知事の定例記者会見(平成20年1月4日)

公開日 2008年01月04日

更新日 2014年03月19日

知事の定例記者会見(平成20年を迎えるに当たって)(於:知事室)

目次

質疑

 



決意
(知事)
 あけましておめでとうございます。久方ぶりに私自身、高知県民として、このふるさと高知でお正月を迎えることができまして、非常にうれしい気持ちでおります。

 

 これからの4年間の任期、その1年目となる年でございまして、私がお約束してまいりました5つの基本政策の実現に向けて、まずはその第一歩を踏み出す足固めの年にしたいと、そういう思いでおります。お正月の新鮮な気持ちの中で、なんとしてもこの高知のために頑張りたいと、そういう良い意味での緊張感が体にあふれているところであります。

 今後5つの基本政策について、私自身、この新年どのように取り組んでまいりたいかについてのご説明をさせていただきたいと思っております。

経済の活性化、雇用・収入の確保
 まず、経済の活性化、雇用・収入の確保についてでございますけれども。
 私は、選挙期間中を通じましても、多くの新たな取り組みが地域ごとに行われてきたのを見てまいりました。

 今後この1年間、少なくとも年の前半をかけて産業別、地域別の振興計画を作ってまいりたいと考えておりますが、その際忘れてはならないのは地域、地域に優れた取り組みが行われんとしている点、この取り組み自体を把握しなければならないということであります。

 ですから、県庁からのトップダウン方式で計画を作るのではなくて、地域支援企画員という制度がございます。この制度を生かして、さらに拡充するかたちで、地域から振興計画をボトムアップ型で吸い上げていくような、そういうかたちの取り組みを行ってまいりたいと考えているところでございます。

 対話と実行ということを申し上げさせていただきましたが、私自身も地域、地域に足を運ばせていただいて、市町村行政の方々のみならず、地域のまちおこしのリーダーのかたや、さらには一般県民の方々とも話をさせていただいて、その中で今、地域、地域で経済の振興のためにどのような取り組みが行われているのか、今後どのような方向性を目指していくべきなのか、そして、そこに向けて、県として今できることはどのようなことであるか、この点について、しっかりと話を伺わせていただきたいと思っております。

 ですから、私がイメージしております産業振興計画は、これは地域別のものであり、そして併せて産業別のものである。そのようなマトリックスのかたちをとるものとなると考えているところであります。

 さらに私は思いますが、今後高知県にとって今既存の一次産業、農業・林業・水産業、これらをどうやって生かしていくのかということもありますし、さらに地場産業の取り組みもございます。

 これらを伸ばしていくとともに、それにかかわらず、新たに高知県にとってリード役となるような産業はどのようなものがあるのかという、新たな産業の発掘というものも今後行っていかなければならないのではないかと思っております。

 皆さまご存じのとおり、土佐人は非常にアイデアと活力にあふれております。他方、産業の振興という点においては、どうしても辺境の地にあって物流コストが高いというデメリットがあります。

 この両者を考え合わせたときに、例えば新たな産業として、ソフトさらにコンテンツ産業このようなものを育成することができないかどうかということについても、ぜひこの計画づくりの中で考えてまいりたいと思っております。

 ご存じのとおり、漫画については、『まんが甲子園』なども開かれまして、全国でも高知県はトップを走る分野ではないかと思っておりますが、そのような先駆的な取り組みがあります。さらに、これを今後伸ばしていくことができないのかということを考えてまいりたいと。

 ぜひこの計画づくりの中で、地域の皆さまともお話をさせていただきたいですし、また併せて県庁の関係部局にもその点をよく考えてもらいたいというふうに考えているところであります。

滞在型・体験型観光の推進
 そしてもう一つ。滞在型・体験型観光の推進ということを申し上げてまいりましたけれども、ご存じのとおり今年は『花・人・土佐であい博』が開催をされます。この機会をぜひ生かして、滞在型・体験型観光を推進する起爆剤としていきたいと私は考えております。

 そのためにどのようなことが必要であるか。もうすでに補正予算も可決いただいておりますけれども、集客力の高い特別イベントを実施することなどによって、高知県に多くの方々に来ていただいて、それによって高知県をよく見て、触れていただくという取り組みを進めようとしているところでございます。

 私は今後この滞在型・体験型観光推進のための『花・人・土佐であい博』の成功に向けまして、まずは県外の方々に高知県に来ていただくためにどのようなインセンティブ付けがさらに考えられるかという点について、よくよく関係者の皆さんでご議論いただけないかなと思っております。

 さらには、東京などと違いまして、地下鉄が網の目のように張り巡らされているという状況には、高知県はございません。

 来られたかたが観光地をスムーズに、そしてできるだけ多くの所に訪れていただくようにするためには、やはり観光客の皆さま方の足というのが非常に重要だと考えておりますので、ぜひ交通機関の皆さまのどのようなご協力が得られるか、この点についてもよくよく話をしてもらいたいというふうに考えているところでございます。

 そして大事なことは、『花・人・土佐であい博』というものを一過性のイベントで終わらせるのではなくて、この機会に高知に訪れていただいた方々が、また再び高知県に来ていただくような仕組みづくりをすることではないかというふうに思っておりますので、この点においては、例えば観光パックとしての商品化をこの機会に合わせてどのように図っていただけるかといった取り組みは重要だと考えております。

 このようなかたちで、私は『花・人・土佐であい博』を滞在型・体験型観光推進の起爆剤とするべく、ぜひ今後とも取り組みを進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

 さらに観光の関係でいきますと、ほかにも9月には『日本スポーツマスターズ2008高知大会』が開かれます。これも、本県の生涯スポーツ社会の実現に向けた取り組みにも非常に沿うものだと考えておりますので、この機会も生かしてまいりたいと考えております。

 また、北京オリンピック大会に向けての事前合宿。これも、前回の世界陸上大阪大会の事前合宿で一定の成功を収めたと私は思っておりますけれども、北京オリンピック大会に向けましても、この事前合宿の誘致というものを図っていきたいと考えております。

 残念ながら、本県は外国人観光客の見込み数が全国でも最下位という状況になっておりますけれども、このような取り組みを通じまして外国の観光客の方々にもぜひ高知県というものを知っていただきたいというふうに考えているところでございます。

教育の振興
 続きまして、教育の問題についてでございます。何度も申し上げてまいりましたけれども、全国学力テストの結果によりますと、特に中学校におきましては全国最下位レベルという状況でございます。土佐の教育改革を10年続けてきて、この結果であったことについてはやはり残念な思いがいたしております。

 この教育レベル、全国最下位レベルからの脱却ということを私は公約に掲げさせていただいてまいりましたし、また県議会でも5つの基本政策の一つに挙げさせていただいてまいりました。この取り組みを進めていかなければなりません。

 私は、まずこの点につきましては、今年1月から3月までにかけまして、まず土佐の教育改革の検証、これを再検証してみたい。そのように考えております。そのためにも一つの有効材料として全国学力テストの結果というものの分析をしっかりと行っていきたい。これは1月末までにやっていきたいと考えております。その結果を踏まえまして、2月、3月の期間に土佐の教育改革の再検証を図ってまいりたいと考えております。

 私はこの結果を踏まえて、何が問題点であるかということを大筋で把握したうえで、次の教育委員をはじめとする教育委員会の人事体制、これを決めていかなければならないというふうに考えているところでございまして、この3カ月間、原因を踏まえ、その原因に対する対策を講じるためにはどのようなかたが一番ふさわしいかということをしっかりと考えていきたい。

 そのうえで、新たな人事体制、人的な体制を組み上げましたら、その方々とともに(平成)20年度中には、県の新たな教育振興計画というものを策定してまいりたいというふうに考えております。

 この教育の問題についても、いろいろと地域性があろうかと思っております。地域によって、学力が主たる問題であるところもあれば、またむしろそれよりもいじめ・不登校の問題が非常に深刻であるという地域もあろうかというふうに考えているところでございますので、この点につきましても、地域の教育関係者の方々や保護者の方々のご意見もよく聞きながら、計画づくりというものに取り組んでまいらなければならないというふうに考えているところでございます。

日本一の健康長寿県づくり
 3番目でございますけれども、子育て支援、そして医療の問題などにつきましても、取り組みを考えていかなければなりません。私は、日本一の健康長寿県づくりというものを一つの政策として掲げさせていただいております。

 日本一の健康長寿県づくりをするためにまず大切なことは、これは健康寿命を延伸することであろうと考えているところでございますが、そのためには、食育や予防知識の普及をはじめとしたこの体制をつくっていかなければなりません。

 さらには、高齢者の方々の医療の充実という問題も、ぜひとも取り組まなければならない課題であろうかと思いますが、選挙中にも申し上げてまいりましたし、今も深く実感として持っておりますのは、高知県の医療の問題というのは、地域ごとに抱える課題に非常に多様性があるということではないかと思っております。

 療養病床の転換というのが大きな課題となっている地域もあれば、医師不足の問題が非常に大きな課題となっている所もあるでありましょうし、さらに言えば、救急医療の基礎がそもそも欠けている所もあるというふうに考えているところであります。

 今後、県は今年度末に向けて、ひとつの新たな5カ年の医療計画をつくってまいりますけれども、その計画に加えまして、地域ごとの医療問題についてどのような対応を練るべきなのかという地域別の医療計画の策定を今年中に行ってまいりたいと考えております。

 この点につきましては、地域の医療関係者の皆さま、また患者団体の皆さまとの話し合いもぜひ行っていかなければならないというふうに考えているところでございます。

子育て
 そして、もうひとつは子育ての問題。この問題につきましては、まだ私自身、高知県におきましては子育て支援対策について、必ずしも本格的な対策がこれまで講じられてきていたとは思えないという状況でございます。

 なかなか厳しい財政状況の中で、いきなり夢のようなことは申し上げることはできませんけれども、やはり子育てというのは親だけがやるものでもなくて、また学校だけがやるものでもなくて、まして地域社会のみが行うものでもございません。

 学校と親とそして地域社会、この協働によって地域ぐるみで子どもを育てていくという体制づくりを図ることで共働き世代にとっても少しでも子育てに伴う様々な負担を軽減し、また安心感も与え、そして何よりも、子どもにとって健やかな成長を果たすことのできる、そのような環境づくりを行ってまいりたいと考えているところでございます。

 残念ながら、先ほど申し上げましたように、子育て支援について今の段階では夢のようなことは申せませんけれども、その子育て支援の充実に向けた第一歩となる年としたいというふうに考えております。この点につきましても、地域の学校関係者の多くの方々のご協力が必要な話だと思いますので、よくよく対話を重ねながら対応策を練ってまいりたいと考えているところでございます。

県庁組織体制の見直し
 このような様々な対応策を練ってまいりたいと私は考えておりますけれども、その全ての基礎として県庁の組織体制の見直しというものが欠かせないというふうに考えております。

 一つには、先ほど申し上げましたように、地域ごとの振興計画をつくっていくためには、やはり地域の県庁組織というものをどう考えていくのかという点についての考慮が必要だと考えています。

 地域支援企画員制度というものを軸としながらも、他方それぞれの県の出先事務所があります。この間の連携をいかにしっかりと図っていくのかと。その連携を強化する方向で、私は県庁の地域組織の見直しというものを図ってまいりたいというふうに一つは考えております。

 この点につきましては、来年度の予算編成において実現するべく取り組んでまいりたいと考えておりますので、今月の20日過ぎごろから本格的な、私自身も参加するかたちでの予算編成が始まりますけれども、その過程で具体のものにしていきたいと考えています。

東京事務所の抜本強化
 そして、もう一つが従来より公約として掲げさせていただいてまいりました東京事務所の抜本強化についてでございます。東京事務所をなぜ抜本強化しなければならないのかということについてでございますけれども、これは単に予算の分捕り合戦に勝つとか負けるとかそれにとどまるものではないと私は思っています。

 今、地方分権時代を迎えて必要なことは国発の政策に全国一律にならうということではなくて、地方発の政策が国の政策づくりに生かされていくということではないかというふうに私は思っております。

 実際のところ、私は今後日本全体でも大きな問題となるのではないかと思っておりますけれども、地域、地域から人口が流出していく、都会に集中化が進んでいく。他方で地方部におきましては、いわゆる限界集落問題、中山間問題、非常に村落自体の存続さえも危ぶまれる。そういう過程において、特に高齢者の方々が日々の生活にも非常に不安を感じられるという状況、これが実は全国にも蔓延してきつつあるのではないかと思っています。

 これらは高知県の抱える最大の課題ではございますけれども、実はいずれ日本全体の課題となっていくものではないかと、私は思っています。

 この高知県の抱える課題が、いずれ日本全体の課題となるということであれば、私は高知県からこの問題に対する対応策を自ら考え、そして国に対しても積極的に提言を行っていくということが重要ではないかと考えているところでございます。

 そのための拠点としての東京事務所であるべきだというふうに私は考えています。これは自ら、ゼロから政策提言することもあろうかと思いますし、また併せて、国が政策づくりをし始めたときに、そのつくっている過程において本県の政策提言というのをいかに組み込ませていくかということのための拠点でもあるべきではないかと思っているところであります。

 そのためには、私は思いますが、求められる機能は、国においてどのような政策をつくり始めようとしているのかを適切にウォッチし、そして今必要な検討がなされ始めたということをすみやかに本庁に連絡をし、そして前さばきの交渉を行い、本庁から出張する職員が本格的な交渉をする際のサポートをし、その結果のフォローアップを行っていく。こういうことのできる体制でなければならないというふうに考えているところでございます。

 そういうことを行うことによって、国の政策ができてから後になって、「これは地方の実情に合っていない」と文句を言うのではなくて、つくっていく過程で高知県でも十分通用するような国の政策に変えていくということが果たされるのではないかと考えているところであります。

 そのために、体制としてどのような体制が必要であろうかと。今、高知県東京事務所は事実上12人で対応しておりますけれども、まずこの人数は少なすぎる。具体的に何人までということを今申し上げるのは控えさせていただきますけれども、一定数の増員が必要だというふうに考えております。

 ただ、それよりも何よりも大切なことは、東京事務所にいる職員が高知県庁の中でどのような課題があるかということを十分把握しておける体制が必要であります。また、東京事務所の職員に対して本庁からどのようなことをすべきだということをしっかりと命令していく。それに対して東京事務所の職員が着実にそれに対応する。そして、それに対して東京事務所から収集した情報をもとに高知の本庁のほうに流した情報については、しっかりと受け止めていくという体制づくりが必要だと思っております。

 私は東京事務所と本庁との間で指揮命令系統を根本的に変えていくことが必要ではないかと考えているところであります。

 私は、ある意味、外国にあります在外交館、いわゆる大使館でございますけれども、大使館と本国政府との関係が一つのモデルになるのではないかと考えています。

 大使館と本国政府との間では、発せられた命令は全て大使発、そして外務大臣宛ということになっておりまして、これを形式上もいちいちのやりとりについてこれを無視するということはできないわけでございます。

 私は今後、高知県庁から東京事務所宛に発せられる命令につきましては、これは全て一定のハイレベルの、例えば私である場合もあるでしょうし、副知事である場合もありますでしょうし、そして政策企画部長である場合もあろうかと思いますけれども、ハイレベルの情報命令の発信、そして先方の東京事務所長から返ってくる回答につきましてもハイレベルの、庁議メンバーに対する回答であると。

 そうすることによって、途中で情報が無視されることなく確実なキャッチボールが行われると、そういう体制をつくっていかなければならないのではないかというふうに考えております。

 そして第二点目でございますが、東京事務所の新たな役割として、今後やはり高知県のすばらしい素材、一次産品の素材や、さらには観光資源というものを県外において、東京においてもしっかりとアピールしていく必要があると思っています。

 アピールする場自体につきましては、私は新たなアンテナショップの策定でありますとか、そのような工夫をこれからしていかなければならないと思っていますけれども、まずはそのセールスを行うための企画、下交渉をしっかりと行っていける、そのような拠点の場としての東京事務所であるべきだというふうに考えているところであります。

 この点にも強く関係いたしますけれども、私は今後県外において、いわば海援隊のような高知県の応援団というものをつくってまいりたいというふうに考えているところでございます。

 東京においても大阪においても、まずは高知県出身の方々で、各界で活躍をしておられる方々がございます。こういう方々の知恵とそして活力というものをぜひふるさと高知県振興のために生かしていただきたいと私は思っているところでございます。

 こういう方々とのネットワークづくりを行っていくこと、海援隊づくりを行っていくこと、これも東京事務所の今後のひとつの重要な仕事ではないかと私は考えているところでございます。

県の財政事情と予算編成
 以上が東京事務所についてでございますが、最後に厳しい財政事情についても、一言申し上げさせていただきたいと思っております。

 私が就任しまして、まだ約20日あまりでございますけれども、この間高知県の財政事情というものをそれなりに勉強をさせていただきました。

 やはり、今最大の課題は何なのかと言いますと、ほとんどの経費が義務的に支出しなければいけない経費でありまして、実際様々な政策課題に弾力的に対応できる割合というものが非常に小さくなってしまっている。そこに大きな課題があると思っております。

 非常に弾力的に対応し得る割合というのは小さい。残念ながら200億円少しぐらいしか政策的に弾力的に対応できる部分というのはない。あとは法令に基づくなど、義務的に支出が決まってしまう経費でございます。

 このような状況において、今できることには本当に限りがあるということは、まことに残念でございますけれども、私自身公約で申し上げさせていただきましたように、今後財政再建にあらゆる力を尽くしてまいりたい、そして、この政策的に弾力的に対応できる部分というものを増やしていくことで、県民の暮らしの向上と産業の振興に公的にも資金的にも対応できる部分というのを増やしてまいらなければならないと考えているところでございます。

 初年度の予算編成において、まずどのような対応ができるのかについて、今回は初年度でもあり限界もございますけれども、必死になって取り組んでまいりたい、そういう思いであります。

 この1月20日過ぎより、先ほど申し上げましたとおり私自身も直接臨む予算編成が始まってまいります。それに向けてさらに勉強を重ねて、今後の予算編成に向けた備えを行っていく。これがまずは1月の課題かな、というふうに思っているところでございます。

 いずれにいたしましても、下降傾向にあった高知県の県政をなんとしてもこの4年間で上昇傾向に転じてまいりたい、そのように私は思っています。

 そのためにこの1年、しっかりとどういう対応をすべきであるのかということを考えて、計画にし、そして新たな取り組みをスタートし始める、そういう1年間にまずはしていかなければならないというのが私の今の思いでございます。

 全力で頑張ってまいります。県民の皆さまの格段のご協力とご支援を賜りたく、この場を借りてお願いを申し上げまして、私のごあいさつとさせていただきます。

東京事務所(1)
(竹内:高知新聞記者)
 質問に入ります。
 東京事務所の話ですが、指揮命令系統を変える、大使館と本国とのような関係ということをおっしゃいましたけれど、今の指揮命令系統がこういうふうになっていて、そこに不満を覚えるからこういうふうにしたいというふうな表現に変えて言うと、どうなんですか。

(知事)
 今の指揮命令系統は、事務所の各職員と各部局との間で直接話がなされている関係にあります。ですので、どのような命令が行われて、それに対してどのような復命がなされたかについて、必ずしも他の職員が知らない場合もあるでしょうし、何よりも職員と職員との話であっては、ときにその命令が実行されなくても、また復命が十分に生かされなくても、そのままなおざりにされるということがあり得るかたちになっているというふうに私は思っています。

 それが一定の、例えば知事と所長との間での命令であり、そして復命であれば、お互いこれを無視することはできなくなるのではないかというふうに考えていまして。

 本庁から東京事務所に対して発した命令が確実に履行され、そして東京事務所から高知の本庁に対して返されてきた情報というものが確実に活かされるという体制づくりを進めていくためには、そのような指揮命令系統の見直しが必要ではないかと考えています。

地域支援企画員と出先機関
(竹内:高知新聞記者)
 県庁組織の見直しのところで、「地域支援企画員制度を軸にしながら、地域の声をボトムアップで吸い上げていくような県庁組織の見直し」とおっしゃっていましたが、これは出先機関を充実させるということですか。

(知事)
 今、私が一つ課題として思っていますのは、地域支援企画員は地域、地域に入り込んで地域のことをよく知っております。他方で、例えば農業であれば農業関係の事務所があり、土木であれば土木関係の事務所がありますけれども、それぞれ縦割りで地域の実情を把握するかたちになっています。

 これをいかにして、それぞれの組織が連携を図ることができるようなかたちにしていくか、これが一つの課題ではないかなと思っているところであります。

 また、その具体的な仕組みについては、これらを束ねるかたちでの職員を配置することとするか、もしくは本庁のほうであらかじめ束ねるようなかたちにしていくのか、そういう工夫をちょっとこれから、具体的なかたちについては考えていかなければならないかなというふうに思っています。

 これは予算編成までに明らかにしていきたいと思っています。

東京事務所(2)
(竹内:高知新聞記者)
 東京事務所の人数なんですけれど、今具体的に言えないということなんですが、いきなり100人にするとか50人にするとか、そんなことは思っていないと思うんですが、大体のイメージってないですか。

(知事)
 四国の他県のなかでも最大で22人ぐらいですね。一つの目安になるんじゃないかと思います。

 ただ、実際にどれぐらいの人数が必要なのかというのは、その部局ごとの課題というものを切り分けていったときにそれぞれの課題をしっかり把握できる人数というのが何人必要かという、ちょっと積み上げ式に計算をしていかないといけないと思いますね。

 ですから今の段階で何人というのはちょっと申し上げられないと思います。

(竹内:高知新聞記者)
 四国で一番多い所が22人だから、それが一定の目安になると。

(知事)
 一つの目安ではないかと思いますね。もう一つは職員の削減もしておりますし、人繰りがそんなに簡単でもありませんので、そういう現実問題とも相談をしなければならないと。そこは間違いのないところです。

(竹内:高知新聞記者)
 『海援隊』という言葉を使われましたけど、これは今の観光特使とは意味が違うんですか。

(知事)
 観光の振興を図ってもらうための特使というだけではなくて、私の申し上げたのは高知県外、例えば東京なら東京において活躍しておられるかたがございます。

 こういうかたの中にも「高知県のことを助けてやろう」と思っておられるかたがたくさんいらっしゃることと私は思っているわけですけれども。外にいて、高知を助ける。そういう意味において海援隊としての活動をしていただきたいと思っています。

 これはひとえに、べつに観光に限ったことではないと思いますし、例えば、経済の活性化に向けての知恵を賜るということもありますでしょうし、例えば、より具体的に企業誘致に向けた取り組みについてお知恵を賜るということもありますでしょうし。

 様々なかたちでの人的・知的ネットワークを県外においても築いていきたい、それが知恵という点でも、また経済面においても、今後の高知県の助けになるのではないかということです。

(竹内:高知新聞記者)
 観光特使みたいに有名人とかそういうことじゃなくて?

(知事)
 有名人のかたももちろんその中には入ってくると思いますけれど。高知の応援団をいかにつくっていくかということだと思いますね。

(竹内:高知新聞記者)
 東京事務所の指揮命令系統を大使館のようなイメージに、ということですけれど、東京事務所長のいわゆる県庁内における格というものを見直すという意味もある?

(知事)
 知事と直接やりとりをするわけですから、それにふさわしい職であるべきだと私は思っています。本格的な人事異動は今後4月に行われることとなりますけれども、4月の見直しにあたって、私は、東京事務所長は庁議メンバーであるべきではないかというふうに思っています。

(竹内:高知新聞記者)
 高知県庁の東京事務所ですよね。日本で言ったらアメリカ大使館みたいなものですよね。アメリカ大使は別格ですよね?

(知事)
 事務次官をやったかたが大使になっていますね。
 今はちょっと変わりましたけどね。

(竹内:高知新聞記者)
 そういうイメージでいうと、つまり庁議メンバーの中でも一つ格上に位置づけるとか。どういうイメージなんですか。

(知事)
 今は庁議メンバーの中でも格上に位置づけるかどうかについては、そこまでは詰めて考えておりませんけれども、私が申し上げたいのは、東京事務所長と知事とは直接やりとりをする関係であるべきだと思っています。

 であれば、理屈からして東京事務所長というのは庁議メンバーであるべきではないかと考えております。今現在は、東京事務所長は庁議メンバーではありませんので。

 庁議メンバーとしての資格を持ったかたが東京事務所長となり、お互い日々直接やりとりをするという、そういう体制をつくっていくことが必要ではないかなと思いますね。

(浜田:高知新聞記者)
 少なくとも一等級ですけれど、要するに今の庁議メンバーのかたの中から行ったりするようなケースもあるということですね? 

(知事)
 その可能性もありますし。ちょっと具体的な人事の話は、人選も含めて4月までに考えます。

(浜田:高知新聞記者)
 今までのように副部長とか部長級から行くんじゃなくて、もう今おられるかたで行ったりもするケースもあるという。

(知事)
 いずれにせよ、東京事務所長が庁議メンバー格となるということですね。

(竹内:高知新聞記者)
 格上げということになりますか? 現行から言えば。

(知事)
 現行から言えば格上げですね。

国の予算編成と国への主張
(伊藤:日本経済新聞記者)
 財務省を辞められて、国の予算編成を初めて外から眺められたと思うんですけれども、その感想と、これから国にどういうふうなことをどういう方針で訴えていきたいと思われますか。

(知事)
 国の予算編成は、確かに今回初めて外から眺めました。

 今回の予算につきましては、私はずいぶんと地方重視という方向にかじをとりあえず切ったかなという印象を受けております。地方交付税についても、ずっと連続して減少してきていたものが一定の増加に転じたということはありますし、税収の偏在是正に向けた、まず第一歩が踏み出されてもいます。

 ですが、これから問題なのは、方向性は変わったかもしれませんが、量的に本格的に都市と地方の財政格差という問題、これを解決するに至る量ではありません。ですからまだ今年だけで終わらせるのではなくて、引き続きそういう方向で来年度も進んでいく必要があるんではないかと私は思っています。

 それから、どのような政策課題を国に対して訴えていくかという問題については、これは正直なところ、ある一つの課題ということでは決してないと思いますね。あらゆる政策について、高知県として主張していきたい課題というのは、たくさんあるんではないかと思っています。

 それぞれの課題につきまして、私は高知県にとって特に重要と思われる政策については、先ほど申し上げました東京事務所の機能強化というのを一つのツールとして、国の政策形成において高知県の実情が反映させられるような取り組みというのを続けていきたいというふうに考えています。

教育振興計画
(竹内:高知新聞記者)
 (平成)20年度に県も新たな教育振興計画をつくるということですが、これは10年やってきた土佐の教育改革のようなものなんですかね? また10年スパンぐらいのものをつくる、そういうイメージなんですか。

(知事)
 全国最低レベルからの脱却を図るためにはどのようなことが必要かという計画をつくりたいということです。ですから、必ずしも何年間が適当かということを今の段階でははっきり申し上げることはできないと思います。

(竹内:高知新聞記者)
 学力向上に向けた、そこに焦点を絞った振興計画をつくる?

(知事)
 学力向上というのは大きな柱となると思いますが、他方で本県の教育課題には、例えばいじめ・不登校の問題もあります。これらについても、当然対応を練らなければいけないと思います。

(竹内:高知新聞記者)
 そこにとりあえず力点を置くということに?

(知事)
 基礎学力の向上ということについては、従来よりも当然力点を置かないといけないんではないでしょうか。重要な課題だと私は思います。

(竹内:高知新聞記者)
 その学力を向上させるためにいじめを解消しなければならない、不登校を解消しなければならないという方向?

(知事)
 いや、学力向上のためにいじめを解消させるということでは私はないと思いますね。学力向上というのも大きな課題ですけれども、例えばいじめられる子どもの気持ちになってみれば、そのいじめ自体を解消することも、またこれは大きな課題だと思いますので、それ自体にも正面から取り組む必要はあると思いますね。

 ですから、先ほど申し上げましたように、土佐の教育改革について検証は終わったのではなくて、もう一度、私自身再度検証をしてみたいと考えておりますので、その検証を行った結果として必要となる課題については、それは大切な子どものことでありますから、包括的に課題解決に取り組むための計画として取り上げていきたいと思っていますが。

 ただ、私は、従来よりも基礎学力の向上という問題については力点を置く必要があるんではないかなと思っています。

振興計画における地域割
(竹内:高知新聞記者)
 産業にしても医療計画にしても、地域別という言葉を使われましたが、その地域別の地域割というのはどういう?
 34市町村ごとなのか、あるいは東部ブロックとか。地域別というのはどういう区割りを念頭においていらっしゃいますか。

(知事)
 一つ一つの市町村が高知県は大きいですからね。面積的にも。ですから原則は市町村から吸い上げていくということだと私は思っています。市町村ごとに。

 ですけれども、ただし市町村で1個1個取り組んでも限界があり、より広域的な取り組みが必要となる場合も出てくるでしょう。その場合には市町村を一つのブロックにしたようなかたちでの地域というものを考えていく必要があろうかと思っています。

 ですから、これは今確定しているわけではありませんけれども、高知県を今7つぐらいのブロックに区切っていて、その6つか7つか8つかぐらいのブロックに区切ってみて、それぞれの地域ごとの産業振興計画というものを考えていくと。

 その際には、しかしながら市町村ごとの取り組みというものについても、しっかりと目を向けたかたちでやっていく。そして、かつそれが広域連携を図るためにはどうすればいいかという視点も持つと。そういう計画になると思います。

(竹内:高知新聞記者)
 まずは市町村ごとから声を吸い上げる。

(知事)
 もちろんです。そのために今、市町村にそれぞれ地域支援企画員というのがおりますから。

 また、私が先ほど申し上げたように市町村行政の方々ともよく話をしてみたいと思いますし、市町村それぞれの産業振興に向けた取り組みを図っておられるリーダーのような方がいらっしゃいますので、そういう方とも話をしたいと思っています。

(終了)

 

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