知事の定例記者会見(平成18年6月議会)

公開日 2007年12月08日

更新日 2014年03月16日

知事の定例記者会見(平成18年6月議会)

平成18年6月16日9時00分から(県庁二階 第二応接室)

(項目)

 ・議案の説明
 ・タラソテラピー施設への補助金
 ・指定管理者
 ・エレベーター事故の問題



議案の説明
(知事)
 6月の県議会定例会を6月23日に召集をすることにいたしました。提出をします議案は、一般会計補正予算をはじめ条例その他議案が13件と報告議案4件、合わせて18件でございます。

 このうち、一般会計補正予算といたしましては、南海学園の民間への移管に伴いまして移管先の団体が整備をされるのに要する経費を支援するための経費、また室戸の海洋深層水を活用した観光交流施設の整備によりまして、室戸海洋深層水のブランド力、また地域の雇用の向上を支援する経費など合わせて7億3,000万円あまりを計上しております。

 また、条例議案でございますけれども、消費者行政が消費者保護という観点から消費者の権利を尊重してその自立を支援していくというかたちに大きく切り替わりましたので、こうした流れを受けまして県の消費者関係の条例を改正する議案、また県立月見山こどもの森、森林研修センターの情報交流館の管理を指定管理者にお願いするための議案などを提案しております。

 このほかに高知県県税条例の一部を改正する議案など併せて条例議案が11件、その他議案が2件ございます。また、報告議案といたしましては17年度の高知県一般会計補正予算の専決処分の報告など4件がございます。私からは以上でございます。

(板倉:朝日新聞記者)
 では、質問があれば各社から。

タラソテラピー施設への補助金
(竹内:高知新聞記者)
 補正予算のなかにタラソテラピーの補助金があるんですが。2月定例会で訂正というかたちで予算を取り下げて、その後知事は4月にシュウ・ウエムラ会長と面談されて、いきさつを陳謝した上で、6月議会でなんとか補助金が付けられるように、というお話もされたようですが。

 今のところ各会派の議員さんのなかにもいまだ根強い反対の意見を唱える方もいらっしゃって、いよいよ6月議会が始まるわけですが、知事のこの施設への思い、補助金の必要性というところをちょっと語っていただければと思うんですが。

(知事)
 これまでの地域振興とか雇用の確保ということは、主にものづくり、製造企業の誘致とかその支援というかたちで行ってきましたけれども、そのことももちろんこれからも大切ですけれども、これからはそれとともに観光・交流といったようなソフト事業によって雇用をつくりだす、またそうした事業の誘致を進め、その支援をしていくという視点が高知県の経済状況から考えて、どうしても欠かせないことだと思っています。

 また、高知県としましては室戸の海洋深層水という資源を、全く質は違いますけれどもこれまであったもので言えば四万十川やカツオ、柚子など、そうした高知県が誇るべき、また売り込んでいくべき資源と同じように10年に渡ってずっと育ててまいりました。

 そうしたなかで、ものづくりという面ではひとつの広がりを見せてきたわけですが、さらに室戸の海洋深層水というブランド力そのものを向上させていくという必要もございますし、それと併せて最初に申し上げました交流・観光というふうな視点でこの資源を活用した、多くの方々に高知県に来ていただくような仕組みづくりということもいま求められていることだと思います。

 こうした大きな流れのなかで、ただ、やはり全く新しいかたちの業態に県外の企業に進出をしていただくということには、ある程度の支援がないとインセンティブというか、やろうという気持ちになっていただかないと、という面もございますので、関心を持たれる企業との間で長い年月をかけてずっと協議を続けてまいりました。(今回再提出します補助金は、)その経過から出てきたことでございます。

 2月の議会の際には、基礎的な資料も含め、十分ご説明ができなかったということで予算を取り下げるということになりまして、このことは、私自身の指導力の不足ということも含めて十分反省をしなければいけないことだと思っています。

 ただ、その後きちんと今後の支援のあり方、ほかの同じような取り組みに対する支援のあり方ということも含めて検討いたしました結果、あらためて6月議会に提案をするということにいたしましたので、ぜひ各会派の議員の皆さま方、併せて県民の皆さま方にご理解をいただきたいというふうに思っております。

 これからの地域振興ということを考えましたときに、ある程度従来の製造業への支援ということから踏み込んだ、幅を持った支援の体制というものも心づもりとしてやっぱり持っていかなければいけない。

 そのときそのときのケース・バイ・ケースでどういう支援になるかということは決まってくると思いますけれども、幅ということで言えば従来以上の幅を持って支援をしていくという心づもりを持っていきませんと、やはりこれだけ厳しい環境のなかで特に東部・西部・中山間というような地域で何かをしていただくというときのインセンティブ、それをやろうという刺激にはならないだろうということを思っています。

 このようなことから、ぜひこれからの地域振興のひとつの新しい形態、モデルとしてスタートさせて、今後また同じような取り組みがあるときにきちんと整合性のある仕組みづくりということを併せて進めていきたいというふうに思っています。

(竹内:高知新聞記者)
 2月定例会で30%という補助率を提示されて、企業立地促進要綱の現在の要綱の上限である15%の倍だったわけなんですけど。今回結果として5%下げたかたちにはなってるんですが、これは議会側への配慮というか議会の声というものを意識されたところがあるんでしょうか。

(知事)
 それはもちろんそうでございます。決して私は説明できないことはないとは思いました。けれども、やはり議会でのご意見ということを踏まえれば、そこでご指摘を受けたことにももっともなことが数々ございます。

 ただ、先ほども申し上げましたように、これだけ厳しい経済環境のなかで、しかも、いまお話のあった企業の立地を促進する要綱というのは、ものづくり、製造業を対象にしたものでございますから、新しい形態のソフト事業、交流というような事業を通じて雇用をつくりだしていくというときに、さらに高知市のようなある程度のマーケットと人の集まりがあるところはともかくといたしまして、そうではない、高知市内よりももっと有効求人倍率などの低い、そういう地域で新しい取り組みををしていただくというためには、これも総論として申し上げました、現在の支援よりもある程度やはり幅を持った支援の心づもりというものを持っていかないとなかなか企業に進出をしていただくということにはならないということを思いました。そういうことを勘案した結果、こうした数字をご提案しようとしております。

(竹内:高知新聞記者)
 知事自身のなかでは、いろんな報告も事務方から受けられていると思いますが、どういう感触を持たれていますか。議会のほうは、やってみないと分からない?

(知事)
 それはもう、ぜひともご理解をいただきたいという思いでございます。これからやはり東部・西部・中山間と県内の各地域でさまざまな地域振興のための取り組みを地道に続けていかなければいけないということを思います。

 私は先ほどモデルケースということを言いましたけれども、事業的にモデル事業という意味ではなくて、やはり事業の形態だとかいろんな意味で新しい、これまで高知県にはなかったようなかたちの取り組みであろうというふうに思っています。

 ですから、そのための支援のかたちというものも、これまでにないかたちを含めざるを得ないということがあろうと思いますし、そういうことがうまくいけば、これが西部の地域でもまた中央部でも中山間でもそうですけれども、そうした新しい取り組みというものを、広い意味で言えばリタイアメントタウンというような表現で取り組もうとしている事業も、なにも行政だけが、県や市町村だけが取り組む、また個人で取り組むというだけではなくて、企業に来ていただくということもそのなかにはあると思います。

 そういうようなことを含めて考えたときに、ある意味でのモデルケースというか、そうした先例として活かしていけるケースになるのではないかなと。

 いま東部だけが話題になっておりますけれども、今後県内にある資源を活かして新しいかたちの雇用の場をつくっていく、取り組みを進めていく、そのためのモデルケースだという思いで、ぜひ他の地域の方々も、そして県議会の議員の皆さま方にもご理解をいただきたいと。

 そういうことを十分また今後の委員会なり本会議なりでご質問があればご説明をしていきたいというふうに思っています。

(竹内:高知新聞記者)
 室戸市側から直接知事に要望はありましたでしょうか。

(知事)
 室戸市から私、橋本にということで言えば、直接は受けてはおりません。

指定管理者
(畑本:読売新聞記者)
 前回の議会の直前に資金流用が発覚して、指定管理者の指定を辞退した「森と緑の会」に替わって新たに「情報交流館ネットワーク」さんが、月見山こどもの森と森林研修センター情報館、このふたつの指定管理者になるんですが、前回積み残したこの指定管理者について、今回もう一度決め直して、積み残しが解決することについてのご意見を伺えますか。

(知事)
 前回せっかくいくつかの団体からご提案をいただいて、きちんと評価をさせていただいて、このグループにということでお願いをしたにもかかわらず、そのなかに不適切な処理があったことが分かって辞退をしていただいたという、そういう状況が生じたことは大変残念なことだと思っています。

 ただ、指定管理というのは今後大きな流れでございますし、そのなかでしかるべき団体に受けていただくということが必要でございますので、前の経過は経過といたしまして、新しくきちんといくつかの団体からまたご提案をいただいて、それを従来から申し上げているような評価基準で評価をさせていただいた結果、この団体に管理をお願いするということになりましたので、ぜひ指定管理者制度を活かしたようなかたちでの運営をお願いしたいというふうに思っています。

(畑本:読売新聞記者)
 それとなぜか今回高知城の懐徳館と高知城の天守閣とか公園、それを一体化して指定管理者を活用できるようにというお考えなんですが。

 指定管理者がこの間のような不適切な処理をしていたことが分かった事例もあるんですが、文化財もお預けしてという管理上の難しさと、高知城のように文化財をお預けすることの安全性についてのお考えといいますか、何かありますでしょうか。

(知事)
 前の問題は経理上の処理の、費目の計上とか予算の使い方の問題点でございますので、そういう施設の安全管理だとか運営ということにかかわった問題ではないと思っています。

 前に問題を起こされた個人のおられるグループも、グループの活動としては非常に高い評価を受けながら仕事をしてこられた。そのなかでやはり脇の甘い部分があって、ああした経理上の問題を起こされたということでございます。

 そのようなことが起きないように、また県としてきちんとかかわりを持っていくということは団体を選ぶときにも、その後の運営を見させていただくときにも必要であるというふうに思っています。

 それと、そういう経理上の問題うんぬんということとは切り離して、いまご指摘がありましたように重要文化財などを預かっていただいていくということは、いくつかの団体・グループから手が挙がって、そしてどこの団体を選ぶかという点数、評価点を付けていくというときの重要な要素だと思っていますので、そうした重要文化財の管理・運営にあたるという視点を重視した評価の仕方に当然なっていくのではないかと。

 十分そういうことも気をつけて、今後の指定管理者へのお願いをする場合には手続きを進めていきたいというふうに思います。

(竹内:高知新聞記者)
 重要文化財の管理というと、なかなか民間にノウハウが蓄積されているという感じでもないんですけども。知事の頭のなかで、結局県の外郭団体が受けちゃうんじゃないの、というのちょっとないですか。これをパッと見て思ったんですけども。

(知事)
 正直なところ、きょうこの質問が出るというのをなかなか予測していませんでしたので、そこまで庁内でも議論をしませんでしたし、具体的にどういう団体が考えられるかな、というところまで踏み込んだ意見交換をしていませんので。

 もし踏み込んだ意見交換をしていて、そのなかで可能性としてあがった団体がいまご指摘のような団体だけであれば、そうなるのかな、という思いを持ったかもしれませんけれども、そこまでもちょっと議論をしていません。

(竹内:高知新聞記者)
 前に築城400年の行事の際に、高知市とちょっとしたトラブルがあったようですけども、高知市が手を挙げたらどうしますか。

(知事)
 いや、それは私は全然構わないと思いますけれど、高知市さんとして手が挙げられるのかどうか…。

(中澤総務部長)
 それはたしか、大丈夫です。

(知事)
 ああ、できる。
 それは別に、私は違和感は全くないですけどね。きのうも例の世界陸上の事前合宿についての取材を受けたときに言ったんですけれども、やっぱりこれからは県と市が一緒になっていろんなことをやっていくという雰囲気をもっともっと多くの場所でつくっていくべきじゃないかなと。

 もちろん県と中核市という行政上の役割分担はあっても、それを超えていろいろ一緒にやっていけるということがいっぱいあるんじゃないかと思いますから。

 お城をどう活用していくかとかいうことは、まさにいま言われたようなことがあれば、それもあり得るべき選択肢だと私は思います。

 ただ、自分もいまご指摘があったように天守閣と懐徳館がどう違うかということを今回初めて色塗りの図で見て、ああこうだったのか、ということをあらためて認識をしましたので、まだまだ十分そこらへんの勉強が足りなかったな、ということを思ったのがまず第一で、その次どういうところにどう(お願いする)というところまでなかなか思いが回りませんでした。

(竹内:高知新聞記者)
 県の職員さんもどういうところが受けるのか、全く想定がついていないと思うんですよね。

(知事)
 いま言われた質問のなかにそういう意味が含まれているかどうか分かりませんけれども、やっぱりある程度想定をしないで紋切り型にその条件整備だけしていくということの問題点を多分言われたのではないかと思いますが、そうなってはいけませんので、そこはいまのご指摘を踏まえてまたひとつキチッと検討していきたいと思います。

 受ける団体にどういうところがあるかという想定、またないのであればそれをどうやって育てていくかという仕組みとワンセットでないと十分機能していかないだろうと思いますね。

(竹内:高知新聞記者)
 もし問題がなかったら高知市に働きかけてみたらどうですか。

(知事)
 「うん」と言うかどうか…。

エレベーター事故の問題
(畑本:読売新聞記者)
 議会の話からそれますけれど、全国的な問題になっているエレベーターの問題ですが。高知県内にシンドラー社製のものもいくつかあるようなんですが。いま、県と高知市さんも、実態調査をしているんですけれども。

 この調査が国からの依頼でやっていること、情報をどういうふうに県民に開示していくかという方針がまだしっかり定まっていないような印象を受けるんですけれども、県としてはどういった段階でエレベーターがどういう所にあって、どういうトラブルになっているかということを公表していこうというふうにお考えでしょうか。

(知事)
 まだ具体的な調査の手順とか状況について、全く報告を受けていませんし、把握をしていませんので、どの時点でどういう内容を、ということまで具体的に申し上げることができませんけれども、私の思いとしては、こうした問題は関係のエレベーターが入っている施設を使う可能性のある県民の方は特に強い関心をお持ちだと思いますので、できるだけ早く全体の情報が揃うとかいうことでなくても、私はお知らせをすべき情報が個別に何か出たとすれば、そういうこともお示しをしていくべきだと思いますし、またある程度まとまったものが出れば、そうした情報も次々に出していくべきだと思います。

 要は、県内に何件あって、そのうちなんらかのトラブルの申し出が何件あった、とかいうような総論的な数字が今さら示されてもあまり県民の皆さんとって重要な情報ではないと思うんですね。

 それは、最終的に国土交通省として全国的にまとめた数字を出されればいいというだけの話でなくて、やっぱり県民の皆さんにとって重要な情報は、何々市役所なり、何々という建物なりにそういうエレベーターが入っていて、そのためにこれまでも実はこんな市民・県民の方からのトラブルの声があったというような具体例が示されていくことが、私は情報として大切だと思いますので、そういうものがいくつかあったということがあれば、それは次々そういう情報を開示していくべきだと。

 それは別に、県がまとめてやる必要もないので、それぞれ関係の施設を持たれる団体なり、企業もあるかもしれません。ちょっと私、細かく分かりませんけれども、それを管理されている方がどんどん発表をしていただくように県としてもお願いをしていったらどうかな、というふうに思います。

(板倉:朝日新聞記者)
 ほかに質問はないでしょうか。
 よろしいでしょうか。

(知事)
 どうもありがとうございました。
 

 


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