知事の定例記者会見

公開日 2007年12月08日

更新日 2014年03月16日

知事の定例記者会見

平成16年8月13日16時00分から(県庁二階 第二応接室)

(項目)
 ・三位一体の改革(1)
 ・市町村合併(1)
 ・知事選の資金疑惑問題
 ・市町村合併(2)
 ・三位一体の改革(2)
 ・山内家資料(1)
 ・最近の動静
 ・山内家資料(2)


【三位一体の改革(1)】
(市川:共同通信社記者)
 それでは、会見を始めさせていただきたいと思います。まず、幹事社から3つ、質問させていただきます。
 まずは、三位一体改革の絡みです。
 国庫補助負担金の削減案について、国から投げられたボールを返す時期が迫ってまいりました。それで、知事会の原案というのは、義務教(育費国庫負担金)9,000億円とか、公共事業7,000億円とか、部分的に報道されています。その一方で、県内の市長会、町村会との意見交換というのも行われましたが、それらを踏まえて、16日の知事会の委員会と18、19日の知事会議、知事としてはどういう姿勢で臨まれるか、どういうことを言っていきたいかという点を、まず伺いたいと思います。

(知事)
 18、19日の知事会に出てくる原案、素案というものが具体的にどういう内容のものかというのは、私自身も、新聞、ニュースの報道以外では詳しいものをつかんでおりません。
 月曜日(16日)の朝にはそういうものが出てくるのではないかと言われておりますので、個別の内容については、その原案を見てから判断をしなければいけないと思っています。
 ただ、全体的なことを申しますと、今日、町村長さんとお話をしたときも申し上げましたけれども、地域の実情、特に初年度の三位一体の改革が、地方交付税の大きな削減…、臨時財政対策債と合わせたのですけれども…、ということにばかりウエートが置かれて、実質的な税財源の移譲、自由度の高まりということに全くつながらなかったと。こういう思いから、町村長さんからは「公共事業も、また義務教育の国庫負担も、社会保障も、そして農林業などの産業基盤も、生活基盤も(削減項目に入れては駄目だ)」と、こういうお話が出ました。

 それを受けて「やはり全部を国庫補助負担金の廃止削減の項目に入れることはできない」ということを言えば、「これまでの議論は何だったのか」と、地方としての気概だとか、地方としての考え方だとかいうものを問われかねない状況になってしまうというふうに思いますので、その点は十分、市長さんや町村長さんの思いというものを酌みながらも、現実的な判断の中で自分なりの意見は言っていきたいというふうに思います。

 が、先ほども言いましたように、そういう声が、今の時点になって「あれも駄目だ。これも駄目だ」という声がそもそも出る背景には、初年度の三位一体の改革なるものが、三位一体でも何でもなくて、地方交付税、臨時財政対策債の削減、そして全く不十分な税財源の移譲、ということに終わったその不信感にあろうと思います。

 そういう不信感というものを私自身も共有をしているわけですので、そのことをやはりバネに、地域への、特に本県のような財政基盤の弱い、また、過疎、高齢という不利な条件を抱える県での財源的な保障ということを、あらゆる角度から主張もし、また発言もしていかなきゃいけないということを思っていますし、また、実際に税財源の移譲ということを具体化をしていくときには、その保障をどのようにしていくのかと。10割か、8割かというようないろんな議論もありますけれども、いずれにしろ、その8割なら8割とされたもの、10割なら10割のものの財源的な保障というものをどう担保していくかということが大きな課題だし、そのことは強く主張していきたいということを思っております。
 

【市町村合併(1)】
(市川:共同通信社記者)
 次に、市町村合併の関係です。
 知事が「アクセルを踏む」という発言をして以来、実際地域に出向いて意見交換をされるということをしてこられましが、先日、こうほくグループでああいう結果になったわけですけども、この先、さらに今月は、大月と三原の住民投票というのも控えています。

 ちょっと言い方が語弊があるかもしれませんけれども、知事自らが出向いたんだけども、こうほくではああいう結果になってしまったと。その辺を踏まえて、今後どういうふうに合併について臨んでいくかというところをお願いします。

(知事)
 こうほくの3町村では、自分自身も出掛けて行って自分なりの言葉でお話をしましたし、その場に来ていただいた方々には、ご納得ご理解いただけなくても、私の言っている思いとか意味合いというものは感じ取って、受け止めていただけたのではないかと思っています。

 ただ、やはり、ああいう結果が出てくるということは、それだけ強い、合併に対するアレルギーというか反発があるということの証しですので、そのことは素直に受け止めなくてはいけないと思います。

 その上で、その反発とかアレルギーというものが割と小さな出来事から生じてきた溝なのか、それとももっと根源的な溝なのかというようなことも、もう少し分析も必要だと思っています。

 いずれにしても、どの地域でも大変厳しい現状というものがありますので、このことはこのこととして受け止めた上で、なお、来年3月以降のステップに向けて、どういう形でこの市町村合併に向かっていくか、取り組んでいくかということを、県としても考えながら、行動にも移していかなきゃいけないということを思っています。
 もう少し踏み込んで具体的に言えば、地域の住民および市町村の皆さん方の協議によって出てきたいろんな合併協議会というものは、お隣近所に当たる市町村がいくつかまとまって協議会を起こしていくというものでございました。

 これはこれで当然尊重していかなきゃいけませんし、まだその結果が出ていないものもありますので、それが少しでも順調に進むように努力をしてまいりますけれども、併せて次のステップということで言えば、新たな法改正の下での構想の策定だとかいうことも出てまいりますので、当初から申し上げておりますように、それで強制をするとか強制できるというものではありませんけれども、やはり県としても、将来のあるべきというのか、こういうことを目指さざるを得ないのではないかという形をお示しをしながら、もう少し民間の方々なども交えた動きというものを少しでも早い段階からつくっていく。

 まだ、具体的にどういう手順でということを詰めているわけではございませんけれども、そういう視点を持って次のステップに向けて取り組まなきゃいけないんじゃないかということを感じています。
 

【知事選の資金疑惑問題】
(市川:共同通信社記者)
 3点目ですが、100条委員会の関係です。
 先日、(知事の)証人尋問がございましたけども、そこでもおっしゃいましたけども、説明責任について「100条委の審査が終わってから」というような趣旨のご発言がありました。それと、調査という意味で、「100条委の審査が終わったら、土木部に話を聞くということは可能なことだ」というお話もありました。
説明責任の果たし方と、独自の調査といいますかをされるのかというところのお考え、伺いたいと思います。

(知事)
 まだ、100条委としてどういう取りまとめを、いつの時期にというのは…、一定の方向は出てきているようではございますけれども、確定したこととして「どの時期に」ということもまだ承っておりませんので、そうした流れがもう少し明確にならないと、私が一方的に説明責任ということには、ここまで来れば、ならないだろうと思っています。

 ですから、そうした100条委の委員長報告というものも踏まえて、自分自身の説明責任というのは果たしていきたいと思っておりますが、非常に、100条委のお話を、ご質問ご尋問を聞いていても、内容も多岐にわたっている面もございますし、従来から申し上げておりますように、それを一つ一つ私が調べたりということは、物理的にも、また13年という時間の経過からもできかねる面があると私は思いますので、私なりの言葉で何らかの文章をまとめて、こういう説明責任というものに代えることができないだろうかなということを今思っております。

 土木のことに関して、100条委でお答えした件についてもご質問がございましたが、この件も、監査委員、また100条委員会の調査に対して、土木としての調べということをしておりますので、そのことについてのもう一度きちんとした報告を受けて、足らざる点と思うところを再び問いただしていくということは、当然できることだと思っています。
 土木とのかかわりで言えば、私自身も今にして思うことなんですけれども、この坂本ダムうんぬんのことの事実関係はもちろんですけれども、それだけではなくて、「天の声、天の声」とよく言われますけれども、「それでは、そういうことが、この高知県政では、過去当たり前のことのようにして行われていたのか」ということの土木部としての認識などもこの機会にきちんと詰めて聞いてみたいなと。

 少なくても私の時代になってから、そのようなことを、自分自身が関わったり聞いたりということはございませんでしたので、そういうことが過去の県政の中で当たり前のように行われていたからこそ出てきたのかなという気もいたしますので、そういうことも踏まえて、説明責任ということであれば、まあ、調べるというか、話を聞いていかなきゃいけないというふうに思っています。

(市川:共同通信社記者)
幹事社からは以上です。各社、どうぞ。

(池:高知新聞社記者)
 100条委についてちょっと、一点お聞きしたいんですけれども。
 知事はこの前の証人尋問で、お金の動きが、実際、銀行の紹介で出ているものを前提にして、なお知事は「それが選挙資金に使われたかどうか分からない」という答え方をされたと思いますけれども。

 そのあたりの認識ですよね。あの時期に事務局長と後援会長の間での金銭のやりとりがあって、なお、それが選挙資金に使われていないということはなかなか言えないと思うんですが、そのあたりは知事ご自身はどのようなご認識をして…?

(知事)
 選挙資金と一概に言ってしまうと、いろんな意味合いを含むだろうというふうに思いますので、選挙資金として実際にその分が…、例えばプラスアルファで何か使われたのかどうかということであれば、私はこれだけでは何とも判断しかねる、ということを申しました。

 広い意味でいろんな形で使われたということは蓋然性としては高い、というご指摘はご指摘として受け止めますけれども、そのことをきちんと自分なりに感じ取れるだけの証しもございませんし、また、自分自身が経験した13年前の選挙というのは、とてもその、1億円だ何だという形で行われた…、一般的に言ってですね、これも一般的に言ってですけれども、そういう雰囲気の中の選挙とは、自分はとても思えませんので、そういう自分なりの正直な受け止め方を申し上げました。

(池:高知新聞社記者)
 今、プラスアルファっておっしゃったのは、いわゆるその、経費というよりは工作費という意味でしょうか。

(知事)
 いや、そういうこともありますし、金額的な意味も。今おっしゃったのは質的な意味ですけれども、金額的な意味も含めてです。

(池:高知新聞社記者)
 それと、もう1点ですけれども。支援の輪の中から資金面も支えてくれたんだろうというようなご認識も回答されたと思うんですけれども…。ちょっと尋問みたいになってしまって申し訳ないです。

(知事)
 いえいえ、とんでもないです。

(池:高知新聞社記者)
 どなたか草の根の中心になっていた方から「お金は心配するな」とか、そういった直接的な支援の申し出みたいなのがあったんでしょうか。

(知事)
 ありません。

(池:高知新聞社記者)
 けれども、どちらからか出てくるだろうと…?

(知事)
 いえ、どこからっていうよりも、あのとき申し上げたとおり、みんなでいろんな形で支えてくださる選挙だというふうに思いましたし、まあ、自分自身が戦っていて、まさにそういう形の選挙だということを日々実感をしながらやっておりました。その他のその異常な何かお金の流れだとか、そういう潤沢な資金だとかいうものを感じ取れるような選挙運動では、自分にとってはありませんでした。

(浜田:高知新聞記者)
 100条委の絡みですが。その説明責任のことについて、先ほど、「13年も前のことなので、個人的にするにはできかねる面もあるので、文書にまとめて説明責任を果たしたい」と。さらに「それ以前にも天の声が高知県政では一般的であったのかについては調査したい」となったら、平成3年の問題になっている疑惑についての調査についてはあまりするつもりがないということなんでしょうか?

(知事)
 いや、そんなこと全然言ってないですよ。「土木」というお話を取り立ててご質問であったから、「土木ということで言えば、そういうことも、やはり自分としては関心として聞きたいな」ということを申し上げました。

(浜田:高知新聞記者)
 一連の…、いろんなまあ多岐にわたっているということですけれども、それについての自分なりの調査っていうのはどうなんでしょうか。

(知事)
 それはもう従来申し上げているとおり、自分で調査し切れるものでは、僕はあり得ないということを…、県民の皆さんがどうとらえられようと、僕はもう「できることではない」というふうに思っています。

(浜田:高知新聞記者)
 じゃあ、自分の今の思いを文書にまとめて発表したいということなんでしょうか。

(知事)
 まあ、思いだけではございません。それは、自分の見たあの13年前の選挙というものはどういうものだったのかということも、今、前の質問に対してご説明をしました、自分自身が体験した選挙の実情だとかいうことも、もちろん、そういう内容に入ってくるだろうと思います。

(池:高知新聞社記者)
 そこについては、すみません、知事。
 文書にまとめる際にですね、ちょっと注文になりますけれども、先ほどおっしゃっていた「お金がかかったと感じ取れるだけの証しがない」という「証し」ですよね。これについては、県議会の調査権限では、言ってみれば、個人の政治家のお金の使い方とか選挙の費用っていうのは調査の対象外ですから、知事自身がお調べになるなり、あるいは中心になった人たちからお聞きになるなりしないと、証しはなかなか出てこないと思うんです。

 まあ具体的に言うと、例えば「ポスター代がかかった」なんて笠氏は言っていますけれど、それならば東京の業者に問いあわせるなりですね、そういったことを知事がなさらないと、最終的な文書のまとめも何か不十分なものになっちゃうんじゃないかなという気がしますがね。

(知事)
 それは、そういうご要望というか、お話としては承っておきます。どこまでできるかということは、なかなか今の時点では言えませんけれども。

(市川:共同通信社記者)
 そのまとめられる文書…、まとめるとしたら、それは、今まで知事がおっしゃっていた範囲のことをまとめるのか、それとも、新たに何か新しいことということも想定されるのでしょうか。

(知事)
 基本的に、その何か新しいことというのが「新事実」という意味であれば、そういうことはありませんので、そういう意味での新しいことはないと思います。ただ、今お話があったように、この運動に中心的にかかわってきた人の見方だとか…そういう方々も100条委の中に呼ばれて証言をされた方もいますけれども、そういう方が見た選挙の実情だとか、その方が覚えておられることだとかいうことは、お話が聞ける範囲でそれはお聞きをして、その(文書の)中に取りまとめていきたいというふうに思います。

(須賀:高知新聞社記者)
 ちょっと知事、意地の悪い質問になるかと思いますが、お兄さんの方も、まあ、ああいうことで会長を辞任されましたですが。要するにお二人とも、ご兄弟は政治家なわけですから、結果責任が問われるということになります。

 知事の場合も、やみ融資事件のときも、結果責任として残留期間の減給という形を取られましたけれども、現在どの程度考えられておられるか分かりませんが、倫理責任を感じているということはすなわち何らかの結果責任を取ることになるだろうというふうに、ほぼ同義語ととらえてよろしいんでしょうか。

(知事)
 それは決してそうではありません。

(須賀:高知新聞社記者)
 違いますか。

(知事)
 はい。

(須賀:高知新聞社記者)
 結果責任についてはどうお考えですか。

(知事)
 まだ、特に考えておりません。

(須賀:高知新聞社記者)
 考えてない。

(知事)
 ええ。
 

【市町村合併(2)】
(須賀:高知新聞社記者)
 質問を変えます。 市町村合併です。
 先ほどおっしゃいました「次のステップをにらんだときに、もう少し踏み込んで」という思いで言えば、「県として将来あるべき姿を示しながら」と…、まあ「民間も含めていろいろアプローチをしたり」とおっしゃいましたけれども。

 非常に関心があるのは「県として将来あるべき姿」、それは、おそらく部内で何もお話しになってない段階だろうと思いますが、もう少しそこを具体的におっしゃっていただけるとありがたいんですが。

(知事)
 それは、皆さん方にとってはありがたいでしょうけれども、庁内ではそこまでまだ、「知事に勝手に言われたのではいろいろな調整ができない」と言う人もいると思いますので、それは今の時点で申し上げられることではないです。

 こういう席でせっかくご質問を受けていますから、踏み込んだ形で自分の思いというものを申し上げているので、それを「字として、こういう形でというふうに示せ」というのは、それはいくらなんでも今の段階では無理だと思います。

(須賀:高知新聞社記者)
 例えば、県庁の陣容だとか、そういうものなのか、それとも、「高知県は主な動力源は何で、そこに特化していくんだ」とか、もしくは、「道州制っていうのをもう少し…。四国で一つの共通の業務をたくさんつくって、高知県の部分はもう少しスリム化するんだ」とか、まあそういうふうな、いずれかのイメージができるものなのかなと思うんですが。

(知事)
 いや、私が申し上げているのは、市町村合併の今後の形という意味で申し上げました。
市町村合併の今後の形は県庁の陣容には当然かかわっていくことだろうと思います。けれども、道州制までうんぬんして、とても今議論できるだけの余裕もありませんし、そうした具体的な根拠もありませんので、そこまでのことは考えていません。

(須賀:高知新聞社記者)
 あくまでも県内の枠組に絡むというようなことですね。

(知事)
 そうです。
 

【三位一体の改革(2)】
(浜田:高知新聞社記者)
 補助金改革の件でいいですか。

(知事)
 はい、どうぞ。

(浜田:高知新聞社記者)
 今週、相次いで開いている市長会と町村会のあれ(意見交換会)を受けて現実的な判断しなくちゃいけないんじゃないかという悩ましい状況をさっきおっしゃったと思うんですが、税源移譲をどう担保していくか大きな課題だということですが、具体的に16日なり、18日、19日に、知事として戦略を描いているのか、というか、具体的なことが…、まあ、町村会と市長会では聞き役に撤したような感があったんで、どういうふうに対応していくかということをちょっとお聞きしたいんですけれど。

(知事)
 税源の担保ということが一番大切だろうということは市長会でも町村会でも申し上げましたので、決して単に聞いたというだけではないと自分は思っています。
その担保の何らかの戦略があるかといえば、私個人的にはそういう戦略を持っていません。

 で、その戦略としてどういうことが考えられるかということは、やっぱり知事会の委員会なり、知事会の中で議論をして、その必要性ということはみんなお認めになるでしょうから、その中で、どういうやり方があるかということをもう少し詰めていくことだと思っています。

(釜本:時事通信社記者)
 その18、19日の知事会の関連につながるんですけれども、知事はこれまで、市長会、町村会それぞれの中で、「ただそういう何もかも無しじゃ駄目だ」ということに加えて、「これだけは譲れない」ですとか、「対案としてこちらから提言していくというふうなことも大切だ」という言い方をされてきたと思います。

 知事の中で、今度の知事会で、要するに高知県としては…、今までも義務教(育費国庫負担金)ですとか公共事業ですとか、一部報道で出ていますが、「これだけは譲れない」という点なり、もしくは対案、「どういうものを知事会で主張しよう」と今考えているのかということについて、お願いいたします。

(知事)
 「これだけは譲れない」とか「対案を出さなければ」というのを申し上げたのは、「あれも駄目だ、これも駄目だ」という言い方をしていたのでは、世間の一般の目から見て、「地方としての考え方っていうものがあまりになさ過ぎるのじゃないか」というご批判を受けるのではないかということを前提に、「これが駄目だ」というのならば、逆にやっぱり「これだけは譲れない」とか「こうした対案がある」ということを言わないと説得力を持たない、ということを、主に今日の町村長の方々の会に対する思いとして申し上げました。
 私自身が「これは地方として譲れない」とか「対案としてこうだ」というものを持っているという意味ではありません。「持っているという意味ではない」というのは、逆に「全く持たない」という意味でもなくて、そこは、県としても、「こういうものは国庫補助負担金の廃止・削減の項目としてふさわしいのではないか」というものを挙げ、そして、知事会としても…、9兆円でしたか…、という形のものをまとめてきておりますので、全体的な枠組としては、その枠組が、今後移譲されるべき、廃止・削減されるべき項目ということになろうと思います。

 その中に、いろいろ個別の議論っていうものはありますので、その個別の議論というものに対する意見交換があるかもしれませんけれども、その18、19日という時点になってから、「うちの県はそれじゃあ損だから、こうすると得だから」ということで議論を始めたのでは、とても議論は収束はしないだろうということを思いますから、まあ、そこでの言い方というのは損得勘定では少なくとも言えないと。

 いろんな、廃止すべき国庫補助負担金の基準として、例えば国が責任を持ってどうのこうのとか、それから災害のような緊急の何とかに備えるとかいうものが出てくるだろうと思いますけれども、そういう枠の中でとらえたときに、「こういう項目はどうですか」っていうことは、譲れないというかですね、議論としては出てくるとしても、そうでないところで、もう、この大枠を、これまで知事会としても議論をし決めてきた中で、「譲れない」とかなんとかいうことをこの場で出すべき段階にはきていないと思います。

 例の義務教(育費国庫負担金)の「中学校分だけ…」というのも、そういうやり方を見ると、また一方で公共事業の7,000億円っていうのが、正しくそういう原案になっているかどうかも知りませんけれども、そういうものが出てきたときに、あまりにもなんか数合わせのあっち取ってこっち取って足し合わせたものじゃないか、という、「理念がない」というご批判も出てくるだろうと思います。

 出てくるだろうとは思いますが、逆に、一期分、二期分ということで合わせて、つまり17年、18年までの一期分と、そっから先の第二期の三位一体の改革と、税財源の移譲ということを踏まえたときには、その中で、全体的に7兆になるか9兆になるかというものが実現されていくとすれば、一期の段階で、「この部分とこの部分、どうのこうの」っていうことへのあんまり細かい議論をしてもまた意味がないのではないかということを思いますので、最後に総論的に言えば、どの対象を出すとか、どれがどうしても、ということよりも、「どれだけ税財源の移譲と、また地方交付税の算入というものを担保しうるか」ということが大きな鍵だろうと私は思います。

(釜本:時事通信社記者)
 原案自体はなかなか詳細にまだ具体の内容をご存じないということですので、ちょっと聞きづらい点もあるんですが、これまでの知事会の過程の中で…、今回の町村会との意見交換の中でも、例えば、国からどうして担務と財源との見直し自体の声が出ないのか。

 国からの機関委任事務など、国から地方に言ってやられている仕事に関して、実際にその経常的経費だけでも国からの財源保障は十分でないという発言が市町村長側から出たときに、どうしてきっちりと、金を移すのか、それとも国の仕事のやり方のきちっとした精査が必要だという答弁でしたよね。というふうな発言もありましたけれども、そういったふうなのも含めてですね、今度の知事会の中で不十分だと感じている議論のポイントなりは今持っているのかどうか。

(知事)
 知事会での議論が不十分というよりは、委員会も含めて言えば、今ご指摘にあったような問題は全部洗いざらい出て、議論は知事会の総会そのものでは上がっていなくても、委員会レベルではきちんと議論されている課題ばかりだと思います。つまり、足らざる点っていうのはないと思うんです。

 この16日には、18、19日に議論をするその内容というよりも、議論のポイント、「議論のテーマはこれでいいですね」ということをまとめるという形になっていますが、その議論のテーマとしての、今お話がありましたような「国と地方との仕事の役割をどう精査をしていくか」とか、それから地方交付税のことだとか、いろんな項目がいくつか並んでおります。

 「それで十分でしょうかね」という、今のご質問を同じようなものもありますが、それを大体見ますと、ほぼ必要なものは網羅されているということを思いますので、今後まだ、残された課題として議論していかなきゃいけないものはいっぱいありますけれども、少なくとも、これまで委員会などを通じて議論をされなかったかというと、そうではなくて、されてきましたし、そして、ほぼ必要十分な、項目についての議論はされてきているというふうに思います。

(篠塚:朝日新聞社記者)
 その「対案」というところでですね、市長会との意見交換の中で法改正というか立法化というようなことの話がありましたけれども、ちょっとその点、ご説明というか、どういうことなのかというのをちょっと伺いたいんですが。

(知事)
 それはですね、要は玉として、いろいろ国が「負担率を下げる」だとか「国庫補助負担金を廃止しても税財源移譲の対象にはしない」とかいうことを言ってきたとき、また、地方交付税と臨時財政対策債の総枠なんかもそうですけれども、そういうものを、まあ16年度いろいろやってきているわけですが、そういうことを重ねてやってきたときに、「そんなことするんだったらば、地方も対抗手段としてこうしますよ」と言って何かの仕事を返上するとかいうようなことができるかいうと、なかなかでき得ないというのが実情です。

 例えて言えば、生活保護の国庫負担率も4分の3を3分の2に下げるということをしてきたときに、「それじゃあ、その事務はもう地方として担えませんよ」、「返上します」と言ってもですね、実際に困られるのはそのサービスを受けるべき方であろうと思いますし、国は国で、「自分の負担すべきものは出しました。あとは市町村から受け取ってください」とこう言われたら、法的になかなかそれに対抗することはできないということがありますね。
 今の事例と法改正が重なるわけじゃないんですけれども、そういうことに何か対案として出していくのであれば、そもそも、先ほどご質問のあった「国と地方の仕事の役割をどうしていくか」とか、その事務負担の在り方だとかいうことも含めてですね、すべてが法で決まっているということではないですけれども、法でやれるものであればその法改正をしていく、そのことを提案することによって国と地方の仕事のあり方を変えていくというようなことも、今後地方6団体として考えていかなきゃいけないんじゃないかということを、庁内での議論の中などでもアイディアとして出ましたので、そういうことを市町村との会でも出してお話をしたということで、より具体的なものが何かあるかというわけではありません。

 要は打つ玉がなかなか…、対抗していく玉がないので…、やはりそういう、法案そのものを何か提案をしていくとかいうことも一つの玉でないかという…、単純に言えばそういうことです。
 

【山内家資料(1)】
(釜本:時事通信社記者)
 この会見の前にですね、山内家のほうから県に対して文化財が…、山内家の宝物および資料が県に対して寄贈されるという発表があったんですが、これについてですね、一つ、感想以外にも、実際にその提示された資料をどのように整理、分類、保存、および展示ですね、というところで、やはりどうしても県の支援が必要だとか、山内会館を新たな宝物殿にするにしても改装なりが必要で、どっちにしても金がいるという話等が山内さんおよび館長のほうから出たんですけれども、先日の市長会との意見交換の中でも、「NHK大河ドラマ『功名が辻』が決まったこともあり、行政としての観光の盛り上げにも」という話も出ていましたが、寄贈されたことに対しての感想、および県としてそれをどういうふうに活用していくのかということについてお願いします。

(知事)
 山内家の資料に関しては、先代の亡くなった豊秋さんの時代から、「高野切」(※)を含めて、「何とか県で購入をしてもらえないか」というお話が、ずっと永年、私が知事になったころからありましたけれども、なかなかご存命中にその解決策が見いだせなかったと。

 それは提示された金額と県の体力との開きというようなこともあってできなかったという事情がありますが、今回、山内家が一つに考え方をまとめていただいて、国宝を含むすべての資料を譲与していただく、または寄贈、寄託をしていただくということは大変有り難いことだと思っています。

 一般的にも、本県の一つの文化を守っていくという意味で重要なことだと思いますが、特に、大河ドラマのテーマになっているということで、短期的に見ても十分費用対効果も見込めることではないかというふうに思います。

 それだけに、せっかくの資料をどうやって生かしていくかということが大切ですので、観光客の皆さん方への見せ方として、山内資料館そのものの一定の内装のリニューアルっていうことは必要だろうと思っております。12月の議会になるかどの時点かということがまだ詰まっているわけではございませんけれども、そういう改修費というものは、ある程度内部で検討して、県議会にお諮りをする必要があるというふうに思っています。

 また、場合によっては、美術館という箱を使ってそういうものをお見せをしていくとか、もう少し常設的に言えば、これもまだ庁内で議論が詰まっているわけじゃございませんけれども、やはりお城との距離ということから言えば、文学館などが使えれば、そういうところの一部のスペースを使ってそれらの資料をお見せをしていくということも、手法としてはありうることだと思いますので、幅広(はばびろ)にそういう選択肢を考えていきたいということを思います。

 併せて、保存ということでは、もちろん山内資料館だけではとても無理になりますので、歴史民俗資料館もそうですし、また、この国宝の「高野切」に関しては、現在、東京の国立博物館=東博のほうで持っていただいているわけですけれども、県がいつでも取り出すことはできるということはもちろんとして、日常お預かりいただくときは東博に置いておいていただくとかですね。最もいい形で、貴重な国宝でございますので、保存していくことが必要だと思いますから、そういうようなことも今後東博ともお話をしていかなければいけない課題ですけれども、選択肢としては考えていきたいと思っています。

(※)山内家が所有する国宝で、紀貫之筆との説がある最古の「古今和歌集巻第二十」(高野切本)写本

(釜本:時事通信社記者)
 先ほどの山内さん側の会見の中で、突っ込んだ話が聞けなかったんですが、山内さんには、今回お譲りいただく、県に寄贈する以外に、県が購入する、県に買ってもらうものがあるというような話をちょっとされていたんですが。それは何か、ちょっと詳しいことがあれば、説明いただきたいんですが。

(知事)
県の購入するもの以外に?

(釜本:時事通信社記者)
 全部が寄贈というだけではなく、「県に買っていただくものがある」というような言い方をされていまして…。

(知事)
 「高野切」のことを指して言われたと思います。

(釜本:時事通信社記者)
 その予算的なものというのは、いくらぐらいを想定しているんでしょうか。

(知事)
 7億円を想定をしております。
 形としては、今、文化基金として4億円ほどが積まれて残っております。ただ、あとの美術館の運営等にも一定のものは残しておきたいと思いますので、ここはまあ議会とのお話で、議会がお認めいただければということですけれども、3億に少しプラスアルファをしたものを基金に積み増しをして、そのうちの7億を取り崩して今回のことに充てていく、ということを補正でお願いをするように、今後、議会とのお話を進めていきたいと思っています。
 

【最近の動静】
(須賀:高知新聞社記者)
 国際ホテル高知ですが、あれの廃止っていうのはいつごろお知りになったんですか?閉じるっていうのは。

(知事)
 具体的にご説明を受けたのは、この間、野々宮さん(国際ホテル高知副社長)がお見えになったときなので。

(須賀:高知新聞社記者)
 あの日ですか。
「動静」(県ホームページの「知事の動き」)に出てましたですね、野々宮さんね。

(知事)
 はい。数日前のですね。

(須賀:高知新聞社記者)
 それまでには、県庁内部から情報としては伝わってきてませんでしたか。

(知事)
 いやいや、うわさというか、話としては聞かないではございませんでした。

(須賀:高知新聞社記者)
 で、上京された際に、森ビルの特別顧問とお会いになって、懇談されていますが、何か関係あります?

(知事)
 それは全然関係ございません。

(須賀:高知新聞社記者)
 関係ない。

(知事)
 ええ。森ビル特別顧問は、そういう不動産のことではなくて、高知工科大学理事としてお目にかかっております。

(須賀:高知新聞社記者)
(県出身の国会議員である)中谷先生と石田先生にはお会いになってますか?

(知事)
 中谷先生と石田先生はお目にかかっております。

(須賀:高知新聞社記者)
 中身は?差し支えなければ…。

(知事)
 中身はもう、国政の話をいたしました。年金法の話だとか、教育基本法の改正についてのことだとか。あとはまあ、本当のまちの話というか、雑談をいたしました。
 

【山内家資料(2)】
(市川:共同通信社記者)
 山内家の「高野切」ですが、7億円想定ということですが…。この財政が厳しい折に7億円という額、県民の理解を得られるかどうかという点はどう考えて…?

(知事)
 それは、3つほどのご説明の仕方をしたいと思っております。
 一つは、そもそも「高野切」がどれだけの価値のあるものかということを公式にある程度鑑定評価をしていただく必要がございますので。これは、東博に今保存していただいておりますから、国立のほうにも専門家をお願いをして、どれだけの鑑定評価を得られるかということをしていただいております。多分、その金額(7億円)には十分値するものだとは思いますけれども、そういうことをしております。
 もう一つは、あとのものは寄贈という形ですけれども、県としてはそれらのすべてのものを合わせて購入をさせていただいたという考えでございますので、甲冑(かっちゅう)ですとか書籍ですとかいうものを含めれば、これはもう間違いなく、それ以上の価値のあるものだということを思います。
 併せて、「今この時期に」ということは、先ほどちょっとお話にも出ましたけれども、大河ドラマに取り上げられるということで、ここ2、3年やっぱり大きな、交流人口という意味では目玉になる課題だと思います。特にこの「高野切」は、千代さんが、ご実家近くにあったものを、一豊のところに嫁入りするときに持ってきたというふうに言われておりますし、2代目に、あえて遺言の中で古今集(古今和歌集巻第二十)ということを触れて、それを譲られた、という証拠の古文、文書(もんじょ)も残っております。

 そういう千代さんへのゆかりということもございますので、それだけの十分な価値があると。その大河ドラマ等への絡みということでもですね。非常に近視眼的な話ですけれども、短期的な費用対効果の価値もある、という3つの点で、議会ならびに県民の皆さんには、この時期こういう予算を組むことへのご理解をいただきたいと思っています。

(市川:共同通信社記者)
 予算化については、9月、12月議会で?その辺は、時期的には?

(知事)
 9月の議会に諮りたいと思っております。
これはもう、庁内的にも、財政課、総務部、そして文化環境部含めて話をして、県としての考え方はもう結論としてまとめてあります。議会とのあいだで今お諮りをしているというところです。

(須賀:高知新聞社記者)
 議会の感触は得られてます?

(知事)
 議会はまあ、「おおむね」と言うと「どこが」という…あれなんですけども、おおむねご理解をいただいておりますし、最大会派には「それはもういいことだから、ぜひ進めなさい」というお言葉をいただいていると聞いております。

(釜本:時事通信社記者)
 その関連になってしまうんですが、実際、今日、山内家の資料館の職員の方とも話したんですけれども、県が所有する点数が増えて、管理、保存、分析する研究員ですとか、そういうソフト的なところの費用というのも、今後観光客の期待に応えるだけの展示なり管理をしようと思えば、そういう意味で、将来的な費用の増というのも当然想定されますし、最近の財政難の中で、そういうところになかなかまわらない自治体というのが実際問題として増えているんですが、そのあたりの決意なり考えがありましたら、一言だけ伺えますか。

(知事)
 人を増やすということは、常雇用という意味であれば、極めて難しいというふうに思います。
資料の評価とかその価値付けという学芸的な意味も、書き物の古文書(こもんじょ)とそれから甲冑(かっちゅう)、美術品というものでは全く専門性も変わってまいりますので、そういうことを含めれば、全体を網羅してその数万点のものに対応していく人材を配置をするということは無理だということを思います。

 ただ、今回の購入の前に、いかほどのそれぞれ価値のあるものか、茶道具はこうこうこういう理由でこうだとか、美術品はこうだとか、甲冑(かっちゅう)に関してはこうだということを、ある程度まあ専門家の方々にご評価を頂いておりますので、観光とか交流人口への活用という面では、そういうような評価をもとに、一般の方、県民の皆さんにお見せをしていくとか、また、いろんなドラマの撮影の際にご利用いただくとか、いうことは十分、それだけの価値評価というか、そういうことはできていると思います。

(市川:共同通信社記者)
 では、時間もオーバーしてしまいましたので。

(知事)
 いえいえ。ありがとうございました。

(市川:共同通信社記者)
 どうもありがとうございました。
 


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