知事の定例記者会見(平成19年6月議会)

公開日 2007年12月08日

更新日 2014年03月16日

知事の定例記者会見(平成19年6月議会)

平成19年6月13日9時00分から(県庁二階 第二応接室)

(項目)

 ・議案の説明
 ・高知女子大学の統合(1)
 ・中小企業応援ファンド
 ・高知女子大学の統合(2)
 ・コムスンの問題
 ・市町村合併



議案の説明
(知事)
 県議会の6月定例会を6月18日に招集をすることにいたしました。提案いたします議案は、一般会計補正予算など予算議案が5件、また条例その他議案が15件の、合わせて20件でございます。

 このうち一般会計補正予算といたしましては、高知女子大学の永国寺キャンパスにございます既存の学部を池キャンパスに再編統合するのに伴いまして必要になります用地の造成の経費、また、高知県産業振興センターに中小企業向けの100億円のファンドを創設するにあたりまして県が負担します経費など、合わせて2億7,000万円余りを計上しています。

 また、特別会計では、中小企業近代化資金助成事業の特別会計の補正予算といたしまして、先ほど申し上げました産業振興センターに創設いたしますファンドへの貸付金として、84億6,900万円を計上することにしています。

 また、条例議案といたしましては、障害者の方の自動車税ならびに自動車取得税の減免措置がございますが、この免除額に上限を設けることなどのために必要になります県税条例の一部を改正する条例の議案。

 また、春野の総合運動公園にパークゴルフ場が、土佐西南大規模公園に多目的芝生広場ができますので、その利用料金を定めますための高知県立都市公園条例の一部を改正する条例議案など、条例議案が12件でございます。
 
 このほかに、高知県が当事者である和解に関する議案など、その他議案が3件ございます。
 私からは以上でございます。

(石山:朝日新聞記者)
 それでは、各社、何か質問がありましたら、どうぞ。

高知女子大学の統合(1)
(竹内:高知新聞記者)
 高知女子大なんですけれども。21年の4月に大学の再編をするということですが。造成費は3億円余りなんですが、校舎建設など、すべての事業費の概算というのはどれぐらいのお見積もりを持っていらっしゃるのでしょうか。

(知事)
 それはまだ、最終的な金額としては、私は定かに聞いておりませんけれども。

(竹内:高知新聞記者)
 そうしたら、この金額というのはまだ入り口の金額で、これからどんどん校舎を建てたり、設備を整えたりする上で、おそらく何十億という額になってくると思うんですけれども、その辺の試算もまだはっきりとは。

(知事)
 「はっきり」というのがどこまでの額を言っておられるのかが分からないので。それは概算での予定を立てていかないと財政の目標も立ちませんので、そういう意味では、もちろんそういうことを想定しながら全体の財政(運営)をやっておりますから、そういう意味での概算というのは持ちながらやっております。
 
 けれども、そこはこういう財政事情ですから、最終的にはできるだけ切り詰めもしていかなければいけませんので、どうなっていくかというのはこれからの議論にもよると思います。

(竹内:高知新聞記者)
 副知事は大学との話の中で、今の永国寺のキャンパスはサテライト的な機能として残すという前提で話をされているようなんですけれども。

(知事)
 それは南舎のことを、南側のことを申し上げていると思います。

(竹内:高知新聞記者)
 お伺いしたいのは、ついこの前まで議論があった駅前の複合施設を断念した、白紙に戻した一番の理由に、財源対策の見通しがなかなかつかないという…。

(知事)
 私はそうは理解していません。それはもちろん1つの理由というか、社会環境の重要な1つではあると思います。けれども、それは、世論調査の結果から見ても、そのまま突っ走って進めるだけの強い県民のご意志がなかったというふうに受け止めていますけれども。

(竹内:高知新聞記者)
 それでは、全体の額もまだはっきりせんので、県のほうとしてはこれからこういう財源対策でやっていこうというような道筋も、まだちょっとついていないということですか。

(知事)
 それはもちろんありますけれども、今年度の当初でも、一気に74億(円)という一般財源の減額が来ております。譲与税に伴うものとか、交付税や臨時財政対策債の減額に伴うものです。こうしたことをどう予想していくかということがなかなか予測がつきません。

 ですが、この女子大の事業というのは非常に長い時間をかけて議論をし、大学との間、また県民やこの大学教育、高等教育というものに関心を持たれる方々のご意見も聞きながら進めてきたものですので。

 単に今の時点で、また方針転換だどうだということを一気に申し上げるのはいくら何でも、ということも思います。
 
 当然、今後の財政状況ということは今、たまたま補正予算に出てきていますから女子大が議論の対象になりますけれども、ほかの事業も含めてどこかで全体的に見直しをしていくか。

 または、それでもやっぱり県民に必要なものをやっていく。それができない地方財政のあり方そのものがおかしいじゃないかという闘いをしていくとかいうことが、どこかで判断を迫られるときというのが来るかもしれません。

 そうならないように、いろんなことを案配しながらやっていくのが私たちの務めですけれども、どこかでそういうことが来ないとも限らない。
 
 ですから、今の段階ですべてを予測し、「こういう見積もりで、収入もこういうふうになっていきますから、支出としてこれだけのものが可能ですね」ということを言い切れる状況ではありません。

 ですから、何カ月後とか分かりませんけれども、状況の変化によっては、女子大に限ることではございませんけれども、進めていた事業をいったん止めるとか、やめるとかいう判断というのは、今の状況から考えれば、どこかでせざるを得ないときは来るかもしれません。

(竹内:高知新聞記者)
 女子大だけじゃないけれども、女子大も含めて、事業については。

(知事)
 事業というか、もうとにかく歳出のあり方ということですね。

(竹内:高知新聞記者)
 永国寺のキャンパスを売るとか売らないとかという判断は、県でされているわけじゃない。それは決まったことでは…。

(知事)
 決まったことではありません。決まったことではありませんけれども、今、申し上げたような客観情勢を踏まえて今後の状況というものを見通したときに、先ほどご質問のあった南の側の、南舎の使い方というのは別ですけれども、北の側とグラウンドは売却をしないで池に移転をし、なおほかの財政運営をスムーズに(やっていく)ということはなかなか難しいだろうと、私は今の時点で感じています。

(竹内:高知新聞記者)
 北側については、売らずに残すというのは、ちょっとしんどいなと。

(知事)
 いや。間違いなくしんどくなるだろうと、今の時点では思っております。

(岡林:高知新聞記者)
 あと、ちょっと関連なんですが。手順という面で言うと、この基本設計で女子大側と合意されたということを受けて、造成とか、校舎整備の前提になる予算というものが出てきたというふうに理解してよろしいんでしょうか。

(知事)
 はい。

中小企業応援ファンド
(田村:NHK記者)
 中小事業のファンドについて、特別会計を含めてお伺いしたいんですが。

 四国のほかの県でもこういうのが始まっているというようなお話ですけれども、高知県が始めるにあたって、このファンドをきっかけに、知事としてこれから中小企業の支援をどういうふうに進めていきたいという思いとかは、どうでしょう。

(知事)
 産業振興ビジョンを作りますということを2月の議会でも申し上げて、今、具体的にそれに取り組んでおります。

 その産業振興ビジョンをやはり実効性のあるものにしていくためには融資の制度と相まってということが一番機能的でございますので、ちょうどそうした時機にこのようなファンドを作る原資があるというお話を伺いましたので、それならば、この産業振興ビジョンの運用ということと併せた中小企業への近代化資金の助成ということで、こうした制度ができればというふうに思いました。

 ということから、このファンドの使い方というか助成の対象としても、今、申し上げましたように産業振興ビジョンに盛り込んでいきます、地域資源の活用だとか、食品加工業への支援だとか、それから今、高知工科大学などと一緒にやっておりますさまざまな共同研究の事業を進めるとか、建設業の(他業種への)転換に資するとか、そうしたものを項目としては挙げていきたいと思っています。

(石山:朝日新聞記者)
 ファンドの規模は、今後、大きくしていくことはあり得るんですか。

(知事)
 今の時点では考えておりませんし、可能性としてもあるかどうかといえば、難しくなるんではないかと思います。
 
 というのは、1つは、国のほうからこういう資金があるからファンドを作りませんかという呼び掛けが全都道府県にあって、各県がそれに応じてファンドを組成をしているものですけれども、やはり、その元となるものにも限りがありますし。

 各県、最初はそんなに手を挙げてという形ではございませんでした。

 先ほどお話がありましたように、四国の各県でも愛媛県が南予を中心に対象にしたもので40億(円)という額ですけれども、ほかの各県は100億オーダーのものを組まれるという形になっていきますので。そもそもの貸付金の元手そのものも、どこかで使い切るということに、国としてなってくるだろうと思います。

 また、併せて、80%はその貸付金で出てきますけれども、あとの20%は県内で組み立てをしていかなきゃいけないということで、今回も、地方銀行でございますとか有力な企業にそういうことをお願いをしていっているわけですけれども、皆さん、そんなにゆとりがあるわけではございません。
 
 いろんなことを勘案しながら、県内の中小企業を元気にすることが経済界そのものの力にもつながっていくということをご理解いただいた上で、出していただいているものでございます。

 そういう20%分を集めるということにもある程度の限度があるのではないかということから、100億という金額は今の高知県の体力からすれば、ある意味、限度ではないかなというふうに思います。

高知女子大学の統合(2)
(竹内:高知新聞記者)
 また女子大のことなんですけれども。時期的なことなんですが、国の歳入・歳出一体改革とか、これからの国の動向がまだ見極めがつかないという状況なんですけれども。例えば国の地財計画なりの具体像がもう少し明らかになってから判断するというのでは、21年4月に間に合わないという…。

(知事)
 21年4月というこれまでの計画からすれば、今、補正予算に上げないと間に合わないということになります。それは、総合評価方式によって入札からの時間が相当かかりますので。

 従来のやり方で言えば、9月の議会に上げて、それから手続きに入るということでいいわけですけれども、今回の新しい入札の方式になれば、もう9月の初めから手続きを開始してということでないと間に合いませんので。

 そのために、21年4月という計画を1つの目標とすれば、この時期に補正予算として上げないと間に合わないと。また1年、ずれ込むということになってくるということになります。

(竹内:高知新聞記者)
 前段のお話で、女子大に限らずいろんな事業について、あるとき判断を迫られる日が来るかもしれないと。そういう話を併せると、6月補正で造成予算の計上に踏み切ったのは、リスキーなようにも思うんですけれども。

(知事)
 何がリスキーという…?

(竹内:高知新聞記者)
 つまり、造成工事に着手をすると。さあ、これから校舎を建てていこうというときに、例えばいろんな国の動向が明らかになる。これはなかなか厳しいなと、中止にせざるを得ないということになったら、そこの造成工事に入れたお金が無駄になるわけですよね。そういう意味のリスキーです。

(知事)
 そうならないうちに、判断をしなきゃいけないとは思います。もし判断をするときには。

(竹内:高知新聞記者)
 造成工事というのは、いつから取り掛かるんですか。

(知事)
 11月過ぎからだというふうに聞いております。

(竹内:高知新聞記者)
 11月といったら、もうちょっと国の動向の具体像が分かる時期ですね。

(知事)
 最終的には、地財計画が確定しなければ分からないということになります。

 だけど、いわゆる財政健全化法〔地方公共団体の財政の健全化に関する法律〕の中で、将来出てくるであろう負債だとか、それから、企業で言えばある意味、連結決算に当たるようなものをどこまで含んでいくかというようなことの、ある程度の方向性が出てきたときに、「高知県としてここまで含まれるのであれば」というような限度というものが、当然ございます。

コムスンの問題
(田村:NHK記者)
 議案の話から外れますけれど、今、問題になっているコムスンのことなんですが。

 いろいろ今、受け皿となる事業者に手を挙げたりしてもらって、これはどうなっていくか分からないわけですが、今回、厚生労働省から指導を受けた、コムスンのこういった対応についての知事のご感想といいますか、ああいう介護が行われていたということについてどういう風に思われるかを。

(知事)
 一言で言えば、介護という、福祉の事業にかかわる事業者として、あってはならないことだと思います。ただ、私どもの立場としては、あってはならないと言って事業者を非難することだけしていても、それは意味がございませんので。

 県内でも500人余り、それも個人情報がございますので、事業者側からの申し立てによる数字ですけれども、そうした数の方々がご利用いただいているということでございますので、それをどうスムーズに移管していただくか、それはコムスンそのものの事業譲渡ということにもかかわりますし、県内での他の事業者等との連携ということもございますけれども、そのことを第一に取り組んでいきたいと思います。

 併せて、県内でご利用されていて心配な方はぜひ、県なり市町村なり、窓口にご相談をいただいて、またいろんな情報を教えていただければということを思っております。

市町村合併
(中田:高知民報記者)
 市町村合併なんですけれども。2段階合併に、前回ちょっと批判的とも取れるようなお話をなさったと思うんですが、その後の議論は。

(知事)
 批判的というか、自分自身でも正直、少し疑問を感じているということでございます。

 2段階の合併に関しては、それが構想に盛り込まれたから、すべての地域でそうしたことを大前提に進めていくというのではなくて、それぞれの地域の実情によって十分協議をし、お話し合いをしながら進めていくべきだというふうに思っております。

 ですから、最終的にはそれにこだわらない方向性というものも、地域でのご議論の中で出てくることもあるんじゃないかなというふうに思います。

(石山:朝日新聞記者)
 ほか、特にございませんでしょうか。
 では、どうもありがとうございました。

(知事)
 ありがとうございました。
 

(記者発表 終了)

 


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