新規採用者辞令交付式における知事挨拶

公開日 2008年04月05日

更新日 2014年03月17日

新規採用者辞令交付式における知事挨拶

平成20年4月1日(火曜日) 8時50分から(県庁正庁ホール)

新規採用職員辞令交付式での知事

 

 

 皆さん、おはようございます。

 本日皆様方は高知県の職員として採用されました。非常に採用条件の厳しいなかで皆様が高知県職員として採用されたこと、まずは心よりお喜び申し上げたいと思う次第です。

 皆さんに本日辞令を交付させていただくにあたり、今も一人ひとりお顔を見させていただいているところですが、本当に初々しさのなかにもきりっとした緊張感の漂っているいいお顔をしておられると思います。

 このお顔をいつまでも忘れず、これからも緊張感を持って今後の仕事に取り組んでもらいたいと考えています。そして、今、宣誓書を読み上げられたと思いますが、まず、主権は国民にあり、県の立場から考えていけば、県民こそが主役であります。その精神を常に忘れず頑張っていただきたいと思うわけであります。そしてもう一つ、全体の奉仕者ということであります。県民全体のために尽くしていくんだ、この思いを忘れずにいていただきたい。そして、効率的、効果的に職務を遂行するということも書いてあったかと思います。この点も常に不断の努力をもってしなければならない点であります。

 この宣誓書、今日一日読んだだけでなく、できれば、特に若い頃は、毎朝一回は目を通してみる、復唱してみる。そのような気持ちで職務に励んでいただければ、今日の素晴らしい緊張感にあふれたこの気持ちをいつまでも失われることはないのではないか、と私は思う次第です。
 
 私は職員の皆様に、常に3つのことを申し上げさせていただいていますが、まず、その前に、本日新規採用された方のなかには平成生まれの方もいらっしゃるということをうかがいました。新しい時代にふさわしい本日の新規採用式だと思います。

 まず、本日採用された方は初めて社会人になられた方が大多数ではないかと思いますけれども、社会人としての心がけ、心構えを持つことはなかなか最初は苦労されるのではないかと思います。

 毎朝しっかりと服を着て、職場によっては制服だったり、それなりの身だしなみを整えて会社に出勤をしなければなりません。

 夜中まで友達と騒いでいても、社会人になったら次の日は必ず職場に行かなくてはいけないのです。また、今、皆さんはしっかりと挨拶されましたけれども、「おはようございます」と言われたら、大きな声で「おはようございます」と言う。さらに、今までとは違って、
「すんません」ではなく、「申し訳ございません」というふうに言わなければならない場合だってあるわけです。言葉遣いも色々と変わってまいります。

 まずは、皆様方は職場に入られたら、社会人としての心構えというものを職場の周りの皆さんにしっかりと教えてもらってほしい、また習うという意識も持っていただきたいと思います。

 これは基本的なことですけれども、それを超えて、私は高知県の職員として新たに採用された皆様に大きく2つのことを申し上げさせていただきたいと思います。

 まず、1番目、これは私が県庁の皆さんに繰り返し申し上げさせていただいております、県庁職員としての心構え、このように心がけていただきたいということであります。3つあります。

 一つ目が、常に目線を県民の皆様方に向けて、そして県民の皆様方のために今何をすべきなのか、何ができるのかということについて、上司の指示を待つだけではなく、自ら考え、自ら行動する、この姿勢を忘れないでいただきたいと思います。指示待ちで何も動かない、上から何も言われてないから何もしない、という姿勢であっては絶対にいい仕事はできません。

 自ら考え、自ら行動する。最初のうちはまだ、仕事にも慣れないことでしょうから、そういうことはなかなかできないかもしれません。ただ、ある程度仕事に慣れてきた頃から、この、自ら考える、自ら行動するという姿勢を忘れないでいただきたい、そういうふうに思います。

 そして、二つ目でございますけれども、皆様は色々勉強され、頑張ってこられたと思いますが、これからの行政というのは決して行政の狭い枠組みの中だけに留まっていてはいい仕事はできません。

 民間の動きは本当に激しい、これを考えた時に、この県庁の建物、それぞれの事務所の建物の中だけに閉じこもって、行政だけの発想で事を成そうとしても必ずうまくいきません。失敗をいたします。

 民間でどのような動きがなされているのかについて注意をすることは当然のことでございますけれども、大切なことは官民協働型で県政を運営するという姿勢であります。

 随時、それぞれの分野で色々と仕事を共にする民間の方もいらっしゃることと思います。その方々のお知恵をしっかりと伺って、そして共に歩むんだと、そういう気持ちで行政というものを推進してもらいたいと思います。

 狭い意味での、視野の狭い行政官、いわゆる役人根性に染まった、そのような職員にはならないでいただきたい、そのように思います。

 そして、三つ目めでございます。高知県の今の経済状況が厳しいのは、皆様ご存じのとおりです。日本全国も暗雲がたちこめつつありますけれども、その中でも高知県のようにもともと経済情勢が苦しいところというのは、非常に厳しい状況に置かれております。

 中山間地域、特にこの弱いところ、経済力がもともと弱いところがますます苦しくなる、という状況にあるのが今の高知県ではないかと私は思っている次第であります。

 しかしながら、われわれ県庁職員が将来を諦めてしまっては、高知県は希望がなくなってしまいます。絶対に将来に希望を捨てない、経済成長の厳しいなか、県庁として取りうるべき手段は非常に少ないかもしれません。

 しかし、そのなかで将来に希望をもって、やりたいけれどできませんね、ということがたくさん出てくるかもしれません。しかし、それで終わってはいけません。なかなか変えることはできませんね、やっぱり無理です、難しいです、それで終わってはいけません。お金が使えないのであれば、知恵を使うことです。

 何ができるのか、ということを常に自分自身に問いかけていっていただきたいと思います。行政の課題、そんなに簡単に解決するものばかりではありません。日本全国誰もおそらく回答を持っていないであろうという問題だって多々あるところでございます。

 しかしながら、その中で必死になって頭を使うことであります、何ができるのか、これを常に考え、諦めない、そういう姿勢を持っていただきたいと思います。

 そして、平成20年4月1日に採用された皆様方へ、これからの長い長い人生、行政官としての、地方公務員としてのお仕事をするにあたって、大きく2番目に私が言いたいことは、皆様方、おそらくこれから20年、30年、40年と長い間に渡ってお仕事をすることになると思いますが、この40年の間は、日本がかつて経験したことのないような大きな時代の変化が起こります。

 人口減少社会、少子・高齢化の進展と言われておりますけれども、このありきたりな、最も聞きなれたフレーズかと思いますが、この変化たるや誠に甚大でございます。

 例えば、2005年から2020年にかけて、高齢者と呼ばれる方の数は2,600万人から3,600万人ないし3800万人に急増すると言われております。約4割の高齢者の方が増えるわけです。

 他方、若者はどうでしょうか、1970年代前半、団塊ジュニアの世代、私より少し年下の世代の方でございますが、この方々が近年の出生率のピークであります。それ以降、1990年まで急激に毎年毎年生まれてくる子供の数が減っております。これも約4割ということです。

 フローとストックとの数字の違いはございますが、これからの世の中、高齢者の方はどんどん増えていきます。他方、若者の数はどんどん減っていく、このような時代であります。

 少なくとも戦後、少なくとも明治以降、このような時代は日本が経験したことのない、そのような状況であります。

 この時代の変化、これは徐々にではありますが、確実に大きなインパクトを持って押し寄せてくる訳であります。

 例えば、若者向けの商品はだんだん売れなくなる可能性があります、それは人の数が減るからです。

 他方、高齢者の方々向けの商品はどんどん需要が増えていく可能性があります。絶対数がものすごい勢いで増えていくからです。他方、高齢者の方々がそれだけ増えていくのであれば、その高齢者の方々が安心して生活をしていけるための現場、医療、福祉の分野の整理というのも大切なことです。

 また、若い人たちが高齢者の方々を支えて、いろんな経済活動をされていくにあたっては一層の生産性の向上というものが必要となってくるかもしれません。ますます科学技術の力が求められる時代になることがやってくるかもしれません。

 そしてそのような若い人たち、子育てをしていきます、高齢者の方々を支えながら、子育てをするにあたって今までとは違った教育事情というものも出てくるかもしれません。

 じわじわとではございますが、確実に降りかかってくることになる時代となります、これからの40年間の日本の姿でございます。

 こういう中にあって、常に皆様方には大きな時代の流れというものを常に念頭において、仕事をすることが求められるのではないかと思います。

 テレビで全国のニュースを見てみる、新聞を毎朝できる限りしっかりと読むように心がけること、そういうこともあると思います。ただ、あえて私は申し上げさせていただきたいことがございます。

 皆さん、学生時代には多くの友人といろんな話をされたり、夜中までいろんな話を付き合ってされたと思います。このような学生時代の雰囲気、気分、これをあえて社会人になっても忘れないでいただきたいと私は思っております。

 いろんな議論、語り合いをされたことと思います、自由な発想で、立場にとらわれず、いろんな議論をされてきたことと思います。そのようなお友達がいると思います、このような人間関係を引き続き是非大切にしていただきたいと思います。

 時代の大きな流れがあります、それを知るためにはいろんな情報があふれている場に自らを置くように心がけることが大切だと私は思っています。

 日頃、自分で仲間を含めて、新たな勉強会をすることも大切でしょう、ただ、まずは、学生時代に語らった仲間達との関係を大切にしていっていただきたいと思います。

 考えてみれば、いろんなところに就職されていると思います。その友達との語り合いを大切にするということは、これ即ち異業種間の交流ということに自然となります。今まで青臭い議論をされてきたことと思います、そういう気持ちを忘れず、また、学生時代の人間関係も忘れずに。

 もう一度言いますが、時代は大きく変わっていきます、見えないですけれども、徐々に徐々に大きく変っていくというのが、皆様方の公務員人生、この40年間しかり、時代の変化であります。

 この時代の変化を的確に、どのように変化していくのかを捉えていくということは、多くの情報が分かる場に自らを置く、このような心がけが大切であります。そういう心構えで平成20年度の採用者の方は忘れないでいただきたいというふうに思います。
 
 本日からそれぞれの職場に配属されて、お仕事をされ、研修などもあろうかと思います。最初は緊張感もあって大変だと思いますが、健康に留意して、それぞれの職場で頑張っていただきたいと思います。

 最後に一つだけ、まだまだ皆さんは若いですから、いろんなことを教えてもらわなければいけません、そのような教えてもらう立場にいます。是非、そこでは謙虚な気持ちで職場の皆さんに愛される一人ひとりのフレッシャーズになっていただきたい。

 皆様方の長い人生のなか、これから高知県職員としての仕事が始まります。この期間、本当に幸多い、希望に満ち溢れたものとなることを心よりお祈りを申し上げる次第であります。

 皆さん、頑張ってください。

 

 

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