公開日 2007年12月08日
更新日 2014年03月16日
NHK4県知事会談録
(メンバー)
飯泉徳島県知事
真鍋香川県知事
加戸愛媛県知事
橋本高知県知事
番組名:四国スペシャル「元気が出る四国・4県知事会談」
収録日時:16年2月7日(土曜日)14時20分から16時00分
放送日時:16年2月7日(土曜日)19時30分から20時39分(NHK総合・四国域内)
収録場所:NHK高知放送局
(項目)
・今年のキーワード
・元気の出る四国を目指して−これがわが県の活性化策−
・元気の出る四国を目指して−各知事からの提案−
・三位一体の改革について
・市町村合併・道州制
・今年1年の抱負
〇司会
景気が低迷し、四国は厳しい財政事情が続いています。今後、四国が生き残るためにはどうすればいいのか。
NHK高知放送局に四国4県の知事が集まり、未来を話し合う四国知事会談です。
進行はNHK松山放送局の昼間とニュースデスク正延です。よろしくお願いいたします。
まず、知事の皆さんがことし1年、一体どんなことをしていきたいのか、キーワードにまとめていただきました。順にご紹介してまいります。
まず高知県、橋本大二郎知事です。よろしくお願いします。
≪今年のキーワード≫
〇高知県:橋本大二郎知事
よろしくお願いします。
僕は「住民力」という言葉を挙げました。この意味は、財政が大変厳しくなる中で地域のサービスを落とさないためには、地域の住民の方々の力をお借りする、またそれを活かしていくということがキーワードではないかと思うからです。
例えば、南海地震に備えての自主防災の仕組みだとか、またお年寄りが増える中で医療費や介護の費用を増やさないために健康づくりをしていくとか、また逆に少子化が進むわけですけれども、それは親子の問題だけではなくて、地域全体で子どもを育てていくような仕組みを考える、こんな地域の支え合いの仕組みが必要だと思います。
そこに住民の皆さんの力をお借りすれば、といっても行政の側にお金が無くなったから「さあ、お任せよ」ではいけませんので、行政の側も地域の現場に出て行って、一緒にそういう支え合いの仕組みをつくっていければ、財政が厳しくなっても地域のサービスの水準、また元気さを保っていけるのではないかな、そんな思いを「住民力」という言葉に込めています。
〇司会
続いては愛媛県、加戸守行知事です。よろしくお願いいたします。愛媛県は「愛と心のネットワーク」ですね。
〇愛媛県:加戸守行知事
よろしくお願いいたします。
今、橋本知事のおっしゃった、住民力とやや似たようなところございます。
要するに余力のある人が、弱っている人、あるいは困っている人を助け合う仕組みづくりをしたい、そんな意味で今、子育て支援にしても、高齢者の介護にしても、障害者の支援にしても、どちらかというと税金依存、行政依存の方向へ流れすぎている。
これは供給側が、自分はこういうことができますよ、一方において、こちらではこういう手助けがあると助かるなと、そういう供給と需要をネットワークで結びつけて、みんなが支え合って作ろう愛媛の社会、それを「愛と心のネットワーク」と称しています。
愛媛県でも例えば、介護給付費だけでも、スタートして毎年100億円ずつ給付が増えていっているのですね。そういった経費の増大を防ぐ意味もありますけれども。やはりそれぞれの人がみんな、人間の尊厳を持って生きていけるような大家族社会をもう1回再現したい。その願いを込めております。
〇司会
続いては徳島県、飯泉嘉門知事です、よろしくお願いいたします。徳島県は「オンリーワン徳島」そして「環境首都徳島」ですね。
〇徳島県:飯泉嘉門知事
よろしくお願いいたします。「オンリーワン徳島」ということで、と申しますと四国で一番とか、あるいは全国でベスト4とか、こう順位にこだわるという、そういう施策が多い訳なのですが、例えば農業振興にしても、あるいは景気雇用対策、あるいは環境施策そういったものについても、まず徳島の持てる力、これが一体今どうなっているのか、それを十分にまず分析をしてそして理解をして、それを徹底的に高めていくのだと、その結果全国から、例えば環境施策だったら徳島を見ろといわれるような、そういう徳島にしていきたいと。
そういう中で21世紀、これは環境の世紀といわれているのですね。その中で行政はもちろんのことなのですが、県民の皆さんあるいは事業者の皆さんに、この環境というものに対して高い意識を持っていただく、そういう県をつくっていこう、そういう意味で「環境首都徳島」、これも実現していきたいなと、このように考えています。
〇司会
そして香川県、真鍋武紀知事です、よろしくお願いいたします。香川県は「にぎわい創出」ですね。
〇香川県:真鍋武紀知事
どうぞよろしくお願いします。わたしは、先ほどのVTRにもありましたように四国の経済、どうもちょっと不況ですから、何とかにぎわいを出して経済の活性化を図りたいということで、実は香川県は観光振興に力を入れております。
昨年の4月から観光交流局というものを作って取り組んでいるのですが、ことしはいろいろな、全国的なイベントとか記念行事とかあります。例えば、金比羅さんが33年に一度のご遷座祭というものがあります。それからまた、こんぴら歌舞伎もですね、20回目という節目の年です。それから、イサム・ノグチの生誕100年とかですね、さらには全国豊かな海づくり大会と、こういうのもございます。
それと長年かけて整備を進めてまいりました、サンポート高松というのがグランドオープン5月にします。それからさらに、休業しておりましたレオマワールドが4月に再オープンするというふうな運びになりましたので、ぜひ多くの人に、四国の方はもちろんですけれども、全国から多くの方に来ていただいて、にぎわいの香川県、にぎわいのある四国にしたいとこう思っております。
≪元気の出る四国を目指して−これがわが県の活性化策−≫
〇司会
各知事の皆さんにことし1年のキーワードを伺いました。
さて、全国的に景気は回復傾向にあるといわれていますが、四国の経済は、依然として厳しい状況でございます。
こちらをご覧いただきましょう。こちらは企業短期経済観測調査、いわゆる短観です。去年の12月に日本銀行が発表したもので、四国のおよそ430の企業に景気の判断を聞いたものです。
良いと答えた企業から、悪いと答えた企業を引いた数でして、マイナスになればなるほどに景気が良くないということを示しています。ご覧のように、全国平均ではマイナス15なのですが、四国の4県ともその平均を上回っていまして、特に高知の場合はマイナス43となっています。
最初のテーマ、といいましても番組全体のテーマは元気が出る四国ということで、このような状況の中、四国の経済をどう活性化していくのかを、まず話し合っていただこうと思います。
ただ、景気の回復が実感できない一方で、四国4県にはそれぞれ、実は独自の技術も生まれているのです。まず、VTRでご覧ください。
−VTR(愛媛県「愛媛大のタンパク質合成技術」、高知県「透明導電膜の製造技術」、徳島県「LED」、香川県「希少糖」について現状紹介)−
〇司会
世界に誇れる技術が数々、四国にはあるということが今のVTRでお分かりいただけたかと思います。
これをいかに経済の活性化に結びつけていくかということを、知事の皆さんにお話しいただきたいと思います。
まず、高知県の橋本さん、「透明導電」電気を通す膜ですか。
〇高知県:橋本大二郎知事
これでございます。正直をいうと今日初めて手にいたしました。(笑)
文字通り透明で電気を通すということですけれども、先ほどのVTRにもありましたように、プラズマとか液晶のテレビ、また太陽電池などの価格を半分くらいにできるのではないかと、数兆円の市場が期待できるのではないかということで、大いにぜひこれを売り出していきたいというふうに思っています。
〇司会
自らが大学の理事長を務めていらっしゃいますけれども。
〇高知県:橋本大二郎知事
そうですね。それから、県も地域結集型共同研究事業という名前で、相当のお金をつぎ込んで応援をしております。産学官共同のモデル的な事業ですので、具体的な成功例をまず出すことが必要だなと思っています。
〇司会
今後、どうやって高知の経済の活性化に、これを結びつけていくのですか。
〇高知県:橋本大二郎知事
これはもう大手の企業が、もちろん入っての研究でございますので、4つある柱のうちの一つがこの透明導電膜なのですけれども、17年――まあ、再来年度ですね、17、18年度には、ぜひ事業化に結びつけるという方向で今取り組んでいます。
〇司会
そうですか。楽しみですね。
〇高知県:橋本大二郎知事
「捕らぬたぬき」にならないように頑張ります。(笑)
〇司会
そして愛媛県は産学共同といいまして、愛媛県でもタンパク質合成技術ですね、加戸さんにもお持ちいただきましたけれども、まさに宝箱に入っているというような……。(笑)
〇愛媛県:加戸守行知事
今までタンパク質を作るためには、DNAを大腸菌の中に入れて、2、3ヶ月掛かりで、ごく少量の種類も極めて限られたものしかできなかった。
この遠藤教授の「小麦はい芽抽出液」で、ここにDNAを入れますと、1日で500種類ぐらいのものが非常に大量に生産できるということで、使い方によりますけれども医薬品をはじめ、遠藤教授は環境、医療、その他あらゆる分野にということを言われております。
大学の事務局の話ですと、将来は100兆円産業と言っていますので、今愛媛県の県民総生産額は5兆円切っていますから、愛媛県は20倍の力を持つようになれば、交付税も返上して東京都に仕送りが出来るのではないかと(笑)、そんな期待も込めてノーベル賞ものの、この事業の伸展を産官学、すべてで取り組んで大きな事業に発展してもらいたい。それを願っております。
〇司会
いろんな規制緩和が受けられる構造改革特区にも指定されていますけれども、これを今後どうやって活用していきたいとお考えですか。
〇愛媛県:加戸守行知事
ええ、いうなればこれで製造するタンパク質がどんな用途に使えるのか、そういった学問的ないろんな検証も必要になりますけれども、端的にいえば、例えばSARSを防止することとか、そういう形で医薬分野がまずこれから当面のターゲットだろうと思っております。
〇司会
はい。
さて今、構造改革特区の話も出ましたけれども、香川県の方でもバイオクラスター、企業集合体の特区に認定されておりますね。
特に先ほどご紹介があった希少糖、今日お持ちいただいておりますけれども。
〇香川県:真鍋武紀知事
これなのですけれども、これ先ほどお話がありましたように1グラムが6万円以上する、大変貴重なものでございましてね、自然界にはまれにしかないというものでございます。
ここへ持ってきましたけれども、この瓶に6分目ぐらいしか入ってなのですが、大体これで1,800万円。まあ、われわれ4人の知事の年俸より、ちょっと低いというぐらいの価値があるものなのです。(笑)
これを使いまして、先ほどご紹介がありましたように医薬品、糖尿病の薬とか、がんの薬とか、それから機能性食品、これを食べていたらがんになりにくいとか、そういうふうな食品を作り出していきたい、というふうに思っておりますし、それから特区に認定されましたおかげで、外国人の研究者を呼びやすくなりまして、現実にフィンランドの人とかあるいはカナダの研究者、それからバングラデッシュの研究者がすでに香川、高松で働いていただいております。
それからそういうことで、ここで学会、希少糖学会というのを世界で初めて立ち上げまして、すでに第一回の国際学会がありまして、大体13カ国から150人ぐらい集まりまして、非常ににぎわいを見せておりますし、ぜひこれを早く成功させたいと、こう思っています。
〇司会
香川が世界の中心としてということですね。はい。
〇香川県:真鍋武紀知事
そう、そうそうそう。はい。
〇司会
そして徳島ですけれども、「発光ダイオード」今日、お持ちいただいていますね。
〇徳島県:飯泉嘉門知事
はい、そうですね、ご覧を。
これ赤ですね、それでここがグリーンで一番のポイントがこのブルーと、これによりまして光の三原色が全部そろうということ。
特にこのブルーについては、20世紀中には開発をなかなかされないだろうといわれた、世紀の大発明ということで、これについては、今3県の知事さんからあったものと違って、これもう実用化をされておるというもので、大型のディスプレイとか後、信号(機)ですね、先ほど話があった、信号の消費電力、これは従来のものに比べて半分になると、また耐用年数も従来、たいてい電球の信号(機)というのは2年ぐらいなのですね。
これですと10年もつと、また運転を皆さんされますと、西日が当たると信号(機)が非常に見えずらいと、ところがこの発光ダイオード、LEDを使ったものについては、非常にクリアに見えるのですね。
ですから、そういう意味で消費電力あるいは耐用年数を掛けますと、「2×5」ですから従前の10分の1なのですね。そういう意味では、非常に熱源という意味でも環境にやさしいですとか、あるいは耐用年数も長くなってくる、いろんな形でプラス、コストも安くなってくるということで一石三鳥の開発なのですね。
〇司会
徳島県の場合は、ベンチャー投資額が全国でもかなり上位の方だそうですね。
〇徳島県:飯泉嘉門知事
そうなのです。いや、というか一位なのですね。
ええ、投資件数も、あるいはその投資の額もナンバーワンということでしてね。はい。
〇司会
そういうものは行政としてなにかこう、ますます支援して盛り上げていく必要がありそうですね。
〇徳島県:飯泉嘉門知事
ええ、やはり徳島の場合に「進取の気質に富む」という県民性がありまして、いろいろ開発をしていく、そういう意欲が盛んなわけですね。ですからその声に答えて、しかもそれをただ思い付いただけではなくて、それの実用化を図っていく、そういう意味で、産学官連携でそれを後押ししようということで、従前からずっと対応させていただいています。
≪元気の出る四国を目指して−各知事からの提案−≫
〇ニュースデスク:正延
なるほど。今ですね、ちょっと先端技術を中心に、各県のお話を伺ってきたのですけれども、経済活性化に対しては、まずソフト、観光なども含めてソフトの面でまだいろいろ切り札皆さんお持ちだと思うのです。
それが、さらに4県連携して経済活性化に活かしていければ、またこれは素晴らしいことだと思うのですが、そこで今日は、事前に皆さんに何か提案を用意していただいたということで、橋本さん、まずどのような提案ですか。
〇高知県:橋本大二郎知事
はい、僕はSLの復活、蒸気機関車ですね、というのを掲げました。
というのは、ちょっと前になりますけれども、4県をJR四国さんが蒸気機関車を走らせるということをやられましたら、大変県外からも、四国の島外からも多くの方々が来られました。それでJR四国さんが、「ぜひ四国でこのSLを持ちませんか」という提案をしていらっしゃいます。
具体的にいうと、SLを復活させるのに2億円、それからレトロの列車を付けるのに1億円、つまり計3億円で、4県で割りますと7,500万円ずつ負担をすれば、後の維持・管理はJR四国の方でやりますと、これでぜひお客さんを呼んで、四国4県のあちこちをSLが走る、そういうことを一つ観光の起爆剤にしたらどうですかというご提案があって、僕はとてもいい話ではないかなと、夢のある話ではないかなと思って、ぜひほかの3県の知事さんにもご賛同いただいて、挑戦できればなというふうに思っているのです。
〇司会
まあ、四国の古い町並みをこうSLが走り抜けるという。
〇高知県:橋本大二郎知事
そうですね、はい。町並博も愛媛でございます。
〇司会
そうですね。加戸さん、そのあたりどうですか。SLの今構想が出ましたけれども。
〇愛媛県:加戸守行知事
ええ、山口県でD51(デゴイチ)が走って魅力を持ちましたよね。
今四国4県の中で、これダイヤ編成もあるでしょうけれども、SLが走ると四国の大自然の中で一番ぴったりした風景になっていくだろうと思いますね。
〇司会
今、町並博のお話も少し出ましたね。
〇愛媛県:加戸守行知事
はい、高知県からご紹介をいただきましてありがとうございました。(笑)
〇高知県:橋本大二郎知事
高知にもお客さんを呼んで欲しいのです。(笑)
〇愛媛県:加戸守行知事
内子、大洲、宇和といった江戸時代以来の古い町並み、それから昭和初期の町並み等々、今あるものを活かして、パビリオンなどは作らないで、そしてそれぞれの地域住民の自主企画イベントで盛り上げていって、このすばらしさを再発掘して、全国の方に認識していただきたいという考え方で開催します。今年の4月から10月、半年間かけて、地味ですけれどもしっとりとした味の旅行になっていただければなと願っています。
それと同時に四国4県でお願いしたいことがありまして、佐渡おけさではないのですけれども「四国、四国と諸人来たる」、一つは四国の自然もあります。
それから1200年前からの八十八カ所巡りに対するお接待のもてなしの心。それに合わせてインセンティブツアーといいますか、韓国・中国・東南アジアの方々、学者・学生の研修旅行の企画とか、あるいは青少年のスポーツ交流とか、そんな形で内外の方々が四国へ訪れるきっかけをさまざまな形で4県連携すればいい企画できるだろうなと、そのことが四国の活性化につながる。
産業の進展はもちろんですけれども、観光はこれから四国の未来を握っている。そんな意味で取り組める大きな材料だと思っています。このことは真鍋知事が言われた、「にぎわい創出」にも当然つながります。
〇香川県:真鍋武紀知事
そうですね。(笑)
〇司会
観光で結び付くというのは一番、これ連携の可能性がありそうですけれども、真鍋さんそのあたりはいかがでしょう。
〇香川県:真鍋武紀知事
そうですね、やはり観光で4県一体になってやることが大事だと思います。特に外国から、韓国・台湾あるいは中国から観光客を呼んで、そうしますとやはり1県だけではちょっと狭すぎる、四国で一体となってそういうことをやる、さらには中国地方あるいは関西とも連携してやることがわたしは大事だと思います。
それから、たくさん来てもらうということと同時に、われわれが打って出て首都圏とか関西圏でいろんなことをやったらどうかなと、その一つとしまして、今BSEとかあるいは鳥のインフルエンザとか、食の問題が非常に話題になっているのですね。
それで四国4県とってみますと、ここは自然の中で非常にいい産物がたくさん取れているのですね。
それで徳島のスダチであるとか、いろいろなものがたくさんありましてこれを、ところが意外と、首都圏とか関西の大都市の消費者に知られてないということもありますので、首都圏のホテルなどと連携して、この四国「食のフェア」と、こういうものをやって売り込んでいったらどうかなということで、必ずこれ品質もいいですし、それから自然の中で取れたものということで、うまくやれば大いに活性化につながるとこう思いましてね。ぜひ、こういうことを連携してお願いしたいと思います。
〇司会
東京の新橋に、愛媛県と香川県の共同アンテナショップが大成功しましたね。
〇香川県:真鍋武紀知事
ええ、おかげさまでね。
〇司会
そういう意味で、食の結び付きというのも十分可能性があるということですかね。
〇香川県:真鍋武紀知事
そうですね。わたしは、やはりこの四国というのは自然も豊かですし、それから非常にいい環境の中でできている食品という意味で今の時代に合っておりますし、非常にチャンスだと思っていますので、ぜひ出来るだけ早くやりたいと思いますね。
〇愛媛県:加戸守行知事
2県交流なのですけれども、やや讃岐うどん優勢なものですから。(笑)
じゃこ天うどんで食べてもらって。(笑)
〇香川県:真鍋武紀知事
いやいや、岬(ハナ)アジ・岬(ハナ)サバといいまして、サバのおいしいのを愛媛県がやっていましてなかなか好評です。
〇司会
ああ、いいですね。お互い良さを認め合っているということで、はい。
さて徳島の飯泉さんは、何か提案はございますか。
〇徳島県:飯泉嘉門知事
今、皆さんからもお話がありましたように、やはりにぎわいなのですね。四国へいかに多くの人が来ていただくかと、四国の中でもただ徳島だけに来られるというだけではなくて徳島、そして当然、香川・愛媛・高知と、そういうにぎわい、そして人が動くというこれが一番ポイントだと。
実はことしから3年間、ことしを含めてなのですけれどもサッカーイヤーなのですね。ことしはアテネオリンピックがありますし、今いよいよサッカーだという話がありますね。
また、2006年にはドイツでワールドカップがあるのです。そこに向けてことしが第一次予選、また来年が二次予選、そしていよいよ2006年が本番ということで、ただ残念ながらこの四国にはJリーグ、J1・J2通じて一つもチームがないということで、ぜひ四国で初のということで出しておりますが、Jリーグのチームを実現していきたいなということですね。
〇司会
これ1月に県民企業・行政のJリーグ推進協議会というのを設立しましたね。
そうすると、いよいよ実現に向けて動き出したということですね。
〇徳島県:飯泉嘉門知事
ええ、今、いよいよ議論をしていただきまして、そして実現に向けて8月には運営法人を立ち上げて、9月には申請をという形で進めたいとこういうふうに思っておりまして、やはりこれも県民の皆さん。
それから後、事業者の皆さん、企業の皆さん、そして行政が三位一体で取り組まないと、これはなかなか達成できないものなのですが、しかしこれも徳島だけというのではなくて、大体、今ホームゲームが20試合あるのですね。これを今、鳴門でと、こう考えていますので、それであれば実は鳴門に近いのは香川の方が近いのですね。
そういうことを考えれば、香川で例えば5試合とかホームゲームを持っていただくと、あるいは高知でというのが一つ考えられるのではないのかなと。
また、さらにはもう一つ四国ダービー、やはり相手がいなければというのがあります。今愛媛FC、愛媛県の方で、やはり愛媛さんもJ2に向かってというのがありますので、ぜひとも今日は加戸知事さんもおられますからご理解をいただいて、
そうすると四国決戦ということも、もし将来ということですが、J2の優勝に向けて、あるいはJ1への入れ替えに向けて天皇杯でというところで愛媛と徳島でと、また四国ダービーの決戦がと、またそこでは全国の放送が出て、ここに四国のいろいろな企業の広告が出ると、「ああ、あんな企業」「ああ、あそこは四国なんだ」と言ってもらえるような、そういうようなにぎわいが期待できるのではないのかなと思っています。
〇司会
そうですね。愛媛FCは加戸さん、今どうなのですか、状況としては。
〇愛媛県:加戸守行知事
ええ、クラブチームで、特定企業スポンサーの無い唯一のチームで、JFLで去年3位でしたからすごく盛り上がってきましてね。
県もせめてJリーグ昇格へのスタンドの整備、1万席以上ということをお約束したところなのですけれどね。
かなり前途大変でしょうけれども、しかし本当に将来、徳島・愛媛に2チームもできればいいですね。ただネーミングライツを売買しなければいけなくなるようなことがありうるのかなと思い、そのときには高知・香川にも買っていただいて。(笑)
〇司会
ぜひ、四国決戦期待したいと思います。ありがとうございました。
ここまで、4県の技術をどう経済活性化に結びつけていくかなどを伺ってまいりました。四国スペシャル4県知事会談をお伝えしています。
≪三位一体の改革について≫
〇司会
さて、ここからは地方分権時代の四国というテーマで、四国の行財政について話し合っていただきたいと思います。
小泉総理大臣が進めます、構造改革の大きな柱として推進されているのが、国と地方の税と財政のあり方を見直す「三位一体改革」です。こちらをご覧ください。
国から地方へ毎年、補助金と交付税が40兆円配分されています。これがどうなるかといいますと、現在、国は補助金、国庫補助負担金ですが、これを平成18年度までにおよそ4兆円削減して、地方交付税も抑制をするという方向で見直しを進めています。
その一方で、地方が自由に使えるお金を増やすよう、国から地方に税源を移す、いわゆる税源移譲の検討も進めているのです。
この三つを同時に進めていこうというのが「三位一体」の改革です。去年の12月、国は来年度の「三位一体改革」の内容を決めました。なぜこの「三位一体改革」が、今行われようとしているのか、その理由、背景などをご覧ください。
−VTR(「三位一体の改革」の内容について)
〇司会
はい、「三位一体改革」の背景、それからいきさつなどについてご覧いただきました。
改めまして、来年度の「三位一体改革」もう一度こちらでご覧いただきたいと思います。内容です。
まず補助金なのですけれども、来年度は1兆円削減されます。交付税も1兆2,000億円抑制される方向です。
それから税源移譲ですけれども、これは所得税の一部を地方へ移す、いわゆる所得譲与税、これが4,249億円という内容になっています。
まあ、かなり地方にとっては厳しい時代ということになりましたが、この平成16年度案を皆さまどのように見ているのか、伺っていきたいと思います。
今日は、お手元にこの16年度案を評価するか、しないか、マル・バツを用意いたしましたので、一斉に上げていただけますでしょうか。お願いいたします。
はい、加戸さんはマル、真鍋さんはバツ、そして橋本さんも飯泉さんも評価できないと、マルかバツしかないので、なかなかどちらともいえないというのが無いのですけれども、加戸さん以外は皆、評価されていないということでしたが、加戸さんはどのあたりをこれ評価されました?
〇愛媛県:加戸守行知事
先ほどの解説の中で、実は交付税の1兆2,000億のカット以外に、交付税の不足分を補てんする臨時財政対策債がこれまた1兆円削減されていますから、もっともっと地方に対する影響大きいのです。
そういった点では、来年度予算編成でもこの「三位一体」の改革で、愛媛県だけでも270億円程度の影響が出ます。ただし、今の国・地方を通じての財政状況の中で、国依存のままでは、子や孫にどんどん借金のつけ回しをすることになります。これしかないだろう、そんな意味の「三位一体改革」の第一歩だったと思いますので、手法その他に極めて問題はありますが、踏み出したこと、そのことをわたしはギザギザの付いたマルとして評価したいと思っております。
〇司会
なるほど、はい。
後のお三方は皆さん、評価できないという判断でしたが、橋本さんはどのあたりが評価できませんか?
〇高知県:橋本大二郎知事
ええ、先ほども4人で話をしていたとき「三角だったらどうするか」という話で、これくるくる回したらいいのじゃないかという話が出て、「三位一体」の改革そのものに関しては、これは3つのものを一遍に見直していくと、それによって先ほど小泉総理も言っておられたように地方の裁量権を拡大する、つまり自由度を広げていくということですから、それは基本的に賛成です。
だけれども、今のご質問は16年度、初年度のこの「三位一体」の改革をどう見ますかということだからバツを出しました。
その意味は、加戸さんとあまり開きはないのではないかと思います。それといいますのは、「三位一体」といいながら、地方交付税の部分は、また関係する省庁の間の話し合いで決まっていき、というような形に「三位一体」になっていない。
ばらばらで行われているのではないかということと、その地方の裁量権を拡大するという、一番地方にとっては肝心な部分がほとんど実現されていないという点、税財源の移譲についても公共事業の4,500億円分、また奨励的補助金の1,000億円分、これは税財源移譲がなく、この1兆円の中に織り込まれている、などなどですね。非常に本来の趣旨から外れているということから、この16年度についてはバツということにしました。
〇司会
そうですか。真鍋さんも評価できないと。
〇香川県:真鍋武紀知事
そうですね、今お話がありましたように、地方分権を進めるために「三位一体」でやると、そういう理念は、わたしは評価しているのです。そういうのを掲げて推進するということは、これからの我が国を、この日本の国をいい国にするためにはぜひ必要だと思っていまして、わたしも推進論者なのですけれども、ただ今回のを見ていますと、理念は掲げているのですけれども、やったことは、要するに補助金をたくさん切って交付税も減らして、税源移譲をしなかったというふうなこと。
それからやはり地方が責任を持ってやるためには自由度を、自由にやらせてもらわないと、手足を縛られているのはせっかく移してもらっても意味がないので、やはり規制緩和といいますか、いろんな法律とか通達とか政令とかいろんなもので縛りをかけられておるわけですから、これをやはり一緒に、むしろ緩和しないといけないと思いますので、その点が全然無くて、ただ切りっぱなしということで16年度についてみると非常に自由度はない。
それから税源は移譲しないと、ただ切りっぱなしと、地方に負担を押しつけただけという点でわたしは評価できないと、こういうふうに申し上げたいと思います。
〇司会
はい。飯泉知事もどうでしょう。この「三位一体改革」自体は賛成派ですか? それとも「三位一体改革」自体が…。
〇徳島県:飯泉嘉門知事
ええ、加戸知事さんがまさに言われたように、この3年間でしかも「三位一体改革」で税源を移譲していくのだと、そして国から地方へと、このことの理念については賛成です。
しかし、今お話がありましたように、例えば補助金を1兆円切りましたと、それで地方の自由度が全部増したのであれば、それは何の問題もないと。あるいは、それは歓迎ということなのですが、公共事業の分ですとか、何も地方には全然権限も下りてなければ、ただ単に国のつけを地方に回された、つまり単なる1兆円を減らすというこの点についてだけの帳尻を合わせた今回の改革だったと。
それからもう一つは、議論が全くなく、特に四国4県にとっての一番の稼ぎ頭、財源である地方交付税、全国は県税なのですよね。ところが四国4県共通して地方交付税がトップなのです。それがあっという間に切られてしまったと。われわれ徳島でも220億円も減だった。これは何の議論も無かったですね。
この3年かの間で当然交付税についても見直しをしていくのだという話はあったのですが、突然もう――何というのですかね、「ごめん」ということでバシッとこう切られてしまったと、これはちょっとひどいのではないかと、あまりにも性急すぎる、理念がなかったということを言わざるを得ないということですね。
〇ニュースデスク:正延
この三位一体の改革の中の、補助金の削減については加戸さん、かなり義務教育関係の補助金のカットというのに反対される意見を、あちらこちらで述べていらっしゃいますけれど、これはどういうことが背景にあるのでしょうか?
〇愛媛県:加戸守行知事
全国知事会も補助負担金9兆円の削減を求めておりました。政府の方は3年間で4兆円の削減と言っていますが、スタートの時点で3兆円近くが義務教育国庫負担金なのですよ。順番を誤ってはいけないと。まず義務教負担金ありきでは本当に地方が必要かどうか、地方に判断してもらうのは少なくて、義務的な経費の義務教負担金だけをばっさりと切ると数字は合うでしょう。そういうことでいいのでしょうかということが一点。
それから、かつて昭和25年から3年間、地方に移譲されたことあります。そのときは県財政の都合で、全国の義務教育の水準はアンバランスが目立ちました。二度とそういう愚を繰り返してはいけない。
それから、義務教育は地方の仕事なのですか。これは国が国民に義務付けた制度でしょう。ならば国は、財源を半分は当然確保して交付金としてやるべき制度ではないのでしょうか。国と地方の役割分担とは何でしょうと、全部地方にお任せといった性格のものではないはずです。
それから、これは技術的な話ですけれども、多分一般財源移譲となれば、東京都は大喜びでしょうが、へき地・離島を抱える県はバサバサ金額が減る。もちろん交付税による調整機能があるとしても、東京都が儲かる分ははき出して地方へ、元へ戻してくれるのですか。そういった見通しもなしに、単に金額が多いからトップバッターで義務教負担金を廃止していくという方向に、大変な危機感をわたしは覚えております。
〇司会
義務教育はあくまで国が面倒を見るべきであり、教育に格差が出るのではないかという懸念が今ありましたけれども、これ橋本さん、このあたりのご意見はどんなふうに受け止められていらっしゃいますか?
〇高知県:橋本大二郎知事
ええ、基本的に教員の数の確保というのは必要だと思います。ですから、少し難しい話になりますけれども、標準法といいまして、高知県であれば何人の教員がということを法律で決めております。この人数が確保されるのであれば、その中でのいろんな使い方、チームティーチングを増やしていくとか、少人数学級にしていくとか、そういう使い方はやはり地方にとって自由になるべきだと思います。
今、文部科学省というか、国の方で総額裁量制、全体の枠を、教員の数がこれで、それに対して地方に交付する金額はこれだけですよと、その中での使い方は自由にしてください。つまりできる先生と、やや力のない先生の水準を変えて、そういうことでフレキシブルに使ってください、という案を出しておられますので、どう受け止めていくかということを地方として議論しなければいけないと思います。
やはり、加戸さんが言われましたように、ただ単に、金額だけがちょうどそれに見合うからというのは、生活保護費の負担率の問題も同じようなことだと思います。
そういうようなことから、最初議論された気配が感じられますので、愛媛県と同じように中山間地域、過疎地域を抱えている本県にとって、単に子どもの数だけで、その教員の数が決められてくるというふうなことに今後なりますとね、それは非常に教育水準ということからも問題があるのではないか、ただ一方で地方の自由度は増す方向で考えてもらいたい、まだこういう少し揺れ動いた答えになる現状だと思います。
〇司会
はい、お伝えしておりますように、地方の財政の影響が非常に大きいこの「三位一体改革」ですけれども、来年度各県の財源が少なくとも200億円から300億円ぐらい少なくなるというふうにいわれております。予算が足りなくなりますと、当然公共事業の見直しということを図らなければならなくなるのですが、少しこちらをご覧いただきましょう。
各県の橋や学校など公共施設を新たに作る費用、普通建設事業費の割合です。ご覧のように年々、年々右肩下がりで減ってきております。
ただ、この財源が不足してこの公共事業を抑制する一方で、景気の回復も図っていかなければならないというジレンマがあるわけですけれども、こうした事態にどのように対応していこうと、橋本知事はどのようにお考えですか?
〇高知県:橋本大二郎知事
ええ、公共事業に関しては、これまでも事業評価を取り入れるとか、それから計画が立てられてからなかなか実現していないものに、タイムリミットを取り入れるというようなことで見直しというか、重点化を図ってきました。これからもその重点化、優先順位をきちんとつけていくということが必要だと思います。
ただその中で、その優先順位を県が一方的に決めていいのかということは、十分議論しなければいけませんので、高知県ではブロックを幾つかに分けて、その地域ごとで道路とか橋という従来型の基盤整備だけでなくて、情報化の基盤としてどういうものを採用していくか、またそのことも含めて、何を優先順位にしていくかということを地域の住民の方も含めて議論をして、それで優先順位をつけていくということをぜひやっていきたいと思います。
合わせて、公共事業は単にストックを作っていくというだけではなくて、フローの地域への経済効果というものがあります。ですから、全体は削減される中でも、せっかく県内で投資をするものが県内の経済効果として生きていくように、また今後、南海地震への備えとか、高齢化に備えての住宅づくりとか、いろいろな課題が出てきます。こういう課題を地域の経済、雇用に結び付くような仕組みにしていく、そういうことが大切なことだと思っています。
〇司会
はい。
香川県の真鍋さんは、以前の会見で公共事業対前年比10%削減ということもおっしゃっていますけれど、これ見通しとしてはどうなのですか?
〇香川県:真鍋武紀知事
そうですね、我が県もかなり財政が逼迫(ひっぱく)していまして、何とか16年度予算を組もうということでやっていたのですが、例の「三位一体」で、やはり200億円ぐらい予想が狂いまして、慌てて今、予算作業をやっているのです。
従来から、ちょうど去年に大体5、6年先のことまでにらんで財政再建策を立てて実行していこうと、10%ぐらい切っていこうというふうなことでやっていたのですが、なかなかそれでは間に合わないという状況になってきまして、やはり公共事業についてもメリハリをつけて本当に急ぐもの、優先度の高いもの、それからまた香川県では、生活排水の処理率が非常に全国レベルから見て遅れていますので、そういうところであるとか。
あるいはバリアフリー化する事業であるとか、さらには地震のための学校とか、公共施設の耐震化、こういうところに力を入れてやっていかなければいけないということで、なかなかこれ財源不足でつらいのですけれども、やはり地方が、将来自分たちが主導権持ってやるためにはこの苦しさに耐えて、なるほど地方もよくやっているなというふうなことで、行財政改革もさらに進めながら、何とか本当に必要なものは、歯を食いしばってもやっていくというふうなことで取り組まざるを得ないかなと思っています。
〇司会
なかなか、その公共事業に順位付けをするのは、非常に難しい点もあると思うのですけれども、飯泉さんはどんなお考えをお持ちですか?
〇徳島県:飯泉嘉門知事
はい。徳島の場合には、ほかの3県の皆さん以上に、特に昨年建設業界の中でナンバー1、ナンバー2の企業が相次いで民事再生法の申請があったと、まさに地域経済の危機なのだということで公共事業の前倒しですとか、あるいは9月に大型補正を組んだ、また緊急経済の雇用対策を打つということをやってきたわけでございまして、その意味でやはり、いくら財源なかなか苦しいという中にも何とかこれを支えていきたいなと、やはり景気の反転、これを期待したいということで、ここは何とか支えていこうというふうにまず考えています。
しかしその中で、今お話があったようにやはり質の転換ですね。これは図らざるを得ない。ですから、ただ公共事業やるということではなくて、一石二鳥、三鳥の効果を持つような、そういう事業に転換をしていくと、例えば今、南海地震の話がありましたが、南海地震用の、例えば耐震の住宅、こういったものへの支援をしていく。当然住宅というのは、景気雇用の中で一番すそ野の広い分野なのですね。
こういう形で、例えば南海地震対策、安全・安心なのだと、あるいは環境首都というのを先ほど申し上げています。やはり21世紀型の公共事業、環境に配慮したそういう事業が必要だと、自然再生事業だとか、こういう自然を逆に壊すのではなくて、自然をまた復活をさせるようなそういうような事業に配慮していくとか、こういう何か一つ、二つあるような公共事業に転換をしていこうとこのように考えています。
〇ニュースデスク:正延
はい。この「三位一体」の改革巡る議論をお聞きしまして、やはり皆さんがどうも、もろ手を上げてこれを評価できないと。やはり補助金とか交付税の削減がまず進んで、その一方の目的である、地方の裁量権の拡大は、なかなか進まないというところに原因があるのではないかというように思うのですけれども、政府の方は、来年度以降もさらに削減していくという方針なのですけれども、これに対してせっかくここに4人の知事の方お集まりですから、こう政府や国民、四国の県民に対してはこうしたいと、こうして欲しいという提言みたいなもの、橋本さん何かありますでしょうか?
〇高知県:橋本大二郎知事
ええ、それはぜひとも、緊急アピールという形で出したらどうかなと思います。
それというのは、先ほど飯泉さんが地方交付税のことで、全然相談がないうちにというお話がありました。やはり地方交付税というのは、当然見直しは必要ですけれども、財源を保障していく、また調整をしていくという、二つの機能を合わせた地方交付税の機能というものは、絶対今後とも国にとっても必要なものと思います。
ですから、地方の現状・実情というものを聞きながら、そういうものの見直しをして欲しいということが一点ですし、それから補助金等の削減と税源の移譲ということも、例えば本県を例にとりますと、16年度に向けての一般財源化でなくて15年度に「三位一体」の改革の目出しで行われたものに、心身障害児者の療育関係の一般財源化というものがございます。
細かいことは省きますけれども、その一般財源化を活かして、決められたメニューをもう少し柔軟に使っていくという事業に、16年度組み替えました。つまり、やはり1年間、そういう地方の知恵や何かを活かしていくためには時間が必要です。
そういうことからいいますと、今度のように1月に入ってもう予算も相当、詰まった段階で内容が出てくるというふうな形ではとても対応できませんので、もちろん自由度を高めるような改革が必要ですし、その内容がどうなっていくのか、後2年間残されているわけですけれども、その内容の方向性を早く処理してもらうということが必要だと思いますので、こういうことをぜひ4県で、緊急アピールという形で出せればなというふうに思うのです
〇香川県:真鍋武紀知事
わたしも大賛成なのです。ちょうど香川県が今、4県知事会議のお世話役をやっていますので、両知事さんご異存がなければ、ぜひアピールを早くまとめて発表したいと思いますがいかがですか?
〇徳島県:飯泉嘉門知事、愛媛県:加戸守行知事
はい、結構ですね。
〇香川県:真鍋武紀知事
よろしいですか、それではそのようにさせていただきます。
≪市町村合併・道州制≫
〇司会
さて、こうした厳しい財政状況を背景に進められているのが市町村合併です。国は平成17年3月、つまり来年の3月を期限に合併特例法を定めて、合併を強力に推進しているわけですけれども、こちらをご覧いただきましょう。
四国での市町村合併の動きです。すでに合併したところなのですが、今のところ香川県のさぬき市と東かがわ市、それから愛媛県の新居浜市の三つの市のです。続いて、今オレンジ色に変わったところが、法律に基づいた合併協議会に参加している市町村です。ご覧のようにほとんどの市町村、特に愛媛県は活発化しているわけです。
ただ一方で、合併に向けた話し合いを進めてきたものの、ご覧のように事務方式ですとか、庁舎の問題などがありまして、合併協議会が解散、そして離脱するという市町村も出てまいりました。
このように市町村が一つになるというのは、なかなか一筋縄ではいかない難しい課題もあるわけなのですが、加戸さんは、去年のこの場でも合併を推進するべきだという話はされていましたが、それでもやはり合併は進めていく必要というのはあるとお考えですか?
〇愛媛県:加戸守行知事
ええ、制度的にいいますと、国が父親だとすると東京都が長男で、稼ぎ頭なのですよ。それで二男以下みんな貧乏で、長男が稼いだのは少し地方へ分けてやれということで、ある意味では市町村は「おんぶにだっこ」で今まで生きてきました。
今まで通りということは、親が借金をしながら仕送りすることは不可能になってきた中では、兄弟が力を合わせて、やや今までより切りつめて生活するということしかないだろう。そのためには合併すれば首長とか三役とか議会の委員とか、あるいは職員とか随分必要なくなるものが出てくる。
それで地域の未来を考えていったらどうかという、今時代の流れの中で生きていくには、兄弟が力を合わせるしかないですし、わたしはそれが市町村合併の未来を築くことになると、当初からそう申し上げて旗を振ってまいりましたし、今でも考えは変わりません。
ただ、一緒に所帯を持つというのは、これは相性がありますからね。役場の場所がどこだとか、名称がどうだとか、何かそれは次元の低い話ではないのかなとわたしは思います。心情的には分かりますけれども、もっともっと大きく未来を考えたときに、これから自分たちでその地域の未来を一緒で作っていくのだと、連帯意識を持ってもらうには、合併が今残された唯一の選択肢ではないのかなと思います。しかし強制はできません。それは市町村がお選びになることだと思っています。
〇香川県:真鍋武紀知事
わたしもやはり、今日本の将来を考えたときに、地方分権ということで、個性ある地域づくりということをやっていかなければいけないと思うのですね。
そのためには、やはり自分たちの住んでいるところをどうするのかということを、みんなで考えるというためには、ぜひともこの機会に少なくても議論だけはして欲しいと、強制するわけにいきませんから、みなさんが決めるのですけれども、議論だけはきちっとしてくださいよということを言っておりますし、ぜひそういう議論はしてもらいたい。
それからもう一点は、やはり県も交付税の削減とか何かで苦しくなりましたけれども、これからの市町村を考えますと、自立ということを考えますと、なかなか難しいかじ取りになると思います。そういう地域づくりということと、それと自立ということを考えますと、やはり避けて通れないと思いますので、大いに議論をしてしっかりとして将来、やはりこれは、すぐにはいいことはそうないかも分かりません。
しかし、30年後、50年後の人が見たときに、あのときにやはり当時の人が良く考えて合併してくれていたなということで感謝されることもあると思いますので、そういう悔いを残さないためにも真剣に取り組んで欲しいと思いますね。
〇司会
今、合併推進派のご意見もございましたけれども、何か反論はございますか?
〇高知県:橋本大二郎知事
いや、ございません。(笑)
強制すべきことではないというのは、皆さんそう思っておられると思います。やはり地域の住民の方々の議論で決められるべきものだと、ただやはり避けて通れないものだということをわれわれも、また地域の住民の方々も、意識をして取り組んでいく必要があるというふうに思います。
〇徳島県:飯泉嘉門知事
やはり、財政的にだんだん厳しくなってくる、右肩下がりの経済だという中で、しかしその地域ではやはり夢を語っていかないことには、これは将来展望も開けないわけですから、そのための大きな手法としてこの市町村合併があるということで、そういう意味ではやはり地域のみなさんがどんどん夢を実現できる、そういう合併をしていっていただきたいなと。
県も確かに財政厳しい、しかしそういう地域のみなさんが考え、そして夢を実現したいのだと、市町村のみなさんも何とか身を切ってでもやっていこうというところには、県として積極的に、例えば道路にしてみても、いろいろな学校でこういう学校を作っていきたい、こういう高校を作って欲しいのだといった場合には、積極的にそういうところに、メリハリをということがありましたけれども、支援をしてその地域の夢を実現していきたいなと、このように思っていますね。
〇ニュースデスク:正延
今のお話は合併に向かってという、みなさんの話だったのですけれども、実際もう少し先に進んで、今度合併された後、面積も広くなりますし、その大きな面積の中で公平な行政サービスも行わなければならないと、いろいろな目配りが必要になってくると思うのですけれども、各市町村に対して、各県の方からの助言とか提言、これについては何かご意見ありますか? 橋本さんいかがでしょう。
〇高知県:橋本大二郎知事
合併をする市町村に?
〇司会
した後の方ですね。
〇高知県:橋本大二郎知事
した後の市町村に対して。
なかなか、やはり合併をした後に大きくなって、周辺地域をどれだけ守っていくかということは現実には難しい点があると思います。
そのことは、きちんと最初から議論して欲しいと思いますし、合わせて先ほどちょっと学校の教員の人件費のお話が出ましたけれども、やはり小中学校の統廃合ということも、これまでは市町村教委の問題ですから、市町村にお任せをしてきたわけですけれども、やはり県として全体のあるべき形がどうかということを少し踏み込んで、例えばお話をしていくというようなこと。
一例ですけれども、これまで市町村にお任せだったことをもう少し、やはりアイデアとして県の方も出して、議論をしていくということも、今後市町村合併が進んだ後の新しい市町村と県との関係として考えられることではないかと思いますけれども。
〇司会
加戸さん、県の役割というのはどんなお考えをお持ちですか?
〇愛媛県:加戸守行知事
ええ、当然のことながら県の守備範囲が狭くなり、仕事は減ります。ですから、愛媛県でもこの市町村合併の動向を踏まえて、来年の4月には地方出先機関の整理統合、人員の削減、そういった形で県もスリム化をしていく。と同時に、合併することによって市町村の行政や処理能力が高まるのですよね。そういう意味では、県の関与の度合いも減り、一方において橋本知事がおっしゃったように相談しやすくなります。
今までのように70の市町村長にお願いしなくても、今度は愛媛県の場合20になります。随分減りますね。本当はこれが五つか六つになれば、もう四国州ができる前提が揃うとまで思いますけれども、やはりそれは適正規模というのがどの地域でもあるのだろうなと思いますね。
〇司会
今、四国州というお話が出ましたけれども、その先に、今ようやく始まりつつある道州制というお考えもあると思うのですけれども、真鍋さん、この道州制ということについてはどのようなご意見を。
〇香川県:真鍋武紀知事
そうですね、やはり市町村合併が進んできますと、県のあり方というのは当然考えていかなければ、あるいはそれと併行して検討しておかなければいけないと思いますね。
その場合に、やはりどの程度市町村合併が進むかということを見極めて、できるだけ権限を基礎的自治体の方へ下ろしていって、それから国の方が持っている権限とか財源も下ろすことによって、道州制に近づくということが大事なのではないかなというふうに思います。
すでにこの4県で担当者レベルですけれども、研究会を作って勉強しておりますので、これをさらに深めていくということがわたしは大事だと思っています。
〇司会
飯泉さんは道州制ということに関して、どのようなお考えでしょうか?
〇徳島県:飯泉嘉門知事
はい、やはり市町村合併が一つの方向性、これが大体達成がされてきていますので、そうなってくると、当然次は都道府県の合併、道州制ということになりまして、また総理の言われている国から地方へという、その受け皿という観点でも、やはりより大きい形で、そして対応していくというのは、まず当然のことかなというふうに思っています。
また、国の方の動きでも、今度第28次の地方制度調査会、この中のメーンテーマがこの道州制という形になりますので国主導で進むのではなくて、やはり地方からどういう形が望ましいのか、そして市町村合併を今後できた新しい市、これをどういうふうにこう育てていっていくのかという、こういった点も含めて当然地方の方からいろいろ提言・提案をしていく必要があるのではないのかなと、そういう時期だと思いますね。
〇司会
本当に真の地方分権の時代というのをこれから目指していかなければいけない。
〇徳島県:飯泉嘉門知事
そうです、いよいよそこは問われるということですね。
≪今年1年の抱負≫
〇司会
そうですね。はい。
今日はさまざまなお話を伺ってまいりましたけれど、もう時間も残り後5分を切ってまいりました。
最後に四国がことし1年、とにかく元気を出していくために最低限こういうことが必要だ、こんなことはしていきたいというのを知事のみなさんから、それぞれお話をお伺いしていきたいと思います。
まず、高知県の橋本知事はどのようなお考えでしょうか?
〇高知県:橋本大二郎知事
4県としてということでしょうか?
〇司会
そう、4県としても結構ですし、高知県として…。
〇高知県:橋本大二郎知事
4県としてということでいえば、競争関係はあると思いますし、お互いやはり競争というか、切磋琢磨(せっさたくま)していかなければいけませんけれども、競争だけではなくて、標語的にいえば「競争から協働へ」、協力して働くというような関係ももうできてきていますけれども作っていければなと、そういうことに最初のコーナーでお話をした、夢といったことが夢ではなくて、こう実現をしていけば本当に元気の出る四国にしていけるのではないかというふうに思いますけれども。
〇司会
はい。
加戸さんはどんなお考えでしょうか?
〇愛媛県:加戸守行知事
やはり、行財政の基本は経済の進展、税収の拡大、これ一番大きいでしょうね。そのために4県とも様々な企業を誘致し、産業の創出等々やっていますけれど、例えば、先ほどの愛媛県の無細胞タンパク質合成にしても、何も愛媛県内の企業だけに限る必要はないので、四国の皆さん参加してくださいと。四国の企業として考えてください。
そんな形で取り組み自体が、四国にとってトータル・プラスだよということで一致協力すれば、無駄を省き、効率的に目的を達成するのに近づくのではないのか、それはわたしの考えでもあります。
それから、すべての点に言えますけれど、去年オープンした愛媛と香川の「せとうち旬彩館」にしても、いうなれば別々にやっておる経費は半分とはいいませんけれど、半分近くで済んで、それで2倍の実質効果が上がっている。だから、4県が組めば4分の1の経費で4倍の効果が上がるとわたしは思いますし、こんな形でさまざまな分野で連携・協調していくことは、四国の足腰を強くすることにつながるだろうと思っています。
〇司会
なるほどね、はい。
真鍋さんはどうでしょう?
〇香川県:真鍋武紀知事
そうですね、やはりお話がありましたように、四国というのをキーワードにしたらいいと思うのですね。愛媛を知らない、あるいは香川を知らない人でも四国というのは大体知っているのですね。だから四国ということをまとめてイメージアップといいますか、そういうことを取り組んでいけば四国の発展につながると、わたしはそう思っています。
〇司会
例えば何かひとつ、こういうことで四国というのを売っていこうという、何かありますか?
〇香川県:真鍋武紀知事
やはり、この自然環境と癒しの文化とか、食ですね。そういうふうなものがわたしはキーワードになるのではないかなと思っております。
〇司会
そうですか、はい。
そして飯泉さんはどうでしょうか?
〇徳島県:飯泉嘉門知事
はい。やはり四国4県でということで、とにかく一端どこからでもいいですから、四国に入ってきていただいて、その入ってきた人が四国に入ったら、例えば先ほどの信号(機)の話、LEDの話もそうなのですけれど、四国の道というのはものすごく走りやすいなとか。
そういうことで、例えば徳島に来て、そして「阿波踊り」を見ていただいて、泊まるのは例えば高知に行くとか、それの逆も、「よさこい」を見て徳島に泊まるとかこういう形で、後はやはり景気雇用という観点で実感を持っていただく。四国4県の県民の皆さんに、確実に四国も良くなってきた、明るくなったのだという実感を持っていただけるような、そういう都市にしていくべきだと思いますね。
〇司会
なるほどね。
せっかく今日、橋本さん、これだけたくさんの提言や意見が出ましたので、ぜひこう4県が連携する元年というか、そういう年になるといいですね。
〇高知県:橋本大二郎知事
それはもう、ぜひそうしたいですね。
やはり4県で何かをしていくときに、同じ考え方、思想でやっていくということをそれぞれの分野で考えていければいいと思うのです。
例えば、土木の事業をしていくときにも、その仕様書を作るときに木材を使うとかいろんなことを4県で一緒にやっていくと、そういうようないろんな分野でそのコンセプトがまとまればいい四国になっていくと思います。
〇司会
そうですね、はい。今日は皆さん長い時間ありがとうございました。
四国知事会談、今日は4県の知事の皆さんにNHK高知放送局に集まっていただきまして、4県の未来を語っていただきました。
進行はNHK松山放送局の昼間とニュースデスクの正延でした。
四国スペシャル、4県知事会談を終わります。