知事の定例記者会見(平成20年7月30日)

公開日 2008年07月30日

更新日 2014年03月19日

知事の定例記者会見

平成20年7月30日(水曜日) 14時から14時40分まで(第二応接室)

目次

 


 

教員採用試験問題
(畑本:読売新聞記者)
 幹事社から、3点質問させていただきます。

 第一に、大分県で問題になっている教員採用試験の問題ですが、全国的にも一部不正採用とか、事前通知であるとか、そういった事例が出てきていますが、高知県の場合、県職員あるいは教職員に限らずに、今後県内の不正採用の実態調査などを行う考えがあるかということをお伺いしたいです。

 それと併せまして、もしそういった調査、あるいは調査に関わらず、教職員、県職員の中で口利きなどで不正に合格したということが判明するような事例があった場合に、当該職員の処遇、処分をどのように対応するつもりか、その方針をお聞かせください。

(知事)
 まず、教員で申し上げますと、本県の教員採用試験、審査ですね、これは全国的にも情報公開が最も進んでいるところではないかと考えています。
 
 受審者が自ら記載した回答用紙や面接審査員の手書きの評定票まで、本人に開示をしているということがございまして、例えば開示された本人の点数と自己採点した点数の突き合わせが可能とか、そういう状況になっているわけでございます。

 こういうことから非常に不正が起こり得ないようなシステムを取っているんだろうと思っています。実際、既に教育委員会が調査を実施したところでは、不正は一切なかったという報告を、今受けているところであります。

 また、県職員につきましても、例えば競争試験について申し上げれば、人事委員会のほうでこれを実施しておりますので、この中身について人事委員会に確認いたしましたところでは、試験の採点や集計というのは電算処理をしているという状況でございます。

 不正が生じない対応が取られているものと考えております。こういうことでございますので、以上のようなシステムをもってしても、疑いが持たれるような事実が今後出てくるということがあれば別でありますけれども、今の段階では県職員の採用に関して、改めて調査を行うという考えはありません。

 もう一つ、仮に不正合格が判明した場合には、当該職員の処遇につきましては、いろいろな詳細調査、法的な検討など十分に行わなければなりませんけれども、その上で採用の取り消しも含めた厳正な対応を行う必要があると考えております。

 ただ、いずれにしても、まずこういうことが防げるシステムになっているかどうかということが大切だと思いますけれども、その点につきましては、先ほど来申し上げましたように、教職員についても公開が進み、また一般職員についても電算処理をするなどという形で、システム的に不正が生じないことになっていると考えているということです。

全国知事会 1 (知事会のあり方)
(畑本:読売新聞記者)

 2点目ですが、全国知事会のあり方についてお話を伺います。
 
 今月知事もご出席されていたと思います。全国知事会議での成果の自己分析をまずお聞かせください。また、知事会のあり方について、一部で「知事会が行政の技術論に終始してしまっている」とか、あるいは「闘う知事会でなくなってしまった」とか、一部知事から声が上がっています。知事が着任直後に一度「知事会のあるべき姿をどう思いますか」という質問をさせていただいた際には「まだ勉強する立場ですから」というようなニュアンスをお話しされたと思いますが、実際にご出席されて、大局的に知事会というものが果たすべき役割についてどう思っているのか、そういうことをお聞かせください。

(知事)
 今回の知事会議では、地方分権の問題、地方行政の問題、非常に大きな課題について、いろいろな角度から骨太なテーマが取り上げられていると、私は思っています。

 一つは第二期分権改革が本格化してまいります。これに対する対応をどうするのかという問題。

 そしてもう一つ、税制改正論議の中で、地方の財政にも大きく関わる事項が今後、国全体として協議されることとなります。そういう中において言えば、地方の財政の現状はどうなのか。また、その地方の財政の現状に対して、いろいろな財源手当てなどの問題についてどうするのかということが課題になるわけです。

 そしてもう一つは、特に本県なんかにとっては重要でございますけれども、道路財源の問題、この財源の問題というのも、秋の予算編成においても大きな課題になるわけでございます。

 今回、それぞれの課題について知事会は正面から取り組んだというところではないかと考えております。実際、私も知事会へ出ていまして思いましたけれども、決してシャンシャンの会議だとか、そんなことはなくて、それぞれ知事さん、積極的に発言をして、むしろ手を上げても時間がなくなって発言できなくなる方がいらっしゃるぐらい活発な議論でありました。私も最も新参者ではありましたが、高知県の知事として、言うべきことは言わせていただいたというつもりでございます。

 知事会へ出てもう一つ印象として思いましたのは、とにかく全国47都道府県のそれぞれの知事さんがいらっしゃるわけですね。都会の知事さんもいらっしゃれば、非常に田舎の県の知事さんもいらっしゃる。東も西も北も南もいらっしゃるわけですけれど、それぞれがそれぞれの固有の課題というのを抱えている中で、このような国の政策全般の課題について、活発な議論を通じて一つの意思統一をしていくというこのプロセス、これは並のことではないと思います。

 今回出されました報告書にありますような形で、一定の意見をまとめている。これはある意味、国会というのも国全体の意思をまとめる機関であるのは当然でありますが、知事会も法的権限はないにせよ、一つ大きく国全体としてのコンセンサス、考え方、方向感を作っていくという意味において大きな意義を有しているのではないかなという感想であります。

 私も地方の財政の問題、その厳しさというのをどのように判断していくべきなのか、それが一般の国民の皆さんにどのように理解されているという現状にあるのか、ということなどについて発言をさせていただきましたし、また道路財源の問題などにつきましては、本県にとって重要なポイントですので、さらにちょっと技術的な税財源の配分のあり方の問題などについても発言もさせてもらったところです。

 その中で一つ提言させていただいたのは、道路に関して本県は「命の道を守れ」ということを盛んに言わせていただいておるわけです。すなわち、ちょっとした災害で通行止めになって集落がまるまる孤立したりとか、救急車が十分にすれ違えないとか、こういうことを改善する効果が道路の整備にはあるんですよと。

 いわゆる道路、純粋な公共財として、そのような課題にも対応していかなければならない。そういうこともしっかりと考えて、いろいろ道路の事業の必要性について数値的な評価をするわけです。

 いわゆるB/C〔ビーバイシー〕、コストベネフィット分析〔あるプロジェクトにかかる費用とそこから得られる便益を比較して、そのプロジェクトを評価する方法〕というやつですけれど、そういう中においても、そういう要素というのが数値的に取り込まれる必要があるんじゃないかと。

 そうじゃないと、今後秋に新たな道路整備計画(中期計画)の見直しが行われるわけですけれども、本当に正確な道路の必要性についての判断というのはできないんじゃないかということを提言させていただき、より具体的にもB/Cの評価の中にそのような要素を入れ込むべきであるということを提言させてもらったわけです。

 通行規制、通行止め時間の短縮、これらの効果などもしっかり数値として盛り込むべきだということを言わせていただいて、ご賛同いただける知事さんもいらっしゃり、最終的には知事会の提言書の中に、我々の主張というのが入り込むことになったわけでございます。

 こういう形で本県としての、特に重要課題、これについての成果もある程度は上がったのではないかというふうに考えています。

 いずれにしても、申し上げたいことは、まず骨太な議論が行われたということ。

 それについて、全国知事会の場で非常に活発な議論があった。実際にはその前にも特別委員会とか小委員会もありますので、そこでもずっと議論を積み重ねてきたわけですが、そこでの議論も経て一つの考え方をまとめることができたと。

 そして3番目は、本県などが特に重要と考えていた点については、技術的な点も含めて主張を通すことができた。いわゆる全国区のものにすることができたという点において成果があったのではないかなと思っています。

 それで、「闘う知事会ではなくなった」とか、「技術論に終始をしている」というお話でございます。

 そういうご批判も踏まえて、今後の知事会としてのあり方はどうかということについてでございますけれども、じゃあ、同じ地方を代表するものとして、国会のあり方とそれから知事会のあり方などについて、それぞれどう考えていくかというふうに考えてみた時に、知事というのは地方行政の長なわけですね。

 直接選挙で選ばれて、そして地方行政の長としての仕事に携わる役目である。そう考えました時に、やはり個々、個別の県の事情というものをしっかりと踏まえながら、それぞれの行政課題をどのように解決していくかということ。

 政治的な点、技術的な点、双方を踏まえて総合的に判断をする立場であるし、またその結果について責任を持つべき立場にあるわけですよね。そういう人たちの集まりなわけです。でありますから、全国知事会の役割というのは、全員が集まってくる中で、全国知事会ですから、国全体に関わる課題について、それぞれ地方行政の長として実情を知り、技術的な点、政治的な点を知り、かつ責任を取るべき立場の者として、しっかりと詰まった議論を行っていき、結論を出していく。それを国政の場に反映させていくと、そういう大きな役割があるんだろうと思います。

 (全国知事会を)単に政治家の集まりと捉えるべきではない。行政府の長の集団であることも、また確かでございます。

 そうした者としての役割を果たさなければならないのではないでしょうか。そこのところがポイントで、ですから技術論に終始をしているというご批判もあるようですけど、しかしながら行政府の長として技術論もしっかり押さえなければ、責任ある発言と言えるんでしょうか、ということがあると思います。

 技術論を踏まえる、しっかりとした詰まった議論を地方の視点から行っていく。それを国の行政、政治にしっかりと反映をしていく。そういう役割があるんだろうと思います。
 
 そして、物事を実現していく過程で必要なことも、いわゆるインパクトがあることを行うということも必要な場合もあるでしょう。しかし、やっぱりしっかりとした足腰があって、その足腰の上に立って、その必要だと思うことを実現するために、行う必要がある時には、インパクトのあることもやると。そういうことじゃないのかなと私は思います。

 ですから逆に言うと、パフォーマンスとかインパクト重視とかいうこと、これはそれぞれの都道府県の行政に責任を持つものとして、責任ある態度と言えますでしょうか。

 私はまずしっかりとした技術論を積み重ねていくことが大事、その上で突破口を開くべき時とか、ホントに技術を詰めて考え抜いた末に、新たな対策を講じなければならない時とか、そういう大きな節目節目では、インパクトのある提言をしていく。これは手段の一つとして行っていく。そういうものではないのかなと思っています。闘う形を見せるだけであるとか、さらにはパフォーマンス重視とか、インパクト重視とか、ちょっと私は順番が違うんじゃないのかなと思っています。


知事の公用車
(畑本:読売新聞記者)
 三つ目ですが、知事公用車のことです。今年の4月より前から、ずっとお話が出ていたと思うんですが、やっと導入されまして、この知事公用車と言っていいのかどうかも含めて、今後の運用方法と公用車の使い方についての知事の考え方。それからこれまでとの違い、移動が楽になったとか、そういった感想をお聞かせください。

(知事)
 2月の予算委員会でもお答えをさせていただきましたけども、今回購入した公用車というのは、知事専用ということではない。ただ、私が優先的に使わせていただき、空いている時には他の職員にも使ってもらおうというものでございます。
 
 だから、(知事公用車ではなく)公用車ですよね。私も就任以来、県下いろいろな所に行かせてもらっていますけれど、とにかく高知県というのは非常に東西に長くて、移動時間がものすごく長いということです。本当に仕事をする現場まで行くのに何時間もかかるという場合もあります。

 この移動時間というのを有効に使いたいという気持ちで、できるだけ担当部局長とか、担当課長さんとか、一遍に1台の車に乗って、移動時間中にも行った先の課題でありますとか、そういったことについていろいろ打ち合わせとかできるようにした方が機動的であり、何より効率的じゃないのかなと。そういうふうに考えました。

 でありますから、少し一遍に乗車できる人数が多い車を構えていただいたらよいのかなと思った次第であります。

 実際、今日の夜も「対話と実行」座談会で本山町に参りますけれども、そちらに行く道中におきましても、この新しい車の機動性というのを生かしたいと思っています。

 あともう一つは、車に防災無線の設置もいたしましたので、行く先々、常にいろんな情報が途切れない、どのような山奥に行っても情報が途切れないというような設備も加えたところでありまして、そういう意味においては、特に優先的に使う私としてみれば、いわば動きながら執務ができるところ、動く知事室みたいな、そういうイメージなのかなと思っています。

(畑本:読売新聞記者)
 これまで乗っていた車と乗ってみてどう違うのか。

(知事)
 車種が違いますので、それに伴う乗り心地の違いがあると思います(笑)。

(畑本:読売新聞記者)
 幹事社からは以上です。各社どうぞ。


政策課題の進め方(教育問題・産業振興計画)
(本田:高知新聞記者)
 7月の県議会の中で、いろいろ意見が出た中で、学力やいじめ対策の進め方と、それから産業振興計画策定の進め方、これはスピード感と合意形成のバランスのところで意見が出たと思いますが、そこでそれぞれ、学力対策と産業振興計画の策定について、スピードと合意形成のバランスをこれからどういうふうに取っていくのか。具体的に考えているところがあったら教えてください。

(知事)
 まず、教育の問題について言わせていただければ、今学校にいる子どもがたくさんいるわけですから、その子どもたちのことを考えれば、とにかく早く対策を講じ始めなければいけないんじゃないかと、私は思っています。

 しかしながら、こういう問題、よくよく多くの方の意見を聞いて決めていかなければならないということで、一部にトップダウンだとか言われたりいたしますけれど、実際には学力テストの結果分析なんていうのは2月の中旬に発表させていただきましたし、また5月には土佐の教育改革の検証を、私の権限の範囲内に留まりますけれども、教育委員会事務局とやってきた結果について、教育長の方から事前に発表させていただいたりしていますね。

 そういう点においては、節目節目で考え方を発表するというやり方で進めさせていただいてきたつもりでございます。ですから、いろんな方から、事前にいろんなメールも含めてのご意見をいただいたりもしています。そういうことを踏まえながら立てた計画でありますから、決してトップダウンだというご批判は当たらないと、私は思っています。

 で、例えばこれを2年かけて計画を練り上げるという考えもあったでしょう。しかしながら、先ほど申し上げましたように、今子どもが学校にいるわけですから、その子どもたちのために早く対策を講じなければならないということを考えた時に、あまりゆっくりもできないという事情もあります。

 でありますので、できるだけまず、限られた時間の中で、先ほど申し上げたような中間的な発表というような形で、多くの方の意見を聞く機会を持ちながら、できるだけ我々としてよいと考えるものを作り上げてきたというわけでございます。これを議会でお認めいただきましたから、早速実行していくわけですけれども。

 もう一つ申し上げているのは、実際に実施をしていく過程で、改善をしなければならないということが分かってきたことについては、どんどん随時改善をしていくと、こういう柔軟性を持つということじゃないのかなと思っています。

 ですからこれは、時間をかけてやったことだろうが何だろうが、およそ人間がやることですので、どうしても実際うまくいかないことが出てくるかもしれません。そういうことについては、速やかに対応して改善をしていくと。こういう姿勢を持っていくこと。このようなやり方によって、スピード感を持って実行するということと、他方で拙速に過ぎないようにするということの、両立を図っていきたいというふうに思っている次第です。


(本田:高知新聞記者)
 産業振興計画について言えば、例えば議論の土台が低すぎる、そうすると間に合うのかという、「計画づくりが目的化してはいけないよ」という中で、合意形成とスピードのバランスだと思うんですけれど、教育の場合は上から下ろしてきているんじゃないか、産業振興計画は下から積み上げてスピードが間に合うのかという、そういう両方とも同じようなバランスのところでそれぞれ反対側から意見が出たのかなと僕自身は捉えたんですけれど。

(知事)
 教育について上から下ろしてきたというようなご指摘は、さっきのようなプロセスを踏んでいる限り、私は当たらないと思いますけども、もう一つ産業振興計画、例えば間に合うのかうんぬんというお話について、それに限らずいろいろな厳しいご意見をいただきました。

 スタート台が低いとかそういうご意見もいただきました。端的に言って、これは議会の皆さま方、さらには県民の皆さま方から、「とにかく今の高知の現状を早く何とかせえ」という非常に厳しいお気持ち、ある意味期待感の表れだと考えております。

 我々、これを真摯に受け止めて本当に真剣に計画作りに取り組んでいかなければならないわけでございます。

 この計画づくりは、とにかくいろいろな計画を紙に落として文章が羅列しているということであっては絶対いけないんであって、特効薬はありませんけれども、しかしながら、こういうことを積み重ねていけば、県の経済というのは少しはよくなるかなと、多くの方が思っていただけるような、そのような内容、実を伴ったものにしなければならないというのは、おっしゃるとおりだというふうに思います。でありますから、今回につきましては、私も部局を叱咤激励しておりますし、また部局においてもかなり真剣な議論をしてくれていることと思います。

 (産業振興計画検討委員会の)専門部会につきましても、昨日は農業部会に出させていただきましたし、その前は商工業部会にも出させていただきましたけれども、正直申し上げてかなり率直かつ、根源にも触れるような厳しいご指摘も、専門部会の委員の先生方から出てきておるというふうに考えています。

 土台が低いうんぬんというご批判もありますが、実際には県庁職員が作っていく資料にしても、また専門部会での議論にしても、相当加速感が出てきているのかな、そういう印象を私は受けています。

 ただ、これを10月の中旬までに取りあえず中間とりまとめをしていかなければならないということを申し上げているわけですが、これはなぜかというと、産業振興計画の内容というのを21年度の当初予算に盛り込まなければならないからであります。

 そうじゃないと、実行が遅くなってしまいますので、できるだけ早くしなければなりません。実際、中間とりまとめをしても、最終的な合意に至るのは年明けになるでしょうが、予算編成にとりあえず耐えられるぐらいのとりまとめは10月の中旬ぐらいにはしておかないといけないのかなということです。そういう中、今後10月中旬に向けて、非常に大切なことがいくつかあると思います。

 というのは、一つは今回産業振興計画で非常に目玉となるだろうと考えていますのは、例えば1.5次産業化というふうな条件で言うところの1次産業と製造業、商業とのコラボレーションみたいな話ですね。

 こういう部局を超えた連携課題というのをいかにしっかりとなし得ることができるかということが一つの大きな目玉となります。またこれは1.5次産業化だけじゃなくて、例えば県産品の販路拡大、販売促進とか、そういう取り組みなんかにしてもそうだと思っていますが、そういうことになってきますと、部局間の連携が真に図られるかどうかというのが非常に大きな課題になってくるというのが一つです。

 そしてもう一つ、段々いろんなアイデアが出てきます。そうなってくると、それらをどうやって体系づけて一つの最終的な計画としてまとめ上げていくのかということについても、これもまた必死の知恵を練っていかなければならないということだと思います。

 今までもそうではありましたけれども、私としては、そこで部局の連携を図って、かつ部局の進行管理をしっかりして、最後の着地点まで引っ張っていくというのは、これはもう私自身の仕事ではないのかなと考えていまして、先週でしたか、庁議のメンバーよりも、実際に計画策定に携わる度合いの多い部局長のみに絞った関係部局長会議というのを作って、随時開催もできて小回りがきく会議の場でさまざまな連携課題について、部局長同士で話し合って方向を決めたりとか、さらには最終的な10月中旬におけるとりまとめに向けたイメージについて部局間での感触合わせをしたりとか、さらにはいくつかの個別課題についての認識の共有を図るとか、そういうことを行っていきたいと考えておるところです。

 とにかく機動的に取り組んでいかなければならない。連携をして取り組んでいかなければならないということになりますと、やはり各部を率いる部局長同士の協力が何としても必要だと思います。それを成さしめることこそ、私の仕事だと思っています。そういう形で今度の計画つくりというのを進めていきたいと考えているところです。

 そしてもう一つあります。これはもう教育と同じですけれども、一度産業振興計画というのを作ったら二度と変えないというのは、私はおかしいと思います。状況の変化も生じます。

 実際執行していく過程で、うまくいくものとうまくいかないものというのも出てくる可能性があります。ですから、状況に応じて改訂していくことが必要だと。私は、この産業振興計画、一旦作ったあとで、またその実行状況、進捗状況などを見たりしながら、毎年度改訂していくという取り組みも併せて行っていくべきではないかなと考えている次第であります。

 そうすることで、まずスピード感を持って作り上げていく、実が伴うものとするように作り上げていく。で、実のあるものについてはうまくいくでしょう。残念ながら実があると思っていたけれども、うまくいかなかったというものについては実行段階で速やかに直していく。そういうことをもってして、スピード感と実があるということを担保していく。そういうふうな取り組みにしたいと思っています。


全国知事会 2 (知事像)
(畑本:読売新聞記者)
 先ほど、知事会のあり方の質問の中で、知事のご回答で、知事会については単に政治家の集まりというわけだけではなくて、行政の長の集まりでもあるんだということをおっしゃったんですが、これは知事会についてだと思うのですが。ちょっと改めて、知事がお考えになっている知事像は、政治家としての知事像なのか、それも行政の長としての知事像なのか。内面的に果たす役割がどれぐらいのバランスでお考えなのかというイメージはありますか。

(知事)
 それは表裏一体でしょうね。それはバランスであって、何割行政官、何割政治家ということはないと思いますよ。

 特に大切なことは、いろいろな所へ行かせていただいて、いろいろな話を聞かせていただいた時の、その気持ちとか感触というのを、最終的な行政判断の時に常に加えていくということだと思いますので、行政的な判断というのもありますけど、他方でその時にやはり人の思いとか、そういうことも考慮しなければいけない時もあると思います。

 さらにもっと言えば、行政的なルートから得られた情報というものと、また政治的なルートから得られた情報というものを突き合わせていくことによって、より実態に合った実情というものに迫っていくことも必要なんだと思うんですよね。私は常にその両者の接点にあるものとしての役割を果たしていかなければならないのじゃないかなと思っています。

内閣改造
(本田:高知新聞記者)
 内閣改造の話がありますけれど、高知県の知事として、内閣改造に望むこと。あと、これは発言できるのかどうか、この大臣は替わって欲しくない、残って欲しいとか、あとこの人は替わって欲しいとかいうのはありますか。

(知事)
 どの大臣が・・・というのは勘弁して欲しいと思いますけれど、次期内閣に望むことと言いましたら、やはり次期内閣は重要課題が、この秋に向けて控えていますよね。

 第二期分権改革に実を伴うような議論というのが、これから行われていくわけです。国全体のことを考えていくという中で、やはり国というのは地方の集まりからなっているんだということをよくよく踏まえて、さらに地方像というのも非常に多様だということをとらまえた議論ができる人、そういう複眼的な思考をされる方にぜひ閣僚になっていただきたい。そのように思います。

(本田:高知新聞記者)
 この人は替わって欲しくないというのは?

(知事)
 ノーコメントです。


夏休みの過ごし方
(松田:高知新聞記者)
 8月は知事にとっては初めての夏休みになられると思うのですが、どこでどのように過ごされますか。

(知事)
 夏休みはまだちょっと予定を決めてないので、高知にいるか、妻の実家の方に、知事になってからまだ1回も挨拶に行ってないので、ちょっと挨拶に行ってくるか、そんな感じだと思います。

(畑本:読売新聞記者)
 夏休みはあるんですか?

(知事) 
 最初は1週間ぐらい取ることになっていましたけど、段々仕事が入ってきて、短くなってきています。
 (19~22日の)火水木金で、木曜と金曜は仕事が一部入っています。

(畑本:読売新聞記者)
 知事は知事でもありますけど、お父さんでもあって、お子さんは夏休みを楽しみにしているんじゃないですか。

(知事)
 できる限り、例えば土曜日の午前中が空いていたりとか、日曜日の午前中が空いているとか、日曜日の午後は丸々空いているとか、そういう時に遊ぶようにしていますから。

 もともと割と忙しかったので、父親のいない家庭というのは息子たちは慣れていると思いますけれど。そんなに何日も連続してというのはできないかもしれませんが、チャンスをできるだけ生かしてコミュニケーションをするようにしようと思っています。朝ご飯の時に一緒になることが多いですから、その時、学校はどうかとか何だとか話したりしています。

燃油対策
(本田:高知新聞記者)
 国が出した漁業者向けの燃油対策ですが、今度出されたものは高知県にとってどうなんでしょう。

(知事)
 端的に言って、前に比べてはるかに使い勝手がよくなっているというふうに思います。

 回遊性魚類の問題といわゆるイカなんかの問題との違いということについて、まず今回は明らかに水産庁は明確に認識してくれるようになりました。

 私個人が受ける感触として言わせていただければ、回遊性魚類とその他の漁業との、例えばイカなんかですね、いろんな漁法の違いに伴うところの原油高によるダメージの違いということについて、理解はどうだったのかとちょっと思っていましたが、今回についていえば相当理解が進んだというふうに思っています。

 あまり技術的なことになっても何ですけども、いくつかの要件が緩和されたりしていることでもってして、本県についても十分使えるものになってきているのかなというふうに思います。

 ただ、こういうものは実際に細かい補助要綱を決めていったりする過程で、ちょっとしたさじ加減でいろいろ変わってきたりするものですので、今回は国の理解もあって、門は大きく開いたかなというふうに思いますけれど、まだ気を抜かないで詰めていくということじゃないかなと思います。

県立大学改革
(末崎:朝日新聞記者)
 県立大学改革について、7月議会でいろいろ話が出ましたけれど、議論の総括と言いますか、今のところ知事が考えてらっしゃるとおりに進んでいるのか、うまくいっているのかどうかというところをお聞かせいただきたいのですが。

(知事)
 今回、これだけ県政上の重要課題になったわけですから、県としてもしっかりと説明責任を果たしていく必要があるという思いから、7月議会に議案として提出するのではなくて、我々の考え方を事前にご説明し、そして1回しっかりとご議論をいただいた上で、9月議会に議案として提出させていただくと、そういうプロセスを敢えて踏ませていただいたわけであります。

 実際のところは、議場でもかなり活発にいろいろなご意見が出ました。その中でも代表的なご質問というのは、「考え方が去年と変わったのではないか。なぜ変わったのか」という点についてのご指摘だったかというふうに思います。

 その点について言えば、人口減少下にあること。それから産業振興の必要性とか、若者の流出対策とか、いろいろ考えるべきことがあるということを考えた時に、女子大のみに限定せずに、工科大も含めた県の高等教育全般のあり方というものを考えるべきであることとか、そういうことについてご説明をさせていただいたわけです。いわゆる5つの視点というのを、議会でご説明させていただきましたけれども、一部にまだご疑問もあるかも知れませんが、大きな方向感については、理解を賜りつつあるのかなという感じです。

 しかしながら、まだまだこういう点がどうか、ああいう点がどうかということについて、かなり根本に関わる問題も含めて、疑問が出されたりもしているわけでございまして、会派によりますけれども、出されている所もありますので、こういうことに一つ一つお答えをしていかなければならないと思います。

 閉会中も委員会が開かれて、ご議論いただけるということでございますので、またそういう委員会でのご議論の結果というものも踏まえまして、9月議会に議案を提出していくように備えていきたいというふうに思っています。

 とにかく考え方の違った理由として、5つの視点ということを私は上げさせていただいた。5つの視点ということ自体については、概ねご理解が得られているのかなと思いますけれども、まだまだより細かい議論になってきた時に厳しいご意見をいただいている場合もある。これに答えていかなければなりません。

 また、もう一つは、こういう問題はいろいろと時間を経過するごとに、それぞれの機関において議論が深まっていく部分がありますので、そういう状況変化に応じて、議論の展開というのも新たな視点が加わってきたりする可能性もあると思います。

 そういうことも踏まえながら、閉会中の委員会でのご議論も踏まえて、先ほど申し上げたように、9月の議会に議案として、関連予算も含めて提示できるように検討を進めていきたい。庁内でPT〔プロジェクトチーム〕を作っていますので、そのPTの中で庁内での検討を深めていきたいと思っています。


全国知事会 3(消費税・地方消費税ほか)
(岡村:高知新聞記者)
 全国知事会で大きく揺れたのが消費税ですね。地方消費税、あるいは消費税率そのものをどうするか。知事は一定慎重論と言いましょうか、どうするかということについては慎重に検討するべきと言われたと思うんですが。改めて知事の考え方をお願いできますか。

(知事)
 まず、財政再建の問題の前に、財政上の地域間格差ということを考えていった時に、まず地方消費税について充実強化していくべきだということは、もう間違いのないことだと思います。

 それを現行の消費税5%の範囲内で、今の現行の地方消費税1%の拡大をしていくというやり方によるべきなのか。それとも、消費税自体の税率を引き上げることによって、地方消費税の税率を引き上げるべきなのかということについての議論が分かれるところなんだろうと思います。

 いずれにしても、今回の概算要求基準なんかを見ていましても、社会保障関係費が2200億円削減しても毎年6500億円、自然体でいけば1兆円近く増大しているという状況の中で、やはり受益と負担の関係ということについて真剣な議論をせざるを得ないんだろうと思います。

 ただし、私も財務省におりましたので、本当に思いますけども、税の問題、例えばそれこそ消費税本体の税率を上げるか上げないかというような問題についていえば、本当に真剣な議論が必要だと思います。

 地方財政の厳しさについての現状の訴え、また財政全体、国の歳出全体についての、厳しさについての訴え。これについて国民にどれだけご理解が得られているか。いわゆる腹に入ってご理解頂けているかどうかとか、そういうこともよく踏まえていかないといけませんし、それからまた、平成9年、10年ごろの話もありましたね。

 税というのは非常に、特に消費税なんていうのはあまねく広くかかる税金だけに、景気に対して与える影響が大きいわけです。今、このように減速感が出てきているというような状況の中で、果たしてそういう議論をすることが本当に、逆に今度は財政政策上、機動的な財政政策という観点から適当なのかという問題もあるんだろうと思います。

 私はそこのところを、秋にかけて徹底して議論していかなければいけないんじゃないかということから、今回の知事会において、いわばインパクトがある、ないとかいう理由でもって、はっきりとスタンスを増税とかいう形で打ち出していくというのはちょっといかがなものかと、そういうことを申し上げたわけです。

 正直なところ、歳出面においての構造のあり方の問題、そして当然受益と負担の関係の問題、そして3番目には景気などを含めた、そういう景気対策の絡んだ機動的な財政運営上の問題、これらを全て考慮して、物事は決めていかなければいけない。まだまだ、そんな簡単に軽々にやる、やらないなんて言えるものではないのではないかと、私は思います。

 正直なところ、財務省にいてこういう問題に触れてきた者としての、本当に心からの実感です。そんなに簡単に言える問題じゃないと思います。

 本当に地方財政が厳しいという現状について、我々は分析していろいろ考えているかもしれないけれど、しかし本当に例えば、他の県の県民の皆さんとか、国民一般の皆さん方にご理解いただいているでしょうかと。

 我々は数字的な分析で、大分分かってきたところはありますけど、そういうことについてまだまだ足りてないんじゃないかと、だから、そういうことをどのようにして訴えていけば地方財政の現状というものについてご理解いただけるのか。

 さらに言えば我々自身としても、もっと財政再建努力としていろいろと考えられることはないか。そういうことについても、もっと知恵を練っていく必要がある。練って、練って、練った上でもってしても、その先の姿はこうですよということをどういうふうに分かりやすく、納得いただけるようにご説明できるのか。

 そういうことについて、各県固有の事情もあるでしょうから、よくよく知恵を練る必要があるんじゃないですかという話を申し上げたところだったんですけれど、まだまだ踏むべきプロセスがあるというふうに思います。

(谷脇企画監(広報担当))
 よろしいでしょうか。それでは、これで終了させていただきます。
ありがとうございました。

 

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