第6回高知県民生委員児童委員大会での知事挨拶

公開日 2007年12月08日

更新日 2014年03月16日

第6回高知県民生委員児童委員大会での知事挨拶

平成18年5月13日(土曜日)ふくし交流プラザ   主催:高知県民生委員児童委員協議会連合会


 
 皆さん、おはようございます。本日は高知県民生委員児童委員大会の開催、誠におめでとうございます。
 また、皆さま方には日ごろから地域の福祉を進めるリーダーとして、また、地域住民の皆さま方の相談相手として地域福祉の向上のために、日夜ご努力をいただいておりますことに心から感謝を申し上げたいと思います。と、同時にこうした大会を通じて支援活動を充実させようと、さらに研鑽を積まれようとしている皆様方の姿勢に心からの敬意を表したいと思います。

 さて、このところ、小椋会長のお心遣いもございまして、私も協議会連合会の皆さま方、役員の方々と何回かお会いをしてお話を伺う機会がございますが、そうしたお話し合いを通じまして社会の大きな変化、また、その中で皆さま方が日々ご苦労をされ、悩まれているということを、実感として感じています。

 例えば、オレオレ、振込め、またリフォームといったような枕詞のついた詐欺事件の横行といった事もその一つで、リフォームといいましてもお家の詐欺だけではなくて、お家をリフォームしようというだけではなくて、お宅に伺って「おじいちゃんそのメガネちょっとおかしいんじゃないの。これに変えたらどう。」と言って、また高い法外な金額を請求する等々、新手の色んな事件が次々と起きてるというようなお話も皆様方との意見交換の中で知ることが出来ました。

 まさに高齢化が進み、そのなかで一人暮らしのお年寄りも増えてくる。そうすると、話し相手を求めて、誰か来たらその話に乗ってしまう。そんなお年寄りの心理に付け込んだ犯罪ではないかと思いますし、こうした手口はこれからも色んな形で広がってくるのではないかということを懸念をいたしますが、そうしたお話を伺いましたので県の警察本部の署長会議でもこうした点にも是非、民生委員の方々などとも連携をして注意をしていただきたいという呼びかけをいたしました。

 一方、都市部の委員の方からは、例えば、高知市など次々とマンションが建って、自動ロックになって中にも入れない。どういう方がおられて、どんな悩みを持っておられるのか、そういう情報もなかなかつかみにくい、といったような悩みも伺いましたし、先ほどのお話の中にも出てまいりました、個人情報保護法という新しい法律によって、それに過敏に反応する。ある意味、過剰反応する。そんな動きが出てきていることによって、地域の支え合い、連帯という事がまた、しにくくなった。そんな悩みもあるのではないかと思います。

 ということを考えますと、民生委員・児童委員のお仕事といっても、単に福祉という枠を超えて、防犯の事、消費者問題の事、また個人情報の事、さらには南海地震などに備える防災の事等々、非常に幅広い分野にわたったお仕事になっているのではないかと思います。

 一方、福祉という従来からの枠も高齢者、障害者、子ども等々の縦割りの枠がございます。県庁の仕事ということで言えば、そうした縦割りの組織の中で仕事をせざるを得ないということがありますけれども、現実の社会、今のお話にあった、蟻の目で見る社会にはそういう縦の枠はありません。

 福祉の中の枠にしろ、また、福祉を超えた色んな問題にしろ、そうした現実の問題を蟻の目で見てアンテナに様々な情報を集めておられるのが皆様方ですので、これからの地域の支え合いということを考える時に、皆様方と行政との連携というのは、さらに力強いものになっていかなければいけないと考えています。

 それだけに、本年度の予算編成にあたって、皆さま方の活動費の補助を見直すという際に、これは担当の職員の手が足りなかったということではなくて、十分に本当に皆さま方との間の意思疎通ができていたかな、ということは、自分自身の思いとして反省の念を持っています。

 といいますのも、溝といっていいほどの、大変、皆さま方の予想を上回るほどの厳しい財政状況にありますので、どういう分野も聖域を設けずにこれまでの仕事の仕方、県の仕組みというものを見直していかざるを得ないということはご理解もいただき、また、ご協力もいただかなければいけないことだと思っています。

 しかし、これからの厳しい時代を本当に地域の皆の力で支えていこうという時に、最低限、私たちとして守っていかなければいけないもの、また、支えていかなければいけないものがあるのではないか、それを健康福祉部という一つの本県の部の中だけの問題としてとらえるのではなくて、県庁全体の中の予算配分などの枠で考えてみる必要があったのではないか。そういう事を自分自身の反省として感じています。

 この点に関しまして、この3月31日に協議会連合会の役員の皆さま方とお話しをした時に、まさに、小椋会長から市町村合併によって、町や村の名前は消えるけれども、それによって地域が消えるわけではない。この事をよく考えてもらいたいというご指摘を受けました。はたと、膝を打つ思いがいたしました。

 どういう意味かと言いますと、市町村合併によっていくつかの町や村が一緒になって市になる。その事によって、単に色んなこれまでの制度を当てはめていけば配置基準が変わっていく、等々の変化が予想されます。しかし地域そのものはそれで無くなるわけではありません。

 ということから考えたときに、民生委員の皆様方の配置の基準、主任児童委員の方々の配置の事などを市町村合併というような制度の鳥の目で見るのではなくて、蟻の目できちんと地域からの問題としてとらえていくべきだという事は私としても、県の担当としても十分認識をいたしましたし、早い段階で財政当局とも十分議論をしながら来年度以降の対応を考えていきたいということを感じております。

 一方、地域に目を向けますと、社会福祉協議会、また、皆さま方、そしてNPO法人などの活動家の方々、そういう皆さま方のお力添えを得て、さまざまな支え合いのネットワークができつつあります。

 こうした活動をさらに全県的に広げていきたいという思いで、県と致しましても保健福祉課の中に地域の支え合いの推進チームというチームをつくりました。チームといいましても実働3人の小さなチームでございます。

 けれども、皆さま方のお力とあいまって具体的な色んな支え合いのしくみづくりを県内各地に広げていきたいと思っています。時同じくして、協議会の連合会の方でも、こういう地域福祉を推進する部会を立ち上げられるということでございますので、是非この面でも連携を深めていきたいなということを思っています。

 また地域での活動といいますと、もう具体的に、ある意味では元気なという枕詞をつけてもいいような取り組みが各地に起きてまいりました。

 いくつかの例を挙げれば、旧中土佐町の鰹の国元気塾、また土佐町のとんからりんの家、日高村のNPO法人日高わのわの会、さらには田野町のなかよし交流館等々、各種の取り組みがございます。

 それぞれには、それぞれの固有の持ち味というものがございますし、今日は時間も限られておりますので、その内容まで踏み込みませんけれども、そこに共通しておりますことは、住民の皆さんが主役であるということ、そして、サービスを提供する側、受ける側といった従来からの一方通行の福祉ではなくて、サービスを受ける方々も何らかのかたちで参加をしていく。役割を与えられる。そのような取り組みになっていること。そのことによって、みんなが楽しさや元気さを感じながらそうした活動をしている。このようなことが共通点ではないかと思っています。

 今、よく自立という言葉が使われ、県も自立、自立ということを皆さま方にも申し上げています。では、自立とは何でしょうか…ということを考えたときに、行政のお金が厳しくなった。だから、皆さん方の自己負担をお願いをして後はお任せします、というようなことが自立であっていいわけはありません。

 また、自立といってももうなかなか体が動かないよ。耳も良く聞こえなくなったよ。といったように、物理的、肉体的に完全な意味での自立は出来ないという方々もこれから、もっともっと増えてきます。

 しかし、そうした方々であっても考えられる自立ということをこれからはサービスとして提供していかなければいけないのではないのかと。それは何かといえば、先ほどの元気な、色んな活動の例として述べました、その特徴点として述べましたサービスの受け手の側が、ただ単に何か、施設なら施設の中でサービスを一方的に受けるのではなくて、ご自分自身も役割を持って、参加をしていけるような取り組みを進めていく。その中で、どんなに体の弱った方であっても、ご自身の何か目標というものを持って、色んな活動に参加できる。そういうしくみを作っていくことが自立のためのしくみではないかということを思っています。

 先ほど申し上げました地域の支え合いをつくる推進チームでも、是非、そういうことを取り組み、また、それを民生委員の皆さま方にも投げかけながら具体的な活動を広げていきたいなということを思っています。

 あわせまして、地域の支え合いの推進チームの皆さんともこの間お話をした時に、単に、個別の具体活動をご支援をするというだけではなくて、民生委員の皆さんの配置の事ですとか、社会福祉協議会の制度の事等々、制度、しくみの持つ、今、問題点というものもあろうと思います。

 そういうものも、どんどん、どんどん、ご自分たちのアンテナに引っかけて、そして、それを県全体の問題として福祉だけの枠にとらわれずに進めていこう、変えていこう、これは公民館活動でも、文化活動でも、様々な分野があろうと思います。そうした取り組みを是非、県として進めていきたいということを思っています。

 また、先ほど小椋会長からもお話がありましたが、これから夏にかけまして地域の、ブロック別に研修会を開いていかれるということでございます。

 私も今、この高知市の丸の内にある県庁の中だけで毎日知事として仕事をするのではなくて、地域の現場に出て行って、そこに県庁を開いて仕事をしていくような、そういうやり方をすべき時代ではないかということを感じておりました。

 ちょうどいい機会でございますので、5つのブロックのその研修会には必ず参加をさせていただきながら一緒に色んな問題を、地域の問題を考え、具体的に進めていく一歩にしていきたいという事を思っています。

 是非、今年度から、来年度、また大きな色んな意味での変化があろうと思いますけれども県、行政また市町村の行政、社会福祉協議会、そして皆様方とは力を合わせて本当の意味での地域の支え合いというものが高知県のモデルとして各地域に広がっていく、そのことを是非、お願いをしたい、また期待をしたいと思います。

 最後になりますけれども、話が全くつながらないので、いきなりになりますけれども、皆さま方にお配りをした資料の中に、この土佐二十四万石博というパンフレットが入っております。

 なぜ、こんなことを言うのかといいますと私、知事だけではなくて、観光コンベンション協会の理事長という仕事もしているからでございますけれども、この土佐二十四万石博というのは、県内の皆さん、また、県外から多くのお客様を、お招きをするとてもいい機会だと思いまして、県も力を入れて取り組んでおります。

 こうしたことも、これまでの毎日のお仕事で、こう、お疲れになった時にちょっと気休めに行こうか、また、地域の元気なお年寄りを誘って出掛けて行って、また、その町の元気さをもらってこようか、そんな何か役に立つのではないかなというこじつけで、宣伝PRをさせていただきました。

 最後になりますけれども、今日の大会が実り多いものになりますことを心からお祈りをし、そしてまた、皆様方に、地域で是非、頑張って下さいということをお願いをして、少々長くなりましたけれども、私からのご挨拶といたします。本日はおめでとうございます。ありがとうございました。


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