知事の定例記者会見(平成18年2月議会)

公開日 2007年12月08日

更新日 2014年03月16日

知事の定例記者会見(平成18年2月議会)

平成18年2月16日9時00分から(県庁二階 第二応接室)


(項目)

 ・議案の説明
 ・「自立」とは
 ・産業振興センター
 ・アウトソーシング
 ・来年度予算への評価
 ・県警の捜査費
 ・組織改正




議案の説明
(知事)
 2月定例県議会を2月22日に召集することにいたしました。提案をします議案は、一般会計予算など予算の議案が33件、条例その他の議案が51件、報告議案が1件、合わせて85件でございます。

 このうち一般会計の予算は、ご存じのような三位一体の改革によります地方交付税の削減ということに加えまして、本県の場合は地方税の伸びの回復も思わしくないという大変厳しい状況の中でございましたが、最終的に4,303億円を確保いたしました。

 今年度当初との比較は218億円、4.8%の減少ということになります。こうした厳しい状況の下でございますので、事務事業の見直しということはもちろんでございますが、昨年の12月に策定をいたしました行政改革プランをすみやかに進めていくといったこと、またそれに伴いまして現在も続けております給与のカットや諸手当の見直しなど人件費の抑制ということにも努めました。

 併せまして旅費の事務制度の見直しということなど、行政のスリム化・効率化による経費の削減ということにも努力をいたしました。こうした努力と併せまして「自らの力で歩む高知をつくろう」という目標に向かいまして、産業の振興とか南海地震対策とか重要課題として挙げておりますことにも重点的に取り組んでおります。

 まず、産業振興と雇用の拡大という面でございますが、産業振興センターを中心にしまして引き続き県内で頑張る企業の応援・支援をしていきたいと思っています。

 また、現在高知工科大学や企業などが一緒になって進めております、次世代の半導体や液晶の透明導電膜を酸化塩という素材を使って作っていこうという技術開発、またFELと呼ばれます新しい光源の技術開発、こうしたものを一つでも二つでも具体的に事業化をしていく、そのためのチームを産業振興センターの中に立ち上げることにしております。

 併せまして、新しい立地企業に対する支援、また若者の雇用対策への応援ということも引き続き充実をしていきたいと考えています。

 次に、南海地震への対策でございますけれども、県立学校の耐震化を計画的に進めていくということと併せまして、新しく制度を設けまして、公立の小・中学校の耐震化支援をしていくことにしております。

 また地域では、漁村集落整備事業などを活用した避難路の整備といったことに加えまして、緊急輸送道路となります道路の橋梁の耐震補強ということも計画的に進めていく予算を計上しています。

 次に、子ども・高齢者・障害者に対する対策、対応でございますけれども。これまで小学校では1~2年で30人学級を導入しておりました。来年度からは小学3年生の子どもさんに対して35人学級という体制を導入していきたいと思っています。

 また、今子どもの安全の確保ということが大きな社会的な課題でございますので、こうした子どもの安全のための地域ぐるみの取り組みということも充実をさせていきたいと考えています。

 一方福祉の面では療育福祉センターの中に発達障害者の支援センターも、また中央児童相談所の中に児童相談の連携センターを設けるための予算を構えております。

 中央児童相談所の中での連携センターもその一つでございますが、これからこの分野では地域の支え合いということが非常に重要になってまいりますので、健康福祉部の中に新たなチームを立ち上げますなど、支え合いを活用した地域づくりということにもさらに力を入れて取り組んでいきたいと思っています。

 もう一つの、資源循環型の社会づくりでございますが、この点に関しましても環境活動支援センターというものを立ち上げまして、官民協働での取り組みを進めますほか、従来から取り組んでおります(二酸化炭素の)排出権(取引制度)を見越したものを将来想定した取り組みなども、今後も引き続き進めていきたいと考えております。

 今申し上げました環境活動支援センターもその一つでございますけれども、これからは民間のNPOの方との連携、またアウトソーシングということを活用した官民の協働ということが特に重要になってまいりますので、そのことにも積極的に取り組んでおります。

 大変財政が厳しい中でございますし、今後ともそういうことが予測されるわけですが、そうした中で多くの仕事・多くの人を全て官の中で取り込むのではなくて、そうしたものを外に出していくことによって、地域に、民間の中に、継続できるような仕事・雇用の場をつくりだしていく。

 そういうワークシェアリングをしていくという意味からも、また民間の方々のコスト意識とか知恵というものを協働する中で、官の仕事の中に取り込んでいくというような意味からも、今後とも、こうした官民の協働というのは緊急の、欠かせない重要な課題になっていると思いますし、全国的に見ても、どこの自治体がそのことに本当に思い切って踏み込んでいけるか、ということが問われている時代ではないかと思います。

 そうしたことからその第一歩としまして、来年度の予算でも職員の研修とか本庁の警備とか社会福祉施設での給食とか、そうした73の業務をアウトソーシングしていくという予算の計上をしております。

 さらに、予算全体をもう一度振り返ってみますと、経常的な経費は人員の削減によります人件費の抑制、また扶助費の減少、さらには県債の借り換えによります単年度の公債費の負担の軽減というようなことで、今年度の当初に比べまして102億円、2.9%の減少になっております。

 一方、投資的な経費は大変厳しい時代の中ですけれども、地域経済への影響また南海地震への対応ということを考慮しまして、予算総額の中で20%の枠を確保しました。

 とはいえ、普通建設事業費は、これも今年度の当初に比べますと100億円、10.9%の減少となっております。
併せまして、この一般会計の18年度予算と同時に提出をさせていただきます、今年度の補正予算でも、今後さらに続いていきます財源不足への対応ということに考慮しました。

 (具体的には、)今は緊急とは思えない、まだ未着手の事業の見直しによります減額の補正をしておりますし、また、財源の手当てという意味から新たに考えられます県債の発行また退職手当基金の取り崩しということでの増額の補正もしております。このような努力の結果、今年度予定をしておりました減債基金の取り崩しを見送ることができました。

 今も少し申し上げましたけれども、併せまして県債の借り替え、およそ300億円余りの分でございますけれども、借り換えをすることによりまして、公債費の単年度の負担を軽減をしていくということで、今後さらに予測されます財源不足にも対応をするという工夫をいたしました。

 この結果、(平成18年度当初予算の)財源不足の額は編成前に200億円を超える額が予測をされておりましたけれども、結果的に156億円の財源不足ということになっています。

 この財源不足は減債基金などの取り崩しが70億円、また従来財政健全化債と言われておりました行政改革推進債が79億円、合わせて退職手当債7億円ということで、この156億円をまかなうというかたちになっております。以上が予算にかかわることでございます。

 続いて条例その他議案でございますが、条例その他議案は知事・副知事・出納長の退職手当の減額にかかわります条例の改正案、また県の施設の指定管理者への指定に関する議案など、合わせて51件でございます。報告議案は、公平委員会の事務の受託に関する先決処分の報告の1件でございます。

 私からは以上でございます。

(中澤総務部長)
 続いて少し補足説明をさせていただきます。

 議案の件数が昨日の事前説明のときより、1件減ってございます。この理由でございますけれども、説明の段階での議案の第69号「県立月見山子どもの森の指定管理者の指定に関する議案」、これは提案する予定でお話しをいたしましたけれども、提案をしないことといたしました。

 その分が1件減っております。そのため、これ以降の番号が一つ繰り上がるということになります。その理由でございますけれども、この指定管理者に予定をしておりました高知県森と緑の会でございますが、平成15年度の県からの委託事業の実施にあたりまして委託契約の内容と異なる流用が行われていることが分かりました。

 内容は、書類上はのこぎりなどの消耗品を購入したことになっておりますが、実際には備品であるデジタル印刷機81万6,900円を納入させていることを確認いたしました。

 また、そのほか現在確認中でございますけれども、平成16年度の社団法人国土緑化推進機構からの公金で実施をいたします、緑と水の森林基金事業におきまして交付金の支出に際しまして対象事業、交付先を選定するためのルールを定めずに交付を行ったり、さらに交付を受けた団体等がその交付金をどのように使ったかの実績報告もないままになっている事例もございました。

 森と緑の会に対しましては領収書等を添えてそれぞれの団体の支出状況をあきらかにするよう求めておりますが、現在のところ、県として支出の根拠を確認できる資料を徴収できておらず、継続して提出を求め、調査・確認をしていくことが必要でございます。

 このような状況から、現時点では森と緑の会を指定管理者として指定することは適切と判断し難いという結論になりましたので、2月議会への提案を見送ることといたしました。

 なお、この森と緑の会に関しましては、土佐山田の森林センターの情報交流館、ここを指定管理者として指定をするということで(9月県議会に議案を提出し、)継続審議となってございます。この部分については、議案の撤回をするように早急に手続きをとっていく予定でございます。

 私からの補足説明は以上でございます。

「自立」とは
(池:高知新聞記者)
 支え合いの地域づくり推進事業に関することですが。先日、ちょっと障害者の施策の関係の会場である委員の方がおっしゃっていましたけど、「「自立」って県はよく言うけれども、意味が何かよく分からない」という話がありまして。

 背景には国の障害者自立支援法の関係で、自立の名の下に個人負担がどんどんふくらんでいく状況もあると思うんですが。今回、この支え合いのプロジェクトチームの理念自体は評価します。

 ただ、実際の取り組み自体は地域に出て支え合いの仕組みをつくるということで、地域支援企画員の機能とダブる部分があるのと、現状で一定地域の共助の仕組みを支える民生委員の方の補助金が今回カットになります。

 そういう中でいうと、県の考える自立というものが、最初に言った、その委員の方の意見からすれば「お金は使わずに、ただで皆さんで支え合っていく」というような雰囲気にも受け取れるかと思うんですけれども。

 この支え合いの地域づくり事業にもあります「支え合い等、自立のための仕組みをつくり…」という県の考え方、ビジョンですね。これ、自立に関する知事の所見と言いましょうか、ちょっと禅問答的になりますけれど、そこをちょっとお聞きしたいんですが。

(知事)
 それは、今、障害者の介護を例にとられましたけれども、障害者だけでなく高齢者も含めて、地域の中で暮らしていけるような仕組みをつくっていくということであろうと思います。

 例えば、障害者で言えば、今授産施設などにおられる方々の中で実際に一般就労に移れる方が全国平均でも1%、本県でも1コンマ何%という数字でございます。

 国が目標として掲げておりますのも、自立支援法で5年間でこれを4%に上げるというような状況ですので、そういう意味で、「自立というのは何か」という現状とは程遠いわけです。

 ですから現場でそれぞれ問題に取り組んでいる方から見ると「ずいぶん自立ということと現状が遠いな」という意識を持たれることはよく分かります。けれども、目指す目標というのはそういう方向ではないかなと。

 そういうことに取り組んでいかなければいけない。特に障害者福祉という面で言えば、従来の「施し、施される」という意識、関係から、こちらも支援をしていく、そして、サービスを利用される側の障害者の方々もやっぱり本人が持つ能力というものを活かして、いかに自ら生活ができるようなかたちを考えていくか。障害のない方々と全て同様なかたちで自立できるということではありません。

 けれども、やっぱりそういう方向を目指していくべきではないかと。今の1%ということで言えば、それを4%、5%に上げていくことによって、地域の中で障害者の方々が暮らしていける、そういう社会をつくっていくべきではないかという方向性を指していると思います。

 ですから、その自立ということが今の現状からそれぞれのかたにとって遠いということと、目指すべき方向としてこれからやるべきだということは、少し分けて考えなければいけないんじゃないかなと。

 また、それぞれの団体の補助金ということは、やはりそれぞれの経済状況の中でカットせざるを得ない、またそのことのご理解をいただきながらやっていかざるを得ないところもあるわけですから、そういう補助金のカットということがあるのは全て方向性と矛盾するということにはならないというふうに思います。

(池:高知新聞記者)
 地域支援企画員との関係ですが、そこはいかがですか。

(知事)
 これは、それぞれの地域によって地域支援企画員がこれまで果たしてきた仕事の方向性とかいろいろあるので一概には言えませんし、地域支援企画員に一定の評価をいただく中で、逆に「こういう面でも特化してやってほしい」ということが福祉とか支え合いの仕組みだけではなくていろんな方面で言われるわけです。

 そのお気持ちは大変ありがたいんですが、なかなか今の60人という枠で全てのそうした方向に応えていけるかどうかということは分かりません。

 結論から言いますと、今申し上げたような地域での自立、例えば高齢者・障害者で言えば地域福祉とか地域リハビリということをもっと徹底して取り組んでいこう、という流れが出てきています。

 そういうことに関心を持つ福祉保健所もございますので、これまでの縦割りで業務をするのではなくて地域というものを前提にした、新しい仕事の仕方をしていこうという福祉保健所において地域支援企画員と連動した取り組みということをぜひ来年度はやってみたいというふうに思っています。

産業振興センター
(片岡:高知新聞記者)
 産業政策の項目で、産業振興センターの機能充実といいますか、そういったところをおっしゃっていましたけれども。

 これはそもそも知事の発案で産業振興センターに機能を移すんだということが行われたと聞いていますけれども、どうしてそういうお考えに至ったかという基本的な考え方と、それから今までの産業政策のどういう点が駄目だったのか、というところをお伺いしたいですけれども。

(知事)
 駄目だとは一言も言っていません。それから、私が発案したというわけでもありません。県庁の中で私が「こうしたらどうか?」という提案、投げかけをしておりますけれども、これは民間の企業の方とか様々な方とお話をする中で「こうした方向を取り組んでみるべきではないか」ということを思いました。

 やっぱり産業振興センターというのは、あくまでも現場で企業と一緒になって産業振興ということを進めていく場です。それが、今のかたちは何かこの県庁の中が司令塔となって、現場が出先というようなかたちになっていはしないか。そうではなくて、実際に考え、動いていくというところが一体的になって、この産業振興には取り組んでいくべきではないかということを思いました。

 また、これまでの仕事の仕方、これは別に産業振興センターと商工労働部に限ったことではありませんけれども、やっぱり役所的な仕事で単年度ごとに考えて、当初の予算で(事業を)つくって組織もつくってということを繰り返してきております。

 先ほどご説明をしました(当初予算の中にあります)高知工科大学の研究開発と連動した、高知COEという組織ですけれども、こうしたものも、なぜ年度当初まで待ってなければいけないのかと。そういうものではないんではないかというふうに思います。

 産業振興センターという所に多くの人がいて、それを産業振興センターの理事長なり専務なり、幹部が自由に人を組み合わせていって、今この時期に必要だと思ったら、例えば去年の9月でも10月でもそういうときにもう立ち上げて具体的な動きをしていく、というようなものにならなければいけない。

 なかなかそれは、今の県庁の組織では自由にできない。そういうことを産業振興センターという現場で柔軟に動けるということのためにつくった組織でやっていくべきではないかというふうに考えました。

アウトソーシング
(北村:高知放送記者)
 アウトソーシングに関してですけれども。今回、アウトソーシング関係で73件の予算も付き、それから事務事業の見直しもありましたんですけれども。

 知事の言われる「20年4月、30%(削減)」という青写真に対してこの来年度の状況について、何人役減っているのかちょっと分かりませんけれども、どのようにお考えですか。

(知事)
 純粋なアウトソーシングかどうかということは別にして、20年4月に30%というのは、予想を超えて極めて現実的というか、実現可能な数字でした。

 本来もっと、50%というふうな数字を示してやっていけば、もっともっと大きく仕事の仕方なり組織のあり方が変わっていけたかなという、ある意味反省というか思いも持っています。

 30%の目標に対してどれだけ進んで、という人役の数までちょっと覚えてないんですけれども、それが20年4月までに実現できるかというのは、実現できます。

 ただ、単に数字的なものが実現できたからいいというものではなくて、先ほども申し上げたように、そういうふうに財政状況も厳しく、今後とも非常に厳しい現状が予測され、地方公務員法のいろんなものでしばられている官という組織の中で、人も仕事も囲い込んでいる、というのではなくて、もっとやっぱり外に出していくことによって、それは賃金をお互い少なくしていくという意味も含めてですけれども、ワークシェアリングをして、持続的に地域の中に、民間の中に雇用の場をつくっていくとか。

 それからNPOも含めてですけれども民間の方と一緒に仕事をする、また打ち合わせをする中で、民間のコスト意識だとかまた仕事の知恵というものを学んでいくということに大きな意味がありますので、人役という意味では十分実現できると思うんですけれども、そのことよりも、やっぱり質的に目指すべきものを達成していくことが今の大きな課題ではないか、というふうに思っています。

(北村:高知放送記者)
 アウトソーシングの部分でというと73件の予算が付いたということで、知事の言われた民間への雇用の拡大などの手始めとしては十分と?

(知事)
 いや、手始めですから十分ではありません。手始めはやっぱり手始めですので。ただ、それはいっぺんに全部がいくというわけではありませんから、当然手始めということで言えば部分的に進んでいくということになります。

 私が申し上げたのは、単に人役という数字的な面だけではなくて、やっぱり質的な意味でアウトソーシングの目指すもの、また民間との協働というものの目指すもの、そういう質がやっぱり高まっていかなければいけないんじゃないかなと。その意味ではこれからではないかというふうに思います。

来年度予算への評価
(釜本:時事通信記者)
 予算全体を振り返ってなんですけれども。厳しい財政状況で、なかなか厳しい予算編成になったかと思うんですが。今年度新規事業の数を数えてみましたら、2年連続で減っていると。

 知事は常々「金がなくても人の知恵と工夫で仕事をする」ということをおっしゃっておりましたが、お金がないからこういうふうにやり方を変えて知恵を使って、というよりは「金がないからこの事業を辞めてしまおう」という傾向が見られますが、なかなか県庁の仕事を減らしても新しい仕事・やり方を見つけるというふうな方向へなかなかいってないんではないか、というふうな危惧があるんですけれども。

 ずばり、今年度予算を振り返って、その点いかがお考えでしょうか。

(知事)
 それは、部分部分を見れば、カットばかりではないかという見方もできると思います。また、別の見方で言えば、先ほど出た地域での支え合いの仕組みとか、新しい取り組みはいっぱい出てきているね、という見方もできると思います。

 予算でなく仕事をしていこう、ということを言っていますので、予算でなく仕事をする面は予算には出てこないということになりますから、予算を見てどうかということで言えば、予算というのはあくまでもこの厳しい現状の中でどうやって来年度また再来年度以降を乗り越えていくかという努力、工夫が中心になったと思います。

 全てがシュリンク〔萎縮〕をして、削減の傾向でモチベーションも下がっているかというと決してそういうことは思いません。

 きのうも正庁ホールで「トライ&トライ」という(県庁の取り組み報告)会が開かれまして、私も出ましたけれども、過去2回に比べてもはるかに質的にも高まっていますし、そういうような気持ちを持って取り組んでいる職員というのは非常に増えてきていると思います。

 来られていた民間の方も「どうしてこういうような取り組みを県庁がやっていることが全然、自分たちにマスコミなどを通じて伝わってこないんだろう?」ということを言っておられました。

(池:高知新聞記者)
 事業の選別、選択と集中という面で、先ほどの質問の中にもありましたけども、全体的にシーリングをかけて補助金の削減とか、10%、20%減という感じでやっていますよね。その中で政策判断的に、知事の判断も含めて、あえて(シーリングを)はずして残したというもので、知事の印象に残っているものが何かあれば。

(知事)
 今年はないと思います。

(池:高知新聞記者)
 そこの面で、知恵と工夫というわけではないですけれども、シーリングを一律かけてやるということには、判断は必要ないわけですよね。そこの部分で、知恵と工夫というのが見えないという点もあるかと思うんですが。

(知事)
 しかし、やっぱり本当に厳しい現状だと思います。そのことを地域でいろいろ頑張ってくださっている方、これまで補助金というかたちで関係を持ってきた方々にも理解をしてもらいながら進んでいかなければいけないぐらい厳しい時だと思います。

 それぞれの部局ごとにいろんな議論をして「全く問題ないね」ということでのご理解ということでないにしても、やっぱりそういう現状というものを理解をしていただきながら、その中で「それじゃあ自分たちはどうやっていこうか?」という議論をそれぞれのいろんな団体組織でしていただいていると。

 逆にそういう積み重ねというものを無視して知事が「それじゃあこの団体の(補助金)カットはやめてこうしたら」と言うことは、私はかえってよくないということを思いました。政治判断ということで言えばね。

(池:高知新聞記者)
 去年の当初予算のときには知事査定の段階の判断で、部局があげてきた判断というので覆ったものがいくつかありましたが、今年はそういうのは特になかったんですか。

(知事)
 それは補助金のカットということではなくて、地域の支え合いの仕組みだとか官民の協働ということの理解が足りないのではないかと。

 私がこれまで十何年やってきたことは、やっぱり官民の協働をいかに進めていくか、民間の力、住民の皆さんの力というものをいかに活かしていくかということで、そういうものが活きてきているものを一律にバサッと切ってしまって、そうやって伸びてきた新しい力の芽を摘み取ってしまう、協働の芽を摘み取るということに対して、私は「これは小さな額であっても、自分がやっぱり取り組んできたことだから」ということを申し上げました。

 既成の団体という言い方は大変失礼だからいたしませんけれども、従来からある補助金を、まず一律見直していくということは、これまでの仕事の仕方を変えて、ということとはまた別のことだと思うんです。

 民生児童委員についても、小椋(茂昭・高知県民生委員児童委員協議会連合会)会長とも時々お会いをしてお話をしていますけれども、私はお話をしていけば十分理解をしていただけるし、また、どういう活動をしていただくかということは多分工夫をしてくださるということを思います。

 要は、それだけの厳しさということをすみずみまで皆さんにまず感じていただかなければいけない。その中で、どうしても住民の皆さん方と一緒にやっていくときに、ただ削るだけではいけないね、ということが出てきたときに、それはもう一度財政的な支援というものを見直すということはあると思います。

 やっぱりいろんな揺り動かしの中で、どこかを聖域的に切らずにやっていくということに私はならない。それぐらいの厳しいときだというふうに思うんです。

(中澤総務部長)
 ちょっと補足ですが。知事は「(部局が上げてきた判断が覆ったことは)ないのではないか」というふうにおっしゃいましたが、今少し考えておりましたら、部局から要求のないものが、知事と私どもの協議の中で、公立小・中学校に対する耐震の新しい制度、1億円、これはもともと制度がなかったものですが、つくろうということでつくりました。それから、南海地震の橋梁の耐震化などは、最終的に知事の判断でやろうということになりました。

県警の捜査費
(大山:高知新聞記者)
 警察関係で、現在、特別監査が最終段階にあるかと思います。県費の捜査報償費が今年も要求段階で昨年から300万円下がってはいるんですが、一応要求額どおり計上されておりますが、そのあたりのお考えについて教えていただきたいんですが。

(知事)
 特段の考えはありませんでした。
 特に問題はないと。議論もございませんでした。
 「額がどうなっているか?」ということは質問をしました。その内容については「きちんと見ましたね」ということをうちの担当のほうに申しました。そういう議論があっただけです。

(大山:高知新聞記者)
 県警とのやりとりは何かありましたか。

(知事)
 来年度の捜査費に関して県警とやりとりをしたことは、私はございませんし、県警のほうからご報告なり、考え方を伺ったということもないです。

(大山:高知新聞記者)
 先ほどの「問題はない」というのはどういう意味?

(知事)
 いや、問題ないというのは問題をどうのこうのしたということではなくて、なんら、特段の議論をしていませんという意味です。

(村上:高知新聞記者)
 特別監査の報告があると思うんですけれども、もしなんらかの、例えば不正があれば、執行停止なんかを考えたりとかっていうのはあるんでしょうか。

(知事)
 22日の議会冒頭にご報告をいただくということで、まだ内容なりニュアンスについても全く監査委員のほうから情報もお話も伺っていませんので、なんともそれは申し上げられません。

組織改正
(浜田:高知新聞記者)
 組織改正の話をよろしいでしょうか。
観光担当理事とかを今度新設されるということなんですけれども、これは将来的に、19年度の大規模な部局の見直しをする際に、自民党のほうからもよく言われている、例えば観光振興部のようなものをにらんだ対応とみてよろしいんでしょうか。

(知事)
 今の段階ではそう理解をしていただいて結構だと思います。

(浜田:高知新聞記者)
 将来的に部局のようなものがおそらく独立してできるであろうと。

(知事)
 これは観光のことに関してではないですが、一般組織論として、理事というかたちがちょっと増えすぎたと言うと、今理事をしていただいている方に失礼なんですけれども、理事職というスタッフ職のかたちになっています。

 また、地方自治法上の事情で「局」をつくってきたという経過がございますので、組織改編の際にはやっぱりより分かりやすく「部」というかたちで全体の組織をまとめていければどうかな、というふうに思っています。これは一般論です。その中に観光も含めて全てのものが含まれるということになります。

(浜田:高知新聞記者)
 将来的というか、19年度で?

(知事)
 19年度という意味です。

(記者)
 その場合、今回も多分観光コンベンション協会に「功名が辻」の関係で人を出すと思うんですが、コンベンション協会と県庁組織との役割分担というのはどうなりますか。

(知事)
 そこがまだきちんと整理しきれておりません。

 整理しきれれば、「功名が辻」もありますし、華フェスタもやろうという立ち上がりもありますので、18年度からもう少しまとまったかたちということを思いましたけれども、なかなか整理しきれませんでしたので、19年度にそこをきちんと整理をして、新たに立ち上げたいというふうに思っています。

(浜田:高知新聞記者)
 それと、今回の組織改正の中で、例えば道路関係の3課が、14年度までの道路課のように戻るというか、復活というか。河川も同じで、健康づくりの関係も一緒だと思うんですが、当時のなんらかの判断で細分化したと思うんですけれども、今回また3年で道路課に戻したりしたことについて、知事としてはどうお考えですか。

(知事)
 今も全く考え方に変わりはありませんけれども、当時はやっぱり仕事のフラット化ということもございます。責任を持って、早く仕事を進めていくということ。それから正直なところ、少ない課室の中では、若い職員がなかなかリーダー的な役割に立ちにくいと。そういう職員を育てていくという意味でもある程度の場をつくっていくということが必要だというふうに判断をいたしました。

 ただ、その中で、あらゆるものが生き物で動いていきますので、特に今お話のございました河川に関しては防災という面がどこにあるか分からないというふうな話からいろいろ議論が進んできた面もございますし、道路等に関しても企画と安全利用と管理と建設と、ということで「どこがどこまでを担当しているか分かりにくい」という声が民間の方々からも聞かれたということでございますので、今回改めていくということですが、3年前に考えたフラット化、仕事のスピードを速めていくということは、この3年間のいろんな仕事の進め方の中で身に付いてきたというか、考え方として浸透してきているのではないかと。そういうものはまた新しい組織体制になっても活かしていけるのではないかというふうに思っています。

(浜田:高知新聞記者)
 19年度の見直しの方法としては、またこの3年間の経験を活かした部署もあるのでそのまま残す部署もあるでしょうし、こういうふうな道路課とか河川課とかのようにまた戻していくような部署も出てくるという。

(知事)
 まだ19年度の課室のことまで含めて議論をしたことはございませんし、先ほど申し上げました理事とか部局の扱いということも、全庁的に議論をしたことではなくて、担当の幹部職員の方と議論をした中でそういうことを方向性として考えているという段階でございますので、今お話しのあった、課室に及ぶところをこれまでのフラット化だとかいう3年前に求めたものとの関係でどういうふうに組織としてまとめていくかということはまだ全く議論しておりません。

(北村:高知放送記者)
 各社、よろしいでしょうか。

(知事)
 ありがとうございました。
 

 


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