知事の定例記者会見(平成16年9月議会)

公開日 2007年12月08日

更新日 2014年03月16日

知事の定例記者会見(平成16年9月議会)

平成16年9月15日9時00分から(県庁二階 第二応接室)

(項目)
 ・議案の説明
 ・午後7時の消灯(1)
 ・財政危機への対応方針(1)
 ・午後7時の消灯(2)
 ・三位一体の改革に対する提言
 ・財政危機への対応方針(2)
 ・知事選の資金疑惑問題
 ・職員の給与カット



【議案の説明】
(知事)
 定例の9月の県議会を9月21日に招集をすることにいたしました。
 提出をいたします議案は、一般会計補正予算、また条例議案、その他議案など、合わせて18件でございます。
 このうち、一般会計補正予算としましては、15号台風以来、相次ぐ台風の被害が県内で数多く出ました。この災害復旧に係る経費、35億8,000万円。また、山内家が所有しておられます「高野切」という国宝を購入するための経費。さらには、室戸市が海洋深層水を利用して整備をされます健康増進施設への支援の経費などを計上しております。一般会計の補正予算は合わせて67億7,000万円余りとなっています。
 また、条例議案といたしましては、地方税法の改正に伴います県税条例の改正案。また、大方商業高校が、来年の4月から、通信制を伴います多部制、単位制の普通科高校として新たに発足をすることになります。この県立の「大方高等学校」の出発、改編ということに向けての条例案など、条例案は9件。その他の議案が6件ということになります。
 以上が議案についての内容の説明でございますけれども、特に災害に関して、この夏、8月から9月にかけまして、15号の台風では大川村などに多くの被害が出ました。また、その後の16号、18号の台風でも大きな災害が出ましたので、災害復旧を少しでも前倒しできますように予算化をしております。
また、16号と18号の台風では、暴風雨で農林業が大きな被害を受けておりますので、こうした被害の支援を拡充いたしますための債務負担行為の補正も提案をしております。

 具体的に言いますと、こうした場合の支援策といたしまして「農林業災害対策資金」という利子補給の制度がございますけれども、この利子補給の率を改訂することで、農林業に従事をされる方々の利子の負担を軽減をするようにしていきたいと思っています。担い手支援課が窓口になりますので、どうか積極的にこの制度を活用していただいて、1日も早い復旧に向けて頑張っていただきたいと思っています。
 続いて、財政危機に対する対応でございますが、これまでも何度か申し上げてまいりましたように、高知県は平成10年から2回にわたって財政構造改革に取り組みました。その結果、一時は収支がほぼ均衡する予算を組むことができましたけれども、その後、三位一体の改革にいわば名を借りた地方交付税などの大幅なそして一方的な削減によって、今度は財政再建団体への転落も現実の危機としてとらえなければいけない、こういう事態になってきております。
 こうしたことから、すでに7月に財政危機宣言を出して、その後、その具体的な内容、取り組みについて検討してきましたけれども、このほど、来年度から3年間をめどにいたしました対応の指針というものをまとめました。

 とは言いましても、今年度の当初予算で236億円の財源不足、また、今年度と同じような歳入、歳出の形でいけば、来年度当初で248億円の財源不足ができるという大幅な収支のギャップというものを前にいたしますと、従来のように一律に事業をカットしていく、削減をしていくというだけでは、とても乗り越えられない壁ということになります。
 こうしたことから、本当の意味でのゼロベースで県の行っております事業を見直して、今、県としてどうしても必要な、やらなきゃいけないことは何かと、こういうような視点からあらためて、予算の、また事業の組み直しをしていきたいと思っています。その際には、県民の皆さん方にも、新たな、またさらなる受益者負担をお願いをしたり、また、サービスの削減を我慢をしていただく、そういうお願いをしなければいけませんけれども、そのためにはまず、県庁自身が身を切って痛みを分かち合う、そういう道筋をお示しをしなけばいけないと思いました。
 ということから、事務事業の見直しということと併せまして、今回、私自身の給与カットの率の上乗せなど、特別職から管理職、一般職に至るまで、これも同じ3年間ということをめどに給与の削減をしていきたいと考えています。

 併せて、事務事業の見直しにつきましても、すでに廃止または見直しの方向を決定した項目をリストとして県民の皆さんに公表をいたしまして、関係の皆さま方との調整を進めていきたいと思っています。そうしたことの上に立って、具体的な予算編成の中で、ここに掲げた事業のほかにも見直すべきものは見直しを実施をするということを進めていきたいと思っています。
 さらに今回は、「三位一体の改革に関する提言」というものをまとめましたけれども、これは、何としても地方交付税などをもっともっと削減をしていこうという国の姿勢、そこへのけん制ということとともに、地方がこれまで取り組んできたことの経過、また実情というものを多くの方々に知っていただきたいという思いを込めております。
 と言いますのも、この三位一体の改革を現在集中審議をしております国の経済財政諮問会議の中での民間委員の方の意見などを見てみますと、地方財政計画を、地方が義務的に行うもの、つまり法律によって定められているような仕事と地方が自主的に行う事業というふうに分けて、地方交付税の財源保証機能はこのうちの義務的な部分だけに限る、そういう形に縮減をしようというような意見が出されています。

 もしこうしたことになりますと、地方が行っています私学への助成ですとか、また乳幼児の医療などの福祉医療、さらには観光ですとかスポーツなどへの支援等々ですね、自主的な事業、単独の事業というものはほとんどできないという形になって、この意見そのものが実情を知る者にとっては極めて非現実的なものだということが言えると思います。

 にもかかわらず、財務省などもそれを後押しするような形でいろんな数字を出し、ある意味では数字のマジックのようなことを使いながら、地方が無駄遣いをしているという印象を植え付けようということを繰り返しなさっています。

 こうしたことへの強い危機感を今回この提言の中に盛り込みましたが、ただ単に公表していくというだけではなくて、例えば、全国紙で、また全国の通信社で、こうした地方財政とか地方自治などを担当していらっしゃる論説の方、編集委員の方にこうした資料を投げかけて、できれば何か積極的な意見交換もしていければ、ということを思っています。
 最後に、こうした財政危機を前に県の仕事を考えてみますと、従来型の仕事の進め方では、なかなかこうした財政危機に対応する本当の意味での新たな価値観というものは出て来にくいのではないかということを感じています。

 というのは、この県庁の中に閉じ込もって、ずっと遅くまで書類を作り、資料と首っ引きでという仕事をしていたのでは、住民力を生かしていく、また予算が足りなくなったら、それでもサービスが落ちないような知恵を使っていくということを言いましても、具体的にそうした取り組みがなかなか出て来にくいのではないかということを感じました。

 ということから、このたび、こうした財政危機への対応ということを機会に、県庁のすべての職場で午後7時に消灯していく。そのことで、もっと効率的に仕事をするそのマネージメントということをやっていきたい。それによって県庁の仕事の価値観を変えて、もっと県民の皆さんとのかかわりというふうなことを持つことによって、予算が減ってもサービスが減らない仕事の在り方とはどういうものか、また住民力を生かした知恵と力とはどういうことか、ということが考えられる、新しい価値観で仕事のできる県庁にしていきたいなということを思っています。
 私からは以上でございます。

(八代:NHK記者)
 それでは、各社、質問のある方はお願いします。

【午後7時の消灯(1)】
(市川:共同通信社記者)
 今の、午後7時の消灯ということですけれども。これは、いつから取り組もうというお考えですか?

(知事)
 まだ、いつの時点ということを明確に決めておりませんけれども、なるべく早い時期から、そういう形でやっていきたいと思っています。

(市川:共同通信社記者)
 例えば、遅くとも来年度当初からは、とかですか?

(知事)
 それは、そういう趣旨でやっております。

(市川:共同通信社記者)
 早ければ今年度中ということですか?

(知事)
 そういうことですね。遅くてもということは、裏返せば…。

(須賀:高知新聞社記者)
 部署を問わずにということ?

(知事)
 それはもう、災害とかですね、例外はもちろんございます。あとはもう、部署を問わずに。
 というのは、予算だとかそういうことも、せっかく各部局の企画課というのをつくりましたので、企画課などをもっと生かす形で、仕事の効率という言葉が当たるかどうか分かりませんけれども、より手際の良い仕事の仕方というものを考えられるんではないかと思います。

(須賀:高知新聞社記者)
 それによって、仕事の持ち帰りが増えてはいかんわけですね。

(知事)
 そうそう。そのことはもちろん議論で出ました。
 そういう危惧は言われましたけれども、とにかく、ここまでやっぱり厳しい状況の中で、仕事の仕方を変えて、まあ価値観と言ってますけれども、ものの見方を予算で仕事をしていくのではない形に、少しでも頭のスペースを使っていくというためには、まずやってみるということは必要ではないかなと。

 もちろん、おっしゃったような危惧というのはあるわけで、それだけ真面目に仕事に取り組んでいる、また今の仕事の仕方が県民の皆さんのためにプラスになるということを信じて…、信じてというのは、それが(県民のために)ならないという意味じゃあないんですけれども、そういう思いでほとんどの職員がやってますので、そのことに(県民のために)ならないようなことは、きちんとそれぞれの部署で管理職がマネージメントをしていかなきゃいけないことだと思います。

(須賀:高知新聞社記者)
 表現としては、「試行」という言葉よりはもう少し強いニュアンスですか?

(知事)
 もう少し強いニュアンスですけれども、もちろん「どうにも(やっていけない)」ということになれば、それは考え直さなきゃいけない。「何が何でもそれでずっと行き切るんだ」ということではもちろんないと思います。

(岡林:高知新聞社記者)
 これは、出先なんかも、一応その対象になるということですか?

(知事)
 はい。そうです。

(岡林:高知新聞社記者)
 本庁だけではなくて。

(知事)
 はい。むしろ今、須賀さんが指摘をされたようなことは、本庁のほうで考えられることではないかと思います。
出先はどちらかというと季節によってとか時期によっての集中ということで、日常的なことで言えば、やっぱり本庁のほうが問題だと思います。

【財政危機への対応方針(1)】
(須賀:高知新聞社記者)
 財政危機への対応指針についてですが、これ、指針ですので、具体的な、例えば義務的経費の削減の枠だとか目標値というのは入っていない。まあ当然だと思いますが…。

 他県でも同じように財政危機を迎えているところはですね、例えば岩手県などはもうすでに計画の段階に入っています。従ってこの指針を、たちまち来年度ですから、3カ年実施に移すためには、当然、計画の段階に引き上げないといけないと思うんですけども、その時期は、推測すれば、国の今年度の三位一体の改革の形、中身が見えて、それで初めて土俵がつくられますので、それから計画に移されるのかなと思いますけれども。計画に枠と言いますか、具体的な数値目標を入れて、いつごろまでに県民の皆さんに示したいのかという、その辺についてはいかがですか。

(知事)
 数字というのがどの部分の数字かということにもよると思います。
 ちょっと質問をはぐらかすような言い方であれですけども、このあいだも、一定の数字とそれによってどれぐらいの額かということが目に見えないと議論の土台になりませんので、例えば投資的経費だといくら、それだけじゃなくて経常的経費が何十パーセントという形で示して議論したわけですけども。そうすると、今の時期にもうそういうシーリングの発想でいいのかという議論になってきます。

 それは、総論としてはそのとおりだと思います。その総論が、本当に各論まで落として、各部局含めて、先ほど申し上げたように「県として今どうしてもやっていかなきゃいけない。県民生活の根幹を支える」とか、そういう形の事業というものをきちんとゼロベースで積み上げるということができるか?そうでなければ、何かのやっぱり枠ということを額の目標として立てなきゃいけない、ということは、この1カ月間、もう少し練っていかなきゃいけないというふうに思います。

 ただ、時期ということで言えば、この三位一体の改革による地方財政計画の来年度に向けての形というものが11月ぐらいには見えてくるというふうに聞いていておりますので、そういうものが出たところで、より突っ込んで、来年度に向け、またそれから3年間に向けての取り組みの方向というのは考えなければいけないと思っています。
 今の段階で、どの時期で、どういう項目について数字を出して、というところまでは、議論は詰め切れてはいません。

(岡林:高知新聞社記者)
 関連にもなるんですけど、その財源不足は248億(円)ですか。17年度の見込みですね。

(知事)
 はい。今年の(と同じような)歳入、歳出の形で(いけばということ)です。

(岡林:高知新聞社記者)
 そういう状況の中で、今後、予算編成作業の前段から始まって、相当厳しい作業になっていこうかと思うんですけど。今まで柱建てていますよね、何本柱か。それと今回の方針、対応方針とのリンクの仕方、つまり、当然そこにも切り込んでいかなければいけないだろうと…。
そこら辺りは、知事、今の段階でのお考えはどんな感じですか。

(知事)
 これはもう今の段階なので、全庁的な論議と共通認識が得られているわけではありません。が、今おっしゃった4本柱(※)とこの指針をどうリンクさせていくかということは、部署で言えば政策推進課が中心となって検討して、これまでの、私も含めた議論では、4本柱の中でやっぱり今の時点でまず優先的に取り組まなきゃいけないのは、産業(の育成)とそして雇用を確保する、または広げる、ということではないかと。この「産業」と「雇用」ということを優先順位の1位として、そういう目で各部局の予算というものをそれぞれ見ていく、という形で取り組んでいってはどうかという議論をしています。

※4本柱 … 県が中期的な視点に立って設定した県政の重要課題で、次の4つ。
・産業を育成する
・南海地震に備える
・資源循環型社会の先進地域を目指す
・こども、高齢者、障害者が安心して暮らせる地域を創る

(岡林:高知新聞社記者)
 ということは、例えば福祉であったり、災害、まあ南海地震はそうしたもんだと思うんですけど、そこ辺りは、優先順位ということからいうと、ある程度見直し…?

(知事)
 優先順位ということと最後のセーフティーネットをどうするかということは、ちょっと違うところがあると思いますけれども、4本が並列でということではなくて、優先順位ということでいうと、やっぱり「産業」と「雇用」というものが充実、拡大をしていかなければ、この厳しい時代に、他のいろんなサービスも将来の見通しというものが得られないんじゃないかということから、このことをまず第一義的にやっていきましょうと。

 ただ、その最後の段階で、弱い立場の人たちがそれによって切り捨てられるということになってはいけませんので、今回の事務事業の見直しでも言ったんですけれども、いろんな声をあげられる組織なり、機関なりを持っていらっしゃるところと、そうではなくて、例えば子どもたちとかですね、直接その声を代弁する組織とかそういうものがない、そういう声をどう酌んでセーフティーネットとして最後のところを守るかということは、当然別の面で考えとかなきゃいけないことだと思います。

【午後7時の消灯(2)】
(篠塚:朝日新聞社記者)
 最初の消灯の話なんですけれども、現時点でどの程度、何時ぐらいまで電気がついているのかとか、その辺りは調べてらっしゃるんでしょうか?

(知事)
 それは各課室によって全く状況が違います。各課室ごとの時間外(勤務)がどういうばらつきになっているかということを公表していくことにしていますので、それによって、まあ、何時までっていうことじゃなくって時間外の時間数ってことになりますけれども、当然それが時間にも比例をしていきますので、どういうところが長くやっているかということは分かるようになると思います。

(篠塚:朝日新聞社記者)
 取りまとめ、すでにされているんですか?ある程度は。

(知事)
 取りまとめに向けては…。

(池本総務部長)
 今、作業をしています。

(内田:毎日新聞社記者)
 それと併せてですけども、当然、時間外勤務を減らす取り組みが一つと、電気代の削減というところもあると思うんです。それ(7時消灯)による(電気代の)削減効果っていうのは出てくると思うんですけど、それもまた計算は…?

(知事)
 いや。それはもう第二次的なことです。
 人件費も含めてですね、うちの県の場合には、ワークシェアリングということ(があります)。つまり、今はアウトソーシングの形で仕事を進めてますけれども、ワークシェアリングという形で、民間の方と県の仕事というものをもう少し民間の方に割り振っていけないかということを話をしたときに、新たな予算を組まずにということでいえば、やっぱり時間外の部分をなるべく減らしていって、その分を民間の仕事にということで取り組んできました。

 これは年間7,000万円とかいう額でやってきたものですけれども、そのことによって、時間外の時間数、額そのものは各都道府県に比べても決して高いほうではない、むしろ下位の方にもうすでになっていると思います。

 それから、各職場の実情を聞いても、「課長がいるからみんな残っている」ということではなくて、仕事が終わった職員は、課長も率先して帰るように指導しているし、職員も気兼ねなく帰れるような雰囲気になっているというふうに聞いています。

(篠塚:朝日新聞社記者)
 午後7時という設定。この根拠は何ですか。

(知事)
 ええ。それは特段の論理的な根拠があるわけではありません。

(篠塚:朝日新聞社記者)
 まあ、常識的なという…?

(知事)
 常識的な…、はい。

(岡林:高知新聞社記者)
 これは知事ご自身の発案というか、それとも、論議、協議の中で職員の中からそういうような声が出てきたんですか?

(知事)
 最初の投げかけは、高知県庁の中では、私からです。
 それで、他の県でもいろんな形でそういうことをすでに試みられたり、実証されたりしているところがありますし、本県でも、水曜日の「ノー残業デー」とかいう形でやっております。

 ワークシェアリングの話なんかをし始めたときから、随分前から、最初は確かに人件費としての時間外手当ての削減という視点でものを語っていましたけれども、やっぱり仕事の仕方を、または、ある意味では職員の仕事の仕方の評価ということも含めて変えていくためには、時間外という形でずっとやっていくのではなくて、日中の仕事は日中の仕事でもっと効率的なマネージメントをしていくということが必要ではないかということを思いましたので、もう数年前からこのことは何度も繰り返し言っております。

 行政管理課でいえば、前の課長のときにも、こういう「一斉消灯を」ということを言って議論して、「まあなかなか難しいですね」ということで、今の水曜の「ノー残業デー」という形になったといういきさつもございます。

(浜田:高知新聞社記者)
 確認ですけど、これ、知事部局だけではなく、教委も警察もなんですか?

(知事)
 警察までは考えておりません。

(浜田:高知新聞社記者)
 知事部局と教育委員会のイメージですか?

(知事)
 はい。ええ。

(篠塚:朝日新聞社記者)
 知事のご存じの範囲で、他の都道府県で類似の取り組みというのがあれば…。

(知事)
 類似の取り組みは、前に行政管理課に投げかけたときに一覧表でもらったんですが、ちょっと私、明確に覚えておりません。青森とか長野とかいうのは何か表にあったと思いますけど、それは行政管理課の方で今も資料が残っていると思います。

【三位一体の改革に対する提言】
(釜本:時事通信社記者)
 この三位一体改革に対する提言書の関係なんですけれども、この時期…、要するに、知事会議及び地方6団体の案を政府に投げかけてという段階で、あらためて高知県独自の提言っていうのは、時期的に若干遅かったのかなという気もするんですが、その辺りの受け止めとですね、今後、地方6団体の案との相関関係ということについてお伺いします。

(知事)
 地方6団体に球が投げられて、国庫補助負担金の中で3兆円の項目として何を選ぶかという時期は、それは地方6団体の中での意見を議論するという時期でございますから、そのことをもって国に対して提言をするというような時機ではないと判断をしましたし、今もそう思います。
 なぜ今かということは、先ほどのご説明の中でも言いましたけれども、その(地方が)投げ返した球を受けて、三位一体の改革を今、経済財政諮問会議で集中審議をされているわけですが、その中で、民間の4人の委員の方の意見として、先ほど申し上げたような、まあ地方から見れば非現実的というか非常識というか、あまりにも現状を見ないというか、言葉を極めてもいいぐらいの内容の意見が出てきております。しかも、財務省などがそれを後押しするようないろんな資料を配布して、何としても「地方は無駄遣いをしている」というイメージをつくり出したいという国全体の雰囲気が感じられます。

 そのことに、つまり、投げ返した球に対して三位一体の改革の集中審議が始まったという時期、その中での意見という時機をとらえて出そうということを考えました。併せて、例の6団体の中での議論で出ました国との協議会というものもスタートいたしましたので、その時期がふさわしい時機ではないかと思いました。

(釜本:時事通信社記者)
 さきほど、マスコミの編集担当の方にも投げかけて意見交換したいっていうような話も出ましたけれども、これの活用方法として思い描かれているもの、もう少し具体的なものがあれば。

 例えば、民間委員の方に関しても送るのかとか、その送付先、および、知事がこれをもってどういう活動をしていくのかという、もう少し具体的なイメージがあれば教えてください。

(知事)
 民間委員の方には、送ってもいいですが、送ってもあまり効果が…?果たしてご覧になるかなということは正直思います。送るということで言えば、県選出の国会議員には、送るというか、この説明資料をもとにお話をしていきたいと思います。
 国に対してということももちろんなんですが、それは、どうやっていくかということは今考えております。効果があるかどうかということも含めて、どういう形で国にこの内容を働きかけていくか。

 というのは、これまでも重要要望などの機会にやっておりますので、重ねて、どうしていくかっていうことは今後考えていきますが、何と言っても、大都市部に住む国民、住民の方を含めて、できるだけ多くの方にもう少しバランス良くこの問題を考えてもらうと。
もちろん、国も地方も合わせて700兆円を超える借入金があるという現実ですから、その中で国も地方も負債をなくしていくために努力をしなきゃいけない、こういうことはもちろんですよね。
 だけど、そのためにはやっぱり国と地方が一緒になって手を携えて、それを克服していこうという雰囲気づくりなりが必要ではないかなと。それがないと…、それがない原因はもちろん国の姿勢ということがあるわけですけれども、やはり世論としてあまりこのことに大きな関心が向けられないということもあると思います。

 切り口もいろいろあって難しい問題ですので、なかなか一般の国民の方が理解してくださるかどうか分かりませんけれども、少なくとも全国紙の社説ですとか見出しとしてでも、ある程度そういうバランスを持つような形のものが出てくれば、少しずつでも今の雰囲気を変えていくことになるんではないかと。

 少し長ったらしくなりましたけど、そのためにはやはり、マスコミにきちんと投げかけて、理解をしてもらって、それをベースにいろんな論調を書いていただく。まあ、マスコミと言ってもいろんな部署もありますし、それぞれの担当の記者の視点でももちろん違うのは当たり前なので、それを一律塗り替えるということではないですけれども、論説だとか編集だとかいう部分の方々にはぜひそういうことを知っていただいて、それをもとにした原稿を書いていただくような投げかけをしていきたいと思っています。

(須賀:高知新聞社記者)
 6県知事あたりで日本経団連(日本経済団体連合会)と掛け合うというお考えはないですか。

(知事)
うん。ちょっとまだ。

(須賀:高知新聞社記者)
 いわゆる財界というところがポイントだと思うんですよ。

(知事)
 これがなかなか…。
 まあ、そういう方々に会ってお話をしても、「ほんとに話が映っているかな」、「きちんと理解をした上での反応なのかな」ということを感じますので…。かといって、それをしないというわけにもいきませんので…。

 ほんとはオープンでそういうことができればね。クローズドの中では、なんかもう頭が凝り固まっておられるように思われるので…。それは財界人だけじゃなくて、有識者と言われる先生なども、ものすごい古い感じの地方のイメージ、地方のいわゆる無駄遣いのイメージだとかいうものを平気で今語られますので、まあ10年ぐらい前の感じで語られますので、クローズドの中ではなかなか、それをいくら繰り返しても効果がないかなと。少しオープンの場で議論ができればなあ、ということは思いますが。

【財政危機への対応方針(2)】
(釜本:時事通信社記者)
 財政危機への対応指針の関係なんですが、先ほど、受益者負担、県民への負担というところで言及もされましたけれども、いわゆる国が言ってます各地方の自主課税のところで、今までも、会見の中で、森林環境税の例をとって、「なかなかうまくいかない」というご意見を伺ってたんですが、あらためて今の段階で検討…、「もうやむなし」というふうに将来的になるのかどうか…。自主的な課税、新たな独自の課税について検討されるのかどうか…。

(知事)
 いや、それは、何かいいテーマ、球があれば、当然、一切将来検討しないということではありませんが、いま、その具体的なテーマとして、いいものがあるとは正直言えません。
 何かあれば、また、テーマを出していただければ、検討はもちろんしたいと思いますけれども。

(浜田:高知新聞社記者)
 事務事業の見直し、今まで(平成)10年度からずっと財政構造改革やって、毎年やってきたんで、ほんとにもう「乾いたぞうきんを絞る」というような思いでやったと思うんですが、この中に、私学への補助とかかなり大物があるんですが、ここに載せる以上は、知事としてはやっぱり、切り込むと言ったら言葉があれですが、何らかの見直しは必要という思いで今日発表されているということですか?

(知事)
 まだ、どこまでの腹づもりでということは結論を出しておりません、正直なところ。
 ただ、少なくとも聖域論で言えば、ここの論議の土台に載せないでいい聖域ではないと。やっぱり載せて議論をすべき課題になってきたということを思っています。

 ただ、このあいだも議論して、もちろん本県の中での私学の位置づけということもありますし、私学がもしそれで力を落としてしまったら、逆に公立全体としての県の負担が高まるとか、いろんなことがありますので…。

 また、今の現状の中で言えば、浜田さんの言われた「切り込む」ということをしたら、それは必ず、授業料の保護者への負担増につながるだろうと。そのことも腹に構えてやらなきゃいけない、とかですね。いろんな課題がありますので、今の時点で必ず手をつけるかどうかというところまで判断をしているかと言うと、正直判断はできていません。

(岡林:高知新聞社記者)
 この財政危機への対応方針を見まして、これは個人的な見解なんですけど、「直面する危機への対応」という部分については切り込んでいらっしゃる部分もあるかなというのが実際に感じるわけなんですけれど、一応指針ということですので、じゃあこれを受けて県自身どういう道筋を歩んでいくか、県がほんとに担うべき役割は何なのか、それを例えば県民に示していくスタンスであるとか…。もしくはその…、まあ市町村から見たら、県がどういう指針を出してどういう予算を組んでくかというのが市町村自身の歩む道というのに大きく影響しますので、そういう状況から言うと、先ほど知事が言われた県の担うべき役割であったりとか、将来というか3年後、まあ言えば知事の任期中、(平成)19年の12月まであります…、その間にどういう県をつくるんだというところがやや欠けてるんじゃないかなと。

 目の前にある危機に対応しなくちゃいけないというすごい危機意識は、今回、徐々にというか、だんだん出てきてるかなと思うんですけれど、そこの一番大事なところはちょっと抜けてるんじゃないかと。

 だから、先ほど言われた7時消灯とか…、その、アイディアとしては分かるんですけれど、だけど、その根幹になる部分についてどう論議していくんだというスタンスが、知事自身がお示しになる部分がやや弱いというように感じるところがあるんですよ。

 先ほど言われたように、職員の中からアイデアが出て来ないということであれば、アイディアがなかなか出て来にくいということであれば、そこをどうするかっていうところをもう少し踏み込んだ考え方っていうのを今現在持ってらっしゃいますか?

(知事)
 アイディアというのはやっぱり一つ一つの事業に対してのことなので、今言われた全体像がどうなるかとかいうこととは少し違います。そういうことが積み重なってということだと思います。

 それから、3年後の全体像がどうなっていくかということと、それから、そこに向けてどういうようなプロセス、議論をしていくのかということを2つ言われましたけれども、これも僕にとっては違います。

 というのは、その3年後の形が示されてないじゃないかということはそのとおりですけれども、僕はもう自分の力では絶対示せません。
 それは、この三位一体の改革っていうものがどうなっていくか、また、3兆円の国庫負担金の削減に対して地方6団体が投げかけたものが、実際に国の中で、国会も含めてどういう議論でどういう形で返ってくるのか、それに対して地方がどういう判断をしていくのか等々、変動要因が非常に多くなっていますし、まあ、地方交付税そのものの先ほどの民間委員の意見などが現実の形としてどうなっていくのか、それから、国庫補助負担金の話で出たもので言えば、生活保護なども、1年間また議論していきましょうという形になっているものがどうなっていくかとかですね、地方にとって、これはまあ県だけでなくて市町村にとってもあまりにも変動的な要素が多すぎると思いますので、そういうことを全部のみ込んで「3年後こういう形にしていきます」ということは僕の力ではとてもできません。

 形を紙の上で示すということは、役所ですから、やれと言えばやるだろうと思います。けれども、それはあまり意味がないのではないかなと。ただ、そこに至るまでの、それじゃあどういう論議だということは意味のあることで、やってかなきゃいけないことだと思います。

 というのは、いみじくも言われた市町村との役割分担だとか負担の在り方だとかいうことにかかわってくる議論が、補助金なのか起債を打っていただくのかとか、それから、各市町村がやっておられる事業を、県全体としてある程度まとめた基準をつくることによって市町村の持ち出しを少なくするとかですね、経常経費の中でも、今後いろんな大きな取り組むべき課題っていうのはあるだろうと思うんです、市町村との関係で。

 そういうことを、実際にもう年度は17年度から始まってしまうわけですけれども、始まってからでも、市町村とそれこそもう舞台裏も含めて議論して、その議論の過程を次々と具体化をしていくのでないと、なかなか今の時点で、「もう来年度から始まるから、すぐ3年間の形を示しなさい」と言っても、プロセスとしてはそういうことをしていく必要があることは重々認識をしていますし、そういうふうにやっていかないといけないと思いますけれども、なかなかそれは今は僕にはできない。
 個別の大きないろんな補助金とか助成の支援費というものがありますよね。これも、これまでは各部局ごとで、それがその政策目的に合うか合わないかという判断でよかったんですが、完全にここまで来ると、市町村との役割分担、それによって持ち出しが全体がどれだけ減るとかいうことを議論していかないと、この時代の中では議論が足りないという項目が幾つか出てくるんですね。ほんとは名前を挙げたほうが分かりやすいんでしょうけれど…。

(岡林:高知新聞社記者)
 まあ、だから要は、今後、当然248(億円)があって、それから300億(円)を超えるその時点も出ています。18、19(年度)。そういうことを考えると、鉛筆1本で事務事業を削っていっても、はっきり言ってどうにもならない。ということは、大きな政策判断、政治判断が伴わなければならないと。

 そうなったときに、そういう判断をする土台ですよね。土台というのは、今の段階ではその4本柱の予算の考え方、今までも示している考え方にあると。そういう段階、レベルであるというふうに理解してよろしいですかね。

(知事)
 だから、先ほど言いましたように、4本柱は並行ではなくて…。

(岡林:高知新聞社記者)
 ということですね。それはもちろん。それを踏まえた上での話ですけれど。
 だから、もうちょっと具体的に示さなければ、そこの納得が…、例えば市町村、団体、それから一般の県民に理解が得られにくいんじゃないかというのはちょっと感じましたので、先ほどの論議の詰め方が、例えば県庁のコア(※)の考え方にしてみても、アウトソーシングの若手の論議ぐらいのところで、あと、個別の部局長がいくつか言ってるぐらいの話のレベルで果たしていいのかなと。

 もう1つの危機に対応する具体的に対応する部分と、もっと先ほど言われた理念であったりとか、考え方を変えていくというようなことでいうと、ちょっとそこら辺の一番根底になる部分が欠けてるじゃないかなと思ったんで、そういう話をちょっとさせてもらいました。

※コア 
 アウトソーシングや外部委託などのできない、またすべきでない、核となる業務。
 自社が他社に比べて優れている能力を「コア・コンピタンス」といい、自社がコア・コンピタンスを持たない分野で他社のコア・コンピタンスを活用することを「アウトソーシング」という。

(知事)
 いや、いいんです。欠けてると言うときに「こうしたらいいんじゃないか」ということがあるのならば、それに対する意見が言えるんですけれども。
 「僕は『こうしたらいいんじゃないか』ということが言えません」ということを申し上げました。「言えません」の意味は、変動要因が多いということと、それから、県として「県民のためにどうしても」ということを言ったときにもですね、「じゃあその『どうしても』という基準は何なんだ」と、「県としてもやらなきゃいけない最低必須の事業とは何だ」、「基準をつくれ」という議論は必ず出てくるんですね。まあ、うちの中でも出ます。

 で、それの基準づくりということが果たしてできますかということを、僕はこれまでのいろんな特別枠の議論でも感じましたし、今の時点での、ある意味では財政的な危機ということを前にしても、その基準をつくって、その基準に合わせた杓子定規な解釈で、例えば各部局が予算をつくっていく、というようなことで乗り越えられるんでしょうか、ということも思います。
 おっしゃるとおり、コアは何かということをやっていかなきゃいけませんが、そのコアは何かということの基準理念を示すというよりも、僕は、小手先だと言われても、時間外の問題だとか、またアウトソーシングということでいえば、「今20人でやっているところを10人でやりなさい」ということを指示をして、その10人でできるマネージメントは何かということを管理職が考えて、仕事のやり方や組織を変えていくという形にならなければ、最初から何がコアかという積み上げ方式ではできないんじゃないかなと自分は感じています。
 おっしゃる意味はよく分かります。

【知事選の資金疑惑問題】
(須賀:高知新聞社記者)
 百条委員会の方向は出ました。まだ報告書をお読みになっている段階じゃないと思いますけれども、談合について、特に県の業務に関わるノーコアである平成6年入札の坂本ダムについては、いわゆる表現はともかく、談合を認定をするという方向です。そのことについての現時点での所感というのはどうなんでしょうか。

(知事)
 僕はそのことについて、何か議会でご質問があれば、議会でお答えしていきたいと思います。
 今の時点は、まさにこの数日ですけれども、この財政危機対応ということで追われておりましたので、そのことについてどういうふうにきちんとお答えをしていくかということの突っ込んだ考えをしておりません。

(須賀:高知新聞社記者)
 議会の方は知事に説明責任の履行を求めているんですけれども、説明責任につきましては、1カ月前か2カ月前かの定例会見で、「説明責任というか、思いというのを文書にして、県民の皆さんにお示しをしていきたい」ということをおっしゃっていました。その作業の見通しはどうなんでしょうか。

(知事)
 それはまだできておりません。見通しも含めて。

(須賀:高知新聞社記者)
 9月定例会後になりそうですか。

(知事)
 それは、後になります。とても今の状況で、それを併せてやっているだけの、自分に時間的なゆとりがありません。

【職員の給与カット】
(須賀:高知新聞社記者)
 話、別ですが、この知事を含む特別職から一般職員までの給料カット。これの割合、率ですね。一応他県もいろいろ事例が出ています。決まっているところをまず含めると19道府県ですか。

 それと参照するわけじゃないんでしょうけれども、一応その、自分たちが先に県民の皆さんにサービス低下の予告をされているわけですから、その手前で自分たちも身を切るって言うんですかね、そういう思いは分かりました。それが身の丈に合った切り方なのかどうか、その辺のご判断は?妥当かという…。

(知事)
 それは、妥当だと判断したので、今しております。

(須賀:高知新聞社記者)
 長野県などでは、ご存じのようにきついわけですね。部長級で10%、一般で5%。その長野県の財政力指数よりもはるかに、はるかにとは言いませんけれど高知はまあ低い。これも1つのまあ、参照にすべきと言えばすべきであるし。それから、きのうも別のところで議論したんですけれども、県職員の給料の水準ですね。共通の物差しとしてはラスパイレス(指数)がありますが、ご存じのように、人事院勧告は100人以上の従業員の民間を物差しに使っている。

 例えば、都市部を多く抱える都府県と、それから高知県のような企業集積の弱いところと、比較の土俵がまず違うんですね、官民という。その辺も含めて考えるとですね、もう少しその、律する厳しさってのは、思いのほか県民の目は厳しいですから、そういうところで言うとまあ、率はどうなのかな、というふうなことで質問してみました。まあ、妥当ということですかね?

(知事)
 そうですね。
 それはもう、県民のご意見がまた違う形で強く寄せられるのであれば、それは当然、県として考えていくことになると思います。

(浜田:高知新聞社記者)
 今後その、人事院が今検討している地域給の発想が入ってきたら、またこれは、柔軟に…って言ったらおかしいですけど、変わってくる可能性もあるんですか?

(知事)
 それは当然、可能性はあると思います。

(八代:NHK記者)
 よろしいですか。

(知事)
 ありがとうございました。
 


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