公開日 2007年12月08日
更新日 2014年03月16日
知事の定例記者会見
平成19年4月25日9時20分から(県庁二階 第二応接室)
(項目)
・統一地方選挙の受け止め(1)
・長崎市長の銃撃事件
・県警捜査費(1)
・全国知事会の会長
・知事選への出馬の判断
・県警捜査費(2)
・ボンバルディア機
・高知競馬
・統一地方選挙の受け止め(2)
・東京都知事選挙の受け止め
(岡林:高知新聞記者)
まず、さっそくですが幹事社のほうから3点質問をさせていただきます。
統一地方選挙の受け止め(1)
(4月)22日で約1カ月に渡る統一地方選が終わりまして、県内でも県議選、それと全国的にも注目を集めました東洋町長選などが行われました。県議選では自民党の公認候補が13人の当選にとどまり、東部ではほぼ全滅のような状態にもなりました。
知事は先月の会見で、三位一体改革などで地方の力が削がれた面を否定できず、そういった面を自民党の公認候補がどのように感じて、ある意味矛盾のなかで行われる選挙であるというようなことも指摘されていましたが、そういったような視点も踏まえて、今回の結果をどう受け止めてらっしゃるか。
それと今回の結果が今後の県政運営に与える影響などについてもお聞かせ願いたいと思いますが。
(知事)
自分自身も地方政治ということでは当事者ですので、あまり評論家的なことを言うべきではないと思いますけれども、本県に限らず県議選・市議選、そういう本当は住民にとって重要な意味を持つ選挙の投票率が低め安定になっていくと。
低いままになっているということは気になりますし、やはりそういう状況について何か変えなければいけない。自分でできるわけではないですけども、そういう思いを持ちます。
今お話にあった自由民主党への影響ということですけれども、直接そういう影響が今回の選挙結果に表れたかどうかまでは分かりません。
けれども現実の問題として、それこそ東洋町なども、単に核廃棄物の処理の是非ということではなくて、その背景にやっぱり地方自治体がそこまで財政的に追い込まれているという事情がありますし、その大元にこの数年の政府の地方に対する対応ということがあると思いますので、そのことについて県民の皆さんの不満だとかご批判というものがあると。
それは自由民主党だけではなくて、知事を務めている私に対しても同じような思いを同様に持たれているのではないかということを思います。
ただ、それに対して「そうならばこういうことをします」という、反対の立場、アンチテーゼというものをきちんと示した受け皿というものがないためにこういう投票率になってきているのかなと、そんな思いを持ちました。
選挙結果と今後の自分の県政運営ということですけれども、これはもう選挙結果によってしやすくなるとかしにくくなるということではなくて、それぞれが県民の皆さんの意思の反映ですので、またそのもとでお互いが是々非々できちんと関係を持ちながら県政運営を進めていくというのがわれわれの仕事でございますので、構成メンバーの一部が代わったということで県政運営の何かが変わるということではないし、またそうあってはならないというふうに思います。
長崎市長の銃撃事件
(岡林:高知新聞記者)
選挙と関連もしますが、選挙期間中に長崎市長が銃撃されて死亡するという事件が起きました。原因については市との補償交渉のトラブルとかそういったことも報道されていますが、平成9年には知事自身も街宣車が公邸に突入する事件の被害者になったという立場もありまして、今回の事件を知事自身どういうふうに受け止めてらっしゃるか。
また、選挙では補充立候補した市長の娘婿を市の前課長が破るという結果にもなりました。その結果に関するお考えもありましたら合わせてお聞きしたいんですが。
(知事)
長崎の前市長さんが、ああいう銃撃で選挙中に亡くなるというのは、これはもう私だけに限らず普通の方だったら、あってはならないことだというふうに受け止められると思います。
が、そのあってはならないことが起きてしまう、またそういう状況を結果的にもたらすことをどこかでやっぱり容認というか、そういう土壌を許してしまっているということを反省というかきちんと見ていかなければいけないだろうということを思います。
行政という立場で言えば、「行政対象暴力」という言葉がありますけれども、やっぱり行政に対していろんな圧力を加える、またありもしないような団体名を名乗って自分の思いを通そうとする、そういう方々が昔はもっともっとおられました。
それに対して相当の対応はとれてきていると思いますけれども、今回の事件をきっかけにあらためて高知県庁でも企画会議などを通じてそういうことを全部局でキチッともう一度認識をしていこうと。行政対象暴力に対して毅然とした態度で対応していこうということを申し合わせております。
先ほどお話のあった長崎の場合に、市が行った工事等についてのいろんな不満ということですけれども、ちょうどあの事件と同じような事例で苦情を言われている例というのは本県のなかにもあるわけですね。
ただそういうときに本当の意味での住民の皆さんの苦情なのか、例えば河川などの工事で家が少し歪んだとか、そういうようなお話というのはあちこちにございます。
そういう住民本来の苦情とそういうものとをどうキチッと分けていけるかという、人を見る目というか事案の苦情の内容を見る目というものも大切だと思いますので、そう簡単にいかない点もあるかもしれませんけれども、そのこともきちんとまた伝えていきたいということを思います。
一方で、今回の長崎の市長選挙で前の市長さんがお斃(たお)れになったあとに娘婿さんが出られたというときには、私も正直言って市政というのはそういうかたちで、何か世襲のようなかたちで意思を継ぐというものではないんじゃないかなと。
よほどその縁者の方が、それまで長崎市の市政なり何なりにかかわりを持たれるとか、そういうところに手を挙げられてももっと違和感がないということであれば別なんですけれども。政治記者というような広い意味では全く別とは言いませんけれども、やはりああいうかたちで出てこられると、私は正直違和感を少し感じました。
県警捜査費(1)
(岡林:高知新聞記者)
続いて県警の捜査費問題ですけれども。知事が2月県議会の冒頭で地方自治法に基づく予算の調査権を行使して、自ら捜査費関連の会計文書を確認するお考えを示しました。新年度に入ってどのような調査というのがすでに始まっているのか、あるいはまだとりかかってないのか、庁内はどういう体制でやっていくのか。
それと、県警に資料提出とかを現段階で求められて、どういう反応があるとか、そういった具体的な現在の状況についてお聞かせ願いたいですが。
(知事)
調査はまだ始まっておりませんが、そのための準備手続きというか資料提供の要請はすでに始めております。今月の半ば前だったと思いますけれども、県警に対して資料の提出を求めました。
その前段に特別監査をしましたときに、監査委員に県警が出された一覧表があるというふうに考えましたので「その一覧表を全部出して見せてください」ということを申し上げましたが、「その一覧表はすでに手元にない」というお答えで、それを全部作り直すにはまた相当の時間がかかるという返答でございました。
それが事実だとすれば、やはりスピード感を持ってこの調査を進めていくということも必要でございますので、そうしたことを勘案しました上で、本部の捜査一課と交通指導課と高知警察署、この3つの部署の平成12年度の捜査費の執行状況について先ほど申し上げたような一覧表を提出をしていただきたいという要請をいたしました。
すでに一覧表はもうお届けいただいているかと思いますけれども、もう少し追加のことで協議をということで事務的に手続きを進めている段階だというふうに聞いております。
体制ですけれども、調査をする者、調査者は私と副知事それからその補助者として会計管理局の幹部、また立会いとして総務部幹部というかたちでどうかということを考えておりますけれども、まだ相手方との詰めた協議ができているわけではございませんので、体制も固まったものではございませんし、今申し上げたような準備手続きの段階ですので、何月何日にどういうことをするという日程まではまだ決まっておりません。
ですが、なるべく早い時期に進めていきたいというふうに考えております。
(岡林:高知新聞記者)
幹事社からは以上ですが、各社質問があればどうぞ。
全国知事会の会長
(畑本:読売新聞記者)
気が早いんですが、5月の全国知事会議の会長さんの改選があると思いますので、それに関して2つに分けてお伺いしたいと思います。
1つ目なんですが、麻生(渡)会長が2年間ずっとされてきまして、麻生会長についての知事の評価をお聞きしたいんですが。
麻生会長については平成17年、2年前の11月に知事ご自身がこの会見で「闘う知事会の流れが少し協調路線に変わってきたようだ」というようなことをおっしゃっていた記憶があるんですが。そういった、もっと頑張ってくれという気持ちがあるのかなと思いますが、それをちょっとお聞かせいただけますか。
(知事)
印象論としては、17年に申し上げたように以前の闘う知事会と比べてずいぶん予定調和的になっていはしないかな、ということを思います。それは麻生さん自身の考え方というものよりも、知事会そのものの今置かれた状況がそういう状況にあるのではないかということを感じるんです。
闘う知事会のときは、まだ地方分権の第一期改革ということで三位一体の改革というふうな流れも出てきて、その中で補助金・負担金などの分権という視点からの改革をどう進めるかという、かなり具体的な目標があって侃々諤々(かんかんがくがく)の議論ができる余地がありましたので、その分相当盛り上がった雰囲気になったと思います。
けれども、それが第一期の三位一体の改革がいったん結論を見て、その中でやはり多くの県が国の一方的な考え方に押し切られたという敗北感というのか虚脱感を持っている、そういう中での知事会でございますので、なかなかそのリーダーシップをとるという面でも闘う知事会と同じようなかたちには会長の仕事ぶりもいかないのではないかなということを思います。
麻生会長自身は私たちが選んでお願いをしている会長でございますので、その会長の仕事ぶりが足りないとか何とか申し上げる筋合いではございません。やはり、さらに第二期をどうしていくかというのは大きなテーマでございますけれども、それに向けて力を発揮していただきたいし、またみんなで支えていけるような知事会であればというふうに思います。
(畑本:読売新聞記者)
2つ目ですが、麻生さんがもし再選出馬された場合、すでに出馬の意思は表明されてるんですが、支持しますかということをお聞かせください。それから意中の候補者、この方がいいんじゃないかというようなお話を。あるいは知事ご自身が立候補しようかなと思ってらっしゃる、そういったことがありますでしょうか。
(知事)
今もお答えをしましたけれども、私はこういう状況の中で知事会としての声はできるだけ上げていただいていると思いますし、他に対抗してお出になるということを意思表明をされたり、それに向けて動きをされている方がおられるわけでもないというふうに私は今思いますので、であれば麻生さんに引き続きお願いをするということになるんではないかと思います。
私自身という話がありましたが、今第二期の分権改革に向けての福祉関係のプロジェクトチームというもののチーム長を引き受けているんですが、真面目に考えると、それだけでも相当難しい。正直言って深みにはまったような感じさえするような難しいテーマですので。
会長職ということになれば、やはりとても時間をとられて、自分の足元の仕事ができなくなるだろうということが想定をされます。
やっぱり福岡のような県であれば、そういうことにかかわらなくても動いていく面があろうと思いますけれども、高知県の現状ということを考えたときに、少なくとも知事として自分が仕事をさせていただいている間は県を本位にして仕事をしていくべきではないかな、というふうに思います。
(畑本:読売新聞記者)
今の麻生さんの働きには十分満足して評価しているということなんですが。欲を言えばということになるかもしれませんが、こういうふうな会長になってほしいというような注文とか理想っていうのはありますでしょうか。
(知事)
それはなかなか難しいというふうに思うんですね。というのは、先ほど申し上げた闘う知事会当時の国と地方との状況とか社会環境という中であれば、いろんな政治力だとかパフォーマンスの力ということで闘い方をどう見せていくかという個性の発揮の仕方という部分で相当の余地があったと思います。
ただ、今の状況の中ではなかなかそういうことができかねる。国と地方との力関係ということが歴然として、その中で、知事会という中で、また今回国と地方との協議の場もできるわけですけれども、そういう場で議論したから霞ヶ関の壁を、またそれに支えられた政府の壁を突き破れるかというと、とても難しいのではないかということを思います。
ですから、会長さんのキャラクターだとか政治力だとかいうものだけでは突き破れないものがあるんではないかということを思うんです。
何回か申し上げたこともあると思いますけれども、やはり今の構造をもし変えるという動きを起こすのだとすれば、それは国政選挙の場で各政党がいろんなマニフェストというものをキチッと提示をして、その中で、これは分権なのか地方主権的なものなのか。
前にもちょっと言ったかもしれませんけれども道州制ではなくて連邦制的なというような意味合いのものなのか、そういう国のかたちというものをキチッと政治的に掲げた党派があって、そこが多数を占めて変えていくということでないと、なかなか分権という言葉の範囲の中で国が持っている補助金や施設基準やそういうものを外していきましょうとか地方に分けましょうとかいうことの議論をしているだけではもうにっちもさっちもいかないのではないかと。
そういうなかではなかなか、会長さんが誰になってもその力を発揮するのは難しいのではないかなということを思います。
(畑本:読売新聞記者)
今のお話ですと、全国知事会というもの自体が今力を発揮できないと。そうしたら、知事も以前おっしゃっていましたけれど、知事会自体が闘い方を考える必要があると。知事会自身が国との関係というか、知事会の闘い方を変えていかないと、今逆に存在価値がなくなっちゃいそうになってるんじゃないかということになるかと思うんですが。
(知事)
それは今、例えば申し上げた政治的パフォマーンスということであれば、それは位置づけからいっても知事会の役割では多分ないんだろうと思いますね。それはまた別の働きかけをしていくエンジンがあって、そういうものが政治活動と結びついていくということではないかなというふうに思います。
知事会が置かれた現状の認識は私が先ほど申し上げたとおりですが、それでまた知事会の存在意義が全くなくなるかというとそうではなくて、最初申し上げましたように第一義的にはそういう国と地方との関係を変えるための政治的な力がなければ、なかなか大きな壁は破れないでしょうということは思います。
しかし、第二義的に今の枠組みの中でもやはり地方としてやっていくべきこと、主張していくべきことっていうのは当然あるわけで、そういう声をまとめて、糾合して国に対応していくという知事会の存在意義、その点はひとつも揺らぐところはないというふうに思います。
知事選への出馬の判断
(八代:NHK記者)
以前知事が会見の中で、今年の秋の知事選の出馬にからんで、統一選後にそのあたりの状況を見て去就を判断するというようなことを発言されていたかと思うんですが。統一選が終わったところで、今の段階でその件についてどのようにお考えになられますか。
(知事)
いや、あの時も私、統一選や参議院などの国政選挙という一連の選挙の流れ等も考えて、ということを申し上げたので、統一選が終わったらすぐにどうのこうのと申し上げたつもりはないんですけれども。
もちろん、いろんな変化だとかそこに示される県民の皆さんの思いというものも私自身の判断の、当然有力な材料になっていくというふうに思います。またそうしていかなければいけないと思っています。が、まだ今の時点で結論的にどうするということを申し上げられる状況ではありません。
県警捜査費(2)
(竹内:高知新聞記者)
県警捜査費のことなんですけども。本部捜査一課、交通指導課、高知署の平成12年度分についての一覧表提出を求めたということなんですけれど、今回の調査も悉皆調査というのは無理だよと。ある程度抽出していかなければならない。この3つの部署に絞ったということなんでしょうか。
(知事)
それはそういうことです。
(竹内:高知新聞記者)
それと、協力者あるいは店舗にも調査したいという意欲をお持ちなんですが、本部長は協力するという議会答弁はしているんですけども、県警の協力の度合いをどのように受け止めておられますか。
(知事)
本部長のおっしゃる協力と今ご質問にあったことのような調査の実施ということにはズレがあるというふうに思います。
(竹内:高知新聞記者)
現状の県警の言う協力では、その調査ができないと?
(知事)
のではないか、と。まだ結論的なことを、資料が出てきてそれに対して「これを見せてくださいね、聞かせてくださいね」という時の答えを聞いているわけではないのですので。ただ、そうなるのではないかなと。
(竹内:高知新聞記者)
マスキングについては県警も外さないよと。
(知事)
外さないよというか、これまでと同じ対応を繰り返されるのではないかと。
(竹内:高知新聞記者)
今も繰り返していると。今の求めに対してもそういう反応が返ってきている?
(知事)
と、最終的に決め付けるかどうかは別なんですけれども、そういうふうに受け止めております。
(竹内:高知新聞記者)
平成12年度というのは何か意味があるんですか。
(知事)
平成12年度も、捜査一課、交通指導課、高知署というのも、「これこれこういう理屈です」というものはありません。ただ、サンプリングということをしていく場合に、やはり常識的に考えて、時代をさかのぼればさかのぼるだけそういう点で過去のいろんな問題点があったとすればそれを引きずって残っている蓋然(がいぜん)性は高いのではないかというふうに考えました。
また、捜査一課、交通指導課、高知警察署というのは場所を選ぶとすればこういう所かなと。それぞれ少し仕事の色合いの違い、それから本部と現場の一番大きな署の違いというような違いを反映できるかなということを思いました。
ボンバルディア機
(畑本:読売新聞記者)
ボンバルディア機のことなんですが。4月に全日空がまたダイヤ改正をして。あの事故を理由としていたと思うんですが、ボンバルディアの枠を減らして関空便の方にということで、結局全体の便数としてまた減ってしまったように思うんですが。
高知県が、ずっと大阪ー高知の空路を守ってくれと要請し続けてきて、全日空がそれを聞いてくれていたんだけれども、どうも事故対策を理由に便数を減らされたかなという気もしているんですが。ちょっとはっきり言えることではないと思うんですが、知事はそのへんは何か。
(知事)
全日空さんが就航の回数を減らしたいと考えておられて、そこにボンバルディアの事故というものを奇貨としてこういう対応をとったかというと、決してそういうことはあり得ないと思います。
全日空としても、ボンバルディアでシャトル便のかたちで伊丹と高知の間に定期運行を細かく繰り返すということは、他の社が入っている路線ならともかく1社で独占をされている路線ですので、最もお客さまのためにもなり、会社のためにもなるという認識を持っておられると思います。
ただ、ボンバルディアの事故が起きて県民の皆さんの間に非常に強い不安がある、また事故うんぬんということよりも、定時運行が本当にこれで確保できるのかというご不安があるということを強く伝え、できれば違う機材で飛ばせてもらえないかということも県として要求をしておりますので、それに対して全日空として対応された結果だろうと思います。
で、これはもちろん固定というわけではなくて、ボンバルディアの機材について全部それこそ1機ずつきちんと調査をし、検査をして、ということをやっていかれるということになりますので、そうすると当然機体のやりくり等で空港の使い方、また機材の使い方というのはやっぱり全日空なりの努力、工夫も必要になろうと。
その結果が今回の、ある意味臨時の体制での対応ということであって、便数を減らしたいからそれをいいことにこういう流れをつくられたというふうには、県としては受け止めておりません。
(畑本:読売新聞記者)
ちょうど事故がらみというと非常に差があるとは思うんですが、今日、JR西日本の尼崎線の事故からちょうど2年なんですが。ちょっと高知とは関係ないとはいえ、交通面での安全性というのは最近重視されているだろうと。
で、高知もボンバルディアの件がありましたし、尼崎の件ではまだ遺族らの心のケアが進んでいないのではないかというふうにも思われるんですが。ちょっとこの、今の交通の安全性とそれに対する会社としての安全意識という問題があろうかと思うんですが、それについて知事は今お気持ちとして何か思われていることがありますか。
(知事)
交通機関の安全性ということで言えば決して他人事ではなくて、宿毛駅でのくろしお鉄道の事故もございました。こうした時に、やはり安全に対する意識というものを、鉄道で言えば全社員が持っていくということの重要性というのはもちろんあらためて感じておりますし、またそういうことを、今回のボンバルディアであれば全日空の幹部、ボンバルディアに対してもそうですけれども、特に運行されている全日空に対しては繰り返し申し上げております。
よく言われる例のハインリッヒの法則ですけれども、やっぱりヒヤリハットということが100回200回と積み重なっていくうちに目に見える事故が20回30回と起きてきて、そうなると大事故につながるというのは、原発のいろんなトラブルからしても、こういう交通機関の事故にしても言えることだと思うんですね。
そのことは全日空さんにも申し上げて、全日空でもそういうことを社長さんの訓示などできちんと伝えているというお話を伺いましたけれども。
直接運行になんらかのかたちでかかわる交通機関ももちろんですけれども、そうでなくて高知県とかかわりを持って運行をしていただいている交通機関またその関係の会社に対しても、やはりそういう「ヒヤリ」とか「ハッと」とかいう時にどうそれを修正していくかということを注意しながら心がけ、また意見交換をしていくということが必要なんだなということをあらためて思っております。
高知競馬
(米山:毎日新聞記者)
競馬場のことでちょっとお訊きしたいんですけれども。2003年3月に88億円の累積赤字があり、今後赤字を出さないことを条件に存続が決まりましたけれど、今剰余金も底をつきかけているという状況です。
その時の、赤字を出せば即廃止という考えは今もお変わりはないのかということと、この厳しい状況の中で県が今後できるようなこと、何か手立てというお考えがあれば教えていただきたい。
(知事)
赤字が出たら即廃止ということは、単に県の方針というだけではなくて、県議会でも明言をしてお答えをしております。つまり県民の皆さんに対するお約束でございますので、これを変えるということはありません。
今、なんらかの収支の決算の段階で赤字が出ていくという状況であれば、これは馬主さんをはじめ、競馬場の皆さま方のコスト削減でこれまでもきております。それにある意味耐えていただけるかどうかということだけにその動向はかかってくるという現状にございます。
そういう中で、県として何かできることがあるかというのは、なかなか正直言って「こういうような打開策があります」ということは今申し上げられません。
地道に競馬の管理者をはじめ現場を預かる方々に頑張ってもらって、いろんなアイデアだとか民間の企業とかかわっての様々なイベント等の企画もございますので、そういうものを地道にやる中でなんとか競馬場に向けての国民の皆さんの目線というものがもう少しよくならないかなということを思います。
統一地方選挙の受け止め(2)
(岡村:高知新聞記者)
先ほど、統一選の投票率の低さで、ご自身を含めてかなり忸怩として思うとおっしゃったんですけれども。今回、例えば高知市内で言うとタレント活動をしていた候補者が大量得票したり、二十何歳の若い候補が陣営の想像以上に票を伸ばしたり、あるいは若い候補者がベテランの自民党議員を破ったりしているという状況があるんですけども、これからの政治家のあり方像みたいなものとか、この投票結果を受けて何か思うことはないですか。
(知事)
政治家の個人個人の姿勢というのはもちろん問われると思います。だけど、キャラクターだとか経歴だとかいうことだけで票が集まって、その方が大量得票をとる。当該本県の場合を具体的に指してという意味ではないです、一般論として。
そういうことだけが話題になって、持ち上げられて、それで何かが変わるかというとそうではないと思うんですね。それは宮崎県の東国原さんの選挙でも言えると思います。
東国原さんの実力だとかいうこととは別にして、そういうかたちで何か知事選で変化が起きてもそれが全体の変化になっていくかというとそうではない。
やっぱり、今お話があったような人たちに集まっている票というものをもう少し県政でも市政でも、どういう対立軸が作っていけるか分かりませんけれども、それをキチッとまとめて「こういうことをしていきましょう」という運動体としてまとまっていかないと、安定的な高い投票率なんかにはつながっていかないと思うし、そういう政治活動をできる、中心になって旗を振れる人がいるかどうかということだろうと思うんですね。
東京都知事選挙の受け止め
(岡村:高知新聞記者)
それからもうひとつ。東京都知事選で浅野(史郎)さんが出られて、惨敗と言いましょうか、あれはかなり前段のマスコミの報道の仕方、騒ぎ方にちょっと私も違和感を持ったんですけれど。あの投票結果を知事はどういうふうに受け止められてるんですか。石原さんがあれだけ支持を受けたということも含めて。
(知事)
開票まであの票差を知らなかったら、「おお、こんなに開いたか」と思ったかと思うんですが、途中で、東京都庁クラブにも高知県県政記者クラブ出身者が何人かいたりしますので、何人かと話をしましたら、もう完全にああいうポイントの開きだというので、ある程度そうかと思ってしまったので、正直言ってあんまりびっくりしたとかそういう思いで開票結果を見ませんでした。
ただ、これも評論家になっても仕方ないんですけれども、私から見るとオリンピックだどうだって、多分どうでもいいと思うんですよ。
そういうことよりも、やっぱり「こういうことが変わります、こういうことができます」ということを打ち出せるのであれば十分戦える選挙にはなったと思います。その出方がああいうかたちで、ある意味石原さんへの批判の受け皿というかたちで出ていっていますので。
批判というのはひとつの選挙のベースにあります。だけどその上にやっぱり「何をします」という魅力が加わって初めて勝ち負けの戦いになっていくので、その部分が作れる期間があれではいくらなんでもないと思うんですね。
何かをぶち壊す、青島(幸男)さんのときの都市博だとか(滋賀県の)嘉田(由紀子)さんのときの栗東の駅だとかいうことであれば「それをやめましょう」というだけで大きなインパクトになっていきますけれども、オリンピックはやれるならやってみればいいし、しかも都市博のように自分の意志で決められるものではなくてIOCが決めていくものですよね。
それにとにかく手を挙げてみましょうということを言っているだけのものというような流れが、ちょっと選挙(の争点)にはなり得なかったんだろうなということを思います。石原さんは、やはり強いんですねとしか言いようがないですね。
(岡林:高知新聞記者)
どうもありがとうございました。
(知事)
ありがとうございました。