公開日 2007年12月08日
更新日 2014年03月16日
知事の定例記者会見
平成15年10月23日16時20分から(県庁二階第二応接室)
(項目)
・知事選挙を控えての心境
・百条委員会設置の受け止め
・衆議院選挙におけるマニフェスト
・経済再生のための施策
・行政の透明性への取り組み
・県民も含めた働きかけの公表
・県庁職員と情報公開や働きかけの公表
・道州制の議論
・松尾前高知市長への評価
・日高村のエコサイクルセンターに対する住民投票
・吉良副知事への評価
・県議会との関係
・入札制度の見直し
・高知市長選挙に対するスタンス
・退職者謝恩会の見直し
(知事選挙を控えての心境)
(釜本:時事通信社記者)
それでは定例会見を始めさせていただきます。
任期中の定例会見もおそらくこれで最後になるかと思いますけれども、まずは、お疲れ様でした。
3期目も終わりに近づき、対立候補も出るなど、知事選も近づいて来ましたけれども、これまでを振り返っての思いですとか、今後の事も含め、現在のご心境について伺いたいと思います。
(知事)
ええ、大変厳しい選挙戦ではございますけれども、自分は現職として知事の仕事を最優先で毎日過ごしておりますので、日々、通常の時と変わらない仕事をしております。
今回の選挙戦に向けましても、自分としては12年の自分の知事としての仕事の蓄積がありますので、仕事に対する私の姿勢や、また、その仕事の内容などを県民の皆さんに見ていただくということを第一に進めていきたいということを思います。
1期目、2期目、3期目、振り替えればそれぞれにいろんな思いはございますけれども、3期やってきたことで、今回も約束事の中で申し上げてますけれども、やっぱり、県庁を本当の意味で県民に向き合う組織に変えていくという点では、その基礎というか、そういう方向へ大きく移れるだけの土台ができたと思っていますので、是非そうした、これまでとはまたひと味違った県庁の組織、県の職員の仕事ぶりになるように頑張っていきたいということを思っております。
また、この3期の間、バブル経済の崩壊後の経済の厳しい時期とも重なりました。そういう中で、工業品出荷額が3年連続全国最下位になるというように、自分としても非常に辛いというか、残念な数字もございます。
知事になってしばらくして、宮城の浅野さんが知事として出て来られた時に、あるテレビの番組で一緒に出て、両県のいろんな数字を並べて、本県は全国40何位っていうのがズラズラッと並んで、「大変ですね」と言われた時に、「まあ、ほとんど最下位が並べば、これ以上落ちることはないから安心だ」というふうな冗談を飛ばしたんですが、まあそれ以下に落ちたということは、非常に私としては辛い思いです。
ただ、それだけに、これまで工科大学等を中心にしたいろんな取り組みでまいてきた種が、景気の低迷と重なって、なかなか上手くまだ刈り取れてはおりませんけれども、是非、次の4期目があるのであれば、そういう面でも目に見えた形を見せていきたいなというふうに思います。
やはり、経済の方向と、地域の暮らしを守るというか、発展をさせるということが、私達の一番の仕事だと思いますので、そういうことに、なかなか特効薬はありませんけれども、これまでの取り組みと、そして地道な努力を活かして、なんとか少しでも経済力が回復するように頑張っていきたいなという思いでございます。
(百条委員会設置の受け止め)
(釜本:時事通信社記者)
次に、先ほど「厳しい戦い」という話もありましたけれども、その一つの要因として、県議会に「百条委員会」ができましたけれども、今回の県議会で指摘された問題(の影響)がないと言えないと思います。選挙戦を含めまして影響がないとは言えないと思いますが、そういうことも含めまして、今回の百条委の設置をどのように受け止めているのか、これについてお伺いします。
(知事)
百条委の設置は議会で判断をされて決められたことですし、今後、議会がどういうふうに百条委を運営をされていくかということは、私には分からない面がありますから、百条委が設置されたこと、またその運営そのものが選挙に与える影響があるかないかということは、自分自身には分かりません。
また、議会で取り上げられた問題が、当然、選挙に影響を与えることは間違いないと思いますし、有権者の皆さん方のいろんな思いに様々なものを投げ掛けたことは間違いないと思いますけれども、また、それに対しての自分の思い…、思いというのは、これも複雑ないろんな思いが重なりますが、そういうことをお話をしていくことで、そういう影響もプラスにもマイナスにもしていけるのではないかなと、自分は思っています。
(衆議院選挙におけるマニフェスト)
(釜本:時事通信社記者)
最後になりますが、今度は衆議院選挙の方も近づいてきました。今回の衆議院選は、一つ「マニフェスト選挙」という言われ方もしてますが、自民党・民主党、各党が政策を出して戦っていると思います。
で、道路ですとか、国庫補助金の問題ですとか、地方に影響を与える政策もいくつかあるかと思うんですけれども、知事としての立場、もしくは高知県という地方の立場から見て、どのように受け止めてらっしゃるのかお伺いします。
(知事)
本来、高知県の知事という立場、また地方の立場で、政党のマニフェストをきちんと比較をして、「高知県のためにどうか?」「地方のためにどうか?」という判断もして、そういう意思表明をしていくということは、政治家として必要なことだと思います。
けれども、なかなか、今の自分の置かれた状況の中で、詳しくマニフェストを読み比べてみたり、そこにある、地方に与える影響や問題点を、きちんと整理することができておりませんので、新聞の記事またはテレビの番組で見る、高速道路の無料化と道路公団の民営化との問題とか、そういう場面、場面のことしか印象に残っておりませんので、なかなか全体として、今ご質問があったように、地方への影響というものをきちんと、今回のマニフェストを基準にして申し上げるだけの勉強をしておりません。
(釜本:時事通信社記者)
幹事社からは以上です。あと各社ご自由にお願いいたします。
(経済再生のための施策)
(鈴木:日本経済新聞社記者)
経済再生のためにですね、まあ、これからだと思うんですけれども、「再び当選した場合は具体的にこういう事をやってみたい」あるいは継続事業でもいいんですけど、「新たにこういうところを拡大していきたい」とか、そういうものはありますか?
(知事)
先ほども言いましたように、特効薬というものは、これだけの経済状況の中で、なかなかあり得ないだろうと思います。県としては、昨年、庁内のプロジェクトチームを作って、そこで一応の産業振興の方向というものも出してですね、その提言を受けて、(流通)団地の販売の仕方を変えていくとか、様々な取り組みをし、少しずつではありますが、それが成果をあげている事もございます。
また、大きなものでは、今日も関係の企業の方がお見えになりましたけれども、地域結集型の共同研究の事業で、次世代のディスプレイの研究なども進めております。
これも、この企業の方は、もう(平成)17年、18年にその生産体制に入れるぐらいの取り組みをしていきたいということを言われておりまして、そういう、工科大学などを中心に取り組んできた技術の成果というのも、まあ、間もなく出て来る…目に見えるものはあるのではないかと思っています。
もっと初歩的な取り組みで言えば、いろんなお約束の中にも「県の信用力」ということを挙げましたけれども、私自身にまだセールスをする力があるのだとすれば、これまでも、例えば外国に企業と一緒に行って、大統領を含め、いろんな外国の要人に紹介をし、お話を繋いだということもございますし、また、県内の企業を大手の企業に繋いだ、直接行って繋いだということもいくつか例がございます。
それぞれに成果を見たものもありますので、自分自身を使ってもらって、また自分自身が直接出て行って、企業と相手のお取引先との間を繋いでいくというようなことも積極的にやってみたいと思っています。
(行政の透明性への取り組み)
(岡林:高知新聞社記者)
先ほどちょっと出てましたが、この12年間を振り返ってですね、「県庁を県民と向き合う組織に変えていく、それに移れるぐらいの土台という部分が一定できた」というお話があったと思うんですが、その流れから見た時にですね、
例えば「透明性を高める」という一連の取り組みという部分が、かなり様々な状況がある中で取り組んでこられたという部分があろうかと思うんですけれど、この12年間を振り返ってですね、いわゆるその、働きかけの公表に至るまでの流れの中で様々な思いがあったという部分も含めて、振り返ってみていかがなんでしょう?
(知事)
そうですね。直接今の透明性に焦点がいきませんけれども、僕が知事になってすぐ直面をした問題は職員団体との関係のことでした。
これも県民のみなさんにはなかなか見えにくいことですけれども、県庁の仕事のあり方としていかがなものかというようなことが、人事諮問制度ですとかヤミ専従のこととか、様々ございましたので、そういう改善に取り組んできたというのも、広い意味で透明性というか、仕事の歪みをなくしていく第一歩ではなかったかと思っています。
また、モード・アバンセという、情報公開にも絡んで、非常に反省をしなければいけない事件もございました。が、こういうことも、特定の個人・団体の圧力に負けない行政にしていくという趣旨から、念書の公開、覚書の公開ということに繋がっていったと思いますし、また、そのことを基にした県庁内の改革の議論のなか、それは情報公開の流れとも期を一にしていますが、そういう中で「働きかけの公開」ということも実現をすることができました。
これに対する様々なご意見、また軋轢というか、摩擦があることも重々承知をしていますけれども、とにかく、県民の皆さんに対して隠し事がない、また、誰かが何か見えないところで特定の関係をつくっているんではないかという疑いに対して、「そういうことがない」ということをきちんと示していけるような、そういう行政にしていきたいと思って取り組んできましたし、そのことは一定、実現できたのではないかと思っています。
また、やや特徴的なことで言えば、国体を前にしての、体育協会に影響力を持っていた方との関係を断ち切っていくというようなことで、私としては、柵(しがらみ)のない自分を選んでいただいたことの一つの役割というのは果たせてきている面があるんではないかというふうに思います。
(岡林:高知新聞社記者)
その「働きかけ」で言うならばですね、県民の方々…、まあおそらく現段階ではそんなに多くないと思うんですけれど、「県民の方(の働きかけ)も公表される」という所もポイントですよね。これは先ほど言われた「特定の個人」というところに係ってくる分もあろうかとは思いますが、そこら辺の思いっていうのはどうなんでしょうか。
(知事)
「思い」というのは?
(県民も含めた働きかけの公表)
(岡林:高知新聞社記者)
あの、本来であればですね、県民の方々までその働きかけの公表だとかを、「そこまで広げなくても」という論議がやっぱり一方であると思うんですよね。
ただ、そこまで踏み込んだというところの思いという部分は知事の中で何かあるんじゃないかなと思うんですが…。
(知事)
もちろん、特定の個人ということもあります。けれども、県民の皆さんも別に、そうした「公開をされる」という事が、「正当な意見表明ができにくくなる」という、その面の問題点をご指摘をする声はよく分かります。
分かりますけれども、私は、一般の県民の皆さんも、自信を持っていろいろ声をかけて働きかけをされることは、どんどん、県庁に対しても行政に対しても、意見表明をしていただいたらいいと思いますので、特にその、特定の個人がどうだということではなくて、広く県との関わりというものを、みんなが、「情報が公開される」ということを前提にお付き合いをしていただくということは、僕は、決して悪い事ではないと思うんです。
特に「特定の個人があるから県民全体に広げて」という思いは私にはありませんでした。
(県庁職員と情報公開や働きかけの公表)
(岡林:高知新聞社記者)
あと、じゃあ、職員にとってみてですね、そういった情報公開をどんどんしていくと、
まあ、働きかけも含めてですけれど…。そういった部分はプラス効果が大きいというふうにお考えですか?
(知事)
プラス効果があるか、マイナス効果があるかは分かりません。けれども、僕は、職員にとってよりも県民の皆さんにとってどうかということを考えるべきだと思います、県庁の仕事というのは。
県民の皆さんにとっては、そうした隠し事のない県政というのは、絶対多くの県民の皆さんが求められているものではないかと思います。
だから、通常の情報公開でも、県庁の職員の皆さんにとってみれば、従来やらなくてもよかったような仕事が増えていくとか、非常に手間暇がかかるとか、様々な問題点はあろうと思います。県庁の職員に与える影響ということで言えば。
しかし、それはやはり、情報公開という流れの中で、「そういう事も私達の仕事だ」というふうに理解をしてやっていかなきゃいけない時代だと思いますので、私は、「これまでの仕事の仕方に慣れた県庁の職員に対して何か影響があるから、やるべきかやらないべきか」という判断をすべきじゃないんじゃないかと。
「県民の皆さんが求められるものかどうか」ということが、すべてのとは言いませんけれど、いろんな仕事の仕方、仕組みを変えていく時の基準ではないかと思います。
(岡林:高知新聞社記者)
だからその、本来であれば、県庁の職員というのはですね、県民と接するわけですから、そういった部分で、「県庁の職員が仕事ができやすい」、それはその、旧い体質を言ってるわけじゃなくて、「県民に対する仕事ができやすいということをやっていくことによって、県民にもプラスになる」というお考えはないんでしょうか?
(知事)
それは勿論あります。
(岡林:高知新聞社記者)
だから、そういう意味で、その情報公開という部分の意義付けの中でですね、県庁の職員に対しても、「実はこれは皆さんの仕事をしていく上でも重要な事だよ」と、「県民に対して公表をするということが重要であると同時に、皆さんの仕事を効果的にやっていくという意味でも重要なんだよ」という観点はどうでしょうか?
(知事)
そういう観点は申し上げております。職員に対しては。
(岡林:高知新聞社記者)
というのを具体的に…。
(知事)
今(岡林記者が)言われたとおりです。
まさに、県民の皆さんにとってもあれ(良いこと)だし、県の職員が仕事をしていく時にも、いろんな働きかけを受けて、それを引きずったままやっていれば、非常に後ろめたい思いで…、そこをまた突かれて…ということで、いつも不安を感じながら仕事をしてる面がありますよね。
そういうものをもう最初からオープンにしていくことによって、職員の皆さんも、フリーな立場で、何か負い目を途中で負ったりする事がない形で仕事がしていけるというふうになる。
つまり、みんなが仕事をしやすい環境を作っていくために、こうした「働きかけの公開」というものがあるということは、職員の皆さんにも言っています。
(道州制の議論)
(鈴木:日本経済新聞社記者)
ちょっと中長期のテーマなんですけど、市町村合併が再来年の春に期限が来て一段落するということで、それが一段落するとその先に道州制の議論というのがあって、この前の中四国の知事サミットでもかなり議論になって、知事はちょっと参加されてなかったんですけども、現時点での考えでもいいんですけど、今、四国州をつくるとか、中四国州をつくるとか、いろいろ議論がありますけれども、今の時点での知事のお考えをちょっと。
(知事)
「何のためにやるか」ということがないと、単に何か制度を変えれば何かが変わるんじゃないかということではやってはいけないと思います。
そもそも、州になれ道になれですね、国と市町村との間にある組織ということになりますから、そういう中二階というか、間にはさまれた組織が今後果たす役割は何だろうということを考えていかなきゃいけないんじゃないかと思うんですね。
市町村合併が、(平成)17年3月までの第一段階に続いて、やがて、今後の人口減少だとか財政の状況を考えれば、次のまたステップということが必要になっていくだろうと思います。
その時に、ある程度の規模の基礎自治体というものがずっと、四国なら四国の中に全域にできていくという状況ができた時に、その中で、県なり、それが一緒になった州なり道なりが果たす役割としてどういうものが残って、ということをきちんと議論をしないと、今のシステムのまま、「県が一緒になることがどうのこうの」ということを議論してもあまり…。意味がないとは言いませんけれども、有効な議論にはならないんじゃないかなということを思います。
あわせて、州になる、道になるという法律的な改正を伴うようなこととは別にですね、今でも、県をこえても、勿論、一部事務組合もできるわけですし、広域的な連合によって様々な仕事を共にしていくことはできますので、まだ具体的に目に見えて進んだというわけではありませんけれども、そういう方向を目指して四国の4県がいろんな連携をとっていくことは必要だと思います。
ただ、具体的にやりますと、今度の森林環境税についても、「森林環境税を他の3県に」というお話をすると、例えば香川県さんなどは、「豊島の(産廃)問題があるために、産業廃棄物税の方を先にやらないと、なかなか県民の皆さんが納得をされない」というようなことで。
うちの場合には、間もなく住民投票がありますが、(日高村の)エコサイクルセンターの問題があって、自分のところに管理型の処分場もない、その状況で産業廃棄物の税が課せられるかというような問題を抱える、というふうな各論の問題が出ますので、すぐにはいかない面もあります。
けれども、組織の問題だけじゃなくて、そういう条例の使い方だとか、それから、いろんな施設を4カ所にそれぞれ各県でつくる必要があるかとかいうようなことでは、十分連携をして、効率的な組織運営をしていくことはできると思いますので、そういうことはどんどん取り組んでいきたいと思います。
(松尾前高知市長への評価)
(市川:共同通信社記者)
知事選の関係ですけども。
松尾さんについて、評価を伺いたいんですけども。
官僚出身であるということ、それと、およそ10年の市政運営を踏まえて、どう評価しているかということをお聞かせ願えますか。
(知事)
それは、今の段階では、良い好敵手だと思います。
前も言いましたけれども、やはり民主主義の下での選挙というのは、県民の皆さんにとって選択肢になるような候補者が出て、お互い戦って、意見を述べあって、選んでいただく、ということが最も望ましいので、前回の所谷さんも勿論そうですけれども、今回の松尾さんも、これまでの役人としてのご経験、また市長さんとしてのご経験を含めて、県民の皆さんにとっても、そういう意味ではとても関心を持っていただける選挙になるんじゃないかなというふうに思います。
(市川:共同通信社記者)
松尾さんへの評価というのは?
(知事)
松尾さんへのどういう評価をしたら、ご満足がいただける…?(皆笑)
(市川:共同通信社記者)
まあ、県庁から市政運営を見ていて、プラス・マイナス面、それと、知事は、官僚出身の知事が多いということに対してもお考えをお持ちだと思うんですけれども。
(知事)
官僚出身の知事が多いということは総論的なことであって、松尾さん個人に対してのみ当てはめて言えることじゃ勿論ありません。
僕は、勿論、官僚出身の市長さんなり、知事さんなりがいてもいいと思いますし、それも当然県民の皆さんにとっての選択肢の一つであろうと思いますが、全体的に見ますと官僚出身の知事が、この間も知事会に出て、少し時間があったので、何人ぐらいいるかと数えたら、ものすごい多いですし、中でも総務省出身の方がどんどんどんどん増え続けておりますので、そういうことが、僕は、地方分権だとか、新しい地方の自治の流れの中でどうかなあということは一般的には思います。けれども、それは別に松尾さんへの評価ということではありません。
(日高村のエコサイクルセンターに対する住民投票)
(松浦:朝日新聞社記者)
週末には日高のエコサイクル(センター)の住民投票がありますけれども、それへの現時点での対応であったりですとか、また、住民投票、日高の村民の方々についてですね、何か訴えたいことがありましたらお願いします。
(知事)
まあ、10年という経過がございますので、いずれの結果をいただくにしろ、10年の様々な議論に一定何か結論をつけることが今回の投票の結果でできるんではないかというふうに思います。
できれば勿論GOサインを出していただきたいと思いますし、GOサインが出たからといってすぐに取りかかれるわけではない、それで初めて最初のスタートラインに立つことができるというプロジェクトですけれども、それでも10年の経緯がございますので、ここで是非お認めをいただいて、日高村での事業を進めていきたいなという思いでいっぱいです。
(松浦:朝日新聞社記者)
GOではなかった場合というのは、確認ですけれども、その判断には従っていこうというふうにお考えですか?
(知事)
それはまあ、今日のこの時点で、何とも申し上げられません。
けれども、条例の中でも、「村長さんはその条例の結果を尊重する」ということが書かれておりますし、村長さんご自身もそのように表明をされております。
ですから、結果が出れば、村長さんが村としてのお立場をきちんと表明をされてお伝えをいただけると思いますので、それを受けて、エコサイクル高知の方で理事会を開いて決定をしなければいけませんので、今日この時点で、単に知事という立場だけで、すべてを申し上げることができません。
そういういろんな手続きを踏んで、流れとしては、進んで行くだろうというふうに思います。
(吉良副知事への評価)
(岡村:高知新聞社記者)
知事、今度の選挙結果はですね、副知事の吉良さんの去就にも影響するだろうというふうに思うんですが。
もう2年ぐらいになりますよね、確か吉良さんが副知事になってから。
副知事への評価はどういう評価ですか?今の時点で。これまでの…。
(知事)
副知事さんは、まだまだ県庁の中では少しご遠慮があるのではないかなと。
もっともっと、ズバズバと割り切って判断をしていただいてもいいとは思いますけれども、若干、そこら辺は遠慮をしながら、いろんなお話を聞いておられるというふうに思います。
ただ、地域ということで言えば、ずいぶん地域の活動の中に入って行っていただいて、それは7人の元気応援団長もそうですけれども、市町村との関係等で、私自身ができない、また、これまでの副知事さんとは違った、やっぱり首長さん出身の副知事さんらしい動きもしていただけていると思いますし、それは、市町村だけではなくて、各地域のいろんな団体組織との関係という意味での、自分だけではできない、また、前の副知事さん達とは違った味わいは出していただいてるというふうに思います。
(県議会との関係)
(池:高知新聞社記者)
県議会との関係についてちょっとお伺いしたいんですが、この12年で、最初に知事が当選なさった時はほぼオール野党的な状態だったと思うんですけれど、知事は野党とか与党とか、あるいは親知事・反知事という言い方はお好きじゃないかもしれませんが、先日も3人がですね、自民党から離脱なさって親知事に、知事をこの選挙で応援なさるということで新しい会も作ったわけですけれども。
12年間の橋本県政で、県議会に対する対応と、県議会がいろいろ変わってきてますけど、それに対する印象をまずお聞かせください。
(知事)
私自身の性格のなせるところもあると思いますけれども、なぜもっとこう、議会との関係というのは円滑にいかないものかなあと、正直思います。
笑ってはいけませんよ。(皆笑)
正直、思います。
私の方の努力不足というものもあろうとは思います。けれども、やはり議会と県政との関わりということも大きくやっぱり変わってこざるを得ない時に、もっと踏み込んで議会側も変わっていただいてもいい点もありはしないかなと。
それは何かと言われるとちょっと答えにくいんですけれども、そういうふうに思います。
(池:高知新聞社記者)
公約案の中でですね、「競争原理」という項目の中に‥‥。
(知事)
ああそうそう、それはね。真意はちょっと…。あまり真意を問われるとちょっと困る話だったんだけども…。
それ、最終的に入れるか入れないか、ちょっと…、問題点を孕んでおります。
ただまあ、それこそ若手経済人、若手じゃないけど、中堅・若手の経済人と話をしていたらですね、議会だけじゃなくて、同じようなテーマで議論を…まあ経済人だけとじゃないですけれども、そういう人達と(議論を)して、そういうものを県民に見せていくということも、こう…。
あまりそれ以上いうと、ちょっと、また議会に失礼な表現になるといけないんだけれども、「県民に分かりやすく県政が説明できるんじゃないですか」というような提案を受けてですね、そういうこともあるかなあと思ったのが…、もう、こうやってバタバタ、バタバタ(ワープロを)打っていた時に、その打ってる途中に聞いた話だったので、そのまま書き下ろしたということでございます。
それ以上あんまり追求をしないように。(笑)
(池:高知新聞社記者)
すると、これは最終案から外す可能性が高い?
(知事)
ちょっと、高いかどうかはあれですけれども…、はい。
(池:高知新聞社記者)
議会からすれば挑発的に受け止められかねないと?
(知事)
ええ、そうですね。
(池:高知新聞社記者)
それについては、ちょっと慎重に触れようと?
(知事)
そうです、ええ。
だからさっきも言いましたように、やはり県民の皆さんから見ても、無用な知事と議会との対立というか、円滑さを欠く運営というのは決して望ましいことではないし、筋を通すということと円滑にいかないということは別なことだと県民の多くの方は思われると思います。
ということから言えば、今ないものを持ち出してですね、また無用な摩擦を作る必要もないかなという思いも、現状は持っております。
(池:高知新聞社記者)
県議会をたずねてみると、親知事派の方が勢力がもう反知事派を上回るようなデータにもなってます。それに対してちょっとコメントいただけますか。
(知事)
それはまあ、ケース・バイ・ケースでですね。
その親知事派の方々の中でも、県民レベルの活動では対決をしながらやってらっしゃる方々もおられるわけで、それはすべてのことに親知事だと言って一本にまとまっていくということではございませんから、なかなか。
テーマ別なら別ですけれども、そうじゃなくて一般論として「親知事派が上回りましたね」ということでは、なかなか、自分としては答えにくいです。
(入札制度の見直し)
(市川:共同通信社記者)
今回、議会で指摘された問題に絡んで、低入札価格調査制度という問題が取り上げられました。それについては今後、例えば見直されるとか、何かお考えになってますか?
(知事)
私個人としては、低入札だけではなくて、入札のやり方というのは、絶えずやっぱり見直していくべきだと思いますし、検証していくべきだと思っています。
この時期、あんまりまた踏み込んで言うと、何か建設業協会との関係があるのではないかと疑われがちですが、疑われてもそれはかまいませんので…。
本県にとって、やっぱり建設業というのは、受注・発注の関係だけではなくて、経済政策としても大変重要な意味を持ちますから、その入札制度をどう合理的なものにしていくか、その中で、やっぱりいかに透明性を…、単に入札に入札の仕組みが透明性を持つようなものを作るというだけではなくて、それを検討していくプロセスを透明なものにしていく必要があると思いますので、そのことを考えながら、いろんな改善を考えていきたいと思います。
というのは、まあ設計金額だとか、調査価格だとかいうものがあるわけですね。それはそれで根拠を持って積算をされて出て来るわけです。
にもかかわらず、その70%とか60%とかというものが出て来る。しかも、それで仕事ができるということは、「そもそも、それじゃあ設計の金額というのは何なんだ」と、「その調査した価格というのは何なんだ」ということを、私自身も、技術の素人という面からは思いますし、
「県民の皆さんから問われた時に、果たしてきちんと答えられるかな」ということは、僕はいつもずっと思って、土木なり、入札の関連をもつ公共事業の部署の職員の人には投げ掛けておりますが、それでも、「きちんと調査をしているから大丈夫だ」とこうおっしゃるわけです。
ただ、それぞれの業界の方々に聞くと、まあ、業界としての思い、バイアスというものがありますから、何割引かで聞かなきゃいけないとは思いますけれども、結局、「やっぱり相当下請の方にしわ寄せがきて…」ということを言われますし、それも事実ではないかなということを思います。
その時に、今のまま、その低入札価格もそうですし、その他のいろんなやり方、例えば、経審(経営審査)と同じように地域の点数というのをつけておりますけれども、合併をした時の点数というのも、本当の意味での合併になってるか、書類上点数を上げるための合併かというものを、きちんと見極められるかというと、なかなか、そこでの差をつけにくいというようなこともあろうと思います。
また、一つの工事を非常に手厚くきれいに仕上げると、それでポーンと点数が跳ね上がることになっていますけれども、そのために、一つの事業だけきれいに仕上げて、一定のランクに上がってこられると。それでいて全体的な力はどうかなというご指摘も受けます。
等々ですね、様々な、僕は今、課題を抱えてると思いますので、その事は十分、透明性を持った議論、検討経過の中で見直しをしていきたいというふうに思います。
(市川:共同通信社記者)
この見直しには、いつ頃から着手されますか?
(知事)
それは、自分が知事に選ばれれば、もう、すぐにもやっていきたいと思います。
年度中、もう12月にはですね、そういうことを検討するような会も立ち上げてやっていきたいと思います。
ただ、そのことは、土木部と十分打ち合わせをしている…、個別には話をしてますが、知事ときちんと土木部長以下で、12月に立ち上げるということを話してるわけじゃありませんから、これは自分の個人的な、個人的というか、知事としての思いです。
庁内での議論でまだ固まってるものではありません。
(高知市長選挙に対するスタンス)
(小川:毎日新聞社記者)
すいません。知事選と同じ時期にですね、高知市長選がありますけれども、市長選に対しては知事ご自身はどういうスタンスで対応していきたいなというふうにお考えてらっしゃいますか?
(知事)
市長選は、前にも何社かからお訊ねをいただいた時に、知事選挙がこういう構図になった時にですね、市長選挙が「この人が市長派で、この人が知事派で」という、何か「代理戦争」だと言って書き立てられ持てはやされるような選挙になると、32万の市民の皆さんが非常に迷惑をされるのではないかなと。で、その後の、やっぱり“しこり”ということも非常に大きく残っていくのではないかということを思います。
というのは、選挙に係わっていく人のパーセンテージというのは、32万の中でも限られてきますし、それぞれの方は、いろんなお商売をされたり、ビジネスをされたりしてますので、そういう皆さん方が少し“しこり”を残してですね、今後の活動をしていくということは、市全体の、というのはもう県全体のということになりますけれども、経済その他にも大きなマイナスの要因になるだろうと思いますので、できるだけ、というか、なるべくそういう対立の構図にならないような形で選挙をやっていただきたいなという思いでございます。
(退職者謝恩会の見直し)
(松浦:朝日新聞社記者)
今日、住民監査請求でですね、退職者の慰労会(謝恩会)の結果が出まして、内容としては、法律違反ではないので棄却ですけれども、知事への意見として、「見直すべきではないか」というような意見がつけられてるんですが、このことについては、今後どうしていこうというようなことはありますか?
(知事)
ええ。やっぱり時代の流れの中で、僕が知事になってから12年間、この退職者の謝恩会にもずっと出てまいりましたけれども、ずいぶん雰囲気が変わってきたというか、質的にも変わってきてると思います。
そういう中で、その住民監査請求に対する監査委員の方のご指摘も、私は理解できる面が数多くございますので、こういう謝恩会のやり方というのは見直していったらいいと思いますし、そこでもそういう趣旨のことが語られていたと思いますけれども。
(平成)14年度の場合、3分の1の方しか出られていないと。やっぱり、何かをやるのであれば、「全員の退職者の方に対して、感謝の、慰労の意が表せるような、また伝わるような仕組みを考えるべきではないか」というご趣旨はそのとおりだと思いますので、長年勤めて退職をされる方々に謝恩をし、区切りをつけて第二の人生に向けてスタートをしていただくということは、
その方個人個人の人生にとっても大切な事だと思いますから、何らかのこう、県としての関わりというのは持ったらいいと思いますけれども、やり方は、今申し上げたように、全員の方にそういう思いが伝わるような何か仕組みはないものかということを考えるべきで、従来のような形で職員同士が飲食をする謝恩会というものは、県民の目からも馴染まないものになっていると思います。
(松浦:朝日新聞社記者)
それはあのう、まあ、知事になられてということですけれども、なられた場合には、今年度については、公費での負担はしないようにしたい、見直すというものですか?
(知事)
ええ、そういう趣旨ですけれども、これも自分の思いというか、すべてを総務部人事企画課と詰めて、県庁としての結論を出したわけではありませんので、そこはまた、総務部長さんにきちんとした部内的なまとめを聞いていただけたらと思いますけれども。
私は、方向としてはそういう方向に進むべきだし、また進まざるを得ない時代だというふうに思います。
(松浦:朝日新聞社記者)
監査委員の意見ではですね、「自己負担総額は返還すべきだ」というようなこともあるんですけれども、その点については?
(知事)
そこまで私が、知事としてコメントをしてしまうとどうかなと思いますが…。この間も県警の捜査費(の件)でも叱られましたけれども…。
返還ということは効果を遡及させるということですよね。そこまでいくのであれば、もう、その結論のところで明確にしていただいた方がいいと思いますし、意見として申し述べられるのであれば、もう終わった過去の事についてということよりも、
そこに盛り込まれた趣旨、つまり、「もう、時代の変化の中で、県の職員同士が飲み食いをしてということは、すべての面でもうやめるべきだ」と、「例外なしにやめるべきだ」というご趣旨と、それから、「退職者に対しての謝恩というのは、全員に対してそういう思いが伝わって、第二の人生のスタートがきれるようにすべきだ」というご趣旨を活かしていくことの方が大切ではないかと僕は思います。
(釜本:時事通信社記者)
各社よろしいでしょうか?
それでは時間もきましたので。
(知事)
ありがとうございました。