知事の定例記者会見

公開日 2007年12月08日

更新日 2014年03月16日

知事の定例記者会見

平成16年4月26日16時00分から(県庁二階 第二応接室)

(項目)
 ・出納長の人事
 ・参議院選挙への対応(1)
 ・イラク人質事件
 ・小泉政権の評価と衆議院補欠選挙結果
 ・地域再生交付金
 ・義務教育費の国庫負担金制度
 ・参議院選挙への対応(2)
 ・警察の捜査費
 ・参議院選挙への対応(3)
 ・受益者負担的な新たな取組み
 ・公務員の退職時の特別昇給
 ・昨年の知事選挙での費用


(池:高知新聞社記者)
 幹事社の方から、3問ほど、まずご質問します。

出納長の人事
 まず、空席になっております出納長の人事についてですが、「三位一体(の改革)」なんかで県の財政が非常に危機的な状況にあると。その一方で、県議会の対応も厳しさを増しております。そういう中で、人選において知事が最も重視されている要素というものを何においていらっしゃるのか。

 それと、今度7月が定例会ですけれども、提案のタイミングがその時になるのか、またそれまでに臨時議会を開くなど、そういったタイミングがまた新たに生まれるのか、そういった、人選、タイミングについてこれまでどのような検討をなさったのか、そこをまずお聞きします。

(知事)
 出納長にどういう役割を期待するかということですけれども、もちろん出納事務の長という当然の役割はありますが、それに加えて、今、私も副知事も県庁出身ではないわけですから、そういう県庁の職員の人たちが気軽に行っていろんな話をする相談窓口的な役割ということもひとつ必要な機能ではないかと思います。

 あわせて、今のご質問の中にもありましたけれども、議会との関係ということで、その間をとっていける、そういう仕事のできる方、といったことをポイントに人選を進めております。

 いつの時期かというのは、やはり、出納長という機関は法的にも必置の機関ですので、なるべく早く同意をお願いするにこしたことはないということを考えていますけれども、5月は5月で、いろんな議会の日程が詰まっていて、前後の日程を考えると、なかなか臨時の議会をお願いする日取りがないのではないかというようなことも感じておりますので、そういうような間合いで、今、準備というか検討を進めております。

 まだ具体的なしぼり込みができているわけではありません。

(池:高知新聞社記者)
 今のお話を聞いていますと、庁内登用、あるいは県庁のOBに絞られると?

(知事)
 基本的にまだ、どなたにお願いをして、ご本人のご了解を得て、というところまできていませんので、最終的にどうなるかということは別ですけれども、今、選択肢として考えているのは庁内の方ということです。

(池:高知新聞社記者)
 それはOBでなくて現役という?

(知事)
 OBも現役も含めて。今、どなたかにしぼってというところまでできておりませんけれども、OBも現役も含めて考えております。
 

参議院選挙への対応(1)
(池:高知新聞社記者)
 二つ目に、7月に予定されています参院選の対応ですが、これまでに、現職の森下博之氏、それと広田一氏、中根さち氏、ついこの前は松岡(由美子)さんが出馬表明をなさいました。

 3年前は、知事自身、「私への信任投票」というような言い方で広田さんを全面支援されています。一方で、去年の5月、森下さんの支援団体で、知事が「協力します」ということを公言されたと聞いております。

 そういう中で、知事がどういう動き方をするかというのが参院選の上でひとつの大きな焦点になっているわけですけれども、実際、今後本番が近づくにつれて、特定の候補に支援あるいは力を足してあげるというような、そういった考えはお持ちでしょうか。

(知事)
 結論から言うと、今回の参議院選挙で、3年前の選挙のようなかたちでどなたかを応援をするということはありませんし、考えておりません。

 昨年の5月に、森下さんの会で、というお話があって、確かに後援会の総会に出てごあいさつをしたということはその通りですし、前向きなお話をいたしました。
ただ、お聞きになれば、そういうふうに当然受け止められる表現をしておりますので、そのことを否定するわけではありませんけれども、「協力」という言葉をカギカッコで言ったかどうかというところまでは覚えていません。

 その後の、知事選挙でのお互いの距離とかいうこともございますので、そこはまあ、一旦、ある意味では白紙に戻して、どなたにも特段のご協力とか応援をしないということで今回の参議院選挙に望むというか、参議院選挙はそういうスタンスでいきたいと思っています。

(池:高知新聞社記者)
 森下さんの事務所開きの際に知事がメッセージを送ったとも聞いておりますが、今おっしゃったスタンスでいくと、各候補に出されるということでしょうか。

(知事)
 事務所開きでちょっと…出したかどうかまで…。事務所開きで出しましたかね?今年の森下さんの後援会の総会に「総会おめでとう」というものを出しました。

 それから、今度、広田さんのお子さんの初節句の会がございます。その会も、仲人をしたという関係で出ます。そうした距離感でのおつきあいはしますけれども、選挙にかかわることでの応援とか、そう受けとめられるようなことは控えたいと思っております。
 

イラク人質事件
(池:高知新聞社記者)
 3点目に、イラクでの人質事件に関連してですが、あとで行方不明になっていた2人も含めて5人が現地で人質になっていましたが、結果的に全員解放されましたけれども、その事件を巡って、いわゆる自己責任論、個人責任論というのが、政府・与党をはじめ各閣僚なんかから話が出ております。

 世論も、ボランティア活動とかそういった活動に理解を示す声、一方で、避難勧告に従わずにイラク入りして事件に巻き込まれたそういう無謀さを避難する声もありますが、そういった中で、国家の責任が国民の生命を守るというところでどこまで及ぶべきか、あるいは自衛隊派遣の是非論も絡んでまして、議論が二分されている状況ですが、知事はどのようなご見解をお持ちでしょうか。

(知事)
 5人の人質になった方々について言えば、それぞれに経験の浅さ深さはあっても、ジャーナリストとして、またはボランティアの一員として、イラクで活動をされてきた、またはされようとしてきた方です。

 今イラクにとって必要なことは何かというと、イラクでどういうことが起きているかという現状をやはりきちんと把握して伝えていくということも必要なことだと思います。

 そのことは、これからのイラクのあり方を世界の人が考える上で必要だと思いますし、また、今実際にイラクで困っている人たちを応援していく人道支援というのも大切なことだと思います。

 という2点から考えると、5人の方々は、そのいろんな思いとか動機に濃淡はあったかもしれませんけれども、いずれも、イラクで今起きていることを世界に伝えるとか、またイラクの困っている人たちを人道支援するということに携わってきた、または携わろうとした人ですので、私は、その行為は一概に否定されるべきではないと思います。

 それから、国のかかわりということで言えば、これは5人の方ということではなく、一般論として、どのようなケースであれ自国民を守っていくというのは国の責任ですので、それはまた自己責任云々とは別の問題だと思います。邦人の保護というのは国の役割だと思いますので、そのことは分けて考えるべきだと。

 ただその中で、国としていろんな避難勧告をしたということとか、それぞれの方の動機だとか行為がどうだったかということは、それこそ日本の国民として受けとめ方に違いがあっても当然だとは思います。

 けれども、僕は、活動として、言葉がちょっと曖昧かもしれませんけれども、許される範囲のことではないかなと。そういうものをあまり全面否定をしてしまうと、そういう、人道支援だとかフリーの立場でのジャーナリズムだとかいうことに思いを持った人の行動を、すべて芽をつぶすことになりはしないかというふうに思います。

(池:高知新聞社記者)
 幹事社からは以上です。各社個別に質問をお願いします。
 

小泉政権の評価と衆議院補欠選挙結果
(吉川:KUTV記者)
 小泉政権が誕生してから3年になるんですけれども、その間に、小泉政権における財政再建の改革ですとか、いわゆる「三位一体の改革」ということで地方の自治体にもかなり大きい影響が出てきていると思うんですが、そういうことを踏まえて(小泉政権を)どんなふうに評価されているかということと、あとは、きのう衆院の補選(衆議院議員の補欠選挙)がありまして自民党が3カ所で全勝しましたけれども、次の参院(参議院議員選挙)を占う上でも大事と言われているところで自民党が勝った、ということをどんなふうに見てらっしゃるか、という2点をお願いします。

(知事)
 小泉さんの政権が3年経ったということに対して、評価ということで言えば、一面やはり「すごいな」と思いますね。「すごいな」というのは、ご自分の考え方ややっていることの見せ方、マスコミへの伝え方、そのうまさというのは際立ったものがあると思いますので、そういう点は「すごいな」ということを思います。

 また、その意味とはまた違って、(小泉さんが)言われたことがどこまで実行されているか云々ということはありますけれども、ある程度やはり過激なことを言わなければ、これだけ古い体質がいろんな意味で染みついた社会の構造というのは変わっていかない、という面から考えれば、過激というか、際立ったことを言われながら、少しでも社会の仕組みを動かそうとしてこられたことは評価をしますし、その実績も私は上がってきているとは思います。

 ただ、地方の立場から考えたときに、今言われているいわゆる「三位一体の改革」というのが本当の意味で「一体」の改革になっているか、また地方にとって「改革」というふうに評価できるものかというと、決してそうではないと思いますし、中でも、本県のように財政力がもともと低い県にもかかわらず、行政改革、財政改革を含めて努力をした県にとって、非常に厳しい現状にある、ということは、私は、多くの県民の皆さんにももちろんですが、やはり多くの国民の皆さんにも知ってもらって、もう少しやはり、こういうやり方というのは修正する方向に動かしていかないと、地方が成り立っていかないんじゃないか、という強い危機感を感じます。

 きのうの補欠選挙は、そうした中で、埼玉と広島と鹿児島という、それぞれ経済状況も地方自治体としての財政状況も全然違う選挙区を母体にしての選挙ですので、一概に言うことはできませんけれども、先ほど高知県の立場で申し上げたような「地方の厳しさ」ということがなかなか選挙には反映をされないなということは実感として思いますし、今の流れで言うと、参議院選挙も含めて、本当は、「何党に賛成する・反対する」ということとは違って、もっとやはり、今の三位一体の改革だとか地方の税財政の問題というのは、大きな論点として一人ひとりの選挙民の方に考えていただきたいと思いますが、そういうことは、まあ話の難しさということもあろうと思います。

 それから、国と地方のねじれた構造の中で問題点が埋没してしまってるという点もあろうと思いますけれども、なかなかそういうことが投票行動には出てこないなということから言えば、参議院選挙でも大きな変化は起きないかな、というようなことを感想としては感じます。
 

地域再生交付金
(釜本:時事通信社記者)
 関連で、よろしいでしょうか。まず、4月の頭に、今度の自民党の地方税財政改革のプロジェクトチームと懇談をされて、そのあとの日記(“だいちゃんぜよ”http://daichanzeyo.cocolog-nifty.com/0403/)で「叫べど届かず」というような表現をされていますが、今度の参院選に向けて与党自民党が出してきてます「地域再生交付金」という考え方についてどう考えているのか、また、実際にその政府等もしくは中央官庁と意見交換する機会がこの4月に何度かあったと思いますが、それを受けての感想等を、まずお願いします。

(知事)
 「地域再生交付金」については、筋論と現実論を、ずるい言い方ですけども、少し分けて対応していくべきかなと思います。

 というのは、特区(構造改革特区制度)の場合に思ったことですけれども、特区というのも、前々から言いましたように、地方から何か国にお願いしてですね、各省庁をまわって、「この部分を外してくださいよ」という、書類作りから、お願いからという行為が、はたして地方分権というものに値するかということを思いました。かつての箇所付けと同じような発想ではないかということを思いましたし、現実もそういう面は強くあると思います。

 ただ、そのことをあまりにも庁内でも庁議を含め何度も言ってるうちに、皆、「知事がそこまで言うのだからあまり考える必要はないだろう」という思いになってしまって、せっかくの制度が十分活用できなかったんではないかなということを反省しています。

 ですから、少し遅ればせですけれども、企画調整課を通じて、「特区のことはもっと前向きに取り組もう」と、「市町村だけじゃなくて民間の企業にも呼びかけて」ということを言っております。

 今言われた地方再生のこともですね、実際に出てきた理由は、地方交付税の削減や臨時財政対策債の削減ということへの地方の不満ですね、そういうものを、参議院選挙という具体的な日程がある中でなんとか少しはおさめたいという趣旨も政治的には当然あっただろうと思いますので、そういう形で出てきた動機の、私から見た不純さや何かからも、筋論としてはおかしな話だとは思います。

 けれども、せっかく出てきたものをですね、都市再生という形で何か利用できるものは、これがまたあとの後年度負担になるようなことをただ単に受け入れてはいけないとは思いますけれども、そこら辺をきちんと見極めながら都市再生に生かしていく、ということは必要な視点だということを思っています。

 ちょっと話がはずれますが、このあいだ名古屋に出張しました時に、現地の経済人の方がとでん西武のことをご存じで、「あの跡はどうなっていますか」という話があったので、こうこうこうですという話をしておりましたら、「今やはり国も非常に都市再生だとか特に中心市街地ということに強い関心を持っているので、今いろいろ手を挙げればできることはある」と、「この機会は黙って見過ごすべきではないんじゃないか」という話をされていて、「うーん、そうか」と。

 やはり、とでん西武の問題にしろ、駅前のことにしろ、中心市街地のことにしろ、これは高知市の問題ですけれども…、県内全域で使えるかたちのものはぜひ使うように前向きに考えたいということを思っています。それから、2番目のその、「国の人の…」というのは?

(釜本:時事通信社記者)
 自民党の意識についてのですね…。例えば、参院選が終わってしまって霧散霧消してしまうような話であれば、地方はそれに踊らされているだけという結果になる可能性もありますし…。

(知事)
 そこはですね、さっき言ったように、筋論と現実論というのを少し切り分けて取り組んでいかざるを得ないかな、というのが私の思いです。

 参議院選目当てだろうなとかいうことは思いながらも、やはり、活用できて、あとの後年度負担に…、というのは、その維持管理の費用もありますし、公債費の負担もありますけれども…、そういう意味での、なるべく後年度負担がない、少ないということであれば、そういうものの利用というものを考えていかなきゃいけないということは思います。

 あわせて、やはり今、国の役人だとか政治家…といっても短い期間ですから限られた範囲ですけれども、そういう人たちと話をしてますと、このあいだ義務教育費の話で「ハムレット的な…」ということをちょっと(メールマガジンに)書きましたけれども、他の面でも、非常にハムレット的にはさまれることが今後も多くなるだろうということを痛感します。

 このあいだも、国土交通省の幹部とお話をしていたら、(国が向こう3年間で削減するという)4兆円の残りの3兆円の次のターゲットとして、「地方道路整備臨時交付金」だったかな名前は、そういう、ちょっとまちづくりなども兼ねた、本県で言えば中土佐町なんかで震災対策をあわせてやっていく、道路とまちを一緒にしたような交付金があります。これが7千億あまりあるんですけれども、「ガソリン税からそのままいって一般会計を通らずにきているので、シーリングも受けていない」と。「今後必ずこれがやり玉に挙がるだろう」と。「ただ、率直に言って、国土交通省として手放すべきではないと考えている」と、こう言われるわけですね。

 そうすると、これまたいろんな、あいだにはさまれて…、特に本県でもいろんな事業をその交付金でやっている、しかも、その交付金をうまくまわすことによって1.5車線やなにかのあんばいをしているという現状がありますので、そういう点では、なおまた、間にはさまれるかなというようなことを正直感じました。
今後、そういう場面が非常に多くなるんではないかというふうに思います。
 

義務教育費の国庫負担金制度
(釜本:時事通信社記者)
 あともう1点です。今少し出ましたが、義務教育費の国庫負担金制度についてですね、文部省が出している総額裁量制について、知事会の意見と、逆にその裁量制を積極的に評価する鳥取の片山知事の意見と、若干分かれているところが最近あると思うのですが、知事本人としての考えを確認したいんですが。

(知事)
 それは。(笑)

(釜本:時事通信社記者)
 知事の日記を読んでも、なかなか結論部分については言及されていないようですので。今の思いというか考えを聞いておきたいんですが。

(知事)
 今の思いは、もう「ずるさ」に徹するしかないというふうに思っています。
というのは、発言を特段どちらかに肩入れをして、つまり、(鳥取県の)片山さんや三重県の野呂さんがお二人発起人として出している、「残る期間に…3兆円の中にはこれは含むべきではない」という呼びかけにあえて名を連ねなくても、また逆に、「断固、総額裁量は認められない。一般財源化をすべきだ」ということを単独で強く主張するということもせずにですね…、黙っていてもというと表現が悪いけれども、まあ静かにしていても、ほぼ動くべき方向性はもう見えているのではないかと思いますので、本県はこれまで教育改革を進める中で、ずいぶん「加配」という意味では手厚く配分をもらってきたという現実もありますし、そういう中で、どちらかの色は出さずに、静かに成り行きを見守ろうかと思っています。
 

参議院選挙への対応(2)
(岡林:高知新聞社記者)
 参院選の対応なんですが、「どなたかを応援することはない」というのが結論だというお話があったんですけれど、一方で、その距離感というお話もあったかなと。

 それの話の関連なんですけれど、広田さんの初節句のお話もありました。この初節句自体が、時期的なこともあってですね、やはりその政治色を帯びたものであるんじゃないかという観点について、知事自身はご出席されるということらしいですが、その辺りはどういうふうにお考えですか。

(知事)
 なぜ政治的な色彩を帯びたかということですけれども。それは主催者側の思いも、その主催者の周辺にはあったかもしれません。

 政治色を帯びさせるべきだという声はあったかもしれませんけれども、僕は、本人の思いとしてはそれ以上に、この時期に、つまり「参議院選挙に出馬をしますよ」ということを表明したあと、いかに子どもの初節句だといっても、そういう会を開けば、しかも、そこで会費をいただかずにふるまいごとになれば、それが「公職選挙法に照らして」という疑義を言われるし、また、そういうことで指摘を受けた例がほかの県にもある、ということからですね、政治的な色彩を帯びさせざるを得なかった、というご本人の思いもあるというふうに、自分は受け止めています。

 ですから、私はあくまでも、そもそも子どもさんの初節句ということで設けられた会ですから…。で、その時に、「それで(子どもさんの初節句ということで)、きちんと出てあいさつをしますよ」ということを言っておりますので、そういうスタンスで参加をいたします。

(岡林:高知新聞社記者)
 ということは、それ以外の、知事自身が何らかの形で後援会…、選挙期間中以外の部分でも応援をされるということはないと。

(知事)
 ないですね。
 

警察の捜査費
(市川:共同通信社記者)
 すみません。ちょっとしつこい話ですが、警察の捜査費について、1ヶ月前の記者会見でも質問がありましたけれども、この1ヶ月の間にまたいろんな動き等々というのがありましたけれども、その後知事のお考えというのは特に変わりないですか。

(知事)
 ええ。特段は、変わりはないですが。

(市川:共同通信社記者)
 ただ、これだけいろんなところで指摘があったり、あるいは警察側が事実を認めるということがあると、県民の多くもやはり疑念というのを持っているんではないかなというふうに思うんですが。

 これまでそういった不適正な使用があったかどうかを調べるということももちろん大切だと思うのですが、それとともにもうひとつ、これから透明性を高めるというか、県民の目線に立ってそういう疑念を招かないような仕組みにするということももうひとつあると思うんですが、その点については、透明性を高める・県民の目線に立つということであれば、何かしらなさってもいいんではないかなという気がするんですが。

(知事)
 これからのことということで言えば、十分透明性を保っていけるだけのことはできてるというふうに思うんですけれどもね。

(市川:共同通信社記者)
 警察の捜査などで何もかも明らかにするということは不可能なんですけれども。

 例えば、このあいだ私も新聞記事を見たんですが、鳥取県警では、今後、県に捜査費の使途を報告する時に、大まかに5項目に分けて、例えば「これは協力者への謝礼に使いましたよ」とか「これは捜査本部の設置に必要な費用でしたよ」というような、捜査に支障のない範囲で分類して、少しでも透明性を高めよう、というようなことをするようですが、そういった手法というのはあるのかなと思うんですが。

(知事)
 今言われたことが、これまで問題になっていたことからさらに進んで…。いや、ケチつけるわけじゃないんだけども…、さらにプラスアルファの透明性になるのかな?と思うんですが…。

 むしろその、協力者謝礼やなんかの協力者の人の名前をどこまで監査で見せていくかとか、そのことを「きちんと確認しましたよ」ということを、県として、監査員として、(監査)委員として県民の皆さんに説明をするということの方が、透明度を高めることになりはしないかと思うんですがね。

 「これは○○費です」と5項目に分けてもですね、その中がどうなっているか分からないと…。ではないです?

(市川:共同通信社記者)
 ただ、今まで捜査費というのは聖域化していて、全くそういう内訳すら出てこなかったものですから。まあ、そういうのが、年々その分類が出てくることによって、ある程度警察の方にも、「適正に使用しなければいけない」という、プレッシャーと言いますか、そういうことにもなるでしょうし。

(知事)
 それは、例えば決算の時なり何なりに細目(事業)としてどういう形で出てきたのか出てきてないのかまで分かりませんから何とも言えませんが、今お話を伺っての感覚では、捜査本部の設置のための費用だとか、そういうことは十分ご説明できると思いますけれどね。

(総務部長)
 今年も予算の段階ではかなり…、額としてどのくらい必要なのかという話はかなり詳しくお伺いしました。ただ、先ほど知事が言われたように、個人名がどうのこうのというのは予算を編成する権限を超えていると思いますので。

 あくまでも総額としての必要性は今まで以上に話をよくお聞きしましたし、監査の方でも今まで以上に、本当にきちんと適正に支出されたかどうかというのは、昨年も年間を通じて監査をされたというふうに聞いていますし、警察の方も、本件の方は監査にはきちんと協力してそういったものには応じていると聞いてますけれども。

(知事)
 「説明責任」ということで、少しでもこれまで以上に、既に内輪ではきちんとやれていることを表にも出していくというご趣旨であれば、できることはぜひ考えてやっていきたいと思います。

(須賀:高知新聞社記者)
 その関係で言えば、知事の方が県警本部の方にそういう要請をするなりしないと、今、県警本部の方は「自らしよう」という動きになってませんから。
ですから、知事の方からそういう要請、呼びかけ、まあそういう協議ですね、というのが必要ではないかというのを先月から申し上げているんです。

(知事)
 それは、過去のことについて?これからの?

(須賀:高知新聞社記者)
 今後の事も展望した上でです。

(知事)
 今後のことについては、本部長とは二度ぐらい話をしましたし、その趣旨のことは本部長にもお伝えしてございます。

(須賀:高知新聞社記者)
 本部長は何と?

(知事)
 非常に前向きにとらえていただいております。
 

参議院選挙への対応(3)
(須賀:高知新聞社記者)
 すみません。参議院選をもうちょっと。まあ前回は前回なんですが、一応同じ候補の広田さんを、土佐弁で言うと「ゴリゴリ」応援をされてますから、今回その広田さんが出ますけれども、知事にとってみたら状況の違いというのはあるんでしょうか。どういうふうな理由で前回と同じようなスタンスをとらないのか。

(知事)
 まあ、いろんな意味合いがありますね。それは、一般論としてですけれども、僕が応援をすることがプラスになるかマイナスになるかということがいろいろあります。

 それは、広田さん個人ではないですけれども、市町村長さんにしろ、いろんな議会の議員さんにしろ、国会にしろですね、過去の経験からいって自分が応援をすることがどうだろうということもあります。

 だから、ある時は応援をし、ある時は応援をしないということには、そうした自分なりの思いというのもありますし、また、広田さんとの距離感というのか近さというのか、森下さんとの近さ、それぞれに、それはもうお分かりの方には分かっていることなので、それ以上あえて何らかのことをする意味があろうかなということも思います。

 それから、広田さんについて言えば、まだまだ若い方ですから、ご自分でご自分のものをこれから築いていくということも当然必要ではないかなというふうにも思います。

(須賀:高知新聞社記者)
 (4月)14日だったと思いますが、(広田さんが)知事室に入られて(知事と)お話し、懇談されていると思うんですけれども、知事動静によれば。その時には、直接、今日(この)会見でおっしゃったような知事の思いというのはご本人に伝えられているんですか。

(知事)
 それは伝えております。それ以前から伝えておりますけれども。

(浜田:高知新聞社記者)
 「以前」というのは、出馬表明を広田さんがする前からもう、そういうニュアンスの、「特定の候補は今回はちょっと応援はできないよ」ということを伝えているということですか。

(知事)
 うん、それがきちんと伝わっているかどうかという…。「伝わっているか」というのは、本人とは話をしてるけども、そういう趣旨だというふうにきちんと受け止めてもらえたかどうかは、その時点では…。それこそ紙をやりとりしてるわけでもないので、あれですけれども。

 そういう思いは、表明をされる前に、それこそ、非常に思い悩まれて…。思い悩まれたか、どうしようかと熟考されていたかは分からないけれども…、その当時からそういう話はしました。
 

受益者負担的な新たな取組み
(須賀:高知新聞社記者)
 話変わりますけど、今月(4月5日)の知事講話で、確か「公共交通新税」的なご発想で職員の皆さんに問題提起したというふうにとらえてますけれども、「打てば響きあり」なんでしょうか?

(知事)
 打てば響きは……。響いているかどうかはちょっと…。響きがこちらには返ってきてないという意味です。打って、向こうでゴーンと響いているかもしれないけど、その音がこちらまで伝わってきてる状況ではないです。

(須賀:高知新聞社記者)
 知事としても「その後、あの件は検討してもらってるかね」という指示をしたとか、そういうことは特段ございませんか。

(知事)
 公共交通だけに限って言うつもりがあったわけでもなくて、あまり抽象的なことじゃ分からないので、例えばという一例…、しかもそれは、内部的にはご説明しましたけれども、庁内でのやりとりや何かの中で一定の積み重ねがあった話だったので、それを例に出しましたけれども。

 今後、そういうことが許される、許されない、それから、「県民合意を得るためには、まずは森林環境税の使い方をきちんと見せてからじゃないか」というようなことは、もちろんご意見として当然のことだと思います。

 けれども、手法としてはですね、これだけ厳しくなってきて、一方で「人件費から何から含めて削減の必要がありますよ」という県民からの要請というのはあると思いますが、一方で、またプラスに何かをしていこうとするときに、「みんなでそういうのを出し合ってやっていきましょう」というようなことも一方では必要になってくるだろう、という趣旨です。

 その時には、「均等割というのはそういう形で使える手法ではないか」ということを他の県の知事さんからも言われたので、そうだなという思いで話しました。
 

公務員の退職時の特別昇給
(井上:産経新聞社記者)
 全然また話は別なんですが、国家公務員は退職時の特別昇給を止めました。また都道府県にも止めるようにそういうふうな通知が来てると思うんですが。
高知県はまあ、今までは国に準じて1号給の特別昇給をなさっていますけれども、これを廃止なさるとか、ご検討の意思がありますでしょうか。

(知事)
 廃止するか検討の意思があるか、というのであれば、検討の意思はございます。

 職員団体との交渉がこれまでその点であったかどうか、ちょっと報告を受けていませんので、何ともそこまで踏み込んだことは言えませんけれども、これまで国に準じてこの制度をやってきたということから言えば、やはり国がそうした方向をとられている、また、国がそうだからというだけではなくて、県民の視点・目線ということもそれだけ厳しくなってるということを考えれば、その方向を検討せざるを得ないだろうというふうに思います。

 ただ、人事委員会の、月例の給与にしろ、退職金にしろ、いずれも官民格差を基本にして勧告が出されておりますし、また、退職金の官民格差の時には、特昇分も含めて官の部分の退職金というものが一定算定されてきてると思いますので、その点をどうしていくかというような職員団体との交渉というかやりとりは残ると思いますので、今の時点で、例えば「ここまでにこうします」ということは明確には申し上げられませんけれども、そういう方向はやはり避けられないだろうというふうに思います。
 

昨年の知事選挙での費用
(井上:産経新聞社記者)
 それから、もう1点なんですが。近々の高知県公報に昨年の知事選挙の収支報告が載っておりまして、約1千万ほどの支出があったようなんですね。知事は選挙時は「できるだけ金のかからない選挙」とおっしゃったように思うんですが、この1千万円というのは多かったのか?まあ、法定からいくと、かなり少ないように思いますけれども、知事のお考えとしてはどうでしょうか。

(知事)
 それはもう、それ以上はなかなか減らせないだろうと思います。というのは、これだけ範囲の広い選挙で、それぞれにどうしてもかかる費用というのはございますので、ある意味では限度ではないかというふうに思います。

(井上:産経新聞社記者)
 ところがですね、これはまあ数字が正しいかどうか分かりませんが、相手陣営は660万円ぐらいなんですね。

(知事)
 ああ、そうですか。それは、ちょっと存じませんでしたので、そうですかとしか、ちょっと何ともお答えのしようがありません。それはわたしどもが使い過ぎたのかもしれません。

(池:高知新聞社記者)
 時間のようですのでこの辺りで終わりたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(知事)
 ありがとうございました。


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