公開日 2007年12月08日
更新日 2014年03月16日
知事の定例記者会見(平成18年12月議会)
平成18年11月30日9時00分から(県庁二階 第二応接室)
(項目) ・議案の説明
・障害児・者の負担軽減措置
・部局の再編
・四国八十八カ所の世界遺産登録
・知事の多選
・森林環境税
・県内の経済状況
・県職員の不祥事
・駅前の複合施設
・女子大改革に係る話し合い
・会計検査院への申し入れ
議案の説明
(知事)
12月の県議会定例会を12月6日に召集をすることにいたしました。提案をいたします議案は、一般会計の補正予算など予算議案が7件、条例その他の議案が23件の、合わせて30件でございます。
このうち一般会計補正予算といたしましては、障害者自立支援法の実施に伴います利用者の方々の負担を軽減する支援を行うための経費のほかに、平成20年に予定をしています「土佐であい博」のオープニングと併せて開催いたします牧野植物園の開園50周年記念事業の計画策定に要する経費、さらには人員の確定に伴います人件費の削減などを盛り込んでいます。
また、条例議案といたしましては、就学前のお子さん方に幼稚、保育、つまり教育と保育を一体化したサービスを提供いたしますための認定こども園の設置に関しまして、その認定の基準などを定めます条例。
また、現在、県庁は、出納局を除きまして7部3局6理事の体制でございますが、これを11の部に再編をいたしますための関係の条例の一部を改正する条例案。
そして、室戸の広域公園に開設いたします屋根付きの多目的広場、また、西南大規模公園に開設いたします多目的棟の利用料金に関わります関係の条例の一部を改正する条例案などを提案いたします。
そして、その他議案といたしまして、高知県が当事者になります訴えの提起に関する議案がございます。
以上でございます。
(服部:毎日新聞記者)
質問ある方、どうぞ。
障害児・者の負担軽減措置
(浜田:高知新聞記者)
障害者自立支援の関係なんですけれども。これは多分9月定例会で全会一致で決議されたことを受けての判断だと思いますけれども。財政も厳しい中で、ほかの県もまだそこまで踏み切っていないところも多いと思うんですけれども、独自の軽減策を打ち出すことに至った理由をちょっとお聞かせください。
(知事)
はい。今回の支援策には大きく分けて2つの意味があると思っています。1つは、障害者、在宅のサービスを利用されている障害者の方に利用料の1割負担という制度が導入されたわけですけれども。その制度そのものは基本的に間違った考え方ではないと、県としては考えています。
ただ、急激にそういう制度が導入されたことによって、利用者の間に負担感の増ということもございますし、また、いろいろ施設の皆さま方の感じる問題点というのもございます。つまり、こちらは激変緩和という意味合いで、向こう3年間、支援の経費を組んでいこうという考え方でございます。
もう1つ、この障害者自立支援法の実施と併せまして児童福祉法も改正されて、障害児施設にいらっしゃる児童、障害児のお子さんに対しても1割の負担を求めるという形になりました。こちらは、社会保障制度の在り方として、高知県としては誤った国の判断ではないかということを思います。
ですから、本来これはあくまでも国が制度をもう一度元に戻すという改正の作業を行うべきであって、そのために何か地方の自治体が支援をするという筋のものではないというふうに考えます。
けれども、現実に本県の場合、今、73人のお子さまとその家庭が対象になるわけですけれども、障害児を抱える若い世代のご家庭ということになります。
経済的な負担も大変大きいということで、このまま国がまた見直しをということを言っております3年間を見過ごすということにはならないというふうに判断をいたしまして、支援をするということにいたしました。
そのように、趣旨としては違いがございます。ただ、いずれも障害者自立支援法とそれに伴います児童福祉法の改正によって、急激な負担が生じていると。
そのことによる社会的な問題というものが大きいということを考えまして、財政的に大変厳しい中ではございますけれども、障害者、お年寄り、子どもの福祉ということを県政の重要施策の1つの柱にも掲げておりますので、思い切ってこうした支援策に踏み切りました。
(浜田:高知新聞記者)
その後者のほうの、障害児施設の入所者のほうの負担軽減策ですけれども。これは多い世帯では、もう既に10月1日から3万円以上もアップになっている世帯もあると聞いてるんですが、そこへの遡及(そきゅう)という考え方はないんでしょうか。
(知事)
遡及というのは、議論はしておりません。
(浜田:高知新聞記者)
先ほど、「障害児のほうの入所者のことは、誤った国の判断ではないか」ということだったんですけれども。先日も厚生労働省の事務次官のかたに、こういうことも踏まえて実態を訴えに行ったと思うんですけれども。国の制度改正に向けて感触というか、次官の方の受け止め方とかは、どういったことだったんでしょうか。
(知事)
厚生労働次官も、必ずしもきちんと整合性が取れて、自信を持って制度設計をしたものとは言えないと。だから、地方に大変いろんな意味で、ご迷惑を掛けているということは十分認識をしております、という趣旨のことを、そういうお言葉ではないですけれど言われました。
つまり、制度改正に向けて当然一定の考え方を持っておられるというふうに、自分は受け止めています。これは、そういう明言を得たわけではなくて、推測ですけれども、障害児施設といっても、現実には大人というか、18歳を超える方々が本県でも80%余りだと思います。
その場合に、1割負担を導入する障害者の方々と平仄(ひょうそく)を合わす〔つじつまを合わせる〕という趣旨で児童福祉法を併せて、かなり性急に改正したということが考えられますが。
その際に、障害児の方が少人数だということで、なかなか声が起こりにくいという現状ではなかろうかなというふうに感じています。
(齋藤:高知さんさんテレビ記者)
児童福祉施設整備助成事業費のことで、幡多で助成する施設の中に児童家庭支援センターを整備するということですが、これは何か出張知事室でそういうような要望があったんでしょうか。
(知事)
そうではございません。予算としては今回の予算に計上を初めてするものですけれども、その要望はもうずっと前から県として受けとめて、検討してきたものでございます。
たまたまこの時期に、出張知事室が向こうで開かれましたので、その際に、対象になります若草園にも伺って、園長さんからも直々にお話の内容は伺いました。
部局の再編
(竹内:高知新聞記者)
部設置条例なんですけれども。自民党とか多数会派の議員さんの中には、森林海洋部を一次産業振興の観点から、分けたらどうかと。それぞれ独立した部にすべきではないかという意見もこの前の意見交換会で出されたようですが。条例案は最初の案のまま出すということですが、これについてどういうふうに。
(知事)
先日、自由民主党をはじめ各会派と協議をさせていただきましたときにも、私が直接対応させていただいた3つの会派からは、すべて森林海洋部に対する問題意識というものをお伺いしました。それを受けて、「もう一度、県庁内でも協議をしてから提案いたします」ということを申し上げました。
協議をいたしましたが、私としては、森林海洋部というのは、ただ単に部の数を減らすために合わせたということよりも、これまでもずっとそうですけれども、やっぱり一次産業に関わる職員の方々もひとつの城の中で仕事をしているために、なかなか外に開けていかないというところがあったと思います。
今は随分変わってきて、それぞれの技術の職員の方もかなり外を向いて、しかも、従来からの生産の支援だけではなくて、流通だとか販売ということに関心を持って取り組んでいただくようになっていますが。
そういう意識というものをさらに広く技術の職員も含めて共通のものにしていくために、森林、海洋というような、フィールドは違いますけれども、同じ一次産業を振興していくという意味で、同じ意識で取り組んでいく部署がお互い刺激をし合うことで、職員の方々もさらに変わって、それが実際に海で、また山で仕事をしていらっしゃる方々にも波及効果としていい効果をもたらすのではないかなと私は思いますし、そういうことを、最初から今のような形にしますということで何も議論しないで終わるのではなくて、そういうことを県議会での議論を通じて県民の皆さんにも考えていただいて、最終的な形を取るというふうにいけばいいのではないかと思って、このまま提案をすることにいたしました。
四国八十八カ所の世界遺産登録
(畑本:読売新聞記者)
きょう、文化庁のほうに四国四県共通で、「四国八十八カ所霊場と遍路道」を世界遺産にという要望を提出すると思うんですが。
四国八十八カ所の世界遺産登録についての知事のお考えというのはどういうものなのでしょうか。賛成である、反対である…。賛成だと思うのですが、どのような意味合いがあるというふうに。
(知事)
賛成、反対ということで言えば、賛成です。賛成には2通りの意味があるというか、思いとしては2段階の意味がありますけれども。
1つは、本当にその遺産登録がされれば大変アピール効果もございますし、観光などで売っていくことに非常に役に立つということがあります。ただ、現実の世界遺産登録はまだまだ、かなり難しい課題が多いと思っています。
だから、「難しいね」と言って終わってしまうのではなくて、そういう難しい課題があるけれども、四国のそういう思いを持った人たちが一緒になって、いろんな取り組みをしていく。で、取り組みをする中では、遍路道の調査に始まって、それをどう活かしていくか。
しかも、単に道という目に見える有形文化財だけではなくて、「おもてなし」というふうな無形の文化財、「お接待の文化」というものをどうやって評価をしていくというようなことをみんなで考えて、それをシンポジウムなり何なりでアピールしていくという、その過程ですね。
プロセスで地域の人たちに養われていく意識というのがあるでしょうし、そのまたプロセスで外に向けて、四国の島外に向けていろいろPRをしていけることがあるんじゃないか。
つまり、最終的にもし世界遺産にならなかったとしても、そういうことを四国四県の関係者が一緒になって取り組んでいくという、その過程に(もう一つの)大きな意味があるというふうに思いますので。ぜひ、高知県も一緒になってチャレンジをしていきたいというふうに思っています。
(浜田:高知新聞記者)
議会での議論をちょっと忘れたんですけれども、高知県の遍路道を確定させる取り組みが他の3県よりもちょっと遅れていて、高知県ももうちょっと力を入れてやらなくちゃいけないと思うんですが。
その辺りでお金もちょっと伴ってくるかと思うんですが、確定させるということで、知事としてもやっぱりそれに力を入れていきたいということですね。
(知事)
ええ。そのための予算も含めて、次の予算に向けて協議していきたいというふうに思っています。
知事の多選
(竹内:高知新聞記者)
自民党が、政令指定都市の市長あるいは知事の推薦を4選以上は推薦しないと。いわゆる、今、言われている首長の多選ということに踏み込んで来ているんですけれども。
知事は4期、5選という言い方もできますが、そういう、自民党のそういうので言えば、多選の部類に入ると思うんですけども。そういう自民党の法制化の動きについて、どのようなお考えをお持ちですか。
(知事)
前々から言っていることなんですが、私は首長は政党の推薦を受けるべきではないというふうに考えています。
アメリカの州のような形で知事というのが完全に分権化していて、税のことから教育のことから含めて、相当の権限を(知事に)振れるということであれば、2大政党の中で政党がいろんな違いということを明確にしながら地域の選挙民に訴えて知事を選んでいくということに、民主主義的な意味があると思いますけども。
私は今の国のかたち、分権と言いながら、相変わらず中央集権で国が地方を支配するという構図が変わらない中で、国を治めている政党の推薦をもらうことで、また、推薦をすることで、ある意味系列化をしていくということは、今のこの地方分権に動こうとしている、まだその過程で、非常にもだえているような地方にとって、私は決していいことではないというふうに思いますので。
そもそも政党の推薦を受けるべきではないと考えますから。政党の側が推薦をしないと言われようとも、それはあまり私自身の政治スタンスに関わることではございません。
(竹内:高知新聞記者)
それに絡んでなんですけれども。岩手の増田知事。あるいは先日、橋本知事と並んで5選、最長の島根の澄田知事が引退を表明されました。
ご自身が全国で一番再選されている知事ということになりますが、一緒にやってきた同期の知事がどんどん去っていくことについてはどうですか。
(知事)
それは、それぞれの方のお考えですし。増田さんはお若いですけれども、私は前から何期務めるかということよりも、この仕事はやっぱり、年齢が大きく関わるというふうに、自分は思います。
多選の弊害ということを言われますけれども、具体的な意味で多選の弊害というものを「これこれ、あります」と言って、挙げるほどの実感をしたことが正直ありませんので。
そういう意味からすれば、多選ということよりも、本当に気力を持って、また体力も持って仕事をしていけるかどうかということが大切だというふうに思いますから。
年齢でみて59歳、60歳という年齢は、まだまだそういう意味では、自分自身が、課題だと思う気力とか体力という点では、特段問題を感じません。
それぞれの地域というか、都道府県の事情と、それぞれの選んでいただいている知事さんの思いというものがありますから、それはどういう判断をされるかということに、私から、口を差し挟むことでもございません。
(竹内:高知新聞記者)
年齢的な課題も感じていないということなんですが。改選期まで、もう1年ぐらいになりましたけれども、まだまだ、意欲的にその先も進んでいくという意味……
(知事)
それは絶えず、どの時期でも。その先うんぬんということは別にして、いつも意欲的に仕事をしていくことが、選んでいただいた者の義務だと思いますので。絶えず意欲的に。
いろいろ意欲をそがれるような出来事もいっぱいありますけれども、そがれないように、その意味では頑張っていきたいと思っています。
(浜田:高知新聞記者)
多選の弊害の1つに、多選ぎみの首長のかたからよく聞くんですけれど。職員が2年から3年のスパンで交代する中で自分が政策に一番詳しくなって、下からのボトムアップ、職員からのいろんな政策に関する意見ができなくなるんじゃないかということも聞いたこともあるんですけれども。
もう15年やって一番詳しいから、「自分の前では職員がちょっと委縮してしまっているな」とか、そういうことは感じたことはないでしょうか。
(知事)
鈍いのかもしれませんけれども、そういうことはあんまり感じたことはありません。ほかの都道府県がどうか分かりませんけれども、知事と職員との間合いっていうのも風通しはいいほうだと思うんですよね。そもそも風通しの悪いところだと、そういうことも起こると思いますけれども。
割とそれは、課長であれ、班長さんであれ、知事室に入ってきて意見交換、協議ができるという風土の県ですし。そうした中で、確かに私のほうがある問題について長くかかわっているということはありますけれども。
ただ、それも、それぞれ何年か担当しておられれば、細部にわたっては担当者のほうがずっと物事は知っているので。知事のほうが長くいるからという問題点が起きたっていうことは感じませんね。
例えば一番長くかかわってきているエコサイクルセンターなどに関しても、歴史を振り返れば、そもそもどういう提案があって、どういうことで日高村になりうんぬん、というのは私が一番知っていたということになろうと思いますけれども、やはり現状で、来年の早い時期から始めていこうという準備をし、そこにかかわっているのは、今、担当している人が一番詳しいし、判断力を持って説明をしてくれるので、私のほうが今の担当者の期間よりも長くいるから何か問題が起きるというようなことは、個別の事例でもあんまり考えたことはありません。
それから、いろいろ新しい提案とか、新しい課題が出てくるわけですよね。いい悪いは別にして。駅周辺の整備の問題もそうですし。いろいろ新しい課題が、次から次へと出てくるわけで。
大きな問題というよりも、むしろそういう新しい課題であって、ずっと5年、10年、同じようなことが続いているっていうのは、昔はそういう県の仕事というのはあったかもしれませんけれど、今の時代にはあまりないんじゃないかなということも思います。
(板倉:朝日新聞記者)
先ほどの自民党の推薦に関してお聞きしたいんですけど。推薦を受けられないことは別として、世論は自民党を中心に多選批判っていうのが議論として、今、あると思うんですけども。その批判に対しての知事のお考えはいかがでしょう。
(知事)
私は、多選批判ってのは、さっきも言いましたように、私が逆の立場だったら当然そうしますけれども、政党の系列下に知事を置いて、地方分権の流れというのをある程度コントロールしていきたいとか、それから、国の政治を通じての地方とのかかわりをつくっていきたいというふうに、自分が政党の幹部であれば思いますので。そこを何か少し、独立して動きだす人をなるべくけん制しようという意味で、多選をしませんよと。
あまり長くいて、発言力を持ったりということがないようにしたいねということは、いろんな事象を1つのきっかけとして、いろんな事件が起きましたとか、そういうことを機会に多選の批判という声を起こしてそういう枠組みをつくっていこうとされることは、十分理解ができます。私も逆の立場だったら、そういうふうにするんではないかなと。
森林環境税
(八代:NHK記者)
森林環境税の話なんですけれども。平成15年から始まって今年4年目ということで、これからシンポジウムなんかも開かれて、県民の意見というのを聞こうという形になっているかと思うんですが。
高知県が最初ということで、全国的にも広がりを見せています。県内でも間伐ですとか、住民意識を高めるという動きもだんだん出てきていると思うんですけれども。
その辺りの効果ですとか、また、4年目を迎えての課題ですね。また、再来年度から2期目をやるのかどうかっていうところもあるかと思うんですが。その辺りについて、どのようにお考えですか。
(知事)
効果はいろんな見方ができると思いますが。
それは、間伐で言えば強度間伐という50%の間伐を、この予算を使って水源地の周辺などでやっていこうというのも、面積は覚えていませんけれども、かなりの広がりをみせました。
それから、ボランティア団体の育成というのも、この環境税が始まる前は3団体でしたけれども、数カ月前に20団体という数字もお聞きしましたし、かなりの勢いでボランティアのグループなども伸びてきて。
そういうボランティア団体が地域に根差して活動していることが、企業との協働の森などでの地域との交流ということにもつながっていくという広がり、波及があると思います。
広がり、波及ということで言えば、今、お話がありましたように、全国に広がっていって。単に高知の中、四国の中だけで、多くの方に森林に関心を持っていただくというだけではなくて、全国的にそういう流れが出てきて。
いきなりそれが環境税だとか排出権取引に行かないとしても、そういうことをみんなで少し協議をするとか考えるという土台にはつながってきているというふうに思います。
課題というのは、やはり、使い方をどうしていくかっていうことで、まだいろんなご議論がある。それから、一方では、「500円では安いんじゃないか」と。「もう少しボリュームがあったほうがいいんじゃないか」ということをおっしゃる方もいます。
また、使い方というものも、もっと特化していくべきではないかというご意見もあって。そういうことの整理が課題なのかなというふうに思います。
最後の、引き続いて実施をするかどうかということに関しては、私自身はぜひ実施をさせていただければなということを思いますし、森林局としてもそういう思いを持って取り組んでいると思います。
ただ、そこは、関係者また県民の皆さん方のご意見を聞きながら決めることですから、今の段階で県はこうだというふうなことではありませんけれども。気持ちとしては、そういう気持ちを持っています。
県内の経済状況
(原:日本経済新聞記者)
景況感についてなんですけれども。有効求人倍率がずっと低迷を続けていた上に、ここ数カ月、少しずつじりじりと下がっていて。
それからまた、建設会社等で非常に倒産が増えていますし、高知スーパーのようなケースもあります。県内の経済状況をどう見ていらっしゃるのかというのと、県として何か独自に短期的な対策を打つような可能性というのはあるのかどうかというのを、すみませんが。
(知事)
景況ということで言えば、今、お話のあった倒産も、建設業で、特にここのところ西のほうでかなりの零細企業の倒産が目立ってきておりますし。東のほうでもそういう数字が出てきています。これは産業構造ということで言えば、ある程度乗り越えなければいけないことだと思います。
少し言葉に語弊があるかもしれませんけれども、年に何回か台風災害が起きて、それによって本来の、日常の仕事だけであればなかなか体力的にもたなかった企業がもってきたという現状も、ずっと高知県に続いてきたと思いますけれども。
そうしたことをある程度乗り越えて次のステップに行かない限り、なかなかこの現状からは抜けきれないということを思います。
ただ、今、申し上げたような傾向が続いてきておりますので、有効求人倍率が今以上に悪くなるということがありうることも私は覚悟しながら、県政に取り組まなければいけないという思いです。
その中で、「何か県として」と言ってもカンフル剤があるわけではありません。やはり地道にいろんな企業誘致だとか、雇用の場を起こすということを取り組んでいかなければいけませんけれども。
併せて、国の施策でも、雇用をした場合に一定の支援が出るというふうな施策が幾つかございます。そういうものが十分、県内の企業に周知をされているかというと、そうではないということも考えられますので。少し、そういうチームというか体制をつくって。
それは県だけではなくて、国の機関も一緒になっていただければ呼び掛けて、一緒になって各企業に「こういうような制度もあるから、ぜひそれを利用して、雇用を少しでも増やしていただきたい」ということの呼び掛けを、緊急の対策としては取り組んでみたいと思っています。
県職員の不祥事
(畑本:読売新聞記者)
ここのところ、万引と痴漢だったと思うんですが、県職員が書類送検されている事例が起こっています。このことに関する対策、対応と言いましょうか、お考えでしょうか。
(知事)
結論的に言って、何か対策を取るという明確なものがございません。というのは、それぞれに心の病に近いような、いろんな心理的なものがあったと思いますので。何か組織的な仕事の仕方の中で起きた問題というのと違って、対策がしにくいという面があります。
ただ、ちょっと事務的にそういう話をしていませんが、私、やっぱりそれぞれの職員がどういう状況だったかっていうことを、ご家族なり何なり、お話をしてくださるかどうか分かりませんけれども、そういうお話を少し聞いて、何か今後の対策というものが立てられるかどうかということは、自信はないですけれども、立てられるかどうかという情報収集は、してみたらいいなということを思うんですね。
というのは、ここまでは、まず問題を起こした職員を処分していかなければいけないと。そのための情報というのを、捜査当局なり、被害者なりにお話を伺うということで処分うんぬんの書類は全部そろうわけですから、そこで終わってしまうわけですけれども。
それだけだと、どれだけの重さで処分するかということを考えるための資料で終わってしまいますので。今後に何か役立つような、どこにその職員個人の問題があったか。再発防止ということにつながるような幅広い情報の収集は、もう少ししたらいいなとは思っておりますので。
きょうにでも(担当部署に)言おうかなと思っておりましたけれども、ご質問があったので(ここでお答えしました)。そういうふうに思っていますが、まだ具体的なものはありません。
駅前の複合施設
(岡林知永:高知新聞記者)
駅前の複合施設なんですけれども、この前、議会に基本構想案が出されて。その中で、事業手法のことについても話があり、従来方式とPFI〔プライベート・ファイナンス・イニシアチブ=民間の資金や経営ノウハウ、技術力を利用して公共施設などの建設、維持管理・運営などを行う手法〕というものを現実的と考えられて。
その資料の中身を見てみると、かなりPFIのほうに重きを置かれているのかなというふうに考えたんですけれども。この整備手法としては、知事としては、PFIと従来方式のどちらを、とか考えをちょっとお聞かせ願いたいですが。
(知事)
PFIのほうに重きを置いてということは、全くございません。あそこにも書いてあったと思いますが、例えば土地信託はどうかというふうなご提案もいただきましたけれども、いろいろ制度上のことで難しいというようなことは明確にしておりますけれども。
PFIか従来型の公共事業としての発注かということは、これはべつにあまり有意差を付けて書いてあるというものではございません。
今の現状で計算をしていけば、大体こういう違いになりますということであって。それは、これから何らかの形で、中身は別にしても、建物を建ててということを県の事業として進めていく具体的なときに、もう少し詰めて議論していけばいいことではないかと。
まずは、ああやってせっかくできた土地を、まちづくり全体を考えるなかでどういうふうに使っていきますかと。もちろん、財政的にどれぐらい負担が掛かるかというのは、非常に重要な問題ですので、判断のときには、同じバランスで考えなければいけないことだと思います。
けれども、まずはどういう利用の仕方をということをもう少し詰めていかないと、それ以上詰まった比較ができませんので、という段階でしょう。
(岡林知永:高知新聞記者)
今、県内6カ所、今週土曜日には県庁でもあります意見交換会ですけれども。ちょっと住民の参加という点で言うと、関心が低いのかなという感じなんですけれども。知事として、何か、報告なんか聞かれてますでしょうか。
(知事)
関心が低いという報告は聞いておりますし、出て来られる方は、大体いろんな問題点を感じていらっしゃる方なので、今度、土曜日に知事が出ても、厳しい意見が次々飛びますよと。覚悟して出てくださいというふうに言われております。
女子大改革に係る話し合い
(齋藤:高知さんさんテレビ記者)
女子大との問題で、関係者の方から要望書が出ていると思います。それは、義務教育関係の方が要望書を提出したときに、提出された方が県と女子大との間に食い違いを感じたと。
今、県と女子大の間でお話し合いを進めているときと思うんですが、今後、そういうような教育関係者の方ともお話し合いをするような機会を設けたいと思っていらっしゃるのかどうか。その辺りを聞かせてください。
(知事)
それは特段、思っておりません。なぜ思ってないかと言えば、お見えになった地教連〔高知県市町村教育委員会連合会〕の(会長の)西森(善郎)先生も、また、高校校長会〔高知県高等学校長協会〕の(会長の)宮脇(弘)先生も、いずれもほぼ県と同じ考え方で「早く進めてくださいね」というご要望ですので。
むしろ女子大が、女子大と意見の違う、そういう義務教育なり高校教育なりの代表の方々と意見交換をされるというのならば、意味のあることだと思いますけれども。
私どもは、ほぼ同じ考え方を、義務教育ならびに高校教育の関係者から頂いたということでございますので。何か、その皆さん方との間に意見の違いがあれば議論する必要がありますけれども、全くございませんので。そういう意味での意見とか、協議をする必要はないというふうに考えます。
会計検査院への申し入れ
(板倉:朝日新聞記者)
会計検査院の現地調査のときの物品に関する申し入れというか、是正をお願いしている件ですが。そういう意見は、どういう流れから出てきたものか。あと、知事のお考えをお聞きしたいんですが。
(知事)
もう、相当前のことですけれども。きょうもここにおります特別職知事秘書の今城が「庁内で仕事上問題はないか」ということを聞いている中で、「会計検査院が、それこそ長靴から何から、そういうものを県でそろえて用意しろというように指示をして、県費でそろえているというのはおかしいじゃないか」という声を職員から聞いて、「やはり国に対して是正を求めるべきではないか」という提案をもらいました。何カ月前か、1年以上前か、ちょっと覚えておりませんけれども。
そういうことを踏まえて、自分自身もおかしいと思いますので、副知事とも協議をし、その是正を事務的に少し話をしてくださいねということを言って、副知事が担当の部局と話をして、今回のような要請に至ったということでございます。
(浜田:高知新聞記者)
もちろん、それは、(会計検査院に)手心を加えてもらいたいというわけじゃなくって、ねちねちされたら嫌だというのもあると思うんですが。こういう国と地方の関係みたいなもの、地方の弱い立場で国に言われたら、渋々でもそろえなくちゃいけないという、こういう関係というのは、ほかにもいろいろあるんじゃないかなと思います。
(知事)
ありそうな気がしますね。
(浜田:高知新聞記者)
そういうのも、まあ、財政が窮乏しているからこういう経費を出すのが嫌だということではないと思うんですが、当然正すべき問題だと思うんですけれども。そういうのを1回、点検するというのも必要じゃないかなと思うんですけれど。
(知事)
はい。ぜひやってみたいと思います。前々から言われていますが、調査ものですよね。それは、県も市町村に流していますので、自ら自戒しなければいけないこともあるんですけれども。
それこそ「国会でこういう質問が出るから、こういう資料を出してくれ」というたぐいだとか、「いろんな統計が足りないので調査をしてくれ」という、法定でも何でもないものをいろいろ次々と要求されるという事例が非常にたくさんあると思います。
私は前から、そういうものを実費請求なり何なり、きちっとすべきじゃないかということを言っておりますが、なかなかそういう形では動いておりませんので。 また、今回のことをきっかけに、そういうこともきちっと洗い出していければというふうに思います。
(服部:毎日新聞記者)
質問がなければ、これで終わります。ありがとうございました。
(知事)
ありがとうございました。