公開日 2008年09月30日
更新日 2014年03月31日
モード・アバンセ事件の総括と今後の県政改革について(県政改革に関する検証委員会「報告書」についての知事コメント)
平成20年9月26日(金曜日)
職員の皆さんへ
去る9月22日、「県政改革に関する検証委員会」から、モード・アバンセ事件の総括と、これを受けた今後の県政改革の取り組みへの提言などに関する報告書をいただきました。
ご存知のとおり、本年3月25日に協業組合モード・アバンセへの融資に関する住民訴訟の和解が成立し、事件に関係した当時の県の幹部が、県に対する損害補填金の一部として、総額2,000万円を支払っております。これに先立つ昨年8月28日には、この融資事件に関連して、元副知事や部長などが刑事責任を問われ、最高裁で実刑が確定しており、本件は、県の行いました政策決定に対して、関係する県職員の刑事責任が厳しく追求されたという、全国的にも極めて異例な事件でした。
この事件に関しましては、県議会でも、百条特別委員会を設けて真相解明に取り組まれ、県に対して再発防止に向けた提言も行われております。また、県では、この提言や事件の反省に立って、幹部職員による「県政改革に向けての決意」を平成13年9月に表明し、それに基づいて県政改革のための69項目にわたる具体的な取り組みも行ってきました。
こうした中で、改めて外部の委員に事件の検証をお願いした私の思いは、まず、これだけの異例、重大な事件が起こったことについて、住民訴訟の和解をきっかけとして、県としては、その原因、理由を総括し、再発防止策を含めて、県民の皆様にご説明する責任があるということでした。
また、県政改革の取り組みも6年以上になりました。このことを踏まえまして、
- これまで、どのような視点で、どのような取組みが行われてきたのか。
- この取組みは風化していないか。
- 今の取組みで十分なのか。
などを、改めて検証する必要があるのではないかと考えました。
今回、検証委員会では、このような私の課題意識を踏まえていただいたうえで、11回の会を重ねて今後の県政改革の取り組みなどに関する貴重な提言を報告書としてまとめていただきました。また、この間、6月には全ての職場で、これまでの県政改革の取り組みについて、職員の皆さんの話し合いも行っていただき、その結果は報告書にも反映していただきました。
今回の報告書では、具体的な対応についても大きな宿題をいただきました。これに対して県庁としてスピード感を持ってしっかりと答を出していかなければならないと思います。
すなわち、モード・アバンセ事件についての深刻な反省に立ち、今回の報告書でご指摘いただきました貴重なご提言を踏まえて、二度とこうしたことを起こさない組織を作っていくことが、我々に課せられた使命だと思います。
私は、今後、3つの視点を持って、この使命を果たしていきたいと考えております。
第一に、私は、「県民から見える県庁」の実現を図りたいと思います。
不正を防止するには、県政を敢えて外の目に触れさせる努力が必要です。情報公開に関してはこれまでも、全国レベルよりも進んだ取り組みをしているものと考えていますが、現状にとどまらず、検証委員会の報告書で指摘していただいたように、情報公開のルール化、情報の組織的共有化、意思決定システムにおけるチェック機能の強化、こうしたことを更に充実していくことが必要だと思います。
第二に、不正防止を図るための組織づくりをするに当たって、併せて考慮しなくてはならないことは、組織の萎縮を防ぐということだと思っています。
検証委員会からも「特定の者に利害関係がある事項について、県が組織として不適切な政策決定を行うことを防ぎつつ、職員が萎縮することなく、前向きに仕事ができる環境を整備する。」との指摘をいただいています。
現在の高知県の抱える様々な困難に鑑みたとき、県政は真に官民協働型の県政でなくてはならないと思います。県庁の頑張りだけでは、県は良くなりません。必要なのは、県民の皆様と協力しあえる姿を作り上げていくことだと思います。
そのために必要なことは、「県民と対話をする県庁」を作っていくことだと考えています。
不正を防止するために外部との接触を避けるといった後ろ向きの姿勢に終始するのではなく、積極的に県民の皆様と対話し、しっかりと実情を把握した上で課題の解決を目指す、その上で絶対に不正を起こさない、そうした県庁づくりを進めていきたいと考えております。
また、職員の皆さんは、県民の皆様としっかり対話することによって、改めてその実情が身にしみて分かり、かつ、何とかしなければとの気持ちになるはずです。これが、真の意味で県民本位の県政につながっていくものと考えます。
第三に、この観点と関連して重要なことは、高知もまた、日本の中にあり、そして、世界の中にあるということを改めて認識することだと思います。高知県の中だけを見る内向き志向では、時代の流れを読み誤り、行政として進む道を誤りかねません。職員の皆さんが、県外で、どのような動きがあるかを見て、地域間競争を意識しながら高知県の行く末を考える「県外にも目を向ける県庁」であってもらいたいと考えています。
以上のように、今後取り組む県政改革では、「県民から見える県庁」、「県民と対話をする県庁」、「県外にも目を向ける県庁」、これを目指していきたいと考えています。
既に、多くの職員の皆さんが、言葉こそ違え、同様の考えの下に懸命に働いておられることと思いますが、より前向きに、そして、より組織的に以上の様な県庁とするための努力を行っていきたいと思います。これらのことを実現していくため、私をトップとした庁議メンバーによる「県政改革本部」を立ち上げ、より具体的な対応方針となる「県政改革アクションプラン」を年内にも策定したいと思います。
また、アクションプラン策定後は、計画から実行、見直し、改善を繰り返すPDCAサイクルをしっかり回していくとともに、適宜、外部からの評価もいただきながら、取り組みが風化しないようにしなければならないと思います。
これらによりまして、モード・アバンセ事件という大変重い過去の過ちを、きちんと自ら反省・総括し、県民の皆様から真に信頼していただいたうえで、県民の皆様の期待にもしっかりと応えていくことのできる、また、職員の皆さんにとっても働きやすく実力を伸び伸びと発揮できる県の組織づくりを進めたいと思います。
以上のことに、私自身、できる限りのリーダーシップを発揮していきたいと考えていますが、職員の皆さん一人ひとりの前向きな姿勢なくしては成果をあげることはできませんので、よろしくお願いします。
平成20年9月26日
県政改革に関する検証委員会、報告書 [PDFファイル/539KB]
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