知事の定例記者会見(平成17年2月議会)

公開日 2007年12月08日

更新日 2014年03月16日

知事の定例記者会見(平成17年2月議会)

平成17年2月16日9時00分から(県庁二階 第二応接室)


(項目)
 ・議案の説明
 ・公助の役割
 ・予算に対する見解(1)
 ・対市町村
 ・事務事業の見直しと県警捜査費
 ・三位一体の改革
 ・全国知事会の会長
 ・地域支援企画員
 ・副知事人事
 ・予算に対する見解(2) 
 


【議案の説明】
(知事)
 おはようございます。2月の定例議会を、2月22日に召集させていただくことにいたしました。

 提案をいたします議案は、一般会計の予算など、予算議案が30件、条例その他議案が73件、報告議案が8件の、合わせて111件でございます。

 まず、平成17年度の当初予算ですけれども、地方交付税の大幅な減額、また、全国で予測されますほど(本県の)県税の収入の伸びが期待できないという厳しい状況の中で、(総額)4,521億円を確保いたしましたけれども、それでも、前年度に比べますと6.2%、額にして298億円の減額という緊縮型の予算になっております。

 今回の予算編成は、去年の9月に財政危機への対応指針をまとめまして以来、それを具体化する初めての取り組みでございましたけれども、これからの3年間、平成19年度までに財源不足をなくしていくということを目標に取り組んでまいりました。

 このため、これまでも削減に努めてまいりました投資的経費だけではなくて、官と民との役割分担を見直すというふうな趣旨も含めまして、経常的な経費に重点的に切り込みをしてまいりました。

 具体的には、例えば人員の削減計画の着実な実施はもちろんのこと、職員の皆さんの給与のカットや、手当ての見直しといった人件費の削減をすることによって、県庁も自ら痛みを分かち合う、自ら率先して節減をするということに努力をいたしました。

 しかし、その一方で、各種の団体の皆さん方への補助金の削減をお願いせざるを得ませんし、また、これまで65歳以上の年齢の方に実施をしておりました県の各種の施設の使用料、入場料などの減免の措置を見直すといったようなことも、お願いをせざるを得ないという状況になってきております。

 このような厳しい予算編成ではございましたけれども、経営の方針として掲げました、県の4つの重要課題に対しましては、予算の面でも重点的な配分を心掛けました。

 例えば、産業振興と雇用という面では、経営改善への取り組みや、新しい分野への挑戦に前向きな企業を、県として全体で応援していくというような仕組みをつくりましたし、また、中小企業の皆さん方への融資制度や若い方々の就職の支援ということも、充実させていくことにしております。

 次に、南海地震への対応ということでは、住宅の耐震改修への支援を始めますほか、いわゆる自主防災組織の立ち上げ、またその活動を支援していくための総合型の補助金の確保に努めました。

 また、子ども、高齢者、障害者の皆さん方への施策という点では、乳幼児医療の助成の対象年限を引き上げるといったようなことのほか、小学校1年生で実施をしております、いわゆる30人学級を2年生にまで拡大するということに取り組もうと思っております。

 もう1つの、資源循環型社会の先進地を目指すという点では、今年度、循環型社会づくりのビジョンをつくりますので、これを具体化していくということとともに、間伐の推進などにも努めていきたいと思っています。

 このようなことに取り組みました結果、経常的経費全体といたしましては、扶助費また医療関係費などが増大をする一方、先ほど申し上げました人件費、さらには公債費、また、さまざまな施設の管理運営費の削減ということに努めまして、トータルでは、対前年度比4.4%の減、162億円のマイナスということになっております。

 一方、投資的な経費は、16年度に続きまして厳しい要求限度額を設けたこと、また、98豪雨に伴います災害復旧の河川事業など、大型の事業が終わったこと、さらに、16年度補正で、当初予算の分の前倒しをしていったというようなこともございまして、合わせまして対前年度比で12.3%、137億円のマイナスという形になっております。

 こうしたことを積み合わせまして、結局、財源不足は165億円ということになります。
 この財源不足に対しましては、減債基金を85億円取り崩しますとともに、残る80億円に対しましては、財政健全化債を発行することで対応していきたいと考えています。

 昨年の段階では、地方交付税の額がそのままだということを前提にして、248億円の財源不足が生じるのではないかということを予測しておりました。

 その前提でございます地方交付税などの改善がなかったという状況ではございますけれども、そうした中で165億円の財源不足にとどめたということは、248億円という予想した額からすればかなりの努力ができた、(今後)3年間に向けて一定の道筋をつけることができたかなということは思っております。

 ただ、今回の三位一体の改革の決着の段階でも、その時期になって、急に国民健康保険への県負担分の導入といったことが、持ち込まれました。

 このことが、県にとりましては、一般財源として四十数億円の影響力を持ったというようなこともございます。

 また、いわゆる国庫補助負担金の削減ということも、それが税源移譲につながらずに、単なるいわゆるスリム化、事業そのものがなくなってしまうというような事例もございます。

 このようなことから、今後、平成18年度、19年度に向けて、地方交付税の動向ということも含めて、高知県にとりましてはまだまだ大変厳しい状況が続くということを覚悟しておかなければいけないと思っています。

 こういう状況に対しまして、国に対してきちんと言うべきことを言っていく、また、地方としての意見を申し述べていくということはもちろんでございますが、その一方で、こうした国、県ともども厳しい財政環境の中で、何とか自らの力で歩んでいけるという、経営方針に掲げました大命題を実施できるような、財政的に自立できる県を目指して、さらに努力をしていかなければいけないと感じております。

 次に、条例その他議案でございますけれども、市町村合併に関するものなど73件を提案いたしますが、その中に、いわゆる指定管理者制度の導入、また、指定管理者の指定の承認をお願いするものが16件ございます。

 このうち、指定管理者の指定をお願いするものとして、県立の池公園の指定管理者というものがございますが、これは、この制度の導入では3件目で、初めて民間の事業者に管理をお願いするというものでございます。

 このような形で、この指定管理者制度を活用していく、それと今、県が力を入れて取り組んでおりますアウトソーシングというものを組み合わすことによって、県が担当しておりますいろいろな仕事に、民間の皆さん方に入ってきていただき、官と民との役割分担の見直しを進めていくということにも、さらに取り組みを進めていきたいと思っております。

 あと、報告議案は8件ございますけれども、私からは、以上でございます。

【公助の役割】
(岡林:高知新聞記者)
 先ほど、官と民の役割分担というお話がありました。それとともに、今の知事がおっしゃられた部分で、住民力というお話もありました。その自助、共助という視点というのはよく分かります。

 それとともに、公助という視点、これについて、特に南海地震が今回出ていますけれど、具体的に今回の予算で、公助としての役割というのはどういうふうに果たされたというふうにお考えになられますか。

(知事)
 今、申し上げたことで言えば、例えば長年の課題でもございました乳幼児医療の助成措置、この対象年齢を引き上げるということも公助の一例であろうと思います。

 それから、今、この医療費の問題とともに、お父さん、お母さん方に伺うと、また学校関係者にお話を聞きますと、30人学級ということに対する要望はかなり強くあるということを、自分も実感として感じております。

 で、そういう中で、大変厳しい予算面での、また、人的な面でのやり繰りではございますけれども、小学校2年まで30人学級を実施していくことも、公助という言葉に当たるかどうか分かりませんけれども、やはり公として、官としてできる、踏み込んだサービスなのではないかなということを思っています。

(岡林:高知新聞記者)
 例えば南海地震について特定しますけれど、公助という部分ではいかがですか。先ほど、耐震診断等、出ましたけれど、要は仕組みをつくっていくための公助の役割ですよね。公(おおやけ)の役割。この点をどういうふうに思いますか。

(知事)
 これは、まず、例えば公的な建物、建築物であれば、その耐震化に向けての優先順位というものを決めていかなければいけません。これは、ABCというふうなランクでそれを基準分けをしてきております。

 こういうものをきちんとつくり、それを県民の皆さん方にも「こういう理由で、ランク付けをして進めていきますよ」ということをご説明するのも、公(おおやけ)としての仕事であろうと思います。

 そして、それを今度は、いろいろ公(おおやけ)の建築物と言いましても県有のものから、市町村、そして民間のものまでいろいろございますので、どういう役割分担でやっていくかというのは、まだ、具体的にこれから詰めなければいけないことですけれども、そういうものを詰めながら「大体どういう年次計画で順次進めていきます」ということをお示ししていくことが、まず、私たちの役割だというふうに思います。

(岡林:高知新聞記者)
 その第1段階に立った予算というふうに思われますか。

(知事)
 はい。そこは(第1段階に)十分立っております。金額的に、どの部分にどの予算がということではございませんが。

 特に4つの重要課題の中でも、南海地震への備えは、危機管理という、1つの担当が全庁的なものをまとめてやっているという仕事の仕方の特徴からも、極めて体系立って進められてきているということを自負しておりますし、きちんと県民の皆さんにご説明をしていけば、それが今度の予算の中で、どう体系づけられて、また来年度、再来年度以降に向かうかということはお分かりいただけるのではないかと思っております。

【予算に対する見解(1)】
(岡林:高知新聞記者)
 要は、今回、最終的に(財源不足額を)248億円から165億円まで落としてきたと。歳出レベルでいうと、ほぼ300億円ぐらいを落としてくる努力を庁内でされたと思います。

 当然、そういった状況の中で、いわゆる本庁組織以外のところに対して、どういうスタンスで臨んでいくか。

 これは、先だってのときにも質問させてもらった件なんですけれども、いわゆる県警だったり、そういった部分に対して、どういったスタンスで、この厳しい財政状況の中、臨んでいくか。

 これは、当然、捜査費の部分とかかわってきますけど、あらためて今回の予算に盛り込まれた中身を見てみたときに、知事としての見解をお伺いしたいんですけれど。

(知事)
 捜査費とどう絡むのかは、ちょっと今の議論は私には分かりません。

(岡林:高知新聞記者)
 いわゆる見直し議論という意味合いですけれども。

(知事)
 見直しというものは、県警であれ、公安委員会であれ、教育委員会であれ、病院関係であれ、また、知事部局の中であれ、すべての事業を対象に、投資的な経費も経常的な経費も含めて、見直しを進めてきましたし、これからも見直しをしていかなければならないと思っています。

 そういう中で、県民の目線から見て「これはまだまだ甘いのではないか」とか、「おかしいのではないか」というご指摘があれば、その点はどんどん、ご指摘もいただきたいと思いますし、また、議会の中でも、そういう議論をさせていただければということを思っております。

(釜本:時事通信記者)
 今回の予算を拝見したところ、正直な感想としては、なかなか厳しい予算かなと。

 実際に、過去の予算と比べてみても、予算がないからかもしれませんが、職員提案事業や新規事業の数が相当減っているというふうに感じます。

 厳しい予算の中で、昨年の指針に従って財政破たんの回避を優先したということだとは思いますが、金じゃなくて、人と知恵でやっていくという中で、そういう仕組みづくりという組み換えでは、なかなかうまくいっていないのかな、ただカットになってしまったんではないかなという懸念も若干あるんですが、そのあたり、いかがでしょうか。

(知事)
 いや、そういうことになっている分野もあろうとは思いますけれども、全部がそうだということは、全くないと思います。

 数字だけ見ていたら、予算というのは、金額が下がったというものしか見えてこないわけで、その中の、仕事の仕組みがどういう形でつくられているかということが、一番のポイントだろうと思います。

 これまでの県の仕事というのは、やはり予算建てをすることによりやってきましたし、予算を執行することで、県民の皆さんへのサービスを実施していくんだという意識で、県の職員も取り組んできました。

 ですから、予算額を減らしたときに、どうやって自分たちがサービスを実施していくのかということが、なかなかうまく説明し切れない部分があろうと思います。

 ですから、そのことはこれから、説明の仕方として考えていかなければいけないとは思いますけれども、決して、予算の削減がイコール、それだけサービスの削減につながってしまう形になった予算だとは思いません。

 例えば産業振興の面で申し上げました、経営改善を目指していく、また、新しい分野にチャレンジをする、そういう意欲のある前向きな企業を応援していくということも、予算をつくる際に、商工労働部ともかなりの議論をいたしましたけれども、単に補助金だ、融資の制度だというものを枠として構えていくということではなくて、やはり、持っている人材、これは県庁の中、また産業振興センターというものもございますし、それにまつわるいろんなチームもあります。

 さらに、高知高専がつくられるフェローシップというふうなOBの皆さん方のグループとかいう、民間の組織もございます。そういうものを束ねて、一定の基準をクリアした企業に対して、人が責任をもってコーディネートしていく。

 それだけの仕事ができれば、単にこれまでの、融資の制度だとか、補助だとかいうこと以上のプラスの面での効果が上げられるだろうということを思っております。そういうような形へ、県の仕事そのものが転換をしていく、大きな節目のときではないかと。

 数字だけ見たのでは、なかなか見えないし、また、今申し上げたようなことが本当にチームとしてやっていけるかどうかというのは、これから力が問われるわけですけれども、その意味では、決して額が下がっただけの予算だとは、自分は思っていません。

【対市町村】
(浜田:高知新聞記者)
 対市町村ということでの質問なんですけれども、今回の厳しい予算編成で、市町村にも少なからず影響が出てくる。

 例えば、県の上乗せの補助のカットとかあると思うんですが、今回の予算編成を踏まえて、増員される地域支援企画員の話も含めて、これから県と市町村との役割分担などについて、考えをお聞かせ願えればと思うんですが。

(知事)
 それはもう、それだけで非常に大きなテーマなので、ここで短い時間で語り尽くすことはできませんけれども、すでに市町村との役割分担については、県としての一定の案をまとめて、すでに市町村に対してもご説明を始めて、議論しているところだと思います。

 今後、そういう議論を通じて、今の仕組みを改めていくということになろうと思います。

 これまで県として国に対して言ってきたことを、市町村に対しても、ある意味では実施をしていかないと整合性がつかないという面も出てくると思いますので、そういう点も踏まえて、これから1年間の仕事になろうと思いますけれども、そういう役割分担の見直しというのはきちんとやっていきたいということを思っております。

 予算との絡みで言えば、今回の予算づくりの中でも、地域づくりの支援などに関連して、市町村が非常に予算が厳しくて、市町村として負担金が出せないと。そういう場合に、民間、地域にある団体などが、その分を負担なさると。

 それに対して県が補助を出していって、仕事をしていくということの是か非かということが、相当議論をされました。是か非かという意味は、それを許してしまったら、市町村の役割というものが、もう全くなくなっていくのではないかと。

 市町村が自らの地域づくりということに汗をかくというか、負担をするということをなくしてしまったのでは、今後の市町村と住民との関係そのものが、より希薄であいまいなものになってしまうのではないかという強い主張があり、一方で、やはり、さりとてここまで厳しくなって、しかも、地域地域にいろんな活動の芽がある、その活動の芽を担う団体の方が、自ら負担をしてでも新しい動きを起こしていきたいというときに、それを市町村が手を出せないから、そのまま無視をしてしまっていいかという、一方の強い議論もまたあって、結局は、後者をとると。

 市町村が負担をなさらなくても、地域づくりなどの支援をしていけるという形の予算を組みました。予算上は、そういう市町村との関係という点では、今、申し上げたような、いろんな工夫というか、努力をしております。

【事務事業の見直しと県警捜査費】
(釜本:時事通信記者)
 今回、厳しい予算の中で、事務事業の見直しということで、廃止166事業、休止22事業という、なかなか厳しい状況になっているんですけれども、まず、いろいろ各団体との交渉の中で、最終的には知事の判断に委ねられた件もあったとは思います。

 この削減にあたって、知事が自分の中でどういう基準というか、何を最優先にこういう交渉に当たっていった、削減を決めたのかという点が1つ。

 もう1点伺いたいのは、全国的に、北海道や愛媛など、県警の捜査費について、県警の要求だけでなく知事が主導権を取って、それよりもさらに切り込むという事例が全国的にあります。

 当県の場合も、県警の捜査費に対して疑惑が提起されているわけですけれども、知事本人として、それについて、予算査定で削減したのかどうか。この2点について、お伺いします。

(知事)
 166事業について、それぞれ自分自身で優先順位を決めて、最終的な決定をしたかというと、そうではございません。

 これは、各部局から積み上げて、事業の見直しの項目が出てきて、その説明を受けて、庁内的にも議論をいたしました。その後、さまざまな形で、私自身がいろんなご要望を受けたり、陳情を受けたりという事例もございました。

 ご質問の件については、全体の中での優先順位ということではなくて、1件1件を考えて、自分として「こうではないか」という指示をしたり、指針を自ら示したりということはいたしました。

 全体として、自分自身の基準で「これは残すべきだ。これはどうだ」というものは、もちろんありません。これは、県庁全体で取り組んできた仕事であって、知事の査定ですべてが、何かの基準で決められたというものではありません。

 それから、捜査費に関しては、前回もお話をしたと思いますけれども、予算の中で、知事査定に上がってきたというものでもございませんので。

 そういう意味では、その(知事査定の)前に決着をしておりますので、知事査定で議論をしたという経緯はございません。

 その前に、県警の本部長と、警察のさまざまなことについてお話をいたしましたときに、そのことも事例に出して、「今の県民の皆さんの思いとか目線ということを踏まえて、きちんとした対応をしてください」というお願いはしておりますし、そのわれわれの側の要請に基づいた予算を組まれているというふうに自分は理解をしております。

(大山:高知新聞記者)
 今回の捜査用報償費は、要求額どおりの1,200万円になっているようですが、執行額とともに要求額は減っていると思います。

 今回は、予算段階ですけれども、満額回答といいますか、要求額どおりの金額になっているということは、どういったお考えなんですか。

(知事)
 それはもう、事務的に決めておりますので、私の考えではございません。
 私は、先ほど申し上げましたように、県警本部長とお話をして、きちんとその面では対応をしていただけていると。

 もちろん、これまでもそうですけれども、これからの時代に備えての捜査費のあり方ということで、きちんとした対応をしていただいているというふうに理解をしております。

(大山:高知新聞記者)
 対応してくださいということを、この前、県警とお話しされたということなんでしょうか。

(知事)
 先ほどそのように申し上げました。

(岡林:高知新聞記者)
 先だっての庁議等に県警本部長もおいでになられたと思いますので、そういったお時間というのは、なかったわけですかね。

 先ほど言われた、お話をしたというのは、いつごろの(ことでしょうか)。以前のお話なのか、その庁議前後のお話なのか。

(知事)
 捜査費のことも含めて、それは、2回は本部長には話をしておりますので。予算のほかにもいろんな話が、細かいものも含めてございましたので、前か後かという細かいことは覚えておりませんけれども。

 予算のことだけを取り上げて、本部長と話をしたこともございますし、その際にも、きちんと申し上げております。

(岡林:高知新聞記者)
 今年度の当初予算ということで、お話をされたということですね。

(知事)
 もちろん、そうです。

(岡林:高知新聞記者)
 それに対して、一定、納得ができるものが出てきたというお考えを、先ほどおっしゃられたわけですね。

(知事)
 一定、納得が、というよりも、私は、当然、そうあるべきものだというふうに考えております。理解をしているということでございます。

【三位一体の改革】
(釜本:時事通信記者)
 三位一体改革の関係なんですけれども、今回の予算でいきますと、交付税額に絞れば、ほぼ横ばいという見込みになっておりますが、臨時財政対策債を除く実質的な分になると、相当なマイナスになっていると思います。

 国の方針として、ある程度、昨年度並みということが示されて、全国的な額としては、税収も含めて確保するけれども、高知県にとっては、税収が回復しなかったから、実質的にはマイナスということで、予算上は成り立っているんだと思うんですけれども。

 ただ、今年度、交付税の額が固まるまでに、高知県も財政確保のために、国に対して意見主張をしていくべきだとは思いますが、もう1度、覚悟のほどを確認したいと思います。

(知事)
 これは、もともと今回の三位一体の改革の政府案というものがまとまり、その後のいろんないきさつの中で、国の側、また総務省の側が、地方交付税と臨時財政対策債と地方税を合わせた一般財源は、16年度並みを確保いたしますと。

 ただ、地方税には、デコボコというものがあるので、そのデコボコのボコの部分というか、増収が期待できないところに対しては、地方交付税の措置などで配慮することで、全体がそう大きな落ちこみにならないようにしますということをお約束をされました。

 それは、ある程度守られてきているというふうに思います。ただ、そうは言いましても、相当な額での落ち込みというものは当然考えられるわけで、そのことを想定した予算を組んでおります。
 そこには、単に、国と地方というだけではなくて、地方の中で、県分と市町村分とのこととか、また、市町村合併との絡みとか、いろんな他の要素がございますので、なかなか一律に、国と地方との問題で、地方の反論を言っていくというだけではない面もあります。

 けれども、大前提としては、国に対して、やはり地方交付税が果たしている財源保障等の役割をきちんと説明をしていくと。

 これは、国というよりも、むしろ経済財政諮問会議の経済人であるとか、大手のマスコミの方だとか、そういう方に訴えるべきことかもしれませんけれども。そういう地方としての声というのは、これからも言い続けていかなければいけないということを思います。

 ただ、さりとて、国民健康保険の地方負担分が急に入ってくるとか、今後、生活保護のこともどうなるか分からないというような現状の中で、やはりいろんなことを覚悟し、想定をしながら、その中でもどうにか自立ができるという形をつくる努力をしていかないと、反論しているだけでは、済まないのではないかと。

 そういう力関係からいうと、厳しい現状ではないかということも思いますので、なお国に対しての反論、意見ということは言いながらも、自立ができる形というものを目指して、さらに努力をしていかなきゃいけないという思いでございます。

【全国知事会の会長】
(釜本:時事通信記者)
 予算の話と若干ずれるかもしれないんですけれども、国への意見書というところで言いますと、明日、全国知事会の会長選の投票があります。

 知事は増田さんのほうを支援するというふうに表明されているわけですけれども、現状の情勢をどういうふうに受け取っていらっしゃるのか。明日の知事会長選に臨むにあたってのお考えとともにお聞きしたいと思います。

(知事)
 私は、すでに申し上げましたように、増田さんに1票を投じたいと思っております。ただ、47人という限られた選挙権者でございますが、その人たちがどういう投票行動をするかまでは全く自分で予測をしたわけではございませんので、どうなるかは全く分かりません。

(市川:時事通信記者)
 お2人の所信が出されましたが、大きな違いはないという意見もありますけれども、知事としては、お二人の所信を比べてみて、どんなふうにお感じですか。

(知事)
 私は所信を求めていたわけではなくて、所信を見る前に、増田さんの支援を言っているわけですので、所信によって何かが変わったということはございません。

 どなたが所信を述べられても、これからの国とのあり方だとか、そこで地方が主張すべきことという点に、そんなに大きな違いがあろうとは思いません。

 むしろ、そういうことをアピールをしていくときの力とか。増田さんということで言えば、やはり若さということもあろうと思います。

 前から言っておりますように、あまり知事らしくないふうに見える方ですし、実際の立ち居振る舞いもそうです。そういうごく普通の知事らしくないという感じが、一般の方に与えるアピール度というのも、知事会として考えていくべきでないかなというようなことも思いますので。

 それから、これまでの、お付き合いの深さから言って、お人柄とか、その力量というものをよく知っているということで、私は、増田さんに1票入れようという決断をいたしましたので、所信によって何かが変わるということはございません。

【地域支援企画員】
(浜田:高知新聞記者)
 対市町村に話は戻るんですが、地域支援企画員が来年、3年目を迎えるということで、先日は、地域応援団長の方とも話し合いをされたかと思うんですけれども、この2年間の総括と、増員するということなんですけれども、今後の課題というのは、どういうふうにお考えかをお聞かせください。

(知事)
 課題は、それぞれの地域によって違いがあると思いますので、一概に言えることではないと思います。

 が、一般的に言えば、先ほどの予算の面の話の裏返しではございますけれども、やはり、市町村、市役所や町村の役場を、もちろん無視して動いていくわけにはいきませんので、いかに市町村との連帯感をつくっていけるか。

 また、市町村と地域で頑張っている方々との仲をつないでいけるかということに、1つの課題があろうと思います。
 私は、住民力を生かして、地域の支え合いの仕組みをつくっていくということを大きな県政の目標にしておりますし、それをつないでいく潤滑油であり、あるときはパイプ役として、大変大きな役割を果たしてくれていると思います。

 また、それだけではなくて、これまで続けてきました、県の経営品質の考え方、つまり、県民にもっと目線を向けて、県民サービスということを心掛けながら仕事をしていきましょうという、県の職員の意識改革という面でも、直接自らが地域に出ていって、いろんなニーズや課題にぶつかり、それを自らの力で考えていくと。

 つまり、今ある制度などをただ当てはめるということではなくて、「どうすれば皆さん方の問題に答えを出せるだろう」と自ら考えていく。

 そういう職員が1人でも2人でも育っていくことが、将来の大きな県庁の力になっていくというふうに思っております。

 そういう面で、私は、人材養成という面でも、経営品質という面でも、大きな効果のある事業であるというふうに受け止めています。

【副知事人事】
(市川:共同通信記者)
 以前からの質問になりますけれども、副知事人事についてですが、その後、何か方向性が出てきたのかなというような気もしますが、どうでしょうか。

(知事)
 方向性を出さなければいけませんので、そのための努力をしております。2月の議会にはお諮りできるように、努力をしたいというふうに思っております。

(岡林:高知新聞記者)
 それは、抽象的な意味合いととらえていいのか、一応具体の見通しが立った上での2月議会というお話なのか。そのあたりはどうなんでしょうか。希望的な思いでおっしゃっていらっしゃるのか。

(知事)
 単なる希望的な観測ではありません。何の想定もなしに「そうであればいいな」とか「そうでないと、時機を失するな」という程度のことで申し上げているわけではありません。

(岡林:高知新聞記者)
 ということは、知事が思われている方のご同意も一定得られたと考えてよろしいでしょうか。

(知事)
 いえ、まだそういう詰めが進んでいるわけではありませんので、そういうことも含めて、2月議会最終日までには、きちんと形を示したいという、今の時点での自分の思いを申し上げました。何もしていないというと、うそになりますので、そう申し上げました。

(岡林:高知新聞記者)
 それは、庁内、庁外という論議が、今まであったかと思います。そのあたりはいかがですかね。お考えとしては。

(知事)
 庁内か庁外かといえば、庁外でございます。

(市川:共同通信記者)
 以前、高知県と何らかのつながりのある方をというお話でしたけれど。

(知事)
 それは、これまでも候補として、いろんな言い方をしましたので、そういう一般論の中の1つでございます。

(岡林:高知新聞記者)
 一応、県庁の仕事も分かってらっしゃって、という思いも変わりないですね。

(知事)
 そういうことも、自分のもともとの思いとしては、ございました。

(岡林:高知新聞記者)
 そういうことに適合される、もしくは、そういう知事の期待に応えられる方だというふうに思って、よろしいですね。
 今の思いというのは・・・。

(知事)
 思いはそうでございます。

【予算に対する見解(2)】
(亀岡:朝日新聞記者)
 最初の話に戻るんですけれども、今後3年間に向けての一定の道筋はつけられたというお話だったんですけれども、一方で財源不足が3年間でなくなるのかという議論でいえば、必ずしもなくならないという見方もあると思うんですよ。

 むしろ、そういうふうな試算もありうると聞いているんですけれども、その中で、道筋をつけることができたと言えるのか、財源不足がなくなるということになるのか、お聞きしたいと思うんですが。

(知事)
 私としては、道筋をつけたとも言えるんじゃないか、という程度の思いで、道筋をつけたと胸を張れるものではありません。

 来年度に向けても、できればやはり、(財源不足額は)100億円以内、少なくともその前後まで抑えたいという思いで、私も各担当者も、取り組んできました。

 現実的には、ほぼできておりましたけれども、先ほど申し上げました、国民健康保険の地方負担分。これが保険基盤安定制度の負担分と、それから新しく入ります都道府県財政調整交付金の部分と、2つ足し合わせまして四十数億円になります。

 一般財源の一般性が、その部分で制約を受けてくるということになりますので。つまり、本当は110(億円)とか120(億円)とかいうところまで(抑えて)きていたものが、165(億円)になったという現状があります。

 そういうことから言いますと、今後もさらに生活保護だとか、いろんな形で制度の見直しが行われたり、また、国庫補助負担金が単にスリム化するというような今の流れが止まらないとすると、非常に厳しいということを考えていかなきゃいけないと思います。

 それで果たしてできるんですかということは、それでやらないと、もうすでに財政調整基金は全部底をつきますし、その他の財政調整的な基金まで含めても、底をついていきます。

 で、財政健全化債も一定、人員の削減計画といったような行政改革の裏打ちがあって、初めて発行できる起債でございますので、それにも限りがございます。

 ということから言えば、そうしない限りは、財政再建団体に落ちるということを現実の問題として考えなければいけませんので、そこは、できるできないというよりも、もう、しなければならないということになっていこうと思います。

(味元:県広報課長)
 それではよろしいでしょうか。

(知事)
 ありがとうございました。
 
 
 


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