知事の定例記者会見(平成18年9月議会)

公開日 2007年12月08日

更新日 2014年03月16日

知事の定例記者会見(平成18年9月議会)

平成18年9月14日9時00分から(県庁二階 第二応接室)

(項目)

 ・議案の説明
 ・県立大学の改革(1)
 ・助産師や看護師の確保
 ・華フェスタ(1)
 ・企業誘致の予算
 ・県立大学の改革(2)と華フェスタ(2)
 ・高レベル放射性廃棄物処分場
 ・皆山集



議案の説明
(知事)
 9月の県議会定例会を9月20日に召集することにいたしました。提案をいたします議案は、一般会計の補正予算の議案が1件、条例その他の議案が9件、報告議案が3件、合わせて13件でございます。

 このうち一般会計補正予算といたしましては、県立高知女子大学の学部の再編に伴いまして池地区でのキャンパスの整備に関する経費、また雇用にも効果のございますコールセンターをはじめ県外の企業が立地をされる、また増設をされるといった場合の工場建設などを支援するための経費、さらには西武百貨店の跡地を利用しました再開発事業に対しまして高知市が行われます優良建築物等整備事業を支援するための経費など、合わせて6億3,000万円あまりを計上しております。

 また、条例その他議案といたしましては、助産師さんや看護師さんの確保が難しくなっているという現状に鑑みまして、将来そうした職を目指してらっしゃる方々の就学を支援するための奨学金の貸付けの条例の一部を改正する条例議案、また高知市から無償譲渡を受けました元高知市立中央公民館を県民文化ホールの多目的室として活用するために利用料金の上限を設定するための設置及び管理に関する条例の一部を改正する議案、さらには高知県税条例の一部を改正する条例議案など、条例議案が6件とその他議案が3件でございます。

 さらに報告議案といたしましては平成17年度の高知県電気事業会計の決算など3件を提案することにしております。私からは以上でございます。

県立大学の改革(1)
(矢野:高知新聞記者)
 県立大学の再編が今回9月議会の目玉になるような感じもするんですけれども。関連予算を上げますけども、大学が独自の案を出して県案とはちょっと溝なんかがあるんですけども、県立大学再編に対する知事の考えというのはどうでしょうか。

(知事)
 県立大学に対しての考えは今回基本計画としてまとめましたので、それを議会にもお示しをしてご審議をいただくということになります。

(矢野:高知新聞記者)
 溝がかなり深い。議会でも――

(知事)
 溝というのは、それは改革をしていくんですから、改革をされる側からは「そうではなくて元のままで」というご意見はいろいろあると思います。

 そういうことばかりずっと、もう2年あまりもかけて、検討委員会からいえば3年あまりもかけてやってきているわけですから「溝だ、溝だ」と言ったら何も改革は進まないだろうと思います。

(北村:高知放送記者)
 駅前の複合施設ともちょっとからむんですけれども。法務総合学部それと文化学部、これまではこのふたつをそっちのほうに残して、それ以外を池キャンパスにしていたと思うんですが。

 今回のこの再編案で、法務総合学部以外を池キャンパスにということで方針転換をされたと思うんですけど、それについてはどういう説明を。

(知事)
 べつに方針転換ではございません。提案としていろんな提案をしているので、方針としてきちんとお出ししたのは今回が初めてでございます。

(矢野:高知新聞記者)
 提言が出たのは16年10月なんですけれど、大学側からは「提言の中身とほとんど変わっていない、提言のままじゃないか」というような指摘もあるんですけど、そのへんの話し合いはその間――

(知事)
 話し合いは十分されていると思います。私自身も学長ともお話しをしましたので。私の受け止め方は、学長はその場その場で言われることが変わるというふうに受け止めております。

(矢野:高知新聞記者)
 こういったすれ違いがあるなかで、再編後の大学教育を心配する声もあるんですけれども、その心配はないんですか。

(知事)
 ありません。改革というのは、ズレがあるとか溝があるといって、なぜ改革ができるんでしょうか。考え方を教えていただきたいと思います。

(田村:NHK記者)
 確認なんですが。先ほど溝とかズレがあるといって改革はできないということで、これまでもお話されてきたことですけれども。要は、必要な話し合いはもう十分されて、もう県として政策判断をするべきときが来たということでよろしいですか。

(知事)
そうでございます。

(矢野:高知新聞記者)
 今後のスケジュールは、どういうふうになりますか。今回の予算に設計費が出てますけども、再編がスタートする21年度に向けてのスケジュールは。

(知事)
 それは議会でのご審議を受けてのことになりますので、今この場で県の側が勝手に決めるべきことではないと思います。議案として提案をしておりますので、議会でのご審議を経てということになろうと思います。

(矢野:高知新聞記者)
 そうしたら、議会のなかでも、十分大学との話し合いはもう十分煮詰まった話ができたという説明をされるわけですか。

(知事)
 いや、そうではございません。先ほどから申し上げておりますように、改革ということに向けて議論は当然必要ですし、議論もいたしました。私自身も学長ともきちんとお話をいたしました。

 しかし、その場その場で言われることが変わるというふうに私は認識をしております。そういう状況のなかで、いつまでもただ溝があるとかズレがあるという理由だけで学部の再編などを先送りするということは、今の現状のなかで許されないんじゃないかと。

 私たちは県民の皆さんの負託を受けて、この県立大学を運営していくという責務を担っているわけですから、そういう責務の負託というものを受けて、判断をすべきときは当然判断をしていくべきではないかと思います。

(矢野:高知新聞記者)
 実際、教育の場というのは大学の先生が担当するわけですね。

(知事)
 それはそうですね。

(矢野:高知新聞記者)
 そこのズレがあるなかで、というのは、懸念がずっとあるんですけども、それはもう…。

(知事)
 先ほど申し上げました。改革というのはズレがあるからといって先送りしていいんですか、ということです。いつまでも「ズレがあるから」と言って先送りしていいんだというんだったら何が変わるんでしょうか。ぜひお答えをいただきたいと思います。

助産師や看護師の確保
(田村:NHK記者)
 助産師とか看護師の問題、今回予算ではなく、奨学金貸付けの条例(の一部改正)議案ということですが、今後さらに県として確保していくうえで、どういった対応をされていきたいか、基本方針をお伺いできれば。

(知事)
 まだ県立の総合看護専門学校を廃止することの影響というのが、私立の専門学校のなかでもそうしたコースができるとかいろんな動きがあるわけですけれども、実際に高知県のように高知市に施設が一極集中しているという状況のなかで、県全体としての想定される看護師さんなり助産師さんの数と郡部などでそういった方々が確保できるかということ、また状況が変わってまいりますので、そういう動きが起きてからでは遅いのでできるだけ早く考えながら進めないといけないと思いますけれども、そういうことを考えながら、例えば奨学金のあり方などもまた別の奨学金のつくり方というのも当然想定をしながら、なるべく県内にとどまっていただくとか郡部に勤務をしていただくとか、そういうことを促していけるような政策というのはいつも頭のなかに考えながら現状を見つめていかなければいけないと思っています。

華フェスタ(1)
(浜田:高知新聞記者)
 今回の予算とも関連します、平成20年度開催予定の『華フェスタ』なんですけれども。

 議会には、県が考えているのは花を中心としたイベントではなくて、どちらかというとおもてなし博ではないかというふうな厳しい見方もされて、なかなか観光担当のほうとしても苦労しているような感じも伺えるんですけれども。

 また議会のほうは「パビリオンの設置がやっぱりいるんじゃないか」とか「イベンドだけではちょっと駄目なんじゃないか」という声もあって、午後にも2回目の(華フェスタ(仮称)基本計画検討)協議会が開催されますけれども、現時点で『華フェスタ』についての知事の考えを、議会のお声も(耳に)入っていると思いますので、どういうふうな方向で開催していきたいという考えなのかお聞かせください。

(知事)
 私は基本的にやはり高知県が(平成)20年という1年間だけではなくて長い間県外から人を呼んでくる魅力というのは、やはりおもてなしの力だろうと思います。

 もちろんそのなかにフラワーとしての花というものも活かしていけるものはいっぱいありますけれども、単にパビリオンを造ってというような一過性の博覧会的なものを考えることよりも、やはりおもてなしという高知県に従来からずっとある、伝統として文化としてあるものを県外の人に認めていただいて、それを少しブラッシュアップをして、外からも来ていただけるようなものに変えていくというのが『華フェスタ』などを開いていく大きな意義ではないかというふうに思います。

(浜田:高知新聞記者)
 現状で、パビリオンの大きい・小さいは別にして、例えば牧野に造るとかそういうふうな考えはどうなんでしょうか。

(知事)
 それは、提案としてはあります。県庁のなかでも議論すべき選択肢としてございますので、それは今後議論をしていかなければいけないと思いますが、結論は出ておりません。

 牧野にパビリオンというか温室というか。それをどこにどう置いて、将来的にどう使っていくのか、ということがないと、ただ単にフェスティバルのためだけにパビリオンを造ってということにはならないだろうと思うんですね。

 要は将来計画と併せて、きちんと議論というか検討していかなきゃいけないと思います。今の段階でそういうことは全くやらないとはもちろん決めていませんし、そういうことを必ずやるとも決めておりません。

企業誘致の予算
(片岡:高知新聞記者)
 今回金額的に企業誘致の予算がずいぶん多くなっていますよね。それと債務負担行為という予算の上げ方もされていると。このへんの意味合いと評価とかそういうものをお伺いしたいのですが。

(中澤総務部長)
 債務負担ですから基本的には年度をまたぐわけですけれども。

 従来こうしたものは予算計上しなかったわけですが、前回の6月議会の付帯決議をいただきましたので、要は企業さんに高知に来て工事に着手する前に県としてお約束をする、いわゆる予算化して交付決定するという手続きをきちんとしていこう、ということでやっておりますので、債務負担行為というのが今回表面化してきたということでございます。

(片岡:高知新聞記者)
 あと、件数としても多いんですけど、それに対する評価とかそういうものがありますでしょうか。

(知事)
 評価というか、これまでも地道に県外からの立地とか、また立地企業の(工場)増設ということを働きかけてまいりました。それが少しずつ実ってきた結果だと思いますし、今後もぜひこういう勢いというものを衰えさせずにがんばっていきたいと思います。

県立大学の改革(2)と華フェスタ(2)
(岡林直裕:高知新聞記者)
 今までとちょっと重なる部分もあるかもしれないですけど、2、3点ちょっとお話をお伺いしたいと思います。

 ひとつは女子大の県立大学改革についてなんですけど。県立大学の設置者である知事というお立場と、それからこれはちょっと余談になるかもしれませんけど、例えば高知大学それから工科大学、一般県民・市民から見たら大学っていうのは県立大学だろうと国立大学だろうと工科大学だろうと選択肢というのは全部同じだと思うんですよ。

 今、そういう観点から見てみたときに、今回の県立大学の改革というのを全体の高知の大学のあり方というものにつなげていくお考えがあるのかないのか。

 ちょっと今、担当課さんとお話をしてても、いわゆる県立大学改革であるというのは分かるんですよ。だけど、高知女子大が、特にぼくが個人的に思うのは共学化というところを思うんですけれど、そういうふうな話になってきたら大学のあり方そのものが問われている時代のなかで知事自身がどういったお考えをもって、今回の大学改革を次の段階にどういうふうにつなげていくお考えがあるのでしょうか、というのが1点。

 それから先ほどの話とちょっとかぶりますが『華フェスタ』のあり方なんですけれど、要は地域にあるものを、本当に発掘していこうというものにつなげていくおつもりがあるのか。

 例えば地域でいうと「あじさい街道」がありますよね。そういった今あるものに焦点をしぼって光をあてていくというような考え方があるのか? もてなし以外に。そういうような観点をちょっとお伺いしたい。まずその2点を。

(知事)
 最初の1点は、高知県立の女子大学の学部再編というだけではなくて、高知大学・高知工科大学というものと合わせて3大学が高知県内でどういうふうに役割分担をし、また将来、万一法人が統合していくというときにも、整合性をもって取り組んでいけるかということを想定しながら進めておりますし、そのことは担当のセクションにも、そういう自分の思いとしては伝えながら進めているつもりでございます。

 ですから、社会科学系という場合も高知大学の持っておられる人文学部のなかのコースと重なっていかないように、ということを考えながらやってまいりました。また、工科大学も将来的にはいろんなかたちでリニューアルをしていかなきゃいけないだろうと。

 また中期的になるかどうか分かりませんけれども、工科大学そのものが単なる理系というだけではなくて文科系の方々も入れるというかたちを幅広くとってきたわけですけれども、これからもう少し広い視野で、起業家コース的な意味で社会科学系のものにもウィングを広げていくという必要性が出てくるだろうと思います。

 そういうときに今回の社会科学系の学部との連携だとか整合性だとかいうことは、当然考えなければいけないというふうに思っておりますし。

 時代の変化によってどうなるか分かりませんけれども、3つの大学がそれぞれバラバラということではなく、各大学の学長もそういう意識で学長会など開いておられますけれども。

 高専も含めてということになりますけれども、それが大きな県内にあるいくつかのキャンパスが分離してあるという取り組みをしていかないと、今お話があったように県民の皆さんから見た大学としての十分なサービスにはなっていかないというふうに思いますし。

 そのためにも、県立の女子大に関しては、県としての考え方というものをキチッとお示しをしていくべき時期ではないかな、ということを考えました。

 それから2番目の『華フェスタ』に関しては、思いはおっしゃるとおりでございます。おもてなしと言っているのは何かおもてなしのための飲み会の仕組みを、ということではなくて、いま高知県内にある「あじさい街道」も春野にもございますし、越知の黒石小学校から上に伸びていくようなものもございます。

 あちこちでいろんな取り組みがございますので、そういうものに光をあてて、そうしてそこが今のままではやはり地域の方とか高知市の方だけが、(知っている)ということですから、もう少しやはり県外の方もいくつかのコースに分かれて来ていただくにはどうするか、というようなことを考えていく。

 それが将来につながっていく仕組み、仕組みっていうと言葉がかたちだけになりますけれども、そういう仕掛け・仕組みを考えていくのがこの(平成)20年の『華フェスタ』の大きな意味ではないかな、というふうに私は思っていますし、担当とはそういうかたちで話をしております。

(岡林直裕:高知新聞記者)
 今、県立大学の改革を次の段階のステップにしていくというようなスタンスでいるのは、とても重要だと思います。

 『華フェスタ』については、ただ、そうした考え方が一般的に広く受け入れられる状況、情報発信ができていないんじゃないか。だからイベント的に見たときに、パビリオンを造ると。例えば県外から目玉になる花を持ってくるとか、そういった発想につながっていくということがあるんじゃないのか。

 だからこの今の段階でもし『華フェスタ』をやるんであれば、今知事がおっしゃったようなことをある程度情報発信していくというスタンスが必要じゃないかと思ってお話をさせていただきました。

(知事)
 目玉になるというか、少し珍しい何か、物を持ってくるというようなことも、私はあっていいと思うんです。
 牧野という施設があるわけなので、それを活用していけますから。

 そういうかたちで、例えば旅行代理店さんとかが目玉として売っていけるような物をどこかに持つことも、否定はできないと思います。ただ、そのためにパビリオンというふうなかたちで何か大きな投資をする必要があるのかどうかと。

 それはそうではなくて、いくらでもできるものだと思いますので。そういう物も、私はあってもいいと思いますけれども、基本的にはやっぱり高知県内にある食や花などを中心にした、いろんなまちおこし・地域おこしというものを、単にローカルなものに終わらさずにもう少しつなげて県外からも人が来ていただけるというようなものにしていきたいなと思っております。

高レベル放射性廃棄物処分場
(袴田:毎日新聞記者)
 今、津野町と東洋町で高レベル放射性廃棄物処分場の誘致が表面化しています。
 以前佐賀町で同じ問題があったときに、知事は「受け入れはしない」というようなご発言をされたと思います。

 今回の議会でもおそらく質問があるかと思うんですが、以前の発言から3年を経た知事の今回の問題に対する思いがあれば聞かせていただきたいんですが。

(知事)
 もし議会で質問があるなら答えはキチッとしたいとは思いますけれども、自分の考え方とか気持ちというのは変わりはありません。

 今回の問題に関しても、賛成のかたからはメールというかそういうものはございませんが、反対のかたは県内県外含めて、数多くのメールとかいろんなお問い合わせが来ます。

 そういうかたにはお答えをしているんですけれども、賛成というかたも反対というかたも、もう少し基本に帰ってというとおかしいんですけれども、地球の温暖化というようなこととからめて、原子力発電というものを日本の国内でどう考えていくかと。

 そのことは、日々エネルギーを使用して私たちは暮らしをたてているわけですから、そういう暮らしを変えていくということにもつながると思うんですね。

 そういうような意気込みというか、思いも持って取り組まれるのかどうかということをひとつは考えなきゃいけないと思いますし、また温暖化のなかでの原子力発電というものの意味というものを従来とは違ってまた見直していくということであれば、原子力核燃料のリサイクルというものをどういうかたちで進めていくかをやはり考えなければいけないということになります。

 そのときは総論賛成、各論なんとかの話になっていくわけですけれども、そういうことを考えないと、ただ単に「危険だ」「川が汚れる」というだけでは、ということを思いますし、また賛成をされるのであれば、交付金が欲しいからというようなのも、私はいかがなものかな、ということを思うんです。

 本当に原子力政策というものを日本の国のエネルギーと地球温暖化というものを考えて進めていこうというのであれば、そもそも国の政策として交付金を出し、当該自治体には10億円ほど、また近隣の市町村にも同じ額を、正直言ってばらまいて何とか納得させているというふうな原子力政策はやめるべきではないかなと。

 そういうふうに札びらでほっぺたを叩いて進めていく原子力政策がいかに無駄なお金を使って、それこそ無駄な地域のズレや溝を起こさせてきたかというようなことを考え直してもらわなきゃいけないと思うんですね。

(田村:NHK記者)
 あらためて反対というお話しでしたけど。

(知事)
 反対とは表現しておりません。
 先ほども言いましたように、単に反対だとか賛成だということではなくて。

 もっと平たく言えば、受け入れるのであればそれはもう交付金なんかいらないから、エネルギーとか地球温暖化ということを考えたとき絶対必要だと、そういうことを自治体としてやっていくんです、という住民意思を表明していただきたいと思いますし、また反対だと言うならば、単に危険だとか漏れて水が汚染されるとかいうあまり科学的ではないだろうと思われる想定で反対するのではなくて、もっとその地域に密着した反対というか、前向きな、別のまちづくりということを提案していくという方向が必要ではないかと。

 だから賛成も反対もいいんだけれども、もうちょっとそういうことを含めた議論がないと、単に交付金がほしいか、何か放射能汚染を受けるかというような賛成・反対論じゃ何もあとに残るものがないんじゃないかということを申し上げております。

(田村:NHK記者)
 津野町は津野町の考えがあると思うんですけど、こういったものを誘致するということが高知県全体の観光立県とかいう、高知県で進めている政策との合致というふうな部分というのは可能だと思われますか。

(知事)
 あまり可能だとは思いません。というのは私だけではなくて、お隣のまちの町長さんなども明確に「非常に迷惑な話で、やめていただきたい」ということを発言されておりますし、直接お会いをしてもそういうことを言っておられます。

 それはひとつのまちだけじゃなくて、いくつかの近隣の自治体の長と直接お話をしましたけれども、明確に反対をされております。

 それはやはりこれまでの高知県の、それこそさっきの『華フェスタ』ではありませんけれども、自然とかそういうものを活かした地域づくりだとか、交流人口を増やしていこうという方向性とは決してマッチするものではないというふうに、そういう思いの方々みんながとらえているからではないかと思います。

(松本:共同通信記者)
 先ほどのお話で知事の在任中にはそういう施設は造らないというお考えには変わりはないということをおっしゃられたと思うんですけども、津野町の議員さんなんかに話を聞くと、現状では企業が津野町に来て、そこで雇用ができるとかそういう環境じゃないから、こういう施設を持ってきて交付金をもらうなり、まちの活性化をしなければいけない、つらい状況があるんだ、ということをおっしゃってたんですけれども。

 今、まさにそういう時代になった、ひとつのそういう苦しい状況を示しているんじゃないかと思うんですが。

(知事)
 おっしゃる通りですね。だからわたしは県外から、四万十の源流の里と言いながらそういう(誘致の)声をあげるのはどういう考えなのかというようなメールなどを相当数いただきます。

 そういう方々には「おっしゃることはよく分かるし、また私も心情的にはそういう思いがあります。ただ、やはりそこまで考えていかなければいけないぐらい地方を追い込んできた今の小泉構造改革というものを、都市部におられて、やんややんやと手を叩きながら、それで本当に弱り果てた地方がそうやって交付金ということにすがっていこうという取り組みに対して、あなたたちは自然を守るべきじゃないかというようなことだけで批判をして何が生まれるのですか。もう少し、やはり地方の現状というものを考えなければいけませんよ」ということは、おひとりおひとりにきちんとメールなどでお答えをしております。おっしゃる通りだと思います。

 やはりそこまで地方を追い込んできている、またそういう追い込んだ地方にさらに巨額なお金で、札びらでほっぺたを叩いて地域にまた大きな紛争を起こしながら国の政策を進めていこうというようなやり方に強い疑問を感じますし、そういうような今の政府のあり方というものをやっぱり高知県民が1人ひとり考えて、いまのままの政府のかたちでいいのか、国のかたちでいいのかということを意思表示していかなければいけないときにもう来ているというふうに私は思います。

(岡林直裕:高知新聞記者)
 この問題で先ほどちょっとお話がありましたが。津野町長および東洋町の町長とお話しになられたケースはございますか。

(知事)
 全くありません。津野町長及び津野町議会とは厚生施設の誘致に関してはお話しをしたことがございますし、それに関しては「一緒に国に要請に行ってほしい」という要望を受けて、それは「参りましょう」ということをお話ししておりますが、この高レベル放射性廃棄物の問題に関しては一言もお話を聞いたことはございません。

 私は、副知事からそういう動きがあると。経産省や(資源)エネルギー庁ではこういう考えがあるという報告を聞いたのが初めてでございました。

(岡林直裕:高知新聞記者)
 その報告を受けて、新聞報道もあった状況を受けて、津野町長と電話なり何なりで、そうしたことでお話しになられたケースはありますか。

(知事)
 ありません。

(岡林直裕:高知新聞記者)
 事情を確認するという意味でも。

(知事)
 それもありません。それはなぜないかというと、行政の長という立場からして、新聞で言われている表現以上のものが、私が例え直接お訊きしたとしても出てくる状況ではないだろうと判断したからなんですけれども。

(岡林直裕:高知新聞記者)
 周辺の町長さんとは何らかのお話しをされているということですね。

(知事)
 それは個別にこのことだけでお電話してということではなくて、別々の場所ですけれどもお会いをし、知事室でも来られたときにお話しをしたこともありますが、お考えをお聞きをして、ということでございます。

(岡林直裕:高知新聞記者)
 知事の元に周辺の長から直接ご連絡が来たということで。

(知事)
 そういうことではないです。「これに反対するから」という積極的な、それだけのことで接触があったということではなくて、別の件でお話しをして「そういえばあの件も」と向こうからお話が始まった場合もありますし、私から投げかけをした場合もあります。

皆山集
(浜田:高知新聞記者)
 『皆山集』は出てきてないですか。

(知事)
 出てきておりません。

(松本:共同通信記者)
 ほかに質問はありませんでしょうか。

(知事)
 どうもありがとうございました。
 

 


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