知事の定例記者会見(平成20年6月6日)

公開日 2008年06月10日

更新日 2014年03月19日

知事の定例記者会見

平成20年6月6日(金曜日) 14時から(第二応接室)

目次

 


 

(服部:毎日新聞記者)
 最初に、幹事社から3問質問させていただきます。

知事就任半年の取組と成果 1
 まず、明日で知事就任から半年になります。これまで東京事務所の強化ですとか、まさにこのあと(1回目の検討委員会が)ありますけれど、産業の振興計画づくりに乗り出すなど、選挙時の公約を実践しつつあると思いますけれども、半年の成果と逆に反省点があれば教えていただきたいと思います。

(知事)
 この半年間、全力で駆け抜けてきた思いがいたしますし、もう半年経ったのかという感じでございますけれども、成果というと面〔おも〕はゆいことではありますが、まずは先ほどお話がありましたように、産業振興計画づくりについて、いよいよ本日より委員会を立ち上げることができました。
 
 私は、この産業振興計画、決して県庁の中だけで作るというものであってはいけないと。市町村との連携、そして1つは官民協働型で作成していくことで地に足の着いたものにしていかなければならないというふうに思ってきたわけでございますけれども、そのためには、市町村との連携と官民協働ということをしっかりと形にした、そのような検討体制というのを作らないといけないと考えてまいりました。

  本当に多くの関係者の皆さま方のご努力によって、今回民間の関係団体の皆さま、有識者の皆さま、そして市町村関係者の皆さまに入っていただいた検討委員会、そしてそれぞれの専門部会、これを立ち上げることができました。まだまだ第一歩ということではあろうかと思いますけれども、市町村との連携、官民協働型の産業振興計画づくりの体制を作りあげることができたということは、まずは第一歩として言えるのではないかというふうに思っています。

 もう一つ、この産業振興計画づくりについては、本当に多くの方に携わっていただくこととなります。高知県のいろいろな関係者の皆さま方の総力を結集して、この県勢の浮揚に向けた検討づくりが行われるように、私としても今後も努力をしていきたいと考えております。

 そしてまた、東京事務所の問題でございますけれども、私は高知県のような、この厳しい状況、これをしっかりと中央にも伝えていかなければならない。また、東京をはじめとする県外においても、多くの高知県の応援団づくり、これをしていかなければならないという思いでおりますが、そのための手段として、東京事務所の機能強化ということを申し上げてきたわけであります。

   人員の強化ということは4月1日より行ってまいりましたが、問題はその機能の強化をどう図るかということであろうかと思いますけれども、いろいろ意思決定過程を見直したということなどとも相まって、短い期間ではありますが、それなりの成果をあげつつあるのではないかというふうに考えております。

 機能強化前の話も含めてではありますが、例えば地方交付税などにつきましても、一定額の確保はできたと思っていますし、それゆえに財政再建にも足を踏み出すことができた。また、必要とされるインフラがたくさんある中で、公共事業などについても一定額が確保できたということもあります。

 さらには制度の関係で言いましても、例えば定住自立圏構想ですとか、本県の主張が一定程度取り入れられるようになってきております。高齢者医療制度などについても、政府与党の見直し、これは我々が早くから主張してきたことが相当程度折り込まれているのではないかなと考えておるところでございます。
 
 まだまだ、これからやるべきことはたくさんあるわけでございまして、まだ途中という段階ではありますけれども、滑り出しとしては東京事務所の機能強化、それなりに仕事ができてきつつあるのではないかなという感じであります。

 いずれにしましても、まだ半年で、全てはこれからであります。本当にこれから一生懸命、より一層かぶとの緒を締めて努力をしていかなければならないかなというふうに思っています。

 反省点ということで言わせていただきましたら、やはり何と言っても痛恨事は、大篠小の藤岡和輝君の児童虐待死の問題であります。県関係者も関わっていた問題でありながら、これを防ぎきれなかった。これについては、本当に痛恨の極みだというふうに思っております。
 
 今、検証委員会において各委員の先生に活発にご議論もいただいておるところでございまして、その中で、人命保護を最優先にする形でのルールづくりなどについて、一定の方向についてのご議論もいただいております。そういうことを踏まえた県側からの、より詰まった形でのご提案というのも申し上げつつあるところでございまして、こういう形でしっかりと態勢を固め、そして意思決定過程も見直し、それによって二度とこのようなことが起こらないようにしたいと考えているところでございます。
 
 これに関連することで申し上げますと、教育改革につきましても、これを学校の問題、さらには家庭の問題、そして地域の問題、できるだけ視野を広くこの問題について考えていきたいという思いから、今徹底した議論を行っているところでございまして、先日教育長の方からも中間的な総括という形で記者発表をさせていただいたところでございますけれども、これらについても、今後多くの関係者の皆さまのご意見も賜りながら、最終的な取りまとめに向けて歩みを進めていきたいと考えています。

 反省点ということではないのかもしれませんが、私自身、自戒の念を込めて思いますのは、やはり私は高知に帰ってきてからまだ日が浅い。そういうことから、「対話と実行」座談会ということで、いろんな方々との意見交換をさせていただきますし、またいろんな会においても、多くの方とお話しをさせていただきますけれども、まだまだ新しく発見することの連続という感じがいたしております。

   かなりハイペースで「対話と実行」座談会というのをやらせていただいているところでございますけれども、引き続き多くの方とお会いして意見交換をさせていただき、高知県の抱える多様な問題というものをしっかりと把握していきたいというふうに考えております。

 概ね以上であります。


県立女子大学の改革
(服部:毎日新聞記者)
 2問目ですけれども、県立大改革、主に女子大ですけども、今まで議会で2回補正予算が否決される事態となっていまして、一方で、看護や社会福祉の人材育成というのが急がれる課題だと思うんですが、知事は先月の会見で「7月の議会には改革案を示したい」との意向を示しておりましたが、その後、この1カ月で具体化した案ですとか、議論の進展について教えていただきたいと思います。

(知事)
 7月の議会に、という方向については変わっておりません。7月の議会に向けて、必死の検討を進めておるところでございますが、とにかく全国に先駆けて高齢化が進んでいるという中で、保健・医療・福祉の充実というのが何といっても急がれるというのが第1。
 
 そしてもう一つは、県経済の活力の再生といった時に、それを支える人材の育成ということが大きな課題になってくるのではないかと思っております。そういう中で、これらの課題の解決に役立つ人材の育成を行う県立大学の使命というのは非常に大きいのではないかというふうに考えております。

 また、若者の県内定着率が低いという状況を考えた時に、雇用、就労の確保ということもありますが、もう一つ若者たちが求める学問のニーズに応えていく必要もあるのではないか、県内大学の教育機会の拡充ということも大きな課題ではないかと考えている次第であります。そういうことから保健・医療・福祉を支える人材の養成を行う。
 
 また県内に非常に数が少ない社会科学系の教育の場を整備していくと。これで県内産業の活力の再生に役立つ人材を育成していく。こういうことが重要ではないか、また社会人教育や生涯学習機能も充実させていくことも重要ではないかと。こういうことから県民の幅広い教育ニーズに応えていくということが大切ではないかという思いでございます。

 そういうことでございまして、県立大学の池、永国寺の2つのキャンパスをどのように整備していくかについて、まだ現在、具体案について検討を重ねているという状況でございますが、それぞれの教育ニーズに対応して、どの場所で教育を行っていくことが最もふさわしいかという切り分けをしっかりと考えていきたいと思います。

 そういう状況であります。


地方分権改革 1
(服部:毎日新聞記者)
 3問目、最後ですが、この間の四国知事会議でも議論が起きましたが、地方分権改革についてです。先月末に政府の地方分権改革推進委員会が第1次勧告をまとめました。その中では地方自治体を地方政府に高めるというような文言も盛り込まれていましたけれども、分権に消極的とされる省庁を牽制する形にもなったと思います。
 
 知事のお考えとして、「地方分権を徹底して推進すべきだ」と考えていらっしゃるようですが、第1次勧告への見解ですとか評価を聞かせていただければ、またこの後、第2次勧告も出てきますけれども、それへの期待とか注文があればおっしゃっていただきたいと思います。

(知事)
 今回の勧告のとりまとめに際しましては、地方分権改革推進委員会の各委員の皆さまにおかれましては、本当に精力的にご議論されたということで、この点については心から敬意を表させていただきたいと思います。
 
 また、いくつかの分野で抜本的な見直しが掲げられたり、基礎自治体への権限移譲を打ち出されたという点については一定の評価はできるものだというふうに考えておりますが、ただ他方で、国から県への権限移譲については、その結論は今後の議論に先送りするものも多くなっているのではないのかなと思っています。

 一番大切なことは、私は第一に地方分権を徹底して進めることでありますが、ただ、この地方分権を進めるとはどういうことかということをよく考える必要があろうかと考えております。権限、事務、これを単に移譲するというだけでは駄目なのであって、真の意味で移譲していくということは、それに伴う財源と、そして人員というものをしっかりと措置していくということ、これが大前提。権限と事務の移譲ということと財源と人の移譲ということと、この2つがしっかりと両方とも確保されていなければならないというふうに思っています。

 そういう点、今回の勧告では一応、国からの人員や財源等の措置が前提であるということは触れられてはおりますけれども、ただその具体論、結論については今後の勧告に持ち越されているわけであります。でありますから、この2次勧告に向けて期待をしたいことというのは、この点についての具体的なしっかりとしたご議論を行っていただくということではないのかなと思っております。

 そして、そもそもが各省庁との議論、各省庁側の反応等もありますよね。必ずしも前向きということではないわけであって、これについては全国知事会及び地方6団体、結束して対応していくことが必要ではないかと思いますけれども、またその際に併せて財源と人の問題、これもしっかり両立てで議論していくということが大切ですし、その点の議論を2次勧告に向けてぜひ深めてもらいたいというふうに考えています。

(服部:毎日新聞記者)
 では、各社自由に質問をどうぞ。


地方分権改革 2
(半田:高知新聞記者)
 分権に関してなんですが、95年ぐらいから三位一体改革ぐらいまでが、多分第1期の分権改革と言われるだろうと思うんですけど、これの評価に関しては知事はどういうふうにお考えですか。

(知事)
 それはまず第1期としては、画期的だったんじゃないでしょうかね。第1期としてはですけどね。なぜかというと、まず地方分権というものを推進するということを全体の方針として打ち出したことができたということが第1、そしてその具体論に踏む込むことができたということが第2だと思っています。
 
 ただ、残念ながらしっかりとした財源論議なんかは行われてないですよね。だからそういう問題について、今回しっかりと議論するというのが、この第2期分権改革の大きな課題なんじゃないかなというふうに、私は思っていますので、これは今後税制の抜本改革とか、そういうものとも絡めた議論が行われてくるんじゃないのかなと思いますが、いよいよ本丸に向けて論議が始まるというふうに見るべきなのではないかと考えています。

 第1次勧告でもまだ本丸の手前でしょうかね。第2次勧告に向けて、本丸に向けた議論が行われていくと、そういうふうに私は位置づけとしては思っています。

(半田:高知新聞記者)
 この前の四国知事会議でも(知事の)皆さん、財源とセットでなければ非常に苦しいんだんだと。テクニックになるかもしれませんですけれど、財源とセットということについて、地方としては具体的にはどういうことを訴えていかなければならないと?

(知事)
 具体的にですか。例えば河川とか道路の問題とかも移譲するんだという話もされていますけど、じゃあ、それに伴う相当の維持管理経費というようなこともしっかりと措置されるのかという問題もあります。また、それに伴う専門的な人材が必要になってくるわけですよね。だからそのような専門的な人材。今から急に育成しなさいといわれても大変ですよね。

 例えばそういうものもしっかりと確保されるのかどうか。そういうことが妥当でないということであれば、その分野については、じゃあ、果たして国がやるのがいいのか、地方がやるのがいいのか、議論をしなければいけないと思うんですよね。

 そのように、国と地方の役割分担、財源と人の問題も見通しながら、しっかりと切り分けを行っていくということが大事じゃないかなと思っています。真の地方分権改革を行っていくというのはそういうことなのであって、そういう意味において第1期分権改革、先ほど申し上げた意義は大きいと思いますよ。

 いわば新しい時代に足を踏み入れたという点において、非常に意義は大きいと思うんですけれども、ただ、一番肝心な部分については、今回の改革に先送りされているし、その改革こそが今から議論が恐らく行われていくんだと、そういうふうに思っています。

(半田:高知新聞記者)
 この第2期地方分権改革に絡んでくるかもしれないですけれど、道州制に関しては知事は基本的に推進論であるのか、時期尚早だと考えているのか、最初から反対なのか、そのあたりは知事のお考えはどうなんでしょうか。

(知事)
 この道州制の議論というのは、まだ一体どういうものをもってして道州制というのかについて明確な形が、私は示されているとは思えないんです。ですから、従来申し上げていますように、どういう形での道州制なのかということをしっかり見極めていく必要があるだろうと思っています。

 これは議会でも申し上げさせていただきましたが、道州制と言った時に1つだけはっきりしていることは、国の仕事が州にかなり下りてくるということはあります。他方、県の仕事が州に行きます。

 そして県の仕事のかなりの部分は基礎的自治体にいくことになります。じゃあ、この基礎的自治体がどれだけの仕事を担っていかなければならないのか。そしてそれに見合うだけの体制が整備され得るのか。そういうところの見極めが必要だと思います。

 ですから国の仕事、県の仕事のうち、一部は住民の皆さまに近くなるわけですが、他方、県の仕事のうち、かなりの部分が州に行くということで、住民から遠くなるという部分もあるわけで、住民により近づけるべき事務、そして住民から遠くなってしまっても差し支えのない事務、こういうものの切り分けを、具体論として私は行っていかなければならないというふうに考えております。

 そしてもう一つ大切なことは、ここが肝心なんですけれど、財源問題はどうなるんでしょうかと。基礎的自治体の財源はどうなるのか。さらに州内での財源というのはどうなっていくのか。この州内なら州内で完全に独立形態で財源を運営していこうということなのか。それとも、水平間の調整が行われるような仕組みというのを残していくべきなのか。

 こういうことについての議論は、より一層進めていかなければならないんじゃないかなというふうに思っています。まだまだ、これは本当に国家全体のグランドデザインを描いていく仕事になりますから、議論すべき点は多いんじゃないですかね。

 それまで、地方分権時代であって分権を推進していくべきだということははっきりしていると思います。それからまた少子高齢化、人口減少時代において、一定程度行政単位というものも広域化していかなければやっていけないという部分も出てくるというのは、確かだと思います。

 ただ、その時に先ほど申し上げた、住民に近づける部分、それとも州に回していく部分、そしてその財源はどうかということについての詰めた議論というのは必要だと思います。私はこれは膨大な議論を積み重ねていくべき問題だと思っています。

(半田:高知新聞記者)
 自民党の(道州制)推進本部とか、ああいうところはもう2年ぐらい前に区割り案が出ていますけれど、区割り案なんかが先にもう出て、知事のおっしゃる議論というのは追い付いてないという感じを僕らも受けるんですけれども、ということになるとちょっとまだ早いんじゃないかというようなお考えなんですかね。

(知事)
 要するに、道州制ということを、何というか「1つのアイデアですね」ということではなくて、真剣に議論しようじゃないかという段階にやっと来たという状況じゃないのかなと思います。これから行われると思いますよ。

 それをもっといえば、霞ヶ関の有り様自体についても、この分権議論に併せて本格的な議論をしていかなければなりませんね。まだ地方支分部局の見直しということに議論は留まっていますけど、もっと言えば霞ヶ関の方も、その分権自体をどうしていくのかという議論をしていかなければならないわけですね。これはまだ行われてないでしょう。

 まだまだ明確に議論を進めていこうではないですかということが決まったというだけで、その中身の具体的な議論は、これをもってやっとキックオフという感じじゃないのかと私は思っています。というか、そうでなければならんということですよ。

 イメージ先行では現実にうまくいくものになるかどうかということは。そういう点において、我々もよく具体論を切り分けた議論というのをしていかなければならないと思っています。


補正予算
(本田:高知新聞記者)
 以前の会見で、「当初予算を編成した時にやりたかったけどできないものがあった。それは補正で本格的に対応したい」という発言がありましたが、具体的に今度の議会に知事の意思で出せる方向のものというのが、今、明らかにできるものがありますでしょうか。
 
(知事)
 最大のものはやはり教育ですが、その教育の中でも学力向上、いじめ問題などに対する対策です。

 残念ながら当初予算の段階では、私も就任から日が浅かったということもあって議論が詰めきれたという状況ではありませんでしたし、また新体制をどうするかという問題も含めて、あえて時間をかけて検討するべきだと、この問題については思いました。

 そういうことでありますので、1月、2月、3月、4月、5月、教育委員会の方とも議論させていただき、また教育委員会としても自ら率先して徹底して議論をされてきたところだというふうに考えています。

 この結果、議論の中間総括というものを教育委員会において、先日教育長の方から発表したわけでございますけれども、それに基づいていろいろ県民各層のご意見も伺いながら、最終的な計画のとりまとめをするわけですが、この問題については、とりまとめられた計画に関連する予算というのを7月の補正予算に計上させていただきたいというふうに考えています。

(本田:高知新聞記者)
 計画ができて、ということですね。

(知事)
 そうですね。それに関連する予算という形で計上させていただきたいと思っています。

(本田:高知新聞記者)
 教育以外では、特に今の段階ではありませんか。

(知事)
 細かいことは、いろいろいくつかございますけれど。


大阪府の財政再建案について
(末崎:朝日新聞記者)
 他府県に関することで恐縮なんですけれど、大阪府の橋下知事が財政再建案ということで、大阪維新プログラム案というのを発表されて、660億円の削減とか目を引くような大々的な改革案ですけれど、これについての知事の評価と申しますか、ご感想をお聞きしたいのと、もう一つ、あと財政再建案で、国際児童文学館の廃止ですとか、上方演芸資料館の移転という話も出てきているんですが、現時点で本県の県有施設について、例えば廃止とか移転などお考えでいらっしゃるのかどうか。その2点、知事の考えをお聞かせください。

(知事)
 まず大阪の改革案について言えば、これはもう大阪府知事さんはじめ必死になって考えられたものだと思いますので、私自身がそれをどうのこうの言うということは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、とにかくそれぞれの県の事情に応じて、必死になってそれぞれ改革に取り組んでおられるんだろうというふうに思います。

 本県なんかの場合はどうかといいますと、正直申し上げて、例えばピークから既に36%ぐらい歳出も削減されているわけですね。公共事業なんかも約7割の削減が行われているということで、大阪府さんが今取り組んでおられるような、財政再建努力というものはもう連綿としてやってきたという状況ではないのかなと。既にかなり前からやってきたという状況なのではないかなというふうに私は思っています。

 そういう中で大切なのは、それぞれの事情によるんだと思いますけれども、財政再建至上主義に陥ってもいけない。他方で財政破綻になっても、それは当然いけないわけであります。

 だから財政の安全度を保った上で、できる限り必要な仕事についてはしっかりと財源を措置していく。すなわち県民サービスの確保と財政再建の両立と、この両方のバランスをしっかり取っていくことが必要なんだと思います。

 そういう意味においては、大阪府さんにおいて、今取り組まれる、優先すべきことと、また本県において今取るべきスタンス、それはそれぞれ違うということじゃないかなというふうに思いますけれど。


知事就任半年の取組と成果 2
(田村:NHK記者)
 冒頭の質問の就任半年に関連することですけれど、半年の自己採点というのは何点をつけますか。

(知事)
 まだ試験が終わっていないという感じじゃないですか。

平成19年度人口動態統計
(本田:高知新聞記者)
 (6月)4日に出ました人口動態統計でかなり悪い数字が並んでいましたけれども、どの数字が深刻だと捉えておられるのか。それから、これから県としてどのように対応されていくつもりなのかをお聞きしたいと思います。

(知事)
 やはり、合計特殊出生率が、本県は良くなかったわけですよね。これはちょっと詳細な分析をしてみないといけないと思っています。この数字などもよくよく分析していかなければならないと思いますけれども、正直申し上げて、若い方々の人口が減ってきているということが背景にあるんだろうというふうに思っています。

 ですから、これはやはり若者の流出ということを何とか防ぎたいと、防いでいきたいということをいろいろ考えているわけでございますけれども、この問題に産業振興計画などを通じてしっかり取り組んでいきたいというのが1つです。

 そしてもう一つは、若い人たちの働く場の確保、そういう問題にしっかり取り組んでいく必要があるというふうに思っています。

 ただ、少子化対策というのは、非常に幅広い課題を含んだ問題なんだろうと思っていますので、残られた若い方々にとっても、例えば働きながら子どもを育てることができるような環境ができているかどうかということになってくると、小さいお子さんを預かる場所がしっかり充実しているだろうかとか、共働きの場合に、小学生ぐらいになっても、放課後の居場所というのがしっかりあるだろうかとか、そういう問題にも目を向けていかないといけないのではないだろうかなというふうに思っています。

 数字の分析を今、部局においても一生懸命やっているところでございますので、その結果を踏まえていろいろ今後の県全体の政策づくりというのに生かしていきたいというふうに考えています。

(本田:高知新聞記者)
 合計特殊出生率の低さが一番の問題?

(知事)
 深刻だと思いますね。少し気になるのは、あともう一つ、乳児の死亡率が高かったというのがありましたね。ちょっとそれも背景を分析していかなければならないのですが。

(本田:高知新聞記者)
 乳児と周産期が?

(知事)
 乳児と周産期ですね。単年度要因なのか、もう少し構造的な要因があるのか、その辺の原因とかちょっと調べていかないといけないなと思っています。実際、これはちょっとしっかり分析をしなければいけないということで、部局において今、一生懸命やっているところです。


北海道洞爺湖サミットでのアピール
(畑本:読売新聞記者)
 7月にサミットがありまして、今回、環境問題がテーマなんですが、サミットに向けて県として何かアピールしていくことというのはあるんですか。
 
(知事)
 環境立県だということをしっかりアピールしていきたいと思いますけどね。あともう一つは、いろいろと県産品についても、これは既にアピールしてきましたけれど、とにかく本県が環境立県で取り組んでいる象徴的なものというのを、ぜひサミットの中でも取り入れていっていただきたいというふうに考えています。

(畑本:読売新聞記者)
 具体的に何か計画はありますか。

(知事)
 ちょっとまだ考え中です。

(岡村:高知新聞記者)
 エコバックはどうなんでしょうね。

(知事)
 まだちょっと決まっていないです。


財務省のタクシーチケット問題
(岡村:高知新聞記者)
 昨日取材させてもらいましたけれど、財務省のタクシーの問題、それに限らず道路財源の検討の中で、国交省の無駄づかい、国民から見れば無駄づかいだろうと言われる使途がいろいろ出てきているんですけれど、(知事)ご本人が(かつて)財務省で査定する立場にいらっしゃって、心情的に複雑な面もあるんじゃないかと思うんですけれど、ああいうような、いろいろ出てきている霞ヶ関の無駄づかいと言いましょうか、使途と言いましょうか、あるいはタクシーの問題とか、こういうものは知事はどう見ていて、そういう改善はどうすべきだとか、特に高知にいらっしゃって非常に厳しい財政の中で、もう、かつかつでやっているわけですね、地方は。随分そういうギャップも我々はあるんですけれど、地方の立場でですね。霞ヶ関は本当はもっと随分無駄づかいがほかにもあるんじゃないかと見ているんですけれど、知事はどういうふうにお考えですか。

(知事)
 タクシーについては、私もとにかく予算編成期なんていうのは午前2時、午前3時に役所を出て、家に帰るということがたくさんありました。正直なところ、それはタクシーじゃないと家に帰れないという時があるわけですね。

 ただ問題だと思うのは、そのような税金を使ったことで個人的な利得を得るとかいうことは、それは絶対してはいけないのではないかなと思います。

 ですから、あれは良くないというふうに思います。ちなみに、私も既に取材にお答えいたしましたけれど、家も近かったということもあって、そういう接待を受けるような対象にもなってなかったということもありますが、ただ私はそういう考えでありますから、仮に遠距離のタクシーを利用するものであったとしても、そういうことは受けなかったというふうに思っています。

 それで特定財源の問題にしても、何にしてもいろいろな税金の無駄づかいの話が出てきます。正直なところ、それは私は予算編成期の査定が甘いと思います。査定が甘い。そしてもう一つは執行側もエリを正す必要があるというふうに思います。

 ああいうものは徹底して排除していかないといけないのであって、はっきり言って道路特定財源の時も、無駄づかいの問題とかいろいろ言われましたが、そういうことにお金を使うんだったら、高知県の1.5車線道路、1カ所でも作って欲しかった。

 私はそういうふうに思っています。


NHK大河ドラマ「龍馬伝」
(西村:NHK記者)
 わが社に関連する話で申し訳ないんですが、昨日、再来年のNHKの大河ドラマが「龍馬伝」に決まったというニュースが出ました。2月1日まで「花・人・土佐であい博」があって、これがまた観光振興の一つの材料になるんじゃないかなと。自分の会社の話で申し訳ないのですが、期待される面とかそういうのはありますか。

(知事)
 正直言って、最初お話を伺った時は万歳三唱をしたい気持ちで、本当に嬉しいと思いました。この機会をいろいろな面で生かさせていただきたいというふうに思いますし、高知県としても全面的にバックアップさせていただきたいと思います。

 決まったというお話を聞いてからもいろんな知り合いの方なんかともお会いしましたが、みんな本当に喜んでいます。坂本龍馬、岩崎弥太郎さん、こういう非常に偉大な人々の精神、そして残した事績というものを全国の方に知っていただけるし、若い人たちにも知っていただけるよい機会だと思いますし、併せてそのような気質、精神というのを脈々と受け継いでいる今の高知県、これを知っていただいて、そしてまた訪れていただくよい機会になるのではないかというふうに考えています。

 この機会をしっかりと生かしていきたい。そのためにいろいろ準備をしていきたいと思っています。

 しかも、ちょうどタイミングがいいと思います。「花・人・土佐であい博」ということで、人ということ、花ということ、そして出会いですね。視野を広げながら、各地域地域でしっかりと観光資源というものを発掘して、作り込んでいると。そういうことをやっている時なわけですよね。

 この「花・人・土佐であい博」で観光の力をレベルアップした高知県の姿を、次の「龍馬伝」において多くの方が高知を再認識される機会ということに繋げていきたいというふうに考えています。

 もう早速、関係者の方々で今後の対応を検討するような、そういう場というのを設けていきたいと思っています。本当に万歳三唱をしたい気持ちです。


地方分権改革 3
(半田:高知新聞記者)
 第2期分権改革に話を戻してお聞きしたいのですが。いわゆる財源がセットにならないと地方はちょっと、この前の四国知事会議で、他の県の知事さんからも非常に不満が出ていましたけれど、権限に関しては一般に省庁と自民党の族議員が壁になって、地方の望む権限が来ないとか、それから財源の方は国の財政再建のこともあろうかと思うのですが、地方の望む分権改革にするために、知事から見て今、一番障害になっているものは、霞ヶ関、永田町でですね、これはどういう視点をお持ちでしょうか。

(知事)
 そうですね、やはり私が思いますのは、永田町は別として、少なくても霞ヶ関が地方というものをどれだけよくよく理解しているか。これにかかってくるんじゃないかと思います。

 例えば地方ではできないとか、広域的な視点が必要だから地方ではこれは担い得ないとかいう言い方をされることがあるわけですけれど、じゃあ地方というのは、地方の実情を踏まえてどのような行政をしていて、どのような地力があってということをよく踏まえていれば、これはできる、これはできないという冷静な議論ができるのではないかと、私は思っています。

 もう一つ、地方分権の名を借りて、名を借りてと言ったら言い方が悪いかもしれませんが、地方分権ということで、国のみの財政再建をするということであったら、それはいけないんじゃないかと。地方に仕事は押しつけます、お金は移譲しませんというやり方だったら、国は楽になるかもしれませんけれど、その分、単に地方に負担がいくだけですよね。

 だからそこのところは、国全体をとらえた財政再建という視点を改めて再認識すべきじゃないかなというふうに思っています。

 プライマリーバランスの議論でも、実は国と地方を合わせたプライマリーバランスを2010年代初頭に(黒字化する)という議論をしているわけですけども、単年度、単年度の予算編成をしていく中で、往々にして国債の発行額の議論になりますよね。

 前年度にどれだけ赤字国債の発行額を減らすことができたかという議論になっていく中で、どうしても国だけの視点に陥ってしまってもらったら、それは困るんですよね。

 その権限移譲ということの前に、まずは無駄なものは廃止するという視点は当然必要でしょう。それは(国、地方、)両方の財政再建に繋がる視点であります。ただ、その後で、効率化をしていく、そしてもう一つはより効果的に事業を執行していく。そのために地方分権が必要なんだということ、権限の移譲をしていくことが必要なんだということ、こちらについて言えば、しっかりと財源と人員をセットにすることが必要です。

 その際には地方の地力というものをよく見ながら、地方でやることが真にふさわしいものを移譲していくということをすることによって、結果として、効果的・効率的に事務が行われることとなるわけですから、国と地方全体としての財政再建も進んでいくと。そういうふうに考えていくべきじゃないかなと思いますけれど。

 第2次勧告なんかでは、私はぜひこういう意見を申し上げさせていただきたいと思っています。私も言いますし、こういうことを反映した議論じゃなくてはいけないと思います。

(服部:毎日新聞記者)
 よろしいでしょうか。

(谷脇企画監(広報担当))
 では、これで終わらせていただきます。
 ありがとうございました。


−以上−

 

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