第2回「高知女子大学のキャンパスについて考えるワークショップ」での知事の説明等

公開日 2007年12月08日

更新日 2014年03月16日

第2回「高知女子大学のキャンパスについて考えるワークショップ」での知事の説明等

〇日時 平成18年5月16日(火曜日)午後5時15分から午後8時30分
〇場所 高知女子大学学生会館内1F食堂 高知市永国寺町5−15
〇主催 高知県、高知女子大学
〇参加者
 ファシリテーター 畠中智子(高知のまちづくりを考える会代表)
 高知女子大学の学生の皆さん(37名)、高知女子大学の学長及び教職員(8名)、 高知県知事
 企画振興部企画調整課、私学大学支援課、文化環境部文化振興課、土木部都市  計画課、教育委員会生涯学習課の職員 ほか



 
〇内容
 永国寺キャンパス内で、学生たちと知事が一緒に学内の施設を見学した後、知事から駅前複合施設の構想に至った経過等の説明があり、その後、高知女子大学の学生や教職員、県の駅前複合施設関係者が、施設の魅力や不安などについて幅広く意見交換をした。
 

〇駅前複合施設の構想の概要説明(これまでの経過と今後)

(知事)
 それでは、時間も押しておりますので、さっそくお話に移らせていただきます。
 さっきお話をしましたように、今日は、県が検討しています駅前の複合ビルの構想ということについて、それをテーマに主に意見交換をしていただくということにしております。

 そこで、誰かがこの駅前のビルの構想がどうして出てきたのかということを説明しなきゃいけなくなったんですが、まさか私が、と思っておりましたら、私に白羽の矢が当たってしまいました。

 ですから、これから、この構想が出てきた経過、また、ある程度具体的に考えている内容、そしてそのことによって、県としてはどのようなことを期待しているのか、ということをご説明していきたいと思いますけれども、その前に皆様方にひと言お断りをしておきたいことがあります。

 それは何かと言いますと、これから説明をする内容というのは、なにも最終的な決定が下って、なにがなんでもこのまま突っ走るというようなものではなくて、もちろん、手直しも後戻りもきく、そういう提案だということです。

 なぜこんなことを冒頭申し上げるかと言いますと、これまでとかく行政の手法というのは、県民の皆さん方のあまり目に見えないところでいろんな案を練り、そして「提案です。」といって出た時には、提案といっているけれども実際にはもう最終的な案で、あとはどんな意見が出ても、結局はそのまま頑なに突っ走ってしまう、というような手法が多く取られてきました。

 で、そういう手法を取ってきましたから、あとでいろんな声がでないように、関係者に根回しというのをして、そして、事を進めていくというのが従来からのやり方でした。

 けれども、こんな根回しをして、文句がでないように、というようなやり方で提案をしていくのは明らかに時代遅れだというふうに僕は思います。

 また、こうした大きなプロジェクトははじめから県民の皆さんに、ある程度の案がまとまったところでオープンにして、しかもその後の議論を、オープンな議論を進める中でみんなで作り上げていく、そういう、今、時代ではないかということを思います。

 ですから、先ほども申し上げましたように、手直しもきく、後戻りもきく、そういう計画だと言うことです。
 で、この提案を去年議会で最初に公表をしたんですけれど、その時に、今、畠中さんから、皆さん方のご意見にもあったという、「唐突だ。」というご批判をたくさん受けました。

 なぜ、唐突だというご意見が出てくるかといいますと、これまでのやり方はさっき申し上げたように、根回しをする、関係者にお話をしていくやり方が当たり前でした。ですから、そういう方々から見れば、自分の所に根回しがなかった、そういう話が最初になかった、で、初めてきく話で「唐突だ」、いうことになります。

 けれども、そういう根回し方式じゃなくて、最初から提案をもうオープンなものにして、県民の皆さんと一緒に議論して物事を作っていく、プロジェクトを進めていくというやり方をとる時には、最初の提案というのは別に特定の関係者だけじゃなくて、すべての県民の皆さんにとって初めてきく初耳の話になるし、またある意味では唐突な話になるということになります。

 そういう意味で、「唐突だ」、というご批判というかご意見をいただいたんだと思いますけれども、このことは、オープンな議論という場合には当然の事であろうと思います。ただ、オープンな議論だから、もうそういう提案には耳を貸さずにもうこのままでいい、というような考え方でもいけないんじゃないかな。ということを僕は思うんです。

 で、振り返ってみますと、この駅前の整備構想、その前提にあります、線路を上げる、高架橋が立っていく、というような事業はですね、実は高知県では昭和40年代に真剣に議論されたことがあります。

 だけどその当時は沿線の方を中心にいろんな反対論が出て、結局その構想は昭和53年に一度頓挫というか挫折というか、断念をせざるを得ませんでした。

 このために、高知市という人口三十数万の都市は、この鉄道によって南北に分断をされてしまうという街になりましたし、南北に行く道路も踏み切りがあって交通の混雑等の問題がある。さらには、高知駅前が県庁所在地のJRの駅としてはあまりにもさびしいね。というような駅になっている、等々多くの課題を抱える事になりました。

 けれども、こうやって鉄道の線路を上げるというような事業は、国といっしょにやっていく事業ですから、本当は一度そういう事業をはじめましょう。といって議論が進んで、いろんな事情で断念をしてしまったら、もう二度となかなか復活はできない。というのがこれまでの常識でしたけれども、十五年前に私が新しく知事になったということをきっかけに、やはりこれから二十年、三十年先のまちづくりということを考えた時に、もう一度、この鉄道高架ということを考えよう、というので、新たにスタートをしました。

 そして、知事になって間もないころですけれども、あの駅前の中央郵便局の所で地域の方々はじめ関係の方々にこういうふうにして集まっていただいて、当時はワークショップという言葉はありませんでしたけれども、いろんな形で意見交換をしました。

 実はあとで、土木部の担当の都市計画課の方に聞くと、その時は従来型のやり方で、一度説明会を開いたらもうそのまま突っ走って押し切って行こうという考え方だったらしいんですけれども、僕が、もうそういうやり方は時代に合わない、ということで、その場で「これは1回の会だけれども、これから十分いろんな方々の意見を聞いて、そして前に進めるのであれば皆さん方の議論を踏まえ、理解を深めながら進めていきましょう。」ということを言いました。

 こういうことを言いますと当然、反対のための反対論を含めていろんな反対論が出てきます。そうした事に対してきちんといろいろご説明をしていく中で、同じ反対論と言うか不安を感じるという中でもこんなところが心配だ、こんなことが気がかりだということが具体的に出てくるようになります。

 そうしたら、例えば鉄道を上げるという事になれば、その高架の下のお家の日照権がどうなるかとか、さまざまな問題が出てきます。

 そういう具体的な話になってくれば、それではそれはこういうふうなやり方で解決ができるんじゃないか、それはどうだろう、というようなことで段々段々かみ合う議論になって、この鉄道の高架、駅前の整備を進めようということになりました。

 それから十五年余り経っているわけですけれども、ようやくそれが実現しようということになっています。

 世の中、なんでもそうですけれども例えば市町村合併でももう諸手を挙げて大賛成ですよ、という人も結構少ないんじゃないかと思いますし、かといってこれだけ市町村の財政も厳しくなった時にまったくそんな事考えなくていいという人も少ないんじゃないかと思います。

 ただ、その中には、やはり市町村合併にしてもこういうような問題があるんじゃないか、でもこういう魅力があるね、いろんな議論があってそういうものをみんな意見交換しながらまとめていくというのが、非常に手間がかかるけれども民主主義のまさに手続きだろうということを思います。

 ですから、この問題に限ったことじゃないですけれども、皆さん方にもいろんなプロジェクトというものに関わっていく時に、最初から賛成ありき反対ありきというに前提にとらわれ、先入観にとらわれるのではなくて、この提案されていることの魅力はなんだろう、何かここはいいねと思うところはなんだろう、逆に不安は何だろう、気がかりなところは何だろう、そういうことを自由にまた率直に出し合う中で議論を深めていく、そういうことを是非、考えてみてもらいたいな、ということを思いました。

 で、前置きが大変長くなりましたけれども、僕としては今の前置きのところが一番ほんとは大事なところだったんで、よく聞いてもらいたいなと思って少し長めの前置きをいたしました。

 そして、具体的な構想がどうなっているかということなんですけれども、ここの地図、見えにくい方もいらっしゃるかもしれませんけれどここにありますように、駅の周辺には、県が持っています土地、それからJR四国が持っています土地、高知市さんの土地、JR貨物さんの土地という、4つの企業、団体の土地がございます。

 ですから、この構想がまとまってきた段階から四者が協議をして、この周辺をどうしていきますか、ということを議論してきました。

 けれども、誰かが具体的な核になる構想というものを示さないと、交通の結節点として人の集まる、にぎわうまちづくりをしていきましょうというような抽象的な話から一歩も出ません。

 しかも、これから先を考えますと、19年度末、つまり再来年の春、この鉄道の高架と高知駅の新しい駅舎というものが出来上がって、この土地が使えることになります。そういうようなことも考えて、県が、自分の提案できるものを提案していきましょうと、県庁の中で議論しました。

 その中で、ここからちょっと言葉の使い方がカチンとくる方もいるかもしれませんけれども、県が持っている施設の中で非常に建設から時間が経って古くてしかも狭くなっていて、そしてこれから数年のうちに建て直しをするかどうするか、そういう判断をしなければいけない、そういう施設が3つありました。この3つの施設をまとめてこの土地で整備をしたら、という提案がまとまりました。

 実際にこういうような核になる提案が出来たために、さきほど申し上げましたJR貨物、JR四国、高知市を含めた4者の協議の中でも、具体的にもうちょっと踏み込んだというところまでいけるようになっています。

 そこで、この複合のビルの内容はどんなものかということを次にご説明をしたいと思いますけれど、その施設は3つあります。

 ひとつは、県民文化ホールです。これは、建ててからもう三十年の期間が経過しているものです。しかも、大きなホールが千五百人ですので、今それぞれの地域にある大ホール、いちばん大きなホールのうち、収容能力としては全国的にもいちばん小さなホールということになります。

 このために、ある意味皆さん方の世代などに人気のあるコンサートだとか、また県民の皆さん方にもっともっと多く見ていただきたいな、というような公演が、高知まではなかなか来ないで素通りしてということが非常に多くなってきています。そういうことは皆さん方もいろんなコンサートや何かを通じて感じられることではないかと思います。

 次に図書館ですけれども、この図書館もすでに建ててから三十年以上の時間が経過しております。このために図書館の蔵書を書庫という本来しまうべきところにしまいきれずに、会議室などを使ってしまわなければいけない、というような状況になっています。

 また、これからの図書館は単に本のリファレンスを、また貸し出しをするということだけではなくて、ビジネスサポートですとか、そういう産業面、生活面での情報支援をしていくという機能をもっていかなくてはいけません。けれどもそういうような新しい役割をもった図書館を整備しようと思っても今のままではとてもそれはできない、という状況にあります。

 そして3つめの施設が、皆さん方が今通ってきてくださっている県立の女子大学です。永国寺キャンパスのことですが、建物によって建った年代に違いがありますけれども、もう四十年とか三十七年とか、古い建物がいっぱいあります。

 そのことは、さきほど見せていただいた中でもいろいろご意見としていただいたことですけれども、地震に備えた耐震の改修というものもできていません。

 併せて女子大学はこれから学部学科の再編という改革の課題を抱えていますが、そうなりますと今の永国寺のキャンパスに来ている学生さんよりもより多くの学生さんを迎え入れる学部学科ということが想定されています。その時には、どういう形であれ新しい学び舎というものをつくっていかなければいけません。こういうような3つの施設が抱える課題がありました。

 しかも、我が県の抱える財政的な状況というものを考えると、今申し上げた県民文化ホール、図書館、また永国寺キャンパス、いわゆる女子大学の改革、こういうものをひとつひとつなかなか整備していくだけの財政的な余裕が正直言ってないという現状になってきています。

 これをこうした形でまとめて整備をしていけば、財政面では少なくとも効率的な運用ができるということになります。このことを、逆の言い方をしますと、限られた一定の財政のパイをいくつかの施設の整備に分けていくということを考えた時に、それぞれを個別に整備するよりもこうした形で整備をする方が個々の施設の内容というものを充実をさせる可能性が出てくるということになります。

 今申し上げたようなことが、この複合施設を建ててはどうかという構想が出てきた正直な経過ですけれども、こういうお話をすると、結局はそれじゃあ県が抱えている課題の建物をこの県有地というところに押し込めただけじゃないの、理念もないそういうような考え方じゃないの、というご批判は当然出てくるだろうと思います。

 私はそういう批判が出てくる余地があるということは否定はいたしません。けれども、そのことを批判として甘んじて受けたとしても、なお私は提案としては皆様方にお示しをし、議論をいただく意味のある構想だというふうに思っています。

 例えば、女子大学ということを考えてみますと、この大学はさらに社会人教育だとか生涯教育だとかいう面で役割を、県立の教育機関として役割を果たしていただく必要があります。

 その時に、高知県はご承知のように、東西に大変長い県で、それぞれの地域にいろんな方々が住んでいらっしゃる、そういう方にいちばん利用していただけやすい場所はまさに高知駅前ということになります。

 また、女子大学と図書館が併設をされるということ、大学の図書館と県立の図書館が機能が、役割が違うということは当然のことです。当然のことですけれども、今図書館も見せていただきましたけれども、県立の図書館と大学がいっしょになっていくということは、決してマイナスであるわけはないだろうと思います。

 情報的な支援ということでよりプラスになっていくということは間違いないことだと思いますし、その中で大学の機能とそして県立図書館の機能をどうやっていくかということは、十分知恵を絞れる課題ではないかなということを思います。

 また、県民文化ホールも千五百人の話をしましたが、併せて今グリーンホールと言っている五百人規模のホールを作っていくことになります。

 こうしたことは、大学としての、例えば学会への対応だとかいろんなコンベンション機能、そういうことを通じて、様々な新しい大学としての活動を興していくチャンスにもなっていくのではないかということを思います。

 併せまして、設計、建設の工夫ということを考えれば、屋上庭園的なものにしろキャンパスビルの中にあるゆとりの空間づくりにしろ、いろんな工夫ということは具体化できると思いますし、私もまだDVDを観ておりませんのでどういうものかわかりませんけれども、その具体例はさきほど畠中さんからご紹介のあったような明治大学のDVDの事例を観ていただいて、また考えてみていただけたらな、ということを思います。

 もうひとつ、大学というものを少し離れて、この駅前の土地ということを考えますと、さきほど言いましたように東西に非常に長い県で、この鉄道の結節点という、県内ではもう最大の一等地という場所です。

 で、ここに人が集まる、これは大学ということだけで申し上げているわけじゃないですけれども、多くの方々が利用する施設を作っていくということは当然鉄道を利用して多くの方々がこの高知駅周辺に来られるということになります。

 今後の高知県の県土ということを考えてみますと、高速道路もどんどん東西には広がっていきます。けれども、どんなに高速道路ができたとしても、高齢化も併せて進んでいきます。

 そういう中で交通弱者と言われる高齢者の方々やこどもさん方が自分で動いていけるこの鉄道という移動手段は、この高知県にとってはどうしても必要なものだと思いますが、そのためにはやはり鉄道のお客さんを確保していくということも、単に補助金を出すだとか、市町村が基金を作るということではなくて、私たちとして考えていかなければいけない課題だということを思います。

 その時に駅前の土地をそのまま放っておくのではなくて、多くの県民の方がご利用いただく施設をつくっていくということで鉄道の利用客を一定確保して、またそのことが鉄道の維持にもつながっていくような効用も、これから県全体としては考えなければいけないことだというふうに思っています。

 と、いささか大学のこととは離れたお話もいくつかいたしましたけれども、いずれにしろ冒頭申し上げたとおり、この提案というものは最終案でもありませんし、手直しがきかない、また後戻りがきかないというふうな提案で申し上げているわけではありません。

 けれども、だから、それじゃあこのまま放っておけばいいじゃないの、それは永国寺のことだけ言ってるんじゃありません、全てのいろんな物の新しい施設を作るということ、そうであればもうそのまま放っておけばいいじゃないの、という、まあ、高知県に割とありがちな現状維持という考え方でこのまま新しい何かものづくりということを判断していく、そのことを避けていこうとしたら、これは何十年か経った時に高知県にとって大きな、私は、禍根を残していくだろう、というふうに思います。

 ですから、冒頭、申し上げましたように、いろんなプロジェクトに対して最初から賛成ありき、反対ありきというような先入観、固定観念で物を考えるのではなくて、いろんな情報というものを手に入れながら、その中で何かいいな、と思うこと、不安だな、と思うこと、悪いな、と思うこと、いろんなことを率直に出し合って、そこで出てきたものが解決できるものかできないものかということをまた議論を積み重ねていく、そういうことを是非、このワークショップを通じて進めていければということを思っています。

 さっき畠中さんからもお話があったように2回で終わるものでもないと思います。3回でも4回でも5回でも、というとまた、私学・大学支援課の課長さんガックリとくるかもしれませんけれども、私はいくら時間をかけ回数をかけたってそれだけ意味のあることだと思います。

 とにかく、先入観を、最初から固定観念で物事を考えるのではなくて、いろんな可能性、そして制約条件、財政のこともあります、

 そういう制約的な条件を含めてみんなに考えてほしいな、高知県の将来をいっしょに考えるという意味でこのワークショップにこれからも参加をしてほしいなと思います。以上です。ありがとうございました。 
  
 

〇講評

(知事)
 今日はたいへんお疲れさまでした。

 最初に言いましたように、この提案というのは、後戻りできない提案でもないし、手直しが出来ないものでもありません。このまま突っ走ろうと、ここしかない云々というような言い方をしている提案では最初からありません。

 ただ、だからといって、最初から反対ありきで事を済ませていいだろうか、もっとやっぱりみんなで可能性というものを議論していくことが必要じゃないか。そのためにこういうワークショップをいうものを重ねています。

 ですから、最初に反対ありきという、これまでの固定観念や先入観にとらわれるのではなくて、いろんな不安だとか可能性だとかいうことをみんなで議論をしていくべきではないかな、ということを、私は思います。

 今日のお話の中でも、どれだけの予算がかけられるんだ、と。明治のああいうのをみても参考にならないんじゃないかという話がありました。

 明治大学とそのままもちろん一緒というわけではありません。しかし、ビルの中、というイメージがどういうものかということを知っていただくために、ああしたDVDを観ていただきました。

 金額ということでいえば、「どれだけかけられるんだ」、ということは、反対のための反対をいう人はこれはいくらでもおっしゃるだろうと思います。

 要はですね、どれだけかはわかりません。だけど、200億だとか250億だとか、そこまでいけずに150億だとか、いろんな金額があると思いますけれども、県としてかけられる金額というのは決まっています。

 その限られた金額の中で、それぞれ3つの事業を例えばしていく、また特に永国寺の中で独立に整備をしていく、というようなことを考えるのと、こうした形の整備を考えていくのと、どっちがより充実した大学というものをつくっていけるかというようなことも考えていかなければいけないと思います。

 それを、頭から否定をしてしまうというようなことではなくて、みんなで考えていく。これからやはり、学生さんたちが皆さん方が、また皆さん方も新しい校舎に入るわけではなくて、次の皆さん方の後輩がこの大学を次に使っていくということになりますので、そういう人たちのためにどうあるべきかということを、もっと心を開いてみんなで考えてもらったらいいな、ということを思います。

 最初に言ったように、反対のための反対を考えていくというような事ではなくて、またどうせならもうこのままでいいやと考えてしまうのではなくて、いろんな可能性を探っていく、それがほんとに社会人として皆さん方が育っていく時の、一番いい、僕は、勉強材料になっていくんだろうというふうに思います。

 ですから、これからも良ければぜひ、第3回、第4回とこういう会をやっていきます。この駅前だけではなくて、この中の話でもありましたけれども帯屋町とどうつないでいくのか、いろんなまちづくりについて、また駐車場だとかそういう交通対策について、みんないろいろ思うところがあると思います。そういうものをまたもう少し広げながら議論もできたらな、ということを思います。

 また、お話の出た中で、セキュリティをどうするか、とか、騒音の問題をどうするか、とかの議論がでました。こういうことは、私のような素人、建築の意味での素人では答えられません。

 ですから、ほんとはしかるべき誰か、建築家でも来てもらってそういうことをお答えをしてもらってもいいと思います。騒音も全く、今の時代、問題はないと思いますし、それから、利便性と安全性の切り分けというものも、全く今の時代は問題はないと思います。

 ただ、そういうところを大学というアイデンティティとして感じられるかということは、これはそれぞれ皆さん方の主観の、受け止めの問題ですので、利便性と安全性が切り分けられるかどうかということと、そこで勉強したいと思うかどうかということと、これは別のことです。

 ですから、そういう主観面の問題点をどうしていくかということは残りますけれども、今、申し上げたような騒音の問題だとか安全性の問題だとかいうことについては、きちんとしたその道の専門家を呼んできて、又はそういう方の意見を聞いて、今日出たご意見にまたお答えをして次の話に進めていければということを思います。

 もう繰り返しになりますけれども、最初から賛成でこれで突っ走るんだという、また最初から反対で突っ走るんだというのではなくて、次の時代の若い人たちのために、また次の時代のまちづくりのために皆さん方が貢献できることがあるわけですから、そういう視点でぜひ、幅広くまた心を開いて考えてみていただけたらな、というのが私のお願いです。
 どうもありがとうございました。

 


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