知事の定例記者会見(平成21年1月23日)

公開日 2009年01月31日

更新日 2014年03月19日

知事の定例記者会見

平成21年1月23日(金曜日) 13時20分から14時10分  第一応接室

目次

 


今後の緊急雇用対策
(知事)

 冒頭、私から本県の今後の緊急雇用対策についてお話させていただきたいと思います。県における臨時職員の雇用でありますとか、また離職者に対する県職員住宅の提供といった対策については、もうすでに発表させていただいておるところでございます。

 また、制度融資についても、間断なく対応してまいりたいと考えております。年末年始のこのような制度融資における対応、これが昨年における企業倒産の前年に対しての減少ということにつながっていったというふうに思っています。この資金繰り対策は重要です。今後も間断なく進めてまいります。

 これに加えまして、国の二次補正予算に対する期待感というのは非常に大きいものがあります。早期の成立を心より願っていると、そういう状況でございます。

 その中、国の二次補正予算の中で、ふるさと雇用再生特別基金事業でありますとか、緊急雇用創出事業でありますとか、こういう事業が盛り込まれております。

 この点に関しましては、先日、全国知事会を代表いたしまして、その要件緩和などにつきまして、私は厚生労働副大臣、さらには関係の所に訴えてきたところでございましたけれども、今後一定の成果は得られるのではないかと考えております。要件の緩和、これがぜひとも必要であります。

 失業者に対する対策ということは分かりますけれども、今のままでは非常に使い勝手の悪い内容になるのではないかと懸念される中、この見直しを強く訴えてまいりました。さらに、今後このような基金を利用してどのような対策を講じていくか。今度はこの中身が県の責任として問われてまいります。この中身、どのようなことを行っていくかについて、私の方から部局の方に指示した内容についてお話をさせていただきたいと思います。

 まず1点目は、担い手が不足している分野において、新たな雇用を創出する余地があるわけでございまして、この点についての取り組みを強化したいと思っています。

 (具体的には三つの分野を考えています。)一つは健康福祉の分野であります。介護と子どもの保育を一体で提供する。非常にフレキシブルな支援センター、こういうものの設置を今後検討していきたい。本県のように人口が少ない地域においても、十分に成り立っていくような福祉のあり方。これを追求していくというのが、私は今後の高知県にとっての大きなテーマだというふうに思っているわけでございますが、今回のこの補正予算を利用いたしまして、介護とか子どもの保育を一体として提供できるような、このような柔軟なセンターの設立を進めていきたい。ここで新たな雇用の場が生まれるわけであります。

 もう一つ、担い手不足という点で言えば、一次産業の現場、これは本県の強みの中の強みなわけでございますけれども、担い手が不足をしてきております。この点につきましては、新たな雇用創出を行っていくために、就労の場と住まいの確保、研修、こういうものを一体として提供できるような受け皿づくりというのをしていきたいと思いますし、またこの点については県内からだけではなくて、県外からの移住促進にもつなげてまいりたいと、このように考えているところでございます。

 もう一つは教育の現場にもまだ人が要ります。放課後の学びの場づくり、これを進めていきたいということを従来より申し上げさせていただいておりますが、この場において、子どもたちにいろいろ勉強を教えてくれたり、遊びを見守ってくれたり、こういうところに人が要ります。この場に派遣講師という形で人を送ることができないか。このことも検討したいと思っています。

 もう1点、ミスマッチは解消しなければなりません。そういう意味においてジョブカフェこうちというのがありますけども、これを幡多地区にもこのサテライトの施設の設置を検討すべきではないかということを指示しました。

 このような対策を講じていくことによって、本県においては特に担い手が不足している場においての雇用創出を迅速に進めていきたいと、このように思っているところでございます。しかしながら、繰り返しになりますが二次補正予算が国において、早く成立してくれなければ我々の対策も遅れてしまいます。とにかく早く、この二次補正予算を成立させてもらいたい。そのように思っております。冒頭、私からは以上です。

高知医療センターのPFI事業 (1)
(合庭:NHK記者)

 幹事社から3問質問させていただきます。
 1点目なんですけれども、医療センターについてお伺いしたいと思います。厳しい経営が続いている高知医療センターについて、知事は岡崎市長と20日に上京して、SPCの構成団体であるオリックスに協力を要請しました。滋賀県の近江八幡病院がPFI運営から直営方式に切り替える中で、高知医療センターの山崎企業長も「SPCの協力が得られなければPFI事業を続けるのは困難だ」という見通しを示しています。これについて知事はどのように考えていらっしゃるのか。また企業団が県と市に支援を要請する意向を示していますけれども、知事は今後、どのような支援を考えているのか見解をお伺いしたいと思います。

(知事)
 このPFI事業、何の見直しもせずにそのまま続けていくことは困難だと、当然そのように思っております。

 オリックスに先日お伺いした時に、先方からお話もあったことであり、また私もその話を受け、改めてそうだなと思ったところもあるわけですが、この見直しにあたっては収入面、支出の面、両方含めた全体的な見直し、これをもう一旦、深度を深めて検討していく必要があるのかなと、このように思っているところであります。

 とにかく県民、市民にとって本当に必要な病院でありますから、この経営をしっかり立て直していくことが必要であります。その経営を立て直していくために、収入面でどういうことができるのか。そして支出面でどういうことができるのかということについて、しっかりとした、深度の深い検討を進めていきたいと思っています。

 また、病院企業団から県と高知市に支援の要請があるかという点についてでございますが、先ほど申し上げましたように、県民の皆さまにとって不可欠の病院でございます。この支援要請には応じていかなければいけない。高知市も支援をするというお話であります。我々、県といたしましても、その要請の内容を精査しなければなりませんけれども、支援をしていくということについては変わりはございません。


観光振興に向けた交通政策
(合庭:NHK記者)

 それでは、2点目。県の交通対策に関することですけれども、全日空は去年の末に高知−関空便の減便を含めて、地方路線の見直しを検討しています。一方で、知事は新年度から交通政策課の拡充も含めて、誘客に向けた方針を打ち出しましたけれども、来年の大河ドラマの「龍馬伝」が控える中で、観光振興につなげるための組織体制について、具体的な規模や施策について見解を伺いたいと思います。

(知事)
 まず、高知−関西空港便は減便ということでございます。利用率が低迷している中で、残念ながら仕方のないことなのかなということでございますが、他方で今、我々といたしましては、高知−伊丹便の方について、早期の増便というものをお願いしているという状況でございます。

 一定程度誠意ある対応をいただいていると、今の段階では思っているところでございますが、いずれにしても、これは観光の振興だけじゃなくて、産業の振興という観点からいっても、交通政策のあり方をどう考えるか。私は抜本的に強化をしていかなくてはいけないと、そのように思っているところです。

 今、交通政策課という形で1課で担当しておるわけですけど、私は二つ必要だと思っています。

 一つは高知県における交通体系というものが、どうあるべきなのか。観光振興の観点からどうなのか。例えば二次交通〔空港や鉄道の駅から観光目的地までの交通〕の整備という観点ではどうか。さらには産業振興という形でいけばどのような物流体系のあり方であるべきなのかという点。

 さらにもっと言えば、中山間の暮らし、ここでの日々の生活、これがどうしても車とかに頼っていったりしなければならない。スーパーに行くのもそうです。また作った物をお店に出すのもそうです。そういうような中で、どのような交通体系であるべきなのか。

 こういうことをしっかりと、いろんなニーズというのを受け止めながら、それに対する対応力は何なのか。対応すべきことは何なのかということを企画立案する部署、これも必要だと思うんですよね。

 併せて、県内の公共交通機関の経営状況なんかについて把握をしていきながら対応策を考えていくという従来の交通政策課的な役目もまた併せて必要だと思っています。ですから企画立案部門と、そして実業部門と言いますかね、そういうもの2つを合わせ持ったような体系というのを作っていきたいと思っています。

 そしてもう一つ、これが非常に重要だと思うのですが、交通政策、高知県だけで考えるということではありません。航空会社さんだったりとか、さらにはバス、タクシーの皆さま方とか、そういう方々と一緒に手を携えていかなければならない。県庁から見れば対外的な折衝が必要になってくるわけです。県を代表する立場で、こういういろんな所へ働きかけを行っていく。そういう立場の人、すなわち担当理事、庁議メンバーとしての担当理事を置いて、この問題に当たってもらいたいと、そのように思っているところです。

 観光振興策全般ということになってまいりますと、今は産業振興計画の中でも観光八策ということを掲げさせていただいておるわけでございますけれども、いろいろな基盤整備も必要です。一つには二次交通の整備ということも非常に重要ですが、合わせてもう一つは、いろいろな地域、地域において高知県のものを味わっていただくような、いわゆるお金が落ちていくような仕組みづくりというのが、市町村ともタイアップしていって、こういう仕組みづくりをしていくことも非常に重要だというふうに思っているところです。

 今、こういう取り組み、今度の「龍馬伝」を一つの契機として行っていきたいということでございますけれども、土佐・龍馬であい博推進協議会という全県下的な枠組みというのを今、作っています。この枠組みを活かしていきながら、本県の観光部、観光コンベンション協会が連携をしていきながら、この振興を図っていくと、そういう対応を取っていきたいなと思っているところです。

(合庭:NHK記者)
 具体的な規模とかいうのは?

(知事)
 そうですね。まだちょっと精査をさせていただきたいと思います。ただ、特にお話のあった交通政策の関係について言えば、先ほど申し上げましたように企画をしていく部門。そして実業を担当していく部門。そしてそれを代表して対外的に訴えていく役割を持つ理事から構成されるということになると思います。


定額給付金 (1)
(合庭:NHK記者)

 三つ目の質問ですが、定額給付金についてです。15日に開かれました財務大臣の諮問機関である財政制度審議会では、2008年度の第二次補正予算案に盛り込まれている定額給付金については「経済効果はほとんどない」という見直しを求める意見が相次ぎました。知事はこれまで定額給付金については「一定のカンフル剤」であるとの見解を示していますけども、定額給付金の必要性についてどのように考えていらっしゃるのか。また、使い道について明らかにする閣僚とか、受け取らないことを表明する閣僚もいますけれども、知事は給付金については受け取る考えがあるのかないのか。もし受け取るとすれば、その理由と使い道について見解を伺いたいと思います。

(知事)
 定額給付金については、一定のカンフル剤だということを申し上げました。その考えに今も変わりはございませんけれども、私はこの経済対策全般を見通して、果たして経済効果があるのかどうかということをよくよく考えないといけないと思うんですね。

 総額は75兆円の経済対策。これはアメリカのオバマ新政権が打ち出そうとしている経済対策よりも規模が大きいんですよね。アメリカは70兆円、我が国は75兆円ということでございます。非常に大きな規模の経済対策を打ち出そうとしているわけです。

 定額給付金というのは、このうちの2兆円を占めるわけでございますけれども、先ほど来申し上げた全体像というのを見渡していきました時に、今回の経済対策というのは、いわゆる公共事業頼りだけではなくて、これもやりますけれどもね。

 併せて、資金繰り対策ということで、融資の保証枠を30兆円まで拡大をする。冒頭私も申し上げましたけれども、非常に県内でも需要が多いんですね、この保証枠というものについては。どんどん利用が増えておられます。これによって事業を継続するということができていたりもしているわけです。この枠、だんだん上限に近づいてきているわけですが、これを一挙に30兆円まで拡大するということの安心感、これは非常に大きいと私は思うわけです。

 さらには金融機関に対する資本注入の枠組み。前回の不況の時は何が起こったか。結局金融が目詰まりになってしまって、全体がダメになってしまった。この教訓に学んだ迅速な対応というのを今図っていこうとしているわけなんだと思うんですね。そういう意味においては、この経済対策全般というものを評価した時に、私は今回の対策というのは非常に足が早くて、かつ金融発の不況に対しまして、金融というものにしっかり目を向ける形での対策を取っているという点では評価ができると思います。

 そういう位置づけの中でこの定額給付金、一定のカンフル剤と申し上げましたが、これが世の中に支給されていく段階というのはいつ頃になるか。年度末間近ですよね。(対策を取るうえで)非常に大切な時というのは、この年度末なんです。

 各企業さんにとっても年度末というのは、資金繰りの観点から非常に厳しい時期になってきます。この時期に2兆円の金額が市中に流れていくわけです。これはどうでしょうかね、カンフル剤として時機を得たときに一定のまとまった金額が市中に出ていく。年度末を乗り切っていける。そして融資の枠組みを使っていける。何とか潰れないですむ。永続的に事業を進められる。そういうふうに考えていくべきじゃないでしょうかね。

 そういう意味において、今度この定額給付金なんかについても、時機を逸してはいけないわけですよ。先ほど来申し上げているように、とにかく早期にこの対策、補正予算が成立してもらいたいと心の底から思っています。

 私自身が定額給付金を受け取るかどうかというお話ですけど、定額給付金が出されましたら受け取ります。受け取って、すぐさま県産品を買いたいと、そのように思っています。地産地消、それに使っていきたいと思っています。

(合庭:NHK記者)
 では、各社からの質問をお願いします。


高知医療センターのPFI事業 (2)
(小笠原:高知新聞記者)
 PFI事業の件で2点ほど伺わせてください。先ほど深度を深めた全体の見直しをやっていかれるというようにおっしゃられたんですけれど、今現在の改革プランはある程度、収入もかなり減少していますし、かなりの大幅な全体像の見直しであると思うんですけれども、これから具体的にどういうふうな形で深度を深めていくかというところ、そこがまず1点ですね。

 もう1点、企業団に対する支援要請の対応の部分なんですけれども、支援されるということで、当然県なり市なりから、お金を貸し出しという形になろうかと思うんですけれども、それには当然県議会、市議会の議決というものが必要で、県議会、市議会というのは、それ相応の経営改善策という大義名分がないとなかなか納得しづらい部分があると思うんですね。そのスケジュールが2月、3月ということを考えていくと、議会に示す経営改善策が、非常に時間的に余裕がないのではないかなというふうに思うんですけども、その点をお願いいたします。

(知事)
 深度を深めてというのはどういうことになってくるのか、SPCとこれから詰めた協議を徹底してやっていくということもあります。それから、我々の方もどういう体制でこの問題に臨んでいくのかについても、体制のあり方なんかについても検討していかなければならないと思っています。

 例えば来年度以降については、医療センター問題を専従する担当理事というのを置かないといけないかなと、そのように思ったりしているところです。

 どのように深度を深めていくかという話について言えば、今の6億円の経費削減要請というのは、基本的に現行のスキームというのを前提とした上で、今後も続けていくためには、この6億円の経費削減が必要だということをお願いをしてきているわけですけれども、そもそも現行スキーム自体についても、本当に今の時代にそぐうものなのかどうかということを見直していくということも必要なんじゃないのかなということを考えています。まだ詳細については検討中という状況でございますので、詳しい内容までは申し上げられませんが、考え方としてはそういうことであります。

 また、今回支援を行っていくということについて言えば、やはり残念ながら2段階方式にならざるを得ないのではないかと思っています。21年度、この見直しができないからと言って、医療センターがそのまま存続できないということがあってはいけません。これは人の健康、命に直接的に関わってくる問題でありますから、21年度の支援要請というのはしっかりさせていただかなければならないと思っていますが、合わせてどのような見直しをどういう方向性で行っていこうとしているかということについては、考え方をお示ししていかないといけないだろうなと思っています。その上で、具体的な中身については、少しお時間をいただきながら対応していくということです。

 いずれにしても、そんなにゆっくりできる話ではないと思いますけれどもね。

(小笠原:高知新聞記者)
 2段階方式というのは、ある程度大きなところを示して、その上で詳細の部分というのは来年度に・・・。

(知事)
 相手もある話ですから。


全国体力テスト
(末崎:朝日新聞記者)
 先日、全国体力テストの結果が出ましたけれども、詳細な分析というのはこれからになると思うのですが、高知県は学力調査に続いてまたと言っていいのか、あまり芳しくない結果になりましたけれども、結果に関する知事のご感想と、あとご自身でこんなことが原因じゃないかなという、何かお考えがありましたらお聞かせいただければと思います。

(知事)
 率直なところ非常に残念ですが、ただ、私は大阪の知事さんがおっしゃった「学力がダメ。だったら体力は大丈夫なんじゃないかなと思っていたら体力もダメだった」というお話でしたけれど、私はむしろ思っていますのは、学力が全国で最下位レベル、そして体力についても全国最下位レベル、これは同じところに原因があるんじゃないかと考えるべきではないのかなというふうに思っています。

 今回、学力の問題についても緊急プランということで出させていただく中で、放課後改革とか、いわゆる学校以外の現場の問題についてすごく重視をして、対策を練らせていただいているわけですけれども、やはり生活習慣がどうなんだろうかとか、そういう問題にすごく学力の問題というのは関わっていると思うんですね。

 この問題は、例えば夜しっかり寝ているかとか、朝食をしっかり食べているかとか、体力について言えばそういうことも関わってくると思います。生活習慣のあり方、これは体力にも学力にも両方とも関わってくる問題ではないのかなと。この学力テストの結果と体力のテストの結果、相関関係はよく分析をしてみなければなりませんけれども、今の段階で私は率直なところ、両者はやはり、かなり同じ原因に基づいているところがあるんじゃないのかなというふうに思っています。

 そしてもう一つは、やはり学校現場においても、学力の定着がなかなかできないでいるという現状と、そしてまた子どもたちに体力を付けさせてあげるということができない現状と、果たして学校での授業のあり方はどうなっているのか。真摯に反省をしないといけないんじゃないのかなと思っていますけれどね。正直、非常に残念ですけれどもね。

 ただ、両者に共通する原因がないか。あるとすれば、これは非常に大きな問題です。子どもたち全てに関わる問題だということになるわけですから、しっかりと対応していきたいと思っています。

 学力の問題についての緊急プランというのは、去年7月に策定しました。また、その他の見直しについてもいろいろと行ってきているところであります。高校の入試制度の見直しでありますとか、学区制の見直しでありますとか、高知市との協力でありますとか、こういうことを行ってきているところなんですけれども、体力の問題についても、先ほど申し上げた、共通の原因はないかということをしっかりと踏まえていきながら、私は緊急な対応策というのを教育委員会の方で考えてもらいたいと、そのように思っています。

 知徳体のバランスが取れることが大切ですから。説得力のある緊急対策を21年度に向けて早期に打ち出してもらいたいと、そのように私は思っております。私は予算編成において、この問題に関わるということでございますけれども、県教委の方でもそういうご意向でいらっしゃるということでございますから、予算編成過程でよく議論をしていきたいと、そのように思っています。


医療刑務所の誘致
(田中:高知放送記者)

 今週の頭にですね、知事は北九州の医療刑務所に視察に行かれていると思うのですが、これは津野町が医療刑務所などを誘致しようという動きに連動した視察だと考えますが、知事は以前、財務省時代に刑務所の予算編成と、そういう整備の予算編成に関わってこられたということなんですけども、医療刑務所の誘致について、知事はどのようなお考えか、積極的に誘致していこうというふうに考えているのかどうか。またその施設を視察してみて、どのような感想を持ったのかということをお聞かせください。

(知事)
 おっしゃるとおり、私は昔、(財務省在籍時に)法務省の予算担当をしていましたので、全国のいろんな刑務所整備というのに予算関係で携わらせていただいたところですけれども、今非常に各自治体から、この刑務所を誘致したいという要望が強いわけですね。

 津野町におかれましても、数年前からこの取り組みを議会と執行部が協賛をされて、積極的な取り組みを進めておられているところです。私自身としても、津野町さんのそういうご意向を踏まえました時に、これはぜひとも実現をしたいなという思いでございまして、刑務所さらに医療刑務所、またその他の矯正施設もしくは更生施設、こういうものに可能性はないのかなということについて津野町と一体的な取り組みを進めていきたいと思っているところです。

 いろんな可能性を探っていかなければなりませんけれども、今回、医療刑務所とともにその他少年関係の施設についても見させていただきました。どういう施設が津野町で実現可能なのか、どういう施設がふさわしいのかということについて、いろいろ考えさせられたところですけれども。

 今のああいう矯正施設のあり方なんかを見ますと、非常に安全面という点においては、もう万全なんだろうと思います。他方でそれだけ多くの方々が規則正しく生活をしておられるという中で、これは地元に対する経済波及効果も大きいんじゃないのかなということも実感をいたしたところでございます。何とか実現できないかなと。これを今後も津野町と一体となって働きかけを続けていきたいと、そのように思っています。

(田中:高知放送記者)
 具体的には津野町との間で、もし誘致ができればこういったことをしてみたいというような話し合いというのは、だいぶ進んでいるものですか。

(知事)
 まだ要請をいろいろして可能性を探っているという段階ですね。これもそれこそ相手があることですからね。

(田中:高知放送記者)
 全国の自治体の応募状況というのはどういった状況なのか分かりますでしょうか。

(知事)
 (財務省に在籍していた)当時、PFI刑務所を私、2棟作ったんです。当時は収容率が119%に至るという状況で、過剰収容問題がものすごく大切な時だったですから、PFI刑務所づくりを迅速に進めていくための予算について知恵をこらしたことをよく覚えていますが、あの時、この2棟のPFI刑務所に対する各自治体からの応募倍率が何倍だったかというと50倍を超えていました。でありますけれど、じゃあ、そのような刑務所だけではなくて、ほかの施設が考えられないかとか、これは知恵をめぐらせてニッチ〔すき間〕のところを取ってくるとか、そういうこともあると思いますので、知恵を出していきたいと思います。


低レベル放射性廃棄物の処分場
(服部:毎日新聞記者)

 誘致関連でもう一つ、今一部報道されていますけれども、大月町が低レベル放射性廃棄物の処分場、まだ国の方の応募ですとかそういう仕組みづくりができてないみたいですけれども、まさに今日、第1回目の町議会での勉強会が10時からあったと思うんですが、処分場誘致ということに関する知事のお考えを率直にお願いします。

(知事)
 住民の皆さまからのご提案に基づいて町議会でしっかり議論をしておられるわけですから、それを突然横から知事が何かを言うという段階では、今はなくなってきているのかなというふうには思いますけれども、町議会でのご議論を待ちたいと思いますが、ただ私自身のスタンスとして、考えとして言わせていただければ、やはり本県の強みを生かしていくという方向で、今後の産業振興にしても生活の向上にしても進めていくということが必要だと思っています。

 食の分野、人、そして自然と歴史と、これを売り物にしているこの強みを持っている本県、この強みを伸ばしていきたい。じゃあ、ああいう核関連の施設というものが、果たしてこの強みにそぐうものか。強みを伸ばしていく方向に働いていくものなのかなということを考えました時に、私はどうなのかなと、そぐわないのではないのかなという考えを持っています。

 技術の問題もありますが、風評被害ということがありますからね。これが残念ながら強みを伸ばす方向には働かないことになってしまいやしないかなということを考えているところであります。今の段階で私が決定的なことを言えないのでしょうけれども、私はぜひ大月町におけるご議論においては、こういう点を踏まえて慎重にご議論いただきたいな、よくよくこういう点も踏まえた議論をいただきたい、このように思っています。


県業務のアウトソーシングの考え方
(小笠原:高知新聞記者)

 県が平成18年度からかなり強力にアウトソーシングを3年間進めてきて、1月にそれを総括されて、来年度は一息というところであるらしいんですけれども、この3年間、かなりアウトソーシングを進めてこられて、その知事なりの総括と、これからさらにアウトソーシング業務というところを拡大していくのか、その辺りの考えというところをお聞かせ願えればと思います。

(知事)
 行財政改革を進めていく。効率的な行政をできるだけ低い経費で行っていく。これこそが究極の目的なんですけども、アウトソーシングといったら、その中の一手段にすぎないと思うわけです。

 うまくいったところが多かったとは思います、今までやってきたところの中で。しかしながら、産業技術部関係で一部、やはりこれはそぐわなかったのではないかなと思うものもありました。

 就任早々の時にも申し上げさせていただきましたけれども、例えば各部一律何%アウトソーシングしなければならないとかいう性格のものでは、私はこれはないと思っています。個々個別にこれは向いている、向いていないということを判断していくべきものだというふうに思っています。行財政改革というのは今後も進めていきますけれども、私はこれが馴染むという分野に限定をしていくというあり方が本来のあり方なんだろうなと、そのように考えています。

(小笠原:高知新聞記者)
 馴染むものがあれば積極的にという・・・?

(知事
 それは馴染むなと思われる、まだ(アウトソーシングする)余地があるなと思われるものは当然進めていかなければなりませんが。 当時、アウトソーシングという考え方があまり県庁の中になかった中で、これを強力に進めていく手段として一律の目標値というのを定めたということなんだろうと思うんですけれど。

 私もさっきの刑務所の話でもありましたけども、PFI刑務所だとか矯正・更生関係のアウトソーシングとか、いろんなことを国においても相当進めてきたほうだと思っているんですけれども、その中で、そういう体験からしても、本当にこれはケースバイケースだと思うんですよ。向いているものと向いていないものがすごくあると思っていますので、当時は当時の考えだったんでしょうけども、私はケースバイケースを徹底することを貫いていきたいと、そのように思っています。


行政委員会委員の月額報酬 (1)
(畑本:読売新聞記者)

 けさ報道されていたんですが、滋賀県の大津地裁の判決が昨日出まして、滋賀県の行政委員会の委員さんに月額で報酬を支払っていたのがふさわしくないという、報酬支払いの停止を求める判決が出ているんですが、高知県は9つの行政委員会で全て月額報酬方式で支払っていると思います。まだ一審ですが、知事の受け止め方と今後の考え方について教えてください。

(知事)
 昨日、判決が出たばかりですから、判決の内容というのをよく見てから本県の対応を考えていかなければならないと思いますけれども、やはり大原則は勤務実態に合った形で給与を支給するべきだということではないのかなと思っています。各委員会、勤務実態がどうなっているかということからして、よく検討しないといけないと思いますけれども。

 これはいろんな議論があると思うんですが、勤務日数の問題もあるんだろうと思いますけれども、合わせて勤務日数以外で事実上、この業務にどれだけ拘束されておられるかとか、そういうことなんかも見極めていかないといけないと思うんですよね。短兵急に出てきておられる日数だけで判断するんじゃなくて、その関連の業務として、日ごろどういうことをやっておられるのかということも踏まえて、一旦詳しく調べさせてもらいたいと思います。


産業振興計画
(佐野:NHK記者)

 先日の地産外商推進協議会で馬路村の東谷(望史・馬路村農業協同組合代表理事組合長)さんが「こんな議論を15分でやっても議論を尽くせないんじゃないか」ということを言われていました。地産外商もそうなんですけれど、地域アクションプランも含めて全体的にかなり量の多い産業振興計画を急ピッチに仕上げてきたという印象を個人的に受けているんですが、その点知事はどのようにお考えになっていますか。

(知事)
 これぐらい徹底したことをやらなければいけないというのが第一。もう一つはそんなにゆっくりもしていられないというのが第二です。

 今年度中には何とか仕上げて、21年度からは本格実施ということにしていきたいと。もう一つ、「龍馬伝」が平成22年放送ときましたからね。これはいろんな取り組みをちょうど後押ししてくれるいい機会なわけです。その時にはエンジン全開でいきたいと思っています。

 エンジンを温めておく期間、その期間がどうしても必要だと思いますから、そういう意味においても、この21年度当初から何らかの取り組みを始めるということが必要なんだと思うんです。そういう意味では本年度中に終わらせていかなければならない。

 特に検討委員会がそうなんですが、だんだん、だんだん回を追うごとに書類が多くなってきます。というのは、検討されてくる内容がだんだん増えてくるからですね。過去何ヶ月間かにわたって検討してきた内容がだんだん増えてきますから、書類も積み上がってきます。大体倍々ゲームぐらいで増えています。

 ですから、今回についても、かなり2日か3日くらい前から各委員さんに事前にお渡ししに行って説明をしてということをやって、その上で検討委員会の場でご議論、ご意見を賜るというような工夫もさせていただいておるところなんですが。

 この間、地産外商推進協議会のところで、「このような議論を15分で」というお話、あの前段に東谷組合長から「知事も本気でやろうとしゆうようやき」と言っていただきました。ある意味、本当に嬉しいお話だと思いました。

 この地産外商というのは、ぜひとも本県が取り組まなければならないことではありますけれども、他方で非常に難しい。ほかの地方も取り組んでいく中で高知県がどうやって伸びていくかということを、ライバルがいる中での戦いになってくるわけですから、いろいろ知恵を巡らさないといけないと思っています。

 その中で東谷組合長さんのような、ああいう日本の中でも希有な成功例を持たれている方から、しっかりと議論してやると言っていただいたということ、本当に嬉しいことだと思いますね。ぜひ徹底して議論していただいて、実効性のある対策となるようなお知恵を賜りたい、そのように思っています。


高知医療センターのPFI事業 (3)
(畑本:読売新聞記者)

 少し戻ります。PFIのお話なんですが、先日知事と市長でオリックスの副社長さんと会談した際に具体的に先方からどのような回答が得られたのか、お伺いしたいんですが。

(知事)
 西名副社長さんですね、前PFI株式会社の社長さんでいらっしゃるわけですけども、6億円の経費削減、これだけではなくて収支全体を見直した、そういう対応が必要ではないのかと、そういう観点から今後も企業団ともよく協議を続けていきましょうと、そういう話でありました。

(畑本:読売新聞記者)
 その6億円については直接的に了承得られなかったということですよね。そのこと自体については、知事は今後の対応で必要不可欠と思われて要請をしに行かれたと思うんですが、その協力がなかなか得難いということについて、どういうふうにお考えでしょうか。

(知事)
 さっき申し上げたことと全く一緒なんですけれど、現行スキームを全体とした時に6億円の削減というプランが出てきたわけです。それに対しては難しいという回答だったわけですけれども、じゃあ現行スキームのあり方も見直していくという中で、どういう対応ができるか話をしていきましょうということですから、交渉事としていえば、話し合いという点でいけば一歩前に進んだというふうに思っていますけれどもね。

(斉藤:高知さんさんテレビ記者)
 現行スキームで6億円の経費削減ということが無理ならば、それを話し合っている企業団議会の会議の中では、PFIをこのまま続けるのは不可能ではないかというような意見が強く出ていますが、それに対してはどうなんですか。

(知事)
 PFI契約というのはものすごく膨大なものなんですよね。事業は。契約書なんか分厚いですし、やっぱりそれぞれもう1回よく精査していくことが必要だと思いますよ。今の段階でどういう見直しをしても不可能だと決めてかかることはできないと思いますね。もう一段、徹底した検討というのは進めていかないといけないと思います。今の段階でどんなに見直しをしても事業継続は困難だなんてことは、とてもじゃないですけど、軽々にそんなことは言えないと思っていますし、そういうのは軽率だと思っていますので、よく検討することが重要だと思います。


行政委員会委員の月額報酬 (2)
(岡村:高知新聞記者)

 行政委員会の委員の報酬の関係は、精査というのはもう指示されましたか。

(知事)
 今、具体的にすぐ調べるように言っています。言わなくてもやっていました。スピード感が出てきたかなと思います。


定額給付金 (2)
(岡村:高知新聞記者)

 それと定額給付金なんですけれど、一般の人の世論調査では反対があるんですけど、受け取ったらどうかということの反応も今後出てくると思うんですけども、例えば奥様なんかはどんな感じなんですか。例えば、閣僚の中では「受け取ったら家族と相談して使う」とかという言葉があったんですけれど、知事のところはどうされますか。

(知事)
 私は何を買うか。土佐酒で乾杯でもしましょうかね。妻は妻で、何か子どものものを買うんじゃないでしょうかね。私の希望としては、土佐のお酒と土佐のお米と土佐の野菜と土佐の魚で鍋でもやりたいものだなと思いますが。


高知医療センターのPFI事業 (4)
(小笠原:高知新聞記者)

 またPFIで恐縮なんですけれど、さっき相手がいることだと言っていたんですけれど、つまり県議会、市議会に対してお金を借りるのに議決をもらわなければいけないと。もちろん、企業団の方が主語になってくるんですけれど、さっき現行スキームを見直していくということなんですが、現行スキームを見直していくというところで、(企業団は)そういう方針で県の方にも市の方にもお願いしていくという形になるんでしょうか。

(知事)
 もうちょっとお時間をいただきたいと思いますけどね。


二酸化炭素削減の今後の取組
(佐野:NHK記者)

 先日の話なんですが、環境省が制度化するカーボンオフセット用のCO2排出削減・吸収量創出のモデル事業に、梼原町と芸西村と(高知市のコンサルタント会社の)「相愛」の3件が採択されました。これまで高知県がトップを走っていた分野で、採択された9件中3件ということで、だいぶほかの県が追いついてきたということがあるんですが、先進的な取り組みを進めていく中で、今後どういった取り組みが必要になってくるのかということをお伺いしたいのですが。

(知事)
 それは当然追いついてきますのでね。県外にも目を向ける県庁、地域間競争を意識した県庁じゃないといけないと、いつも私申し上げさせていただいていますが、ある時には先端でも当然周りは追いついてきますから、もっと先を行かなければいけません。

 今、カーボンオフセットの関係で我々が取り組みを進めたいと思っていて、12月末に私、環境省にも行って訴えてきたんです。いくつかありました。さっきのその取り組みについても採択を、ということをお願いしてきましたし、環境モデル都市の採択についてもお願いしてきて、この2つともかなったということなわけですが、もう1個、さらに先端的な取り組みとして言わせていただければ、今のはカーボンオフセットをすることを認証していくという取り組みになっていますけれども、そもそも間伐をすることによってCO2の吸収量を増やすと、この取り組み自体というのをしっかり数値的に認証して、対外的に金銭的価値に替えていくという新しい取り組み。

 削減量を減らすというのは、これは比較的分かりやすいですが、吸収量が間伐などを通じて増えたという点、こちらの側面も数値的に換算できないかと、こういう取り組みも進めていこうとしているところで、これもこの間、環境省に提案してきたんですけど、これは本県、さらに一歩踏み込んだ取り組みだと思っていますから、これは進めていきたいと思っています。トッププランナーとして、引き続き進めていきたいと思っています。

(畑本:読売新聞記者)
 それはどういう内容ですか。

(知事)
 今回、本県なんかがやっているカーボンオフセットなんかは、何でトッププランナーとして行けるかというと、京都議定書に定められた、いわゆる国際条約の枠組みに準拠した形での計算式というのを使っているから。いわゆる汎用性があるんです。

 汎用性があるので信頼性があるので、例えばルミネさんなんかも引き受けてみようかなと思っていただけるという状況なんだろうと思うんです。全国的に汎用性があって、いわゆる信頼性がある。クレディビリティ〔信頼性、確実性〕が高い。これは今度の間伐についても適用できないか。そういう検討をしていきたいと思っています。

 実際、この計算式なんかの策定なんかにあたりましても、日大の小林教授、それから環境省の方にも入っていただいて、全国区のものとなるよう初めから設計をしようとしているところですから、この考えには変わりはありません。

(谷脇企画監(広報担当))
 よろしいですか。それではこれで終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。

 

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