知事の定例記者会見(平成20年11月28日)

公開日 2008年11月30日

更新日 2014年03月31日

知事の定例記者会見(12月議会関係ほか)

平成20年11月28日(金曜日) 9時から9時40分まで(第一応接室)

目次

 


 

議会提出予定議案
(知事)
 まず、12月議会の関係についてお話をさせていただきます。12月県議会定例会を12月4日に招集することといたしました。議案といたしましては、一般会計の補正予算など予算議案が5件になります。それから、条例その他議案が40件、報告議案が4件の合わせて49件ということになります。

 そのうち、一般会計の補正予算で計上しておりますものは、まず、産業振興計画に関係して早急な対応を求められるもの、こちらが3件でございます。第一が地産外商戦略の一環でありますけれども、高知のものを首都圏に向けて売り出していく、企画・生産・販売の一連の流れを支援していく、その一つのツールとして、アンテナショップを首都圏に設置する、既存のものを改組するということでございますが、このための準備に要する経費を計上いたしております。

 そして、もう一つが「龍馬伝」の関係であります。産業振興計画の中で観光八策ということを掲げさせていただいておりますけれども、この関連で「龍馬伝」を生かし切っていかなければなりません。「龍馬伝」については、既に「土佐・龍馬であい博推進協議会」が設立されておりますけれども、この広報に要する経費を計上いたしております。

 また、もう一つが牧野植物園の南園のガラス張りの温室の耐震化、新たな建て替えということになります。牧野植物園は「花・人・土佐であい博」で大変ご好評をいただいておりまして、多くの入園者の方々がおいでいただいております。元々、耐震化をしなければならない、建て替えをしなければならないというスケジュールを予定していたものでございますけれども、これだけ入園者の皆さまが急増してくるということになると、建て替えの必要性が非常に高まってきたと、安全を確保するためにはぜひとも必要だということで、早急な対応を図ることといたしました。合わせて、今の時期から整備を図りますことで「龍馬伝」にも間に合わせることができます。そういう観点から、今回の予算に計上いたしたわけであります。

 大きな2点目は、安全・安心の観点からでございます。社会福祉関係について、早急な対応を図っていきたいと考えています。国の方では、安心実現のための緊急総合対策をこの間発表したところでございますけれども、これに呼応いたしまして、救急医療に係る医師の業務負担の軽減策、さらには新型インフルエンザ対策、そして女性医師・看護職員等の離職防止・復職支援のための院内保育所の環境改善に必要な予算を計上いたしております。

 大きな柱の3点目でございますけれども、中小企業の皆さまのための対策でございます。全国的に非常に厳しい状況になってきている中で、年末にかけての資金繰り対策に万全を期してまいりたいと考えております。万全な資金環境を整えて、中小企業の皆さまが安心して年を越していけるような対策を講じていくということでございます。国のセーフティネット保証の指定業種の拡大や、緊急保証制度の創設に併せまして、県制度融資の拡充を図ることといたしました。特に厳しい環境にある高知県では、特別の対策を取るということでございまして、県単独の制度を拡充するということでございます。

 条例議案でございますけれども、高知工科大学の公立大学法人化に伴いまして、公立大学法人の業務実績の評価などを行う評価委員会を設置する条例議案などを14件。その他議案といたしまして、県立施設の指定管理者の指定に関する議案など26件。また、報告議案でございますけれども、こちらは平成20年度高知県病院事業会計補正予算の専決処分報告など4件を提案いたすということでございます。

 以上が12月県議会定例会の提出予定議案であります。


オランダとの友好園芸農業協定
 続きまして、県の行おうとしております施策に関係しまして、新たな二つの事柄について発表させていただきたいと思います。

 一つは、オランダとの友好協定の締結に向けた取組みでございます。

 オランダ王国のウェストラント市と友好園芸農業協定を結びたいと考えておりまして、具体的な行動を起こすことといたしました。ご存じのとおり、高知県の農業は園芸作物が非常に大きなウェイトを占めております。総算出額の75%が園芸関係であるのが本県の農業の特徴でございます。

 11月4日に取りまとめました産業振興計画の中間取りまとめでは、この大きな柱の一つとして、環境保全型農業のトップランナーを目指すということを発表させていただいておりますけれども、この環境保全型農業で世界一のトップランナーはオランダであります。その中でも、ウェストラント市が最も進んだ地域であるわけでございます。

 日本一の環境保全型農業を目指している本県といたしましても、世界一の環境保全型農業を進めているウェストラント市とぜひ友好協定を結んでいきたい。この友好協定を結ぶことによりまして、お互い生産者同士で学び合う関係、技術を交換する関係を作っていきたい。また、定期的にブースを設けるという形で、本県農業とオランダ農業がともに高め合い売り合う関係も作っていきたい。中には、共同でのメニューづくりなども今後の展望としていろいろ考えられるのではないかというふうに思っております。

 既に10月にはいろいろと働きかけをいたしまして、先方からは非常に良い感触をいただいておるところでございまして、その具体化に向けまして、12月8日から12日に農業振興部の担当者をオランダに派遣いたしまして、協定締結に向けた具体的な詰めの作業を行っていきたいと考えております。日本一の環境保全型農業を目指す本県は、世界一の環境保全型農業技術を持っているオランダとともに手を携えていく。そういう取組みを進めていきたいということでございます。

とさ林間フォーラムの開催
 もう一つの点でございますが、環境政策についてでございます。「とさ林間フォーラム」を11月29日に開催いたします。

 ご存じのとおり、「協働の森づくり事業」は現在34件の協定締結を結んでおります。この協定をいただきました全国の企業のトップの方々と、さらには県内の関係市町長、そして私が梼原に一同に会しまして、今後の環境施策、特に山と川と海とが連動して行うべき環境施策についていろいろと話し合いを行って、そして意見交換を行っていきたいと考えています。

 また、このことは環境立県に取り組んでいる本県、中でも非常に森の美しい梼原においでいただくことで、高知県と全国の企業との交流を一層進めるよい契機になるのではないかなと期待いたしております。その場で私からは、低炭素社会実現に向けて取り組んでいる本県の一連の施策についてご説明させていただきたいというふうに思っています。

 本県は、森林面積割合が全国第1位でございます。この本県のメリットを生かして、環境対策については、全国のどの県よりも熱心に取り組んでいきたいと考えております。ありきたりな対応ではいけない。森林面積割合が第1位なわけですから、どの県よりも先進的な取組みを行っていきたい。これが私の思いでございます。

 先の7月県議会におきましても、低炭素社会のトップ・プランナーを目指すということを発表させていただいたわけでございますけれども、その取組みを着々と進めていきます。そして、その取組みを全国の環境意識の高い企業の皆さまや全国の方々に発信していきたいと考えております。

 こちらの「森林を活かした地球温暖化対策の取組み」という資料(*PDF)では、高知県のこれまでの先進的な取組みを書かせていただいております。「森林環境税」、そして「協働の森づくり事業」は、橋本知事さんの時代に、全国で最初に導入した事業でございますけれども、私が知事に就任してからも、「排出量取引地域モデル事業」でありますとか、「CO2木づかい固定認証制度」でありますとか、全国に先駆けた制度を実施いたしております。

 さらに、これらの取組みをより本格化していく取組みといたしまして、「森林吸収量取引モデル事業」のような新しい取組みにも挑戦したいと考えております。間伐を行うことによってCO2の吸収能力が高まります。それを見える形にして、これを協賛いただいた全国の方々に、この見える形にした証券をご購入いただきたいという取組みでございます。

 これは、国内排出量取引の本格化に向けての第一歩ということではないかと思っています。森林面積割合が第1位の本県から、このような新しい取組みを全国に向けて発信をしていきたい。これを「とさ林間フォーラム」において、全国の企業の皆さまに発表したいと考えているところでございます。トップ・プランナーとして、常に新しい施策に取り組んでいくということであります。

 私から冒頭、以上です。


県政改革の取組みの状況
(半田:高知新聞記者)
 議案とは関係ないことですが、県政改革本部会の予定を示していたと思うんですが、あれは当面12月県議会定例会で行動計画を報告するという予定で進んでいたはずなんですけど、何か変更がありましたか。

(知事)
 一番大きな変更は、産業振興計画の策定にあたって、抜本的に組織の改革をすることとなったということでございます。

 産業振興推進本部を設けて、それから産業振興推進部を設けることといたしましたし、また、地域において「地域アクションプラン」を実際に実行するための体制を整えることとしております。

 でありますので、県政改革の県民と対話する県庁という観点、それから県外に目を向ける県庁という観点、こちらについてそもそもの県庁の組織自体を大幅に変えるということになったわけでありまして、それに対応した県政改革というのが必要ではないかということでございます。もう少し、どのような組織体制にするかということをよくよく詰めてからでないと、すれ違いみたいなプランになってしまうんじゃないかという思いがありまして、産業振興計画に絡んだ組織改正の詰めをもう少し行ってから最終的な取りまとめを行っていくという考えでございます。

(半田:高知新聞記者)
 12月定例会への報告は見送ってですね、そういう話になると、機構改革に合わせた2月、3月ぐらいを目途にということですか。

(知事)
 ということになってくると思いますね。ただ、12月議会でいろいろと考え方とかをお示しすることになると思いますけど。全く検討してきてなかったわけではないので。

 特に県民から見える県庁という側面も非常に重要ですけど、こちらについても実はもう一つあります。ちょっと補足的な話になって恐縮ですけど、要するに、県民の皆さまから情報公開せよと言われたものに受け身の姿勢で情報公開するだけでは駄目じゃないかと。

 むしろ、官民協働型と言うなら、私たちはこういうことをしてますよということを積極的にお示ししていく。これが本当の意味で県民から見える県庁ということになるのではないかなというふうに思っています。

 ですから、単に言われたことについて受動的に対応するという姿勢では駄目で、積極的に県民の皆さまに施策をお示ししていく。そういうふうになるためにはどうすればいいかという点についても、今までの県政改革の視点に新たに一つ加えて、その点ももっと深く検討しなければいけないんじゃないかなという思いもありますね。

 ですから、1本目の柱である「県民から見える県庁」については、新たな視点として、積極的にお示しするという視点を加えなければならないということが一つですし、もう一つ、「県民と対話する県庁」、「県外に目を向ける県庁」という観点からは、産業振興計画の関係でより検討を深めなければならないということが出てきたということじゃないでしょうか。

(半田:高知新聞記者)
 働きかけの公表制度も一定の見直しを進めていく?

(知事)
 当然ですね。

カシオワールドオープン
(畑本:読売新聞記者)
 昨日(11月27日)からカシオワールドオープンが始まりました。このゴルフツアーについては、爆弾で襲撃が行われたり、脅迫電話まがいのものがあったり等、妨害が進んでいます。高知県にとっても、観光振興の面で非常に重要な大会でもありますが、今のこういった混乱状況についてどのように受け止めたか教えてください。

(知事)
 正直なところ非常に残念であります。しかし、県警の方は万全の警備態勢を敷いているということでございまして、24時間態勢での警戒・警備を行っております。また、警官の動員態勢というものも最高度の警戒態勢を取っているということです。高知県におきましても、危機管理部が連絡・緊急態勢というのを非常にしっかりと作っておりますし、主催者からの要請を受けた人員の配置ということも行っております。とにかく万全を期すということです。

就任1年を迎えて(1)
(畑本:読売新聞記者)
 もう一つよろしいですか。もう間もなく知事も就任されて1年が経とうとして、多分その1年が経つ頃までに会見はもうなかろうかと思うのですが、1年を迎えるにあたって、これまでやってきたと思われること、それからできなかったこと、今のお気持ちを簡単にご説明いただけますか。

(知事)
 この1年、本当に忙しかったなというのが実感でございますけれども、私は今年の最初に(この1年を)足固めの年にしたいということを申し上げさせていただきました。足固めの年、県勢の浮揚に向けて必要ないろいろな仕込みを行うことにこの1年間必死になって取り組んできたつもりでございます。

 正直なところ、高知県の抱える課題というのは、経済の問題や教育の問題もそうですけども、小手先の対応をして何とかなるというような状況ではないんだろうと、今思っています。本当に根本的な課題に取り組んでいかなければいけません。ただ、根本的な課題に取り組んでいくためには、その課題を大きく動かす、変えていく、いろんな仕組みが必要になってくる。

 私はその仕組みづくり、今後県勢を浮揚させていくための基本となる仕組みづくり、これに1年間注力をしてきたつもりでございます。教育についても、「学力向上・いじめ問題等対策計画」いわゆる緊急プランを7月に発表させていただき、9月から実施をさせていただいております。また、経済の問題、産業振興計画についても、中間とりまとめを行って、予算編成過程での具体化作業というのを急ピッチで行っている状況でございます。

 もう一つ、やはり国を変えていかなければなりません。地方分権の推進というのは非常に重要なことですけれども、合わせて大切なことは、国が地方をしっかり捉えきれていない、特に、地方の中の地方として非常に厳しい高知県のような実情というのを捉えきれていない、これを変えていかなければならない。

 そのための仕込みとして、東京事務所を抜本的に強化し、4月以降、徹底して国といろいろな政策課題について交渉を重ねてきました。中には、定住自立圏構想の実現や、さらには昨日報道されましたけれども、道路の評価方法について、「命の道」の要素というものを全国に先駆けて本県が提案し、今回初めて取り入れられることも、本県が一生懸命提案をしてきたことでございますが、こういうことが段々と受け入れられるようになってきたということだというふうに思っています。

 とにかく、高知県のような人口の少ない県が本当に誇りを持って、また、それなりに豊かに安心・安全に暮らしていけるというふうになるためには、一つは、しっかりとした外交力と言いますか、交渉力を対外的に持っていくということが非常に重要だというふうに思っていますし、もう一つは、しっかり交易をしていくということが重要だというふうに思っています。そのためのいろいろな体質強化という課題に産業振興計画と東京事務所の抜本強化という形で取り組んできたということだと思っています。

 次の1年に向けて非常に大切なことは、このようないろいろ仕込みを図り、仕組みを作ってきましたので、この仕組みをフル回転させて具体的に経済の振興に繋げていく。そして、教育の振興に繋げていく。結果として、福祉の向上にも繋げていく。そういう取組みを実現していくということではないのかなと思っています。

 正直なところ、本県が抱えている課題というのは非常に根深いものがあって、小手先の対応で少々いじったから何とかなるというような状況ではないというふうに思っています。根本的な課題に取り組んでいかなければならない。非常に大変なことです。

 しかしながら、県庁の職員一同、みんなで力を合わせて、その課題に向けてこの1年間取り組んでまいったように思っています。また、多くの民間の方々に知恵を賜り、力を貸していただきました。官民協働型で根本的な課題に取り組んでいく。そういう態勢ができつつあるんじゃないかなと思っています。来年はこの仕組み、仕込みをフル回転させて、高知県の県勢浮揚に向けた具体的な第一歩に繋げていきたいという思いであります。

(畑本:読売新聞記者)
 特に今年やるつもりだったけれどもできなかったということはないですか。

(知事)
 やるつもりだったけどできなかったというのはありませんね。やりたいと思っておった仕込みは全部できました。そう思っています。

県議会との対話、県民の皆様との対話
(服部:毎日新聞記者)
 (知事に就任して)1年に関連してなんですが、知事のスローガンの「対話と実行」の「対話」の部分で二つお聞きしたいのですが、まずは県議会との関係ですね。就任直後の会見で、理屈に基づく政策論議をしたいというふうにおっしゃっていましたけど、それが今、できているかどうか。もう一つ、県民の方との対話。昨日の座談会も3時間以上の熱い議論になったと思うんですけど、主に県民の方から何を学んでらっしゃるか。その2点についてですが。

(知事)
 県議会との対話という観点から言わせていただきますと、理屈に基づく政策論議ということに相当なってきているんじゃないかと思います。

 例えば、私が引き継いだ最大の課題は、去年2回も議会で否決をされた県立女子大議案でございました。あれについては、より視野を広げて工科大との連携という形でこの問題を解決していこうとしたわけでありました。保健・医療・福祉の問題や産業振興とか、いろんな視野をぐっと広げた形で、いろいろ役に立つ施策にしたいと思って努力を重ねてきました。

 その女子大の議案について、今年は7月に1回考え方をお示しして、そして9月に具体的な議案としてお出しして議決をいただくことを行ってきたわけでございます。とにかく、県議会の皆さんにも、何をやろうとしているのか、どうしてなのかということについてしっかりと情報を提供し、かつ時間もしっかりと余裕のある時期に議案を提出するということで、県議会の皆さんに徹底した検討と我々に対する質疑も行っていただいたというふうに思っています。

 とにかく、県議会に対してまず我々がしっかり情報提供をすること。それから、時間切れでどうのこうのというようなことをするのではなくて、しっかり時間のある段階で議案を出すこと。これによってしっかりと県議会の方でもご検討いただけると。

 そうなりますと、質疑時間も長くなります。質疑時間も長くなりますけれども、それに対して我々もしっかりと説明責任を果たしていくということを実践してきたつもりですけどね。そういう実践過程において、理屈に基づく政策論議が行われてきてるんじゃないかなと思っています。

 そのために大切なことは、我々がしっかりと説明責任を果たせるようになることだと思いますけどね。その点に一生懸命努力を重ねてきたということだと思っています。

 それから「対話と実行」座談会でございますけど、昨日も平日の夜ですけど、6時半から9時40分くらいまで3時間10分やらせていただきました。参加していただいた皆さんには、お疲れのところ大変恐縮でございましたけれども、本当にいろいろな議論を賜ったところでございます。

 何を学んでいるかということでございますけれども、いろいろ地域、地域で様々な課題があるんだなということについて、学ばせていただいておるところでございますけれども、それは、個別・各論でいくと様々です。何百項目にわたる議論をさせていただいてきました。

 ただ、その中で非常に私自身が印象に残っている大きな柱が二つあって、その第一が、地域、地域で本当に厳しい状況の中でも、その地域を何とかせんといかんということで、地元のある資源を生かして何とか地域おこしをしたいと一生懸命がんばっておられるアイデアマン、それから活力あふれる方がたくさんいらっしゃるなということです。

 そういう方々の失敗例、そしてそれを乗り越えた成功例を伺いますと、本当に勇気をもらいます。今、地域アクションプランを産業振興計画の中で作らせていただいていますけど、ぜひともそういう皆さまの取組みは地域アクションプランに載せさせていただいて、また、県も一体となって取り組むことで、本当に中山間地域や地域、地域で暮らしていけるような産業づくりに繋がっていけばいいなというふうに思っています。

 それと、もう一つ非常に印象深く残りますのは、特に中山間地域における危機感ですね。いろんな危機感があると思います。若者が地域から流出していってしまうことについての危機感、どうしても人口が減っていく中で、学校をはじめとする拠点施設がなくなっていくことに伴う危機感、そして、シカやイノシシなど鳥獣に対する危機感。いろんな危機感を伺います。

 もっと言えば、生活の基礎の基礎となるような日々の足(交通)の問題についても強く訴えられたことがございました。選挙で回りました時も、本当に中山間の生活というのは厳しいなということは実感したつもりでございましたけど、改めて本当に時間をかけて1回1回、平均で3時間を超えるぐらいお話をさせていただいているところでございます。

 時間をかけてじっくりとお話を伺うことで、そのことが身に染みてきているところです。中山間対策事業は広大な地域を相手にしていますので、何でもかんでもというわけにはいきませんけど、「対話と実行」座談会などで承った意見を踏まえて、ツボを踏まえた対策を取っていかないといけないなと、実効性のある対策を取っていかないといけないなという思いであります。

県政の満足度についての調査結果
(小笠原:高知新聞記者)
 高知新聞社の調査で恐縮なんですが、尾﨑県政の満足度ということで、可もなく不可もなくもなくという数字が4、5割で、1年で今のところの満足度を問うことの是非もあろうかと思いますが、調査結果に対する率直なところをお聞かせ願えればと思います。

(知事)
 9月末に行われたアンケートで、まだ女子大の議案なども成立する前の話でありましたから。満足度ということになると結果を問うということではないかというふうに思っています。

 それが可もなく不可もなくが5割であったということについても謙虚に受け止めさせていただきたいと思いますけれども、県民の皆さまは、今の厳しい状況の中で本当に大変な思いをしておられるというわけだと思います。できることなら、いろいろと経済の振興を図るために、具体的なプランみたいなものを個別に打ち出していく方が見えやすいのかもしれません。

 ただ、先ほど申し上げましたように、高知県の産業の振興にしても教育の問題にしても、根本的な問題を抱えているんだと思っています。根本的な課題に取り組まない限り、いくら派手でも小手先の施策をいくら打っても絶対によくならないと私は思っています。

 ですから、時間を1年間いただいて、根本的な課題に取り組む、それを解決するための仕込みというのをやらせていただきたい。これは就任の時から申し上げてきたことでございます。それをやらせていただいてきたことかと思います。来年以降、具体的な取組み、仕込みをフル回転させて具体的な成果に繋げていきたいというふうに思っていますけれども、その結果を見てみようという思いを持っておられるのではないかなと思っているところです。

 9月の県議会で女子大議案とか、いろいろ具体的な議案も成立させていただいたと思いますが、(アンケートが行われたのは)その前の段階でしたからね。そこのところはまだ反映していただいていないというところはあろうかと思いますが。いずれにしても、1年間図ってきたいろいろなこの仕込みということについて、結果がどうなるか見てみたい、見てみようというふうに思っておられるんじゃないでしょうか。そのように受け止めさせていただいています。

県立高校の学区制の廃止
(中田:高知民報記者)
 学校の消滅の話が出てきたと思いますが、高校の学区ですが、県教委が24年度に全廃方針を出した一方で、梼原の町長さんとか、高校がなくなるんじゃないかという心配をすごくされていて、知事の目指す地域振興と逆行するような懸念はないのかというのがありますが。

(知事)
 学校がなくなるという話は人数の問題ですからね。学区制の問題とすぐに結びつくということはないだろうと思いますが、この学区制の撤廃について言うと、いろいろ県民の皆さまのご意見を伺いましたけれども、賛同される意見の方がやはり多い状況です。

 学区制の撤廃というのは、自分の行きたい学校を自分で選べる、自分が行きたいと思う学校に行けるというチャンスが広がるということではないのかなと思っています。既に県内の生徒のうち、6割の方々は学区制の撤廃された学校に進学しておられる。4割の方々が引き続き学区制の制限の下で進学をしておられるという状況でございます。残りの4割の方々にも自由に学校を選べる、大人の作った規制で自分が本当に行きたいと思える学校に行けなくなってしまうとかそんなことじゃなくて、自分が行きたいと思う学校に行けるチャンスを広げていく、そういうことをしていきたいと思っています。

 そして、梼原町長がおっしゃられたのは、地域の学校はどんどん、どんどん生徒が流出してしまうんじゃないかということだと思いますが、むしろ学区制が廃止されることで、その地域の学校へ子どもたちに進学してもらうために、一生懸命特色ある学校づくりというのをしていこうというような気運が盛り上がってくるのを大いに期待しています。

 県としても、そういう取組みは支援していきたいと思っています。いい意味での地域間での競争が生まれてくる。自分たちの高校を魅力的なものにしようとする取組みがどんどん生まれてくる。こういうことで県内の高校がどんどん魅力的になってくるんじゃないでしょうか。そうなることが子どもたちのためになるんじゃないでしょうか。

県職員の評価
(畑本:読売新聞記者)
 知事自身のご評価をお聞きしたのですが、就任直後に知事は、県職員にもスピード感を持っていってもらいたいとおっしゃっていました。知事の目から見てこの1年間、県職員というのは知事の要求に十分応えてきたと思われるでしょうか。

(知事)
 1月から4月ぐらいはよく腹が立ってましたけどね。「何をしゆうがな」という思いもありましたが、この産業振興計画の策定の過程でさんざん議論をさせていただきました。多くの部局の課長、課長補佐、チーフレベルの人たちともさんざん議論をさせていただきました。

 そういう中で、段々お互いの考えというものも分かってきてくれるようになってきたというふうに思いますし、何で急がないといけないのかということについても、段々理解されてきたんじゃないのかなというふうに思っているところです。

 何で急がないといけないのか。先ほどから言ってますけど、私たちの今やっていることというのは、根本的な課題に取り組むということです。根本的な課題に取り組むためにはしっかりと考えないといけない。そのためには一定の時間がかかるわけです。しかしながら、いつまでも考えてるということで良いわけがない。今の県経済の厳しさを考えた時に、それで良いわけがない。しっかり考えないといけないけれども、しっかり考えるのをできるだけ早く終えて、具体的なアクションに取り掛からなければならんということです。

 そういうことを考えれば産業振興計画、従来にない根本課題に取り組んでいると思いますけれども、これは1年以内に仕上げていかなければならない。何年もかけて作っていくというような余裕はない。だから1年かけて取り組んでいかないといけないんだということを一生懸命訴えてきました。そして、1年しかないからと言って小手先の施策を行うのでは駄目だということをさんざん申し上げてきたところです。そういう意識というのは浸透してきたんじゃないのかなというふうに思います。腹が立つことが少し減ったかなと思っています。

 もう一つは、予算編成過程で、より具体的な詰めた議論が各課で行われるようになってきていると思います。産業振興計画の策定に直接携わっていない職員も、段々とこの計画についての理解を深めて、どういうことをすべきかということを一生懸命考えてきてくれているんじゃないかと思います。産業振興計画に関係する議論をする時にも、知事室に入る職員の数が増えてきましたね。

 以前は一部の職員だけでしたけど、各部から入ってくる職員の数というのは急増してきたという感じです。今はかなりの数の職員が真剣に高知県の県勢浮揚に向けて真剣に取り組んでくれていると思っています。大変ですけど、予算編成の過程ももっとがんばってもらわないといけませんけどね。

就任1年を迎えて(2)
(半田:高知新聞記者)
非常に愚問ですけど、先ほどの話を踏まえて、知事1年目の自己採点は?

(知事)
 仕込みという点においては、やりたいことができたという観点からいけば、私は70点ぐらいかなと思っています。何で70点かと言うと、残りの30点はまだやらなければならないことが残っているからです。残りのこの30点相当部分というのは、21年度の予算編成ですね。ここでいろいろ仕込んできたことを、具体的な人員と予算が張り付いた具体的な政策にしていかなければいけません。この作業がまだ残っていますから。これがしっかりできればもっと高い点数なのかなと思っています。

 成果という点について言わせていただければ、前知事から引き継いだ長年の懸案だった女子大の問題を前進させることができたり、また東京事務所の拡充などを通じて、例えば道路評価の問題とか、さらには地域で定住することのできる地域づくりとか、こういう政策課題について、本県の主張というのを相当程度通すことができた。国を変えることができたというふうに思っています。

 そういう点については、それなりに仕事ができたのかなと思っています。ただ、教育振興とか産業振興とか、こういう問題については、まだ、先ほど申し上げたように仕込みという段階であって、成果を生むためにこの仕込みをフル回転させるのは来年からということになります。この点についてはテストが終わってないと思っています。

国の2次補正予算などへの要望
(伊藤:日本経済新聞記者)
 国の2次補正予算が来年に先送りになったんですけども、それについてご感想とか、高知県への影響はどうなのか。また、国の地方財政計画について、これからの要望やお考えをお聞かせください。

(知事)
 地方の立場から言わせていただければ、国の2次補正予算について、できれば早く成立をさせてもらいたいなというふうに思っていますが、ただ、ちょっと技術的なことになりますけど、具体の我々の行政上のスケジュールからいくと、我々は先に出た国の1次補正予算に対して対応している状況なわけですね。

 社会福祉に関係する今回の12月補正も、1次補正予算に対応した対策というのを取っている。資金繰り対策もそうなんですけど、そういう対策を取っているという状況なんです。仮に2次補正予算が12月20日ぐらいに成立したとしても、その具体的の対応が取れるのはやはり2月議会になるんですよね。

 ですから、そういう意味においては、今のこの時期になって2次補正予算が成立していない。これが1週間、2週間、3週間ずれても、県としての対応については変わらないということになります。

 ちょっと技術的な話ですけどね。ただ、ぜひともお願いしたいのは、2月議会に国の2次補正予算に対応した補正予算を我々も提出したいというふうに考えています。この時期にはぜひとも間に合わせていただきたいなと思っているところです。
 それから、地方財政計画について言わせていただければ、来年に向けて税収の落ち込みが予想されておったりしているところでございまして、こういう状況の中で、財政の懐があまり大きくない地方というのは一番厳しい状況に陥ってくるわけでございます。中でも、本県のように、特に懐の大きさという点、規模の大きさ、余裕度の高さという点においては厳しい状況にあるところにはしっかりと交付税の配分、傾斜配分をしていただかなければならないと思っているところです。

 傾斜配分の仕方についても、技術的、政策的な面も含めて、4月以降積極的に東京事務所から徹底した提言を行っているところです。ですから、この提言の成果を見たいと考えています。

 全国知事会でも言いましたし、そういう場でも言います。ただ、公の場で発言するだけでも駄目ですし、大切なことは、その傾斜配分が成し遂げられるような具体的な政策提言を行っていくということじゃないのかなと思っています。その両方をやってきたつもりです。その成果が上がるかどうかということです。国の方も予算編成が最終段階に差しかかってきていますから、気を抜かないでその取組は進めていきたいと思っています。

商品計画機構
(岡村:高知新聞記者)
 産業振興計画の中で、販売とか流通とか、そういうことを非常に大事な位置づけにしていますが、商品計画機構というのがまだ残っていると思うんですけど、産業振興計画の中のここの位置づけがどのように置かれて、活用するのかしないのか、どのように位置づけられているかお伺いしたいのですが。

(知事)
 地産外商を進めていくということは、新たに必ず取り組まなければならない課題ですけれども、今まで必ずしも十分な成果を上げてきていない分野だというふうに思っています。これを本格的に成功させていくためには、生産段階から都会の消費者の目を入れていくことで企画の練り上げをする。そして、流通段階を整え、都会における販促活動に力を入れてやっていく。こういう取組みが必要になってくると思います。

 この一連の施策が狙っていることは、このような仕組みによって組織が働いたことが、その組織の利益になることではなくて、県内の生産者の方々の利益になるように繋げていく仕組みでないといけないんだろうと思います。ちょっと固い言葉で言わせていただければ、「利己的」ではなくて「利他的」でなくてはいけないと思うわけですね。

 そういう時に、今の商品計画機構の仕組みで大丈夫なのかということは思っています。具体的な詰めの作業をしているところですけど、商品計画機構の役割というのを発展改組と言いますか。地産外商を目指そうとする商品計画機構の役割や考え自体は分かりますけれども、どうも具体的な成果という点ではいまいちではないか。

 ある組織の取組みが県内の生産者の皆さん、多くの皆さんに繋がっていくような仕組みというのを新たに考えていかないといけないんじゃないかなと。そういうことの検討を続けている状況です。

(岡村:高知新聞記者)
 改組ということですか。

(知事)
 意義を否定しないという意味においては発展なんですよね。ただ、今の商品計画機構のままではいけない。変えるという点においては改組ですね。ただ、この変えるというのが、いったん廃止して別のものを作るのか、今のものをまた変更するという形で対応するのかというところは、ちょっと詰めの作業がありますので。

(岡村:高知新聞記者)
 見直しということで

(知事)
 見直しということですかね。

(企画監)
 よろしいでしょうか。
 それでは、これで終了させていただきます。ありがとうございました。

−以上−

 

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