職員の収賄容疑による逮捕に係る緊急幹部会議での知事発言

公開日 2007年12月08日

更新日 2014年03月16日

職員の収賄容疑による逮捕に係る緊急幹部会議での知事発言

平成16年5月27日(木曜日)高知県庁 第2応接室


【総務部長】
 それでは部局長会議を始めさせていただきます。既に報道などでご承知のことと思いますが、昨夜、伊野土木の職員が収賄容疑で逮捕されまして、また、併せて、県の土木事務所や本庁の道路安全利用課などが家宅捜索を受けました。
 今日はこの件についての報告と、それから今後の対応についてご協議いただくために、急遽お集まりをいただきました。
 まず、土木部長さんから事案の概要についてご説明をいただきたいと思います。

【土木部長】
 (事件の概要を説明・省略)
 ここで、交通事故による道路損傷に関する事務についてご説明いたします。交通事故によりガードレールなどが損傷した場合には、道路法第22条に基づき、原因者に復旧させることができることになっています。

 このため、原因者と復旧について話し合い、原因者が費用を負担して復旧を行います。この復旧工事は通常原因者が業者に依頼して行います。その際、原因者に工事業者に関する知識がなく、工事業者の紹介を求められた場合には、県が業者を紹介することがあります。今回の事件は、このような業者の紹介に絡んで発生したものです。

 今回の不祥事により、県民の信頼を損ねましたことにつきまして、県民の皆様に深くお詫びを申し上げます。このような不祥事を二度と起こすことのないよう、再発の防止に向けて業務の再点検を行い、県民の信頼の回復に努めていきます。
 私からの報告は以上でございます。

【総務部長】
 それでは、この件に関して知事さんの方から。

【知事】
 今回の事件は、組織や仕組みの問題と言うよりは、この当人の倫理観またモラルの欠如に起因をする事件だと思います。ただ、前に六本木ヒルズのあの回転ドアの事故の時にちょっと例としてお話しをしましたが、ひとつの事故の背景には、30くらいの小さな事故があって、その背景には二百、三百の気がつかない何かトラブルが起きているという、まあ危機管理の法則があると言われます。

 それから言うと、こういうことが表に出てくる、事件になってくるという背景には、何十、何百の気がつかない問題点がある、ということも考えられます。
 また、今回の贈収賄事件は、従来からの贈収賄の事件、つまり発注者として、発注受注の通常の関係の中で起きたような贈収賄ではなくて、いわば、県民の皆さんへのサービスに絡んで出てきているものです。

 ということは、土木部のように発注業務を持つところではなくても、何かこういう専門家を紹介をしてくれませんか、というような県民の皆さんからのお問い合わせにお答えをするというサービスをする可能性のある部署であれば、それが職務権限に通じるかどうかということは別にして、起き得る不祥事であろうということを思いますので、ぜひそれぞれの部局で、うちはその公共事業的な発注業務を持っていないからということではなくて、こういう県民サービスに絡む不祥事が起きる可能性はないかなということは、ぜひチェックをしていただきたいと思います。
 また、そういうことをもう一度きちんとあらためようね、ということを部局の中でも部下の職員に話をしていただきたいと思います。

 しかし、こういうことが起きて何かを見直す時に、せっかくできているスピーディに対応できるような業務のあり方、また、手続き的にも簡略化できる業務のあり方を、逆に県民サービスにとってはマイナスになるような、屋上屋を架すような手続きをとるとか、また、時間的にも非常に時間がかかるような業務にしてしまうというようなことがあってはならないので、そういう点もぜひ心掛けていただきたいと思います。

 いずれにしろ、このように県民の皆さんの期待を裏切るような行為があった、また、そういう職員を出したということに対しては、県民の皆さんに心からお詫びをしなければいけません。

 が、お詫びをするというだけではなくて、こういうことをプラスの面の更にサービスの向上ということにぜひ繋げるように、特に、今回の事件が県民サービスということに絡んで出てきているだけに、これをマイナスに捉えるだけではなくて、こういうことを機会に県民サービスというものをより不祥事が起きない形で、また、県民の皆さんにとってよりよい形になる、そのためには何をすればいいかということをぜひ考えていただければな、ということを思います。

 以上です。

【総務部長】
 この件につきまして、例えば再発防止あるいはそういったことについてご意見などございましたらお願いします。また、先ほどのご説明の中で、ちょっと特殊な事案でございますので、分かりにくい点とかありましたら、部局長さんの方から出していただければと思います。

【企画振興部長】
 業者のリストみたいなのがあって、特定の業者を斡旋するということではなくて、そういった補修業務ができる登録業者を一覧表にする、一覧表にできる仕組みを構築する、業者の能力を判定するような。
 そいうものを作っておいて、複数の者から県民の方に選択してもらうという改善方法はあると思います。

【知事】
 昨日もこの事件に絡んで庁内でお話しをしていて、例えば、市町村が担当していらっしゃる下水道の配管の事業については、その業者の方のリストというものをお見せをして、ということをやっているそうです。そういうことも一つだと思います。
 それから、今度のことで、チェックということで言えば、一つの業者に道路修繕が集中しているということが何故分からなかったのかという質問をしたら、土木事務所ごとにその事務の処理の仕方が違っていて、事務所によっては、どこの業者に頼んだかと、施行結果などの写真も付けて書類として保管をしているという所と、そうではない所があって、そのために一つの業者に随分集中しすぎているねということが分からなかったということがありますので、こういう点は、土木部長の方でもマニュアルを作って、どういう業者に出したかということが後で分かって、管理職の目から見て、どっかに集中していておかしいじゃないかということが分かるような、また、そういう風にすればこういう不心得な人間がこんなことをしようということの抑制にもなると思いますので、これはぜひやったらと思いますし、十河さんが言われたように、地域ブロックごとで一定リストに、リストに上げるかどうかでまた入れてくれ入れてくれということもあるでしょうけれども、そういうことはできるかと思いますね。

 もう別に指名というような基準ではなくて、許認可を受けている、登録をしている業者名をずらっと並べて、どこかお近いところで頼んでくださいという形もできるかと思いますね。

【企画振興部長】
 (リストの作成を)県がやるか。業界団体がやるかということも。

【知事】
 そうですね。団体にやってもらうということも、そうですね。

【文化環境部長】
 ケースの記録、職員が何かの対応をしたときに、後々まで一定の記録を確実に残していくというような、職員の癖を付けていくということはやっぱり必要だと。それを上司がチェックしていくかどうかは、またそれぞれで対応していただいたらとは思いますが、行政の対応の色んな場面で、どんな時にそのことを言ったのかということが分からないまま、後で判断をするようなことがよくありますから、その時ちょっとしたメモがあれば随分参考になるなあと思います。

【知事】
 先ほども言いましたように、今度の場合には、道路法の第22条というものがあって、それに基づく職務権限があるわけですけれども、そうじゃなくて県民の皆さんと接していて、許認可の手続きをするのに、そういう手続き業務を代行してくれる人をご紹介くださいとかいう、色んなパターンがあると思います。

 ですから、それはその直接職務権限云々ということとはまた法的な次元は違いますけれども、そうやって県民の皆さんからのお問い合わせにサービスをして何かをもらう、ということそのものがいけないことですので、そういうことが起き得ないかどうかということは、それぞれの部署でもぜひチェックをしてもらったらなと思います。

【総務部長】
 他に何かございますでしょうか。
 それでは、ぜひ各部局でも今日の会議の内容はお話しをいただきまして、今日の趣旨を徹底していただければと思います。それではこれで部局長会議を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。


Topへ