではないかということの評価はあるのかもしれません。

 そこはちょっと私は分かりませんから何とも言えませんけれど。

 しかし、実際に指定管理者ということの話を受けて、企業の中で、美術館であれば直接来られていろんな話を聞いて行かれたというところはございますので、それに対してはきちんきちんと美術館や財団の責任者がそれぞれ「県としてはこういうようなサービスというものを守っていく、続けていただきたいサービスとして考えております」ということは十分説明ができているというふうに思います。

市町村への権限委譲
(浜田:高知新聞記者)
 物足りないということで言えばちょっと共通点があるかと思いますけど、県から市町村への権限委譲が来年、初年度なんですが、9事務、10市町しかないということなんですけれども、このあたり知事はどう考えていますか。

(知事)
 物足りないという表現で言えば、正直物足りないということになろうと思います。

 これは、私がというよりも、どなたが見ても物足りないというふうに思われるのではないかな、ということなんですが。

 その背景にはこの三位一体の改革の中で非常に財政が厳しくて、なかなか新しい事務を受けていくだけの財政的、人的な余裕がないということもあろうと思いますし、そのこと以上に、実際に合併が成し遂げられたかどうかということは別にしまして、法定合併協議会などができて、そこで議論をし、事務的な作業がワーッとふくらんできた。

 特に、本当に合併をされるということになりますと、その合併に向けての、さらなる作業も増えてくるという中で、なかなか県からの権限委譲というものを手を挙げて受けるということにならなかった現状があるというふうに受け止めました。

 実際に(権限委譲を)受けておられるところも合併という選択肢に至らなかった自治体でございますので、そういうことから見ましても今申し上げたようなことが背景にあるのではないかと。

 今後この第一次の合併の準備というものが一定一段落をした次には、県知事の権限に関する事務を徐々に委譲していくということも、もっと大きなかたちで進んでいくのではないかなと。

 また、市町村からも手を挙げていただけるのではないかということを思いますし、併せて今後市町村長さんなどとのいろんなかたちの協議の場でこういうことはまた呼びかけをしていきたいというふうに思います。

三位一体の改革(2)
(亀岡:朝日新聞記者)
 三位一体の改革のことについて。生活保護など一連の報告も国に送らないという考え方を一応出したとお伺いしているのですけれども、きのうきょうの議論の中で、結果が見えてきたんですけれど、その中で特に(報告を国に)「送らない」ということについてどういうふうにお考えでしょうか。

(知事)
 「送らない」ということは生活保護を今回の補助金の廃止・削減というところの項目に入れるという方向がありましたので、それに対抗する手段ということでございます。

 それがきょうの決着で明確になくなるのであれば、それはもちろん報告をしていくということに戻るということだと思います。

(釜本:時事通信記者)
 生活保護費に代わって児童扶養手当という案が出てきました。実際に生活保護費が出たときには、自由度の面ももちろんですけれども、憲法の保障する全国一律の平等というところもひとつの争点になっていました。

 これが児童扶養手当に代わったところでそっちのほうの問題というところが変わるもんではないのかなという気もするんですけれども。その点に対して知事の評価はいかがでしょうか。

(知事)
 単にすり替わっただけだということは、率直に直感で思います。

 ただ、生活保護というものの位置づけと児童扶養手当、児童手当の位置づけが、憲法上も含めてそれから福祉行政というものの中での位置づけを含めて、どれだけ法的な違いがあるか、また行政上の違いがあるかということまで十分整理できていませんので、それが全く同じレベルでのすり替えだと評価できるのか、それとも「レベルとしてはやや違うところがあるけれども、現実的には同じようなことですね」という評価になるのか、というところまでは明確に申し上げられません。

 直感的には、そこはすり替わっただけだというふうには実感をいたします。

(釜本:時事通信記者)
 きょう一方的に通達になる可能性もあるということなんですけれども、県としてそれを受け入れるのかどうかという際に、県に対しての影響額というだけでの観点で受けるかどうかを決めていいのかどうかというのが疑問なんですが。

(知事)
 それはもちろんそうではございません。そうではない、というのは影響額だけで議論されるべきものではありません。

 というのは、そもそも三位一体の改革というのが補助金等の廃止・削減によって権限を移譲し、税源を移譲して地方の自由度を高めて地域に根ざした、きめの細かいサービスをしていこうということに趣旨がありますので、その趣旨が実現できる項目かどうかということが第一の論点であって、この程度の影響額であれば我慢できるとかいうことが第一の評価になろうはずがありません。

(浜田:高知新聞記者)
 今回の生活保護の事務の返上も含めて、押し返したという表現になるかどうかは別として、今回の知事会の戦い方、戦術をすべて総括してどうお考えですか。

(知事)
 生活保護という問題に関しては、事務の返上等(を表明するにあたって)、数県反対をされたり、動揺されたりした県がございますけれども、都道府県がまとまって取り組んだということは効果があったというふうに思います。

 ただ、それが全体に何かの影響を与えたかどうかというところまではよく分かりません。

(釜本:時事通信記者)
 官房長案のその他のものでいきますと、地方の側から言えば、いわゆる自由度が広がるほうにちょっとつながるかな、というのが施設整備費になるかと思うんですけれども。

 半分でもきたからよしとするか、逆に半分しかこなかった、もっと求めなきゃいけないと思うか。このへん、見解が分かれると思うんですけど、知事の見解はいかがでしょうか。

(知事)
 それは今の段階でちょっと何とも言えません。

 というのは、自由度ということに関して財源の面もありますし、それぞれ補助要綱に基づく自由度以外の施設の要件等もありますので、そういうものの規制緩和がどう一体となって取り組まれるかということが、この施設の項目ごとに考えていかなければいけないテーマとしてあろうと思いますので、なかなか一概には言えません。

 従来、建設国債であって、税源移譲の対象になる税源がないということが財務省の考えとしてずっと言われてきたものがどう整理をされているのか、またされつつあるのかということは、今後、公共事業一般ということを考えていくときに、それは大きな課題であろうというふうに思います。

(亀岡:朝日新聞記者)
 この議論の結果として、やっぱり本県にとって失うものもかなり大きいと先ほどもおっしゃられましたが、それをもう少し具体的に申しますと、どのへんが大きいというふうに…

(知事)
 それはもう地方交付税および臨時財政対策債への影響だということに尽きると思います。

 生活保護の場合にも影響額の算定をしましたし、この児童扶養手当、児童手当についても、今後県としての影響額というものを算定していくということになろうと思います。

 併せて、義務教育の国庫負担につきましても2分の1が3分の1になったときの影響額など、そういう数字が出てまいりますが、これらは地方交付税というかたちで裏打ちをされて一般財源化していくということが大きな条件でもあり、地方にとっては国との間の約束であるというふうに受け止めていたわけでございます。

 けれども、それが現実にはなかなか果たされない。そして(地方交付税の)項目としては入っていますよ、と言われながらブラックボックスの中でどういう積み上げになっているか分からないまま、どんどんどんどん現実的には地方交付税全体にマイナスの影響が出てきている、ということが一番の問題点であり、地方にとっての、特に高知県にとっての影響の大きさということになると思います。

公約の点検(2)
(竹内:高知新聞記者)
 公約の中間報告ですが、数字だけ見たら、182項目の中の「対応済」が25と。数字だけ見れば、そこに留まっているというふうな印象を受けるんですけども、そこの評価は?

(知事)
 それが留まっているかどうかということ以前に、先ほども9割以上ということを言いましたけれども、「対応済」ということでも30人学級だとか「がんばる企業」だとか、一応事業としてスタート地点、ある程度の効果というか動きを見せているというものは当然ありますが、

「進捗中」か「対応済」だというもの、特に「進捗中」だというものの中で、冒頭申し上げましたように住民の支えの仕組み、そういうものとの協働というような考え方だとか、それから本当にやっぱり仕事の仕方を変えていくんだという思いだとか、そういうこと等がキチッと腹の中に入ってそのことが進んでいっているのかどうかという点は疑問ということではないですけれども、まだまだ精査しなければいけないものがいっぱいありますので、

現実に進んでいるものの数がこれだけかと、留まっているという評価もあろうと思いますし、実際に進んでいるというものがこの県の経営方針というものに照らして、本当にそういう意識で進んでいるかどうかということも自分としてはもっと精査をしていかなければいけないなということから言えば、

まだまだいろんな意味での壁というものが、仕事を進める上での従来からのものの考え方の壁だとか、心の壁だとかいろんなものがありますけれども、公約の中でもその壁を取り払っていくということを言いましたが、その壁というものはまだまだ数多くあるなということを思います。

(竹内:高知新聞記者)
 「進捗中」がかなり多いですけど、そこが折り返し点を過ぎて「対応済」のほうへ移っていく可能性に期待をしているという・・・

(知事)
 それはもちろんそうです。それも、そのこと以前にまたなってしまうんですけれども、「進捗中」のものを「対応済」にしていくというのはもちろんやらなければいけないことですし、その際に経営方針に掲げた姿勢というものを貫きながら仕事を実現していってほしいと。

 それをキチッとチェックをしていかなければいけないということをひとつお願いすると。

 併せて、「未実施」というものの中に、先ほども言いましたように県庁の仕事の仕方、長く根付いてきたものの考え方をなかなか変えられないという点がございます。

 それをアウトソーシングのこと等を含めてそうなんですけれども、それをどう思い切って変えていくのか、転換させていくのか、実質的に向こう何カ月、来年度の当初までに何らかの手を打っていかなければいけないと思いますけれども、これからの2年間の大きな課題だというふうに思っています。

(竹内:高知新聞記者)
 来年の当初までに手をつけるというのは、例えば予算で言えば予算の組み方を・・・

(知事)
 いや、そこまで細かい意味ではないです。精神論として言いました。

(記者)
 きょうあすの話ではない?

(知事)
 きょうあすの話ではございません。

三位一体の改革(3)
(記者)
 三位一体の話にまたちょっと戻ってしまうんですけれども、きょう、官房長官案が協議の場に出ると。

 どうなるかは正直まだ分からないところがありますけれども、ひょっとしたら官房長官案でそのまま決まってしまうかもしれないと。

 先ほど、シャウプ勧告以来だからと言って評価することもできないという話もありましたけれども、知事として評価をするならどういうふうに評価をするか、もう少し具体的な評価というのが1点と、あと生活保護費の事務返上のような、官房長官案に対する対抗策というのは何か考えているか、という点をお願いします。

(知事)
 具体的な評価は先ほども言いましたように、テクニカルな影響額のことも含め、それから本質論である自由度の高まりがどうかということを含め、なかなかキチッと、具体的というご質問に答えるだけのものを持ち合わせていません。

 けれども、直感的に言えば生活保護費という考え方とあまり変わらない国の姿勢がそのまま貫かれている結果ではないかな、ということを思います。

 生活保護費に関する国と地方との協議でのああいう終わり方というか、中断の仕方というものもございましたし、今回の官房長官のまとめというかたちで押し切ってこようとされているという流れを見ますと、地方としてただ単にそれを黙って、まな板の上の鯉のように国の出方を見守るということに、これまでも再々申し上げておりますけれども、大変ふがいなさだとか何とも言えない思いというものを感じます。

 が、それに対してどういう対抗をしていけばいいかということを、これも具体的になかなか考えられない。

 生活保護の場合に、ああいうかたちのことを多くの都道府県がやりましたけれども、そのようなことが何かあり得るかどうかということはまだしっかりとしたものをとらえていません。

 けれども、やはり地方としてここは一度踏ん張って、すぐ「3兆円が実現できましたから次の段階へ」ということではないんではないかな。先ほど言いましたけれども、私はそんなふうに思います。

(釜本:時事通信記者)
 今後の戦いというところでいけば、この(削減の)影響度が仮に非常に大きかった場合に、地方交付税のあり方の論議も平行して進んでいますし、それこそ自由度の点で今回の官房長案にはあまりないものですから、自由度の根本を求める戦いを早急に始めないといけないという考え方もできると思うんですけれども。

 官房長案で地方に与える影響が非常に大きかった場合、高知県でいうとより苦しい状況が続くわけですよね。

 今知事は、「ここは一度踏ん張って」という言い方をされましたけれども、踏ん張れない・・・

(知事)
 言葉としては、「踏ん張る」ということを言ったかもしれませんけれど、「立ち止まって」という意味です。

 すぐ、もう第二期の三位一体の改革だ、というのではなくて、一度立ち止まって総括評価なり戦い方なりというものをキチッととりまとめて、それからいくべきではないかな、という趣旨で申し上げました。

(亀岡:朝日新聞記者)
 先日も知事が言っておられた、知事会としてのまとまった行動をどうするんだという議論があったと思いますけれども、こういうときにやっぱり知事会としてまとまってやるということに対して、「本当にできるんだろうか?」というような懸念をお持ちだという(お話があって)。

 そうすると、知事会に対するひとつの期待感と、あとはそれぞれがそれぞれの立場で重箱をつつく感じで行動していかれるのかと。そこをもうちょっと明確に分けて伺えますか。

(知事)
 どちらかでやっていくという、オール・オア・ナッシングの選択ではないと思います。

 知事会というのは当然非常に裕福な自治体からそうではない自治体までを含み、地方交付税に対する考え方も補助金削減に対する考え方も違っておりますので、そういう自治体が47一緒になって戦っていくというときの戦い方にはおのずと制限もあるし、折り合いをつけるということの中で譲り合いをしなければいけないということは当然考えていかなければいけないことだと思います。

 しかし、それでも一緒に戦っていくということに意味のある場合は、当然やっていかなければいけませんし、そうではないと思われるときには、それは、そこまで譲り合いをしてまで一緒になってやる必要はないんではないかということも発言をしなければいけないと思います。

 具体的に何の項目で、ということをイメージしているわけではなくて、可能性としてはそうだと思います。

 それから一方で、やはり同じような立場、または考え方として同じような知事なり有識者なりというものが集まって、この三位一体の流れに対するアンチテーゼというほどのものでないのにしても、何らかの考え方を出していくべきだと思いますし、それができるかどうかということを検討していきたいと思いますが、これもまだ、この間から言っておりますように、確たるものは自分として持てているわけではありません。

(竹内:高知新聞記者)
 裕福か貧乏かというと、間違いなく高知県は貧乏のほうに入ってしまうんですけれども、その流れで、もう知事もベテランの域に入ってこられて、貧乏県を束ねて自分が先頭でやってやるんだ、というような気概というのはどうですか。

(知事)
 気概はあります。気概はありますが、やっぱり地方交付税というものをどう見ているか、将来をどう判断をしていくかというような、大きな問題に関わってきているように思うんですね。

 これまでは地方交付税を断固死守していくと。その維持、堅持をして充実を図るという大命題で来ていたわけです。

 というと、この間の議会でのご質問にあったように、地方交付税そのものを全否定するかということになるんですが、そういう意味ではなくて、つまり今のお話にあった、裕福かどうかという大きな開きがあるわけですね。

 その開きを調整していくということは、これは地方交付税でなくても、別の仕組みであっても、当然必要なことだと思います。

 ただ、それを国に任せてしまうんではなくて、そういうことを地方団体としてやっていけないかということもこれから考えていかなければいけないのではないかな、というふうなことも、個人的には今思います。

 それを、果たして地方交付税の維持・堅持・充実ということならば、みんな本音がどうであれ、まとまって一緒にいこうということになりますけれども、全く制度そのものを新しく変えてやってみようか、というようなことで、手を挙げて一緒にやってくれるところがどれだけあるかということは、今後少し話をかけてみないと分かりませんので。

 自分の気概としてはそういう思いというのはありますけれども、果たして「そういう思いで頑張っていきます」と言って、誰ひとりついてこないということもあり得ますので、そこまで踏み込んで「やります」というところまではなかなか言えません。

県警の捜査費
(上田:NHK記者)
 捜査費の問題なんですけれども。先日、代表監査委員のほうから「捜査費の報告書について延期をしたい」という申し入れがありました。

 延期の理由のひとつとして、警察のマスキングの問題を挙げているんですが、特別監査を請求した知事としてはどういうふうに見ていらっしゃいますか。

(知事)
 それはまだ、これから特別監査の流れと、それから単に書類だけではなくて、捜査員の方に直接お話を聞きながら、そのマスキングの趣旨とそこに根拠があるかどうかということを問うていくということをお聞きしておりますので、そういう経過を見てからの判断になります。

 今の途中経過の中で、マスキングのこともございますし、ぼう大な件数に渡りますので、そこに県としても職員を増強して取り組んでいますけれども、なおそれだけでは時間的に余裕がないということはその通りだと思いますので。

 マスキングだけが、時間が延びたことの原因ではないというふうにとらえております。

(上田:NHK記者)
 知事としては、警察の協力の度合いというのはどういうふうに評価されていますか。

(知事)
 それはまだ、具体的に個別の案件について聞いているわけではございませんので、何ともお答えしかねます。

公約の点検(3)
(亀岡:朝日新聞記者)
 公約の関係に戻りますけれども。今これ〔公約の中間まとめ〕をザッと見させていただいたんですが、知事ご自身としてはこれ自体の自己評価は何点ぐらいとか、そういうことをお伺いしたいんですが。

(知事)
 点数を付けるのは非常に苦手なので何とも言えませんが、まだまだという感じです。

(竹内:高知新聞記者)
 5段階評価で分かりやすく言うと3ぐらい? 2ぐらい?

(知事)
 低いという意味ではなくて、3か2という感じだと思います。ただ、一生懸命やってくれている人に対して、低いというイメージでとらえられるといけないので。まだまだという趣旨です。

(竹内:高知新聞記者)
 「壁」という言葉をよく使われますけれども「まだまだ」というのは、職員の意識がまだまだなのか、あるいはご自分の・・・

(知事)
 分かります。それは非常に悩んでいる点でもあります。

  ちょっと、質問とピッタリあっているかどうか分かりませんが、自分としては悩んでいる点でもあります。

 背景には、職員の皆さんのこれまでの仕事への思いだとか、そういうことにずっと従事をしてきたことから積み重ねた考え方という壁があります。

 それを、どうしてもやっぱり突き崩さなければいけないな、という思いはあります。が、そのときにどれだけの摩擦を起こしてでもやっていくべきか、 とか、それからどういうかたちでリーダーシップを発揮していく、リーダーシップと言うと聞こえはいいですが、上意下達でやっていくということに踏み切るかというのがもうひとつまだ悩んでいるというところです。

 個別具体の話ではないんですけれども、もう残り2年という期間ですので、県の仕事というのはやっぱり年度年度で動いていきますから、やっぱり来年度のはじめまでにそういうリーダーシップだとかいうことに対しても、何らかの判断をしていかなければいけないのではないかということを思い悩んでいるというか、考えています。

(内田:毎日新聞記者)
 公約のところで、アウトソーシングの推進が「進捗中」ということですが、知事のほうも指示を出される関係で、本年度、ある一定の見積もりみたいなものが上がってきていると思うんですが、聞こえてくるところでは、知事が思っていらっしゃるほど内容的には進んでいないのではないのか、みたいな声も聞こえて。

 まだ詰めの段階だと思うんですが、現状が、知事が思っているほど進んでいるのかどうかということを教えていただきたいのですが。

(知事)
 思っているほど進んでいるのかというのは量の問題もありますし、それから質というか、アウトソーシングというものの目標だとかその到達点をどうとらえるかというものの違いということもあると思います。

 自分の思ったイメージで進んでいるかどうかといえば、決してそうとは言えません。が、それは先ほどの自分自身のリーダーシップを、どこでどう、もっと明確な姿勢を示していくかという、自分の判断と姿勢にも関わっていると思います。

 今度来年度以降の計画というものを各部局につくってもらいましたので、それをもとに、関係する部局長と協議をして、まず考え方を理解してもらって、部局長がリーダーシップをとって部局内のことをやっていってもらうということを、まずは進めていきたいなというふうに思います。

(内田:毎日新聞記者)
 やや物足りないとか?

(知事)
 いや、そういうようなことではなくて、量的な問題は別ですけれども、質的にこのアウトソーシングというもので求めるものだとか到達点だとかいうことの理解がまだまだ、共通認識に立てていないということがあります。

 よくいろんな場で言っていますけれども、県庁が担っている何百何千という事業を各課が持っているんですね。

 その事業のうちの「これを出す」「あれを出す」といって、ある意味出しやすいというか、民間との関わりで周縁にあるようなものを外部委託にすることによって、その何%というアウトソーシングの目標を達成したというふうに考えている人がまだまだ多いんじゃないかなと。

(内田:毎日新聞記者)
 それが表面的な数字に・・・

(知事)
 表面というか、それはそれでできるものは民間にいろんな仕事をつくっていくという意味でもいいとは思うんです。

 だけど、今いろんな地域の課題というものがあるわけですね。それに対して縦割りの持っている事業をいくつか積み重ねていって、この積み重ねをもって「はい、これがあなたたちへのわたしたちのサービスです」ということではもうなかなかなり立たないものが中山間であれ、地域福祉であれ、いろんな面で出てきているというふうに思うんです。

 それを、だからひとつひとつを「外に出して」、「中に置いて」ということを議論しても何も変わらないので。

 そうではなくて、やっぱり地域にある、現実に県の中にある問題にも横串を持って取り組んでいけるような仕事の仕方、法令なんかでやっているものでそうではないものが当然残りますけれども、そういう横串の仕事の仕方をしていくんだと。

 そのために今の何百かの事業を細かく分けて、割振りしてというものをひとつの手段としながら、どこかでそういう、今申し上げたような質的な転換をしていきたいなと思うんですが、この間もお話をしましたけれども、県の言うことは分からんでもないけれども、多くの職員にはなかなか十分理解がしにくいのではないかと言われて、それをどうやってそういう思いを理解してもらっていくかと。

 まずはやっぱり部局長さんに理解というか少なくとも共通認識に立ってもらって、リーダーシップをとってもらわないといけないな、ということを思っています。

(亀岡:朝日新聞記者)
 「方針転換」ということになると、ご支持を受けた有権者向けには何らかの報告をするということは何かお考えになっていませんか。

(知事)
 それはおっしゃる通りかと思います。まだそこまで考えておりませんし、どういう手段があるか分かりませんけれども、それは何らかの形で「方針転換」というものを十分説明をしていくということは必要だと思います。

(亀岡:朝日新聞記者)
 まだ具体的には?

(知事)
 考えておりません。

 


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