知事の定例記者会見(モード・アバンセ事件に係る最高裁の上告棄却を受けて)

公開日 2007年12月08日

更新日 2014年03月16日

知事の定例記者会見(モード・アバンセ事件に係る最高裁の上告棄却を受けて)

平成19年8月29日13時00分から(県庁二階 知事室)

(幹事社)
 それでは始めさせていただきます。
 昨日伝わってきました最高裁の判断に対する知事の受け止めからお聞かせください。

(知事)
 高等裁判所の厳しい判決の内容判断というものが、最高裁の決定によって確定をするということを大変重く受け止めています。

 ただ、この事件をきっかけに、高知県庁としましては県庁をあげて県政改革ということに取り組んできました結果、職員の意識また仕事の仕方も大きく変わってきていますので、二度とこうした事件を起こさないということは自信を持って県民の皆さん方にもお伝えできると思います。

 とはいえ、「のど元過ぎれば・・・」というようなことわざもございますので、そういうようなことが起きないように今回の最高裁の決定ということをきっかけにあらためて身を引き締めて県庁の改革ということに、また県民の皆さんに信頼していただける県庁の確立ということに取り組んでいきたいと思います。

(幹事社)
 それでは各社個別にどうぞ。

(記者)
 責任の取り方に関してなんですが。
 まず被告のお三方には退職金の返還であるとか、あるいは地方自治法に基づく職員に対する求償であるとか、また市民団体から損害賠償請求の訴訟も起こされています。

 そうした中で、知事ご自身がなんらかの金銭的な面であるとか、そういう具体的な手法で責任をとられるお考えがあるのかないのか。仮にあるとすれば、例えば今期限りで引退されるということですけども、退職金の返還であるとかそういった具体的なことがあれば教えてください。

(知事)
 民事に関しましては住民訴訟が係争中でございますので、その住民訴訟についての裁判所の判断を待ちたいというふうに思います。

(記者)
 退職金の返還とかそういったことは?

(知事)
 今申し上げましたように住民訴訟の係争中でございますので、それに関する司法の判断を待ちたいと思います。

(記者)
 関係職員に対する求償についても民事の判断を待つということでしょうか。

(知事)
 そうでございます。

(記者)
 現実的に、知事が12月の任期まで、金銭面の補填と言いましょうか、回復に関する結論というのは出ないという展望になるんじゃないでしょうか。

(知事)
 それは司法の進捗の具合によりますので、今どういう段階まできているか私はよく存じておりませんから、そこまでは分かりません。

(記者)
 平成13年に山本副知事が逮捕された直後は20%でしたか、任期中減給という処分を自らに課したと思うんですけれども。いま質問にありましたように、任期中あらためて判決が確定したこの段階で減給処分を課すとかという責任の取り方もないということですか。

(知事)
 それはございません。

(記者)
 それはもう前回の20%の減給で道義的責任というのは、果たしているということですか。

(知事)
 道義的というか、行政の長としての管理監督責任、また併せて政治的な責任ということも加えられておりますけれども、その責任はそのことをもって果たしているというふうに思います。

(記者)
 政治的な責任という言葉を使われましたのでお聞きしますが、そうするとこの最高裁決定をもって、任期を待たずして辞任されるということもないということですか。

(知事)
 それは全くございません。

(記者)
 責任の取り方うんぬんで、住民訴訟の結果を待ちたいというふうに知事はおっしゃられましたけども。刑事事件は今回最高裁の結果が出ましたが、住民訴訟については1審がまだ高知地裁で係争中で、おそらく最終判断ということで決定ということになれば相当の時間がかかると思うんですが、それまで退職金とか求償を含めた責任というのはなんらされないんでしょうか。

(知事)
 誰の(責任)でしょうか。

(記者)
 それは、事件の被害者が県ということですので、県の長として関係職員から求償を求めたり、もしくは自らの責任を含めてするとか。

(知事)
 先ほどお答えをしたとおりでございます。

(記者)
 それは刑事事件で一定の確定をみても、なお住民訴訟、民事訴訟の結論を見るまでは対応を待つということですか。

(知事)
 はい。一般論ではございますけれども、刑事訴訟の判断と民事の損害賠償の裁判の判断が異なるということはいくつもございます。これはあくまでも一般論として申し上げておりますけれども。現在民事の住民訴訟が係争中でございますから、民事に関してはその判断を待ちたいと考えています。

(記者)
 しかし、刑事事件のほうで確定したということは、県の職員が背任行為をして県に損害を与えたということが確定しているわけなんですけれども、その重みとさらに市民団体が起こしている民事の住民訴訟とを果たして同列に捉えられるのかな、というのがあるんですが。

(知事)
 同列ではございません。しかし、例えば求償をするという額について、どういう額になるのかということは現在住民訴訟で係争中でございますので、裁判所の判断を待つべきだというふうに思います。

(記者)
 2月定例会でしたか、質問戦でこの最高裁判断が今後のご自身の去就に影響するというか、それを県民がどう受け止めるかも参考にするというお答えがあったかと思うんですけれども。それよりも先に、もう去就ということで発表されたんですが、今後の進路で、具体的に言えば例えば国政挑戦とかのご自身の進路に今回の判決がなんからにリンクするというか、影響はあるとお考えでしょうか。

(知事)
 私自身の心の中ではございません。

(記者)
 「心の中では」ということは、県民の受け止めによってはいろいろ考え方が変わってくるということもあるということでしょうか。

(知事)
 いや、私の考え方に影響はございません。

(記者)
 今回裁判の中で同和行政としての意味づけで政策的決定だったというふうに主張されていましたが、今回の裁判で結局その同和行政について県政が何をするかということまで踏み込んだのかというと、そうではないという見方が強いようなんですけれども。

 最高裁の判決を評価するというのは難しいと思うんですが、これまで県が進めてきた同和行政との整合性と最高裁の判断というものについて知事のお考えというのはありますか。

(知事)
 同和行政の評価またそこにあった問題点ということについては、もう高裁判決のときに申し上げたとおりでございますし、その他の場所でも申し上げております。最高裁の審理というのは、あくまでも事実関係の審理ではなくて今回の決定文にもございますように、判例違反があったかどうかという一点で示されております。
 つまり、上告のための条件を満たしているかどうかということで判断を下して、その要件を満たしていないために上告を棄却するという内容でございますから、このことによって同和対策に対する考え方、評価うんぬんということには全くあたらないと思います。

(記者)
 今回、刑が確定するお三人に対して、今の心境というのはどういうものでしょうか。

(知事)
 個人的にはもちろんいろんな思いがございます。けれどもそうした個人の思いと知事という立場での判断、考え方、受け止め方というものを同じ場でお話しをしますと、極めて誤解を与えかねませんので。今日はこうした公式の会見の場でございますから、そのような個々人に対する思いというのは差し控えさせていただきたいと思います。

(記者)
 一方で、これまで同和行政のあり方について見直しを進めてきていますが、今回の判決で県職員の中に動揺もあろうかと思います。高裁判決のときには動揺せず進み続けようという趣旨のことをおっしゃっていましたが、今回の判決がその方向性に影響を与えるということはあるんでしょうか。

(知事)
 それは全くございません。

(記者)
 残り3カ月余りの任期の間に、この最高裁の判断を受けて知事ご自身が新たに取り組めること、3カ月以内でやるべきことというのは何か考えることがありますか。

(知事)
 それは冒頭申し上げましたように、県政改革というのは何か問題が起きたときには職員のそのことに対する意識も高まるとは思いますけれども、だんだん、だんだん時間が経てば、「のど元過ぎれば・・・」というようなことわざにもありますように人々の意識が薄れていくという危険性はあります。

 ですから、こうした決定をいただいたということをきっかけに、あらためて県政改革への思いというものを県庁職員一丸となって心の中にきちんと刻んでいく。そういうことをもう一度しっかりと各職員に訴えていくのが、これから3カ月やらなければいけないことのひとつだと思います。

(記者)
 訴える方法として何か具体的な考えはお持ちでしょうか。

(知事)
 それはこのあと庁議を行いますので、庁議の中で幹部の職員にそういう話をして、そうして各部局を通じて職員にもそのことを伝えてもらいたいと思います。

(記者)
 県庁の内向けの話は分かるんですけど、県民に対しては、やはり損害の回復というような具体的な金銭の話になってしまうんじゃないかと思うんですが。県民に対して今回の事案を含めて知事から語りたいことというんでしょうか、そういう部分をちょっと教えてほしいんですが。

(知事)
 先ほどから申し上げておりますように、最高裁の審理というのは、事実関係の審理がなされるわけではありません。最高裁に上告をする理由である判例違反ということにあたるかどうかということを審理されて、その要件を満たしていないということで短い決定文が書かれております。

 ですから、その判決の内容とか持つ重みというのは高裁判決と同程度だというふうに受け止めなければいけませんし、その高裁判決のときに県民の皆さんにはきちんとご説明をし、県庁の出直しということを具体化してまいりました。

 そのことを県民の皆さんもこの数年間見続けてきていただいていると思いますので、先ほども言いましたように、そうした意識が薄れないようにきちんともう一度県庁改革への思いを新たにするということが県民の皆さんに対する、内向きと言われても、そのことがやはりひいては県民の皆さんに対する一番のアピールになっていく、また自分としての説明責任になっていくというふうに思います。

(記者)
 それに関連するんですけど。今回の闇融資で結局2回の計12億円の融資を知事は一切ご存じなかったということで決定しております。ということは、橋本県政下で副知事と部長と課長とが刑事事件で有罪になって、しかも実刑で確定するわけですからそれなりの重みもあろうと思いますが。

 先ほど内向きの改革を進めてこられたと。しかし厳然と知事の知らないところで、しかも中枢の部下職員が結果的に犯罪とされる融資に手を染めていたという事実は残ると思います。で、改革を進める中で何かそういう知事の知らないところでの何か、問題とかそういうものを知り得るように変わりましたか。

(知事)
 同和問題について言えば、同和対策本部というものを設けて副知事が本部長として取り仕切るということが長く高知県庁の仕事の仕方として続いてきました。そういう仕事の仕方をあらためる、また同和対策、同和行政そのものを全面的に切り替えるということを実施してきました。

 また、一般論で言っても、先ほどから内向き、内向きということを言われますけれども、県政の改革ということで取り組んできた情報公開なり、またいろんな意思決定のプロセスを県民の皆さんに開いていく、伝えていくということは県政の改革ですけれどもそのまま県民の皆さま方とつながりのある、関連のある改革でございます。

 こうしたことをきちんとやってきたと。そのことによって県庁の職員とまた知事との意思疎通なり、情報の共有というものも昔よりははるかに進んできているというふうに思います。

 これはやはり先ほど申し上げたような本部制というような制度、仕組みの問題ということも過去ありましたけれども、そのこと以上にやはり1人ひとりの職員の意識、特に幹部職員の意識ということが大切ですので、その点では意識の改革ということが当時よりもはるかに進んできていて、仕事の進め方、情報の共有の仕方というものもその当時とは一変をしているというふうに私は受け止めています。

(記者)
 昨日のコメントでも「厳しい内容だ」とおっしゃっていましたが。今日お話をお聞きしますと、高裁判決のときに出たとおりであると。今回の判決を意外だと捉えられているのか、一定想定されていたのかというところはどうなんでしょうか。

(知事)
 昨日のコメントがどうなっていたかというところまで細かく今覚えておりませんので大変申し訳ございませんが、私が申し上げたいのは大変厳しい内容の高裁判決が確定をするということを重く受け止めなければいけないということです。最高裁の判決の内容に事実審理でも加わっているのであれば、それに対しての厳しさうんぬんという評価ができますけれども、そういうものではないということを申し上げております。

(幹事社)
 よろしいでしょうか。

(知事)
 ありがとうございました。


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