都市と地方の共感を深める「緑の雇用」推進県連合の共同アピール、共同政策提言

公開日 2007年12月08日

更新日 2014年03月16日

都市と地方の共感を深める「緑の雇用」推進県連合の共同アピール、共同政策提言

平成15年5月29日(木曜日)15時30分から(東京都千代田区 都市センターホテル)

二酸化炭素の吸収源など公益的な機能を持つ森林等の環境保全事業によって、多様な雇用を創出し、都市と地方の共生を実現し、過疎化・高齢化に悩む中山間地域の活性化を図る「緑の雇用」の全国展開を図るため、8県(岩手県、宮城県、岐阜県、三重県、和歌山県、鳥取県、高知県、福岡県)が、「都市と地方の共感を深める「緑の雇用」推進県連合」を本日、結成しました。
 結成にあたり、8県で共同アピール・共同政策提言を行うとともに、政府関係機関等に対し提言活動を行います。




「都市と地方の共感を深める「緑の雇用」推進県連合」共同アピール

 小泉内閣が「聖域なき構造改革」を打ち出して丸2年を迎えたが、その間、地方は大きな渦の中で「自立」という課題に正面から立ち向かおうとしている。

 国は、全国一律の最低限のサービスを受けられるように地方交付税制度を設け、また産業の都市集中化から生じる就業機会と所得の格差を補填するために公共事業を地方に配分するという構造を造り出した。しかし、東京を代表とする都市はその負担を押しつけられていると感じ、地方もまた国土保全や電力・水の供給等様々な面で都市生活に貢献しているとの思いが強く、都市と地方はともに合理性を欠く制度であると意識している。

 私たちは、こういった対立の構図ではなく、都市と地方それぞれが役割分担をはっきりさせ、その中で互いに協働する調和のとれた構図を目指すべきだと考える。

 一方、地球温暖化防止条約・京都議定書が批准され、二酸化炭素吸収源として森林の果たすグローバルな役割が注目されている。森林を守る必要性は、都市にとっても地方にとっても共通の認識であろう。この森林等の環境保全対策を講じることによって、過疎化、高齢化が進む地方に新たな雇用の場を生み出し、最低限の収入を保証する仕組みを構築することによって、都市と地方の共生を実現しようとするものが、「緑の雇用事業」である。

 「緑の雇用」は、従来の公共事業から国民の立場に立った「環境と人」にやさしい公共事業へと質的転換を図る新しい方向性も同時に示している。

 私たちは、この「緑の雇用」を自ら実践し、その実績を通して、21世紀の国民の生活をどう守り、どういう国土づくりを進めるのかというビジョンを示し、環境保全事業を通して、都市と地方の共感を深める総合的な施策を提言する。

 平成15年5月29日 

都市と地方の共感を深める「緑の雇用」推進県連合
              岩手県知事   増田 寛也 
              宮城県知事   浅野 史郎 
              岐阜県知事   梶原  拓 
              三重県知事   野呂 昭彦 
              和歌山県知事 木村 良樹 
              鳥取県知事   片山 善博 
              高知県知事   橋本 大二郎
              福岡県知事   麻生  渡


 
「都市と地方の共感を深める「緑の雇用」推進県連合」共同政策提言

【提言項目】
「緑の雇用」推進総合対策の創設について
 1「緑の雇用担い手育成対策」の制度化・拡充
 2「緑の雇用担い手育成対策」の補完事業の創設
 3地球温暖化防止に向けた新たな環境林整備事業の創設
 4中山間地域の定住条件の整備

【提言の趣旨】
 私たちは、二酸化炭素の吸収源など公益的な機能を持つ森林の環境保全事業によって、多様な雇用を創出し、都市と地方との共生を実現し、過疎化・高齢化に悩む中山間地域の活性化を図る「緑の雇用」を展開する。
 私たちは、この「緑の雇用」を自ら実践し、その実績を通して、21世紀の国民の生活をどう守り、どういう国土づくりを進めるのかというビジョンを示し、環境保全事業を通して、都市と地方の共感を深める総合的な施策を提言する。

【現状と課題】
 政府は、「緑の雇用」の実効性を評価し、平成14年度補正予算で新たに「緑の雇用担い手育成対策」を創設したが、担い手の本格就業を促進し地域への定着を図るためには、平成16年度予算として継続することが必要である。
  また、「緑の雇用担い手育成対策」は研修に重きを置いているため、その間の対象者の生活を支えるものとはなっていない。また、森林の地形が急峻な地域においては、1年の研修期間では自立に向けての高度な技術習得は困難である。
  さらに、今後、地球温暖化防止の観点からCO2吸収源対策としての環境保全を重視した森林整備の一層の促進が不可欠である。
 こういった課題を踏まえ、以下のとおり「緑の雇用」推進総合対策を提言する。

【提言の具体的内容】
「緑の雇用」推進総合対策の創設について

1「緑の雇用担い手育成対策」の制度化・拡充

(1)「緑の雇用担い手育成対策」の制度化
  「緑の雇用」を継続して全国展開していくために、「緑の雇用担い手育成対策」の制度化を図られたい。

(2)「緑の雇用担い手育成対策」の拡充
  自立のための技術を習得するために、研修期間を1年から複数年に延長されるとともに、平成14年度補正対象者に対してもその経過措置として適用されるよう図られたい。
 さらに若手林業就業者の雇用促進を図るため、新卒者も対象とすることや緊急雇用対策での雇用実績を条件から除くなど、事業対象者の制限の緩和を図られたい。

2「緑の雇用担い手育成対策」の補完事業の創設
 「緑の雇用担い手育成対策」の対象期間中の生活を維持するために、対象者が研修時間外に従事できる森林整備事業を確保されたい。

3 地球温暖化防止に向けた新たな環境林整備事業の創設
 地球温暖化防止など地球環境の保全を重視する森林を、積極的に公共財「環境林」として位置づけ、多様で豊かな自然環境の再生・保全のため、間伐や広葉樹植栽など環境林整備対策を推進する新たな事業創設を図られたい。
 
4 中山間地域の定住条件の整備
  「緑の雇用」によるIターン者等のための定住住宅整備対策並びに自立に向けた直接支援を含めた所得対策などの支援制度の創設・助成措置の充実を図られたい。
 


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