知事の定例記者会見(平成17年9月議会)

公開日 2007年12月08日

更新日 2014年03月16日

知事の定例記者会見(平成17年9月議会)

平成17年9月14日9時00分から(県庁二階 第二応接室)


(項目)
 ・議案の説明
 ・衆議員議員選挙(1)
 ・アスベスト対策
 ・衆議員議員選挙(2)
 ・税源移譲と地方交付税
 ・地方から声をあげることについて



議案の説明
(知事)
 9月定例県議会を9月20日に召集をすることにいたしました。
 提出をします議案は、一般会計補正予算のほかに条例、その他議案が27件、報告議案が5件、合わせて33件でございます。

 このうち一般会計の補正予算としましては、発達障害者の方への理解を深めて、その支援体制を整備していくための経費。また、雇用に効果がございますコールセンターを設置してくれた企業に対する支援。さらには、来年3月に合併をいたします、こうほくの3町村、香南の5町村に対します、合併後のまちづくりへの支援などを計上しております。

 ただ、これらの一般会計の補正予算、合わせての総額は3億9千万円余りでございまして、近年では例にない小さな規模の予算になっております。

 また、この間の台風14号によります被害の災害復旧に関しましては、現在被害の状況を精査しておりますので、その結果、災害復旧に関わります追加の予算が必要になりました場合には、あらためて提案をしていきたいと考えております。

 次に、条例その他議案でございますけれども、条例議案としましては、新しい合併特例法の下に置きます(高知県市町村合併推進)審議会を設置する条例。また、いわゆる『レッドデータブック』に掲載をされました貴重な動植物を、県民をあげて保護していくための条例。

 さらには、大変厳しい財政環境というものを考えまして、高知県減債基金などの基金を一般会計に繰り入れるために必要な条例案などを提案しております。

 また、そのほかにも、町村合併に関わるもの、指定管理者制度に関わるものなど、条例議案として18件、その他議案として9件を提案することにしております。また、報告議案といたしましては、16年度の電気事業会計の決算など、5件を予定しております。
 私からは以上でございます。

(上田:NHK記者)
 今回、非常に類を見ないぐらい補正予算の規模が小さかったということですけれども、これについては、どういう風にお考えになっておられますか。

(知事)
 それはもう、財政環境の厳しさということと、それから、先ほどもちょっと述べましたけれども、昨年は台風が5つも上陸をしておりまして、その台風の災害復旧に関わる経費がかなりの部分を占めておりましたが、今年は、ここに至るまでは、台風14号までは大きな雨や台風による被害がなかったと。

 災害復旧に関わる補正予算が、現時点では極めて少なかったということが、影響していると思います。

(上田:NHK記者)
 災害復旧の部分については、あらためて提案することもあるのでしょうか? 

(知事)
 そうでございます。

(上田:NHK記者)
 今のところ、見通しはどのくらいの規模になりそうというのは出ているんでしょうか? 

(知事)
 それはまだ分かりません。
 きょう、災害対策本部を開きますので、そのときに、土木・農林等、大体どれぐらいかということは、今の時点でのものは出てくるのではないかと思います。

(中澤総務部長)
 補足説明をいたしますと、通常の災害の場合は、災害査定を経て、国の負担が決まっていくというルールなんですけれども、緊急を要するものについては、早期に対応しなければならない。

 ただ、当初予算に一定予算を組んでおりますので、その中で対応できる分はそれで対応し、対応できないものについて緊急を要するものについては、あれば追加提案を予定するというところです。

 そこらあたりの予算額等の精査もしなければなりませんが、まだ分かっていない、間もなく分かると思います。

(上田:NHK記者)
 今回の(補正予算案の)中では特に企業誘致であるとか、市町村合併のあたりに重点を置いているということ?

(知事)
 いえ、特に重点を置いているということではございません。

 合併のことも、今お話のあったコールセンターのことも、それぞれに従来からルールとしては決めているもので、その予算を組む必要性が出てきたために、補正予算として組んでいるということでございますので、何か、今の時点で政策的に重点を置いて組んでいる、というものではありません。

(釜本:時事通信記者)
 今回、提案されている基金からの借り入れを可能にする条例案と関係があるんですけれども、市町村の単位で言いますと、借り入れではなくもう完全なる繰り入れ。

 要するにもう、借りるんではなく返さない、その予算をそのまま使っちゃうといったことも、やっているような自治体もあると思いますけれども、将来的な見通しも含めて、そういった方向性をやる可能性もあるのかどうか、ちょっと今の時点で分かる範囲でお願いします。

(知事)
 現時点では、そうならないような財政運営を心がけていかなければいけませんし、そうならないための財政運営だけではなくて、事務事業の見直し、それも単に事業費だけではなくて、全体的な経費を含めての見直しということを思い切ってやっていかなければいけないと思います。

 最初から、借り入れをそのまま返すことができない、繰り入れになることを想定してやるべきことではない、というふうに考えています。

(釜本:時事通信記者)
 現状の財政状態は、なかなか厳しいですけれども、こういった借り入れにしても、どれぐらいの規模が必要になるんではないか、というのはありますか? 要するに、現状の財政に対する認識は。

(知事)
 今の段階ではなんとも申し上げかねます。というのは、先日、一応来年度に向けての方向性、仮の試算というものが示されました。

 それは、これまでもそうでありましたように、一般財源は確保する、ということですけれども、地方税の伸びというものを踏まえて、地方交付税と臨時財政対策債を合わせての一般財源を確保していく、という流れでございますから、本県のように、全国の景気回復の状況と比べて、地方税の伸びが全国平均よりもはるかに低いという県において、当然、地方交付税や臨時財政対策債の枠に影響を与える、ということを覚悟していかなければいけません。

 まだまだ、本当に仮の試算でございますから。試みの計算の上に「仮」が付いているぐらいのものなので、なかなか、それを元に、今どれぐらいの不足が起きてその分にどれだけ繰り入れをする、ということが、アバウトな概数であれ言えるような状況ではございません。

 一方で、その事務事業の見直しも1回財政課を中心に、こういうものは削減ができるのではないかということを投げかけて、部局からその答えが返ってきて、もう一度もっと基本的なところから見直しをしなければいけないのではないかということを、先日の庁議などでも議論をして、ということを繰り返しているところでございますので。

 また次の政策協議などをする段階までには、そういうことを詰めていかなければいけませんが、今申し上げましたように、財源の元になります、国からの交付税等の流れもまだ固まりません。

 一方で、こちらの支出をどう見直していくかということも、まとまっておりません。収入、支出ともに大きく揺れ動いているというか、状況をより良くするために努力をしているところでございますので、まだ全体的な差し引きがどうなっているか、ということまでは分かりません。

(浜田:高知新聞記者)
 この2号議案の市町村合併推進審議会条例議案ですけれども。

 これは、秋ごろ立ち上げたいということで、私は9月ではないんではないかとは思っていたんですけれども、これをもう、この9月定例会に出すということは、その基礎自治体の在り方とか含めて、学識経験者の方の意見も聞いて、今後の高知県の自治体の在り方を、方向性を見出した上で審議会にかけたい、ということだったと思うんですが、いわゆるその議論の材料が、ちょっと整ったので、この9月に出したのではないかなとは思うんですけれども。

 今のところ、有識者の方から、高知県の自治体、小さい自治体としてどうあるべきかとか、大きくなったほうがいいんではないかとか、何か一定の方向性を、合併支援室のほうが聞いてきておるのか、ということはどうなんでしょうか? 

(知事)
 聞いてきております。

(浜田:高知新聞記者)
 中身については? 

(知事)
 具体的な人の名前を挙げれば、例えば(東京大学大学院経済学科長の)神野(直彦)先生とか、(国際基督教大学大学院教授の)西尾(勝)先生とかいう方でございます。

 その道の専門家であり、地方自治、地方財政ということの専門家であり、なお、高知県のいろんな実情についてもこれまでの関わりでご存知な方ということで、代表例を挙げれば、そういうおふたりでございます。

 お話を伺ってきて、間違えるといけませんから詳しいことはちょっと除きますけれども、例えば、どれぐらいの人口規模だと、市や町の将来の維持がどういうふうになっていくか、とか。

 それから、せっかく合併するのであれば、合併した市、町の中で、ひとりの県民の方が生まれてから死ぬまでにどれだけのサービスが受けられるか、最低限どういうサービスを整えた基礎自治体であるべきか、とかですね。
 そういうようなことについて、様々なお話を伺っております。

 内容的には、議論しながらということではなくて、一方的に先生方のお話を伺った、ということですけれども、お話としては、かなり細かい点まで伺って、それを整理しておりますので、そういうものを元に、第1回はこういうテーマについて、第2回はこういうテーマについてと、まだ、かっちり固まっているわけではありませんけれども、その議論の土台ができるぐらいの整理をした上で審議会を設けるという段取りになっております。

(浜田:高知新聞記者)
 そういった考えを受けて、知事の考えとして、昔から人口規模に基づいた合併というのは、ちょっと否定的な見方をされていたような気がするのですけれども、それは今でも変わりはないでしょうか。

(知事)
 私は、人口規模に基づく合併を、単に否定してきたというつもりはないんですけれどもね。

 合併をするのであれば、やはり合併をした後、その基礎自治体として、かなりの将来、維持が見通せるというぐらいの合併をしないと、あまり合併の効果として、特に本県のように小さな町村を抱える県として、意味がないのではないかな、ということはずっと感じておりました。

 今のお話の中でも、これからやっぱり基礎自治体として維持をしていくためには、そこで生まれて育って亡くなっていく、その中で子育てから、健康のことから、教育から、最後の医療、福祉に至るまで、やっぱりある程度のサービスが受けられる、それだけの土台を持った基礎自治体にならないと、人口の維持はできないんではないか、というお話もあって、それもやっぱりそのとおりであろうな、ということを思いますので。

 人口の規模そのものを大きくすることが意味がない、という意味で市町村合併への疑問を、それとストレートに結びつけて言ったつもりはありません。

(浜田:高知新聞記者)
 この委員の中に、首長、市町村長は、お入れになる考えはあるんでしょうか? 

(知事)
 まだ、相手の方にご了解を完全にいただいているかどうか分かりませんが、候補者としては入っております。

(浜田:高知新聞記者)
 それは複数人ということですか? それぞれ立場があって、合併に肯定的な方であったり、後向きというか、もう自立でいきたい方であったり、首長をひとり選ぶなら、ちょっといろいろどうかな、という思いもするので、複数なのかな、という気がするんですけれども。

(知事)
 具体的に言うと、だんだん人も絞られて、その方がOKをされているかどうか分かりませんので。自治体関係者として、最初からおひとりだけということではありません。複数で考えております。

(浜田:高知新聞記者)
 今後の高知県のことを考えたときに、そのメンバーというのは結構重要かな、と思うのですが、学識経験者と市町村長以外には、どういうような方を? 

(知事)
 以外には、いろいろな分野の方でございます。教育ですとか、福祉ですとか、NPOの代表をされている方ですとか、農業団体のしかるべき立場の方などでございます。

衆議員議員選挙(1)
(上田:NHK記者)
 今回の選挙なんですけれども。自民党の圧勝という結果が出たんですが、これは知事としては、どういうふうに見ておられるでしょうか。

(知事)
 この間コメントとして出しましたように、どれだけ国民の皆さんが内容まで踏み込んで考えられたかどうかは別にして、郵政民営化ということに代表されるような、官から民への移行ということに、また、それにともなう小さな政府を作っていくということに、多くの国民が同意をされたという流れが、そこにはあると思います。

 ただ、その流れというのは、これまで三位一体の改革などで、地方への大きな圧力になってきた中央の財界だとか財務省などの考え方と、その考え方を一にするものですので、そういう流れというか風がこれだけ強く吹いたということは、選挙というひとつの台風が通り過ぎた後の吹き返しの風が、また地方にとっては大変厳しいものになるだろうな、ということを実感しております。

 それだけに、きちんと地方の立場ということは言っていかなければいけませんけれども、一方で、地方もこれまでにない大きな改革というか、やはりこれまでの仕事の仕方というものを、もう完全に見直して、これからの行政のあり方を考えていくべき時期に来ているのではないかなと。

 具体的に「だから何をする」ということまでは、踏み込めませんけれども。やはりそれぐらいの厳しい判断というか、思い切った判断をしなければいけない時期に来たんだなということを感じています。

(池:高知新聞記者)
 行財政改革については、これまでも知事はじめ幹部の皆さんも、高知県としては、独自で国以上のものを進めてきたという主張だったと思います。今回の選挙結果を受けて、さらにそれを進めなくてはいけないというご認識ですか? 

(知事)
 もともと、私は進めなければいけないと思っておりました。

 それは、単に外からの圧力ということではなくて、私自身はアウトソーシングということでも表現をしましたように、また15年度の県の経営方針として掲げましたように、これまでのように、予算で仕事をしていくということではなくて、県民とのパートナーシップ、住民力を生かした、新しい公共サービスのかたちを作っていくということが、今の地方の、高知県の目指すべき方向だということを、自分は考え、そのことを過去2回の選挙では強く訴えてきましたけれど、そのことにある程度のご支持をいただいているというふうに思いますから、国の動向がどうであれ、そういう方向に進めていくということは私の考え方です。

 ただ、それに加えて、今、選挙に対する感想ということで問われましたので、あれだけの風が吹くという状況の底流にあるものを感じ取って、地方としても敏感に、やるのであってもそのスピード感を速めてやっていく、ということが求められているのではないかと、今は感じています。

(池:高知新聞記者)
 それは、国民が改革を求めている状況を敏感に感じ取っていくというのか、それとも小泉内閣的な改革手法そのものが地方に対する外圧になってくるというものでしょうか? 知事のご判断はどちらに寄っているのでしょうか?

(知事)
 そこまで、なかなか深く自分で考えているわけではありません。深くというか、どちらのウエイトかという…

(池:高知新聞記者)
 質問を変えますけれど、今回の選挙結果を受けて、地方に対する風当たりがさらに強まるというご認識? 

(知事)
 それはあります。それは間違いなくあります。

(池:高知新聞記者)
 それは、どんなかたちで表れると思いますか? 

(知事)
 それは、19年度以降の地方交付税等への影響などで、端的に表れてくるのではないかな、ということを思いますし、また回り回っての話になりますけれども、今、医療費に関しても、年間国全体で31兆円ですが、これが大体3~4%ぐらいずつ、年間1兆円ぐらいずつ増えています。

 これに対して、経済財政諮問会議は、GDPの伸び率にと、2パーセントに抑えなさいということを強く主張されております。

 今は、経済財政諮問会議の中で、厚生労働省は「2パーセントに抑えるのは無理だ」ということを言っていますが、こういう流れの中で、そうしたことに省として対抗しきれるかな、というようなことを感じますと、本当は医療費の問題などは別の視点で、社会的な視点からもっと大きく捉えて考えなければいけませんけれども、こういう状況の中で、特に財界などからもそういう強い圧力というか、主張がきたときに、そのことをやはり国と地方とのやりくりの中で、解決をしていこうということも、考えられるかもしれない。

 そういうような、単に財政の面での地方交付税というようなことも、もちろん来るでしょうし、それだけではなくて、そういう医療費やなんかの問題が回ってくれば、本県のように、医療費ということで大きな課題を抱えている県にとっては、さらに厳しい風が吹いてくるだろうな、ということも思います。

アスベスト対策
(上田:NHK記者)
 今回の予算の中で、アスベスト(問題に関するもの)もちょっと入っているんですけれども。「この中には盛り込めなかったんだけれども、今後こういうことも考えていきたい」というようなことがありましたら。

(知事)
 例えば、どういうことをイメージされているでしょうか。

(記者)
 兵庫県などでいうと、住民への調査とか。

(知事)
 兵庫県とは、もう全く状況が違いますので。アスベストの工場があって、その付近で住民の方の健康被害うんぬん、ということがいわれる状況と、本県におけるアスベストの問題とは、かなり状況が違うと私は認識をしておりますので、すぐさま、他県のやっておられることをそのまま取り入れてということは考えておりません。

 まずはきちんと各施設の、何千とある施設ですけれども、アスベストの状況というものをチェックしていく。

 また、非常に細かいところまで、今回の予算で計上しておりますけれども、細かい物まで分析ができる機器を新たに導入をして、そういう調査を早め、また、いろんなご相談に対する回答をきちんとしていくということが、今、基本的に求められていることであろうと思いますので。

 幅を広げるということよりも、先ず早く、スピード化をもって、そういう(基本的な)サービスの対応をしていくことが、求められているのではないかと思います。

衆議員議員選挙(2)
(池:高知新聞記者)
 選挙中、岡山のおいごさんの、岳さんの選挙の応援に行かれていましたが、3回行かれましたか? 

(知事)
 そうですね。3回ですね。

(池:高知新聞記者)
 インターネットなんかで見るに、30代前半と20代後半の(候補者たちの)中で、どんな雰囲気でしたか? 知事の応援した感じの印象などあれば、お聞きしたいですが。

(知事)
 結果の印象ですけれども。(小選挙区の当選者との得票差が)6千票ぐらいだったと思います。で、自分の身内のことなので、なかなか言いにくい点はありますが。

 ただ、相手の方は、兄の最後の選挙のときに出てこられて、ずっとそれから、2年半だか3年だか、もう本当に地道に地域を回られているわけですね。

 そうやって政治活動をされてきた方に対して、突然31歳の若者が出てきて、それで立候補表明をして、投票まで3週間ぐらいですから、それぐらいの運動で小選挙区で勝ってしまったのでは、本当に本人のためにもよくないし、相手の方にも失礼だなと。

 そのことは、おいごである候補者には言いましたけれども。そういうことは、感じましたね。

(池:高知新聞記者)
 それは、選挙期間中から? 

(知事)
 それは本人に、当初から言いました。少し、やはり演説の仕方やなんかでも、もうちょっと考えたらどうかという意味で。やっぱり相手の人はもう、本当に死に物狂いで3年間、地域を回って一人ひとりに声をかけてやっていると。

 それに対して、ドーンと来て、よく落下傘と言いますけれども。ここまで岡山で育っているわけですが、政治の候補としては、落下傘的にポンと来ているわけですよね。それまで、政治家になると表明しているわけでも何でもないわけですから。

 そういう状況でやっぱり、いっぺんに勝ってしまうようなことは、あまりよくないんじゃないか、ということは思いましたし。勝つのはよくないのではないか、とは言いませんでしたけれども。相手の人に対する思いやりということを、考えながらやらなきゃいかん、ということは言いました。

(池:高知新聞記者)
 ちょっと意地の悪い質問ですが、自民・公明が3分の2を占めるような状況というのは、地方に対する風当たりが強くなると。おいごさんも自民のひとりですよね。それを、地方の高知県をあずかる知事として推されるということは、複雑な心境にはならないですか? 

(知事)
 複雑な心境です、それは。当然、複雑な心境で。私は、もともと応援に行くという気は……何か言われずに、応援に行くという気はなかったんですけれども、両親とも「やらない」と言うし、本人からも「ぜひどうにかしてほしい」と言われるので、そこまで言われれば、おいと叔父という立場で行ってやらにゃいかんな、と思いました。

 私の最初の選挙のときなんかも、兄も、当然自由民主党の幹部でありながら、自由民主党の候補と戦っている弟を応援したので。今のご質問の複雑さとは、全然違いますけれども、そういう同じような思いがあったのではないかなと思いますけれどもね。

(池:高知新聞記者)
 それを超えて、「血」で応援をしたということですか。

(知事)
 そういわれると、ちょっと何か、自分の生き方とはあまり……しっくりこないので。

税源移譲と地方交付税
(釜本:時事通信記者)
 先ほど、地方への風当たりが強くなるという意見でしたが、先月の会見で、税源の移譲について、高知のほうは税源を移譲されても、そもそもの税の対象になるものとかいろいろな格差が大き過ぎるという話をされて。

 これまでの、いわゆる少々額が減っても自由度が上がればいいということとは、ちょっと路線が変わったという見方をしているんですけれども。

 実際これだけの結果が出て、政府が進めている、税源を地方に降ろすことで地方交付税をカットするという流れがいっそう加速していくのかなという気もしますが、地方の立場を、どのようにして伝えていくのか。
 税源移譲について考え方は、今の時点でどういうふうにまとまっているのか、あらためてお聞きします。

(知事)
 答えはまとまっておりません。いろいろ考えていますが、個別の47分の1の知事が考えて、どうなるものだろうかということも思いますし。

 それから、例えばこの間、東京の会に出ましたが、構想日本の、各県の知事さんの集まった会だとか、いくつか今後の税制のあり方について、議論している場もございますので、そういうところでの、これまでの勉強とか、さまざまな調査ということを踏まえて、自分なりの主張というものは、ある程度持っていきたいとは思います。

 ただ、今はいずれにしても、国との関係の中で、地方が「もうそれは絶対できませんよ」と言って跳ねつけるだけの武器が、なかなかないということ。

 その上に、こうした選挙によるいろんな風が吹くということを考えると、税制で提案をしたところで、また、地方交付税の大切さということを言ったところで、どれだけのことができるかな、ということを相当思い悩みながら、というところです。

(釜本:時事通信記者)
 地方交付税制度がないと、今後地方は成り立っていかないという考えにはお変わりはないですか。

(知事)
 地方交付税制度をなくして、共同税だとか、別の形にしていくとかですね。今のように、基準財政収入とその需要との差で埋めるのではなくて、別のかたちで埋めていくとか。仕組みの作り方というのはあると思いますけれども。

 しかし、地方、つまり東京も地方という意味での、東京と高知県との格差とか、そういうものを埋めていくことによって、国民があまねくどこで暮らしていても、ある程度の生活が保障されるという状況を作ることも、これは国全体の責任ですので。

 そういう制度そのものがなくなることは、あり得ないだろうと思います。ただ、それがどういうかたちで落ち着いていくのかということが、交付税なら交付税というかたちで、その仕組みが今後どういうかたちで変わっていくか、また、額が、どの額で落ち着いていくのかということが全く見えませんので。

 極めて不安定な状況にあるということだと思います。

地方から声をあげることについて
(亀岡:朝日新聞記者)
 地方の立場から、いろんなことを、いろんなかたちで提言されていこうという、それをずっと模索しておられるというのは、よく分かるんですけれども。

 先ほども言われたように、47分の1という考え方とか、そこはなかなか地方全体で議論がまとまりにくいという方向があって、知事ご自身がそれをどういうふうに、地方でまとめていけばいいのかということを、それを今、すごく思い悩んでおられるのではないかと思うのですけれども。

 やっぱり地方としてまとまっていく方向でなんとかしていきたいという思いをまだお持ちなのか。それとも場合によっては「それじゃ無理だ。各個撃破でいくしかないんじゃないか」と、そういう議論に近づいておられるのか、そのへんの思いはいかがなんですか? 

(知事)
 どちらにも、傾いてはいませんけれども。各個撃破もまた、手法があるかどうかが分からないです。分からないですけれども、どちらに傾いているということではなくて、選択肢としては、それはやっぱり両方あるんではないかな、とは思います。

 ただ、地方がまとまって、これまでの戦う知事会というかたちでやって、まがりなりにも三位一体の改革というものが動き出すと。

 そのカウンターパートとしてやってきた、ということがありますけれども、その延長線上で、何か地方全体のためにプラスになっていくかどうか、ということにはクエスチョンマークを感じておりますので、それ以外の選択肢というものも含めて、考えなければいけないのではないかな、とは思いますが、それ以外のほうに考え方がシフトしている、というわけではないです。

(上田:NHK記者)
 各社、ありませんでしょうか。
 ありがとうございました。

(知事)
 はい、ありがとうございました。

 


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